特許第6661649号(P6661649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661649
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】フィルタ保持構造および部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-540416(P2017-540416)
(86)(22)【出願日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】JP2015076507
(87)【国際公開番号】WO2017046918
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2017年11月17日
【審判番号】不服2019-10277(P2019-10277/J1)
【審判請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】粟野 之也
【合議体】
【審判長】 平田 信勝
【審判官】 田村 嘉章
【審判官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−34410(JP,A)
【文献】 特開2002−301677(JP,A)
【文献】 特開2001−198872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルシャフトの先端部に吸着ノズルが着脱自在に装着される、部品吸着ヘッドにおいてフィルタを保持するフィルタ保持構造であって、
開口が前記ノズルシャフトの先端面に設けられ、フィルタ保持空間ならびに前記開口と前記フィルタ保持空間とをつなぐ通路が前記ノズルシャフトの先端部に設けられ、
前記開口の内径が前記フィルタの外径よりも広く設けられ、
前記フィルタ保持空間は、前記通路とつながる連通領域と、前記連通領域に対して前記通路の反対側で前記フィルタを保持可能に設けられた領域とを有し、
前記連通領域の内径が前記フィルタの外径よりも狭められ、前記通路の内径が前記開口から前記フィルタ保持空間に向かう圧入方向に進むにしたがって狭まられ、前記開口、前記通路および前記連通領域を介して前記フィルタの全部を前記フィルタを保持可能に設けられた前記領域に圧入可能となっており、
前記フィルタを保持可能に設けられた前記領域に圧入された前記フィルタが前記ノズルシャフトの先端部で保持されることを特徴とするフィルタ保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ保持構造であって、
前記吸着ノズルの後端部が前記ノズルシャフトの先端部に外嵌されて装着されるフィルタ保持構造。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ保持構造であって、
前記ノズルシャフトの先端部に対する前記吸着ノズルの後端部の外嵌方向において前記フィルタの長さが、前記ノズルシャフトの先端部に対する前記吸着ノズルの後端部の外嵌長さよりも短いフィルタ保持構造。
【請求項4】
ノズルシャフトの先端部に吸着ノズルが着脱自在に装着される部品吸着ヘッドで部品を保持し、基板に実装する部品実装装置であって、
開口が前記ノズルシャフトの先端面に設けられ、フィルタ保持空間ならびに前記開口と前記フィルタ保持空間とをつなぐ通路が前記ノズルシャフトの先端部に設けられ、
前記開口の内径がフィルタの外径よりも広く設けられ、
前記フィルタ保持空間は、前記通路とつながる連通領域と、前記連通領域に対して前記通路の反対側で前記フィルタを保持可能に設けられた領域とを有し、
前記連通領域の内径が前記フィルタの外径よりも狭められ、前記通路の内径が前記開口から前記フィルタ保持空間に向かう圧入方向に進むにしたがって狭まられ、前記開口、前記通路および前記連通領域を介して前記フィルタの全部を前記フィルタを保持可能に設けられた前記領域に圧入可能となっており、
前記フィルタを保持可能に設けられた前記領域に圧入された前記フィルタが前記ノズルシャフトの先端部で保持されることを特徴とする部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品を吸着する部品吸着ヘッドの内部でフィルタを保持するフィルタ保持構造および当該フィルタ保持構造を有する部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダーなどの部品供給部から供給される部品を基板に実装する部品実装装置では、上記部品を部品供給部からピックアップし、基板に実装するために部品吸着ヘッドが用いられている。部品吸着ヘッドはノズルシャフトの先端部に吸着ノズルを装着したものであり、ノズルシャフトの内部に設けられる管路を介して吸着ノズルに負圧を与えることで吸着ノズルにより部品を吸着する。また、部品吸着ヘッドでは、異物除去のために、負圧経路上にフィルタが配置されている。例えば特許文献1に記載の装置では、上記ノズルシャフトに相当するノズルブロックの内部に、吸着ノズルに向かって吸引孔が延設されている。そして、円筒形状の保持体の内部にフィルタを固定してなるフィルタ部が吸引孔に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3878816号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、フィルタを保持体内に収納した状態でノズルブロックに装着する必要があり、これによって吸引孔の内径が広くなっている。このため、吸引孔の延設方向に対して直交する方向においてノズルブロックの大型化、延いては部品吸着ノズルの大型化は避けられず、複数の部品吸着ヘッドを並設する際のヘッド間隔が広がってしまう。これが部品実装装置の稼働効率を低下させる主要因のひとつとなっていた。
【0005】
また、上記従来技術では、保持体の外周にねじ部が設けられており、当該ねじ部を吸引孔に設けられた内ねじに螺合させることでフィルタ部をノズルブロックに装着している。このため、ノズルブロックへのフィルタの装着には、保持体へのフィルタの挿入、リング部材によるフィルタの固定、ノズルブロックへのフィルタ部(保持体+フィルタ+リング部材)の装着との3段階の装着作業を行う必要があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品吸着ノズルの大型化を回避しつつ部品吸着ノズルへのフィルタ装着が簡易となるフィルタ保持構造、ならびに当該フィルタ保持構造を有する部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様は、ノズルシャフトの先端部に吸着ノズルが着脱自在に装着される、部品吸着ヘッドにおいてフィルタを保持するフィルタ保持構造であって、開口がノズルシャフトの先端面に設けられ、フィルタ保持空間ならびに開口とフィルタ保持空間とをつなぐ通路がノズルシャフトの先端部に設けられ、開口の内径がフィルタの外径よりも広く設けられ、フィルタ保持空間は、通路とつながる連通領域と、連通領域に対して通路の反対側でフィルタを保持可能に設けられた領域とを有し、連通領域の内径がフィルタの外径よりも狭められ、通路の内径が開口からフィルタ保持空間に向かう圧入方向に進むにしたがって狭まられ、開口、通路および連通領域を介してフィルタの全部をフィルタを保持可能に設けられた領域に圧入可能となっており、フィルタを保持可能に設けられた領域に圧入されたフィルタがノズルシャフトの先端部で保持されることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の他の態様は、ノズルシャフトの先端部に吸着ノズルが着脱自在に装着される部品吸着ヘッドで部品を保持し、基板に実装する部品実装装置であって、口がノズルシャフトの先端面に設けられ、フィルタ保持空間ならびに開口とフィルタ保持空間とをつなぐ通路がノズルシャフトの先端部に設けられ、開口の内径がフィルタの外径よりも広く設けられ、フィルタ保持空間は、通路とつながる連通領域と、連通領域に対して通路の反対側でフィルタを保持可能に設けられた領域とを有し、連通領域の内径がフィルタの外径よりも狭められ、通路の内径が開口からフィルタ保持空間に向かう圧入方向に進むにしたがって狭まられ、開口、通路および連通領域を介してフィルタの全部をフィルタを保持可能に設けられた領域に圧入可能となっており、フィルタを保持可能に設けられた領域に圧入されたフィルタがノズルシャフトの先端部で保持されることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、吸着ノズルはノズルシャフトの先端部に着脱自在に装着され、ノズルシャフトの先端部に設けられた開口を介してフィルタ保持空間に連通されている。そして、当該フィルタ保持空間にフィルタが単体で収容されている。しかも、フィルタ保持空間の開口とつながる連通領域がフィルタの吸着ノズル側の端面よりも狭められている。このため、上記開口からフィルタが抜け落ちることなく、フィルタをしっかりと保持することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明では、フィルタ単体をノズルシャフトの先端部に直接装着し、確実に保持することができるため、フィルタ装着が簡易なものとなっている。また、フィルタ装着に伴うノズルシャフトの大径化を防止することができ、その結果、フィルタ装着に伴う部品吸着ヘッドの大型化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかる部品実装装置の第1実施形態を示す平面図である。
図2図1に示す部品実装装置の正面図である。
図3】吸着ノズルおよびノズルシャフトの構成を示す図である。
図4A】フィルタ供給部の構成を示す図である。
図4B】フィルタ供給部の部分断面図である。
図5】フィルタ着脱部およびフィルタ廃棄ボックスの構成を示す模式図である。
図6図1の部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。
図7図1の部品実装装置で実行されるフィルタ交換処理を示すフローチャートである。
図8】フィルタ取外工程を模式的に示す図である。
図9】フィルタ供給工程を模式的に示す図である。
図10】フィルタ装着工程を模式的に示す図である。
図11】本発明にかかる部品実装装置の第2実施形態において装備されるフィルタ着脱部の構成を示す図である。
図12】本発明にかかる部品実装装置の第3実施形態において装備されるフィルタ供給部の構成を示す図である。
図13】本発明にかかる部品実装装置の第4実施形態において装備されるフィルタ供給部の構成を示す図である。
図14】本発明にかかる部品実装装置の第5実施形態において装備されるフィルタ供給部の構成を示す図である。
図15】本発明にかかる部品実装装置の第6実施形態におけるノズルシャフトの先端部およびフィルタの構造を模式的に示す図である。
図16】本発明にかかる部品実装装置の第6実施形態に装備されるフィルタ供給装着部の構成を示す図である。
図17図16のフィルタ供給部によるフィルタ供給装着動作を模式的に示す図である。
図18】本発明にかかる部品実装装置の第7実施形態を示す平面図である。
図19A図18の部品実装装置で装備されるフィルタ交換装置の全体構成を示す図である。
図19B図19Aのフィルタ交換装置の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.第1実施形態
図1は本発明にかかる部品実装装置の第1実施形態を示す平面図である。また、図2図1に示す部品実装装置の正面図である。この部品実装装置100は、図1および図2に示すように、基台1と、基台1上に配置されX方向に基板110を搬送する基板搬送機構部2と、部品を供給する部品供給部41が着脱自在に装着された部品収容部4a、4bと、部品実装用のヘッドユニット5とを備えている。
【0013】
基板搬送機構部2は、基板110の搬送方向(X方向)に延びる一対のコンベア2aを有している。一対のコンベア2aは、X1方向側から基板110を受け入れて所定の実装作業位置に搬送するとともに、実装作業後に、作業済みの基板110をX2方向側に搬出するように構成されている。
【0014】
部品収容部4a、4bは、基板搬送機構部2の前方側(Y2方向側)において互いにX方向に離間して配置されている。これらの部品収容部4a、4bでは、複数の部品供給部41が設けられている。本実施形態では、部品供給部の一例として、IC、トランジスタおよびコンデンサ等のチップ部品を収納したテープフィーダー41が用いられており、各部品収容部4a、4bにおいて複数のテープフィーダー41が基板搬送機構部2に沿ってX方向に配列されている。そして、部品収容部4a、4bにおいて各テープフィーダー41は、間欠的にテープを繰り出しながらチップ部品を基板搬送機構部2近傍の所定の部品供給位置41aに供給するように構成されている。なお、これらのテープフィーダー41は作業者などにより各部品収容部4a、4bへの装着位置を適宜変更可能となっている。
【0015】
ヘッドユニット5は、後述する吸着ノズル51を介して部品収容部4a、4bから供給される部品を吸着して基板110に実装する機能を有している。ヘッドユニット5は、基板110の搬送方向(X方向)および前後方向(Y方向)に移動可能に構成されている。具体的には、ヘッドユニット5は、X方向に延びるユニット支持部材6によりX方向に移動可能に支持されている。また、ヘッドユニット5は、X軸モーター7aによりボールねじ軸7bが回動されることによってX方向に移動される。ユニット支持部材6は、Y方向に延びる一対の固定レール1bを介して、一対の高架フレーム1aによりY方向に移動可能に支持されている。ユニット支持部材6は、Y軸モーター8aによりボールねじ軸8bが回動されることによってY方向に移動される。
【0016】
また、ヘッドユニット5は、部品吸着用の吸着ノズル51の後端部がノズルシャフト52の先端部に着脱自在に装着された部品吸着ヘッド53を複数個備えている。各部品吸着ヘッド53は、Z軸モーター5a(図6)により昇降(Z方向の移動)可能であるとともに、R軸モーター5b(図6)により吸着ノズル51の中心を通る鉛直軸線を回動中心としてR方向に回動可能に構成されている。部品吸着ヘッド53は、6個設けられており、3個ずつ前後の2列で配列されている。また、吸着ノズル51は、各部品吸着ヘッド53に1つずつ取り付けられており、部品吸着ヘッド53と同様に、3個ずつ前後の2列で配列されている。すなわち、6個の吸着ノズル51は、図1に示すように、3個ずつY方向にずれた状態で配置されている。
【0017】
図3は吸着ノズルおよびノズルシャフトの構成を示す図である。同図では、ノズルシャフト52に吸着ノズル51が装着された状態が同図の(a)欄に記載され、吸着ノズル51がノズルシャフト52から取り外された状態が同図の(b)欄に記載され、ノズルシャフト52からフィルタ54が取り外された状態が同図の(c)欄に記載されている。吸着ノズル51は、ノズルシャフト52の先端部に対して外嵌されるノズルホルダ511と、このノズルホルダ511の先端部に対して上下方向に移動自在に保持されるノズル本体512と、ノズル本体512を下方(ノズルホルダ511から突出する方向)に付勢するための圧縮コイルばね513とを有している。ノズルホルダ511およびノズル本体512には、上下方向に貫通して管路がそれぞれ設けられている。そして、ノズルホルダ511がノズルシャフト52の先端部に長さL1だけ外嵌されると、上記管路がノズルシャフト52において上下方向に延設された管路521と連通され、圧縮エアを吸着ノズル51の先端部に与えて部品や圧縮済フィルタ等に吹き付ける吹付経路および負圧を吸着ノズル51の先端部に吸引力を与える吸引経路およびを形成する。
【0018】
上記したように正圧および負圧を吸着ノズル51に与えるために、部品吸着ヘッド53ごとに、次に説明する切替バルブが設けられている。すなわち、図2に示すように、各部品吸着ヘッド53のノズルシャフト52は配管31aにより負圧/正圧切替バルブ32と接続されている。この負圧/正圧切替バルブ32に対しては、上記配管31a以外に配管31b、31cが接続されている。これらのうち配管31bは、真空ポンプなどにより構成される負圧発生装置33に接続されている。このため、装置全体を制御する制御ユニット8から負圧/正圧切替バルブ32に与えられる切替信号が負圧レベルに設定されている間、負圧/正圧切替バルブ32は配管31aを配管31bのみと接続する。これによって、配管31a、負圧/正圧切替バルブ32、配管31b、ノズルシャフト52の管路521で構成される吸引経路を介して吸着ノズル51に負圧が供給される。一方、上記切替信号が正圧レベルに切り替わると、負圧/正圧切替バルブ32は配管31aの接続先を配管31bから配管31cに切り替える。なお、配管31aには圧力センサ37が取り付けられ、ノズルシャフト52の管路521に与えられる圧力を検知し、制御ユニット8に出力する。
【0019】
配管31cは圧力切替バルブ34に接続されている。この圧力切替バルブ34に対しては、上記配管31c以外に配管31d、31eが接続されている。これらのうち配管31dはコンプレッサなどにより構成される正圧発生装置35に直接接続され、正圧発生装置35で発生した比較的高い圧力を有する圧縮エアを供給する。もう一方の配管31eは配管31dから分岐した分岐配管であり、その中間部にレギュレータ36が介挿されている。このレギュレータ36は、配管31d、31eを介して流入してくる圧縮エアの圧力を部品装着処理に適した圧力に減圧する機能を有している。そして、レギュレータ36により低圧に調圧されたエアは配管31eにより圧力切替バルブ34に向けて供給される。
【0020】
圧力切替バルブ34は制御ユニット8からの切替信号に応じて上記配管31cと配管31d、31eとの接続状態を切り替える。より詳しくは、切替信号が「高圧」レベルとなっている間、圧力切替バルブ34は、配管31dが配管31cと接続された状態、つまり「高圧接続状態」に切り替える。一方、上記切替信号が「低圧」レベルに切り替わると、圧力切替バルブ34は配管31cの接続先を配管31dから配管31eに切り替える。つまり、配管31eが配管31cと接続された「低圧接続状態」に切り替える。したがって、負圧/正圧切替バルブ32が正圧供給側に切り替わっている間に、配管31c、負圧/正圧切替バルブ32および配管31aを介して正圧が吸着ノズル51に供給される。しかも、圧力切替バルブ34による接続状態の切替によって吸着ノズル51に供給されるエアの圧力を2種類に調整することが可能となっており、それらの正圧が配管31c、負圧/正圧切替バルブ32、ノズルシャフト52の管路521で構成される吹付経路を介して吸着ノズル51に圧縮エアが供給される。
【0021】
上記のように構成された吸着ノズル51はノズルシャフト52の先端部に対して着脱自在となっており、吸着ノズル51が取り外されると、ノズルシャフト52の先端面に形成される開口522を介してノズルシャフト52のフィルタ保持空間523が外部と連通される。また、この開口522は、吸着ノズル51がノズルシャフト52に装着されたときには、吸着ノズル51のノズルホルダ511とフィルタ保持空間523とを連通させる機能を果たす。
【0022】
また、開口522はZ方向に延びる通路525を介してフィルタ保持空間523と連通している。本実施形態では、開口522の内径D1をフィルタ54の外径D2よりも若干広く設定しているが、フィルタ保持空間523側に進むにしたがって上記通路525の内径は細くなっている。また、当該通路525を介してフィルタ保持空間523の連通領域523aが開口522とつながっているが、本実施形態では当該連通領域523aの内径D3がフィルタ54の外径D2よりも若干狭くなるように設定している。このため、後述するようにフィルタ54の後端部(Z1側端部)をノズルシャフト52の先端部に当接させ、さらにフィルタ54の先端面541をフィルタ着脱部の円筒部材で上方向(Z1方向)に押圧することで、開口522を介してフィルタ54をフィルタ保持空間523に圧入してフィルタ保持空間523で保持可能となっている。特に、本実施形態では、連通領域523aから先端側(Z2方向側)を見ると、通路525および開口522はラッパ状に広がっており、フィルタ54の圧入が容易となっている。なお、フィルタ54を圧入してフィルタ保持空間523に保持させるためには、フィルタ54が弾性変形する範囲、つまり弾性限界の範囲に保つ必要がある。したがって、圧入時にフィルタ54に与えられる応力が弾性限界以下となるように、連通領域523aの内径D3とフィルタ54の外径D2との差(=D2−D3)を設定するのが望ましい。
【0023】
一方、圧入後においては、フィルタ54の下面周縁部がノズルシャフト52の先端部のうち連通領域523aを取り囲む領域で係止され、正圧が供給された際もフィルタ54はしっかりとフィルタ保持空間523で保持される。また、フィルタ保持空間523のZ1方向側においても、管路521とつながる連通領域523bの内径D4がフィルタ54の外径D2よりも若干狭くなっている。このため、フィルタ54の上面周縁部がノズルシャフト52の先端部のうち連通領域523bを取り囲む領域で係止され、負圧が供給された際もフィルタ54はしっかりとフィルタ保持空間523で保持される。
【0024】
また、本実施形態では、図3の(a)欄に示すように、上下方向Zにおいてフィルタ保持空間523がノズルシャフト52に対する吸着ノズル51の外嵌領域(長さL1の範囲)内に設けられており、フィルタ保持空間523で保持されるフィルタ54も外嵌領域内に位置する。このようにノズルシャフト52に対して吸着ノズル51を着脱するための外嵌領域を利用してフィルタ54が配置される。その結果、その内部にフィルタ54を設けることに伴う部品吸着ヘッド53の長尺化を効果的に防止することができる。というのも、部品吸着ヘッド53の長さはフィルタの保持位置の影響を受けるからである。例えば特許文献1に記載の装置では、吸着ノズルをノズルブロック(本実施形態のノズルシャフトに相当)に装着するための領域(クランプ部材を配設した領域)から離れた位置でフィルタを保持しているため、フィルタを保持するための領域を別途確保する必要があり、その分だけ部品吸着ヘッドが長くなってしまう。これに対し、本実施形態では、フィルタ54を保持するための領域と、ノズルシャフト52に対して吸着ノズル51を着脱するための領域(外嵌領域)とが部品吸着ヘッド53の延設方向Zにおいて完全に重複しているため、部品吸着ヘッド53の短縮化が可能となっている。
【0025】
このように本実施形態では、フィルタ保持空間523にフィルタ54が圧入され、当該フィルタ保持空間523で保持するというフィルタ保持構造が部品吸着ヘッド53に採用されている。そして、図1に示すように、ノズルシャフト52の先端部に対する吸着ノズル51の着脱を行って吸着ノズル51の交換を行うノズル交換部60に隣接して、当該フィルタ54を供給するためのフィルタ供給部62が設けられている。また、フィルタ供給部62から供給されたフィルタ54をノズルシャフト52に装着し、またノズルシャフト52から使用済のフィルタ54を取り外すために、フィルタ着脱部64がフィルタ供給部62に隣接して設けられている。さらに、フィルタ着脱部64によって取り外された使用済フィルタ54を廃棄するためのフィルタ廃棄ボックス66がフィルタ着脱部64に隣接して設けられている。なお、本実施形態では、図1に示すように、ノズル交換部60、フィルタ供給部62、フィルタ着脱部64およびフィルタ廃棄ボックス66がこの順序でX1方向に並設されているが、これらの配置については任意である。
【0026】
図4Aはフィルタ供給部の構成を示す図であり、図4Bはフィルタ供給部の部分断面図である。フィルタ供給部62では、供給本体621に対してフィルタ供給ケース622が着脱自在に装着されている。このフィルタ供給ケース622は複数のフィルタ54を一列に配列した状態で収容しており、正圧発生装置35からの圧縮エアによる高圧ブローを受けたフィルタ54をフィルタ供給位置623に案内可能となっている。なお、図4A中の符号624は開閉バルブであり、制御ユニット8からの開指令に応じて開成することで圧縮エアをフィルタ供給ケース622のZ2側端部に供給して高圧ブローを行い、閉指令に応じて閉成することで高圧ブローを停止する。これによって、フィルタ54のZ1方向への送込および送込停止を切り替える。
【0027】
フィルタ供給位置623のY2側には、図4Bに示すように、エアシリンダ625およびフィルタ位置決め部材626が配置されている。フィルタ位置決め部材626はエアシリンダ625のピストン(図示省略)と連結されており、制御ユニット8からの移動指令に応じてエアシリンダ625が作動することによってY方向に移動し、フィルタ供給位置623に対して進退移動する。ここで、エアシリンダ625としては種々のタイプを用いることができ、例えば後で説明する第7実施形態で使用されている複動型のエアシリンダを用いてもよい。また、フィルタ位置決め部材626がフィルタ供給位置623に移動すると、高圧ブローによってZ1方向に送り込まれるフィルタ54を係止し、それ以上の上昇移動を規制し、上下方向Zにおいてフィルタ54を位置決めする。このとき、フィルタ供給ケース622に収容されたフィルタ54のうち最上位に位置するフィルタ54が後で説明するように高圧ブローによってノズルシャフト52に圧入される。ただし、高圧ブローのみによりフィルタ54全体をノズルシャフト52のフィルタ保持空間523に圧入することが困難であり、しかも、この時点ではフィルタ位置決め部材626の先端がフィルタ保持空間523に存在しているため、フィルタ54の後端部(Z1側端部)のみがノズルシャフト52に圧入されて保持される(以下、この保持を「部分保持」という)。一方、フィルタ位置決め部材626がフィルタ供給位置623から後退すると、フィルタ54に対する規制がなくなり、フィルタ54の移動が可能となる。なお、図4Aおよび図4B中の符号524はノズルシャフト52の先端部の側面に形成されたフィルタ排出用の開口であり、符号627はフィルタ保持空間523におけるフィルタ位置決め部材626の先端位置を規定するためのストッパーである。
【0028】
図5はフィルタ着脱部およびフィルタ廃棄ボックスの構成を示す模式図である。フィルタ着脱部64では、ベース部材641の上面からZ1方向に円筒部材642が突設されている。この円筒部材642の外径は連通領域523aの内径D3(図3)よりも若干小さく、連通領域523aを介して円筒部材642のZ1方向側の端部がフィルタ保持空間523に進入可能となっている。例えばフィルタ54を部分保持した状態のノズルシャフト52が円筒部材642の直上位置に位置決めされた状態で、ノズルシャフト52がZ2方向に下降すると、フィルタ54の先端面541が円筒部材642の頂部に当接する。そして、さらなるノズルシャフト52の下降によってフィルタ54が円筒部材642によってZ1方向に押し付けられてフィルタ保持空間523に圧入される。このように円筒部材642はフィルタ54を押し付ける部材、つまり「押し付け部材」として機能し、この円筒部材642を用いてフィルタ着脱部64は本発明の「フィルタ装着部」として機能する。
【0029】
また、円筒部材642はフィルタ保持空間523で保持されているフィルタ54を押し潰す部材、つまり「押し潰し部材」としても機能し、この円筒部材642を用いてフィルタ着脱部64は本発明の「フィルタ取外部」としても機能する。すなわち、フィルタ54を保持した状態のノズルシャフト52が円筒部材642の直上位置に位置決めされた状態で、ノズルシャフト52がZ2方向に下降すると、連通領域523aを介して円筒部材642がフィルタ保持空間523に進入する。これによって、フィルタ保持空間523内でフィルタ54が塑性変形される、具体的には上下方向Zに押し潰され、圧縮される。なお、こうして圧縮されたフィルタ54はフィルタ保持空間523よりも大幅に小型化され、ノズルシャフト52の管路521に高圧の圧縮エアを供給して高圧ブローすることによって圧縮済フィルタ54がフィルタ排出用開口524を介してフィルタ廃棄ボックス66に廃棄される。
【0030】
フィルタ廃棄ボックス66は、図5に示すように、回収用の開口661をフィルタ着脱部64に向けて設けられ、高圧ブローによってフィルタ保持空間523から排出された圧縮済フィルタ54を回収用開口661を介して受け取る。なお、本実施形態では、フィルタ廃棄ボックス66は、回収した圧縮済フィルタ54を内部で貯留するように構成されているが、後で説明する第7実施形態で採用しているように負圧をフィルタ廃棄ボックス66の内部に与えて回収した圧縮済フィルタ54を別の廃棄ボックスに自動搬送するように構成してもよい。
【0031】
図1に戻って部品実装装置100の構成説明を続ける。部品実装装置100には、ヘッドユニット5により吸着された部品を撮像する部品撮像ユニット9が設けられている。部品撮像ユニット9は、ヘッドユニット5により部品収容部4a、4bから取り出されて各吸着ノズル51に保持された部品の保持状態を認識する機能を有している。この部品撮像ユニット9は、基台1上に設けられており、本実施形態では平面視で部品収容部4a、4bの間において、各テープフィーダー41のX方向に1列に並ぶ部品供給位置41aと同じY方向位置に配置されている。部品撮像ユニット9は、ヘッドユニット5により吸着された部品をその下方から撮像するように構成されている。
【0032】
さらに、ヘッドユニット5のX2方向側には、基板撮像ユニット10が固定されており、ヘッドユニット5がX軸方向およびY軸方向に移動することで任意の位置で基板110の上方から撮像可能となっている。そして、基板撮像ユニット10は、実装作業位置上にある基板110に付された複数のフィデューシャルマークを撮像して基板位置、基板方向を画像認識する。
【0033】
図6図1の部品実装装置の電気的構成を示すブロック図である。この部品実装装置100全体を制御する制御ユニット8は、CPU(= Central Processing Unit)やRAM(=Random Access Memory)等を有するコンピューターにより構成される主制御部81を有しており、主制御部81は記憶部82に記憶されているプログラムやデータに基づいてバス83を介して制御ユニット8の各部と互いに信号のやり取りを行って、部品実装装置100全体を制御する。すなわち、記憶部82に記憶されたプログラム821は主制御部81によって読み出される。そして、主制御部81がこのプログラム821に従って駆動制御部84、画像処理部85および入出力制御部86を制御することで、基板110に対して順番に部品実装が実行されて、実装基板が生産される。また、フィルタ54の交換が必要となると、上記プログラム821に基づき次に説明するフィルタ交換処理を実行する。なお、図6中の符号68は、主制御部81が部品実装やフィルタ交換に関連する各種情報を表示したり、ユーザが主制御部81に対して各種データや指令などの情報を入力するための表示/操作ユニットである。特に、本実施形態では、次に説明するように、フィルタ交換が必要となるタイミングでフィルタ交換を提案するメッセージが表示/操作ユニット68に表示される。
【0034】
図7図1の部品実装装置で実行されるフィルタ交換処理を示すフローチャートである。上記部品実装装置100の稼働状況に応じてフィルタ54を適切なタイミングで交換するのが望ましい。そこで、部品実装装置100では、制御ユニット8がプログラム821に基づき装置各部を以下のように制御してフィルタ交換処理を実行する。以下、図7ないし図10を参照しつつフィルタ交換処理の内容について説明する。
【0035】
制御ユニット8は適当なタイミング、例えば電源投入直後や一定の稼働時間経過時点でフィルタ54の汚れ、つまり目詰まり状態をチェックする(ステップS1)。例えば各部品吸着ヘッド53に正圧あるいは負圧を印加するとともに圧力センサ37で計測される圧力値が適正な範囲にあるか否かに基づきフィルタ54の汚れを検出してもよい。また、各部品吸着ヘッド53で部品吸着を行った回数が一定値に達した時点でフィルタ54の汚れがチェックしてもよい。
【0036】
制御ユニット8は、次のステップS2でフィルタ54が汚れていないと判定すると、フィルタ交換処理を終了し、通常の部品実装動作に移行する。一方、ステップS2でフィルタ54の汚れが進行している、あるいは進行している可能性が高いと判定すると、制御ユニット8は表示/操作ユニット68にフィルタ交換を提案するメッセージを表示する(ステップS3)。また、制御ユニット8は上記メッセージとともにフィルタ交換の実行ボタンおよびキャンセルボタンを表示してユーザ選択を促す。ここで、ユーザが表示/操作ユニット68に表示されたキャンセルボタンをタッチする(ステップS4で「NO」)と、フィルタ交換処理を終了し、通常の部品実装動作に移行する。一方、ユーザが表示/操作ユニット68に表示された交換実行ボタンをタッチする(ステップS4で「YES」)と、ヘッドユニット5をノズル交換部60に移動させる。そして、制御ユニット8はノズル交換部60に取り外し指令を与える。この指令を受けて、ノズル交換部60はフィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53に装着している吸着ノズル51を取り外して、ノズルシャフト52の先端部を露出させる(ステップS5)。さらに、制御ユニット8はフィルタ取外工程(ステップS6)、フィルタ供給工程(ステップS7)およびフィルタ装着工程(ステップS8)を実行してフィルタ54の自動交換を行う。
【0037】
図8はフィルタ取外工程を模式的に示す図である。なお、以下の説明では、ヘッドユニット5に装備された6本の部品吸着ヘッド53のうち一の部品吸着ヘッド53についてのみフィルタ交換が必要となったケースに絞って説明するが、一度に複数本の部品吸着ヘッド53についてフィルタ交換する場合も基本動作は同じである。
【0038】
このフィルタ取外工程(ステップS6)では、ヘッドユニット5がノズル交換部60からフィルタ着脱部64に向けて移動し、フィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53(ノズルシャフト52の先端部が露出した部品吸着ヘッド53)をフィルタ取外位置の上方に位置決めする(ステップS61)。より詳しくは、図8の(a)欄に示すように、円筒部材642の鉛直上方にフィルタ保持空間523の連通領域523aが位置決めされる。
【0039】
これに続いて、当該部品吸着ヘッド53が下降してノズルシャフト52の先端部を押潰位置に移動させ、これによって図8の(b)欄に示すように連通領域523aを介して円筒部材642がフィルタ保持空間523に進入する(ステップS62)。この状態での部品吸着ヘッド53の高さ位置が押潰位置であり、当該押潰位置への移動によって、フィルタ54は円筒部材642によって上下方向Zに押し潰され、上下方向Zにおける寸法が排出用開口524よりも短い、コンパクトな形状に圧縮される。
【0040】
フィルタ54の押潰が完了すると、部品吸着ヘッド53は上昇して押潰位置から離れ、排出用開口524がフィルタ廃棄ボックス66の回収用開口661と対向する位置、つまり排出位置に位置決めされる(ステップS63)。そして、この排出位置に部品吸着ヘッド53を位置させたまま、ノズルシャフト52の管路521に高圧の圧縮エアが供給される。これにより圧縮済フィルタ54が高圧ブローされ、フィルタ排出用開口524を介してフィルタ廃棄ボックス66に排出される(ステップS64)。こうして部品吸着ヘッド53からのフィルタ54の廃棄が完了すると、部品吸着ヘッド53はさらに上昇してフィルタ取外工程(ステップS6)を終了し、次のフィルタ供給工程(ステップS7)が実行される。
【0041】
図9はフィルタ供給工程を模式的に示す図である。このフィルタ供給工程(ステップS7)では、図9の(a)欄に示すように、ヘッドユニット5がフィルタ着脱部64からフィルタ供給部62に向けて移動し、フィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53をフィルタ供給位置623の上方に位置決めする(ステップS71)。この時点では、位置決め部材627はフィルタ供給位置623から退避している。これに続いて、当該部品吸着ヘッド53が下降し、ノズルシャフト52の開口522をフィルタ供給ケース622の上端開口に近接して対向配置させる(ステップS72)。こうして上記部品吸着ヘッド53は開口522を介して新品のフィルタ54を受け取り可能となる。この状態での部品吸着ヘッド53の高さ位置が受取位置である。なお、受取位置に位置決めした際に、ノズルシャフト52は、フィルタ排出用開口524を介してフィルタ保持空間523がフィルタ位置決め部材626に向いた状態に調整される。
【0042】
また、受取位置への部品吸着ヘッド53の移動が完了すると、図9の(b)欄に示すように、エアシリンダ625が作動してピストンを前進させる。これに伴い、フィルタ位置決め部材626の先端部がフィルタ排出用開口524を介してフィルタ保持空間523に挿入される(ステップS73)。
【0043】
次に、挿入状態のまま、制御ユニット8からの開指令に応じて開閉バルブ624が開き、フィルタ供給ケース622の下端開口に高圧の圧縮エアが供給される。これによりフィルタ供給ケース622に収容されているフィルタ54が下方側から高圧ブローされ、図9の(c)欄に示すように、収容された全フィルタ54が上方に送られる(ステップS74)。これらのフィルタ54のうちフィルタ供給位置623に最も近い、つまり最上位のフィルタ54は開口522および連通領域523aを介してフィルタ保持空間523に送り込まれ、圧入される。このとき、フィルタ保持空間523にフィルタ位置決め部材626が事前に存在しているため、最上位のフィルタ54は部分保持される。
【0044】
こうしてフィルタ54の部分保持が完了すると、制御ユニット8からの閉指令に応じて開閉バルブ624が閉じ、圧縮エアの供給が停止される。それに続いて、図9の(d)欄に示すように、エアシリンダ625がピストンを後退させる。これに伴い、フィルタ位置決め部材626の先端部がフィルタ保持空間523からフィルタ排出用開口524を経由してノズルシャフト52より退避する(ステップS75)。これにより、部品吸着ヘッド53の移動が可能となる。
【0045】
こうして部品吸着ヘッド53によるフィルタ54の部分保持が行われ、ノズルシャフト52の先端部へのフィルタ54の供給が完了すると、当該フィルタ54の全部をフィルタ保持空間523に圧入するために、次のフィルタ装着工程(ステップS8)が実行される。
【0046】
図10はフィルタ装着工程を模式的に示す図である。このフィルタ装着工程(ステップS8)では、ヘッドユニット5がフィルタ供給部62から再びフィルタ着脱部64に向けて移動し、新しいフィルタ54を部分保持している部品吸着ヘッド53をフィルタ装着位置(なお、本実施形態では、フィルタ取外位置と一致する)の上方に位置決めする(ステップS81)。より詳しくは、円筒部材642の鉛直上方に部分保持状態のフィルタ54の先端面541が位置決めされる。
【0047】
これに続いて、当該部品吸着ヘッド53が下降し始める(ステップS82)。すると、部品吸着ヘッド53がある程度下降した時点で、図10の(a)欄に示すように、フィルタ54の先端面541が円筒部材642の頂部に当接する。そして、さらなる部品吸着ヘッド53の下降によって円筒部材642の頂部がフィルタ54を上方向Z1に押し付け、フィルタ54をフィルタ保持空間523に圧入し、保持させる(図10の(b)欄)。そして、ステップS83で制御ユニット8がフィルタ保持空間523へのフィルタ54の装着が完了したことを確認する(ステップS83で「YES」)と、制御ユニット8から停止指令により部品吸着ヘッド53の下降が停止され、それに続いて制御ユニット8から上昇指令により部品吸着ヘッド53はフィルタ保持空間523内でフィルタ54を保持したまま上昇し(図10の(c)欄)、フィルタ装着工程を終了する。
【0048】
こうしてフィルタ54の自動交換が完了すると、ヘッドユニット5がフィルタ着脱部64からノズル交換部60に移動する。そして、上記自動交換によって新たなフィルタ54を装着してなる部品吸着ヘッド53の先端部に吸着ノズル51が装着されて(ステップS9)、フィルタ交換処理を終了する。なお、その後は、新品のフィルタ54および吸着ノズル51を装備する部品吸着ヘッド53によって部品実装が実行される。
【0049】
以上のように、本発明の第1実施形態では、ノズルシャフト52の先端部にフィルタ保持空間523が設けられ、当該フィルタ保持空間523にフィルタ54単体を圧入して装着している。このフィルタ保持空間523はノズルシャフト52の先端面に設けられた開口522を介して吸着ノズル51と連通されているが、フィルタ保持空間523のうち開口522とつながる連通領域523aはフィルタ54の吸着ノズル51側の端面、つまり先端面541よりも狭められているため、例えば図3の(b)欄に示すように吸着ノズル51を取り外した状態であっても、フィルタ54はフィルタ保持空間523にしっかりと保持され、ノズルシャフト52の先端部からの落下を確実に防止することができる。このように、本実施形態では、フィルタ54単体をノズルシャフト52の先端部に直接装着し、確実に保持することができるため、フィルタ装着が簡易なものとなっている。また、フィルタ装着に伴うノズルシャフト52の大径化を防止することができる。このことは、フィルタ装着に伴う部品吸着ヘッド53の大型化を回避し、ヘッドユニット5に数多くの部品吸着ヘッド53を配備することを可能とする。その結果、部品実装を効率的に行うことができる。
【0050】
また、上記実施形態では、フィルタ保持空間523内でフィルタ54単体が保持されており、そのフィルタ保持空間523内でフィルタ54を圧縮変形してフィルタ54の体積をフィルタ保持空間523の容積よりも小さし、高圧ブローによりフィルタ保持空間523から排出している。このようにノズルシャフト52からのフィルタ54の取外作業を簡便に行うことが可能となっている。
【0051】
また、上記実施形態では、フィルタ供給部62において、新品のフィルタ54の後端部をフィルタ保持空間523に挿入し、簡素な構成でノズルシャフト52の先端部へのフィルタ供給が可能となっている。しかも、フィルタ位置決め部材626の進退動作と、フィルタ供給ケース622への高圧ブロー動作とを組み合わせることでフィルタ供給ケース622からフィルタ54が1個ずつ供給され、フィルタ供給を確実に行うことができる。
【0052】
また、上記実施形態では、フィルタ保持空間523にフィルタ54を圧入して装着するように構成しているため、極めて簡素な作業によってノズルシャフト52にフィルタ54を装着することができる。
【0053】
また、部品実装装置100において、上記フィルタ取外工程を行う専用のフィルタ取外部と、上記フィルタ装着工程を行う専用のフィルタ装着装置とを個別に設けてもよい。しかしながら、上記実施形態のようにフィルタ取外工程およびフィルタ装着工程をフィルタ着脱部64で行うように構成している。このため、装置構成を簡素化することができる。
【0054】
また、上記実施形態では、フィルタ取外工程、フィルタ供給工程およびフィルタ装着工程の3つの工程を組み合わせてフィルタ54の交換を行っているが、いずれの工程も上記したように簡素な作業であり、これらを組み合わせることフィルタ54の自動交換が可能となっている。
【0055】
また、上記実施形態では、フィルタ54の交換が必要となり、ユーザから交換指示がある(ステップS4で「YES」)と、フィルタ54がで自動的に交換される。したがって、フィルタ交換をユーザの手作業により行わざるを得なかった従来の部品実装装置に比べ、フィルタ交換に要する時間を短縮し、部品実装の稼働効率を高めることができる。また、ユーザの手間を大幅に低減させることができ、ユーザフレンドリーな装置となっている。
【0056】
B.第2実施形態
図11は本発明にかかる部品実装装置の第2実施形態において装備されるフィルタ着脱部の構成を示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点はフィルタ着脱部64の構成とフィルタ54の取り外し方法であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。そこで、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
この第2実施形態では、円筒部材642に凹部643が設けられている。この凹部643では、図11に示すように、円筒部材642の頂部に倒立円錐台形状のピットが形成されている。そして、フィルタ取外工程は次のようにして実行される。
【0058】
まず、第1実施形態におけるフィルタ取外工程と同様に、ヘッドユニット5がノズル交換部60からフィルタ着脱部64に向けて移動し、フィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53(ノズルシャフト52の先端部が露出した部品吸着ヘッド53)をフィルタ取外位置の上方に位置決めする(図11の(a)欄参照)。
【0059】
これに続いて、当該部品吸着ヘッド53が下降してノズルシャフト52の先端部を先端押潰位置に移動させ、これによって図11の(b)欄に示すように連通領域523aを介して円筒部材642がフィルタ保持空間523に進入する。ただし、第2実施形態のフィルタ取外工程では、進入量は第1実施形態よりも少なく設定され、円筒部材642の先端部がフィルタ54の先端面541から1/3程度だけ後端面側に進んだ位置で移動停止される。このため、フィルタ54の先端部は円筒部材642により押し潰されて円筒部材642の凹部643に倣った形状、つまり倒立円錐台形状に成形される一方、後端部はもとの円筒形状のまま残っており、フィルタ54は略弾丸形状に仕上げられている。
【0060】
こうしてフィルタ54の成形が完了すると、部品吸着ヘッド53は上昇して先端押潰位置から離れるとともに、ノズルシャフト52の管路521に高圧の圧縮エアが供給されて略弾丸形状のフィルタ54に対して高圧ブローが吹き付けられる。このとき、図11の(c)欄に示すように、フィルタ54は連通領域523a、通路525および開口522を通過してフィルタ着脱部64のベース部材641に向けて排出される。なお、このように排出されたフィルタ54を効率的に回収するために、図示を省略するが、フィルタ廃棄ボックス66は回収用開口661をベース部材641に向けた状態でフィルタ着脱部64の鉛直下方に配置されている。
【0061】
以上のように、第2実施形態では、フィルタ54の先端部を倒立円錐台形状に仕上げることで先端部の幅を連通領域523aの内径D3(図3)よりも大幅に狭めているので、連通領域523aを介してフィルタ54を良好に排出することができる。また、フィルタ54の排出方向と高圧ブローの方向とはともに方向Z2に一致しているために、フィルタ54を効率的に排出することができる。なお、上記第2実施形態では、部品吸着ヘッド53の上昇と高圧ブローとを同時に開始しているが、部品吸着ヘッド53の上昇後に高圧ブローを実行するように構成してもよい。
【0062】
C.第3実施形態
図12は本発明にかかる部品実装装置の第3実施形態において装備されるフィルタ供給部の構成を示す図である。この第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点はフィルタ供給部62の構成とフィルタ54の供給方法であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。そこで、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
この第3実施形態では、交換用のフィルタ54はテープフィーダー41による部品供給と同様にして供給される。すなわち、第3実施形態にかかるフィルタ供給部62では、図12に示すように、フィルタ供給ケース622の代わりにエンボステープ628が用いられている。エンボステープ628には、上方に開口した凹部、つまり空洞状のフィルタ収納部628aが一定間隔置きにテープ本体628bに形成されるとともに、各フィルタ収納部628aに交換用フィルタ54が収納されている。テープ本体628bの一辺側には、その縁部に沿ってテープ厚み方向に貫通する係合孔628cが一定間隔で設けられており、図示を省略するテープ送り用スプロケットと係合可能となっている。
【0064】
ここで、フィルタ供給が必要となると、制御ユニット8からの送り指令に応じてスプロケットが回転することで、テープ本体628bがフィルタ供給位置623側に送られ、最もフィルタ供給位置623に近接するフィルタ54がフィルタ供給位置623に位置決めされる。また、これに並行して、ヘッドユニット5がフィルタ着脱部64からフィルタ供給部62に向けて移動し、フィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53をフィルタ供給位置623の上方に位置決めする。これに続いて、当該部品吸着ヘッド53が下降した後で、ノズルシャフト52に負圧が供給されることでフィルタ54がノズルシャフト52の先端部に部分保持される。
【0065】
以上のように、第3実施形態では、従来より周知のテープフィーダー41と同様の機構を用いてフィルタ54を供給することができる。つまり、テープフィーダーをフィルタ供給部62として代用することができる。また、上記のように構成されたフィルタ供給部62を部品収容部4a、4bに装着することも可能である。
【0066】
なお、上記第3実施形態では、エンボステープ628に対してカバーテープを設けていないが、部品供給用のテープと同様に、カバーテープによりフィルタ収納部628aを覆って保護する一方、フィルタ供給直前にカバーテープを剥がしてフィルタ供給を行うように構成してもよい。
【0067】
D.第4実施形態
図13は本発明にかかる部品実装装置の第4実施形態において装備されるフィルタ供給部の構成を示す図である。この第4実施形態が第1実施形態と大きく相違する点はフィルタ供給部62の構成とフィルタ54の供給方法であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。そこで、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
この第4実施形態では、交換用のフィルタ54が板状のマトリックスプレート629の上面にマトリックス状に保持されており、当該マトリックスプレート629がフィルタ供給部62として機能する。そして、フィルタ供給が必要となると、ヘッドユニット5がフィルタ着脱部64からフィルタ供給部62に向けて移動し、フィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53をマトリックスプレート629に保持されているフィルタ54のうちの一の上方に位置決めする。これに続いて、当該部品吸着ヘッド53が下降した後で、ノズルシャフト52に負圧が供給されることでフィルタ54がノズルシャフト52の先端部に部分保持される。
【0069】
以上のように、第4実施形態では、第1実施形態や第3実施形態におけるフィルタ供給部62に比べ、簡素な構成でフィルタ供給を行うことが可能となっている。
【0070】
E.第5実施形態
図14は本発明にかかる部品実装装置の第5実施形態において装備されるフィルタ供給部の構成を示す図である。この第5実施形態が第1実施形態と大きく相違する点はフィルタ供給部62の構成とフィルタ54の供給方法であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。そこで、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
この第5実施形態では、第1実施形態と同様に、フィルタ供給ケース622にフィルタ54が収納されており、複数のフィルタ54が上下方向Zに一列に配列されている。その一方で、高圧ブローによって上方に移動するフィルタ54を位置決めする機構(エアシリンダ625、フィルタ位置決め部材626、ストッパー627)が省略されている。このように構成されたフィルタ供給部62では、第3実施形態や第4実施形態と同様に部品吸着ヘッド53に印加される負圧による吸引力によってフィルタ54を部分保持する。つまり、フィルタ供給が必要となると、ヘッドユニット5がフィルタ着脱部64からフィルタ供給部62に向けて移動し、図14の(a)欄に示すように、フィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53をフィルタ供給位置623の上方に位置決めする。これに続いて、当該部品吸着ヘッド53が下降した後で、ノズルシャフト52に負圧が供給されることでフィルタ54がノズルシャフト52の先端部に部分保持される(図14の(b)欄)。その後で、当該部品吸着ヘッド53が上昇してフィルタ供給位置623から離れる(図14の(c)欄)。
【0072】
以上のように、第5実施形態では、第1実施形態よりも簡素な構成によってフィルタ供給を行うことができる。
【0073】
F.第6実施形態
上記第1実施形態ないし第5実施形態では円筒形状のフィルタ54を用いているが、フィルタ形状はこれに限定されるものではなく、例えば円盤形状のフィルタ54を用いる装置に対して本発明を適用することができる。以下、円盤形状のフィルタ54を用いる部品実装装置100について図面を参照しつつ説明する。
【0074】
図15は本発明にかかる部品実装装置の第6実施形態におけるノズルシャフトの先端部およびフィルタの構造を模式的に示す図であり、同図の(a)欄にノズルシャフト52の先端部からフィルタ54を取り外した状態が記載される一方、同図の(b)欄にノズルシャフト52の先端部にフィルタ54が装着された状態が記載されている。
【0075】
第6実施形態においても、第1実施形態ないし第5実施形態と同様に、ノズルシャフト52に対して2つの開口522、524が設けられている。これらのうち開口524はノズルシャフト52の先端部の側面に形成されており、排出口として機能する。また、本実施形態では、上下方向Zにおける開口524の寸法H1はフィルタ54の寸法H2よりも若干狭くなっており、フィルタ54をフィルタ保持空間523に圧入するための圧入口としても機能する。
【0076】
もう一方の開口522は、ノズルシャフト52の先端面に形成されたものであり、吸着ノズル51がノズルシャフト52に装着されたときには、吸着ノズル51のノズルホルダ511とフィルタ保持空間523とを連通させる機能を果たす。また、開口522はZ方向に延びる通路525を介してフィルタ保持空間523と連通している。なお、フィルタ保持空間523の連通領域523a、開口522および通路525の寸法関係は第1実施形態ないし第5実施形態と同一である。したがって、上記したように開口524を介してフィルタ保持空間523にフィルタ54を圧入すると、フィルタ54の下面周縁部が連通領域523aの周縁部で係止され、正圧が供給された際もフィルタ54はしっかりとフィルタ保持空間523で保持される。また、フィルタ保持空間523のZ1方向側においても、管路521とつながる連通領域523bの内径D4がフィルタ54の外径D2よりも若干狭くなっている。このため、フィルタ54の上面周縁部が連通領域523bの周縁部で係止され、負圧が供給された際もフィルタ54はしっかりとフィルタ保持空間523で保持される。
【0077】
第6実施形態では、上記したように開口524を介してフィルタ54が供給され、さらにフィルタ保持空間523に圧入されることで、ノズルシャフト52の先端部へのフィルタ54の装着が行われる。したがって、第6実施形態にかかる部品実装装置100では、フィルタ供給部62の代わりに図16に示すフィルタ供給装着部63が設けられるとともに、フィルタ着脱部64はフィルタ54の押し潰しを専門的に行う。なお、その他の構成は第1実施形態と同様である。よって、以下のおいては、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
図16は本発明にかかる部品実装装置の第6実施形態に装備されるフィルタ供給装着部の構成を示す図である。また、図17図16のフィルタ供給部によるフィルタ供給装着動作を模式的に示す図である。なお、図17の上段図における楕円領域Rはトッププレートを一部切り欠いてフィルタ供給装着部63の内部構造を示している領域である。
【0079】
フィルタ供給装着部63は、図16に示すように、ベースプレート631とトッププレート632とを積層してなる本体部633を備えている。ベースプレート631およびトッププレート632の各々に貫通孔が設けられている。そして、それらの貫通孔が上下方向Zに一致するように重ね合わされた状態でベースプレート631とトッププレート632が接合され、これによってノズルシャフト52の先端部を挿入自在な中空形状の作業空間634が構成されている。
【0080】
この作業空間634に連通するように溝部635がベースプレート631の上面部で水平方向に延設されている。この溝部635には、棒状の押し部材636が溝部635の長手方向に摺動自在に設けられている。また、ベースプレート631の上面部には、別の溝部637が溝部635と直交する水平方向に延設されており、図17に示すように、作業空間634の手前で溝部635と接続されて交差領域638を形成している。この溝部637の幅はフィルタ54の外径よりも若干広く、フィルタ54を一列に配列させながら交差領域638に案内可能となっている。
【0081】
押し部材636の作業空間側端部は、図17に示すようにフィルタ54の曲率半径よりも若干大きな曲率半径で円弧状に仕上げられている。また、同図への図示を省略しているが、押し部材636には往復駆動機構が接続されており、制御ユニット8からの往路移動指令を受けると、押し部材636を作業空間634に向けて移動させる。これによって、交差領域638に存在するフィルタ54は押し部材636によって作業空間634に押し出される。一方、制御ユニット8からの復路移動指令を受けると、押し部材636を作業空間634から離れる。
【0082】
このように構成されたフィルタ供給装着部63は次のように動作してフィルタ供給工程とフィルタ装着工程とを実行する。具体的には、制御ユニット8によって装置各部が制御されて以下の動作が実行される。まず、ヘッドユニット5がフィルタ供給装着部63に向けて移動し、フィルタ交換の対象となる部品吸着ヘッド53を作業空間634の上方に位置決めする(図17の(a)欄参照)。
【0083】
これに続いて、ノズルシャフト52の開口524を溝部637に向けた状態で当該部品吸着ヘッド53が下降してノズルシャフト52の先端部が作業空間634に挿入される。これによって、図17の(b)欄に示すように、フィルタ保持空間523が開口524を介して交差領域638に近接して対向し、開口524を介して新品のフィルタ54を受け取り可能となる。この状態で部品吸着ヘッド53に対して負圧が供給され、溝部67内のフィルタ54が交差領域638に向かって引き寄せられる。これにより、最も交差領域638に近いフィルタ54がフィルタ保持空間523と押し部材636との間に供給され、フィルタ54の一部がフィルタ保持空間523に挿入される(図17の(b)欄)。こうして、フィルタ54の供給が行われる(フィルタ供給工程)。
【0084】
そして、往復駆動機構によって押し部材636が往路移動し、上記フィルタ54を交差領域638から開口524に押し付け、フィルタ保持空間523に圧入する。これによってフィルタ54のノズルシャフト52への装着が完了する(フィルタ装着工程)。すると、往復駆動機構によって押し部材636が復路移動して交差領域638から退避する。
【0085】
このように構成された部品実装装置100においてフィルタ54の交換が必要となり、ユーザから交換指示がある(ステップS4で「YES」)と、第1実施形態と同様にしてフィルタ取外工程が実行された後で、上記フィルタ供給装着部63によるフィルタ供給工程とフィルタ装着工程とが実行される。これによって第6実施形態においてもフィルタ54が自動的に交換される。
【0086】
以上のように、第6実施形態では、円盤形状のフィルタ54を取り扱っている点で第1実施形態と相違するものの、ノズルシャフト52の先端部にフィルタ保持空間523が設けられ、当該フィルタ保持空間523にフィルタ54単体を圧入して装着している。また、フィルタ取外工程については全く同じである。したがって、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0087】
また、第6実施形態では、フィルタ供給装着部63でフィルタ供給工程とフィルタ装着工程とを連続して行っているため、第1実施形態よりもフィルタ交換に要する時間、つまりフィルタ交換のタクトタイムを短縮することができる。
【0088】
G.第7実施形態
図18は本発明にかかる部品実装装置の第7実施形態を示す平面図である。また、図19A図18の部品実装装置で装備されるフィルタ交換装置の全体構成を示す図である。図19B図19Aのフィルタ交換装置の部分断面図である。この第7実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、フィルタ供給部62、フィルタ着脱部64およびフィルタ廃棄ボックス66が一体化されてフィルタ交換装置70を構成している点と、当該フィルタ交換装置70が部品収容部4a、4bに着脱自在に装着されている点とであり、その他の構成は第1実施形態と同一である。よって、以下のおいては、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
フィルタ交換装置70は部品収容部4a、4bに対して着脱自在に構成されたハウジング部71を有している。このハウジング部71として、例えばテープフィーダー41のフィーダー本体を流用してもよい。そして、図19Aに示すように、ハウジング部71の前方側、つまりヘッドユニット5に近い側に2つのブロック72、73が固着されている。そして、図19Bに示すように、一方のブロック72にはフィルタ供給部62が設けられている。また、他方のブロック73にはフィルタ着脱部64とフィルタ廃棄ボックス66とが設けられている。
【0090】
また、ハウジング部71の中央部に、圧縮エア供給部74、フィルタ供給部75およびフィルタ回収部76が固着されている。そして、圧縮エア供給部74はフィルタ供給部62に圧縮エアを供給してフィルタ供給動作を実行させる。この実施形態では、フィルタ位置決め部材626の駆動源として複動型のエアシリンダ625が用いられている。このエアシリンダ625の左端側に形成される左側空間625aならびに左右中間に形成される中央空間625bは圧縮エア供給部74と接続されている。そして、圧縮エア供給部74から左側空間625aに圧縮エアが供給されることでフィルタ位置決め部材626がフィルタ供給部62の上方位置に向けて前進する。一方、圧縮エア供給部74から中央空間625bに圧縮エアが供給されることでフィルタ位置決め部材626が後退してフィルタ供給部62の上方位置から退避する。また、フィルタ供給部75はフィルタ供給部62に交換用のフィルタ54を供給してフィルタ補充を行う。さらにフィルタ供給部62はフィルタ廃棄ボックス66に負圧を与えて使用済のフィルタ54を回収する。
【0091】
以上のように、第7実施形態では、フィルタ供給部62、フィルタ着脱部64およびフィルタ廃棄ボックス66が一体化することでコンパクトなフィルタ交換装置70が得られ、部品実装装置100の小型化を図ることができる。
【0092】
また、フィルタ交換装置70は、テープフィーダー41と同様に、部品収容部4a、4bに着脱自在に装着される。つまり、フィルタ54も部品の同様に取扱うように構成することで、従来より広く普及している部品実装装置を改造することなく、テープフィーダーと同様に、フィルタ交換装置70を部品収容部4a、4bに単に装着することでフィルタ交換を自動的に行うことができるようになる。このようにフィルタ交換装置70を用いることで既に稼働中の部品実装装置の機能向上を簡単に図ることができる。
【0093】
H.その他
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態ないし第7実施形態では、フィルタ54を圧縮した後で圧縮済フィルタ54を高圧ブローによって排出しているが、圧縮することなく、高圧ブローによってフィルタ54を排出してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、ノズルシャフト52の先端部に装着されるフィルタ54は円筒形状や円盤形状であるが、フィルタ形状はこれらに限定されるものではなく、本発明は部品吸着ヘッドに装着可能なフィルタ全般に対して適用可能である。
【0095】
また、上記第1実施形態ないし第5実施形態および第7実施形態では、フィルタ着脱部64がフィルタ装着部およびフィルタ取外部として兼用されているが、フィルタ装着部およびフィルタ取外部を個別に設けてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、フィルタ保持構造、フィルタ取出方法、フィルタ供給方法、フィルタ交換方法およびフィルタ交換装置を部品実装装置に適用しているが、それらの適用対象は部品実装装置に限定されるものではなく、部品吸着ヘッドを用いる装置全般、例えば部品検査装置などに適用することができる。
【0097】
以上説明したように、上記実施形態においては、方向Zが本発明の「外嵌方向」に相当し、ノズルシャフト52に対する吸着ノズル51の外嵌領域の長さL1が本発明の「外嵌長さ」に相当している。また、フィルタ54の先端面541が本発明の「フィルタの吸着ノズル側の端面」に相当している。
【0098】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明は、例えば吸着ノズルの後端部がノズルシャフトの先端部に外嵌されて装着されるように構成してもよく、これによって部品吸着ヘッドの短縮化が可能となる。特に、ノズルシャフトの先端部に対する吸着ノズルの後端部の外嵌方向においてフィルタの長さが、ノズルシャフトの先端部に対する吸着ノズルの後端部の外嵌長さよりも短くなるように構成するのが部品吸着ヘッドの短縮化を図る上で効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
この発明は、部品を吸着する部品吸着ヘッドの内部でフィルタを保持するフィルタ保持技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
51…吸着ノズル
52…ノズルシャフト
53…部品吸着ヘッド
54…フィルタ
100…部品実装装置
110…基板
522…開口
523a…連通領域
541…(フィルタの)先端面
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15
図16
図17
図18
図19A
図19B