(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661650
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】煙排出モードを有する多モード外科用ガス送給システムのために用いられる内部ガスシールを伴うフィルタカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
A61B17/94
【請求項の数】38
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-540769(P2017-540769)
(86)(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公表番号】特表2018-503478(P2018-503478A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】US2016015042
(87)【国際公開番号】WO2016123173
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】14/609,952
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517133507
【氏名又は名称】サージクエスト,インク.
【氏名又は名称原語表記】SURGIQUEST, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100094651
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 晃
(72)【発明者】
【氏名】マストリ,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】スターンズ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】オージェリ,マイケル,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ブライア,ケネス
【審査官】
吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−505056(JP,A)
【文献】
特表2012−505027(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0245511(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0231606(US,A1)
【文献】
特表2010−502360(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/039633(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/94
A61B 17/34
A61M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガスを送給するために用いられるシステムにおいて、
a)加圧ガスを前記システム全体にわたって循環させるために用いられるポンプを囲むために用いられ、吹き込みガスをガス源から受け入れるために用いられるポートを伴うハウジングを有する、ガス送給装置、
b)前記ガス送給装置と動作可能に関連付くよう構成され、
i)前記ポンプから送給される加圧ガスを受け入れるために用いられる第一内部流路、
ii)吹き込みガスを前記腹腔に送給するために用いられ、前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる第二内部流路、及び
iii)加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三内部流路
を含む、独立したガス調整ユニット
を備え、
前記第一内部流路は、
前記ポンプによって送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止する前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリアを生成するよう構成されたノズル・アセンブリを含み、
前記ガス調整ユニットは、
入口端と、対向する出口端とを有する略円筒状ハウジングを含み、
前記ガス送給装置は、
前記ガス調整ユニットを取り外し可能に受け入れるために用いられる係合ポートを含み、
前記ガス調整ユニットの前記出口端は、
前記第一内部流路に対応する第一出口ポートと、前記第二内部流路に対応する第二出口ポートと、前記第三内部流路に対応する第三出口ポートとを有する出口カバーを含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第一内部流路のなかに位置し、前記第一出口ポートと連通した圧力室を含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する中心ノズル室を含み、
前記中心ノズル室は、前記圧力室と内部送給ポートを通して連通し、
前記ノズル・アセンブリは、
前記中心ノズル室のなかにおいて前記ノズル・アセンブリを密封式に隔離するために用いられる軸方向に離間した一対の外側密封リングを有する円筒状噴出口群を含み、
前記中心ノズル室は、
前記円筒状噴出口群より近位にあり、大気に開かれ、周囲空気を巻き込むのを助ける呼吸チューブと連通している、
システム。
【請求項2】
患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガスを送給するために用いられるシステムにおいて、
a)加圧ガスを前記システム全体にわたって循環させるために用いられるポンプを囲むために用いられ、吹き込みガスをガス源から受け入れるために用いられるポートを伴うハウジングを有する、ガス送給装置、
b)前記ガス送給装置と動作可能に関連付くよう構成され、
i)前記ポンプから送給される加圧ガスを受け入れるために用いられる第一内部流路、
ii)吹き込みガスを前記腹腔に送給するために用いられ、前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる第二内部流路、及び
iii)加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三内部流路
を含む、独立したガス調整ユニット
を備え、
前記第一内部流路は、
前記ポンプによって送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止する前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリアを生成するよう構成されたノズル・アセンブリを含み、
前記ガス調整ユニットは、
入口端と、対向する出口端とを有する略円筒状ハウジングを含み、
前記ガス送給装置は、
前記ガス調整ユニットを取り外し可能に受け入れるために用いられる係合ポートを含み、
前記ガス調整ユニットの前記出口端は、
前記第一内部流路に対応する第一出口ポートと、前記第二内部流路に対応する第二出口ポートと、前記第三内部流路に対応する第三出口ポートとを有する出口カバーを含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第一内部流路のなかに位置し、前記第一出口ポートと連通した圧力室を含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する中心ノズル室を含み、
前記中心ノズル室は、前記圧力室と内部送給ポートを通して連通し、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三内部流路のなかに位置する真空室を含み、
前記真空室は、前記ノズル室と複数のガス移動ポートを通して連通し、これにより、前記ノズル・アセンブリからの使用済ガスが、再加圧及び循環のため、前記ポンプに帰還できる、
システム。
【請求項3】
患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガスを送給するために用いられるシステムにおいて、
a)加圧ガスを前記システム全体にわたって循環させるために用いられるポンプを囲むために用いられ、吹き込みガスをガス源から受け入れるために用いられるポートを伴うハウジングを有する、ガス送給装置、21
b)前記ガス送給装置と動作可能に関連付くよう構成され、
i)前記ポンプから送給される加圧ガスを受け入れるために用いられる第一内部流路、
ii)吹き込みガスを前記腹腔に送給するために用いられ、前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる第二内部流路、及び
iii)加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三内部流路
を含むハウジングを有する、独立したガス調整ユニット
を備え、
前記第一内部流路は、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングのなかに位置し、前記ガス送給装置のなかに囲まれた前記ポンプによって前記ガス調整ユニットに送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止する前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリアを生成するよう構成されたノズル・アセンブリを含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
略円筒状であり、
入口端と、対向する出口端とを含み、
前記ガス送給装置は、
前記ガス調整ユニットを取り外し可能に受け入れるために用いられる係合ポートを含み、
前記ガス調整ユニットの前記出口端は、
前記第一内部流路に対応する第一出口ポートと、前記第二内部流路に対応する第二出口ポートと、前記第三内部流路に対応する第三出口ポートとを有する出口カバーを含む、
システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第一内部流路のなかに位置し、前記第一出口ポートと連通した圧力室を含む、
システム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する中心ノズル室を含み、
前記中心ノズル室は、前記圧力室と内部送給ポートを通して連通している、
システム。
【請求項6】
請求項2又は5記載のシステムにおいて、
前記ノズル・アセンブリは、
前記中心ノズル室のなかにおいて前記ノズル・アセンブリを密封式に隔離するために用いられる軸方向に離間した一対の外側密封リングを有する円筒状噴出口群を含む、
システム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムにおいて、
前記中心ノズル室は、
大気に開かれた前記円筒状噴出口群より近位にある呼吸チューブと連通している、
システム。
【請求項8】
請求項1又は6又は7記載のシステムにおいて、
前記中心ノズル室は、
ガス流を方向付けるために用いられる前記円筒状噴出口群より遠位にある円周方向に配置され離間した複数の軸方向ベーンを含む、
システム。
【請求項9】
請求項1及び2及び4乃至8いずれか記載のシステムにおいて、
第一フィルタ要素が、前記圧力室のなかに配置され、前記ポンプからの加圧ガスを濾過するために用いられる、
システム。
【請求項10】
請求項1及び3乃至9いずれか記載のシステムにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三内部流路のなかに位置する真空室を含む、
システム。
【請求項11】
請求項1及び5乃至8いずれか記載のシステムにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三内部流路のなかに位置する真空室を含み、
前記真空室は、前記中心ノズル室と複数のガス移動ポートを通して連通し、これにより、前記ノズル・アセンブリからの使用済ガスが、再加圧及び循環のため、前記ポンプに帰還できる、
システム。
【請求項12】
請求項2又は10又は11記載のシステムにおいて、
第三フィルタ要素が、前記真空室のなかに配置され、前記ポンプに前記患者の腹腔から帰還するガスを濾過するために用いられる、
システム。
【請求項13】
請求項2及び10乃至12いずれか記載のシステムにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三内部流路のなかに位置し、前記真空室から下流にあり、流体移動ポートを通してそこと流体連通し、前記ポンプによって前記ガス調整ユニットの前記ハウジングのなかへ引き入れられる流体をすべて収容するために用いられる、貯蔵室を更に含む、
システム。
【請求項14】
請求項13記載のシステムにおいて、
流体レベルセンサが、前記貯蔵室のなかに配置され、そのなかで所定の流体レベルを検出するために用いられる、
システム。
【請求項15】
請求項1乃至14いずれか記載のシステムにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記出口カバーと相互作用して、前記ガス源からの吹き込みガスを濾過するために用いられる第二フィルタ要素を支持するよう構成され前記第二内部流路のなかに配置された調整空洞を画成するダイバータ板を含む、
システム。
【請求項16】
請求項1乃至15いずれか記載のシステムにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記入口端は、
第一導管と連通する前記第一内部流路に対応する第一入口ポートと、第二導管と連通する前記第二内部流路に対応する第二入口ポートと、第三導管と連通する前記第三内部流路に対応する第三入口ポートとを有する入口カバーを含む、
システム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、
前記第一導管は、
第一外科用アクセスポートと連通するために用いられる継手を含み、
前記第一外科用アクセスポートは、
外科器械を前記腹腔のなかへ密封式に導入できるようにするために用いられるその中心ルーメンと関連付けられた機械式弁を含む、
システム。
【請求項18】
請求項16又は17記載のシステムにおいて、
前記第二導管は、
前記腹腔の吹き込み及び圧力測定を担う第二外科用アクセスポートと連通するために用いられる継手を含む、
システム。
【請求項19】
請求項16乃至18いずれか記載のシステムにおいて、
前記第三導管は、
前記腹腔からの煙排出を担う第三外科用アクセスポートと連通するために用いられる継手を含む、
システム。
【請求項20】
患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガス送給装置とともに使用するためのガス調整ユニットにおいて、
a)前記ガス送給装置と係合するよう構成された入口端と、対向する出口端とを有するハウジング、
b)加圧ガスを前記ガス送給装置のなかにおけるポンプから受け入れるために用いられる前記ハウジングのなかにおける第一濾過済流路、
c)吹き込みガスを前記腹腔に送給するために用いられ、前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる前記ハウジングのなかにおける第二濾過済流路、及び
d)加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三濾過済流路
を備え、
前記第一濾過済流路は、
前記ポンプによって送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止する前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリアを生成するよう寸法決定され構成された環状ノズル・アセンブリを含み、
前記出口端は、
前記第一濾過済流路に対応する第一出口ポートと、前記第二濾過済流路に対応する第二出口ポートと、前記第三濾過済流路に対応する第三出口ポートとを有する出口カバーを含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第一濾過済流路のなかに位置し、前記第一出口ポートと連通した圧力室を含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記環状ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する中心ノズル室を含み、
前記中心ノズル室は、
前記圧力室と、内部送給ポートを通して連通し、
前記環状ノズル・アセンブリは、
前記中心ノズル室のなかで前記ノズル・アセンブリを密封式に隔離するために用いられる軸方向に離間した一対の外側密封リングを有する円筒状噴出口群を含み、
前記中心ノズル室は、
前記円筒状噴出口群より近位にあり、大気に開かれ、周囲空気を巻き込むのを助ける呼吸チューブと連通している、
ガス調整ユニット。
【請求項21】
患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガス送給装置とともに使用するためのガス調整ユニットにおいて、
a)前記ガス送給装置と係合するよう構成された入口端と、対向する出口端とを有するハウジング、
b)加圧ガスを前記ガス送給装置のなかにおけるポンプから受け入れるために用いられる前記ハウジングのなかにおける第一濾過済流路、
c)吹き込みガスを前記腹腔に送給するために用いられ、前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる前記ハウジングのなかにおける第二濾過済流路、及び
d)加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三濾過済流路
を備え、
前記第一濾過済流路は、
前記ポンプによって送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止する前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリアを生成するよう寸法決定され構成された環状ノズル・アセンブリを含み、
前記出口端は、
前記第一濾過済流路に対応する第一出口ポートと、前記第二濾過済流路に対応する第二出口ポートと、前記第三濾過済流路に対応する第三出口ポートとを有する出口カバーを含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第一濾過済流路のなかに位置し、前記第一出口ポートと連通した圧力室を含み、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記環状ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する中心ノズル室を含み、
前記中心ノズル室は、
前記圧力室と、内部送給ポートを通して連通し、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三濾過済流路のなかに位置する真空室を含み、
前記真空室は、前記ノズル室と、複数のガス移動ポートを通して連通し、これにより、前記ノズル・アセンブリからの使用済ガスが、再加圧及び循環のため、前記ポンプに帰還できる、
ガス調整ユニット。
【請求項22】
患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガス送給装置とともに使用するためのガス調整ユニットにおいて、
a)前記ガス送給装置と係合するよう構成された入口端と、対向する出口端とを有するハウジング、
b)加圧ガスを前記ガス送給装置のなかに囲まれたポンプから受け入れるために用いられる前記ハウジングのなかにおける第一濾過済流路、
c)吹き込みガスを前記腹腔に送給するために用いられ、前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる前記ハウジングのなかにおける第二濾過済流路、及び
d)加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三濾過済流路
を備え、
前記第一濾過済流路は、
前記ハウジングのなかに位置し、前記ポンプによって送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止する前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリアを生成するよう寸法決定され構成された環状ノズル・アセンブリを含み、
前記ハウジングの前記出口端は、
前記第一濾過済流路に対応する第一出口ポートと、前記第二濾過済流路に対応する第二出口ポートと、前記第三濾過済流路に対応する第三出口ポートとを有する出口カバーを含む、
ガス調整ユニット。
【請求項23】
請求項22記載のガス調整ユニットにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第一濾過済流路のなかに位置し、前記第一出口ポートと連通した圧力室を含む、
ガス調整ユニット。
【請求項24】
請求項23記載のガス調整ユニットにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記環状ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する中心ノズル室を含み、
前記中心ノズル室は、
前記圧力室と、内部送給ポートを通して連通している、
ガス調整ユニット。
【請求項25】
請求項21又は24記載のガス調整ユニットにおいて、
前記環状ノズル・アセンブリは、
前記中心ノズル室のなかで前記ノズル・アセンブリを密封式に隔離するために用いられる軸方向に離間した一対の外側密封リングを有する円筒状噴出口群を含む、
ガス調整ユニット。
【請求項26】
請求項25記載のガス調整ユニットにおいて、
前記中心ノズル室は、
大気に開かれた前記円筒状噴出口群より近位にある呼吸チューブと連通している、
ガス調整ユニット。
【請求項27】
請求項20又は25又は26記載のガス調整ユニットにおいて、
前記中心ノズル室は、
ガス流を方向付けるために用いられる前記円筒状噴出口群より遠位にある円周方向に配置され離間した複数の軸方向フィンを含む、
ガス調整ユニット。
【請求項28】
請求項20及び21及び23乃至27いずれか記載のガス調整ユニットにおいて、
第一フィルタ要素が、前記圧力室のなかに配置され、前記ポンプからの加圧ガスを濾過するために用いられる、
ガス調整ユニット。
【請求項29】
請求項20及び22乃至28いずれか記載のガス調整ユニットにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三濾過済流路のなかに位置する真空室を含む、
ガス調整ユニット。
【請求項30】
請求項20及び24乃至27いずれか記載のガス調整ユニットにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三濾過済流路のなかに位置する真空室を含み、
前記真空室は、前記中心ノズル室と、複数のガス移動ポートを通して連通し、これにより、前記ノズル・アセンブリからの使用済ガスが、再加圧及び循環のため、前記ポンプに帰還できる、
ガス調整ユニット。
【請求項31】
請求項21又は29又は30記載のガス調整ユニットにおいて、
第三フィルタ要素が、前記真空室のなかに配置され、前記ポンプに前記患者の腹腔から帰還するガスを濾過するために用いられる、
ガス調整ユニット。
【請求項32】
請求項21及び29乃至31いずれか記載のガス調整ユニットにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記第三濾過済流路のなかに位置し、前記真空室から下流にあり、流体移動ポートを通してそこと流体連通し、前記ポンプによって前記ガス調整ユニットの前記ハウジングのなかへ引き入れられる流体をすべて収容するために用いられる、貯蔵室を更に含む、
ガス調整ユニット。
【請求項33】
請求項32記載のガス調整ユニットにおいて、
流体レベルセンサが、前記貯蔵室のなかに配置され、そのなかで所定の流体レベルを検出するために用いられる、
ガス調整ユニット。
【請求項34】
請求項20乃至33いずれか記載のガス調整ユニットにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、
前記出口カバーと相互作用して、ガス源からの前記吹き込みガスを濾過するために用いられる第二フィルタ要素を支持するよう構成され前記第二濾過済流路のなかに配置された調整空洞を画成するダイバータ板を含む、
ガス調整ユニット。
【請求項35】
請求項20乃至34いずれか記載のガス調整ユニットにおいて、
前記ガス調整ユニットの前記入口端は、
第一導管と連通する前記第一濾過済流路に対応する第一入口ポートと、第二導管と連通する前記第二濾過済流路に対応する第二入口ポートと、第三導管と連通する前記第三濾過済流路に対応する第三入口ポートとを有する入口カバーを含む、
ガス調整ユニット。
【請求項36】
請求項35記載のガス調整ユニットにおいて、
前記第一導管は、第一外科用アクセスポートと連通するために用いられる継手を含み、
前記第一外科用アクセスポートは、
外科器械を前記腹腔のなかへ導入できるようにするために用いられるその中心ルーメンと関連付けられた機械式弁を含む、
ガス調整ユニット。
【請求項37】
請求項35又は36記載のガス調整ユニットにおいて、
前記第二導管は、
前記腹腔の吹き込み及び圧力測定を担う第二外科用アクセスポートと連通するために用いられる継手を含む、
ガス調整ユニット。
【請求項38】
請求項35乃至37いずれか記載のガス調整ユニットにおいて、
前記第三導管は、
前記腹腔からの煙排出を担う第三外科用アクセスポートと連通するために用いられる継手を含む、
ガス調整ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本主題発明は、2015年1月30日出願の米国特許出願第14/609,952号明細書から優先権の利益を主張する。この開示は、本明細書に参照により全体として援用される。
【0002】
本主題発明は、腹腔鏡下手術に関する。もっと詳細に言うと、患者の腹腔からの煙排出が必要な腹腔鏡下外科的処置中に使用される多モード・ガス送給システムとともに使用するための内部ガスシールを伴う使い捨てフィルタカートリッジに関する。
【背景技術】
【0003】
腹腔鏡下又は「最小限侵襲」手術手技は、胆嚢切除術、虫垂切除術、ヘルニア修復及び腎切除術などの処置の遂行において当たり前になってきている。そのような処置の利益は、患者への外傷の減少、感染の可能性の減少、及び回復時間の短縮を含む。腹(腹膜)腔のなかにおけるそのような処置は、一般に、トロカール又はカニューレとして知られた装置を通して実施される。これは、腹腔鏡器械を患者の腹腔のなかへ導入するのを助ける。
【0004】
更に、そのような処置は、一般に、前記腹(腹膜)腔に加圧流体(二酸化炭素など)を満たし又は「吹き込」み、気腹と呼ばれるものを生成する。前記吹き込みは、吹き込み流体を送給するために装備された外科用アクセス装置(「カニューレ」若しくは「トロカール」と呼ばれることがある)によって、又は、独立した吹き込み装置(吹き込み(ヴェレス)針など)によって、実施され得る。吹き込みガスを大量に失うことなく外科器械を前記気腹のなかへ導入することが、前記気腹を維持するために望ましい。
【0005】
一般的な腹腔鏡下処置の間、外科医は、三から四箇所を小さく切開する(通常それぞれ約十二ミリメートル以下)。これらは、一般に、前記外科用アクセス装置それ自体で作成される(一般に、そのなかに配置された独立した挿入具又は閉塞具を使用する)。挿入後、前記挿入具は取り外され、前記トロカールによって、器械を前記腹腔に挿入するためのアクセスが可能になる。一般的なトロカールは、前記腹腔に吹き込んで、作業するための開かれた内部空間を前記外科医が有するようにする手段を提供することが多い。
【0006】
前記トロカールは、前記トロカールと、使用されている前記外科器械との間を密封することにより前記腔のなかで圧力を維持するが、それでいて少なくとも最小限自由に前記外科器械を動かせるようにする手段を提供する必要がある。そのような器械は、例えば、ハサミ、把持器械、及び、閉塞器械、焼灼ユニット、カメラ、光源その他の外科器械を含み得る。密封要素又は機構は、一般に、トロカールに設けられ、吹き込みガスが逃げるのを防止する。密封要素又は機構は、一般に、比較的柔軟な材料で作製されたダックビル型弁を含み、前記トロカールを通過する外科器械の外表面の周りを密封する。
【0007】
更に、腹腔鏡下手術において、電気焼灼その他の技術(例えば超音波振動メス)が前記外科的腔のなかに煙その他の残屑を生成し、内視鏡などからの視界を曇らせ、その表面を覆うことにより、可視性が減少する。様々な外科用煙排出システムが当分野で知られている。
【0008】
更に、サージクエスト社(アメリカ合衆国コネチカット州ミルフォード)は、従来のような機械的密封の必要なしに、吹き込みされた外科的腔に素早くアクセスできるようにする独特な外科用アクセス装置を開発し、十分な圧力及び流量をそのようなアクセス装置に提供する、関連したガス送給システムを開発した。これは、米国特許第7,854,724号明細書において全体的に又は部分的に記載されているとおりである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、吹き込み流体及びガスの吹き込み、煙排出、再循環及び濾過を含む、複数の外科的ガス送給機能を実施するために用いられる多モード・ガス送給システム及び関連装置に関する。単一の多モード・システムを使用すれば、複数の機能を達成しつつ、一つのシステムしか購入する必要がないことにより、運営費が削減され、これにより、手術室で必要な機器の量が減少し、したがって、騒音が減少し、他の必要な機器のための空間ができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本主題発明は、新しく有用なシステムに関する。これは、患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガスを送給するために用いられる。前記システムは、特に、ポートを伴うハウジングを有するガス送給装置を含む。これは、吹き込みガスをガス源から受け入れるために用いられる。前記ガス送給装置は、ポンプアセンブリを含む。これは、加圧ガスを前記システム全体にわたって循環させるために用いられる。前記システムは、使い捨てのガス調整ユニット又はカートリッジを更に含む。これは、前記ガス送給装置と動作可能に関連付くよう構成されている。
【0011】
前記ガス調整システムは、前記ポンプから送給される加圧ガスを受け入れるために用いられる第一内部流路と、吹き込みガスを前記腹腔に所望の流量及び圧力で送給するために用いられ、前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる第二内部流路と、加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三内部流路とを含む。
【0012】
本主題発明の好ましい実施形態によれば、前記第一内部流路は、ノズル・アセンブリを含む。これは、前記ポンプによって送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリアを生成するよう構成されている。外科的処置中に吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止し、安定した気腹を維持するよう機能する、前記圧力バリア又は作業ゾーン。
【0013】
前記ガス調整ユニットは、略円筒状ハウジングを含む。これは、入口端と、対向する出口端とを有する。前記ガス送給装置は、係合ポートを含む。これは、前記ガス調整ユニットを取り外し可能に受け入れるために用いられる。前記ガス調整ユニットの前記出口端は、出口カバーを含む。これは、前記第一内部流路に対応する第一出口ポートと、前記第二内部流路に対応する第二出口ポートと、前記第三内部流路に対応する第三出口ポートとを有する。
【0014】
前記ガス調整ユニットの前記入口端は、入口カバーを含む。これは、第一導管と連通する前記第一内部流路に対応する第一入口ポートと、第二導管と連通する前記第二内部流路に対応する第二入口ポートと、第三導管と連通する前記第三内部流路に対応する第三入口ポートとを有する。
【0015】
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、圧力室を含む。これは、前記第一内部流路のなかに位置し、前記第一出口と連通している。前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、中心ノズル室を更に含む。これは、前記ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する。前記中心ノズル室は、前記圧力室と内部送給ポートを通して連通している。
【0016】
前記ノズル・アセンブリは、軸方向に離間した一対の外側密封リングを有する円筒状噴出口群を含む。これは、前記中心ノズル室のなかにおいて前記ノズル・アセンブリを密封式に隔離するために用いられる。前記中心ノズル室は、円周方向に配置され離間した複数の軸方向フィン又はベーンを含む。これは、前記ノズル・アセンブリの前記円筒状噴出口群より遠位に位置する。これは、ガス流を前記作業ゾーンから離れるよう方向付けるために用いられる。前記中心ノズル室は、前記円筒状噴出口群より近位にある呼吸チューブと連通している。これは、大気に開かれ、いくつかの動作条件のもと、空気を前記ガス送給システムのなかへ巻き込むのを助ける。
【0017】
第一フィルタ要素が、前記圧力室のなかに配置されている。これは、前記ポンプから送給される加圧ガスを濾過するために用いられる。前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、ダイバータ板を含む。これは、前記出口カバーと相互作用して、調整空洞を画成する。これは、前記第二内部流路のなかに配置されている。これは、第二フィルタ要素を支持するよう構成されている。これは、前記ガス源からの吹き込みガスを濾過するために用いられる。
【0018】
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、また、前記第三内部流路のなかに位置する真空室を含む。前記真空室は、前記ノズル室と複数のガス移動ポートを通して連通し、前記ノズル・アセンブリからの使用済ガスが、再加圧及び循環のため、前記ポンプに帰還できるようにする。第三フィルタ要素が、前記真空室のなかに配置されている。これは、前記患者の腹腔から前記ポンプに帰還するガスを濾過するために用いられる。
【0019】
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、貯蔵室を更に含む。これは、前記第三内部流路のなかに位置し、前記真空室から下流にあり、流体移動ポートを通してそれと流体連通している。前記貯蔵室は、前記ポンプの吸引によって前記ガス調整ユニットの前記ハウジングのなかへ引き入れられる流体及び残屑を収容する。流体レベルセンサが、前記貯蔵器のなかに配置されている。これは、そのなかで所定の流体レベルを検出するために用いられる。警報設定点が、これらのセンサと関連付けられている。
【0020】
前記第一導管は、継手を含む。これは、第一外科用アクセスポートと連通するために用いられる。前記第一外科用アクセスポートは、その中心ルーメンと関連付けられた機械式弁又はシールを含む。これは、外科器械を前記腹腔のなかへ導入できるようにするために用いられる。前記第二導管は、継手を含む。これは、前記腹腔の吹き込み及びそこからの圧力測定を担う第二外科用アクセスポートと連通するために用いられる。前記第三導管は、継手を含む。これは、前記腹腔からの煙排出を担う第三外科用アクセスポートと連通するために用いられる。
【0021】
本主題発明は、また、ガス調整ユニットに関する。これは、患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中にガス送給装置とともに使用するためのものである。前記ユニットは、前記ガス送給装置と係合するよう構成された入口端及び対向する出口端を有するハウジングと、加圧ガスを前記ガス送給装置のなかにおけるポンプから受け入れるために用いられる前記ハウジングのなかにおける第一濾過済流路と、吹き込みガスを前記腹腔へ送給するために用いられ、前記ハウジングの前記出口端に連結された第二導管を通して周期的に静圧を感知するために用いられる前記ハウジングのなかにおける第二濾過済流路と、加圧ガスを前記ポンプに帰還させるために用いられる第三濾過済流路とを含む。
【0022】
好ましくは、前記第一濾過済流路は、複数の噴出口を有する環状ノズル・アセンブリを含む。これらは、前記ポンプによって送給される前記加圧ガスを加速して、それにより、前記ガス調整ユニットのなかに包含される連続的な圧力バリア又は作業ゾーンを生成するよう寸法決定され構成されている。これは、吹き込みガスが前記腹腔から流出するのを阻止しつつ、安定した気腹を維持する。
【0023】
前記調整ユニット又はカートリッジの前記出口端は、出口カバーを含む。これは、前記第一濾過済流路に対応する第一出口ポートと、前記第二濾過済流路に対応する第二出口ポートと、前記第三濾過済流路に対応する第三出口ポートとを有する。
【0024】
前記ガス調整ユニットの前記入口端は、入口カバーを含む。これは、前記第一導管と連通する前記第一濾過済流路に対応する第一入口ポートと、前記第二導管と連通する前記第二濾過済流路に対応する第二入口ポートと、前記第三導管と連通する前記第三濾過済流路に対応する第三入口ポートと有する。前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、圧力室を含む。これは、前記第一流路のなかに位置し、前記第一出口と連通している。
【0025】
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、また、前記環状ノズル・アセンブリを支持する円筒状壁を有する中心ノズル室を含む。前記中心ノズル室は、前記圧力室と、内部送給ポートを通して連通している。前記環状ノズル・アセンブリは、軸方向に離間した一対の外側密封リングを有する円筒状噴出口群を含む。これは、前記中心ノズル室のなかで前記ノズル・アセンブリを密封式に隔離するために用いられる。前記中心ノズル室は、円周方向に配置され離間した複数の軸方向フィンを含む。これは、前記円筒状噴出口群より遠位にある。これは、ガス流を方向付けるために用いられる。前記中心ノズル室は、呼吸チューブと連通している。これは、前記円筒状噴出口群より近位にある。これは、空気を巻き込むため、大気に開かれている。
【0026】
第一フィルタ要素が、前記圧力室のなかに配置されている。これは、前記ポンプからの加圧ガスを濾過するために用いられる。前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、ダイバータ板を含む。これは、前記出口カバーと相互作用して、調整空洞を画成する。これは、前記第二濾過済流路のなかに配置されている。これは、第二フィルタ要素を支持するよう構成されている。これは、前記ガス源からの吹き込みガスを濾過するために用いられる。
【0027】
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、また、前記第三濾過済ガス路のなかに位置する真空室を含む。前記真空室は、前記ノズル室と、複数のガス移動ポートを通して連通し、これにより、前記ノズル・アセンブリからの使用済ガスが、再加圧及び循環のため、前記ポンプに帰還できる。第三フィルタ要素が、前記真空室のなかに配置されている。これは、前記ポンプに前記患者の腹腔から帰還するガスを濾過するために用いられる。
【0028】
前記ガス調整ユニットの前記ハウジングは、貯蔵室を更に含む。これは、前記第三濾過済流路のなかに位置し、前記真空室から下流にあり、流体移動ポートを通してそこと流体連通している。これは、前記ポンプの吸引によって前記ガス調整ユニットの前記ハウジングのなかへ引き入れられる流体又は残屑をすべて収容するために用いられる。流体レベルセンサが、前記貯蔵器のなかに配置されている。これは、そのなかで所定の流体レベルを検出するために用いられる。警報器が、これらのセンサと動作可能に関連付けられている。
【0029】
前記第一導管は、継手を含む。これは、第一外科用アクセスポートと連通するために用いられる。前記第一外科用アクセスポートは、その中心ルーメンと関連付けられた機械式弁を含む。これは、外科器械を前記腹腔のなかへ導入できるようにするために用いられる。前記第二導管は、継手を含む。これは、前記腹腔の吹き込み及び圧力測定を担う第二外科用アクセスポートと連通するために用いられる。前記第三導管は、継手を含む。これは、前記腹腔からの煙排出を担う第三外科用アクセスポートと連通するために用いられる。
【0030】
本主題発明の前記外科的ガス送給システム及び前記ガス調整装置のこれらの及びその他の特徴、並びに、それら双方を製造し使用するやり方は、以下で説明するいくつかの図面とともに用いられる、本主題発明の好ましい実施形態の以下の実施可能な説明から、当業者にもっと容易に明らかになるだろう。
【0031】
本主題発明が属する技術における当業者が、本主題発明のガス送給システムをどのように作製し使用するかを、過度の実験なしに、容易に理解するようにするため、その好ましい実施形態を、本明細書において詳細に、いくつかの図面を参照して以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本主題発明の前記ガス送給システムが、腹腔鏡下外科的処置中に使用される動作環境の説明図。これは、特に、ガス源からの吹き込みガスを受け入れるために用いられるポートを有するハウジングを有するガス送給装置と、加圧ガスを循環するために用いられるポンプと、使い捨てのガス調整ユニットとを含む。
【
図2】
図1で図示した前記ガス送給装置及び独立したガス調整ユニットの斜視図。
【
図3】本主題発明の前記ガス調整ユニットを前記ユニットの前端から見た斜視図。そこから延在している三つの前記導管を図示している。
【
図4】本主題発明の前記ガス調整ユニットをユニットの後端から見た斜視図。その三つのポートを図示している。
【
図5】本主題発明の前記ガス調整ユニットの分解斜視図。図示を容易にするため、部品を分離している。
【
図6】前記環状噴出口リングの分解斜視図。これは、
図5で示した前記ガス調整ユニットの前記内部ノズル・アセンブリを形成する。
【
図7】本主題発明の前記ガス調整ユニットの
図3の線7−7に沿った断面斜視図。前記ガス調整ユニットの前記ハウジングのなかにおける前記フィルタ要素の位置を図示している。
【
図8】本主題発明の前記ガス調整ユニットの
図3の線8−8に沿った断面斜視図。前記ユニットの前記ハウジングのなかにおける前記真空室の内部特徴を図示している。
【
図9】本主題発明の前記ガス調整ユニットの断面図。前記貯蔵器における液体レベル感知角柱を示すため、壁を切り欠いてある。
【
図10】本主題発明の前記ガス調整ユニットの断面図。壁を切り欠いて、前記ユニットの前記ハウジングのなかにおける吹き込み/感知路レイアウトを図示している。
【
図11】本主題発明の前記ガス調整ユニットの断面図。壁を切り欠いて、前記ユニットの前記ハウジングのなかにおける圧力路レイアウトを図示している。
【
図12】前記ハウジングのなかにおける前記中心ノズル室の局所断面図。前記内部圧力バリア又は作業ゾーンが、前記ノズル・アセンブリによって形成されている。これは、手術部位から遠く離れている。
【
図13】本主題発明の前記ガス調整ユニットの断面図。壁を切り欠いて、前記ハウジングのなかにおける真空路レイアウトを図示している。
【
図14】前記ガス調整ユニットに関連付けられた前記可撓性導管が、患者の前記腹腔と直接連通する各外科用アクセス装置に連結されるやり方を図示している。これは、器械アクセスのために用いられる従来の弁付きトロカールと、煙排出に関連付けられた真空帰還のために用いられるカニューレと、吹き込み及び感知のために用いられる別のカニューレとを含む。
【
図15】
図14で示した従来の弁付きカニューレの局所拡大斜視図。
【
図16】前記加圧ガス供給導管を
図13で示した従来のトロカールに連結するために使用される結合器の構成要素の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここで図面を参照する。似た参照番号は、本主題発明の同様の構造的特徴又は態様を識別する。
図1,2に図示されているのは、新しく有用なシステムである。これは、患者の腹腔のなかにおいて行われる腹腔鏡下外科的処置中に医療ガス(例えば、二酸化炭素)を送給し循環させるために用いられる。これは、電気焼灼装置その他の器械(例えば、超音波振動メス)から生成される煙の排出を伴う。そうしないと、これが内視鏡などからの視界を曇らせ、その表面を覆うことにより、前記腔のなかにおける可視性が減少する。
【0034】
前記ガス送給システムは、参照番号10により、全体として指示されている。これは、後部コネクタ又はポート16を有するハウジング14を伴うガス送給装置12を特に含む。これは、加圧された吹き込みガスをガス源18から受け入れるために用いられる。図示したとおり、前記ガス源18は、携帯型供給キャニスターである。しかしながら、前記医療又は吹き込みガスは、別の源から供給され得ると考えられる。これは、例えば、遠隔貯蔵タンク(例えば、屋内ガス)を含む。これは、当技術において周知のとおりである。ポンプアセンブリ20が、送給装置12の前記ハウジング14のなかに納められている。これは、外科的処置中に前記システム10全体にわたって加圧ガスを循環させて、安定した気腹を維持するために用いられる。
【0035】
グラフィカル・ユーザ・インタフェース25が、関連付けられた制御回路を伴って、ガス送給装置12の前記ハウジング14のなかに設けられている。これは、前記ポンプアセンブリ20の動作、及び、供給源18からの吹き込みガスの送給を制御するために用いられる。前記インタフェース及び関連付けられた回路により、ユーザは、前記システム全体にわたるガス及び流体の送給、循環及び再循環に関係する流量及び供給圧力を容易に調節できる。
【0036】
前記ガス送給システム10は、独立し好ましくは使い捨てのガス調整ユニット30を更に含む。これは、前記ガス送給装置12と動作可能に関連付けられるよう寸法決定され構成されている。以下もっと詳細に説明するとおり、前記ガス調整ユニット30は、連続的なガス圧力バリアを、前記患者から遠く離れた前記ユニットそれ自体の前記ハウジングのなかにおいて生成するよう構築されている。このガス圧力バリア又は作業ゾーンは、吹き込みガスが前記患者の前記腹腔から流出するのを防止しつつ、前記腹腔のなかにおいて安定した気腹を維持する。この特徴は、共通権利者による米国特許第7,854,724号明細書において開示された多モード・ガス送給システムとは異なる。そこでは、ガス圧力バリアを、手術部位にある特別なトロカールのハウジングのなかにおいて生成する。
【0037】
前記ガス調整ユニット30は、いくつかの内部流路を含む。これは、吹き込みガスの周期的な送給、並びに、加圧ガスの連続的な循環及び再循環を助けるよう構成されている。特に、第一内部流路(すなわち、
図11で示した圧力路)が設けられ、加圧ガスを前記ガス送給装置12の前記ポンプアセンブリ20から受け入れるために用いられる。前記第一内部流路は、第一導管32と関連付けられている。これは、第一外科用アクセス装置又はトロカール34に連結されている。前記トロカール34は、主路であり、外科的処置中に外科器械類を前記腹腔のなかへ導入するために用いられる。これは、機械式シールがそのなかに設置されている。前記加圧ガスを使用して、前記ガス調整ユニット30のなかにおいて圧力バリアを生成する。これにより、ガスが前記腹腔から、前記導管32を通して流出するのを防止する。その際、これは、また、前記患者15の前記腹腔のなかにおいて安定した気腹を維持する。
【0038】
前記ガス調整ユニット30は、第二内部流路(すなわち、
図10で示した感知/吹き込み路)を更に含む。これは、吹き込みガスを前記ガス送給装置12から前記患者15の前記腹腔に送給するために用いられ、第二外科用アクセス装置又はカニューレ38に連結された第二導管36を通して前記腹腔から周期的に静圧測定するのを助けるために用いられる。圧力測定同士の間の吹き込み期間の持続時間は、前記患者及び動作環境に応じて変わり得る。前期腹腔からの静圧測定を得るために用いられる、このフロー・アンド・ストップ方法論は、当技術において周知である。
【0039】
前記ガス調整ユニット30は、また、第三内部流路(すなわち、
図13で示した真空路)を含む。これは、加圧ガスを前記ガス送給装置12の前記ポンプアセンブリ20に、第二外科用アクセス装置又はカニューレ42に連結された第三導管40を通して帰還させるために用いられる。前記ポンプアセンブリ20に帰還した前記ガスは、二つの場所又は源から来る。これは、前記調整ユニット30のなかにおいて前記圧力バリアを生成するために使用された前記加圧ガスと、前記患者15の前記腹腔のなかからのガスとを含む。これは、電気焼灼処置などから生じた煙及び残屑を運び得る。
【0040】
続いて
図2を参照する。前記ガス調整ユニット30は、相互嵌合する突起配置を通して、ガス送給装置12の前記ハウジング14のなかへ容易に設置され、そこから取り外されるよう適合され構成されている。もっと詳細に言うと、
図3,4で最もよく見えるとおり、ガス調整ユニット30の前記略円筒状ハウジング50は、円周方向に離間した複数の係合突起を含む。これは、L字状突起52と、正方形状突起54とを含む。第三突起56が
図8に見える。三つの前記係合突起52,54,56は、対応する形状及び位置を持つ凹部62、64及び66と相互作用するよう寸法決定され構成されている。これらは、ハウジング14の前面パネルのなかに形成された前記カートリッジ係合ポート60の周辺に画成されている。これは、
図2に示したとおりである。
【0041】
続いて
図3,4を参照する。ガス調整ユニット30の前記ハウジング50は、前端キャップ又は入口カバー70と、後端キャップ又は外側カバー90とを含む。前記前端キャップ70は、三つの導管連結チューブがそれと関連付けられている。これらは、第一又は中心導管連結チューブ72を含む。これは、前記前端キャップ70におけるアパーチャ75を貫通して延在し、前記第一導管32と動作可能に関連付けられている。これは、
図1,2で示されている。前端キャップ70は、また、前記第二導管36と動作可能に関連付けられた第二導管連結チューブ76と、前記第三導管40と動作可能に関連付けられた第三導管連結チューブ80とを含む。これらも、また、
図1,2で示されている。
【0042】
前記後端キャップ90は、三つの出口ポートを含む。それぞれは、関連付けられた密封リングを有する。前記第一出口ポート92は、前記第一内部流路(すなわち、
図11で示した前記圧力路)と、そして最終的にチューブ72と連通している。前記第二出口ポート94は、前記第二内部流路(すなわち、
図10で示した前記感知/吹き込み路)と、そして最終的にチューブ80と連通している。前記第三出口ポート96は、前記第三内部流路(すなわち、
図13で示した前記真空路)と、そして最終的にチューブ96と連通している。
【0043】
前記第一出口ポート92は、第一Oリング・シール102を含む。前記第二出口ポート94は第二Oリング・シール104を含む。前記第三出口ポート96は第三Oリング・シール106を含む。三個の前記Oリング・シール102,104,106は、同一平面をなすように、前記後端キャップ90の上に載置され配置されて、ハウジング14の前記前面パネルにおける前記カートリッジ係合ポート60のなかにおける対応する特徴と協働する。
【0044】
Oリング・シールの同様の同一平面配置は、共通権利者による米国特許出願公開第2012/0138523号明細書において開示されている。これは、本明細書に参照により全体として援用される。更に、前記後端キャップ90は、中心排気ポート108を含む。これにより、いくつかの動作条件のもと、空気を前記再循環流のなかへ巻き込むことができる。これは、以下でもっと詳細に記述する。
【0045】
ここで
図5を参照する。前記ガス調整ユニット30が図示されている。図示を容易にするため、その各構成要素部品を、前記円筒状ハウジング50から分離している。また、調整ユニット30の前記ハウジング50のいくつかの内部特徴が示されている。そこから始めて、前記ハウジング50は、いくつかの内部空洞を含む。これは、構成要素を支持したり、ガス/流体流通路を画成したりするために用いられる。ハウジング50の前端には、真空室110がある。これは、前記第三内部流路(すなわち、
図13で示した前記真空路)のなかに位置する。
【0046】
前記真空室110は、円筒状の襞状フィルタ要素120を支持するよう寸法決定され構成されている(
図7も参照)。前記襞状フィルタ要素120は、好ましくは、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から作られた多孔性の不織布又はメルトブロー式の濾材から作製される。フィルタ要素120は、ずれた穴122を有する。これは、前記ユニット30が完全に組み立てられたとき、前記中心導管連結チューブ72がそこを通る通路を提供する。
【0047】
図7,9に最もよく見えるとおり、ガス調整ユニット30の前記ハウジング50は、貯蔵室130を更に含む。これは、やはり、前記第三内部流路のなかに位置し、前記真空室110から下流にあり、そこと流体連通している。もっと詳細に言うと、前記貯蔵室130は、前記真空室110と、ハウジング50の前記内部壁135のなかに形成された流体移動ポート132を通して連通している。
【0048】
ガス送給装置12におけるポンプ20の吸引により前記ガス調整30ユニットの前記ハウジング50のなかへ引き入れられた流体及び残屑はすべて、まず、前記真空室110のなかにおいて、前記移動ポート132のレベルに達するまで堆積し、その後、そのような流体は、前記貯蔵室130のなかへ入る。
【0049】
図9を参照する。角柱状の流体レベルセンサ134,136が、前記貯蔵室130のなかに配置されている。これは、そのなかで所定の流体レベルを検出するために用いられる。前記流体レベルセンサ134,136の構造及び機能、並びに、警報設定点及びそれに関連付けられた回賂は、共通権利者による米国特許出願公開第2013/0231606号明細書におてもっと詳細に説明されている。その開示は、本明細書に参照により全体として援用される。
【0050】
続いて
図5を
図7,9と併せて参照する。ガス調整ユニット30の前記ハウジング50は、前記第一内部流路(すなわち、
図11で示した前記圧力路)のなかに位置する圧力室140を更に含む。圧力室140は、円筒状の襞状フィルタ要素150を支持するよう寸法決定され構成されている(
図7も参照)。襞状フィルタ要素150は、好ましくは、ポリプロピレンなどのプラスチック材料から作られた多孔性の不織布又はメルトブロー式の濾材から作製される。
【0051】
フィルタ要素150は、中心穴152を有し、円筒状呼吸チューブ165を収容する。呼吸チューブ165は、前記後端キャップ90における前記中心呼吸ポート108と連通して、いくつかの動作条件のもと、周囲空気を前記システムのなかへ巻き込むのを助ける。
図5,7で最もよく見えるとおり、環状バリア壁160が、前記貯蔵室130を前記圧力室140から分離し、流体的に隔離する。前記バリア壁160は、前記ハウジング50の前記内壁のなかに形成された環状棚部162の上に載置されている。
【0052】
ガス調整ユニット30の前記ハウジング50は、また、主に円筒状壁172によって画成された中心ノズル室170を含む。これは、襞状フィルタ150に囲まれている。前記中心ノズル室170は、前記圧力室140と、内部送給ポート174を通して連通している(
図5,11参照)。前記中心ノズル室170は、二部品環状ノズル・アセンブリ180を支持している。これは、
図6において分離した状態で示されている。前記環状ノズル・アセンブリ180は、共通権利者による米国特許第8,795,223号明細書においてもっと詳細に説明されている。これは、本明細書に参照により全体として援用される。
【0053】
概して、前記環状ノズル・アセンブリ180は、上方及び下方リング状噴出口構成要素182,184を含む。これらは、円周方向に離間し協働する一組の突起182a〜182d,184a〜184dによって互いに連結されている。前記上方リング状噴出口構成要素182は、中心チューブ状部分183を含む。これは、円周方向に離間した一組の凹状領域185を有する。これは、離間した一組の陸領域187を形成している。前記下方リング状噴出口構成要素184は、連続的な座面189を含む。これは、上方リング状噴出口構成要素182の前記チューブ状部分183を密接に受け入れるために用いられる。
【0054】
二つの前記リング状噴出口構成要素182,184がともに相互嵌合すると、環状ノズルが、前記チューブ状部分183の前記陸領域187と連続的な前記座面189との間に形成される。加圧空気が前記圧力室140から前記送給ポート174を通して前記ノズル室170のなかへ入り、その後、前記チューブ状部分183と連続的な前記座面189との間の密接な係合によって形成された前記ノズル180を通って送給されると、圧力バリア又は作業ゾーンが、調整ユニット30の前記ハウジング50のなかにおいて生成され、吹き込みガスが患者の前記腹腔から導管32を通して流出するのを防止する。これは、
図12で最もよく見える。
【0055】
前記環状ノズル・アセンブリ180は、軸方向に離間した一対の外側密封リング186a,186bを更に含む。これは、前記ノズル・アセンブリ180を前記中心ノズル室170のなかにおいて密封式に隔離するために用いられる。これは、
図7で最もよく見えるとおりである。ハウジング50の前記中心ノズル室170は、円周方向に配置され離間した複数の軸方向ベーン又はフィン190を含む。これは、前記円筒状噴出口群182,184より遠位に位置する。前記ベーン190は、使用済ガス(すなわち、前記噴出口群ノズル・アセンブリ180から送給された後、その運動量を失った加圧ガス)の流れを前記作業ゾーンから離れるよう方向付けるよう適合され構成されている。
【0056】
前記中心ノズル室170は、前記呼吸チューブ165と連通している。これは、前記ノズル・アセンブリ180より近位に位置する。前記呼吸チューブ165は、大気に開かれ、いくつかの動作条件のもと、空気を前記ガス送給システムの前記再循環流のなかへ巻き込むことができるようにする。前記呼吸チューブ165は、基部167を含む。これは、前記ノズル室170のための端キャップを形成する。
【0057】
図8,9を参照する。前記真空室110は、中心ノズル室170と、ハウジング50の前記内部壁135のなかに形成された複数のガス移動ポート192を通して連通している。前記ガス移動ポート192により、前記ノズル・アセンブリ180からの使用済ガスが、再加圧及び循環のため、前記ポンプ20へ帰還できる。これは、以下もっと詳細に説明するとおりである。これは、ポンプ20によって生成された吸引によって生じる。
【0058】
再び
図5を参照する。前記ガス調整ユニット30の前記ハウジング50は、また、ダイバータ板210を含む。これは、前記出口カバー90と相互作用して、いくつかある特徴のなかでも特に、調整空洞212をその間に画成している。前記調整空洞212は、前記第二内部流路の一部を形成し、端キャップ90における出口ポート94と連通し、不織メッシュなどから作製された平らなフィルタ要素220を支持するよう構成されている。これは、前記ガス源18から送給される吹き込みガスを濾過するために用いられる。
【0059】
ダイバータ板210は、また、中心アパーチャ215を含み、呼吸チューブ165が通る通路を提供する。
【0060】
ここで
図10を参照する。動作中において、吹き込みガスは、前記ガス源18から前記調整空洞212のなかへ、前記後端キャップ90における前記入口ポート94を通って送給される。前記ガスは、平らなフィルタ要素220を通るとき、調整されその他濾過される。前記濾過済ガスは、ダイバータ板210における前記三日月状側部アパーチャ214を通って前記調整空洞212を居て、その後、ハウジング50の前記内部側流通路216のなかへ流れる。前記吹き込みガスは、その後、前記前端キャップ70における導管チューブ80を通って前記ハウジング50を出て、可撓性導管36を通して前記患者15に送給される。
【0061】
図10で示したこの同じ経路を使用して、周期的に腹圧を感知する。すなわち、ガス源18からの吹き込みガスの流れを、ガス送給装置12の前記ハウジング14のなかに位置する弁(不図示)によって間欠的に止める。その結果、前記感知路を通る(例えばハウジング50における路216を通る)流れがない間の期間がある。そのようなとき、前記腹腔のなかにおける静圧を、前記ガス送給装置12により導管36を通して測定できる。この圧力測定を使用して、例えば、前記腹腔へのガスの流れを調節する。
【0062】
ここで
図11を参照する。動作中において、加圧ガスは、ガス送給装置12における前記ポンプ20から、前記後端キャップ90における前記入口ポート92を通して送給される。前記加圧ガスは、その後、ダイバータ板210のなかの中心的にずれた前記円形アパーチャ218を通過し、その後、前記圧力室140のなかへ入る。そこで、襞状フィルタ要素150を通過することにより、調整されその他濾過される。
【0063】
前記加圧ガスは、その後、内部送給ポート174を通して前記中心ノズル室170に移動する。前記中心ノズル室170において、前記加圧ガスは、前記ノズル・アセンブリ180を通るよう方向付けられ、そこで、中心チューブ状通路280の上方領域のなかにおいて圧力バリアを形成する。これは、前記導管チューブ72と動作可能に関連付けられている。これは、
図12に最もよく見えるとおりである。この圧力バリア又は作業ゾーンは、前記腹腔から可撓性導管32及び導管チューブ72を通して出てくる吹き込みガスが流出するのを妨げつつ、前記患者15の前記腹腔のなかにおいて安定した気腹を維持する。
【0064】
図13を参照する。動作中において、前記患者の前記腹腔からのガスは、ポンプ20によって生じる吸引のもと、前記ハウジング50のなかへ端キャップ70の導管連結76を通して引き入れられる。前記ハウジング50のなかへ引き入れられた前記ガスは、体液、焼灼処置からの煙や、その他進行中の腹腔鏡下外科的処置からの残屑を含み得る。その流体/ガス/固体の流れは、前記真空室110のなかにおいて襞状フィルタ要素120によって濾過される。前記濾過済ガスは、真空室110から外に前記側部ポート282を通して引き出され、ハウジング50のなかに形成された前記横流路284のなかへ入る。そのガスは、その後、ダイバータ板210における前記三日月状側部アパーチャ285を通して流れ、前記ハウジング50から外に、前記後端キャップ90における退出ポート96を通して出る。
【0065】
また、ポンプアセンブリ20からの吸引によって、前記調整ユニットのなかにおいて前記圧力バリアを発現させるために使用された使用済流体/ガスを、前記ノズル室170の床のなかに形成された複数のアパーチャ192を通して引き込む。その使用済流体/ガスは、前記真空室110のなかへ入り、前記側部ポート282を通して流れて、前記横流路284のなかへ入る。前記使用済流体/ガスは、腹からの前記濾過済ガスとともに、退出ポート96を通って前記ハウジング50を出て、ポンプ20に帰還する。前記調整済の流れは、前記ポンプ20によって再加圧され、圧力アパーチャ92を通して前記ハウジング50に戻って再循環され、その後、ノズル室170における前記ノズル・アセンブリ180に送給される。
【0066】
ここで
図14〜16を参照する。上述したとおり、前記ガス調整ユニット30と関連付けられた前記可撓性導管は、それぞれ、患者の前記腹腔と直接連通する独立した外科用アクセス装置に連結される。これらの装置は、器械アクセスを可能にするために用いられる従来の弁付きトロカール34を含む。これは、
図15で示したとおりである。すなわち、トロカール34は、ダックビル弁などの機械式弁を含む。これは、ノズル・アセンブリ180によって調整ユニット30のなかで形成された前記圧力バリア又は作業ゾーンと協力して、吹き込みガスが前記腹腔から前記アクセスポートを通して流出するのを機械的に阻止するよう設計されている。前記アクセス装置は、煙排出処置に関連付けられた真空帰還のために用いられる第一の従来式カニューレ38と、前記腹腔15の吹き込み及びそこからの静圧感知を助けるために用いられる第二の従来式カニューレ42とを更に含む。
【0067】
従来のトロカールは、標準的なレアー式継手340を含むので、アダプタ・アセンブリ300を設けて、大径の前記導管32を前記トロカール34の前記継手340に連結する。前記アダプタ・アセンブリ300は、単一ルーメン配管コネクタ320を含む。これは、大径の前記導管32を受け入れるよう寸法決定され構成された第一端322と、前記トロカール34と連通するためにサイズが縮小された第二端324とを有する。
【0068】
前記配管コネクタ320は、回転可能な把持カラー330のなかにおいて支持されている。前記把持カラー330は、ねじ付き部材342と相互嵌合する。前記ねじ付き部材342は、トロカール34の上の前記レアー式継手340と直接連結する。前記ねじ付き部材342は、後方に面した複数のラチェット・フィンガー344を含む。これは、前記把持カラー330の内部に形成された一連の段付きラチェット爪346と相互作用するために用いられる。この相互作用により、前記導管32をトロカール34に連結するとき、特定のトルクを前記カラー330に印加できる。同様の機構は、共通権利者による米国特許出願公開第2014/0171855号明細書において開示されている。この開示は、本明細書に参照により全体として援用される。
【0069】
本主題発明の前記ガス送給装置及び関連したガス調整ユニットを、好ましい実施形態を参照して図示し説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義されたとおりの本主題発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更や修正をそれに対してなし得ることを、当業者は容易に認識するだろう。例えば、前記調整ユニットのなかに形成された前記ガス流路のそれぞれの場所及び相対的な位置は変えることができる。前記調整ユニットのなかで使用される前記フィルタ要素の種類及び大きさも変えることができる。