特許第6661633号(P6661633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6661633液晶表示パネル及びそのグレースケール電圧の補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661633
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】液晶表示パネル及びそのグレースケール電圧の補正方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20200227BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20200227BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 611E
   G09G3/20 641P
   G09G3/20 621B
   G09G3/20 641C
   G09G3/20 642P
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 631V
   G09G3/20 642A
   G02F1/133 575
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-525622(P2017-525622)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公表番号】特表2017-536578(P2017-536578A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】CN2014092509
(87)【国際公開番号】WO2016078114
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2017年7月3日
(31)【優先権主張番号】201410677455.7
(32)【優先日】2014年11月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080252
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 征四郎
(72)【発明者】
【氏名】許神賢
【審査官】 越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−091391(JP,A)
【文献】 特開2002−123209(JP,A)
【文献】 特開2002−229529(JP,A)
【文献】 特開2004−133177(JP,A)
【文献】 特開2006−003867(JP,A)
【文献】 特開2006−171698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルのグレースケール電圧の補正方法であって、
前記液晶表示パネルは、交流駆動方式を採用するとともに、
共通電極と、
前記共通電極と向かい合って設置された複数の画素電極と、からなり、
前記共通電極には共通電圧を印加し、
任意の位置点の座標をxで表わすとき、座標xの前記画素電極にはグレースケール値と対応するグレースケール電圧V(x)を印加し、
前記グレースケール電圧V(x)は、正極性グレースケール電圧Vp(x)と負極性グレースケール電圧Vn(x)とを備え、
前記グレースケール電圧V(x)の補正方法は、
前記共通電極における前記共通電圧の実電圧分布Vcom(x)を取得する共通電極実電圧分布取得手順と、
前記実電圧分布Vcom(x)に基づいて、各前記画素電極の前記正極性グレースケール電圧Vp(x)と前記負極性グレースケール電圧Vn(x)をそれぞれ補正するグレースケール電圧補正手順と、を備え、
前記共通電極実電圧分布取得手順では、
前記共通電極上の基準位置点Oを選択し、前記基準位置点Oの座標をμで表わし、
前記基準位置点Oの前記共通電圧Vcom(μ)及び前記基準位置点Oと向かい合う基準画素電極上の前記正極性グレースケール電圧Vp(μ)と前記負極性グレースケール電圧Vn(μ)を調整することによって、前記基準画素電極が対応する最適な共通電圧Vcom(μ)と、最適な正極性グレースケール電圧Vp(μ)と、最適な負極性グレースケール電圧Vn(μ)とを取得し、
前記基準位置点Oの前記共通電圧Vcom(μ)が前記最適な共通電圧となった状態で、前記基準位置点O以外のその他の位置点の前記共通電圧の実電圧値Vcom(x)を確定し、
前記確定した前記共通電圧の電圧分布Vcom(x)を記憶装置に記憶し、
前記グレースケール電圧補正手順は、
前記共通電極における前記基準画素電極以外のその他の画素電極に向かい合う位置の前記共通電圧の実電圧値Vcom(x)に基づいて、
各前記画素電極上の補正後の正極性グレースケール電圧Vp(x)'と、前記共通電極における各前記画素電極に向かい合う位置の前記共通電圧Vcom(x)と、の間の階差と、
各前記画素電極上の補正後の負極性グレースケール電圧Vn(x)'と、前記向かい合う位置の前記共通電圧Vcom(x)と、の間の階差と、を同じにする手順であって、
記記憶装置に記憶された前記共通電圧の電圧分布Vcom(x)を呼び出し、
前記基準位置点O以外のその他の位置点の前記共通電圧の電圧分布Vcom(x)に基づいて、前記基準画素電極以外の前記その他の各画素電極のグレースケール電圧補正値Cp(x)およびCn(x)を次式によって計算し、
【数12】
前記正極性グレースケール電圧Vp(x)と前記負極性グレースケール電圧Vn(x)を前記グレースケール電圧補正値Cp(x)およびCn(x)で次式のように補正し、
【数13】
前記その他の画素電極の補正後の正極性グレースケール電圧Vp(x)'と補正後の負極性グレースケール電圧Vn(x)'をそれぞれ取得し、
前記基準画素電極には前記最適な正極性グレースケール電圧Vp(μ)および前記最適な負極性グレースケール電圧Vn(μ)を印加し、
前記基準画素電極以外のその他の画素電極には前記補正後の正極性グレースケール電圧Vp(x)'および前記補正後の負極性グレースケール電圧Vn(x)'を印加し、
さらに、
前記基準位置点Oの前記共通電圧Vcom(μ)が前記最適な共通電圧となった状態のとき、前記共通電圧の電圧分布Vcom(x)がガウス分布である場合には、前記基準位置点O以外のその他の位置点の前記共通電圧の実電圧値Vcom(x)を、ガウス関数と、前記基準位置点の前記最適な共通電圧Vcom(μ)と、前記基準位置点O以外のその他の位置点の座標xと、に基づいて次式により算出する
【数14】

ことを特徴とするグレースケール電圧の補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示の技術分野に関し、具体的には駆動電圧の技術分野に関し、特に、液晶表示パネル及びそのグレースケール電圧の補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電表示の技術がますます定着するのに伴い、液晶表示パネルは、最も幅広く使用されているタブレット表示装置となっている。液晶表示パネルの表示画面が確実に正常に表示されるようにするため、画素グレースケールを表示する時に利用するのは、共通電圧とグレースケール電圧の間の電圧差であるとともに、異なる電圧差を使って異なるグレースケールを表示する。そのうち、液晶分子が分極されるのを防ぐため、グレースケール電圧は、正極性と負極性を反転させ、交流方式で駆動する必要がある。
【0003】
しかしながら、液晶表示パネルは、製造プロセスにばらつきがあり、位置によって負荷が異なるため、共通電極(V−com)が均一でなくなり、正極性と負極性のグレースケール電圧と共通電圧の間の電圧差が均一ではなくなる。例えば、同じグレースケール方向上で表示面板の中心点から遠くなればなるほど、電圧差は大きくなり、正極性と負極性のグレースケール電圧が反転する時、フリッカー(Flicker)現象が生じ、液晶表示パネルの表示效果に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、液晶表示パネルに表示する時のフリッカー現象を防止し、表示效果を向上させる液晶表示パネル及びそのグレースケール電圧の補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の技術問題を解決するため、本発明が採用する技術案は、液晶表示パネルのグレースケール電圧の補正方法を提供する。液晶表示パネルには交流駆動方式が採用され、液晶表示パネルは、共通電極と、共通電極と向かい合わせに設置された複数の画素電極と、からなる。そのうち、共通電極には共通電圧を印加し、複数の画素電極にはグレースケール値に対応するグレースケール電圧を印加する。グレースケール電圧は、正極性のグレースケール電圧と負極性のグレースケール電圧を備え、グレースケール電圧の補正方法は、以下の手順を備える。共通電極における共通電圧の実電圧分布を取得する手順(この手順は、共通電極上で基準位置点を選択する手順を備える)。基準位置点の場所の共通電圧及び基準位置と向かい合う基準画素電極上の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を調整することによって、基準画素電極の場所に対応する最適な共通電圧、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を取得する手順。基準位置点の場所の共通電圧が最適な共通電圧である時、基準位置点以外のその他の位置点の共通電圧の実電圧値を確定する手順。実電圧分布に基づいて、各画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧をそれぞれ補正し、同じグレースケール値に対して、各画素電極上の補正後の正極性グレースケール電圧と共通電極における各画素電極に向かい合う位置の共通電圧との間の階差と、各画素電極上の補正後の負極性グレースケール電圧と向かい合う位置の共通電圧との間の階差を同じにする手順。また、実電圧分布に基づいて、各画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧をそれぞれ補正する手順は、以下の手順を備える。共通電極における基準画素電極以外のその他の画素電極に向かい合う位置の共通電圧の実電圧値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正し、さらにその他の画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する手順。
【0006】
そのうち、共通電極における共通電圧の実電圧分布を取得する手順は、さらに以下の手順を備える。実電圧値に基づいて、共通電極における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数を確定する手順。また、共通電極における基準画素電極以外のその他の画素電極に向かい合う位置の共通電圧の実電圧値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正する手順は、以下の手順を備える。電圧分布関数及びその他の画素電極の共通電極上の向かい合う位置の座標に基づいて、共通電圧の向かい合う位置の実電圧値を計算する手順。実電圧に基づいて、その他の各画素電極のグレースケール電圧の補正値を計算する手順。グレースケール電圧補正値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正することによって、その他の画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する手順。
【0007】
そのうち、電圧分布関数は、ガウス関数である。
【0008】
上述の技術問題を解決するため、本発明が採用する別の技術案は、液晶表示パネルのグレースケール電圧の補正方法を提供する。液晶表示パネルは、共通電極と、共通電極と向かい合って設置された複数の画素電極と、からなる。そのうち、共通電極には共通電圧を印加し、複数の画素電極にはグレースケール値と対応するグレースケール電圧を印加する。グレースケール電圧は、正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を備え、グレースケール電圧の補正方法は、以下の手順を備える。共通電極における共通電圧の実電圧分布を取得する手順。実電圧分布に基づいて、各画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧をそれぞれ補正し、同じグレースケール値に対して、各画素電極上の補正後の正極性グレースケール電圧と共通電極における各画素電極に向かい合う位置の共通電圧のと間の階差を、各画素電極上の補正後の負極性グレースケール電圧と向かい合う位置の共通電圧との間の階差を同じにする手順。
【0009】
そのうち、共通電極における共通電圧の実電圧分布を取得する手順は、以下の手順を備える。共通電極上で基準位置点を選択する手順。基準位置点の場所の共通電圧及び基準位置と向かい合う基準画素電極上の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を調整することによって、基準画素電極が対応する最適な共通電圧、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を取得する手順。基準位置点の共通電圧が最適な共通電圧である時、基準位置点以外のその他の位置点の共通電圧の実電圧値を確定する手順。
【0010】
実電圧分布に基づいて、各画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧をそれぞれ補正する手順は、以下の手順を備える。共通電極における基準画素電極以外のその他の画素電極に向かい合う位置の共通電圧の実電圧値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正し、さらにその他の画素電極に対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する手順。
【0011】
そのうち、共通電極における共通電圧の実電圧分布を取得する手順は、さらに以下の手順を備える。実電圧値に基づいて、共通電極における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数を確定する手順。共通電極における基準画素電極以外のその他の画素電極に向かい合う位置の共通電圧の実電圧値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正する手順は、以下の手順を備える。電圧分布関数及び共通電極におけるその他の画素電極に向かい合う位置の座標に基づいて、共通電圧の向かい合う位置の実電圧値を計算する手順。実電圧に基づいて、その他の各画素電極のグレースケール電圧の補正値を計算する手順。グレースケール電圧の補正値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正することによって、その他の画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する手順。
【0012】
そのうち、電圧分布関数は、ガウス関数である。
【0013】
そのうち、共通電極における共通電圧の実電圧分布を取得する手順は、さらに以下の手順を備える。その他の画素電極と共通電極が向かい合う位置の共通電圧の実電圧に基づいて、前記その他の各画素電極のグレースケール電圧の補正値を計算する手順。ルックアップテーブル形式でグレースケール電圧の補正値を保存する手順。共通電極における基準画素電極以外のその他の画素電極に向かい合う位置の実電圧に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正する手順は、以下の手順を備える。ルックアップテーブルに基づいて、その他の各画素電極のグレースケール電圧の補正値を調べる手順。グレースケール電圧の補正値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正することによって、その他の画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する手順。
【0014】
そのうち、ルックアップテーブル形式でグレースケール電圧の補正値を保存する手順は、以下の手順を備える。その他の画素電極中の複数の隣り合う画素電極のグレースケール電圧の補正値を平均することによって、平均グレースケール電圧の補正値を取得する手順。ルックアップテーブル形式で平均グレースケール電圧の補正値を保存する手順。グレースケール電圧の補正値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正する手順は、以下の手順を備える。平均グレースケール電圧の補正値を利用して、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正することによって、複数の隣り合う画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する手順。
【0015】
上述の技術問題を解決するため、本発明が採用するさらに別の技術案は、共通電極と、共通電極と向かい合って設置された複数の画素電極と、からなる液晶表示パネルを提供する。そのうち、共通電極には共通電圧を印加し、各画素電極にはグレースケール値に対応するグレースケール電圧を印加する。グレースケール電圧は、正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を備える。液晶パネルは、さらに記憶装置と、グレースケール電圧補正装置と、を備える。記憶装置は、共通電極における共通電圧の実電圧分布を示すデータを保存するのに用いられる。グレースケール電圧補正装置は、実電圧分布に基づいて、各画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧をそれぞれ補正し、同じグレースケール値に対し、各画素電極上の補正後の正極性グレースケール電圧と共通電極における各画素電極に向かい合う位置の共通電圧との間の階差と、各画素電極上の補正後の負極性グレースケール電圧と向かい合う位置の共通電圧との間の階差を同じにするのに用いられる。
【0016】
そのうち、記憶装置は、共通電極における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数を保存し、グレースケール電圧補正装置は、電圧分布関数及び各画素電極の共通電極上の向かい合う位置の座標に基づいて、共通電圧の向かい合う位置の実電圧値を計算するとともに、実電圧に基づいて、各画素電極のグレースケール電圧の補正値を計算し、さらにグレースケール電圧の補正値に基づいて、各画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を補正する。
【0017】
そのうち、記憶装置は、ルックアップテーブルを保存し、ルックアップテーブルは、実電圧分布によって計算された各画素電極に対応するグレースケール電圧の補正値を備える。グレースケール電圧補正装置は、ルックアップテーブルに基づいて、各画素電極のグレースケール電圧の補正値を調べるとともに、さらにグレースケール電圧の補正値に基づいて、各画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を補正する。
【0018】
そのうち、ルックアップテーブルは、複数の隣り合う画素電極のグレースケール電圧の補正値を平均して取得された平均グレースケール電圧の補正値を備える。グレースケール電圧補正装置は、平均グレースケール電圧補正値に基づいて、複数の隣り合う画素電極の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を補正する。
【発明の効果】
【0019】
上述の技術案により、本発明の実施例は、実電圧分布に基づいて、各画素電極の正極性と負極性のグレースケール電圧をそれぞれ補正し、同じグレースケール値に対して、補正後の正極性グレースケール電圧と共通電圧との階差を、補正後の負極性グレースケール電圧と共通電圧との階差と、同じにすることによって、液晶表示パネル表示時のフリッカー現象を防ぎ、表示效果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1におけるグレースケール電圧の補正方法の流れ図である。
図2】本発明の好ましい実施例における液晶表示パネルの構造の断面図である。
図3】本発明の実施例2におけるグレースケール電圧の補正方法の流れ図である。
図4】本発明における同じグレースケール方向の共通電圧と、正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧の画素電極に対応する位置の座標との関係を示した図である。
図5】本発明の実施例3におけるグレースケール電圧の補正方法の流れ図である。
図6】本発明の実施例4におけるグレースケール電圧の補正方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施例中の図と組み合わせて、本発明の実施例における技術案について、分かりやすく全て説明する。明らかな点として、本発明が以下に描写する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、本領域の一般の技術者が創造力を働かせずに取得した全てのその他の実施例は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【0022】
初めに、本発明は、図1に示す実施例1におけるグレースケール電圧の補正方法を提供し、前記補正方法は、図2に示す交流駆動方式を採用した液晶表示パネル20のグレースケール電圧を補正するのに用いられる。図2に示すように、液晶表示パネル20は、液晶層21と、カラーフィルタ基板22上に設置される共通電極221と、アレイ基板23上に設置される複数の画素電極231と、からなる。共通電極221と複数の画素電極231は、向かい合わせに設置され、共通電極221に共通電圧が印加され、複数の画素電極231にグレースケール電圧が印加される。グレースケール電圧は、正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を備えるため、グレースケール電圧の補正は、正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧の補正である。
【0023】
図1図2を参照する。本実施例のグレースケール電圧の補正方法は、以下の手順を備える。
【0024】
手順S11は、共通電極221における共通電圧の実電圧分布を取得する。
【0025】
手順S12は、実電圧分布に基づいて、各画素電極231の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧をそれぞれ補正することによって、同じグレースケール値に対して、各画素電極231上の補正後の正極性グレースケール電圧及び共通電極221における各画素電極231に向かい合う位置の共通電圧との間の階差と、各画素電極231上の補正後の負極性グレースケール電圧及び向かい合う位置の共通電圧との間の階差を、同じにする。
【0026】
補正後の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧は、向かい合う位置の共通電圧との間の階差とそれぞれ同じであることによって、液晶表示パネル20は対応して各グレースケールを表示する時、フリッカー現象が生じず、その表示效果が向上する。
【0027】
さらに、本発明は、図3に示す実施例2におけるグレースケール電圧の補正方法を提供する。実施例1に基づいて、説明する。そのうち手順S31〜33と手順S34は、実施例1の手順S11と手順S12に対応する。異なる点として、本実施例では、同じグレースケール方向上の位置点を選択して基準位置点とし、前記基準位置点が対応する正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧と、共通電圧との階差を参考値とすることによって、同じグレースケール方向上の基準位置点以外のその他の位置点のグレースケール電圧を補正する。
【0028】
図3を参照する。本実施例のグレースケール電圧の補正方法は、以下の手順を備える。
【0029】
手順S31は、共通電極221上で基準位置点Oを選択する。
【0030】
図4に示すように、横座標軸は、同じグレースケール方向上の共通電極221の位置点、座標xであり、縦座標軸は電圧vであり、曲線L1は、補正後の正極性グレースケール電圧を表し、曲線L2は、共通電極221上の共通電圧を表し、曲線L3は、補正後の正極性グレースケール電圧を表し、同じグレースケール値に対して、前記グレースケール値が対応するグレースケール方向に沿う共通電極221の中心点は、基準位置点Oであることが好ましい。
【0031】
手順S32では、基準位置点Oの共通電圧及び基準位置点Oと向かい合う基準画素電極上の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を調整することによって、基準画素電極が対応する最適な共通電圧、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を取得する。
【0032】
そのうち、液晶表示パネル20が表示される時、基準位置点Oに対応するグレースケール値は最適であり、基準位置点Oと向かい合う基準画素電極が対応するのは最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧である。
【0033】
手順S33では、基準位置点の共通電圧が最適な共通電圧である時、基準位置点以外のその他の位置点の共通電圧の実電圧値を確定する。
【0034】
手順S34では、共通電極221における基準画素電極以外のその他の画素電極に向かい合う位置の共通電圧の実電圧値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正し、さらにその他の画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する。
【0035】
図4に示すように、例えば基準位置点Oの最適な共通電圧はΔVP1であり、最適な正極性グレースケール電圧はΔVP2であり、最適な負極性グレースケール電圧はΔVP3であり、その他の位置点Aの共通電圧の実電圧値はΔVP4であり、基準位置点Oの最適な正極性グレースケール電圧ΔVP2と最適な共通電圧ΔVp1の階差は、最適な負極性グレースケール電圧ΔVP3と最適な共通電圧ΔVp1の階差と同じであり、ΔVP2−ΔVP1=ΔVP3−ΔVP1である。
【0036】
最適な正極性グレースケール電圧ΔVP2の補正電圧C(x)を大きくするまたは小さくするとともに、最適な負極性グレースケール電圧ΔVP3の補正電圧C(x)を大きくするまたは小さくすることによって、補正後の正極性グレースケール電圧を、ΔVP2±C(x)−ΔVP4=ΔVP3±C(x)−ΔVP4にできる。
【0037】
補正電圧C(x)と補正電圧C(x)を算出するため、本発明は、さらに図5に示す実施例3におけるグレースケール電圧の補正方法を提供する。実施例2の補正方法に基づいて説明する。共通電極221における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数がガウス関数である場合に適用される。
【0038】
図5を参照する。本実施例のグレースケール電圧の補正方法は、以下の手順を備える。
【0039】
手順S51では、共通電極221上で基準位置点Oを選択する。
【0040】
手順S52では、基準位置点Oの共通電圧及び基準位置点Oと向かい合う基準画素電極上の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を調整することによって、基準画素電極が対応する最適な共通電圧、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を取得する。
【0041】
手順S53では、基準位置点Oの共通電圧が最適な共通電圧の時、基準位置点O以外のその他の位置点の共通電圧の実電圧値を確定する。
【0042】
手順S54では、実電圧値に基づいて、共通電極221における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数を確定する。
【0043】
手順S55では、電圧分布関数及びその他の画素電極の共通電極221上の向かい合う位置の座標に基づいて、共通電圧の向かい合う位置の実電圧値を計算する。
【0044】
手順S56では、実電圧に基づいて、その他の各画素電極のグレースケール電圧の補正値を計算する。
【0045】
手順S57では、グレースケール電圧の補正値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正することによって、その他の画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する。
【0046】
仮に同じグレースケール値に対して、Vp(x)は正極性グレースケール電圧を表し、Vn(x)は負極性グレースケール電圧を表し、Cp(x)は正極性グレースケール電圧の補正電圧を表し、Cn(x)は負極性グレースケール電圧の補正電圧を表し、V'p(x)は補正後の正極性グレースケール電圧を表し、V'n(x)は補正後の負極性グレースケール電圧を表すとする。そのうちxはグレースケール方向に沿った任意の位置点の座標(基準位置点Oとその他の画素電極に対応する位置点を含む)を表すとすると、補正前後の関係式5−1、
【数1】

と関係式5−2、
【数2】
を取得することができる。




【0047】
同じ位置点の表示輝度を同じに保つため、正極性グレースケール電圧の補正電圧と負極性グレースケール電圧の補正電圧は同じであり、関係式
【数3】
を取得することができる。
【0048】
そのうち、C(x)は仮定数を表す。
【0049】
関係式5−3と、関係式5−1と関係式5−2を組み合わせることで、関係式
【数4】
を取得することができる。


【0050】
共通電極221における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数が、ガウス関数である時、各位置点の画素電極231が対応する最適な共通電圧も、基準位置点Oの画素電極231が対応する最適な共通電圧に対して、ガウス関数分布を呈する。よって、ガウス関数に基づき関係式
【数5】
を取得することができる。
【0051】
そのうち、μは、グレースケール方向に沿った基準位置点Oの座標を表し、Vcom(x)は、座標xの共通電圧を表し、Vcom(μ)は、座標μの共通電圧を表し、σは、ガウス分布値を表すとともに、液晶表示パネル20の特徴に基づき、Aはガウス係数である。
【0052】
関係式5−5と関係式5−4を組み合わせると、関係式
【数6】
を取得することができる。
【0053】
関係式5−6と関係式5−3を組み合わせることで、任意の位置点xの画素電極231が対応する正極性グレースケール電圧の補正電圧C(x)と負極性グレースケール電圧の補正電圧C(x)を取得する。
【0054】
共通電極221における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数がガウス関数ではない時、本発明はさらに図6に示す実施例4のグレースケール電圧の補正方法を提供する。実施例2の補正方法に基づいて説明することで、正極性グレースケール電圧の補正電圧C(x)と負極性グレースケール電圧の補正電圧C(x)を取得することができる。
【0055】
図6を参照する。本実施例のグレースケール電圧の補正方法は、以下の手順を備える。
【0056】
手順S61では、共通電極221上で基準位置点Oを選択する。
【0057】
手順S62では、基準位置点Oの共通電圧及び基準位置点Oと向かい合う基準画素電極上の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を調整することによって、基準画素電極が対応する最適な共通電圧、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を取得する。
【0058】
手順S63では、基準位置点Oの共通電圧が最適な共通電圧である時、基準位置点O以外のその他の位置点の共通電圧の実電圧値を確定する。
【0059】
手順S64では、その他の画素電極と共通電極221と向かい合う位置の共通電圧の実電圧値に基づいて、その他の各画素電極のグレースケール電圧補正値を計算する。
【0060】
手順S65では、ルックアップテーブル形式でグレースケール電圧の補正値を保存する。
【0061】
本実施例において、その他の画素電極中の複数の隣り合う画素電極231のグレースケール電圧補正値を平均することによって、平均グレースケール電圧補正値を取得するとともに、ルックアップテーブル形式で平均グレースケール電圧の補正値を保存することが好ましい。
【0062】
具体的には、関係式5−1〜関係式5−4を参照する。グレースケール方向上にN個の任意の位置点x(対応する画素電極231)を備えるとすると、k個の隣り合う画素電極231のグレースケール電圧補正値を平均することで、取得される平均グレースケール電圧補正値は、関係式
【数7】
となる。
【0063】
そのうち、
【数8】
である。
【0064】
手順S66では、グレースケール電圧の補正値に基づいて、最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正することによって、その他の画素電極が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する。
【0065】
本実施例は、平均グレースケール電圧補正値を利用して最適な正極性グレースケール電圧と最適な負極性グレースケール電圧を補正することによって、複数の隣り合う画素電極231が対応する補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧をそれぞれ取得する。
【0066】
関係式6−1に基づき、補正後の正極性グレースケール電圧である関係式
【数9】
と、補正後の負極性グレースケール電圧である関係式
【数10】
を取得することができる。
【0067】
指摘すべき点として、本実施例のグレースケール電圧の補正方法は、ルックアップテーブル形式でグレースケール電圧の補正値を保存する時、調べる必要のある補正後の正極性グレースケール電圧と補正後の負極性グレースケール電圧が対応する画素電極231の数を減らすことができる。
【0068】
最後に、本発明は、液晶表示パネルを提供する。再び図2を参照する。液晶表示パネル20は、上述に基づいて、さらに記憶装置24と、グレースケール電圧補正装置25と、を備える。そのうち、記憶装置24は、共通電極221における共通電圧の実電圧分布を示すデータを保存するのに用いられ、グレースケール電圧補正装置25は、実電圧分布に基づいて、各画素電極231の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧をそれぞれ補正するのに用いられる。
【0069】
実施例において、図5に示すように実施例3の補正方法の時、記憶装置24は、共通電極221における座標変化に伴う共通電圧の電圧分布関数を保存し、グレースケール電圧補正装置25は、電圧分布関数及び各画素電極231の共通電極221上の向かい合う位置の座標に基づいて、共通電圧の向かい合う位置の実電圧値を計算するとともに、実電圧に基づいて、各画素電極231のグレースケール電圧補正値を計算する。さらにグレースケール電圧補正値に基づいて、各画素電極231の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を補正する。
【0070】
実施例において図6に示す実施例4の補正方法の時、記憶装置24は、ルックアップテーブルを保存し、ルックアップテーブルは、実電圧分布によって計算された各画素電極231に対応するグレースケール電圧補正値を備え、ルックアップテーブルは、複数の隣り合う画素電極231のグレースケール電圧補正値を平均して取得された平均グレースケール電圧補正値を備えることが好ましい。
【0071】
グレースケール電圧補正装置25は、ルックアップテーブルに基づいて、各画素電極231のグレースケール電圧補正値を調べるとともに、さらにグレースケール電圧補正値に基づいて、各画素電極231の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を補正する。グレースケール電圧補正装置25は、平均グレースケール電圧補正値に基づいて、複数の隣り合う画素電極231の正極性グレースケール電圧と負極性グレースケール電圧を補正することが好ましい。
【0072】
繰り返し説明するが、上述は、本発明の実施例に過ぎず、これによって本発明の特許請求の範囲が制限されるわけではなく、本発明の説明書及び図の内容を利用して行われた同等の構造または同等の工程の変更全て、例えば各実施例間の技術的な特徴を互いに交えたり、直接または間接的にその他の関連する技術領域で運用したりするなどはどれも同様に本発明の特許請求の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0073】
20 液晶表示パネル
21 液晶層
22 カラーフィルタ基板
23 アレイ基板
24 記憶装置
25 グレースケール電圧補正装置
221 共通電極
231 画素電極
O 基準位置点
図1
図2
図3
図4
図5
図6