(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661675
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】三次元的な物体を付加的に製造するための装置
(51)【国際特許分類】
B22F 3/16 20060101AFI20200227BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20200227BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200227BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20200227BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20200227BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20200227BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20200227BHJP
【FI】
B22F3/16
B22F3/105
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y50/02
B29C64/153
B29C64/268
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-5576(P2018-5576)
(22)【出願日】2018年1月17日
(65)【公開番号】特開2019-23343(P2019-23343A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2018年1月17日
(31)【優先権主張番号】17182654.8
(32)【優先日】2017年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ヘッツェル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンナ・ヴィンドフェルダー
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン・バティ
【審査官】
中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−120342(JP,A)
【文献】
特開2004−223789(JP,A)
【文献】
特開2001−001409(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0027421(US,A1)
【文献】
特開2013−022965(JP,A)
【文献】
特開2010−132960(JP,A)
【文献】
特開2009−078558(JP,A)
【文献】
井上武海,レーザ出力の測定 ,照明学会誌,日本,一般社団法人照明学会,1988年 7月 1日,Vol.72, NO.7,p.359-364
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16
B22F 3/105
B29C 64/153
B29C 64/268
B29C 67/00
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム(4)を用いて凝固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって三次元的な物体(2)を付加的に製造するための装置(1)であって、
連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム(4)を用いて凝固化可能な構造材料(3)から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とのためのエネルギービーム(4)を発生させるための露光装置(6)と、
プロセスチャンバ(12)と、
前記プロセスチャンバ(12)内に位置し、前記露光装置(6)によって発生されるエネルギービーム(4)の出力を測定するために設置されている、前記露光装置(6)に割り当て可能であるか、又は割り当てられた測定装置(13)と、
前記装置(1)の構造平面(E)内に配置可能であるか、又は配置された、複数の所定の保持位置(24)を含む保持装置(23)であって、前記保持位置内では、前記測定装置(13)又は前記測定装置(13)を支持するアダプタ装置(25)を前記装置(1)の基準点に対して相対的な所定の空間的な位置に保持可能である、保持装置(23)と、
を含み、
前記測定装置(13)が、吸収要素として形成されるか又は吸収要素を含むと共に、エネルギービーム入射面(16)を含む測定要素(15)を含んでおり、
前記エネルギービーム入射面(16)の手前に接続されて配置又は形成された少なくとも1つのエネルギービーム拡張装置(17)が設けられており、前記エネルギービーム拡張装置が、出力に関して測定されるべきエネルギービーム(4)の拡張のために設置されている、装置。
【請求項2】
前記測定装置(13)が、出力密度に関して測定されるべきエネルギービーム(4)の出力にかかわらず、前記装置(1)の少なくとも1つの基準点に対して相対的な、一定の位置に配置されており、前記基準点が、前記装置(1)の構造平面(E)及びエネルギービーム(4)の焦点平面(E’)の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記測定装置(13)が、前記測定装置(13)の本体部を形成するハウジング構造部(21)を含んでおり、前記エネルギービーム入射面(16)が、前記ハウジング構造部(21)の外面に配置若しくは形成されている、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記エネルギービーム拡張装置(17)が、ハウジング構造部(22)を含んでおり、前記ハウジング構造部が前記測定装置(13)の前記ハウジング構造部(21)の外面の上方に配置可能であるか、又は配置されており、前記外面に前記エネルギービーム入射面(16)が配置又は形成されている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
各保持位置(24)が前記保持装置(23)の本体部における凹部(28)によって形成されており、前記各保持位置(24)において、前記測定装置(13)又は前記測定装置(13)を支持するアダプタ装置(25)を固定可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記測定装置(13)又は前記測定装置(13)を支持するアダプタ装置(25)が、少なくとも1つの運動自由度において少なくとも2つの保持位置(24)間で移動可能に支持されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記保持装置(23)が、前記装置(1)の前記構造平面(E)の少なくとも一部を覆うように寸法設定されている、請求項5又は請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記保持装置(23)が、互いに固定可能であるか、又は固定された複数の保持装置セグメント(23a〜23c)を含んでいる、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記露光装置(6)に割り当て可能であるか、又は割り当てられたビーム偏向装置(8)であって、所定の保持位置(24)に保持された測定装置(13)へエネルギービーム(4)を偏向させるために設置されているビーム偏向装置(8)をさらに含む、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ビーム偏向装置(8)が、あらかじめ設定可能な、又はあらかじめ設定された順番に従ってエネルギービーム(4)を異なる保持位置(24)において保持された測定装置(13)へ偏向させるように設置されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ビーム偏向装置(8)が、制御装置(29)によって生成される制御コマンドに依存して制御可能であるか、又は制御されている、請求項9又は請求項10に記載の装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置(1)のための測定装置(13)であって、前記測定装置(13)が、プロセスチャンバ(12)内に位置し、露光装置(6)によって発生されるエネルギービーム(4)の出力を測定するために設置されており、前記測定装置(13)が、吸収要素として形成されるか又は吸収要素を含むと共に、エネルギービーム入射面(16)を含む測定要素(15)を含んでおり、
前記エネルギービーム入射面(16)の手前に接続されて配置又は形成された少なくとも1つのエネルギービーム拡張装置(17)が設けられており、前記エネルギービーム拡張装置が、出力に関して測定されるべきエネルギービーム(4)を拡張するために設置されている、測定装置。
【請求項13】
三次元的な物体(2)を付加的に製造するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置(1)の露光装置(6)のエネルギービーム(4)の出力を測定するための方法であって、
前記方法を実行するために、少なくとも請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の装置(1)の測定装置(13)及び請求項12に記載の測定装置(13)の少なくとも一方が用いられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって三次元的な物体を付加的に製造するための装置であって、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とのためのエネルギービームを発生させるための露光装置を含み、請求項1の前提部分の別の特徴を有する、前記装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元的な物体を付加的に製造するためのこのような装置は、それ自体及びそれ自体について知られている。適当な装置を用いて、製造されるべき三次元的な物体は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る、製造されるべき物体の層に関連する断面に対応する範囲における構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって付加的に構成される。
【0003】
さらに、測定装置が適当な装置の露光装置に割り当てられることが知られており、この測定装置は、露光装置によって発生されるエネルギービームの出力、特に出力密度を測定するために設置されている。このとき、各エネルギービームの複数の異なる出力についての、すなわち各エネルギービームの比較的広い出力範囲における再現可能な測定結果が必要である。
【0004】
公知の測定装置は、特に大きな出力の場合に、大きすぎる平面的なエネルギー入力によって引き起こされる測定装置の損傷を防止するために、露光装置の初期出力に依存して、すなわち特に出力に関して測定されるべきエネルギービームの出力に依存して、装置の基準点、特に構造平面あるいは焦点平面に対して相対的に位置決めされる必要がある。したがって、これまでは、露光装置の初期出力あるいはエネルギービームの出力に依存して測定装置を適切に位置決めする必要がある。このとき、一般的に、大きな出力密度はより小さな出力密度よりも構造平面あるいは焦点平面に対して大きな間隔が必要であることがいえる。
【0005】
これにより、露光装置の各初期出力あるいはエネルギービームの出力について、測定装置が構造平面あるいは焦点平面に対してそれぞれ正確な間隔で位置決めされていることに留意すべきであるため、露光装置公知の測定装置の使用あるいは操作は、手間がかかるとともに、誤りが生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎をなす課題は、これに対して、特にエネルギービームの出力(密度)の簡易な測定に関して改善された、三次元的な物体を付加的に製造するための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項1による、三次元的な物体を付加的に製造するための装置によって解決される。これに従属する請求項は、装置の可能な実施形態に関するものである。
【0008】
ここに記載された装置(「装置」)は、連続的で層ごとの選択的な露光と、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る、製造されるべき物体の層に関連する断面に対応する範囲における構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによる、三次元的な物体、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的な部材群を付加的に製造するために設置されている。構造材料は、粒子状あるいは粉体状の金属材料、合成樹脂材料及び/又はセラミック材料であり得る。選択的に凝固化されるべき各構造材料層の選択的な凝固化は、物体に関する構造データに基づきなされる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体の幾何学的−構造上の形状を示すものであり、例えば付加的に製造されるべき各物体の「スライスされた」CADデータを含むことができる。装置は、SLM装置、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行する装置として、又はSLS装置、すなわち選択的レーザ焼結法(SLS法)を実行する装置として形成されることが可能である。装置がSEBS装置、すなわち選択的電子ビーム溶融法(selektiver Elektronenstrahlschmelzverfahren)(SEBS法)を実行するための装置として形成されることも考えられる。
【0009】
装置は、付加的な構造工程の実行に典型的に必要な機能構成要素を含んでいる。これには、特に積層装置及び露光装置が含まれる。
【0010】
積層装置は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とが行われる装置の構造平面あるいは構造領域における選択的に露光されるべき、あるいは選択的に凝固化されるべき構造材料層を形成するために設置されている。
【0011】
露光装置は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とのためのエネルギービーム、すなわち典型的にはレーザビームを発生させるために設置されている。露光装置は、エネルギービームを実際に発生させるために設置されているエネルギービーム発生装置と、選択的に凝固化される構造材料層へエネルギービームを偏向させるために設置されているビーム偏向装置(スキャナ装置)とをそれぞれ露光装置の構成部材として含むことが可能である。
【0012】
露光装置には測定装置が割り当て可能であるか、あるいは割り当てられている。測定装置は、露光装置によって発生されるエネルギービームの出力、すなわち特に出力密度を測定するために設置されている。測定装置は入射範囲を含んでおり、この入射範囲を介して、測定されるべきエネルギービームが測定装置へ入射可能である。測定装置の入射範囲は、典型的には測定装置の測定要素の一部を形成するエネルギービーム入射面によって形成されているか、あるいはこのエネルギービーム入射面を含んでいる。したがって、測定装置は、エネルギービーム入射面を含む測定要素を含んでいる。測定装置の測定要素は、エネルギービームを吸収するために設置されている吸収要素として形成されることができるか、又は少なくとも1つのこのような吸収要素を含むことができる。したがって、出力あるいは出力密度の測定は、測定要素に入射するエネルギービームの吸収と、これに関連する測定要素の物理的な、特に熱的な状態変化とに基づき行われることができる。具体的には、出力あるいは出力密度の測定は、測定要素へ入射するエネルギービームの吸収に起因する測定要素の加熱に基づいて行われ、測定要素の加熱は、エネルギービームの出力あるいは出力密度の逆推論を可能とするものである。
【0013】
少なくとも1つのエネルギービーム拡張装置が、(光学的に)測定装置のエネルギービーム入射面の手前に接続されて配置あるいは形成されている。したがって、エネルギービームは、このエネルギービームが測定装置のエネルギービーム入射面へ入射する前に、まずはエネルギービーム拡張装置に入射する。エネルギービーム拡張装置は、出力あるいは出力密度に関して測定されるべきエネルギービームを特に光学的に拡張させるために設置されている。エネルギービームの(光学的な)拡張は、典型的にはエネルギービームの光学的なビーム直径の拡大と理解され得る。このために、エネルギービーム拡張装置は、少なくとも1つの、場合によっては複数のエネルギービーム拡張要素を含んでおり、この(これら)エネルギービーム拡張要素は、エネルギービームを拡張するために設置されている。適当なエネルギー拡張要素は、例えば光学的な要素、特にレンズであり得る。
【0014】
エネルギービーム拡張装置は典型的には入射範囲及び出射範囲を含んでおり、入射範囲を介して、拡張されるべきエネルギービームがエネルギービーム拡張装置へ入射可能であり、出射範囲を介して、拡張されたエネルギービームがエネルギービーム拡張装置から出射可能である。エネルギービーム拡張装置の出射範囲は、測定装置の動作中に、測定装置の入射範囲に対向して配置されており、その結果、エネルギービーム拡張装置から出射される拡大されたエネルギービームが測定要素へ入射可能である。
【0015】
エネルギービーム拡張装置によって可能なエネルギービームの拡張は、冒頭に記載した従来技術において示された態様を考慮に入れている。エネルギービームの拡張によって、特に露光装置の初期出力が比較的大きい場合に、あるいはエネルギービームの出力が比較的大きい場合に、大きすぎるエネルギー入力による測定装置の損傷を防ぐことが可能である。したがって、エネルギービームの拡張は、測定装置の損傷を防止するために、特にエネルギービームを介して測定装置へ入るエネルギー入力を低減するという目的設定をもって行われる。これにより、測定装置が基本的には露光装置の初期出力あるいはエネルギービームの出力にかかわらず位置決めされ得るということが得られる。これにより、露光装置の各初期出力あるいはエネルギービームの出力について、測定装置が構造平面あるいは焦点平面に対するそれぞれ正確な間隔において位置決めされていることに留意しなくてもよいため、測定装置の使用あるいは操作は、手間及び誤りのおそれがより小さなものとなる。それゆえ、自動化可能な、又は自動化された、あるいは標準化可能な、又は標準化された測定方法が、それぞれ測定されるべきエネルギービームの出力あるいは出力密度についての広範な範囲に対して実現可能である。
【0016】
合目的には、測定装置(したがってこの測定装置に割り当てられたエネルギービーム拡張装置も)は、動作中に、露光装置の初期出力あるいは出力及び出力密度に関して測定されるべきエネルギービームの出力にかかわらず、装置、特に構造材料層の選択的な凝固化が行われる装置の構造平面あるいはエネルギービームの焦点平面E’の少なくとも1つの基準点に対して相対的な一定の、特に垂直な位置において配置されている。このようにして、測定装置の使用あるいは操作が大幅に改善されている。測定装置の適当な配置は、露光装置の初期出力あるいは出力及び出力密度に関して測定されるべきエネルギービームの出力にかかわらず、特に構造平面に対して相対的な、構造平面から最大で60mm離間した配置であり得る。これにより、測定装置、すなわち測定装置のハウジング構造部の上側は、構造平面から特に最大で60mm離間し得る。特に、構造平面あるいは焦点平面と測定装置の平面の間の間隔は、特に最大で60mmである。測定装置の手前に光学的に接続されて配置されたエネルギービーム拡張装置を考察すると、配置は、露光装置の初期出力あるいは出力及び出力密度に関して測定されるべきエネルギービームの出力にかかわらず、構造平面に対して相対的に構造平面から特に最大で90mm離間したエネルギービーム拡張装置の配置であり得る。したがって、エネルギービーム拡張装置、すなわちエネルギービーム拡張装置のハウジング構造部の上側は、構造平面あるいは焦点平面から特に最大で90mm離間し得る。
【0017】
測定装置は、測定装置の本体部を形成する、特に直方体状又は立方体状に形成されたハウジング構造部を含むことができる。このとき、測定装置側のエネルギービーム入射面は、ハウジング構造部の外面に、あるいはこの外面内に配置又は形成されている。ハウジング構造部には、又はこのハウジング構造部内には、出力あるいは出力密度の測定に必要な測定装置の機能構成要素、すなわち例えば上述の測定要素が配置又は形成されている。
【0018】
エネルギービーム拡張装置も、特に直方体状に形成されたハウジング構造部を含むことができる。エネルギービーム拡張装置側のハウジング構造部は測定装置のハウジング構造部の外面の上方に配置可能であるか、又は配置されており、この測定装置に、又はこの測定装置内にエネルギービーム入射面が配置又は形成されている。特に、エネルギービーム拡張装置のハウジング構造部は、例えば係合式及び/又は嵌合式及び/又は材料結合式の固定態様を用いて、測定装置のハウジング構造部に固定されることができ、その結果、両ハウジング構造部は、共通に操作可能なアセンブリを形成している。
【0019】
ここで、(典型的にはエネルギービーム拡張装置のほかに)測定装置が出力あるいは出力密度の測定の目的で典型的には不活性化可能な装置のプロセスチャンバへ入れられることが一般的に言及され得る。このとき、装置は測定モードにある。三次元的な物体の実際の付加的な構成が行われる装置の構造モードでは、測定装置は、典型的には装置のプロセスチャンバの外部に配置されている。
【0020】
装置は、構造平面内に配置可能であるか、又は配置された特にプレート状あるいはプレート型の、測定装置に割り当てられた保持装置を含むことが可能である。保持装置は所定の複数の測定位置あるいは保持位置を含んでおり、これら測定位置あるいは保持位置内には、測定装置又は測定装置を支持するアダプタ装置が、所定の空間的な位置において、装置の基準点、例えば構造平面あるいは焦点平面に対して相対的に保持可能である。
【0021】
アダプタ装置は、第1の部分(保持部分)及び少なくとも1つの第2の部分(支持部分)を含むことができ、この第1の部分によって、アダプタ装置は、保持装置の適当な保持位置において保持可能であり、第2の部分によって、アダプタ装置が少なくとも1つの測定装置を支持している。アダプタ装置を用いて支持された測定装置が常に装置の少なくとも1つの基準点、特に構造平面又は焦点平面に対して相対的に所定の空間的な、特に垂直な位置において配置されている。上述のように、適当な配置は、装置の構造平面あるいは焦点平面に対して相対的に、装置の構造平面あるいは焦点平面から約60mm離間した測定装置の配置であり得る。
【0022】
各保持位置は、ここでは例えばマトリクス状の、すなわち、列状及び/又は行状の例えば所定の配置において形成された凹部によって、保持装置の特にプレート状あるいはプレート型の本体部において形成されることができ、これら凹部内では、測定装置又は測定装置を支持するアダプタ装置を特に係合式に固定可能である。保持装置における測定装置あるいはアダプタ装置の固定の目的で、測定装置側あるいはアダプタ装置側でも、また保持装置側でも固定要素が配置あるいは形成されており、これら固定要素は、(損傷のない、あるいは破壊のない)解除可能な測定装置あるいはアダプタ装置の固定を形成しつつ各保持位置において協働するように設置されている。適当な固定要素は、各保持位置における測定装置あるいはアダプタ装置の係合式の固定の場合には、係合要素、すなわち例えば係合凸部あるいは係合凹部又は挿入要素、すなわち例えば挿入凸部あるいは挿入凹部であり得る。各保持位置に置ける測定装置あるいはアダプタ装置の固定は、上述のように、典型的には解除可能である。したがって、保持位置に置ける測定装置あるいはアダプタ装置の固定は、必要な場合には解除されることができ、すなわち測定装置あるいはアダプタ装置を保持位置から取り外し、他の保持位置において固定することが可能である。
【0023】
測定装置又は測定装置を支持するアダプタ装置が少なくとも1つの運動自由度において少なくとも2つの保持位置間で特にスライド移動するように移動可能に支持されていることが考えられる。各保持位置は、測定装置の移動軌道によって規定されたガイド部分を互いに結合させることができ、ガイド部分に沿って測定装置が移動可能に支持されている。測定装置あるいはアダプタ装置の移動可能な支持により、測定装置の操作を改善することが可能である。
【0024】
保持装置は、この保持装置が構造平面を少なくとも部分的に、特に完全に覆うように平面的に寸法設定されることができる。特に、保持装置は、この保持装置が典型的には構造モジュールの構成部材を形成する装置の構造チャンバの内部に配置可能であるか、又は配置されているように平面的に寸法設定されることができる。保持装置が構造平面を完全に覆うように寸法設定されている保持装置の合目的な実施形態により、複数の異なる保持位置あるいは測定位置が可能となり、その結果、測定工程の実行の範囲において、法線に対して相対的に角度をもって延びるエネルギービームもその出力あるいは出力密度に関して大きな再現性(Reproduzierbarkeit)をもって測定可能である。
【0025】
保持装置は、特に互いに対して相対的に移動可能に支持され、互いに固定可能であるか、あるいは固定された複数の保持装置セグメントを含むことができる。複数の保持装置セグメントへの保持装置のセグメント化により、保持装置の操作性あるいは搬送性が改善される。互いに対して相対的に移動可能に支持されて互いに固定可能であるか、又は固定された保持装置セグメントは、例えば、構造平面を完全に覆うように保持装置セグメントが互いに対して相対的に移動する、第1の位置(動作位置)と、構造平面を完全に覆わないように保持装置セグメントが互いに対して相対的に移動する第2の位置(非動作位置)の間で移動可能に支持されることが可能である。保持装置セグメントの移動可能な支持は、例えば、第2の保持装置セグメントに対して相対的に保持装置セグメントの回動又は旋回を可能とする保持装置セグメントの回動支持又は旋回支持によって実現されることが可能である。
【0026】
上述のように、装置は、露光装置に割り当て可能であるか、又は割り当てられたビーム偏向装置を含むことができる。ビーム偏向装置は、所定の保持位置において保持された測定装置へエネルギービームを偏向させるために設置されている(上述のように測定装置のハウジング構造部上に配置されエネルギービーム拡張装置を有する測定装置が常に意図されている)。ビーム偏向装置は、特に、特にユーザ側であらかじめ設定可能であるか、又はあらかじめ設定された順序あるいは順番に従って、異なるように位置決めされた、すなわち特に異なる保持位置において保持された測定装置へエネルギービームを偏向させるように設置されている。適当な順序あるいは順番をあらかじめ設定することで、例えば品質保証の目的のために出力曲線あるいは出力特性線を記録するための所定の測定プログラムを実行することが可能である。このために、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより実行される装置の制御装置が、ビーム偏向装置と制御技術的に協働することが可能である。
【0027】
したがって、ビーム偏向装置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより実行される制御装置によって生成される制御コマンドに依存して制御可能であるか、又は制御されることができる。制御装置は、ユーザインターフェース、特にタッチディスプレイ装置を介して装置へ与えられるユーザ入力に基づき制御コマンドを生成するように設置されることができる。特に、適当な保持−測定位置あるいは適当な順序あるいは順番がユーザインターフェースを介してあらかじめ設定可能であり、保持−測定位置へエネルギービームが偏向されるようになっており、順序あるいは順番に従ってエネルギービームが異なる保持位置において保持された測定装置へ偏向されるようになっている。
【0028】
本発明は、上述の装置のほかに、適当な装置のための測定装置に関するものでもある。測定装置は、露光装置によって発生されるエネルギービームの出力、特に出力密度を測定するために設置されているとともに、エネルギービーム入射面を含む測定要素を含んでいる。測定装置は、エネルギービーム入射面の手前に接続されて配置又は形成された少なくとも1つのエネルギービーム拡張装置を備えており、このエネルギービーム拡張装置は、出力に関して測定されるべきエネルギービームを特に光学的に拡張するために設置されている。装置に関連する全ての実施は、測定装置にも同様に当てはまる。
【0029】
さらに、本発明は、三次元的な物体を付加的に製造するための装置の露光装置のエネルギービームの出力、特に出力密度を測定するための方法に関するものである。この装置は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって三次元的な物体を付加的に製造するために設置されているとともに、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービームを用いて凝固化可能な構造材料から成る構造材料層の連続的で層ごとの選択的な凝固化とのためのエネルギービームを発生させるために設置されている露光装置を含んでいる。この方法は、その実行のために、少なくとも1つの測定装置、特に上述の装置の測定装置が用いられることを特徴としている。これにより、装置に関連する全ての実施は、方法にも同様に当てはまる。
【0030】
これにより、測定装置(したがってこの測定装置に割り当てられたエネルギービーム拡張装置も)が露光装置の初期出力又は出力あるいは出力密度に関して測定されるべきエネルギービームの出力にかかわらず装置の少なくとも1つの基準点、特に構造材料層の選択的な凝固化が行われる装置の構造平面あるいはエネルギービームの焦点平面に対して相対的な、一定の、特に垂直な位置において配置されることが可能であるか、あるいは配置されていることが方法において本質的である。
【0031】
図面における実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】概略的な図示における、一実施例による装置の原理図である。
【
図2】斜視図における、一実施例による装置の原理図である。
【
図3】斜視図における、一実施例による保持装置内に配置された測定装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、一実施例による装置1の原理図が概略的にのみ示されている。
【0034】
装置1は、連続的で層ごとの選択的な露光と、これに伴う、エネルギービーム4、すなわち特にレーザビームを用いて、凝固化可能な構造材料、すなわち例えば金属粉体から成る構造材料層3の連続的で層ごとの選択的な凝固化とによって、三次元的な物体2、すなわち例えば技術的な部材あるいは技術的な部材群を付加的に製造するために用いられる。それぞれ凝固化されるべき構造材料層の選択的な凝固化は、物体に関する構造データを基礎として行われる。適当な構造データは、付加的に製造されるべき各物体2の幾何学的−構造上の形状を示すものであり、例えば製造されるべき物体2の「スライスされた」CADデータを含むことが可能である。装置1は、例えばLaser−CUSING(登録商標)装置として、すなわち選択的レーザ溶融法(SLM法)を実行するための装置として形成されることができる。
【0035】
装置1は付加的な構造工程の実行に必要な機能構成要素を含んでおり、
図1には、例えば積層装置5及び露光装置6が示されている。積層装置5は、選択的に露光されるべき、あるいは選択的に凝固化されるべき構造材料層を装置1の一構造平面E内あるいは構造領域において形成するために設置されており、このために、双方向矢印によって示唆されているように、装置1の構造平面あるいは構造領域に対して相対的に可動に支持された、特にブレード型あるいはブレード状の積層要素(不図示)を含んでいる。露光装置6は、装置1の構造平面E内での、選択的に凝固化されるべき構造材料層の選択的な露光のためのエネルギービーム4を発生させるために設置されており、このために、エネルギービーム4を発生させるために設置されているビーム発生装置7と、場合によってはビーム発生装置7により発生されたエネルギービーム4を選択的に凝固化されるべき構造材料層の露光されるべき範囲へ偏向させるためのビーム偏向装置8(スキャナ装置)と、例えばフィルタ要素、対物レンズ要素、レンズ要素など(詳細には不図示)のような様々な光学的な要素とを含んでいる。
【0036】
また、
図1には、配量モジュール9、構造モジュール10及びオーバーフローモジュール11が図示されており、これらモジュールは、装置1の不活性化可能なプロセスチャンバ12の下方の範囲へドッキング(angedockt)されている。上記モジュールは、装置1のプロセスチャンバ12の下方の範囲も形成することが可能である。
【0037】
装置1は、
図1に示された実施例では測定モードにあり、この測定モードにおいては、露光装置6に割り当て可能であるか、あるいは割り当てられた、プロセスチャンバ12へのエネルギービーム4の出力あるいは出力密度を測定するための測定装置13が用いられる。
【0038】
測定装置13は、ビーム4の出力、すなわち特に出力密度を測定するために設置されている。測定装置13は入射範囲14を含んでおり、この入射範囲を介して、測定されるべきエネルギービーム4が測定装置13へ入射可能である。入射範囲14は、測定装置13の測定要素15の一部を形成するエネルギービーム入射面16によって形成されている。測定要素15は、エネルギービーム4を吸収するために設置されている吸収要素として形成されることが可能である。したがって、エネルギービーム4の出力あるいは出力密度の測定は、測定要素15に入射するエネルギービーム4の吸収と、これに関連する測定要素15の物理的な、特に熱的な状態変化とに基づき行われる。具体的には、エネルギービーム4の出力あるいは出力密度の測定は、測定要素15へ入射するエネルギービーム4の吸収に起因する測定要素15の加熱に基づいて行われ、測定要素15の加熱は、エネルギービーム4の出力あるいは出力密度の逆推論を可能とするものである。
【0039】
エネルギービーム拡張装置17が、(光学的に)測定装置13のエネルギービーム入射面16の手前に接続されて配置あるいは形成されている(特に
図2も参照)。したがって、エネルギービーム4は、このエネルギービームが測定装置13のエネルギービーム入射面16へ入射する前に、まずはエネルギービーム拡張装置17に入射する。エネルギービーム拡張装置17は、出力あるいは出力密度に関して測定されるべきエネルギービーム4を拡張させるために設置されている。エネルギービーム拡張装置17は、このために、エネルギービーム4を拡張させるために設置されている少なくとも1つのエネルギービーム拡張要素18を含んでいる。エネルギービーム拡張要素18は、光学的な要素、特にレンズである。
【0040】
エネルギービーム拡張装置17は入射範囲19及び出射範囲20を含んでおり、入射範囲を介して、拡張されるべきエネルギービーム4がエネルギービーム拡張装置17へ入射可能であり、出射範囲を介して、拡張されたエネルギービーム4がエネルギービーム拡張装置17から出射可能である。
図1から分かるように、エネルギービーム拡張装置17の出射範囲20は、測定装置13の動作中に、測定装置13の入射範囲14に対向して配置されており、その結果、エネルギービーム拡張装置17から出射される拡大されたエネルギービーム4が測定要素15へ入射可能である。
【0041】
特に露光装置6の初期出力(Ausgangsleistung)が比較的大きいか、あるいはエネルギービーム4の出力が比較的大きい場合には、エネルギービーム拡張装置によって可能なエネルギービーム4の拡張によって、大きすぎるエネルギー入力による測定装置13の損傷を防止することが可能である。したがって、エネルギービーム4の拡張は、測定装置13の損傷を防止するために、エネルギービーム4を介して測定装置13へ入るエネルギー入力を低減させるという目的設定をもって行われる。これにより、測定装置13が露光装置6の初期出力あるいはエネルギービーム4の出力にかかわらず位置決めされ得るということが得られる。これにより、露光装置6の各初期出力あるいはエネルギービーム4の出力について、測定装置13が装置1の構造平面あるいは焦点平面に対するそれぞれ正確な間隔において位置決めされていることに留意しなくてもよいため、測定装置13の使用あるいは操作は、手間及び誤りのおそれがより小さなものとなる。
【0042】
測定装置13(したがってこの測定装置に割り当てられたエネルギービーム拡張装置17も)は、動作中に、露光装置6の初期出力あるいは出力及び出力密度に関して測定されるべきエネルギービーム4の出力にかかわらず、装置、特に装置1の構造平面Eあるいはエネルギービーム4の焦点平面E’の少なくとも1つの基準点に対して相対的な一定の、特に垂直な位置において配置されている。
【0043】
図1に示された実施例では、測定装置13の適当な配置は、例えば、間隔の記載x1で示唆された、構造平面Eに対して相対的な、構造平面Eから最大で60mm離間した一定の配置である。これにより、測定装置13、すなわち測定装置13のハウジング構造部21の上側は、構造平面Eから最大で60mm離間している。したがって、構造平面Eあるいは焦点平面E’と測定装置15の平面の間の間隔は、最大で60mmである。エネルギービーム拡張装置17を考察すると、配置は、例えば間隔の記載x2で示唆された、構造平面Eに対して相対的に構造平面Eから最大で90mm離間したエネルギービーム拡張装置17の配置である。したがって、エネルギービーム拡張装置17、すなわちエネルギービーム拡張装置17のハウジング構造部22の上側は、構造平面Eあるいは焦点平面E’から最大で90mm離間している。
【0044】
図1に関連して、測定装置13の動作、すなわち適当な測定工程の実行が、典型的には、装置1が構造材料3を有さないとき、すなわち特に装置1のプロセスチャンバ12の内部に構造材料3が存在しないときにのみ行われることが言及され得る。また、測定装置13の動作中には、装置1の内部、すなわち装置1のプロセスチャンバ12の内部には部材2が存在すべきでない。
図2及び
図3に基づき、測定装置13が、測定装置13の本体部を形成する、例えば直方体状又は立方体状に形成されたハウジング構造部21を含んでいることが分かる。このとき、測定装置側のエネルギービーム入射面16は、ハウジング構造部21の外面に、あるいはこの外面内に配置されている。ハウジング構造部21には、又はこのハウジング構造部内には、出力あるいは出力密度の測定に必要な測定装置13の機能構成要素、すなわち例えば測定要素15が配置されている。
【0045】
図2及び
図3に基づき、エネルギービーム拡張装置17も、特に直方体状に形成されたハウジング構造部22を含んでいることが更に分かる。エネルギービーム拡張装置17のハウジング構造部22は測定装置13のハウジング構造部21の外面の上方に配置されており、この測定装置に、又はこの測定装置内にエネルギービーム入射面16が配置されている。エネルギービーム拡張装置17のハウジング構造部22は、例えば係合式及び/又は嵌合式及び/又は材料結合式の固定態様を用いて、測定装置13のハウジング構造部21に固定されることができ、その結果、両ハウジング構造部21,22は、共通に操作可能なアセンブリを形成している。
【0046】
図3に基づき、装置1が、構造平面E内に配置可能であるか、あるいは配置されたプレート状あるいはプレート型の、測定装置13に割り当てられた保持装置23を含むことが可能であることが分かる。保持装置23は所定の複数の測定位置あるいは保持位置24を含んでおり、これら測定位置あるいは保持位置内には、測定装置13、あるいは
図3に示されているように、測定装置13を支持するアダプタ装置25が、所定の空間的な位置において、装置1の基準点、例えば構造平面Eあるいは焦点平面E’に対して相対的に保持可能である。
【0047】
ここでは、アダプタ装置25は、ウェブ状の保持部分26及び少なくとも1つの第2の支持部分27を含んでおり、この保持部分によって、アダプタ装置25は、例えば係合式に保持装置23の適当な保持位置24において保持可能であり、第2の支持部分によって、アダプタ装置25が少なくとも1つの測定装置13を支持している。アダプタ装置25を用いて支持された測定装置13が常に装置の少なくとも1つの基準点、特に構造平面E又は焦点平面E’に対して相対的に所定の空間的な、特に垂直な位置において配置されていることが分かる。
【0048】
各保持位置24は、ここでは例示的にマトリクス状の、すなわち、列状及び/又は行状の所定の配置において形成された凹部28によって、保持装置23のプレート状あるいはプレート型の本体部において形成されており、これら凹部内では、測定装置13あるいは測定装置13を支持するアダプタ装置25を特に係合式に固定可能である。保持装置23における測定装置13あるいはアダプタ装置25の固定の目的で、測定装置側あるいはアダプタ装置側でも、また保持装置側でも固定要素(不図示)が配置あるいは形成されており、これら固定要素は、(損傷のない、あるいは破壊のない)解除可能な測定装置13あるいはアダプタ装置25の固定を形成しつつ各保持位置24において協働するように設置されている。適当な固定要素は、各保持位置24における測定装置13あるいはアダプタ装置25の係合式の固定の場合には、係合要素、すなわち例えば係合凸部あるいは係合凹部又は挿入要素、すなわち例えば挿入凸部あるいは挿入凹部であり得る。
【0049】
図1に示された実施例では、保持装置23は、この保持装置が構造平面Eを完全に覆うように平面的に寸法設定されている。これにより、複数の異なる保持位置あるいは測定位置が可能となり、その結果、測定工程の実行の範囲において、法線に対して相対的に角度をもって延びるエネルギービーム4もその出力あるいは出力密度に関して大きな再現性(Reproduzierbarkeit)をもって測定可能である。このことが
図1において破線で図示されている。
【0050】
図3には、保持装置23が、特に互いに対して相対的に移動可能に支持され、互いに固定可能であるか、あるいは固定された複数の保持装置セグメント23a〜23cを含むことができることが示されている。互いに対して相対的に移動可能に支持されて互いに固定可能であるか、あるいは固定された保持装置セグメント23a〜23cは、構造平面Eを完全に覆うように保持装置セグメントが互いに対して相対的に移動する、
図3に示された動作位置と、構造平面Eを完全に覆わないように保持装置セグメントが互いに対して相対的に移動する非動作位置の間で移動可能に支持されることが可能である。保持装置セグメント23a〜23cの移動可能な支持は、例えば、保持装置セグメント23a〜23cの回動支持又は旋回支持によって実現されることが可能である。
【0051】
図3には、ビーム偏向装置8が所定の保持位置24において保持された測定装置13へエネルギービーム4を偏向させるために設置されていることが示唆されている。このとき、ビーム偏向装置8は、特に、特にユーザ側であらかじめ設定可能であるか、又はあらかじめ設定された順序あるいは順番に従って、異なるように位置決めされた、すなわち特に異なる保持位置24において保持された測定装置13へエネルギービーム4を偏向させるように設置されている。適当な順序あるいは順番をあらかじめ設定することで、例えば品質保証の目的のために出力曲線あるいは出力特性線を記録するための所定の測定プログラムを実行することが可能である。このために、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより実行される装置1の制御装置29が、ビーム偏向装置8と制御技術的に協働する。
【0052】
したがって、ビーム偏向装置8は、制御装置29によって生成される制御コマンドに依存して制御可能であるか、あるいは制御される。制御装置29は、ユーザインターフェース30、特にタッチディスプレイ装置を介して装置1へ与えられるユーザ入力に基づき制御コマンドを生成するように設置されている。特に、適当な保持−測定位置24あるいは適当な順序あるいは順番がユーザインターフェース30を介してあらかじめ設定可能であり、保持−測定位置へエネルギービーム4が偏向されるようになっており、順序あるいは順番に従ってエネルギービーム4が異なる保持位置24において保持された測定装置13へ偏向されるようになっている。
【0053】
図1に示された装置1によって、三次元的な物体2を付加的に製造するための装置1の露光装置6のエネルギービーム4の出力、特に出力密度を測定するための方法を実行することができる。この方法は、その実行について、少なくとも1つの適当な測定装置13が用いられることを特徴としている。
【0054】
測定装置13(したがってこの測定装置に割り当てられたエネルギービーム拡張装置17も)が露光装置6の初期出力又は出力あるいは出力密度に関して測定されるべきエネルギービーム4の出力にかかわらず装置1の少なくとも1つの基準点、特に装置1の構造平面Eあるいはエネルギービーム4の焦点平面E’に対して相対的な、一定の、特に垂直な位置において配置されることが可能であるか、あるいは配置されていることが方法において本質的である。