特許第6661652号(P6661652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6661652RFエネルギー使用可能な組織デブリドマンデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661652
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】RFエネルギー使用可能な組織デブリドマンデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20200227BHJP
   A61B 17/3205 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   A61B18/14
   A61B17/3205
【請求項の数】22
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2017-542044(P2017-542044)
(86)(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公表番号】特表2018-504983(P2018-504983A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】US2016018486
(87)【国際公開番号】WO2016134156
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2019年2月5日
(31)【優先権主張番号】62/117,523
(32)【優先日】2015年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】プリスコ,ジョン・アール
(72)【発明者】
【氏名】デトマーズ,エリック・ピー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウェンジェン
(72)【発明者】
【氏名】リトル,デーヴィッド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】リチャート,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】バルデス,ホセ
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/191811(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0331833(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0060862(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0200123(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0163126(US,A1)
【文献】 米国特許第05916150(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0132890(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 17/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延在している内腔、近位端、および前記近位端の反対側の遠位端を画定している外軸であり、前記遠位端は、前記内腔へ開いている切断窓を形成している、外軸と、
前記中心軸周りに、前記外軸の前記内腔の内部に回転可能に配設されている内軸であり、切断先端部を形成している遠位部を画定している、内軸とを含み、
前記切断先端部と前記切断窓とは結合して切断器具を画定しており、
さらに、前記切断器具に形成されている第1の電気的に絶縁された電極面および第2の電気的に絶縁された電極面と、
前記外軸に平行に延在している洗浄チャネルであり、前記切断窓から近位に離間されておりかつ前記外軸の径方向外側に配置されている少なくとも1つの出口で終端している、洗浄チャネルと
を含む、双極電気外科デバイス。
【請求項2】
前記外軸は前記第1の電極面を形成している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記外軸に接続されておりかつ前記第2の電極面を画定している第2の電極体をさらに含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記外軸を覆って配設されており、前記外軸および前記第2の電極体を電気的に絶縁する電気絶縁体をさらに含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記切断窓の少なくとも部分が前記第1の電極面の少なくとも部分を画定するように、前記切断窓の表面には前記電気絶縁体がない、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の電極体および前記外軸周りに配設されている絶縁層をさらに含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の電極体の少なくとも部分には前記絶縁層がなく、前記第2の電極面を形成している、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記洗浄チャネルは前記内軸と前記外軸との間の間隔により画定されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの出口は水抜き穴を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの出口は多孔質材により形成されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの出口は前記外軸に形成されている穴部を含む、請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
前記外軸を覆って配設されている電気絶縁体をさらに含み、前記外軸の領域には前記電気絶縁体がなく、前記第1の電極面を画定しており、さらに前記少なくとも1つの出口は、前記電気絶縁体の厚さを貫通して形成されている穴部を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記外軸にある前記穴部は前記電気絶縁体にある前記穴部と位置合わせされている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記外軸を少なくとも部分的に取り巻いている第2の電極体と、前記第2の電極体および前記外軸周りに配設されている絶縁層とをさらに含み、さらに前記少なくとも1つの出口は、前記絶縁層の厚さを貫通して形成されている穴部を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記外軸にある前記穴部と、前記電気絶縁体にある前記穴部と、前記絶縁層にある前記穴部とは位置合わせされている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記位置合わせされた穴部により画定されている前記少なくとも1つの出口の中心線が前記中心軸に対して斜めである、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記外軸に塗布されている電気絶縁体と、前記外軸に接続されておりかつ前記第2の電極面を画定している第2の電極体とをさらに含み、前記少なくとも1つの出口が、前記外軸の厚さを貫通して形成されている穴部を含み、さらに前記少なくとも1つの出口が、前記電気絶縁体と前記第2の電極体との間に画定されているチャネルへ開いている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第2の電極体は、非導電性材料で形成されている内層と、導電性材料で形成されている外層とを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの出口は、吐出された流体を遠位方向に向かわせるそらせ板をさらに含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの出口は、吐出された流体を遠位方向に向かわせる導管をさらに含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項21】
前記洗浄チャネルは、前記外軸に接続されている洗浄管により画定されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記外軸を覆って塗布されている電気絶縁体をさらに含み、前記洗浄チャネルは前記電気絶縁体に画定されている、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本開示は、全般的に、骨および軟部組織などの組織を切断し、封止するためのデバイス、システム、および方法に関する。本明細書に提示されているコンセプトは、洞用途および鼻咽頭/咽頭手技に特に適している可能性があり、Transcollation(登録商標)技術を、マイクロデブリッダデバイスと組み合わせてもよいかまたはそれに与えてもよい。
【背景技術】
【0002】
[02]本開示によるデバイス、システム、および方法は、耳、鼻および喉(ENT)の手技、頭および首の手技、神経耳化学的手技を含む耳科学の手技を含む様々な手技に適している。本開示は、乳突削開術および乳突洞削開術;扁桃摘出、気管手技、アデノイド切除、咽頭病変除去およびポリープ切除などの鼻咽頭手技ならびに咽頭手技を含む様々な他の外科的手技に;ポリープ切除、鼻中隔形成、鼻中隔棘の除去、開洞術、前頭洞穿孔および洗浄、前頭洞開放、内視鏡下DCR、鼻中隔湾曲の矯正および経蝶形骨の手技などの洞手技に;鼻形成ならびに顔の上顎領域および下顎領域における脂肪組織の除去に適している可能性がある。
【0003】
[03]洞手術は、眼および脳などの感覚器官に対するその位置、外科医にとって関心のある解剖学的構造の比較的小さい大きさ、および典型的な手技の複雑さに因り、困難である。機械的切断構成要素を備えたデブリッダの例が、米国特許第5,685,838号、同第5,957,881号、同第6,293,957号に記載されている。これらのデバイスは、洞手術中の動力付きの組織切断および除去に関して特に成功を収めているが、組織を封止して、手技による出血量を減少させるいかなる機構も含まない。組織を封止することは、複雑で正確さ本位の行為である傾向がある洞手術中に特に望ましい。
【0004】
[04]組織を封止する現行の手法は、Transcollation(登録商標)技術を利用することを含み、この技術では、封止エネルギーが(ニューハンプシャー州ポーツマスのMedtronic Advanced Energyから入手可能な)アクアマンティス(Aquamantys)(登録商標)システムにより供給され、該アクアマンティス(登録商標)システムは、手術中または手術後の出血を止め、失血を減少させる。該技術は無線周波(RF)エネルギーと食塩水との組合せを使用して軟部組織および骨の止血封止を実現し、該止血封止は輸血率を低下させ、手術中または手術後の他の血液管理製品の必要性を低減する可能性がある。Transcollation(登録商標)技術は、RFエネルギーと食塩水とを統合して、制御された熱エネルギーを組織へ送達する。食塩水とRFエネルギーとの結合は、デバイス温度が、他の焼灼法に見られる関連する炭化を伴わずに組織効果を生じる範囲内にある状態を継続することを可能にする。
【0005】
[05]他の切除デバイスが、機械的切断および焼灼または電気焼灼エネルギーを含む。例えば、PK diego(登録商標)動力付き解剖器具は、テネシー州バートレットのGyrus ENTから市販されている。このデバイスは、互いに対して移動可能な2つの機械的切断刃構成要素を利用し、その内の1つは双極焼灼システムにおいて電極の機能を果たす。焼灼および切断の間、このデバイスは、電気エネルギー送達中、流体の送達における効果を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[06]外軸と、内軸と、第1の電極面および第2の電極面と、洗浄チャネルとを含む双極電気外科デバイス。外軸は、中心軸に沿って延在している内腔と、近位端と、近位端の反対側の遠位端とを画定している。遠位端は、内腔へ開いている切断窓を形成している。内軸は、中心軸周りに、外軸の内腔の内部に、回転可能に配設されている。内軸は、切断先端部を形成する遠位部を画している。切断先端部と切断窓とは結合して切断器具を画定している。第1の電極面と第2の電極面とが互いに電気的に絶縁されており、切断器具に形成されている。洗浄チャネルは外軸に平行に延在しており、少なくとも1つの出口において終端している。該出口は切断窓から近位に離間されており、外軸の径方向外側に配置されている。この構造では、流体(例えば、食塩水)が、切断窓付近の、デバイスの外面で放出され、電極面と相互作用する、例えば電極面における双極通電を促進する、ために直ちに現れる。流体(例えば、食塩水)が内軸と外軸との間で放出される従来の電気焼灼器デブリッダ構造と対照的に、本開示のデバイスでは、送達された流体が直ちに吸引されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[07]双極電気デバイスを含むシステムの概略図である。
図2A】[08]ハウジング部分が除去された状態の、図1のシステムの双極電気デバイスの等角図である。
図2B】[09]図1のシステムの双極電気デバイスの横断面図である。
図3】[10]図2Aのデバイスの内軸組立体部分の横断面図である。
図4】[11]図2Aのデバイスの外軸組立体部分の横断面図である。
図5】[12]図2Aのデバイスの第1の電極組立体部分および第2の電極組立体部分の等角図である。
図6】[13]図6Aは、図2Aのデバイスの第2の管状部材の部分の拡大斜視図である。[14]図6Bは、電気絶縁体で被覆されている図6Aの第2の管状部材の拡大斜視図である。
図7】[15]図5の第1の電極組立体および第2の電極組立体の分解斜視図である。
図8】[16]洗浄ハブと関連する洗浄経路とを含む、図2Aのデバイスの部分の横断面図である。
図9】[17]図2Aのデバイスの部分の拡大横断面図である。
図10】[18]図2Aの線10−10に沿って取った、双極電気デバイスの横断面図である。
図11】[19]図11Aは、第1の特別な向きにおける、図2Aの双極電気デバイスの遠位端領域の等角図である。図11Bは、第2の特別な向きにおける、図2Aの双極電気デバイスの遠位端領域の等角図である。
図12】[20]図12Aは、図2Aのデバイスに有用な、第1の回転電気接続組立体の平面図である。図12Bは、図2Aのデバイスに有用な、第2の回転電気接続組立体の平面図である。
図13A】[21]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の斜視図である。
図13B】[22]図13Aのデバイスの分解図である。
図14】[23]図14Aは、図13Aのデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[24]図14Bは、図13Aのデバイスの拡大横方向横断面図である。
図15】[25]図13Aのデバイスの拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図16】[26]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の斜視図である。
図17】[27]図16のデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。
図18】[28]図16のデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図19】[29]図19Aは、本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の斜視図である。[30]図19Bは、図19Aのデバイスの部分の拡大斜視図である。
図20】[31]図20Aは、図19Aのデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[32]図20Bは、図19Aのデバイスの拡大横方向横断面図である。
図21】[33]図19Aのデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図22】[34]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大斜視図である。
図23】[35]図23Aは、本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の斜視図である。[36]図23Bは、図23Aのデバイスの部分の拡大斜視図である。
図24】[37]図24Aは、図23Aのデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[38]図24Bは、図23Aのデバイスの拡大横方向横断面図である。
図25】[39]図23Aのデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図26A】[40]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の斜視図である。
図26B】[41]図26Aのデバイスの部分の拡大斜視図である。
図26C】[42]図26Aのデバイスの分解斜視図である。
図27】[43]図27Aは、図26Aのデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[44]図27Bは、図26Aのデバイスの拡大横方向横断面図である。
図28】[45]図26Aのデバイスの電極体構成要素の分解斜視図である。
図29】[46]図26Aのデバイスの電気絶縁体構成要素に組み立てられている、図28の電極体の拡大長手方向横断面図である。
図30】[47]図26Aのデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図31】[48]図31Aは、本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の斜視図である。[49]図31Bは、図31Aのデバイスの部分の拡大斜視図である。
図32】[50]図32Aは、図31Aのデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[51]図32Bは、図31Aのデバイスの拡大横方向横断面図である。
図33】[52]図31Aのデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図34】[53]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大斜視図である。
図35】[54]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大斜視図である。
図36】[55]図36Aは、図35のデバイスに有用な、電気絶縁体構成要素の斜視図である。[56]図36Bは、図36Aの電気絶縁体の拡大横方向横断面図である。
図37】[57]図37Aは、図35のデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[58]図37Bは、図35のデバイスの拡大横方向横断面図である。
図38】[59]図35のデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図39A】[60]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の分解斜視図である。
図39B】[61]最終組立て時の図39Aのデバイスの部分の拡大斜視図である。
図40】[62]図40Aは、図39Aのデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[63]図40Bは、図39Aのデバイスの拡大横方向横断面図である。
図41】[64]図39Aのデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図42A】[65]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の分解斜視図である。
図42B】[66]最終組立て時の図42Aのデバイスの部分の拡大斜視図である。
図43】[67]図43Aは、図42Aのデバイスの部分の拡大長手方向横断面図である。[68]図43Bは、図42Aのデバイスの拡大横方向横断面図である。
図44】[69]図42Aのデバイスの部分の拡大斜視図であり、流体の送達を示す図である。
図45A】[70]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大上面斜視図である。
図45B】[71]図45Aのデバイスの底面斜視図である。
図45C】[72]図45Aのデバイスの部分の拡大側面図である。
図45D】[73]図45Aのデバイスの拡大正面図である。
図46A】[74]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大上面斜視図である。
図46B】[75]図46Aのデバイスの底面斜視図である。
図46C】[76]図46Aのデバイスの部分の拡大側面図である。
図46D】[77]図46Aのデバイスの拡大正面図である。
図47A】[78]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大上面斜視図である。
図47B】[79]図47Aのデバイスの底面斜視図である。
図47C】[80]図47Aのデバイスの部分の拡大側面図である。
図47D】[81]図47Aのデバイスの拡大正面図である。
図48A】[82]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大上面斜視図である。
図48B】[83]図48Aのデバイスの部分の拡大側面図である。
図48C】[84]図48Aのデバイスの拡大正面図である。
図49A】[85]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大上面斜視図である。
図49B】[86]図49Aのデバイスの部分の拡大側面図である。
図49C】[87]図49Aのデバイスの拡大正面図である。
図50A】[88]本開示の原理に基づく別の双極電気外科デバイスの部分の拡大上面斜視図である。
図50B】[89]図50Aのデバイスの底面斜視図である。
図50C】[90]図50Aのデバイスの部分の拡大側面図である。
図50D】[91]図50Aのデバイスの拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[92]図1は、全般的に112で示されている近位端領域と、全般的に114で示されている遠位端領域とを有する双極電気デバイス110を含むシステム100を示す。近位端領域112は、ボタン122を保持しているハウジング120を含む。刃組立体124はハウジング120から遠位端領域114に延在している。以下により詳細に検討されている通り、刃組立体124は切断器具と電極組立体とを保持しており、それぞれ、組織を機械的に切断し、焼灼するかまたは電気焼灼する。
【0009】
[93]システム100は、ハンドピース130と、電源132と、流体源134と、吸引源136とをさらに含む。当然のことながら、電源132と、流体源134と、吸引源136とは、所望に応じてかつ単一源に限定されず、1つまたは複数の別個の源で形成され得る。デバイス110はハンドピース130に連結するように構成されており、該ハンドピースは、システム100の動作中、ユーザ(例えば、外科医)により操作されることが可能であり、組織を切断し、焼灼するかまたは電気焼灼する。一実施形態では、組織を切断するために、ハンドピース130は、ハンドピース130の内部に、電源132と連結されているモータ(図示せず)を含む。該モータは刃組立体124と回転連結されており、機械的切断を実現する。ハンドピース130は、ハウジング120およびハンドピース130に対する、デバイス110の1つまたは複数の構成要素の手動回転に使用され得る、ハンドピース130の外部の作動装置138をさらに含む。
【0010】
[94]電源132はデバイス110とさらに連結されることが可能であり、電気エネルギーを、刃組立体124を介して遠位領域114へ送る。例えば、電源132は発電機を含むことが可能であり、随意に、双極エネルギーまたは双極エネルギー供給源と共に使用するために設計されていてもよい。例えば、(ニューハンプシャー州ポーツマスのMedtronic Advanced Energyから入手可能な)アクアマンティス(登録商標)システムにより供給されるTranscollation(登録商標)封止エネルギーが使用されてもよい。
【0011】
[95]流体が、デバイス110に直接かつ/またはハンドピース130を介してデバイス110に接続されている流体源134により、遠位領域114に供給され得る。本開示に有用な1つの流体が食塩水であるが、他の流体が検討される。吸引源136はハンドピース130に連結され得る。エネルギー送達と併せた流体の使用は、最適な組織効果をもたらすのに役立ち、したがって、本開示の実施形態が、エネルギーと流体とを結合するために、デバイス110の特定の装置を含む。使用中、流体(例えば、食塩水)が、デバイス110の遠位端114の所のまたはそれに隣接した1つまたは複数の開口部(単数または複数)から放出されてもよい。以下にさらに説明される通り、組織片および流体が、吸引源136により、遠位端領域114にある開口部を通して手術部位から除去され得る。流体源134および吸引源136はどちらも、システム100の随意の構成要素である。
【0012】
[96]図2Aおよび図2Bをさらに参照すると、ハウジング120が除去された状態のデバイス110の等角図(図2A)およびデバイス110の横断面図(図2B)が与えられている。デバイス110の動作に関する詳細が以下に与えられている。一般に、デバイス110、および詳細には刃組立体124は、中心回転軸A周りに、(図2Bにおいて全体が参照される)外軸組立体152の内部に回転可能に配設されている内軸組立体150を含む。最終組立て時、デバイス110はハンドピース130(図1)を用いて動作可能であり、内軸組立体150と外軸組立体152との間の回転に因り、機械的切断を実現する。さらに、内軸組立体150および外軸組立体152の詳細が図3および図4それぞれに関して以下に与えられている。機械的切断に加えて、図5に関して以下にさらに記載されている、デバイス110は、ボタン122の動作に因りまたはそれに応答して、第1の電極組立体160および第2の電極組立体162により、組織へエネルギーを供給するように動作可能である。また、図6および図7の非限定的実施形態に関して以下に検討されている通り、動作中、デバイス110は、遠位端領域114に、例えば外軸組立体152の内部にかつ/または外軸組立体152の外部に、洗浄をもたらすことができる。さらに、図8Aおよび図8Bに関してさらに検討されている通り、ユーザが、関心組織に対する外軸組立体152の向きを変更するために、作動装置138(図1)の動作により、ハウジング120および/または内軸組立体150に対して外軸組立体152を回転させることができる。
【0013】
[97]図3の横断面図をさらに参照すると、内軸組立体150は、内腔172と切断先端部174とを画定している(内軸または内刃とも呼ばれ得る)第1の管状部材170を含む。一実施形態では、切断先端部174は、内腔172に流体連結されている開口部178を取り巻く歯を含む鋸歯状縁部176(図3において全体が参照される)を画定している。あるいは、切断先端部174は様々な他の形態を想定し得る。一実施形態では、第1の管状部材170は304ステンレス鋼などの剛性材料で形成されており、長手方向に延びた線形である。あるいは、第1の管状部材170は、撓み継ぎ手(図示せず)などにより、その曲げを達成するように構成され得る。第1の管状部材170に連結されているハブ180が、ハンドピース130(図1)のモータへの接続に適している。モータは内軸組立体150に回転力を供給する。内軸組立体150は、ハブ180の内部に配設されている付勢部材182をさらに含む。最終組立て時、付勢部材182は切断先端部174を付勢して、外軸組立体152と接触させる。キャップ184が、該付勢部材182をハブ180の内部に保持しており、また、吸引源136(図1)に対して流体封止を作り出す。一実施形態では、内腔172は吸引源136と流体連結されており、切断先端部174により切断された組織の吸引をもたらす。図3に186で全体が示されている通り、第1の管状部材170は、随意に、接着剤によりハブ180に固定されている。
【0014】
[98]図4の横断面図に示されている通り、外軸組立体152は、内腔192と切断窓194とを画定している(外軸または外刃とも呼ばれ得る)第2の管状部材190を含む。一実施形態では、該切断窓194は鋸歯状縁部196により画定されている。一実施形態では、第2の管状部材190は剛性であり、長手方向に真っ直ぐまたは線形であり、304ステンレス鋼により形成されている。代替的実施形態では、第2の管状部材190は1つまたは複数の曲げを組み込み得るかまたはそれを想定せざるを得ない可能性がある。いずれにしても、第2の管状部材190、および詳細には内腔192は、回転軸A(図2B)周りでの第2の管状部材220に対する第1の管状部材170の回転および/または揺動を可能にするような方法で、第1の管状部材170を同軸に受容するようなかつ随意に内部洗浄用の経路を設けるような大きさに作製されている。この目的のために、第2の管状部材190の内腔192は、第1の管状部材170の対応する部分の外径より若干大きい直径を有し、いくつかの実施形態では、内腔192に流体連結している洗浄入口198を画定している。
【0015】
[99]ハブ組立体200は外軸組立体152を設けられており、第1の近位ハブ部材202と第2の遠位ハブ部材204とを含む。第1のハブ部材202と第2のハブ部材204とを含むハブ組立体200は、共に回転するために固定されて、第2の管状部材190に接続されている。したがって、ハブ組立体200の回転が切断窓194の回転を引き起こす。ハブ組立体200は、ハウジング120(図1)および内軸組立体150に対して、外軸組立体152、およびしたがって切断窓194を回転させるために、作動装置138(図1)への接続に適している。詳細には、第1のハブ部材202は、作動装置138の補完駆動部材(例えば、歯車)と直接連結している係合部材206(例えば、歯車の歯)を含み、第1のハブ部材202の回転を達成し、ハブ組立体200と第2の管状部材190との間の固定連結に因り、切断窓194の回転を達成し得る。以下に検討されている通り、複数のOリング208が第1のハブ部材202に連結されており、第1のハブ部材202のための封止をもたらす。さらに、キャップ210が外軸組立体152の近位端に設けられている。
【0016】
[100]図2Aおよび図2Bに戻って、デバイス110は、電源132(図1)と電気的に接続されている配線220をさらに含む。配線220は、ボタン122の動作時に配線220とプリント基板(PCB)224との間の電気エネルギーの流れを制御するボタン作動組立体222にまで及ぶ。PCB224は第1の電極組立体160および第2の電極組立体162と連結されている。電極組立体160と電極組立体162とは、遠位領域114に近接して配置されている組織への双極電気エネルギー送達を実現するために、互いに電気的に絶縁されている。
【0017】
[101]図5に示されている通り、第1の電極組立体160は、第2のハブ部材204により保持されている第1の回転電気接続組立体230と、(第1の細長い電極体を形成するかまたはその機能を果たす)第2の管状部材190と、遠位領域114に配置されている第1の電極232とを含む。いくつかの実施形態では、第1の電極232は、第2の管状部材190の露出領域または表面領域として画定されている。例えば、第2の管状部材190がステンレス鋼(または他の導電性の金属または材料)で形成され得ることが思い出されるであろう。第2の管状部材190の外面の部分が、電気絶縁体材料234で被覆されるかまたは覆われることが可能であり、図5により全体が示されている通り、第2の管状部材190の近位領域が電気絶縁体234により覆われておらず、したがって第1の回転電気接続組立体230と電気的に連結されている。図6Aは、電気絶縁体234の塗布前の、第2の管状部材190の遠位領域を示す。この同じ領域は、電気絶縁体234の塗布後の図6Bの図に示されている。図6Bに最もよく示されている通り、第2の管状部材190の外面の部分が露出されているか、またはさもなければ電気絶縁体により覆われておらず、したがって第1の電極または電極面232の機能を果たす。
【0018】
[102]図5に戻って、同様の方法で、第2の電極組立体162は、第2のハブ部材204により保持されている第2の回転電気接続組立体240と、第2の細長い電極体(またはキャップ)242と、遠位端領域114に配置されている第2の電極244とを含む。ちなみに、図7は、(前述の通り電気絶縁体234で別途被覆されている)第2の管状部材190から離れている第2の電極体242を示す。該第2の電極体242は導電性金属で形成されており、通常、被覆された第2の管状部材190を受容するような大きさに作製されており、成形されている溝部246を形成している。カップ部248が、第2の電極体242の遠位端に、溝部246により形成されている。最終組立て時、第2の電極体242は第2の回転電気接続組立体240に電気的に接続されており(第2の管状部材190が第1の電極体の機能を果たしかつ第1の回転電気接続組立体230に電気的に接続されていることが思い出される)、電気絶縁体234により第2の管状部材/第1の電極体190から電気的に絶縁されている。図5に戻って、絶縁層250が、第2の電極体242の外面の部分の周囲に塗布されており、それを覆っている(例えば、絶縁層250は、第2の電極体242を被覆された第2の管状部材190に結合する熱収縮タイプの材料であり得る)。第2の電極体242の外面の部分が露出されているか、またはさもなければ絶縁層250により覆われておらず、したがって第2の電極または電極面244の機能を果たす。
【0019】
[103]第1の電極または電極面232と第2の電極または電極面244とは(例えば、電気絶縁体234により)互いに電気的に絶縁されており、双極電極を含み得る。電極232、244は湿式電極もしくは乾式電極を含んでいてもよいか、またはそれとして動作してもよい。電極232、244は、組織の凝固、止血または封止の目的で任意の適切なエネルギーを送達するのに使用されてもよい。前述の通り、電極232、244は離間されており、組織へのエネルギー送達を実現することができる。電気絶縁体234は第2の管状部材190に塗布されて、第2の管状部材190を第2の電極体242から電気的に絶縁する。さらに、(例えば、熱収縮法からまたはそれにより形成される)絶縁層250は第2の電極体242の周囲に塗布され得る。
【0020】
[104]図2A図2Bおよび図8を参照すると、電極232、244は、遠位端領域114でまたはそれに隣接して放出されてもよい、流体源134(図1)により供給される食塩水などの流体に特に有用である。遠位端領域114への流体送達を実現するために、いくつかの随意の実施形態では、デバイス110は洗浄ハブまたは環260を含む。図2Aに最もよく認められる通り、洗浄環260は第1の流体連結器262と第2の流体連結器264とを含む。
【0021】
[105]第1の流体連結器262は、図8に最もはっきりと認められる、第1のハブ部材202に形成されている第1の環状チャネル266と流体連結されている。第1の環状チャネル266は第2の管状部材190の洗浄入口198と流体連結されており、したがって第2の管状部材190の内腔192および切断窓194へ流体的に開いている。洗浄入口198に入る流体が、第1の管状部材170と第2の管状部材190との間で内腔192の内部で搬送される(いくつかの実施形態では、第1の管状部材170の外径が第2の管状部材190の内腔192の直径より若干小さく、洗浄入口198に入る流体が沿って流動することができる、第1の管状部材170と第2の管状部材190との間の間隙または空間を作り出すことが思い出される)。内腔192の内部で搬送される流体は切断窓194で注がれる。
【0022】
[106]第2の流体連結器264は、第1のハブ部材202に形成されている第2の環状チャネル268と流体連結されている。該第2の環状チャネル268は、洗浄チャネル272と流体連結されている通路270を含むかまたは形成している。該洗浄チャネル272は、第2のハブ部材204の内部にかつ次いで中心軸Aに実質的に平行な向きで遠位に、第1のハブ部材202から延在している。第1のハブ部材202における洗浄チャネル272と第2の環状チャネル268との間の流体連結のように、洗浄チャネル272は様々な方法で作り出されることが可能である。例えば、図9は、第1のハブ部材202に取り付けられている(電気絶縁体234で被覆されている)第2の管状部材190を含む、デバイス110の部分を示す(すなわち、分かり易くするために、第2のハブ部材204(図2B)、第1の管状部材170(図2B)、および第2の電極体242(図8)が図9から省かれている)。いくつかの実施形態では、洗浄チャネル272は、管状取付け具276により通路270に流体連結されている洗浄管274を含み得るかまたはそれにより画定され得る。該管状取付け具276は、通路270内へ圧入され得るかまたは別途それに連結され得る。洗浄管274は取付け具276に組み立てられており、第2の管状部材190の外面で遠位に延在している(例えば、以下に記載されている通り、洗浄管274は第2の管状部材190と第2の電極体242との間に配置され得る)。洗浄管274は、様々な金属および/またはポリマーを含む様々な材料で形成されていてもよい。例として、管274は、ステンレス鋼、ポリイミド、ポリエーテルブロックアミドまたはポリアミドで形成されていてもよい。以下に記載されている通り、洗浄チャネル272は、洗浄管274を含んでいてもいなくてもよい複数の他の方法で形成され得る。図8に戻って、洗浄チャネル272は、第1のハブ部材202から電極232、244の近位の出口端部278まで延在している。洗浄チャネル272は第2の管状部材190と第2の電極体242との間に配置されており、第2の管状部材190および第2の電極体242から流体分離されている出口端部278にまで及ぶ。中心軸A周りでの第2のハブ部材204の回転が、中心軸A周りでの洗浄チャネル272の回転を引き起こすように、洗浄チャネル272(例えば、洗浄管274(図9)は第2のハブ部材204に連結されている。
【0023】
[107]第1の流体連結器262(図2A)から第1の環状チャネル266に入る流体が第1の環状チャネル266の両側で封止されるように、Oリング206が第1のハブ部材202の内部に流体封止をもたらす。同様に、第2の流体連結器264(図2A)から第2の環状チャネル268に入る流体が第2の環状チャネル268の両側で封止される。
【0024】
[108]図10は、図2Aの線10−10に沿ったデバイス110の横断面図を示す。図示の通り、随意の洗浄管274は、洗浄チャネル272の画定において、横断面が楕円形であるが、同様に他の横断面形状で形成され得る(例えば、円形)。第2の電極体242は、中心軸Aに対して垂直な平面に対して横断面がU形であり、洗浄管274の両側で電気絶縁体234と隣接している。詳細には、第2の電極体242は、溝部246を画定する弓形状を有する。第2の電極体242が第2の管状部材190の外周を部分的に取り巻くように、溝部246は、(電気絶縁体234で被覆されているかまたはそれにより覆われている)第2の管状部材190を中に同軸に受容するような大きさに作製されている。この目的のために、溝部246の第1の半径R1が、電気絶縁体234を上に有する第2の管状部材190の外周を収容できるような大きさに作製されている。溝部246は第1の半径R1より大きい第2の半径R2を画定しており、洗浄管274が第2の管状部材190と第2の電極体242との間に配置されることを可能にしてもよい。第1の管状部材170の外径が第2の管状部材190の内径より若干小さい可能性があることを示す図10では、第1の管状部材170は第2の管状部材190の内部に同軸に配設されている。最後に、絶縁層250は第2の電極体242を電気的に絶縁し、熱収縮の適用などにより、(電気絶縁体234により覆われている)第2の管状部材190に対して第2の電極体242を保持するのに役立つ。
【0025】
[109]図11Aおよび図11Bに示されている通り、溝部246(図10)内に保持されている場合、第2の管状部材190の向きは、第2の管状部材190の切断窓194が第2の電極体242の反対(またはそれから離れる)方向に向くようになっている。このようにして、溝部246の内部での第2の管状部材190の最終組立て時、図示の通り、切断窓194の鋸歯状縁部196は完全に露出されている。
【0026】
[110]いくつかの実施形態では、同様に図示の通り、第2の電極体242の遠位カップ248(図8において全体が参照され、最もよく示されている)は、第2の管状部材190と第2の電極体242との間に別途配置されている洗浄チャネル272(図11Aおよび図11Bでは隠されているが、例えば図10に示されている)と流体連結されている。遠位カップ248は、図11Aに示されているなど、洗浄チャネル272の出口端部278(図11Aにおいて全体が確認され、図8に遥かに詳細に示されている)からの流体Fを、遠位カップ248と第2の管状部材190の遠位端との間に配置されている流体出口280から外へ方向付けるように構成されている。この構成では、流体出口280が双極電極面232、244間にかつ直接隣接してあることが有利であり、組織Tへ送達される電気エネルギーと流体Fとの結合を実現する。さらに、洗浄チャネル272の出口端部278は、電極面232、244から近位に離間されており、第2の管状部材190の径方向外側にある。
【0027】
[111]動作中、図1図2Aおよび図2Bをさらに参照すると、デバイス110は、近位領域112をハンドピース130にある開口部(図示せず)内へ挿入することにより、ハンドピース130に連結されている。詳細には、内軸組立体150のハブ180は開口部内へ挿入され、ハンドピース130のモータ(図示せず)と連結する近位係合部材290(例えば、図2Aに示されている耳状部を含む)を含み得る。ハンドピース130内へのデバイス110の挿入時、作動装置138は第1のハブ部材202の係合部材206に連結されるかまたはそれと係合する。一実施形態では、洗浄ハブまたは環260(またはデバイス110の他の構成要素)は、ハンドピース130に対してハウジング120を配向する1つまたは複数の位置合わせ耳状部292を含み得る。1つの特定の実施形態では、耳状部282は、デバイス110とハンドピース130との間の連結がボタン122を作動装置138の回転軸に対して垂直に配向するように配置されている。図1に示されている実施形態では、右利きユーザがその右人指し指によりボタン122および作動装置138を利用することができる。同様の方法で、ボタン122が図1に示されている方向と反対方向に向くように、デバイス110は、ハンドピース130内への挿入前に180度回転することができる。この向きでは、左利きユーザはその左人指し指によりボタン122および作動装置138を利用する。ハンドピース130との最終接続時、デバイス110は、2つの状態:切断またはデブリドマン状態と封止または止血状態と、を含み得る。これら2つの状態は、さらに、相互に排他的であってもよい。代替的実施形態では、2つの状態は同時に実施され得る。
【0028】
[112]図11Aおよび図11Bに示されている通り、第1の管状部材170により設けられている切断先端部174は、組織部位Tに対して、切断窓194において選択的に露出される。最終組立て時、切断先端部174は、組織を機械的に切断するために、2つの構成要素が揺動または回転(または両方)中に互いに対して回転可能である状態で(例えば、図1の電源132と連結されているハンドピース130の内部に含まれているモータにより駆動されて)、切断窓194に配置されている。切断先端部174と切断窓194とは結合して切断器具300を画定している。電極232、244に送達されたエネルギーによる組織Tへのエネルギー送達により、止血が達成される。一実施形態では、切断器具300が活性化していないかまたは切断していない間に、止血が達成される。一実施形態では、エネルギーが、食塩水などの流体と同時に送達されてもよいことが有利であり、制御された熱エネルギーを組織へ送達することにより、最適な組織効果を達成する。
【0029】
[113]説明として、図11Aは、切断先端部174がそれにより切断窓194を介してかつ組織部位Tから離れて露出される位置まで回転した第1の管状部材170を示す。図11Bに示されているように第1の管状部材170に対する第2の管状部材190の部分的回転時、逆の場合も同様に、切断窓194において切断先端部174がそれほど露出されず、切断窓194の向きは組織部位Tに接近する。いくつかの位置では、第2の管状部材190および第2の電極体242は、第1の管状部材170の中心内腔172(図3に最もよく認められる)が切断窓194に対して閉鎖されるように回転する。いずれにしても、第2の管状部材190および第2の電極体242は、作動装置138(図1)の動作により全360度いずれかの方向に、第1の管状部材170に対して連動して回転可能である。したがって、作動装置138の動作は、関心組織部位Tに対向するために、図11Bから図11Aの位置へ、所望に応じていずれかの方向に、第2の管状部材190および第2の電極体242を回転させることができる。
【0030】
[114]本明細書に記載されている外科切断器具により促進される特定の外科技術が、前段で検討されている特徴に関連して実施され得る。使用中、ユーザ(図示せず)の手(図示せず)が、ハンドピース130(図1)を握持するのに使用される。この関連で、一実施形態では、ハンドピース130は、ハンドピース130を握持することなどにより、ユーザの手の中に人間工学的に適合するようになされている外側輪郭を形成している。いずれにしても、ユーザは、次いで、切断器具300を目標部位Tへ展開するようにハンドピース130を操作して、切断器具300を展開する。目標部位Tへの最初の展開に続いて、切断窓194は、目標部位Tに対する切断窓194の向きにより示されているように、目標部位Tに対する第1の空間的向きを有する。より詳細には、図11Aの向きでは、切断窓194は切断先端部174を露出している。さらに、ハンドピース130は、一般に、作動装置138がユーザの親指または人指し指(図示せず)に近接しているようにハンドピース130がユーザの掌の中に配置されている状態でユーザの手により自然に握持されたとき、図1に示されているような直立の向きを画定するものとして示すことができる。さらに、切断窓194の空間的向きを制御することおよびボタン122の動作によりRFエネルギーを送達することにより、ユーザが容易に交互に切り替えることができるように、ボタン122は作動装置138に極めて近接していることが可能である。
【0031】
[115]次に、例示的外科手技が、切断窓194に真っ直ぐ対向していないかまたはそれに隣接した方向において、組織の除去および/または組織Tの止血を必要とする可能性がある。図11Aの向きでは、切断窓194は組織部位Tから離れており、切断先端部174または電極232、244のどちらかが組織Tと相互作用することを可能にするために、切断窓194の移動を必要とする。切断窓224の空間的向きの変更を達成するために、図1および図2Bをさらに参照すると、ユーザ(図示せず)は作動装置138を所望の方向に回転させる。詳細には、ユーザの、ハンドピース130を別途握持している手の親指(図示せず)および/または人指し指(図示せず)は、作動装置138を回転させるのに使用される。作動装置138の回転は第1のハブ部材202に移行される。第1のハブ部材202の回転が、第2の管状部材190、およびしたがって切断窓224を、組織T、ハウジング120、切断先端部208、およびハンドピース130に対して回転させる。作動装置138の回転は、切断窓194が、図11Bに示されている第2の空間的向きを取るまで継続する。特に、組織部位Tに対向するように切断窓194を図11Aの空間的向きから図11Bの空間的向きまたは中心軸Aに対する任意の他の向きへ移行させているとき、ハンドピース130の回転の向きが変更する必要がない。すなわち、切断窓194は、任意の方向に向くように、軸A周りで回転することができる。
【0032】
[116]一実施形態では、ユーザのたった1つの手で、図11Aの空間的向きから図11Bの空間的向き(または中心軸A周りでの全360度回転の初めから終わりまでの所望されている通りの他の向き)への切断窓194の移行は達成される。デバイス110は、ユーザの両手が2つの別々の位置でハンドピース130を別途握持することおよび捻じり動作またはトルク生成動作を適用することを必要とせずに、切断窓194がハンドピース130に対して空間的に回転され得るように構成されている。一実施形態では、片手だけを使った切断窓の回転は、作動装置138を、作動装置138の動作軸が中心軸Aからずらされており、第1のハブ部材202の主軸と同軸であるように構成することにより、達成される。すなわち、作動装置138は、第1のハブ部材202の中心軸Aと同軸でない軸または平面の周囲で移動し(例えば、回転し)、作動装置138の移動は中心軸A周りでの第1のハブ部材202の回転に移行される。一実施形態では、作動装置138の回転軸は中心軸Aに対して垂直である。この手法では、次に、作動装置138は、片手だけを使った動作を促進するために、ハンドピース130に対して任意の所望の位置に配置され得る。
【0033】
[117]止血状態での電気エネルギーの送達中、いくつかの実施形態では、流体が、切断窓194、流体出口280、または両方を介して遠位領域114に供給され得る。遠位領域114に送達された流体が電極232、244と相互作用する。このようにして、電極232、244は、Medtronic,Inc.の先進エネルギー部門(Advanced Energy Division)から入手可能なアクアマンティス(登録商標)システムにより供給されるTranscollation(登録商標)封止エネルギーと共に使用された場合、組織のTranscollation(登録商標)封止をもたらし得ることが有利である。「湿式」RF凝固技術に関して、(各々の内容が参照により援用されている)米国特許第6,558,385号、同第6、702、810号、同第6、953、461号、同第7、115、139号、同第7、311、708号、同第7,537,595号、同第7,645,277号、同第7,811,282号、同第7,998,140号、同第8,048,070号、同第8,083,736号、および同第8,361,068号に記載されている組織を封止する該技術は、デバイス110での使用に適していると考えられる双極凝固システムを記載している。また、エネルギー源を提供する他のシステムが検討される。
【0034】
[118]図12Aおよび図12Bは、例示的回転電気接続組立体310および312それぞれを示し、該例示的回転電気接続組立体は、デバイス110(図1)が、遠位領域114(図1)に電気エネルギーを依然として供給しながら、ハウジング130(図1)に対する切断窓194(図11A)の360度回転を実現することを可能にする。組立体310、312のどちらかが、図5に関して前段で検討されている回転電気接続組立体160、162として使用され得る。図12Aに示されている第1の組立体310を参照すると、組立体310は外側固定連結器320と内側回転連結器322とを含む。内側連結器322は第2のハブ部材204(図4)に接続されており、それと共に回転し(例えば、圧入取付け)、一方、外側連結器320は、中心軸A周りでの第2のハブ部材204の回転時、静止した状態にされる。外側連結器320および内側連結器322は、真鍮などの、適切な導電特性を示す材料で形成され得る。一実施形態では、外側静止連結器320は、延長部324と、延長部324と連結されている橋部326と、橋部326の両側から延在している対向弓形腕部328とを含む単一体である。延長部324は、PCB224(図2B)に接続するように構成されている。延長部324に供給された電気エネルギーは、腕部328の各々へ、橋部326により搬送される。
【0035】
[119]腕部328は、内側連結器322、詳細には内側連結器322の外側第1の表面332と接触している内側係合面330を画定している。内側連結器322の内側第2の表面334が第1の表面332の反対側にある。(全体が参照される)内側延長部材336が軸Aに向かって内側に延在しており、デバイス110(図1)の別個の構成要素に関連してまたはそれによりもたらされる(架空に描かれている)弓形接続面338と接続している。一例では、弓形面338は、第2の管状部材190(図2B)または第2の電極体242(図2B)によりもたらされる。延長部材336は弾性特性を示し、弓形面338に係合し、それを捕捉するために、自然状態および偏倚状態を画定する。図示の実施形態では、延長部材336は、第2の表面334から延在している一対の対向耳状部340を含む。耳状部340の各々は、第2の表面334と接続されている第1の端部340aと第1の端部340aの反対側の第2の端部340bとを含む。弓形面338との延長部材336の連結時、耳状部340の各々の第2の端部340bは回転軸Aから離れて偏倚する。最終組立て時、延長部材336の弾性特性は弓形面338との接触を維持する。
【0036】
[120]図12Bに示されている組立体312は組立体310に類似しており、同様の要素が同様に番号を付けられている。図12Aの組立体310と対照的に、組立体312は、内面334に接続されている第1の端部350aから、異なる位置で内面334に接続されている第2の端部350bまで延在する延長部材350を含む。延長部材350の中間位置350cが、弓形面338と連結されると、自然位置から偏倚位置へ移行する。延長部材350の弾性特性に因り、最終組立て時、中間位置250cは弓形面338との電気的接触を維持する。
【0037】
[121]本開示の双極電気外科デバイスは、前段の実施形態と異なる他の洗浄送達構造を組み込むことができる。例えば、図13Aおよび図13Bは、本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス400の部分を示す。詳細には、デバイス400の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に記載されている。説明し易くするために、デバイス400の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス400は、デバイス110に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素(図2A)、または同等の構成要素もしくは機構のうちの1つまたは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス400は、内軸または内側管状部材402と、外軸または外側管状部材404と、電気絶縁体406と、第2の電極体またはキャップ408と、絶縁層410とを含む。一般的には、前段の実施形態に類似して、内軸402は外軸404の内部に回転可能に配設されており、切断先端部412を形成している。切断先端部412は、外軸404の切断窓414において選択的に露出されている。切断先端部412と切断窓414とは結合して切断器具416を画定している。電気絶縁体406は外軸404の外面の大部分を覆っている。外軸404は導電性材料で形成されており、したがってデバイス400の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸404の遠位部には電気絶縁体406がなく、第1の電極面418を画定している。第2の電極体408は、(電気絶縁体406で被覆されている)外軸404を受容している。絶縁層410は第2の電極体408の外面の大部分を覆っており、第2の電極体408を外軸404に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体408の遠位領域には絶縁層410がなく、第2の電極面420を画定している。
【0038】
[122]デバイス400は、前述されているデバイス110(図2A)と非常に類似した方法で動作し、内軸402は動力を供給されて、外軸404に対して回転するかまたは揺動し、切断器具416において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面418、420は双極電極として動作し得る。さらに、以下に記載されている通り、デバイス400は電極面418、420の領域内に洗浄をもたらすように構成されている。
【0039】
[123]詳細には、図14Aおよび図14Bをさらに参照すると、内軸402の外径が、内軸402および外軸404の長さのかなりの部分に沿って外軸404の内径より小さい。図14Aおよび図14Bにおいて確認される通り、直径の差異は内軸402と外軸404との間に洗浄チャネル422を作り出している。洗浄チャネル422は、内軸402の中心軸Aと概ね平行な方向に延在しており、リング形状であり、内軸402の外面を画定しているように認められる。洗浄チャネル422は、(図14Aおよび図14Bにおいて全体が参照される)少なくとも1つの流体出口または洗浄出口424で終端するかまたはそれへ流体的に開いている。出口424は、切断先端部412ならびに第1の電極面418および第2の電極面420の近位に配置されているかまたは離間されており、洗浄出口424の少なくとも部分が外軸404の径方向外側にまたはそれを越えて存在している。いくつかの実施形態では、洗浄出口424は第2の電極体408の反対側に配置されている。
【0040】
[124]少なくとも1つの洗浄出口424は、水抜き穴と考えられるかまたは見なされることが可能であり、様々な方法で形成され得る。いくつかの実施形態では、洗浄出口424は、外軸404、電気絶縁体406、および絶縁層410に形成されている位置合わせされた穴部により集合的に画定されている。例えば、図13Bは、外軸404の壁厚を貫通する穴部426と、電気絶縁体406の壁厚を貫通する穴部428と、絶縁層410の壁厚を貫通する穴部430とを全般的に特定している。最終組立て時、図14Bに示されている通り、穴部426〜430は位置合わせされており、洗浄チャネル422とデバイス400の外面との間に(例えば、洗浄チャネル422からの液体が洗浄出口424を通って絶縁層410の外面へ進むことができる)、したがって電極面418、420に向かって、流体的に開いた接続を構築している。いくつかの実施形態では、内軸402の外径が洗浄出口424の遠位で増大し、外軸404の内径に接近することを、図14Aはさらに示しており、これらの随意の実施形態では、内軸402と外軸404との間の流体封止が構築されていてもいなくてもよいが、洗浄出口424の遠位の(または下流の)内軸402と外軸404との間の近接した寸法関係は、洗浄チャネル422の内部の液体の少なくとも大部分が洗浄出口424を介して出るまたは放出することを指示する。図15に示されている通り、次に、洗浄チャネル422(図14B)を通して送達された流体(例えば、食塩水)Fが、洗浄出口424を介してデバイス400の外面に注がれ、前進して電極面418、420と接触し、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進することができる。切断先端部412においてデバイス400が吸引(suction or aspiration)をもたらす(例えば、前述の通り、内軸402の内腔が吸引源に接続され得る)実施形態では、洗浄出口424を介して急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0041】
[125]デバイス400の洗浄送達構造、詳細には洗浄チャネル422および洗浄出口(単数または複数)424は、比較的低コストの方法でデバイス400内へ実装され得る。いくつかの実施形態では、驚いたことに、切断先端部412から近位に離間された位置で(または他の吸引位置で)食塩水(または他の流体)を放出することにより、食塩水(または他の流体)が切断先端部412においてまたはそれに直接隣接して内軸402と外軸404との間から放出される装置と比較して、電極面418、420の電気性能(例えば、焼灼性能)が大きく改善されることが分かっている。デバイス400が洗浄出口424のうちの1つを設けるように示されているが、他の実施形態では、2つ以上の洗浄出口424が形成されることが可能であり、各々が洗浄チャネルをデバイス400の外面に流体接続している。複数の洗浄出口424は、大きさおよび形状の観点から同一または異なっている可能性があり、外軸404の外周に対して位置合わせされていてもいなくてもよい。さらに、洗浄出口424は、外軸404、電気絶縁体406、および絶縁層410に形成されている様々な穴部により集合的に形成されているように記載されているが、他の構造もまた許容可能である。例えば、明瞭な穴部430が必ずしも絶縁層を貫通して形成される必要がないように、絶縁層410は多孔質材で形成され得る。
【0042】
[126]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス450の部分が図16に示されている。詳細には、デバイス450の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス450の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス450は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス450は、前述されているデバイス400(図13A)に非常に類似している可能性があり、内軸または内側管状部材452と、外軸または外側管状部材454と、電気絶縁体456と、第2の電極体またはキャップ458と、絶縁層460とを含む。一般的には、内軸452は外軸454の内部に回転可能に配設されており、切断先端部462を形成している。切断先端部462は、外軸454の切断窓464において選択的に露出されている。切断先端部462と切断窓464とは結合して切断器具466を画定している。電気絶縁体456は外軸454の外面の大部分を覆っている。外軸454は導電性材料で形成されており、したがってデバイス450の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸454の遠位部には電気絶縁体456がなく、第1の電極面468を画定している。第2の電極体458は、(電気絶縁体456で被覆されている)外軸454を受容している。絶縁層460は第2の電極体458の外面の大部分を覆っており、第2の電極体458を外軸454に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体458の遠位領域には絶縁層460がなく、第2の電極面470を画定している。
【0043】
[127]デバイス450は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸452は動力を供給されて、外軸454に対して回転するかまたは揺動し、切断器具466において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面468、470は双極電極として動作し得る。さらに、デバイス450は、以下に記載されているように電極面468、470の領域内に洗浄をもたらすように構成されている。
【0044】
[128]詳細には、図17をさらに参照すると、内軸452の外径が、内軸452および外軸454の長さのかなりの部分に沿って外軸454の内径より小さい。直径の差異は、内軸452と外軸454との間に洗浄チャネル472を作り出している。洗浄チャネル472は、内軸452の中心軸Aと概ね平行な方向に延在しており、リング形状であり、内軸452の外面を画定していると見なされ得る。洗浄チャネル472は、(図16および図17において全体が参照される)少なくとも1つの流体出口または洗浄出口474で終端するかまたはそれへ流体的に開いている。洗浄出口474は、切断先端部462、ならびに第1の電極面468および第2の電極面470の近位に配置されているかまたは離間されており、洗浄出口474の少なくとも部分が外軸454の径方向外側にまたはそれを越えて存在している。いくつかの実施形態では、洗浄出口474は第2の電極体468の反対側に配置されている。
【0045】
[129]少なくとも1つの洗浄出口474は、水抜き穴と考えられるかまたは見なされることが可能であり、様々な方法で形成され得る。いくつかの実施形態では、洗浄出口474は、外軸454、電気絶縁体456、および絶縁層460に形成されている、位置合わせされた穴部により集合的に画定されている。例えば、図17は、外軸454の壁厚を貫通する穴部476と、電気絶縁体456の壁厚を貫通する穴部478と、絶縁層460の壁厚を貫通する穴部480とを全般的に特定している。最終組立て時、穴部476〜480は位置合わせされており、洗浄チャネル472とデバイス450の外面との間に流体的に開いた接続を構築し(例えば、洗浄チャネル472からの液体が洗浄出口474を介して、絶縁層460の外面へ進むことができる)、したがって電極面468、470に向かう。図16および図17の実施形態では、穴部476〜480、およびしたがって洗浄出口474は全体として、中心軸Aに対して非垂直角度で形成されている。この構造では、洗浄出口474は、洗浄チャネル472からの流体に対して概ね遠位の流動方向を構築する。別の言い方をすれば、洗浄出口474の中心線Cが中心軸Aに対して非垂直であり、絶縁層460にある穴部480の中心が、外軸454にある穴部476の中心の遠位にある。この方向性構成要素は、洗浄出口474を出る流体が電極面468、470の方向に流動するのを促す。いくつかの実施形態では、内軸452の外径が洗浄出口474の遠位で増大し、外軸454の内径に接近することを、図17はさらに示し、これらの随意の実施形態では、内軸452と外軸454との間の流体封止が構築されてもされなくてもよいが、洗浄出口474の遠位の(または下流の)、内軸452と外軸454との間の近接した寸法関係は、洗浄チャネル472の内部の液体の少なくとも大部分が洗浄出口474を介して出るまたは放出することを指示する。図18に示されている通り、次いで、洗浄チャネル472(図16)を通して送達された流体(例えば、食塩水)Fが、洗浄出口474を介してデバイス450の外面に注がれ、前進して電極面468、470と接触し、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進することができる。切断先端部462においてデバイス450が吸引(suction or aspiration)をもたらす(例えば、前述の通り、内軸452の内腔が吸引源に接続され得る)実施形態では、洗浄出口474を介して急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0046】
[130]デバイス450の洗浄送達構造、詳細には洗浄チャネル472および洗浄出口(単数または複数)474は、比較的低コストの方法でデバイス450内へ実装され得る。いくつかの実施形態では、驚いたことに、切断先端部462から近位に離間された位置で(または他の吸引位置で)食塩水(または他の流体)を放出することにより、食塩水(または他の流体)が切断先端部462においてまたはそれに直接隣接して内軸452と外軸454との間から放出される装置と比較して、電極面468、470の電気性能(例えば、焼灼性能)が大きく改善されることが分かっている。洗浄出口474を出る流体Fの方向性または制御が、付加的チャネルまたは管を必要とすることなく実現している。デバイス450は洗浄出口474のうちの1つを設けるように示されているが、他の実施形態では、2つ以上の洗浄出口474が形成されることが可能であり、各々が洗浄チャネルをデバイス450の外面に流体接続している。洗浄出口(単数または複数)474は、低圧流または噴流を構築して、デバイス450の直立の向きにおいて重力を克服するように構成され得る。
【0047】
[131]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス500の部分が図19Aおよび図19Bに示されている。詳細には、デバイス500の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス500の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス500は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス500は、前述されているデバイス400(図13A)に非常に類似している可能性があり、内軸または内側管状部材402と、外軸または外側管状部材404と、電気絶縁体406と、第2の電極体またはキャップ408と、絶縁層410とを含む。切断先端部412と切断窓414とは結合して切断器具416を画定している。第1の電極面418および第2の電極面420は、前述されているように形成されている。さらに、以下に記載されている通り、デバイス500は分配導管502を含む。
【0048】
[132]該導管502は、外軸404、電気絶縁体406および/または絶縁層410の1つまたは複数に組み立てられ、(図19Aおよび図19Bにおいて全体が確認される)洗浄出口504の一部を形成する。詳細には、図20Aおよび図20Bをさらに参照すると、前述されている通り、洗浄チャネル422は内軸402と外軸404との間に画定されている。導管502は基部506と頭部508とを含むかまたは画定している。内腔510が導管502を通って連続的に延在している。基部506は、外軸404、電気絶縁体406、および絶縁層410それぞれに形成されている穴部426〜430の内部に配設されているかまたはそれらへ流体的に開いている。頭部508は絶縁層410の外側に保持されており、導管502の曲げが、頭部508を概ね遠位方向に延在するようにしている。したがって、導管502は、洗浄チャネル422からの流体流を(内腔510を介して)遠位方向に、通常は電極面418、420に向けて、方向付けるように構成されている。図21に示されている通り、そのように方向付けられた流体(例えば、食塩水)流Fは洗浄出口504を出て、電極面418、420の方向に流動させられ、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進する。他の実施形態に関しては、次に、洗浄出口504は電極面418、420および切断先端部412から近位に離間されており、外軸404の径方向外側にある(図20A)。切断先端部412においてデバイス500が吸引(suction or aspiration)をもたらす実施形態では、洗浄出口504から急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0049】
[133]デバイス500の洗浄送達構造、詳細には洗浄チャネル422(図20A)および洗浄出口(単数または複数)504は、比較的低コストの方法でデバイス500内へ実装され得る。いくつかの実施形態では、驚いたことに、切断先端部412から近位に離間された位置で(または他の吸引位置で)食塩水(または他の流体)を放出することにより、食塩水(または他の流体)が切断先端部412においてまたはそれに直接隣接して内軸402と外軸404との間から放出される装置と比較して、電極面418、420の電気性能(例えば、焼灼性能)が大きく改善されることが分かっている。洗浄出口504を出る流体Fの明瞭な方向性または制御が実現されている。デバイス500は洗浄出口504のうちの1つを設けるように示されているが、他の実施形態では、2つ以上の洗浄出口504が形成されており、各々が洗浄チャネル422をデバイス500の外面に流体接続していることが可能である。洗浄出口(単数または複数)504は、低圧流または噴流を構築して、デバイス500の直立の向きにおいて重力を克服するように構成され得る。
【0050】
[134]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス500’の部分が図22に示されている。デバイス500’は、前述されているデバイス500(図19A)に非常に類似している可能性があり、内軸または内側管状部材402と、外軸または外側管状部材404と、電気絶縁体406と、第2の電極体またはキャップ408と、絶縁層410とを含む。デバイス500’は、(図22では隠されているが、例えば図20Aでは示されている)洗浄チャネル422に流体接続されている前述の導管502をさらに含む。図22の実施形態では、洗浄出口512が設けられており、導管502とノズル514とを含む。ノズル514は導管502に連結されており、(図22では隠されているが、例えば図20Aでは示されている)内腔510へ流体的に開いている。ノズル514は様々な形態を想定することができ、いくつかの実施形態では、洗浄出口512から電極面418、420の方向に放出される流体(図示せず)中に霧様パターンを生成するように構成されている。
【0051】
[135]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス520の部分が図23Aおよび図23Bに示されている。詳細には、デバイス520の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス520の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス520は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス520は、前述されているデバイス400(図13A)に非常に類似している可能性があり、内軸または内側管状部材402と、外軸または外側管状部材404と、電気絶縁体406と、第2の電極体またはキャップ408と、絶縁層410とを含む。切断先端部412と切断窓414とは結合して切断器具416を画定している。第1の電極面418および第2の電極面420は、前述されているように形成されている。さらに、以下に記載されている通り、デバイス520はそらせ板522を含む。
【0052】
[136]該そらせ板522は、絶縁層410により形成されているかまたはそれに組み立てられており、(図23Aおよび図23Bにおいて全体が確認される)洗浄出口524の一部を形成している。詳細には、図24Aおよび図24Bを参照すると、前述されている通り、洗浄チャネル422は内軸402と外軸404との間に画定されている。さらに、前述されている通り、位置合わせ穴部426〜430は外軸404、電気絶縁体406、および絶縁層410それぞれに形成されており、洗浄出口504の一部を形成している。図23Bに最もよく示されている通り、絶縁層430にある穴部430は、細長いまたは細長い溝様形状を有することができ、絶縁層の遠位端へ随意に延在している。そらせ板522は、絶縁層410にある穴部430を覆ってかつしたがって電気絶縁体406にある穴部428を覆って配置されており、絶縁層の穴部430(または電気絶縁体の穴部406)を出る流体流を遠位方向に、電極面418、420に、概ね向けて偏向させるかまたは方向付けるように構成されている。例えば、そらせ板522は、後壁530と上壁532とを含み得るかまたは画定し得る。後壁530は、絶縁層の穴部430(および電気絶縁体の穴部428)の近位の位置から、絶縁層410から延在しており、絶縁層の穴部430を概ね覆って突出している。上壁532は後壁530から延在しており、絶縁層410および電気絶縁体406から離間されている。上壁532の主要平面が中心軸Aと実質的に平行であり、また、1つまたは複数の側壁534が含まれ得る。いずれにしても、そらせ板522は開いた側部536を画定している。電気絶縁体の穴部428および/または絶縁層の穴部430を出る液体流がそらせ板壁530〜534に衝突し、開いた側部536の方へ方向付けられる。図25に示されている通り、そのように方向付けられた流体(例えば、食塩水)流Fは開いた側部536を介して洗浄出口524を出て、電極面418、420の方向に流動させられ、次に、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進する。他の実施形態に関しては、洗浄出口524は電極面418、420および切断先端部412から近位に離間されており、外軸404(図24A)の径方向外側にある。デバイス520が切断先端部412において吸引(suction or aspiration)をもたらす実施形態では、洗浄出口524から急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0053】
[137]デバイス520の洗浄送達構造、詳細には洗浄チャネル422および洗浄出口(単数または複数)524は、比較的低コストの方法でデバイス520内へ実装され得る。いくつかの実施形態では、驚いたことに、切断先端部412から近位に離間された位置で(または他の吸引位置で)食塩水(または他の流体)を放出することにより、食塩水(または他の流体)が切断先端部412においてまたはそれに直接隣接して内軸402と外軸404との間から放出される装置と比較して、電極面418、420の電気性能(例えば、焼灼性能)が大きく改善されることが分かっている。洗浄出口524を出る流体Fの明瞭な方向性または制御が実現されている。デバイス520は洗浄出口524のうちの1つを設けるように示されているが、他の実施形態では、2つ以上の洗浄出口524が形成されることが可能であり、各々が洗浄チャネル422をデバイス520の外面に流体接続している。洗浄出口(単数または複数)524は、低圧流または噴流を構築して、デバイス520の直立の向きにおいて重力を克服するように構成され得る。
【0054】
[138]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス540の部分が図26A図26Cに示されている。詳細には、デバイス540の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に記載されている。説明し易くするために、デバイス540の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス540は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス540は、内軸または内側管状部材542と、外軸または外側管状部材544と、電気絶縁体546と、第2の電極体またはキャップ548と、絶縁層550とを含む。一般的には、前段の実施形態に類似して、内軸542は外軸544の内部に回転可能に配設されており、切断先端部552を形成している。切断先端部552は、外軸544の切断窓554において選択的に露出されている。切断先端部542と切断窓544とは結合して切断器具556を画定している。電気絶縁体546は外軸544の外面の大部分を覆っている。外軸544は導電性材料で形成されており、したがってデバイス540の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸544の遠位部には電気絶縁体546がなく、第1の電極面558を画定している。第2の電極体548は、(電気絶縁体546で被覆されている)外軸544を受容している。絶縁層550は第2の電極体548の外面の大部分を覆っており、第2の電極体548を外軸544に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体548の遠位領域には絶縁層550がなく、第2の電極面560を画定している。
【0055】
[139]デバイス540は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸542は動力を供給されて、外軸454に対して回転するかまたは揺動し、切断器具556において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面558、560は双極電極として動作し得る。さらに、デバイス540は、以下に記載されているように電極面558、560の領域内に洗浄をもたらすように構成されている。
【0056】
[140]詳細には、図27Aおよび図27Bをさらに参照すると、内軸542の外径が、内軸542および外軸544の長さのかなりの部分に沿って外軸544の内径より小さい。直径の差異は、内軸542と外軸544との間に洗浄チャネル562を作り出している。洗浄チャネル562は、内軸542の中心軸Aと概ね平行な方向に延在しており、リング形状であり、内軸542の外面を画定していると見なされ得る。洗浄チャネル562は、少なくとも1つの流体出口または洗浄出口564で終端しているかまたはそれへ流体的に開いている(図27Aおよび図27Bにおいて全体が参照される)。洗浄出口564は、切断先端部552ならびに第1の電極面558および第2の電極面560の近位に配置されているかまたは離間されており、洗浄出口564の少なくとも部分が外軸544の径方向外側にまたはそれを越えて存在している。いくつかの実施形態では、洗浄出口564は第2の電極体548に近接してまたはそれに「対向して」配置されている(図27Aおよび図27Bにおいて大まかに参照される)。
【0057】
[141]少なくとも1つの洗浄出口564は、水抜き穴と考えられるかまたは見なされることが可能であり、様々な方法で形成され得る。いくつかの実施形態では、洗浄出口564は、外軸544および電気絶縁体546に形成されている、位置合わせされた穴部により集合的に画定されている。例えば、図26Cは、外軸544の壁厚を貫通する穴部566と、電気絶縁体546の壁厚を貫通する穴部568とを全般的に特定している。最終組立て時、図27Aおよび図27Bに示されている通り、穴部566、568は位置合わせされており、洗浄チャネル562からの流体的に開いた接続を構築している。
【0058】
[142]電極面558、560に向かう洗浄出口564からの流体流が、電気絶縁体546と第2の電極体548との間の間隙570により促進され得る。いくつかの実施形態では、第2の電極体548は、間隙570を形成しかつ洗浄出口564を出る液体からの所望の電気的遮蔽をもたらす多層構造を有し得る。例えば、洗浄チャネル562に沿った液体が外軸542と接触し、外軸542が励起され(第1の電極面558を励起する)かつ第2の電極体548が励起された(第2の電極面560を励起する)場合、液体が外軸542と第2の電極体548との間に電気的短絡を引き起こさないようにするために、第2の電極体548における電気的遮蔽が望ましい。これを念頭において、図28を参照すると、第2の電極体548は、外層572と、中間層574と、内層576とを含み得る。外層572は、導電性材料(例えば、金属)で形成されており、第2の電極面560を設けるのに役立つ。中間層574および内層576は、非導電性材料または絶縁材料で形成されている。中間層576の大きさおよび形状が外層572の大きさおよび形状と一致している。内層576の形状が中間層574の形状と概ね一致しているが、内層576の長手方向長さが中間層574の長さより短い。より詳細には、内層576は遠位端578で終端している。(電気絶縁体546および第2の電極体548を分離して別途示す)図29に示されている通り、内層576の遠位端578は洗浄出口562の上流に配置されている。この構成では、間隙570の幅が内層576の厚さと一致している。換言すれば、内層576は、流体チャネルの間隙570を作り出す間隔保持片のかつ流体が後方へ流動しないようにする停止装置の機能を果たす。中間層574は外層572のための電気的遮蔽を実現する。第2の電極体548は、外層572の内面全体を非導電性材料で被覆して中間層574を形成することによるなどの、様々な方法で構築されることが可能であり、このそのように形成された部分の遠位領域は、次いで覆われ、非導電性材料の第2の被覆が塗布されて、内層576を作り出す。また、他の構造が許容可能であり、中間層574および内層576を単一のまたは均質の構造体として設けることを含み得る。
【0059】
[143]図30に示されている通り、洗浄チャネル562(図27B)を通して送達される流体(例えば、食塩水)Fが、洗浄出口564(図27B)および間隙570(図27B)を介してデバイス540の外面に注がれ、前進して電極面558、560と接触し、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進することができる。デバイス550が切断先端部552において吸引(suction or aspiration)をもたらす(例えば、前述の通り、内軸542の内腔が吸引源に接続され得る)実施形態では、洗浄出口564から急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0060】
[144]デバイス540の洗浄送達構造、詳細には洗浄チャネル562(図27B)および洗浄出口(単数または複数)564(図27B)は、第2の電極体548を利用して流体流を最適な位置へ方向付け、比較的低コストの方法でデバイス540内へ実装され得る。デバイス540は洗浄出口564のうちの1つを設けるように示されているが、他の実施形態では、2つ以上の洗浄出口564が形成されることが可能であり、各々が洗浄チャネル562をデバイス540の外面に流体接続している。複数の洗浄出口564は、大きさおよび形状の観点から同一または異なっている可能性があり、外軸544の外周に対して位置合わせされていてもいなくてもよい。
【0061】
[145]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス600の部分が図31Aおよび図31Bに示されている。詳細には、デバイス600の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス600の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス600は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス600は、前述されているデバイスに非常に類似している可能性があり、内軸または内側管状部材602と、外軸または外側管状部材604と、電気絶縁体606と、第2の電極体またはキャップ608と、絶縁層610とを含む。内軸602は外軸604の内部に回転可能に配設されており、切断先端部612を形成している。切断先端部612は外軸604の切断窓614において選択的に露出されている。切断先端部612と切断窓614とは結合して切断器具616を画定している。電気絶縁体606は外軸604の外面の大部分を覆っている。外軸604は導電性材料で形成されており、したがってデバイス600の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸604の遠位部には電気絶縁体606がなく、第1の電極面618を画定している。第2の電極体608は、(電気絶縁体606で被覆されている)外軸604を受容している。絶縁層610は第2の電極体608の外面の大部分を覆っており、第2の電極体608を外軸604に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体608の遠位領域には絶縁層610がなく、第2の電極面620を画定している。さらに、以下に記載されている通り、デバイス600は洗浄管622を含む。
【0062】
[146]デバイス600は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸602は動力を供給されて、外軸604に対して回転するかまたは揺動し、切断器具616において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面618、620は双極電極として動作し得る。さらに、以下に記載されている通り、デバイス600は電極面618、620の領域内に洗浄をもたらすように構成されている。
【0063】
[147]詳細には、図32Aおよび図32Bをさらに参照すると、洗浄管622は洗浄チャネル624を画定しており、近位端626(図31A)から遠位端628まで延在している。近位端626は、当業者に明らかになるように流体源を洗浄チャネル624に接続するための(例えば、前述されている洗浄ハブ)、デバイス600の1つまたは複数の他の構成要素への流体接続のために構成されている。遠位端628は洗浄チャネル624へ開いており、(全体が参照される)洗浄出口630のまたはその一部の機能を果たす。洗浄管622、およびしたがって洗浄チャネル624は、内軸602の中心軸Aと概ね平行な方向に延在している。いくつかの実施形態では、洗浄管622は、絶縁層610により、外軸604に対して固定されている(例えば、熱収縮組立て)。洗浄出口630は、切断先端部612ならびに第1の電極面618および第2の電極面620の近位に配置されているかまたは離間されており、外軸604の径方向外側にまたはそれを越えて存在している。
【0064】
[148]図33に示されている通り、洗浄チャネル624(図32A)を通して送達される流体(例えば、食塩水)Fが、洗浄出口630を介してデバイス600の外面に注がれ、前進して電極面618、620と接触し、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進することができる。デバイス600が切断先端部612において吸引(suction or aspiration)をもたらす(例えば、前述の通り、内軸602の内腔が吸引源に接続され得る)実施形態では、洗浄出口630を介して急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0065】
[149]デバイス600の洗浄送達構造、詳細には洗浄チャネル624および洗浄出口630は、比較的低コストの方法でデバイス600内へ実装され得る。いくつかの実施形態では、驚いたことに、切断先端部612から近位に離間された位置で(または他の吸引位置で)食塩水(または他の流体)を放出することにより、食塩水(または他の流体)が切断先端部612においてまたはそれに直接隣接して内軸602と外軸604との間から放出される装置と比較して、電極面618、620の電気性能(例えば、焼灼性能)が大きく改善されることが分かっている。洗浄出口630を出る流体Fの明瞭な方向性または制御が実現されている。洗浄出口630は、低圧流または噴流を構築して、デバイス600の直立の向きにおいて重力を克服するように構成され得る。
【0066】
[150]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス600’の部分が図34に示されている。デバイス600’は、前述されているデバイス600(図31A)に非常に類似している可能性があり、内軸または内側管状部材602と、外軸または外側管状部材604と、電気絶縁体606と、第2の電極体またはキャップ608と、絶縁層610とを含む。デバイス600’は、(図34では隠されているが、例えば図32Aでは示されている)洗浄チャネル624を形成している、前述されている洗浄管622をさらに含む。図30の実施形態では、洗浄出口640が洗浄管622の遠位端628に設けられており、ノズル642を含む。ノズル642は遠位端628に連結されており、洗浄チャネル624へ流体的に開いている。ノズル642は様々な形態を想定することができ、いくつかの実施形態では、洗浄出口640から電極面618、620の方向に放出される流体(図示せず)中に霧様パターンを生成するように構成されている。
【0067】
[151]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス650の部分が図35に示されている。デバイス650は、前述されているデバイス600(図31A)に類似している可能性があり、前述されているように内軸または内側管状部材602と、外軸または外側管状部材604と、第2の電極体またはキャップ608と、絶縁層610とを含む(第2の電極面620の設備を含む)。デバイス650は、第1の電極面618を画定するように外軸604の大部分を覆っており、電気絶縁体606(図31A)に類似した電気絶縁体652をさらに含む。さらに、以下に記載されている通り、電気絶縁体652は(図35では主として隠されている)洗浄チャネルと洗浄出口654とを設けるように構成されている。デバイス600と比較して、電気絶縁体652は洗浄管622(図31B)に取って代わっている。
【0068】
[152]電気絶縁体652は図36Aおよび図36Bにさらに詳細に示されており、前端部654と後端部656との間に延在している。電気絶縁体652は、絶縁領域658と洗浄領域660とを含むかまたはそれらを画定するように形成されている。絶縁領域658は前の実施形態と同等であり、外軸604(図35)と大きさおよび形状が対応する。例えば、絶縁領域658は、電気絶縁体の材料を外軸604の外面上に被覆することにより形成され得る。いずれにしても、洗浄領域660は絶縁領域658から径方向にずらされており、洗浄チャネル662を画定する管形状を有する。洗浄チャネル662は後端部656において開いており、当業者に明らかになるように流体源を洗浄チャネル662に接続するための(例えば、前述されている洗浄ハブ)、デバイス650(図35)の1つまたは複数の他の構成要素への流体接続のために構成されている。さらに、洗浄チャネル662は、洗浄領域660の遠位端664において開いている(遠位端664は前端部654から近位に離間されている)。
【0069】
[153]上記の構造では、図37Aおよび図37Bに示されている通り、電気絶縁体652は、第1の電極面618の領域内を除いて、外軸604を第2の電極体608から電気的に絶縁している。遠位端664は洗浄チャネル662へ開いており、(全体が参照される)洗浄出口654のまたはその一部の機能を果たす。洗浄チャネル662は、内軸602の中心軸Aと概ね平行な方向に延在している。洗浄出口654は、切断先端部612ならびに第1の電極面618および第2の電極面620の近位に配置されているかまたは離間されており、外軸604の径方向外側にまたはそれを越えて存在している。
【0070】
[154]図38に示されている通り、洗浄チャネル662(図37A)を通して送達される流体(例えば、食塩水)Fが、洗浄出口654を介してデバイス650の外面に注がれ、前進して電極面618、620と接触し、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進することができる。デバイス650が切断先端部612において吸引(suction or aspiration)をもたらす(例えば、前述の通り、内軸602の内腔が吸引源に接続され得る)実施形態では、洗浄出口654を介して急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0071】
[155]デバイス650の洗浄送達構造、詳細には洗浄チャネル662(図37A)および洗浄出口654は、比較的低コストの方法でデバイス650内へ実装され得る。いくつかの実施形態では、驚いたことに、切断先端部612から近位に離間された位置で(または他の吸引位置で)食塩水(または他の流体)を放出することにより、食塩水(または他の流体)が切断先端部612においてまたはそれに直接隣接して内軸602と外軸604との間から放出される装置と比較して、電極面618、620の電気性能(例えば、焼灼性能)が大きく改善されることが分かっている。洗浄出口654を出る流体Fの明瞭な方向性または制御が実現されている。洗浄出口654は、低圧流または噴流を構築して、デバイス650の直立の向きにおいて重力を克服するように構成され得る。
【0072】
[156]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス700の部分が図39Aおよび図39Bに示されている。詳細には、デバイス700の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス700の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス700は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス700は、内軸または内側管状部材702と、外軸または外側管状部材704と、電気絶縁体706と、第2の電極体またはキャップ708と、絶縁層710とを含む。構成要素702〜710は前の実施形態に類似している可能性がある。さらに、デバイス700は、以下に明らかにされる理由のために、外層711を含む。
【0073】
[157]一般的には、前段の実施形態に類似して、内軸702は外軸704の内部に回転可能に配設されており、切断先端部712を形成している。切断先端部712は、外軸704の切断窓714において選択的に露出されている。切断先端部712と切断窓714とは結合して切断器具716を画定している。電気絶縁体706は外軸704の外面の大部分を覆っている。外軸704は導電性材料で形成されており、したがってデバイス700の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸704の遠位部には電気絶縁体716がなく、第1の電極面718を画定している。第2の電極体708は、(電気絶縁体706で被覆されている)外軸704を受容している。(図39Bでは隠されている)絶縁層710は第2の電極体708の外面の大部分を覆っており、第2の電極体708を外軸704に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体708の遠位領域には絶縁層710がなく、第2の電極面720を画定している。
【0074】
[158]デバイス700は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸702は動力を供給されて、外軸704に対して回転するかまたは揺動し、切断器具716において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面718、720は双極電極として動作し得る。さらに、以下に記載されている通り、デバイス700は電極面718、720の領域内に洗浄をもたらすように構成されている。
【0075】
[159]詳細には、図40Aおよび図40Bをさらに参照すると、外層711は絶縁層710の周囲に配設されている。内層711の内径または形状が絶縁層710の外径または形状より大きい。直径または形状の差異は、絶縁層710と外層711との間に洗浄チャネル722を作り出している。洗浄チャネル722は内軸702の中心軸Aと概ね平行な方向に延在している。いくつかの実施形態では、外層711は、図示されている形状を維持するように形成されており、洗浄チャネル722は、第2の電極体708の反対側の、デバイス700の側部に沿っていることを指示している。すなわち、外層711は、第2の電極体708と一致する領域内では、絶縁層710に固定され、それにぴったりくっついていることが可能であり、第2の電極体708の反対側の領域内では、絶縁層710がなく(かつそれから離間されており)、洗浄チャネル722を作り出している。洗浄チャネル722は、(図39Bおよび図40Aにおいて確認される)少なくとも1つの流体出口または洗浄出口724で終端しているかまたはそれへ流体的に開いている。洗浄出口724は、切断先端部712ならびに第1の電極面718および第2の電極面720に配置されているかまたはそれらから近位に離間されており、外軸704の径方向外側にまたはそれを越えて存在している。いくつかの実施形態では、洗浄出口724は第2の電極体708の反対側にある。図には見えないが、絶縁層710および外層711は、当業者に明らかになるように流体源を洗浄チャネル722に接続するための(例えば、前述されている洗浄ハブ)、デバイス700の1つまたは複数の他の構成要素への流体接続のために構築されている洗浄チャネル722のための開いた近位端を構築するように構成されている。
【0076】
[160]図41に示されている通り、洗浄チャネル722(図40B)を通して送達される流体(例えば、食塩水)Fが、洗浄出口724を介してデバイス700の外面に注がれ、前進して電極面718、720と接触し、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進することができる。デバイス700が切断先端部712において吸引(suction or aspiration)をもたらす(例えば、前述の通り、内軸702の内腔が吸引源に接続され得る)実施形態では、洗浄出口724から急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。洗浄出口724を出る流体Fの方向性または制御が概ね実現されている。
【0077】
[161]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス750の部分が図42Aおよび図42Bに示されている。詳細には、デバイス750の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス750の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス750は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。これを念頭において、デバイス750は、内軸または内側管状部材752と、外軸または外側管状部材754と、電気絶縁体756と、第2の電極体またはキャップ758と、絶縁層760とを含む。内軸752、外軸754、電気絶縁体756、および絶縁層760は、前述されている構造のいずれかを有し得る。以下に記載されている通り、第2の電極体758は、洗浄チャネルを構築するように構成されている。
【0078】
[162]一般的には、前段の実施形態に類似して、内軸752は外軸754の内部に回転可能に配設されており、切断先端部762を形成している。切断先端部762は、外軸754の切断窓764において選択的に露出されている。切断先端部762と切断窓764とは結合して切断器具766を画定している。電気絶縁体756は外軸754の外面の大部分を覆っている。外軸754は導電性材料で形成されており、したがってデバイス750の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸754の遠位部には電気絶縁体756がなく、第1の電極面768を画定している。第2の電極体758は、(電気絶縁体756で被覆されている)外軸754を受容している。絶縁層760は第2の電極体758の外面の大部分を覆っており、第2の電極体758を外軸754に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体758の遠位領域には絶縁層760がなく、第2の電極面770を画定している。
【0079】
[163]デバイス750は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸752は動力を供給されて、外軸754に対して回転するかまたは揺動し、切断器具766において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面768、770は双極電極として動作し得る。さらに、以下に記載されている通り、デバイス750は電極面768、770の領域内に洗浄をもたらすように構成されている。
【0080】
[164]詳細には、図43Aおよび図43Bをさらに参照すると、他の実施形態と異なり、(図42Aに最もよく示されている通り)第2の電極体758は円筒状またはリング形状である。第2の電極体758は電気絶縁体756の周囲に配設されている(かつ絶縁層760は第2の電極体758の周囲に配設されている)が、内層第2の電極体758の内径が電気絶縁体756の外径より大きい。直径の差異は、電気絶縁体756と第2の電極体758との間に洗浄チャネル772を作り出している。洗浄チャネル772は内軸752の中心軸Aと概ね平行な方向に延在しており、環形状またはリング形状であり、電気絶縁体756の外面を画定していると見なされ得る。洗浄チャネル772は、(図43Aにおいて確認される)洗浄出口774で終端しているかまたはそれへ流体的に開いている。洗浄出口774の少なくとも部分が、切断先端部762ならびに第1の電極面768および第2の電極面770に配置されているかまたはそれらの近位に離間されており、外軸754の径方向外側にまたはそれを越えて存在している。図には見えないが、電気絶縁体756と第2の電極体758とは、当業者に明らかになるように流体源を洗浄チャネル772に接続するための(例えば、前述されている洗浄ハブ)、デバイス750の1つまたは複数の他の構成要素への流体接続のために構築されている洗浄チャネル772のための開いた近位端を構築するように構成されている。
【0081】
[165]図44に示されている通り、洗浄チャネル772(図43B)を通して送達される流体(例えば、食塩水)Fが、洗浄出口774を介してデバイス750の外面に注がれ、前進して電極面768、770と接触し、前述されている通り、双極状態でのそれらの動作を促進することができる。デバイス750が切断先端部762において吸引(suction or aspiration)をもたらす(例えば、前述の通り、内軸752の内腔が吸引源に接続され得る)実施形態では、洗浄出口774の少なくとも部分から急送される食塩水または他の流体Fは、治療部位から直ちにまたは前もって吸引されない。
【0082】
[166]洗浄がどのようにもたらされるかに関わらず、本開示の他の態様が、第1の電極面および第2の電極面の幾何学的形状に関連する。前の実施形態は電極面のある幾何学的形状およびそれらのかつそれらの間の関係を示したが、また、他の構造が想像される。ちなみに、デブリッダ刃に加えて双極焼灼が、外科医に、組織を切開している間の失血を制御する能力を与える。例えば、焼灼器具を使用している間に外科医が持ついくつかの懸念がある洞手術において使用される。第1に、外科医は焼灼位置に亘って正確に制御しなければならない。洞内の粘膜組織が、正常な粘液流および健康な洞機能に必要な線毛で覆われている。粘膜組織が熱損傷を受けた場合、線毛は永久的に失われ、それはさらなる洞問題の原因になる可能性がある。さらに、多くの洞手術が眼および脳に極近接して起こり、これらの状況下で、焼灼術の深さおよび広がりに亘る正確な制御は有益であり得る。以下の実施形態では、本開示の電気外科デバイスのいずれかに有用な様々な電極面の幾何学的形状が開示されている。
【0083】
[167]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス800の部分が図45A図45Dに示されている。詳細には、デバイス800の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス800の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス800は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。さらに、デバイス800は本開示の洗浄構造のいずれかを組み込むことができる。これを念頭において、デバイス800は、内軸または内側管状部材802と、外軸または外側管状部材804と、電気絶縁体806と、第2の電極体またはキャップ808と、絶縁層810とを含む。前段の実施形態に類似して、内軸802は外軸804の内部に回転可能に配設されており、切断先端部812を形成している。切断先端部812は、外軸804の切断窓814において選択的に露出されている。切断先端部812と切断窓814とは結合して切断器具816を画定している。電気絶縁体806は外軸804の外面の大部分を覆っている。外軸804は導電性材料で形成されており、したがってデバイス800の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸804の遠位部には電気絶縁体806がなく、第1の電極面818を画定している。第2の電極体808は、(電気絶縁体806で被覆されている)外軸804を受容している。絶縁層810は第2の電極体808の外面の大部分を覆っており、第2の電極体808を外軸804に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体808の遠位領域には絶縁層810がなく、第2の電極面820を画定している。
【0084】
[168]デバイス800は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸802は動力を供給されて、外軸804に対して回転するかまたは揺動し、切断器具816において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面818、820は双極電極として動作し得る。
【0085】
[169]第1の電極面818は、切断窓814を画定している、外軸804の露出された外周面822を含む。さらに、第1の電極面818の前面824が切断窓外周面822を越えて画定されている(すなわち、前面824において外軸804には電気絶縁体806がない)。
【0086】
[170]第2の電極面820は、図示されている枠様のまたは横木様の構造を有することができ、絶縁層810から遠位に突出している。第2の電極面820の突出は、対向する上縁部826および下縁部828を画定している。図示の通り、上縁部826の形状および輪郭が第1の電極面818の形状および輪郭に概ね対応している。例えば、間隙830が第2の電極面820の上縁部826と第1の電極面818との間に画定されており、間隙830は第1の電極面818の外周縁部の形状によく似た形状を有する。電気絶縁体806は間隙830において露出されている。
【0087】
[171]第2の電極面820の枠様構造は対向する第1の側面部分832および第2の側面部分834と先端部分836とを作り出すように見られ得る。側面部分832、834は、デバイス800の対向する側部それぞれに沿って略長手方向状に延在している。先端部分836は、外軸804の遠位端の湾曲形状または弓形状に従い、側面部分832と834との間に延在している。第2の電極面820の幅または高さが、側面部分832および834の幅または高さと比較して、先端部分836に沿ってより大きい可能性がある。下縁部828は部分832〜836に沿って連続的であるかまたは切れ目がない。図45Bにおいて最もよく確認される通り、第2の電極面820はデバイス800の底面に対して不完全であるかまたは不連続である。別の言い方をすれば、開口領域838が、電気絶縁体806が露出されている第2の電極面820に作り出されている。第1の側面部分832に沿った下縁部828は、開口領域838により、第2の側面部分834に沿った下縁部828から離間されている。
【0088】
[172]この構造では、第1の電極面818および第2の電極面820における双極通電が、第1の電極面818の前面824および第2の電極面820の先端部分836の領域に概ね集中的である。通電(例えば、焼灼、切除等)は、開口領域838(すなわち、第2の電極面820が存在しない領域)において起こらないであろう。したがって、刃組立体の「後」面上の第2の電極面820の材料を除去することにより、デバイス800は、不測の組織通電が後面において起こらないようにされるので、強化された安全性を実現する。
【0089】
[173]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス850の部分が図46A図46Dに示されている。詳細には、デバイス850の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス850の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス850は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。さらに、デバイス850は本開示の洗浄構造のいずれかを組み込むことができる。これを念頭において、デバイス850は、内軸または内側管状部材852と、外軸または外側管状部材854と、電気絶縁体856と、第2の電極体またはキャップ858と、絶縁層860とを含む。前段の実施形態に類似して、内軸852は外軸854の内部に回転可能に配設されており、切断先端部862を形成している。切断先端部862は、外軸854の切断窓864において選択的に露出されている。切断先端部862と切断窓864とは結合して切断器具866を画定している。電気絶縁体856は外軸854の外面の大部分を覆っている。外軸854は導電性材料で形成されており、したがってデバイス850の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸854の遠位部には電気絶縁体856がなく、第1の電極面868を画定している。第2の電極体858は、(電気絶縁体856で被覆されている)外軸854を受容している。絶縁層860は第2の電極体858の外面の大部分を覆っており、第2の電極体858を外軸854に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体858の遠位領域には絶縁層860がなく、第2の電極面870を画定している。
【0090】
[174]デバイス850は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸852は動力を供給されて、外軸854に対して回転するかまたは揺動し、切断器具866において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面868、870は双極電極として動作し得る。
【0091】
[175]第1の電極面868は、切断窓864を画定している、外軸854の露出された外周面872を含む。さらに、第1の電極面868の前面874が切断窓外周面872を越えて画定されている(すなわち、前面874において外軸854には電気絶縁体856がない)。
【0092】
[176]第2の電極面870は、図示されている畝様の構造を有することができ、絶縁層860から遠位に突出している。第2の電極面870の突出は、対向する側縁部876、878および先端縁部880を画定している。第2の電極面870の形状および輪郭が、対向する側縁部876、878が実質的に線形または真っ直ぐである可能性があり、外軸856の中心軸と概ね平行に延在しているようになっている。さらに、対向する側縁部876、878は第1の電極面868の対応する(すなわち最も近接した)縁部から明確に離間されている。第2の電極面870は、外軸856の遠位端の湾曲によく似ているかまたはそれに従っており、第1の電極面868の前面874に比較的極近接して先端縁部880を配置している。別の言い方をすれば、間隙882が、(電気絶縁体806が露出されている)第1の電極面868の前面874と第2の電極面870の先端縁部880との間に存在するが、前面874と先端縁部880との間の距離が、側縁部876、878と第1の電極面868の対応する(すなわち最も近接した)縁部との間の距離より実質的に短い。例えば、いくつかの実施形態では、先端縁部880と第1の電極面868との間の距離が、第1の側縁部876もしくは第2の側縁部878の少なくとも大部分と第1の電極面868との間の距離より少なくとも25%短く、あるいは少なくとも30%短く、または少なくとも50%短い。
【0093】
[177]この構造では、第1の電極面868と第2の電極面870とにおける双極通電が、第1の電極面868の前面874および第2の電極面870の先端縁部880の領域に概ね集中的である。通電(例えば、焼灼、切除等)が第2の電極面870の側部または刃組立体の「後部」において起こる可能性はあまりなく、不測の組織通電が後面において起こらないようにされるので、強化された安全性を実現する。さらに、正確な焼灼効果が刃組立体の先端部において促進される。
【0094】
[178]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス900の部分が図47A図47Dに示されている。詳細には、デバイス900の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス900の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス900は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。さらに、デバイス900は本開示の洗浄構造のいずれかを組み込むことができる。これを念頭において、デバイス900は、内軸または内側管状部材902と、外軸または外側管状部材904と、電気絶縁体906と、第2の電極体またはキャップ908と、絶縁層910とを含む。前段の実施形態に類似して、内軸902は外軸904の内部に回転可能に配設されており、切断先端部912を形成している。切断先端部912は、外軸904の切断窓914において選択的に露出されている。切断先端部912と切断窓914とは結合して切断器具916を画定している。電気絶縁体906は外軸904の外面の大部分を覆っている。外軸904は導電性材料で形成されており、したがってデバイス900の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸904の遠位部には電気絶縁体906がなく、第1の電極面918を画定している。第2の電極体908は、(電気絶縁体906で被覆されている)外軸904を受容している。絶縁層910は第2の電極体908の外面の大部分を覆っており、第2の電極体908を外軸904に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体908の遠位領域には絶縁層910がなく、第2の電極面920を画定している。
【0095】
[179]デバイス900は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸902は動力を供給されて、外軸904に対して回転するかまたは揺動し、切断器具916において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面918、920は双極電極として動作し得る。
【0096】
[180]第1の電極面918は、切断窓914を画定している、外軸904の露出された外周面922を含む。さらに、第1の電極面918の前面924が切断窓外周面922を越えて画定されている(すなわち、前面924において外軸904には電気絶縁体906がない)。
【0097】
[181]第2の電極面920は絶縁層910を越えて遠位に突出しており、基底部分926と、対向する第1の耳状部分928および第2の耳状部分930とを形成しているかまたは画定している。基底部分926は切断窓924の反対側に概ね配置されており、対向する側縁部932、934を画定している。基底部分926の延在が外軸904の中心軸Aと実質的に平行であり得る。いずれにしても、側縁部932、934は第1の電極面918の対応する(すなわち最も近接した)縁部から実質的に離間されている。耳状部分928、930は実質的に同一(例えば、鏡像)であり、外軸904の遠位端の形状および輪郭に従いながら、基底部分926から、中心軸Aからずらされた方向に突出している可能性がある。耳状部分928、930は各々、第1の電極面918の前面924に近接して配置されている先端縁部936、938それぞれにおいて終端している。図47Dにより最もよく示されている通り、先端縁部936、938は中心軸Aから径方向にずらされているかまたは軸外であり、第1の耳状部分928の先端縁部936は中心軸Aの一方の側に配置されており、第2の耳状部分930の先端縁部938は中心軸Aの反対側に配置されている。間隙940は、(電気絶縁体906が露出されている)第1の電極面918の前面924と第2の電極面920の先端縁部936、938との間に存在するが、前面924と先端縁部936、938との間の距離が、第2の電極面920の任意の他の縁部と第1の電極面918の対応する(すなわち最も近接した)縁部との間の距離より実質的に短い。例えば、いくつかの実施形態では、先端縁部936、938と第1の電極面918との間の距離が、第2の電極面920の残部と第1の電極面918との間の距離より少なくとも25%短く、あるいは少なくとも30%短く、または少なくとも50%短い。
【0098】
[182]この構造では、第1の電極面918と第2の電極面920とにおける双極通電が、第1の電極面918の前面924および第2の電極面920のずらされた先端部分936、938の領域に概ね集中的である。通電(例えば、焼灼、切除等)が刃組立体の「後部」において起こる可能性が低く、不測の組織通電が後面において起こらないようにされるので、強化された安全性を実現する。さらに、正確な焼灼制御が刃組立体の軸外先端部で促進され、例えば目標解剖学的構造に接近するために軸外電極が所望される手技で、この効果が有益であり得る。
【0099】
[183]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス950の部分が図48A図48Cに示されている。詳細には、デバイス950の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス950の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス950は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。さらに、デバイス950は本開示の洗浄構造のいずれかを組み込むことができる。これを念頭において、デバイス950は、内軸または内側管状部材952と、外軸または外側管状部材954と、電気絶縁体956と、第2の電極体またはキャップ958と、絶縁層960とを含む。前段の実施形態に類似して、内軸952は外軸954の内部に回転可能に配設されており、切断先端部962を形成している。切断先端部962は、外軸954の切断窓964において選択的に露出されている。切断先端部962と切断窓964とは結合して切断器具966を画定している。電気絶縁体966は外軸954の外面の大部分を覆っている。外軸954は導電性材料で形成されており、したがってデバイス950の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸954の遠位部には電気絶縁体956がなく、第1の電極面968を画定している。第2の電極体958は、(電気絶縁体956で被覆されている)外軸954を受容している。絶縁層960は第2の電極体958の外面の大部分を覆っており、第2の電極体958を外軸954に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体958の遠位領域には絶縁層960がなく、第2の電極面970を画定している。
【0100】
[184]デバイス950は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸952は動力を供給されて、外軸954に対して回転するかまたは揺動し、切断器具966において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面968、970は双極電極として動作し得る。
【0101】
[185]第1の電極面968は、切断窓964を画定している、外軸954の露出された外周面972を含む。さらに、第1の電極面968の前面974が切断窓外周面972を越えて画定されている(すなわち、前面974において外軸954には電気絶縁体956がない)。
【0102】
[186]第2の電極面970は絶縁層960を越えて遠位に突出しており、基底部分976と先端部分978とを形成しているかまたは画定している。基底部分976は切断窓964の反対側に概ね配置されており、対向する側縁部980、982を画定している。側縁部980、982は同一形状を有し得る。例えば、第1の側縁部980の形状が近位領域984と遠位領域986とを画定しているように、図48Bに示されている。第1の側縁部980と(近位領域984に沿った)第1の電極面968との間の第1の間隔988が比較的均一であるように、近位領域984の形状が第1の電極面968の対応する(すなわち最も近接した)縁部の形状によく似ている可能性がある。側縁部980は遠位領域986に沿って第1の電極面968から離れて突出しており、遠位方向に、第1の側縁部980と第1の電極面968との間の拡張された第2の間隔990を構築している。第2の間隔990の大きさが第1の間隔988の大きさより大きい。別の言い方をすれば、遠位領域986に沿った、第1の側縁部980と第1の電極面968の対応する(すなわち最も近接した)縁部との間の距離は、近位領域984に沿った距離より長い。
【0103】
[187]先端部分978は外軸954の遠位端の湾曲に従い、第1の電極面968に向かって上方に突出している。先端部分978は、第1の電極面968の前面974に近接した先端縁部992において終端している。間隙994が、第1の電極面968の前面974と(電気絶縁体956が露出されている)第2の電極面970の先端縁部992との間に存在するが、対応する遠位領域986に少なくとも沿って、前面974と先端縁部992との間の距離が、側縁部980、982と第1の電極面968の対応する(すなわち最も近接した)縁部との間の距離より実質的に短い。別の言い方をすれば、先端縁部992における間隙994の大きさが、遠位領域986における第2の間隔990の大きさより実質的に小さい。例えば、いくつかの実施形態では、先端縁部992と第1の電極面968との間の距離が、遠位領域986に沿った、側縁部980、982と第1の電極面968の対応する(すなわち最も近接した)縁部との間の距離より少なくとも25%短く、あるいは少なくとも30%短く、または少なくとも50%短い。
【0104】
[188]この構造では、第1の電極面968および第2の電極面970における双極通電が、第1の電極面968の前面974および第2の電極面970の先端縁部992の領域に、かつ第2の電極面970の近位領域984と一致する、対向する側面領域において、概ね集中的である。通電(例えば、焼灼、切除等)効果は刃組立体の先端部および側部において集中される。より高い焼灼精度が、デバイス950が同時のデブリドマン/焼灼手技に使用されている場合に先導された側部および先端部が切断する間に与えられる。
【0105】
[189]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス1000の部分が図49A図49Cに示されている。詳細には、デバイス1000の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス1000の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス1000は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。さらに、デバイス1000は本開示の洗浄構造のいずれかを組み込むことができる。これを念頭において、デバイス1000は、内軸または内側管状部材1002と、外軸または外側管状部材1004と、電気絶縁体1006と、第2の電極体またはキャップ1008と、絶縁層1010とを含む。前段の実施形態に類似して、内軸1002は外軸1004の内部に回転可能に配設されており、切断先端部1012を形成している。切断先端部1012は、外軸1004の切断窓1014において選択的に露出されている。切断先端部1012と切断窓1014とは結合して切断器具1016を画定している。電気絶縁体1006は外軸1004の外面の大部分を覆っている。外軸1004は導電性材料で形成されており、したがってデバイス1000の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸1004の遠位部には電気絶縁体1006がなく、第1の電極面1018を画定している。第2の電極体1008は、(電気絶縁体1006で被覆されている)外軸1004を受容している。絶縁層1010は第2の電極体1008の外面の大部分を覆っており、第2の電極体1008を外軸1004に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体1008の遠位領域には絶縁層1010がなく、第2の電極面1020を画定している。
【0106】
[190]デバイス1000は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸1002は動力を供給されて、外軸1004に対して回転するかまたは揺動し、切断器具1016において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面1018、1020は双極電極として動作し得る。
【0107】
[191]第1の電極面1018は、切断窓1014を画定している、外軸1004の露出された外周面1022を含む。さらに、第1の電極面1018の前面1024が切断窓外周面1022を越えて画定されている(すなわち、前面1024において外軸1004には電気絶縁体1006がない)。
【0108】
[192]第2の電極面1020は、絶縁層1010を越えて遠位に突出しており、基部1026と、対向する耳状部1028、1030を形成しているかまたは画定している。基底部分1026は切断窓1014の反対側に概ね配置されており、対向する側縁部1032、1034を画定している。側縁部1032、1034は同一形状を有し得る。例えば、側縁部1032、1034と第1の電極面1018との間に比較的均一の空間が構築されるように、第1の側縁部1032の形状が第1の電極面1018の対応する(すなわち最も近接した)縁部の形状によく似ているかまたはそれに従っているように、図49Bに示されている。
【0109】
[193]対向する耳状部1028、1030は外軸1004の遠位端の湾曲に概ね従っており、各々は先端縁部1036、1038それぞれにおいて終端している。先端縁部1036、1038の各々の形状が、前面1024の形状などの、第1の電極面1018の対応する(すなわち最も近接した)縁部の形状によく類似しているかまたはそれに従っている。第2の電極面1020に、対向する耳状部1028、1030間に、切欠き1040が形成されている(例えば、耳状部1028、1030は外軸1006の中心軸の両側に画定されている)。切欠き1040は第2の電極面1020の陥凹前縁部1042を画定している。(電気絶縁体1006が露出されている)拡張された間隔または間隙1044が、第2の電極面1020の陥凹前縁部1042と第1の電極面1018の前面1024との間に作り出されている。間隙1044の大きさが、第1の電極面1018と第2の電極面1020の他の縁部との間の間隔の大きさより大きい。別の言い方をすれば、第2の電極面1020の陥凹前縁部1042と第1の電極面1018の前面1024との間の距離が、先端縁部1036、1038と第1の電極面1018の対応する(すなわち最も近接した)縁部(例えば、前面1024)との間の距離より長く、側縁部1032、1034と第1の電極面1018の対応する(すなわち最も近接した)縁部との間の距離より長い。
【0110】
[194]この構造では、第1の電極面1018および第2の電極面1020における双極通電が、第1の電極面1018の前面1024および第2の電極面1020のずらされた先端縁部1036、1038の領域に概ね集中的である。先端部が可視化され得ない場合の手技のために、軸外焼灼(または他の電気刺激)を集中させかつ先端部における焼灼効果を低減することにより、強化された安全性が実現される。
【0111】
[195]本開示の原理に基づく別の電気外科デバイス1050の部分が図50A図50Dに示されている。詳細には、デバイス1050の刃および電極組立体構成要素が図示され、以下に説明されている。説明し易くするために、デバイス1050の様々な他の構成要素が図から省かれており、例えば、デバイス1050は、デバイス110(図2A)に関して前述されている様々なハウジング、ハブ、および電気接続構成要素、あるいは同等の構成要素または機構、の1つもしくは複数を含み得る。さらに、デバイス1050は本開示の洗浄構造のいずれかを組み込むことができる。これを念頭において、デバイス1050は、内軸または内側管状部材1052と、外軸または外側管状部材1054と、電気絶縁体1056と、第2の電極体またはキャップ1058と、絶縁層1060とを含む。前段の実施形態に類似して、内軸1052は外軸1054の内部に回転可能に配設されており、切断先端部1062を形成している。切断先端部1062は、外軸1054の切断窓1064において選択的に露出されている。切断先端部1062と切断窓1064とは結合して切断器具1066を画定している。電気絶縁体1056は外軸1054の外面の大部分を覆っている。外軸1054は導電性材料で形成されており、したがってデバイス1050の第1の電極体の機能を果たすことができる。外軸1054の遠位部には電気絶縁体1056がなく、第1の電極面1068を画定している。第2の電極体1058は、(電気絶縁体1056で被覆されている)外軸1054を受容している。絶縁層1060は第2の電極体1058の外面の大部分を覆っており、第2の電極体1058を外軸1054に随意に固定している(例えば、熱収縮法により)。第2の電極体1058の遠位領域には絶縁層1060がなく、第2の電極面1070を画定している。
【0112】
[196]デバイス1050は、前述されているデバイス110(図2A)に非常に類似した方法で動作し、内軸1052は動力を供給されて、外軸1054に対して回転するかまたは揺動し、切断器具1066において組織切断、切開等を実施する。さらに、前述されている通り、電極面1068、1070は双極電極として動作し得る。
【0113】
[197]第1の電極面1068は、切断窓1064を画定している、外軸1054の露出された外周面1072を含む。
[198]第2の電極面1070は、絶縁層1060を越えて遠位に突出しており、基部1074と、対向する耳状部1076、1078とを形成しているかまたは画定している。基部1074は切断窓1064に向かって概ね配置されており、後縁部1080を画定している。比較的均一の間隔が後縁部1080と第1の電極面1068との間に構築されるように、後縁部1080の形状が第1の電極面1068の対応する(すなわち最も近接した)縁部(例えば、後縁部1080に直接隣接した外周面1072の部分)の形状によく似ているかまたはそれに従っている。
【0114】
[199]耳状部1076、1078は形状が同一であり、切断窓1064の両側で、基部1074から突出し得る。各耳状部は下縁部1084の反対側に上縁部1082を画定しており、先端縁部1086で終端している。1082の形状が、第1の電極面1068の対応する(すなわち最も近接した)縁部(例えば、各上縁部1082に直接隣接した外周面1072の部分)の形状によく類似しているかまたはそれに従っている。耳状部1076、1078は外軸1054の遠位端に及ばず(またはその周囲に延在せず)、耳状部1076、1078の各々の先端縁部1086は外軸1054の遠位端の近位にある。図50Aに最もよく示されている通り、第2の電極面1070が存在しないかつ電気絶縁体1056が露出されている遠位絶縁領域1088が作り出されている。さらに、図50Bにより最もよく示されている通り、耳状部1076、1078の対向する下縁部1084は互いに円周方向に離間されている。したがって、電気絶縁体1056が露出されている実質的な開口領域1090が、耳状部1076、1078間に画定されている。
【0115】
[200]この構造では、第1の電極面1068および第2の電極面1070における双極通電が、第1の電極面1068の近位領域に概ね集中的である。先端部が可視化され得ない場合の手技のために、強化された安全性が実現される。
【0116】
[201]本開示に対する様々な修正および変更が、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。本開示は、本明細書に記載されている例示的実施形態および例により過度に限定されるものではないこと、ならびにそのような例および実施形態は例示目的で示されているに過ぎず、本開示の範囲は以下の通り、本明細書に記載されている特許請求の範囲によってのみ限定されることは言うまでもない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図26C
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31A
図31B
図32A
図32B
図33
図34
図35
図36A
図36B
図37A
図37B
図38
図39A
図39B
図40A
図40B
図41
図42A
図42B
図43A
図43B
図44
図45A
図45B
図45C
図45D
図46A
図46B
図46C
図46D
図47A
図47B
図47C
図47D
図48A
図48B
図48C
図49A
図49B
図49C
図50A
図50B
図50C
図50D