特許第6661685号(P6661685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6661685RAF阻害剤に対する耐性を付与するC−RAF突然変異体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661685
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】RAF阻害剤に対する耐性を付与するC−RAF突然変異体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20200227BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20200227BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20200227BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20200227BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20200227BHJP
   C07K 16/40 20060101ALI20200227BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20200227BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   C12N15/12ZNA
   C12N9/12
   C12N1/15
   C12N1/19
   C12N5/10
   C07K16/40
   C12Q1/6827 Z
   C12Q1/04
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2018-48824(P2018-48824)
(22)【出願日】2018年3月16日
(62)【分割の表示】特願2015-503230(P2015-503230)の分割
【原出願日】2013年3月7日
(65)【公開番号】特開2018-110594(P2018-110594A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年4月12日
(31)【優先権主張番号】61/616,999
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/708,372
(32)【優先日】2012年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399052796
【氏名又は名称】デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】エメリー,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】アントニー,ラジ―
(72)【発明者】
【氏名】ギャラウェイ,レヴィ・エイ
【審査官】 高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/112678(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0009361(US,A1)
【文献】 Journal of Pediatrics,2011年,Vol. 159, No. 6,pp.1029-1035
【文献】 Journal of Biological Chemistry,2004年,Vol. 279, No. 13,pp.12560-12564
【文献】 Biochemical and Biophysical Research Communications,2010年 7月30日,Vol. 399, No. 3,p. 313-317
【文献】 Cancer Res,2005年,Vol. 65,pp.9719-9726
【文献】 Molecular Carcinogenesis,2002年,Vol. 33,pp.189-197
【文献】 Cancer Res.,2006年,Vol. 66, No. 7,pp.3401-3408
【文献】 AACR ANNUAL MEETING,2012年 3月,Vol. 53,pp.716,#2953
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C−RAF活性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする単離された核酸分子であって、前記突然変異体C−RAFポリペプチドは、配列番号2を含む野生型C−RAFポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、104E>K、356G>E、427S>T、447D>N、469M>I、および554R>Kからなる群より選択され、前記少なくとも1つのアミノ酸置換104E>K、356G>E、427S>T、447D>N、469M>I、または554R>Kは、突然変異体C−RAFポリペプチドを発現する細胞に1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する、上記核酸分子。
【請求項2】
RAF阻害剤が、RAF265、ソラフェニブ、SB590885、PLX4720、PLX4032、GDC−0879、ZM336372、および(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートからなる群より選択される、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項3】
請求項1に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項4】
請求項に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項5】
C−RAF活性を有する単離された突然変異体C−RAFポリペプチドであって、前記突然変異体C−RAFポリペプチドは、配列番号2を含む野生型C−RAFポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、104E>K、356G>E、427S>T、447D>N、469M>I、および554R>Kからなる群より選択され、前記少なくとも1つのアミノ酸置換104E>K、356G>E、427S>T、447D>N、469M>I、または554R>Kは、突然変異体C−RAFポリペプチドを発現する細胞に、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する、上記ポリペプチド。
【請求項6】
RAF阻害剤が、RAF265、ソラフェニブ、SB590885、PLX4720、PLX4032、GDC−0879、ZM336372、および(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートからなる群より選択される、請求項5に記載の単離された突然変異体C−RAFポリペプチド。
【請求項7】
請求項に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体調製物。
【請求項8】
RAF阻害剤と第二の阻害剤との併用療法での処置によって利益を得る可能性が高い癌を有する対象を同定する方法であって、該方法は:
(a)患者の癌細胞から核酸を抽出すること;および
(b)C−RAFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも一部をアッセイすること;
を含み、
ここで、104E>K、356G>E、427S>T、447D>N、469M>I、および554R>Kからなる群より選択される1つまたはそれより多くのアミノ酸位置において、野生型C−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くの位置におけるアミノ酸と比べて、コードされた突然変異体C−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くのアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更する1つまたはそれより多くのヌクレオチドが存在することは、その対象をRAF阻害剤と第二の阻害剤とで処置する必要性があることを示す指標であり、アミノ酸置換104E>K、356G>E、427S>T、447D>N、469M>I、または554R>Kは、突然変異体C−RAFポリペプチドを発現する細胞に1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する、上記方法。
【請求項9】
第二の阻害剤が、MEK阻害剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
MEK阻害剤が、CI−1040/PD184352、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、6−メトキシ−7−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−4−(4−フェノキシ−フェニルアミノ)−キノリン−3−カルボニトリル、および4−[3−クロロ−4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニル)−フェニルアミノ]−6−メトキシ−7−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−キノリン−3−カルボニトリルからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
RAF阻害剤が、RAF265、ソラフェニブ、SB590885、PLX4720、PLX4032、GDC−0879、ZM336372、および(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートからなる群より選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
癌が、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、神経膠腫、肺癌、卵巣癌、肉腫、および甲状腺癌からなる群より選択される、および/またはRAF依存性癌である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
癌が、黒色腫である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対象が、B−RAF中に突然変異を含む癌細胞を有する、請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
対象が、B−RAFV600E突然変異を含む癌細胞を有する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
核酸をアッセイすることは、核酸を配列決定することを含む、請求項9〜15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる2012年3月28日付けで出願された米国仮出願第61/616,999号、および2012年10月1日付けで出願された第61/708,372号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
連邦政府によって支援された研究または開発
[0002]本発明は、国立健康研究所(National Institutes of Health)から付与された連邦認可番号DP2 OD002750基づく政府支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
[0003]悪性黒色腫の50〜70%において、セリン/スレオニンキナーゼB−RAF(またBRAFとしても知られている)における発癌性突然変異が見出される。(Davies,H.ら、Nature 417、949〜954(2002))。黒色腫は、皮膚癌の最悪の形態とみなされており、国立癌研究所(National Cancer Institute)によれば、2012年には、米国において新規症例は72,250人であり、そのうちおよそ9,180人が死に至る可能性があると推定している。前臨床研究では、黒色腫において、B−RAF(V600E)突然変異は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル伝達カスケードへの依存性を予測すること(Hoeflich,K.P.ら、Cancer Res.69、3042〜3051(2009);McDermott,U.ら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 104、19936〜19941(2007);Solit,D.B.ら、BRAF mutation predicts sensitivity to MEK inhibition.Nature 439、358〜362(2006);Wan,P.T.ら、Cell 116、855〜867(2004);Wellbrock,C.ら、Cancer Res.64、2338〜2342(2004))、臨床試験におけるRAFまたはMEK阻害剤の成功によって確認された観察(Flaherty,K.T.ら、N.Engl.J.Med.363、809〜819(2010);Infante,J.R.ら、J.Clin.Oncol.28(補遺)、2503(2010);Schwartz,G.K.ら、J.Clin.Oncol.27(補遺)、3513(2009))が示されている。
【0004】
[0004]近年、FDAは、Raf阻害剤ベムラフェニブ(PLX4032)を承認した。(Dummerら、2008;Infanteら、2010;Josephら、2010;Flahertyら、2010)。しかしながら、標的の抗癌治療剤に対する臨床応答は、たびたびデノボ耐性または獲得耐性に悩まされている。(Engelman,J.A.ら、Science316、1039〜1043(2007);Gorre,M.E.ら、Science 293、876〜880(2001);Heinrich,M.C.ら、J.Clin.Oncol.24、4764〜4774(2006);Daub,H.、Specht,K.およびUllrich,A.Nature Rev.Drug Discov.3、1001〜1010(2004))。臨床的およびインビトロの設定において、近年、この現象は、並行するシグナル伝達モジュール(CRAF、COT)の過剰発現(Montagutら、Cancer Res 68:4853〜4861(2008);Johannessenら、Nature 468:968〜972(2010)、並行なシグナル伝達経路の活性化(PDGFRb、IGF−1R)(Nazarianら、Nature 468:973〜977(2010));Villanuevaら、Cancer Cell 18:683〜695(2010))、上流の標的(BRAF)の増幅(Shiら、Nat Commun 3:724(2012)、標的(p61BRAF)の欠如(Poulikakosら、Nature 480:387〜390(2011)のいずれかによって、または下流の標的または標的タンパク質それ自身(Mek)中の突然変異を活性化することによって(Emeryら、Proc Natl Acad Sci U S A 106:20411〜20416(2009));Wagleら、JCO 29:3085〜3096(2011))支配されることが示されている。したがって、有効な長期の処置方針のための「新薬の開発につながるような」標的を明らかにする形で耐性メカニズムを同定する新しい方法、その処置方針によって利益を得る可能性が高い患者を同定する新しい方法、およびその有効な長期の処置方針で患者を処置する方法の必要性が未だある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Davies,H.ら、Nature 417、949〜954(2002)
【非特許文献2】Hoeflich,K.P.ら、Cancer Res.69、3042〜3051(2009)
【非特許文献3】McDermott,U.ら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 104、19936〜19941(2007)
【非特許文献4】Solit,D.B.ら、BRAF mutation predicts sensitivity to MEK inhibition.Nature 439、358〜362(2006)
【非特許文献5】Wan,P.T.ら、Cell 116、855〜867(2004)
【非特許文献6】Wellbrock,C.ら、Cancer Res.64、2338〜2342(2004)
【非特許文献7】Flaherty,K.T.ら、N.Engl.J.Med.363、809〜819(2010)
【非特許文献8】Infante、J.R.ら、J.Clin.Oncol.28(補遺)、2503(2010)
【非特許文献9】Schwartz,G.K.ら、J.Clin.Oncol.27(補遺)、3513(2009)
【非特許文献10】Dummerら、2008
【非特許文献11】Infanteら、2010
【非特許文献12】Josephら、2010
【非特許文献13】Flahertyら、2010
【非特許文献14】Engelman,J.A.ら、Science 316、1039〜1043(2007)
【非特許文献15】Gorre,M.E.ら、Science 293、876〜880(2001)
【非特許文献16】Heinrich,M.C.ら、J.Clin.Oncol.24、4764〜4774(2006)
【非特許文献17】Daub,H.、Specht,K.およびUllrich,A.Nature Rev.Drug Discov.3、1001〜1010(2004)
【非特許文献18】Montagutら、Cancer Res 68:4853〜4861(2008)
【非特許文献19】Johannessenら、Nature 468:968〜972(2010)
【非特許文献20】Nazarianら、Nature 468:973〜977(2010)
【非特許文献21】Villanuevaら、Cancer Cell 18:683〜695(2010)
【非特許文献22】Shiら、Nat Commun 3:724(2012)
【非特許文献23】Poulikakosら、Nature 480:387〜390(2011)
【非特許文献24】Emeryら、Proc Natl Acad Sci U S A 106:20411〜20416(2009)
【非特許文献25】Wagleら、JCO 29:3085〜3096(2011)
【発明の概要】
【0006】
[0005]本発明は、癌の処置における治療剤に対する耐性の発現、および癌の処置に対する耐性を付与する標的の同定に関する。本発明はまた、有効な長期の処置方針を容易にする薬物標的の同定、およびこのような処置によって利益を得ると予想される患者を同定することにも関する。
【0007】
[0006]一形態において、C−RAF活性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。突然変異体C−RAFポリペプチドは、配列番号2を含む野生型C−RAFポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を包含し、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、突然変異体RAFポリペプチドを発現する細胞に1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する。
【0008】
[0007]他の形態において、発現ベクターが提供される。本発現ベクターは、C−RAF活性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする核酸分子を包含し、ここで突然変異体C−RAFポリペプチドは、配列番号2を含む野生型C−RAFポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を包含し、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、突然変異体RAFポリペプチドを発現する細胞に1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する。
【0009】
[0008]他の形態において、宿主細胞が提供される。本宿主細胞は、本発現ベクターを包含する。
【0010】
[0009]他の形態において、C−RAF活性を有する単離された突然変異体C−RAFポリペプチドが提供される。突然変異体C−RAFポリペプチドは、配列番号2を含む野生型C−RAFポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を包含し、前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、突然変異体C−RAFポリペプチドを発現する細胞に、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する。
【0011】
[0010]他の形態において、抗体調製物が提供される。本抗体調製物は、本発明の単離された突然変異体C−RAFポリペプチドに特異的に結合する。
【0012】
[0011]さらに他の形態において、癌を有する対象の処置方法が提供される。本方法は、患者の癌細胞から核酸を抽出すること、ならびに104E、257S、261P、356G、361G、427S、447D、469M、478E、および554Rからなる群より選択される1つまたはそれより多くの位置において、野生型C−RAFポリペプチドと比較して、コードされたC−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くのアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更する、C−RAFポリペプチドをコードする核酸分子中の1つまたはそれより多くの突然変異の存在に関して、C−RAFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも一部をアッセイすることを包含する。また本方法は、核酸分子が、野生型C−RAFポリペプチドと比較して、コードされたC−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くのアミノ酸におけるアミノ酸残基を変更するヌクレオチドを包含する場合、対象に、RAF阻害剤の有効量と第二の阻害剤の有効量とを投与することも包含する。
【0013】
[0012]他の形態において、RAF阻害剤と第二の阻害剤との併用療法での処置によって利益を得る可能性が高い癌を有する対象を同定する方法が提供される。本方法は、患者の癌細胞から核酸を抽出すること、およびC−RAFポリペプチドをコードする核酸分子の少なくとも一部をアッセイすることを包含する。104E、257S、261P、356G、361G、427S、447D、469M、478E、および554Rからなる群より選択される1つまたはそれより多くのアミノ酸位置において、野生型C−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くの位置におけるアミノ酸と比べて、コードされた突然変異体C−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くのアミノ酸におけるアミノ酸残基の同一性を変更する1つまたはそれより多くのヌクレオチドが存在することは、その対象をRAF阻害剤と第二の阻害剤とで処置する必要性があることを示す指標である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1は、RAF阻害剤PLX4720に対して耐性を有するA375細胞(BRAFV600E)におけるC−RAF突然変異対立遺伝子を例示する。図1Aは、PLX4720変異誘発スクリーニングからのC−RAFのコード配列にわたる突然変異候補の平均の変異体スコアを示す。相当する高スコアの突然変異(>2%)のアミノ酸置換を表示する。
図1B図1Bは、左:C−RAFキナーゼドメイン(残基340〜618;灰色)(PDBコード:3OMV)の結晶構造を示す図であり、代表的なC−RAF耐性突然変異体(棒状)と、結合したPLX4720の空間充填モデルとを含む。DFGモチーフとP−ループも表示される。右:二量体の境界の残基R401を露出させるために90°回転させたC−RAF構造である(構造は、PyMOLで処理される)。
図1C図1Cは、示されたC−RAFドメイン構造(CR、保存領域;RBD、Ras結合ドメインおよびCRD、システインリッチドメイン)は、C−RAF耐性突然変異体(星印)およびC−RAFの調節に重要な3つのセリン残(丸印)の局在化を表す図である。
図2A図2は、C−RAF耐性突然変異体の機能的な特徴付けを例示するグラフであり、図2Aは、C−RAF(WT)およびC−RAF(同定された対立遺伝子)を発現するA375細胞を、RAF阻害剤PLX4720で90分で用量依存的に(0.08μM、0.4μM、2μM、5μM、および10μM)処置したことを示すグラフである。免疫ブロットは、ローディングの対照としてpErk1/2、pMek1/2、C−RAFを示す。α−チューブリンを使用した。
図2B図2Bは、高耐性のC−RAF突然変異体を発現するA375細胞を、2μMのPLX4720で16時間処置したことを示すグラフである。pMek1/2、pErk1/2、Mek、S259C−RAF、S338C−RAF、S621C−RAF、およびアクチンのレベルが示される。
図2C図2Cは、PLX4720への応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線を示すグラフである。
図2D図2Dは、ベムラフェニブへの応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線を示すグラフである。
図2E図2Eは、高耐性のC−RAF突然変異体を発現するA375細胞を、1μMのMEK阻害剤AZD6244で16時間処置したことを示すグラフである。pMek1/2、pErk1/2、Mek、S259C−RAF、S338C−RAF、S621C−RAF、およびアクチンのレベルが示される。
図2F図2Fは、AZD6244への応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線のグラフである。
図2G図2Gは、Mek−GSK1120212への応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線のグラフである。
図3図3は、C−RAF耐性突然変異体は、B−RAFと高い関連を示すことを例示するグラフであり、(A)C−RAF耐性対立遺伝子を発現する293/T細胞および(B)C−RAF耐性対立遺伝子を発現するA375細胞を、全C−RAFで免疫沈降した。結合したタンパク質(B−RAFおよび14−3−3)のレベルを免疫ブロッティングで評価した。投入溶解産物(input lysate)(下のパネル)は、14−3−3、B−RAF、C−RAF、pMek1/2、pErk1/2、Mek、アクチンを示し、さらに、S259C−RAF、S338C−RAF、およびS621C−RAF(右上のパネル)を示す。結果は、2回より多くの独立した実験のうち代表的なものである。
図4A図4は、(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートを使用した、C−RAF耐性対立遺伝子の生化学的な特徴付けを例示するグラフである。図4Aは、1μMのPLX4720、(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメート、およびAZD6244で16時間の処置への応答に対する、C−RAF耐性対立遺伝子を発現するA375細胞におけるpMek1/2、pErk1/2、Mek、Erk、およびC−RAFのレベルを示す免疫ブロットである。アクチンを、ローディングの対照として使用した。
図4B図4Bは、PLX4720への応答に対する、A375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線である。
図4C図4Cは、(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートへの応答に対する、A375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線である。
図4D図4Dは、AZD6244への応答に対する、A375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線である。
図5A図5Aは、C−RAF耐性突然変異体は、ベムラフェニブ(PLX4032)に対する耐性を付与することを例示するグラフであり、図5Aは、ベムラフェニブ(PLX4032)への応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線を示すグラフである。
図5B図5Bは、ベムラフェニブの存在および非存在下で16時間における、WT、S257P、P261T、およびG361Aを発現するA375細胞からの抽出物におけるC−RAFキナーゼ活性を示すグラフである。免疫ブロットは、pMek1/2、pErk1/2、Mek、Erk、およびアクチンを示す。結果は、3回の独立した実験のうち代表的なものである。
図5C図5Cは、PLX4720への応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線である。
図5D図5Dは、AZD6244への応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線である。
図5E図5Eは、PLX4720およびAZD6244への応答におけるA375およびC−RAF耐性対立遺伝子の増殖阻害曲線である。
図6図6は、C−RAF耐性突然変異体のホモ二量体化およびキナーゼ活性を例示するグラフである。(A)His/V5タグが付けられ、さらにFlagタグが付けられたC−RAF耐性突然変異体を共に発現する293T細胞をニッケルで48時間にわたり免疫沈降させることにより(方法を参照)、Hisタグが付けられたC−RAFを沈降させ、免疫ブロッティングでFlagタグが付けられたC−RAFを評価した。Flag−C−RAF、V5−C−RAF、全C−RAF、p−MEK、p−ERKおよび全てのERKを検出した抗体を使用して投入溶解産物も評価した。(B)His/V5タグが付けられ、さらにFlagタグが付けられたC−RAF耐性突然変異体を共に発現する293T細胞を媒体(DMSO)または2μMのベムラフェニブのいずれかで1時間処置し、His/V5タグが付けられたC−RAFを上記(A)と同様にして免疫沈降させた。C−RAF(S338)、p−MEK、p−ERK、およびアクチン(ローディングの対照)を認識する抗体を使用して投入溶解産物を免疫ブロットした。(C)Flagタグが付けられた空のベクター(「C」)、野生型C−RAF(「WT」)、ならびに耐性突然変異体S257P、P261T、G361A、およびE478Kを含むC−RAFを一時的に発現する293T細胞から誘導された細胞抽出物において、インビトロでのC−RAFキナーゼ活性を測定した。2μMのベムラフェニブ(方法を参照)の存在または非存在下でアッセイを行った。さらに、p−MEK1/2、p−ERK1/2、全てのMEK、全てのERK、およびアクチンを検出する抗体を使用して投入溶解産物も免疫ブロットした。(D)2μMのベムラフェニブの存在および非存在下で、野生型C−RAF(「WT」)、ならびに耐性突然変異体S257P、P261T、およびG361Aを含むC−RAFを安定して発現するA375細胞(B−RAFV600E)(「C」)とA375とから誘導された細胞抽出物において、インビトロでのC−RAFキナーゼ活性を測定した。p−MEK1/2、p−ERK1/2、全てのMEK、全てのERK、およびアクチンを認識する抗体を使用して、投入溶解産物に対する免疫ブロッティング研究を行った。全ての結果は、3回の独立した実験のうち代表的なものである。
図7A図7は、C−RAF耐性突然変異体のヘテロ二量体化および14−3−3結合特性を例示するグラフである。(A)1時間にわたり2μMのベムラフェニブの非存在下(−)または存在下(+)で、提示されたC−RAF耐性突然変異体を一時的に発現する293/T細胞をC−RAFで免疫沈降させ、結合したタンパク質(B−RAFおよび14−3−3ζ)のレベル(上のパネル)を免疫ブロッティングで評価した。投入溶解産物(下のパネル)は、14−3−3ζ、B−RAF、C−RAF、pMek1/2、pErk1/2、Mek、S338C−RAF、およびアクチンを示す。結果は、2回より多くの独立した実験のうち代表的なものである。
図7B】(B)16時間にわたり2μMのベムラフェニブの存在および非存在下で提示されたC−RAF耐性突然変異体を安定して発現するA375細胞をC−RAFで免疫沈降させ、結合したタンパク質(B−RAFおよび14−3−3ζ)のレベル(上のパネル)を免疫ブロッティングで評価した。図7Aと同様にして投入溶解産物をブロットした。結果は、2回より多くの独立した実験のうち代表的なものである。
図8A図8は、C−RAF耐性突然変異体は、MEK/ERKシグナル伝達のための二量体化を必要とすることを例示するグラフである。(A)二量体化が不完全な突然変異体R401H(ピンク)の非存在下(左)または存在下(右)でFlagタグが付けられた野生型C−RAFまたは提示されたC−RAF耐性突然変異体のいずれかを発現するコンストラクトを293T細胞で発現させた。p−MEK、p−ERK、全てのMEK、または全C−RAFを認識する抗体を使用して溶解産物をブロットした。
図8B】(B)ベムラフェニブ(2μM、1時間)の非存在またはの存在下で、それ自身で、および二量体化が不十分な(ピンク)環境でHisタグが付けられたC−RAF耐性突然変異体を共発現する293/T細胞を培養した。ニッケルビーズを使用して免疫沈降を行い、Flagタグが付けられたC−RAFのレベルを免疫ブロッティングで評価した。さらに、Flag−C−RAF、V5−C−RAF、全C−RAF、p−MEK、p−ERK、S338−C−RAFおよびアクチンを認識する抗体でブロットされた投入溶解産物も示す。
図9A図9は、C−RAF耐性対立遺伝子の生化学的な特徴付けを例示するグラフである。(A)ランダム変異誘発スクリーニングにより明らかになった様々な耐性対立遺伝子を含有するC−RAFを発現するA375細胞を使用して、pMek/pErkレベルの比較をA375細胞で示した。陽性対照としてチューブリンを使用した。
図9B】(B)野生型C−RAFまたはC−RAF耐性対立遺伝子のいずれかを発現するA375細胞を、提示された用量のRaf阻害剤PLX4720で90分処置した。p−ERK、p−MEK、および全C−RAFに対する抗体を用いて免疫ブロッティング研究を行った。ローディングの対照としてチューブリンを使用した。
図10図10は、ホモ二量体化およびキナーゼ活性を例示する。(A)His/V5タグを有するC−RAF耐性突然変異体と、Flagタグが付けられたWT−C−RAFとを共発現する293/T細胞をHisで48時間後に免疫沈降し、Flagタグが付けられたC−RAFの相互作用のレベルを免疫ブロッティングで評価した。投入溶解産物は、Flag−C−RAF、V5−C−RAF、C−RAF、pMek、pErk、およびErkを示す。
図10B】(B)293/T細胞を、二量体化が不十分なC−RAF突然変異体R401Hとゲートキーパー突然変異体T421Nとでトランスフェクトし、1時間にわたりベムラフェニブ(2μM)の存在下でMek/Erk感受性を検出した。陰性対照としてT421Nを使用し、陽性対照としてG361Aを使用した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
[0033]本発明は、癌の処置における治療剤に対する耐性の発現、および癌の処置に対する耐性を付与する標的の同定に関する。本発明はまた、有効な長期の処置方針を容易にする薬物標的の同定、およびこのような処置によって利益を得ると予想される患者を同定することにも関する。
【0016】
[0034]本発明の実施は、特に他の指定がない限り、従来の分子生物学、免疫学、微生物学、細胞生物学、および組換えDNAの技術を用いると予想され、これらの技術は、当業界の技術の範囲内である。例えば、Sambrook、FritschおよびManiatis、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(最新版);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubelら編(最新版));METHODS IN ENZYMOLOGYのシリーズ(Academic Press,Inc.);PCR 2:A PRACTICAL APPROACH(最新版);ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL and ANIMAL CELL CULTURE(R.I.Freshney編(1987)).DNA Cloning:A Practical Approach、第I巻および第II巻(D.Glover編);Oligonucleotide Synthesis (N.Gait編、最新版);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、最新版);Transcription and Translation(B.HamesおよびS.Higgins編、最新版);Fundamental Virology、第2版、第I巻および第II巻(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編)を参照されたい。
【0017】
[0035]マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)カスケードは、増殖因子、サイトカイン、および癌原遺伝子などの多様な細胞外の刺激への応答においてシグナル伝達を調節する重要な細胞内シグナル伝達経路である。この経路の活性化により転写因子の活性化および遺伝子発現の変更が起こり、最終的に、細胞増殖、細胞周期調節、細胞生存、血管新生、および細胞移動などの細胞機能を変化させる。典型的なMAPKシグナル伝達は、細胞表面において受容体チロシンキナーゼにより開始されるが、インテグリン、ヘテロ三量体Gタンパク質、およびサイトカイン受容体などのその他の多くの細胞表面分子も、MAPKカスケードを活性化できる。
【0018】
[0036]細胞表面受容体、例えば受容体チロシンキナーゼに結合するリガンドは、典型的には、受容体のリン酸化をもたらす。アダプタータンパク質Grb2は活性化された受容体のリン酸化された細胞内ドメインと会合し、この会合によりSOS−IおよびCDC25などのグアニンヌクレオチド交換因子が細胞膜に補充される。これらのグアニンヌクレオチド交換因子は、GTPアーゼRasと相互作用しそれらを活性化する。一般的なRasアイソフォームとしては、K−Ras、N−Ras、H−Rasなどが挙げられる。Ras活性化の後、サイトゾルにおいて、セリン/スレオニンキナーゼRaf(例えば、A−Raf、B−Raf、C−RafまたはRaf−1)が、Rasとの相互作用を介して、またはRasとは独立した方式で細胞膜に補充され、その場合、それらはコンフォメーション変化を経て、例えば14−3−3などの足場タンパク質に結合する(Kingら、Nature 396;180〜183(1998));Chaudharyら、Curr Biol 10:551〜554(2000));Avruchら、Endo Rev 56:127〜156(2001))、Wellbrockら、Nat Rev Mol Cell Biol 5:875〜885(2004))。14−3−3結合およびCRAFの安定化/活性化は、例えば、キナーゼドメインの外側での、負電荷調節領域(N−領域)におけるS338、Y341C末端におけるおよびS621などの活性化残基のリン酸化、ならびに例えばCR2ドメインにおけるS259などの負の調節残基の脱リン酸化(図1C)、ならびにタンパク質全体に分布する、その複合体調節をさらに反映するその他の多数のリン酸化部位によって支配される(Avruchら、上記文献(2001);Wellbrockら、上記文献(2004);Garnettら、Mol.Cell 20:963〜969(2005))。CRAF活性化は、人工的なホモ二量体形成によっても誘導される(Avruchら、上記文献(2001);Wellbrockら、上記文献(2004))。
【0019】
[0037]次いでRafはリン酸化される。Rafは、217位および221位における2つのセリン残基のリン酸化によりMEKlおよびMEK2を直接活性化する。活性化後、MEKlおよびMEK2は、セリン/スレオニンキナーゼErklおよびErk2におけるチロシン(Tyr−185)およびスレオニン(Thr−183)残基をリン酸化し、その結果としてErk活性化が起こる。活性化されたErkは、サイトゾルで多くの標的を調節し、さらに細胞核を転移させ、そこで遺伝子発現を調節する多数の転写因子をリン酸化する。Erkキナーゼは、EIk−I、c−Etsl、c−Ets2、p90RSKl、MNKl、MNK2、MSKl、MSK2、およびTOBなどの多数の標的を有する。前述の経路はMAPKシグナル伝達の典型的な代表例であるが、MAPK経路と他のシグナル伝達カスケードとの顕著な混線がある。
【0020】
[0038]MAPKシグナル伝達の異常は、癌生物学において有意な役割がある。変更されたRas発現は多くの癌で一般的にみられ、Rasにおける活性化突然変異も同定されている。このような突然変異は全ての癌の最大30%で見出されており、特に膵臓癌(90%)と結腸癌(50%)でよくみられる。加えて、B−Raf突然変異の活性化は、黒色腫と卵巣癌で確認されている。最も一般的な突然変異のBRAFV600Eは、下流MAPキナーゼ経路の構成的な活性化をもたらし、黒色腫細胞の増殖、軟寒天での増殖、および腫瘍異種移植片の形成に必要である。CRAF増幅は、前立腺癌および膀胱癌との関連が示されており(Edwardsら、2003;Simonら、2001)、それに加えて胃癌における染色体転移、および毛様細胞性星状細胞腫との関連も示されている(Shimizuら、1986;Jonesら、2009)。しかしながら、ヒトの癌におけるCRAF突然変異の出現率は1%であり(COSMIC)、これは、BRAFと比較して基底のキナーゼ活性が低いことに起因する(Maraisら、Science 280:109〜112(1997));Emussら、Cancer Res 65:9719〜9726(2005));Garnettら、Mol.Cell 20:963〜969(2005)))。ヒトの癌におけるMAPKの過剰な活性化の確定した役割に基づいて、特異的な阻害剤を用いてMAPK経路の構成要素を標的化することが、癌治療に対する有望なアプローチである。しかしながら、患者は、これらの有望な療法に対して先天性の耐性を有するか、または耐性を獲得する可能性がある。以下で、標的キナーゼに突然変異を付与する耐性の同定、診断および/または予後マーカー、ならびにこれらの先天性または獲得耐性を有する患者のための処置療法を説明する。
【0021】
C−RAF突然変異
[0039]例えばPLX4032などのRAF阻害剤での癌の処置は有望な治療アプローチであるが、このような療法を受ける患者は頻繁に再発を起こすか、療法に応答しなくなり、結果として患者の疾患が進行する。本明細書において説明されているように、本発明は、RAF阻害剤に対する耐性を付与するC−RAFにおける突然変異の発見に関し、そのうちのいくつかは、現在臨床開発中である。このような癌細胞における突然変異の獲得により、患者の細胞は、所定のRAF阻害剤での処置に対して耐性になる。典型的な実施態様において、本発明は、これらに限定されないが、RAF265、ソラフェニブ、SB590885、PLX4720、PLX4032、GDC−0879、ZM336372、および(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートなどのRAF阻害剤に対する耐性の開発に関する。非限定的な例として、表1に典型的なRAF阻害剤を示す。RAF阻害剤の(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメート(仮出願の第50頁の表1に記載の化合物9;PCT公報WO2011/025927の第72頁に記載の化合物9)が、全般的かつ具体的に包含される。
【0022】
[0040]本明細書で説明されているようなRAF阻害剤に対する耐性を付与するC−RAF突然変異の臨床時の出現は、悪性疾患の進行期でさえもRAF/MEK関連依存性の生物学的関連性が維持されることを示唆する。したがって、RAF阻害剤が黒色腫などの多くの悪性疾患において長期の腫瘍応答を惹起できなくなることは、その臨床条件において最適以下の薬効または薬力学であることを示す可能性がある。本明細書において説明される発見に基づいて、RAF−またはMEKによって誘導された腫瘍中の標的物質を用いる処置様式は、より有効な薬物、既存の薬物の投与の変更、またはRAF阻害とMEK阻害との組み合わせによって利益を得る可能性がある。典型的なRAF阻害剤としては、これらに限定されないが、表Iに列挙した阻害剤などが挙げられる。MEK阻害剤の非限定的な例としては、AZD6244;CI−1040;PD184352;PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、6−メトキシ−7−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−4−(4−フェノキシ−フェニルアミノ)−キノリン−3−カルボニトリル、および4−[3−クロロ−4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニル)−フェニルアミノ]−6−メトキシ−7−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−キノリン−3−カルボニトリルが挙げられる。表2に典型的なMEK阻害剤を示す。これらの治療の革新は、患者を階層化するためのロバストな腫瘍ゲノムのプロファイリングと共に、「新薬の開発につながるような」腫瘍遺伝子の突然変異を有する癌における個別化された癌処置の到来を推進すると予想される。
【0023】
【表1-1】
【0024】
【表1-2】
【0025】
【表2-1】
【0026】
【表2-2】
【0027】
[0041]様々な実施態様において、本発明は、C−RAFポリペプチドを発現する細胞に、RAF活性を阻害する薬物に対する耐性を付与する、C−RAFポリペプチド中の突然変異、またはC−RAFポリペプチドをコードする核酸分子中の突然変異を同定する方法に関する。「突然変異体C−RAFポリペプチド」は、本明細書で述べられる場合、1種またはそれより多くの公知のRAF阻害剤に対する耐性を付与する1つまたはそれより多くの突然変異を包含するC−RAFポリペプチドを包含する。同様に、「突然変異体C−RAF核酸分子」は、本明細書で述べられる場合、突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする核酸分子を包含する。1つまたはそれより多くの突然変異を包含するC−RAFポリペプチドをコードする核酸分子は、例えば、大腸菌(E. coli)で行うことができる野生型C−RAF核酸配列のランダム変異誘発または部位特異的変異誘発などの当業界公知のあらゆる好適な方法を使用して作製できる。典型的な実施態様において、野生型C−RAF核酸配列は、ヒト野生型MEK1核酸配列である。具体的な実施態様において、野生型C−RAF核酸配列は、野生型ヒトC−RAF(配列番号1)(受託番号BC018119.2.)である。次いで突然変異体C−RAF核酸分子を、別の方法でRAF阻害剤での処置に対して感受性を有する細胞中でスクリーニングすることにより、RAF阻害剤での処置に対して耐性を有する野生型C−RAFポリペプチドと比較して、突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする核酸を同定できる。いくつかの実施態様において、C−RAFポリペプチドは、野生型ヒトC−RAF(配列番号2)(スイスプロット(Swiss-Prot)ID番号は、P04049−10)である。
【0028】
[0042]RAF阻害剤での処置に対する耐性に関して突然変異体C−RAF核酸および突然変異体C−RAFポリペプチドをスクリーニングするのにあらゆる好適な方法を使用できる。例えば、別の方法でRAFでの処置に対して感受性を有する細胞中で、突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする核酸分子を発現させることができる。この目的にとって有用な典型的な細胞株は、黒色腫細胞株A375である。突然変異体C−RAFポリペプチドの発現後、細胞をRAFで処置できる。次いで突然変異体C−RAFポリペプチドの活性を測定して、同様に発現されてRAF阻害剤で処置された野生型C−RAFポリペプチドの活性と比較できる。C−RAFポリペプチドの活性は、例えば、RAF阻害剤での処置後の細胞の増殖または生存率を測定することによって決定でき、ここで増殖または生存率は、C−RAF活性と正の相関を示す。細胞増殖、増殖、または生存率は、当業界公知のあらゆる好適な方法を使用して決定できる。一実施態様において、細胞増殖は、例えばMTSまたはセルタイターGLo(Cell Titer GLo)などのウェルベースの細胞増殖/生存率アッセイを使用して決定でき、これらのアッセイにおいて、RAF阻害剤の存在下の細胞増殖は、RAF阻害剤の非存在下で培養した未処置細胞で観察された細胞増力の百分率として示される。所定の実施形態において、耐性は、好適な対照と比べて少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、最も好ましくは少なくとも4〜5倍のGI50値のシフトと定義される。他の実施態様において、耐性は、約1μMのGI50値と定義される。またC−RAFポリペプチドの活性は、例えば、RAF阻害剤での処置後の細胞中に存在するリン酸化ERK1/2の相対量を決定することによっても測定できる。また野生型または突然変異体C−RAFポリペプチドの活性は、インビトロでのリン酸化アッセイを使用することによっても決定でき、このようなアッセイにおいて、MEK1活性は、RAFまたはMEK阻害剤で処置した後のアッセイ中のリン酸化ERK1/2基質の比率を測定することによって決定される。RAF阻害剤での処置後に野生型C−RAFポリペプチドよりも大きい活性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドが、RAF阻害剤に対する耐性を付与する突然変異を含有すると同定される。次いでRAF阻害剤に対する耐性を付与する突然変異は、突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする核酸を配列決定することによって、または突然変異体C−RAFポリペプチドを直接配列決定することによって同定できる。
【0029】
[0043]実施例1で説明されているように、この方式で、加えて大規模に並行する配列決定方法を使用して、突然変異した場合に、RAF阻害剤PLX4032、PLX4720、および(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートに対する耐性を付与するC−RAFポリペプチド中のアミノ酸置換を同定した。特に、以下に示すヒトC−RAFポリペプチドのアミノ酸、すなわち104E、257S、261P、356G、361G、427S、447D、469M、478E、および554Rなどのうち1つまたはそれより多くにおける置換は、RAF阻害剤に対する耐性を付与する。所定の実施形態において、突然変異体C−RAFポリペプチドは、これらのアミノ酸残基の1つまたはそれより多くにおいて、野生型ヒトC−RAFポリペプチドと比べて突然変異を包含する。典型的な実施態様において、突然変異体C−RAFポリペプチドは、以下の耐性突然変異:104E>K、257S>P、261P>T、356G>E、361G>A、427S>T、447D>N、469M>I、478E>K、および554R>Kのうち1つまたはそれより多くを包含する。
【0030】
単離された核酸分子
[0044]本発明は、C−RAF遺伝子に関するポリヌクレオチドまたは核酸分子およびそれらの個々の遺伝子産物に関する。これらのポリヌクレオチドまたは核酸分子は、哺乳動物細胞から単離および精製可能である。本発明の特定の形態において、本明細書で説明される単離されたC−RAF核酸分子は、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する突然変異を含む。「突然変異体C−RAF核酸分子」は、本明細書で述べられる場合、突然変異体C−RAFポリペプチド、すなわち、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する1つまたはそれより多くの突然変異を包含するC−RAFポリペプチドをコードするC−RAF核酸分子を包含する。
【0031】
[0045]単離および精製されたC−RAF核酸分子、例えば突然変異体C−RAF核酸分子は、RNAまたはDNAの形態をとることができると考えらえる。本明細書で使用される用語「RNA転写物」は、DNA核酸分子からの転写産物であるRNA分子を指す。このような転写物は、1種またはそれより多くのタンパク質をコードしていてもよい。
【0032】
[0046]用語「ポリヌクレオチド」は、本出願で使用される場合、単離された、例えばゲノム由来核酸をまったく含まない、核酸分子、RNAまたはDNAを指す。それゆえに、「C−RAFをコードするポリヌクレオチド」は、C−RAFのコード配列を包含するが、ゲノム由来DNAおよびタンパク質から単離または精製されてそれらをまったく含まない核酸セグメントを指す。本出願においてC−RAFをコードするポリヌクレオチドまたは核酸の機能または活性について述べられる場合、そのポリヌクレオチドは、野生型C−RAFポリペプチドの活性、例えばERK1/2基質のリン酸化を行うことができる分子をコードすることを意味する。
【0033】
[0047]用語「cDNA」は、テンプレートとしてRNAを使用して調製されたDNAを指すことが意図される。また、所定の細胞からの所定のC−RAFをコードする核酸またはC−RAF遺伝子の代表例としては、核酸配列がわずかに異なるが活性なC−RAFポリペプチドをコードする天然変異体または変異株も考えられる。好ましい実施態様において、活性なC−RAFポリペプチドは、活性なヒトC−RAFポリペプチドである。特に好ましい実施態様において、活性なC−RAFポリペプチドとは、野生型C−RAFポリペプチドの活性を有するが、1種またはそれより多くの公知のRAF阻害剤に対して耐性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドのことである。その結果として、本発明の所定の形態は、核酸またはアミノ酸変化は最小限であるが、同じ生物学的機能を有するC−RAF核酸またはポリペプチドの誘導体を包含する。
【0034】
[0048]いくつかの実施態様において、本発明は、突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする、あるいはそのアミノ酸配列内に突然変異体C−RAFポリペプチドに係る、または実質的に突然変異体C−RAFポリペプチドに相当する連続したアミノ酸配列を包含するペプチドをコードするDNA配列を取り込んだ組換えベクターに関する。典型的な実施態様において、本発明は、そのアミノ酸配列内に、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する1つまたはそれより多くの突然変異を含むC−RAFポリペプチドの連続したアミノ酸配列を包含するC−RAFポリペプチドをコードするDNA配列を取り込んだ、単離されたDNAセグメントおよび組換えベクターに関する。
【0035】
[0049]本発明で使用される核酸セグメントは、コード配列それ自身の長さに関係なく、例えばプロモーター、ポリアデニル化シグナル、追加の制限酵素部位、多重クローニング部位、他のコーディングセグメントなどの他のDNAまたはRNA配列と組み合わせることができ、そのためその全体の長さはかなり多様であり得る。従って、ほとんど全ての長さの核酸フラグメントを用いることができると考えられるが、意図された組換えDNAプロトコールにおける調製および使用の容易さによって全長を制限することが好ましい。「異種」配列は、それ以外の配列にとって外来または外因性の配列を指す。異種遺伝子は、現在置かれている配列の周辺で天然に見出されない遺伝子を指す。
【0036】
[0050]いくつかの実施態様において、核酸配列は、C−RAF活性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドをコードしていてもよく、その場合、少なくとも1つのアミノ酸置換は、以下に示す位置:104E、257S、261P、356G、361G、427S、447D、469M、478E、および554Rなどの1つまたはそれより多くのアミノ酸位置で起こる。他の実施態様において、突然変異体C−RAFポリペプチドは、以下の耐性突然変異:104E>K、257S>P、261P>T、356G>E、361G>A、427S>T、447D>N、469M>I、478E>K、および554R>Kのうち1つまたはそれより多くを包含する。
【0037】
発現ベクターおよび宿主細胞
[0051]本発明は、C−RAFポリペプチド、例えば突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする発現ベクター組成物およびこのようなベクターの使用、加えてこのような発現ベクターが導入された宿主細胞組成物を包含する。用語「ベクター」は、それを複製できる細胞に導入するための、核酸配列を挿入できるキャリアー核酸分子を指すのに使用される。核酸配列は「外因性」であってもよく、この場合、外因性とは、その核酸配列が、ベクターを導入しようとする細胞にとって外来のものであるか、またはその配列が、細胞中の配列に相同であるが、通常はその配列が見出されない宿主細胞の核酸内の位置に存在することを意味する。ベクターとしては、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、および人工染色体(例えば、YAC)が挙げられる。当業者であれば、標準的な組換え技術によりベクターを構築する能力を十分備えているものと予想される。
【0038】
[0052]用語「発現ベクター」または「発現コンストラクト」は、転写可能な遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含有するベクターを指す。いくつかの場合において、RNA分子は、タンパク質、タンパク質、またはペプチドに翻訳される。他の場合において、例えばアンチセンス分子またはリボザイムの生産では、これらの配列は翻訳されない。発現ベクターは様々な「制御配列」を含有していてもよく、この制御配列とは、特定の宿主生物中での機能するように連結したコード配列の転写に必要な、場合によっては翻訳に必要な核酸配列を指す。ベクターおよび発現ベクターは、転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、他の機能に役立つ核酸配列も同様に含有していてもよい。
【0039】
[0053]用語「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」は、本明細書で使用される場合、同義的に使用される場合がある。本発明では、C−RAFポリヌクレオチドを含む細胞は、それが突然変異型でも野生型でも使用が可能である。これらの用語はいずも、それらの後代も包含し、ここで後代とは、その後のありとあらゆる世代を指す。計画的な突然変異または故意ではない突然変異のために、全ての後代が同一ではない可能性があることが理解されている。異種核酸配列を発現する状況において、「宿主細胞」は、原核性または真核性細胞を指し、ベクターを複製すること、および/またはベクターによってコードされた異種遺伝子を発現することが可能なあらゆる形質転換可能な生物を包含する。宿主細胞は、ベクターのレシピエントとして使用できるものであり、かつベクターのレシピエントとして使用されてきたものである。宿主細胞は、「トランスフェクト」または「形質転換」されていてもよく、これらは、外因性核酸を宿主細胞に移入または導入する過程を指す。形質転換した細胞は、初代対象細胞(primary subject cell)およびその後代を包含する。「組換え宿主細胞」は、組換え核酸、すなわちインビトロで操作された核酸、または同様に操作された核酸の複製コピーである核酸を有する宿主細胞を指す。望ましい結果が、ベクターの複製なのか、ベクターによってコードされた核酸配列の一部もしくは全部の発現なのか、または感染性ウイルス粒子の生産なのかに応じて、原核生物または真核生物から宿主細胞を誘導できる。
【0040】
単離されたポリペプチド分子
[0054]本発明の他の形態は、単離および/または精製されたC−RAFポリペプチド、および生物学的に活性なそれらの一部に関する。本発明の特定の形態において、本明細書において説明されるC−RAFポリペプチドは、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する1つまたはそれより多くのアミノ酸において突然変異を含む。「突然変異体C−RAFポリペプチド」は、本明細書で述べられる場合、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する1つまたはそれより多くのアミノ酸位置に突然変異を包含するC−RAFポリペプチドを包含する。
【0041】
[0055]C−RAFポリペプチドの生物学的に活性な部分は、C−RAFポリペプチドのアミノ酸配列から誘導されたアミノ酸配列、例えば、全長C−RAFポリペプチドよりも少ないアミノ酸を包含し、少なくとも1種のC−RAFポリペプチド活性を示す、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むペプチドを包含する。典型的には、生物学的に活性な部分(ペプチド、例えば、長さが5、10、15、20、30、35、36、37、38、39、40、50、100アミノ酸またはそれより長いペプチド)は、C−RAFポリペプチド活性を有する少なくとも1つのドメインまたはモチーフを含む。さらに、タンパク質の他の領域が欠失した他の生物学的に活性な部分を組換え技術によって調製し、本明細書で説明される活性のうち1種またはそれより多くについて評価できる。好ましくは、C−RAFポリペプチドの生物学的に活性な部分は、1つまたはそれより多くの選択されたドメイン/モチーフ、またはそれらの生物活性を有する部分を包含する。
【0042】
[0056]C−RAFポリペプチドは、組換えDNA技術により生産できる。例えば、(上述したような)発現ベクターにこのタンパク質をコードする核酸分子をクローニングし、発現ベクターを(上述したような)宿主細胞に導入し、宿主細胞中でC−RAFポリペプチドを発現させる。次いで標準的なタンパク質精製技術を使用する適切な精製スキームにより、細胞からC−RAFポリペプチドを単離できる。組換え発現の代わりに、標準的なペプチド合成技術を使用してC−RAFポリペプチドを化学合成できる。さらに、例えば、本発明のC−RAFポリペプチドまたはそれらのフラグメントを利用する標準的な技術によって生産できる抗C−RAF抗体を使用して、細胞(例えば癌細胞)から、天然型のC−RAFポリペプチドおよび/または突然変異体C−RAFポリペプチドを単離できる。
【0043】
[0057]またC−RAFキメラまたは融合タンパク質も使用できる。本明細書で使用される場合、MEK1の「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非C−RAFポリペプチドに機能するように連結したC−RAFポリペプチドを含む。「C−RAFポリペプチド」は、C−RAFポリペプチドに対応するアミノ酸配列を有するタンパク質を指し、それに対して「非C−RAFポリペプチド」は、実質的にC−RAFポリペプチドに相同ではないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するタンパク質を指し、例えば、C−RAFポリペプチドとは実質的に異なり、C−RAF活性を提示せず、同じまたは異なる生物から誘導されるタンパク質である。用語「機能するように連結した」は、融合タンパク質内で、C−RAFポリペプチドと非C−RAFポリペプチドとがフレーム内で互いに融合していることを示すものとする。非C−RAFポリペプチドは、C−RAFポリペプチドのN末端またはC末端に融合していてもよい。例えば、一実施態様において、融合タンパク質はGST−C−RAF融合タンパク質であり、この場合、C−RAFアミノ酸は、GSTポリペプチドのC末端に融合している。このような融合タンパク質は、組換えC−RAFポリペプチドの精製を容易にする可能性がある。他の実施態様において、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含有するC−RAFポリペプチドである。異種シグナル配列の使用により、所定の宿主細胞(例えば、哺乳動物の宿主細胞)中でMEK1タンパク質の発現および/または分泌を増やすことができる。
【0044】
[0058]突然変異体C−RAFポリペプチドは、野生型C−RAFポリペプチドの変異誘発、または野生型C−RAFポリペプチドをコードする核酸分子の変異誘発によって生成できる。また、望ましい活性、例えば1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドに関するC−RAF突然変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによっても、突然変異体C−RAFポリペプチドを同定できる。点突然変異またはトランケーションによって製造されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された特性を有する遺伝子産物に関するcDNAライブラリーをスクリーニングするための数々の技術が当業界公知である。このような技術は、コンビナトリアル変異誘発によって生成した遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適用できる。大きい遺伝子ライブラリーをスクリーニングするためのハイスループット分析に適した最も広く使用される技術は、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングすること、その結果得られたベクターライブラリーで適切な細胞を形質転換すること、および望ましい活性を検出することにより、その生成物が検出された遺伝子をコードするベクターを容易に単離される条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現することを包含する。
【0045】
抗体
[0059]本発明のポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドは、抗体の生成に使用できる。いくつかの実施態様において、抗体を使用して、突然変異体C−RAFポリペプチドの発現を検出して定量できる。いくつかの実施態様において、抗体を使用して、突然変異体C−RAFポリペプチドの活性を変更できる。本発明のポリヌクレオチドから発現された、少なくとも6、8、10、12、15、20または30の連続したアミノ酸を含むポリペプチドは、免疫原として使用できる。本ポリペプチドを使用して、以下に示すRAF阻害剤に対する耐性を付与するヒトC−RAFポリペプチドアミノ酸、すなわち104E、257S、261P、356G、361G、427S、447D、469M、478E、および554Rなどのうち1つまたはそれより多くにおいて1つまたはそれより多くのアミノ酸置換を有する本発明の突然変異体C−RAFポリペプチドに特異的に結合する抗体の調製物を得ることができる。典型的な実施態様において、突然変異体C−RAFポリペプチドは、以下の耐性突然変異:104E>K、257S>P、261P>T、356G>E、361G>A、427S>T、447D>N、469M>I、478E>K、および554R>Kのうち1つまたはそれより多くを包含する。
【0046】
[0060]抗体は、標的タンパク質またはそれらのフラグメントに特異的な、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、二官能性/二重特異性抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および相補性決定領域(CDR)グラフト化抗体であってもよく;さらに、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fvなどの抗体フラグメント、ラクダ抗体(camelbodies)、またはマイクロ抗体(microantibodies)も包含する。また抗体は、抗イディオタイプ抗体、すなわち抗体配列の抗原特異的な部分に対する抗体を指す場合もあり、その場合、このような抗体は他の抗体の結合部位を認識し;または抗抗イディオタイプ抗体、すなわち、元の抗体を生成するのに使用された抗原上のエピトープを模擬する、結合部位を有する抗体を指す場合もある。抗体を発生させる技術は当業界周知である。
【0047】
[0061]単鎖抗体も構築できる。本発明のポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドに特異的に結合する単鎖抗体は、当業界公知のように、例えば単鎖免疫グロブリンディスプレイライブラリーから単離できる。ライブラリーをポリペプチドに対して「パニング(panned)」して、ポリペプチドの様々なエピトープと高い親和性で結合する多数の単鎖抗体を単離できる。Hayashiら、1995、Gene 160:129〜30。このようなライブラリーは公知であり、当業者により利用可能である。またテンプレートとしてハイブリドーマcDNAを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用しても抗体を構築できる。Thirionら、1996、Eur.J.Cancer Prey.5:507〜11。
【0048】
[0062]単鎖抗体は、単一特異的または二重特異的であってもよいし、2価または4価であってもよい。4価の二重特異的な単鎖抗体の構築は、ColomaおよびMorrison、1997、Nat.Biotechnol.15:159〜63で教示されており、2価の二重特異的な単鎖抗体の構築は、MallenderおよびVoss、1994、J.Biol.Chem.269:199〜206で教示されている。
【0049】
[0063]次いで、以下で説明するように、単鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を手動または自動のヌクレオチド合成を使用して構築し、標準的な組換えDNAの方法論を使用してDNA発現ベクターにクローニングし、選択された遺伝子を発現する細胞に導入できる。あるいは、Verhaarら、1995、Int.J.Cancer 61:497〜501;Nichollsら、1993.J.Immunol.Meth.165:81〜91に記載の線状ファージ技術を使用して抗体を直接生産してもよい。
【0050】
[0064]抗体は、本発明のポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドのエピトープに特異的に結合する。好ましい実施態様において、このエピトープは、他のヒトタンパク質上に存在しない。エピトープをコードするための連続したアミノ酸の最小数は、典型的には6、8、または10個である。しかしながら、特に隣接していない残基または特定のコンフォメーションを含むエピトープを形成するためには、それより多く、例えば、少なくとも15、25、または50個が使用される可能性がある。
【0051】
[0065]本ポリペプチドに特異的に結合する抗体は、全長ポリペプチドに結合する抗体を包含する。特異的に結合する抗体は、ヒト細胞のウェスタンブロット上で他のタンパク質を検出しないか、または本発明の標的タンパク質によって提供されるシグナルよりも少なくとも10倍低いシグナルを提供する。このような特異性を有する抗体は、慣例的なスクリーニングにより得ることができる。本発明の好ましい実施態様において、抗体は、本発明のポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドを細胞抽出物または溶液から免疫沈降させる。加えて、抗体は、組織切片中で、またはポリアクリルアミドゲルのウェスタンブロット上で、本発明のポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドと反応できる。好ましくは、抗体は、ウェスタンブロット上で、または免疫細胞化学的なアッセイで、他のヒトタンパク質と非特異的な交叉反応性を示さない。
【0052】
[0066]本発明のポリヌクレオチドから発現されたポリペプチドに対する抗体を精製する技術が、当業界において利用可能である。好ましい実施態様において、本発明のポリヌクレオチドから発現された特定のタンパク質またはポリペプチドが結合したカラムに、抗体を通過させる。次いで例えば高塩濃度の緩衝液を用いて結合した抗体を溶出させる。
【0053】
突然変異の検出
[0067]他の形態において、本発明は、サンプル(例えば、癌患者からの生体サンプル)中の突然変異体C−RAFポリペプチドの存在を検出する方法に関する。様々なスクリーニング方法を使用して、サンプル中の、例えば核酸および/またはタンパク質サンプル中の本発明の突然変異体C−RAFポリペプチドの存在を検出できる。具体的な実施態様において、サンプルは、細胞または細胞抽出物を包含する。典型的な実施態様において、サンプルは、対象、例えば癌を有する対象から得られる。
【0054】
[0068]C−RAFポリペプチド、またはそれらの生物学的に活性な部分をコードする配列を含有するゲノムDNA、cDNA、およびRNA(すなわち、mRNA)中の耐性突然変異の存在を検出する方法は、本発明の範囲内で使用できる。同様に、C−RAFポリペプチド、または生物学的に活性なそれらの一部における耐性突然変異の存在を検出する方法は、本発明の範囲内で使用できる。特定の実施態様において、これらに限定されないが、以下に挙げられる方法を使用して、野生型C−RAFポリペプチド(配列番号2)と比較して1つまたはそれより多くのアミノ酸位置に突然変異を有するC−RAFポリペプチド、またはC−RAFポリペプチドをコードする核酸分子の存在を検出できる。いくつかの実施態様において、突然変異体C−RAFポリペプチドに対する抗体を使用して、突然変異体ポリペプチドの存在を検出できる。
【0055】
[0069]点突然変異は、例えば、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(「DGGE」)、制限酵素断片長多型分析(「RFLP」)、化学的または酵素的な切断方法、PCRによって増幅した標的領域の直接の配列決定(上記参照)、一本鎖高次構造多型分析(「SSCP」)、ポリメラーゼ連鎖反応、配列決定、ハイブリダイゼーション、または「ハイブリッドキャプチャー」、それに続くパイロシーケンシングまたは単分子配列決定などの当業界公知のあらゆる好適な方法を使用して検出が可能である。また当業者公知のその他の突然変
異検出方法も使用できる。
【0056】
[0070]スクリーニング方法を行うことにより、上記で同定された突然変異の出現に関して個体をスクリーニングできる。例えば、一実施態様において、分析のために、患者からサンプル(例えば、血液もしくは他の体液、または細胞もしくは組織サンプルなど)を採取する。典型的な実施態様において、患者は癌患者である。このようなC−RAF核酸またはC−RAFポリペプチド中の突然変異を検出するためのサンプルの処理に好適な方法は当業界公知であり、当業者であれば、このようなサンプルの処理を選ばれた検出方法に従って適合させることが可能である。
【0057】
[0071]本明細書で説明される1つまたはそれより多くの突然変異の存在または非存在は、スクリーニングされた個体がRAF阻害剤を用いた療法に耐性を有する可能性を決定する。本発明によって提供される方法に従って、これらの結果を使用して、RAF阻害剤の用量を調節および/または変更したり、または第二の阻害剤を使用する処置方針を選択したりすることができると予想される。いくつかの実施態様において、第二の阻害剤は、MEK阻害剤であってもよい。癌を有する対象の有効な処置としては、癌細胞の根絶、癌(例えば固形腫瘍など)の増殖の停止または増殖速度の低減、または少なくとも1つの癌の症状の改良などが挙げられる。
【0058】
[0072]C−RAFポリペプチド中の、またはC−RAFポリペプチドをコードする核酸分子中の耐性突然変異は、以下で説明される方法などの当業界公知のあらゆる好適な方法またはそれらの改変法を使用して検出できる。このような方法としては、対立遺伝子特異的なポリメラーゼ連鎖反応の使用、その部位の直接または間接的な配列決定、制限酵素の使用(その部位のそれぞれの対立遺伝子が制限部位を形成するかまたは破壊する場合)、対立遺伝子特異的なハイブリダイゼーションプローブの使用、突然変異体C−RAFポリペプチドに特異的な抗体の使用、または他のあらゆる生化学的な分析が挙げられる。
【0059】
標的化療法に対する耐性に関する診断/予後マーカー
[0073]いくつかの形態において、本発明は、サンプル(例えば、癌患者からの生体サンプル)中の1種またはそれより多くの診断または予後マーカーの存在を検出する方法に関する。DNA、RNA、およびタンパク質検出などの当業者公知の様々なスクリーニング方法を使用して、サンプル中のマーカーの存在を検出できる。これらの技術を使用して、患者から得られたサンプル中の突然変異の存在または非存在を決定できる。いくつかの実施態様において、患者は、B−RAF阻害剤またはpan−RAF阻害剤などのキナーゼに標的化した療法に対して先天性または獲得耐性を有する可能性がある。例えば、患者は、RAF阻害剤のPLX4720、および/またはPLX4032、および/または(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートに対する先天性または獲得耐性を有する可能性がある。一実施態様において、患者から得られた癌細胞を含有するサンプル中の、本明細書で説明される1つまたはそれより多くの突然変異を包含するC−RAF核酸またはポリペプチドが同定されることは、その患者が、比較的高い再発の危険を有するか、またはRAF阻害剤での処置に対する応答が欠如していることの指標である。患者において上記で説明したC−RAF突然変異のうち1つまたはそれより多くが同定されることは、患者のための処置プロトコールを決定してそれを実施することにおいて医師の助けになる。例えば、C−RAFポリペプチド中の1つまたはそれより多くの突然変異が上記で同定された患者において、医師は、その患者を以下でより詳細に説明されるような併用療法で処置してもよい。
【0060】
[0074]またC−RAFポリペプチド中の耐性突然変異の同定は、癌中の1つまたはそれより多くのアミノ酸位置におけるC−RAF耐性突然変異の存在または非存在を決定するために、癌を有する患者のスクリーニングすることも可能にする。癌中の1つまたはそれより多くのC−RAF耐性突然変異の存在または非存在を決定することは、癌患者を処置する方針の変更を可能にする。このような変更としては、例えば、RAF阻害剤またはMEK阻害剤での処置の開始または停止、併用療法の実施、RAF阻害剤と第二の阻害剤との連続投与の提供などが挙げられる。
【0061】
[0075]いくつかの実施態様において、C−RAF活性を有する突然変異体C−RAFポリペプチドをコードする核酸中で、RAF耐性突然変異を同定してもよく、この場合、突然変異体C−RAFポリペプチドは、配列番号2に示される野生型C−RAFポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を包含し、ここで少なくとも1つのアミノ酸置換は、突然変異体RAFポリペプチドを発現する細胞に1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する。いくつかの実施態様において、C−RAF活性を有する突然変異体C−RAFポリペプチド中で、RAF耐性突然変異を同定でき、この場合、突然変異体C−RAFポリペプチドは、配列番号2に示される野生型C−RAFポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を包含し、ここで少なくとも1つのアミノ酸置換は、突然変異体C−RAFポリペプチドを発現する細胞に、1種またはそれより多くのRAF阻害剤に対する耐性を付与する。いくつかの実施態様において、以下に示す野生型C−RAFポリペプチドのアミノ酸、すなわち104E、257S、261P、356G、361G、427S、447D、469M、478E、および554Rなどのうち1つまたはそれより多くにおける置換は、RAF阻害剤に対する耐性を付与する。いくつかの実施態様において、野生型C−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くのアミノ酸の置換は、104E>K、257S>P、261P>T、356G>E、361G>A、427S>T、447D>N、469M>I、478E>K、および554R>Kからなる群より選択される。いくつかの実施態様において、野生型C−RAFポリペプチドの1つまたはそれより多くのアミノ酸の置換は、257S、261P、および361Gからなる群より選択される。
【0062】
処置方法
[0076]様々な実施態様において、本発明は、癌を有する患者を処置する方法を提供する。本方法は、一般的に、第一の阻害剤および第二の阻害剤の投与を含む。1つの阻害剤は、RAF阻害剤であってもよい。典型的なRAF阻害剤は、上記の表1に示される。1つの阻害剤は、MEK阻害剤であってもよい(典型的なMEK阻害剤を例示する表2を参照)。いくつかの実施態様において、RAF阻害剤および第二の阻害剤の有効量の有効量を含む癌の併用療法が提供される。いくつかの実施態様において、第二の阻害剤は、MEK阻害剤である。
【0063】
[0077]前述した形態の典型的な実施態様において、本明細書で提供されるRAF阻害剤は、PLX4720、PLX4032、BAY43−9006(ソラフェニブ)、ZM336372、RAF265、AAL−881、LBT−613、(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメート、またはCJS352である。併用療法に有用な追加の典型的なRAF阻害剤としては、pan−RAF阻害剤、B−RAF阻害剤、A−RAF阻害剤、およびRAF−1阻害剤が挙げられる。また当業界公知の追加のRAF阻害剤も使用できる。
【0064】
[0078]非限定的な例として、本明細書で提供されるMEK阻害剤は、CI−1040、AZD6244、PD318088、PD98059、PD334581、RDEA119、6−メトキシ−7−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−4−(4−フェノキシ−フェニルアミノ)−キノリン−3−カルボニトリルもしくは4−[3−クロロ−4−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イルスルファニル)−フェニルアミノ]−6−メトキシ−7−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−キノリン−3−カルボニトリル、ロシュ(Roche)の化合物RG7420、またはそれらの組み合わせであってもよい。また当業界公知の追加のMEK阻害剤も使用できる。
【0065】
[0079]このような組み合わせの投与は、あらゆる好適な経路で、単一の製剤もしくは1回投与量で組み合わせを投与すること、組み合わせに含まれる個々の薬剤を、同時に、ただし別々に投与すること、または組み合わせに含まれる個々の薬剤を連続的に投与することを包含する。組み合わせに含まれる個々の薬剤を投与する場合、それらの薬剤のうち1種を、組み合わせ中の他の薬剤と比較してより頻繁に投与しなければならない場合がある。それゆえに、適切な投与を可能にするために、パッケージ化された医薬品は、薬剤の組み合わせを含有する1つまたはそれより多くの剤形を含有していてもよいし、薬剤の組み合わせのうち1つを含有するが、その組み合わせの他の薬剤(複数可)は含有しない1つまたはそれより多くの剤形を含有していてもよい。
【0066】
[0080]化合物が異なる立体異性体の形態で存在できるように、薬剤は、例えば不斉中心またはステレオジェン軸(stereogenic axes)などの1つまたはそれより多くの非対称元素、例えば不斉炭素原子を含有していてもよい。これらの化合物は、例えば、ラセミ化合物または光学的に活性な形態であってもよい。2つまたはそれより多くの非対称元素を有する化合物の場合、これらの化合物はさらに、ジアステレオ異性体の混合物であってもよい。不斉中心を有する化合物の場合、あらゆる光学異性体およびそれらの混合物が包含されることが理解されるものとする。加えて、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、Z型およびE型で見出される可能性があり、そのような場合、本化合物の全ての異性体の形態は本発明に包含される。これらの状況において、単一のエナンチオマー(光学的に活性な形態)は、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成によって得てもよいし、またはラセミ化合物の分割によって得てもよい。またラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィーなどの従来の方法によっても達成できる。
【0067】
[0081]特に他の規定がない限り、または文章で明らかに表示されない限り、本発明の併用療法において有用な化合物についての言及は、本化合物の遊離塩基と、本化合物の全ての医薬的に許容される塩との両方を包含する。好ましい塩は、塩酸塩である。
【0068】
[0082]用語「医薬的に許容される塩」は、開示された化合物の誘導体を包含し、この場合、親化合物は、非毒性の酸またはそれらの塩基付加塩を作製することによって改変され、さらにこの用語は、このような化合物およびこのような塩の水和物などの薬学的に許容される溶媒和物を指す。医薬的に許容される塩の例としては、これらに限定されないが、例えばアミンなどの塩基性残基の鉱酸または有機酸の付加塩;例えばカルボン酸などの酸性残基のアルカリ性または有機性の付加塩など、ならびに前述の塩のうち1種またはそれより多くを含む組み合わせなどが挙げられる。医薬的に許容される塩は、例えば非毒性の無機酸または有機酸から形成された親化合物の非毒性の塩および第四アンモニウム塩を包含する。例えば、非毒性の酸性塩は、例えば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、および硝酸などの無機酸から誘導されたものを包含し;他の許容できる無機塩は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、およびセシウム塩などの金属塩;ならびに例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびに前述の塩のうち1種またはそれより多くを含む組み合わせを包含する。
【0069】
[0083]薬学的に許容される有機塩は、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸(esylic acid)、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC(CHCOOH(式中nは0〜4である)などの有機酸から調製された塩;例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;ならびに例えばアルギン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩(asparginate)、およびグルタミン酸塩などのアミノ酸塩、ならびに前述の塩のうち1種またはそれより多くを含む組み合わせを包含する。
【0070】
[0084]薬剤の組み合わせの「有効量」は、組み合わせで処置された障害の臨床的に識別可能なベースラインの徴候および症状を超える、識別可能な改善をもたらすのに十分な量である。
【0071】
[0085]本医薬品は、経口または他の形態で投与でき、例えば、直腸に、または非経口の注射によって投与できる。「経口用剤形」は、経口投与用に処方された、または経口投与を意図した1回量剤形を包含することを意味する。経口用剤形は、単回用量で投与するためにパッケージ化された、例えばマイクロカプセルまたはマイクロタブレットなどの複数のサブユニットを含んでいてもよいし、または含んでいなくてもよい。
【0072】
[0086]本医薬品は、様々な形態で放出させることができる。「放出可能な形態」は、瞬間放出、即時放出型、制御放出、および持続放出性の形態を包含することを意味する。
【0073】
[0087]「瞬間放出」は、より迅速な溶解が達成されるように活性物質の通常の結晶形を改変して、確実に活性物質が迅速に溶解するように設計された剤形を包含することを意味する。
【0074】
[0088]「即時放出型」は、投与の2時間以内に、好ましくは投与の1時間以内に、活性物質の約50%以上、またはより好ましくは活性物質の約75%が放出される、従来の形態または放出調節されていない形態を包含することを意味する。
【0075】
[0089]「持続放出性」または「徐放」は、定常状態で投与してから、少なくとも約8時間、好ましくは少なくとも約12時間、より好ましくは約24時間、血液(例えば血漿)レベルが治療的な範囲内に、ただし毒性レベル未満で維持されるような速度での、活性物質の放出を包含する。用語「定常状態」は、所定の活性物質または活性物質の組み合わせのある血漿レベルが達成され、それが、それに続く活性物質(複数可)投与により、所定の活性物質(複数可)にとって最小限の有効な治療的なレベル以上であり、かつ最小限の毒性血漿レベル未満であるレベルに維持されることを意味する。
【0076】
[0090]用語「処置する」、「処置した」、「処置すること」または「処置」は、本明細書では、対象における疾患の少なくとも1つの症状を軽減、低減または緩和することを意味するものとして使用される。例えば、処置は、障害の1つまたは数種の症状を減らすこと、または例えば癌などの障害を完全に根絶することであり得る。本発明の趣旨の範囲内で、用語「処置する」はまた、発病を止めること、発病を遅延させること(すなわち、疾患の臨床症状が出るまでの期間)および/または疾患の進行または悪化の危険を低減することも意味する。用語「保護する」は、本明細書では、必要に応じて、対象における疾患の進行または持続または悪化を、予防すること、遅延させること、もしくは処置すること、またはそれら全てを意味するものとして使用される。本発明の趣旨の範囲内で、上記疾患は、癌と関連している。
【0077】
[0091]用語「対象」または「患者」は、癌または直接的もしくは間接的に癌に関与するあらゆる障害に罹る可能性がある、またはそれらに苦しむ動物を包含することが意図される。対象の例としては、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。所定の実施形態において、対象は、ヒトであり、例えば、癌に罹った、癌に罹る危険性がある、または潜在的に癌に罹る可能性があるヒトである。
【0078】
[0092]用語「約」または「およそ」は通常、所定の値または範囲の20%以内、より好ましくは10%以内、最も好ましくは5%以内を意味する。あるいは、特に生物系において、用語「約」は、約1log(すなわち1桁)以内、好ましくは所定の値の2倍以内を意味する。
【0079】
[0093]本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに類似の指示対象の使用は、本明細書において特に他の指定がない限り、または明らかに文脈と矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるものとする。用語「含む、「有する」、「包含する」、および「含有する」は、特に他の規定がない限り、オープンエンド形式の用語(すなわち、「これらに限定されないが、〜が挙げられる」を意味する)として解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特に他の指定がない限り、その範囲内に含まれるそれぞれ別個の値を個別に述べる簡略的な方法として役立つものと意図されているにすぎず、それぞれ別個の値は、本明細書において個々に列挙されたものとして本明細書に取り込まれる。
【0080】
[0094]上記で具体的に述べたように、一形態において、本発明は、対象に、RAF阻害剤と第二の阻害剤との有効量を含む併用療法を投与することを含む、対象において癌の発病を処置すること、予防すること、停止させること、遅らせること、および/または癌の少なくとも1つの症状の進行または逆転の危険を低減させることに有用な組み合わせ医薬を提供する。いくつかの実施態様において、第二の阻害剤は、MEK阻害剤である。好ましくは、これらの阻害剤は、組み合わせると有益な作用を提供する治療有効投与量で投与される。投与は、同時でもよいし、または連続していてもよい。
【0081】
[0095]用語「癌」は、本明細書では、全ての固形腫瘍および血液学的な悪性疾患を包含する広範囲の腫瘍を意味するのに使用される。このような腫瘍の例としては、これらに限定されないが、白血病、リンパ腫、骨髄腫、癌腫、転移性癌、肉腫、腺腫、神経系の癌、および尿生殖器癌が挙げられる。典型的な実施態様において、前述の方法は、成人および小児の急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、AIDS関連の癌、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨肉腫、線維性組織球腫、脳癌、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫、悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽細胞腫、テント上原始神経外胚葉腫瘍、視床下部神経膠腫、乳癌、男性乳癌、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、類癌腫、原因不明の癌腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、悪性神経膠腫、子宮頚癌、小児癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼内黒色腫、網膜芽腫、胆嚢癌、胃癌、消化管間質腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、毛様細胞性白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部および視経路神経膠腫、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、腎細胞癌、喉頭癌、口唇口腔癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、中枢神経系原発リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、髄芽細胞腫、黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、頸部扁平上皮癌、多発性内分泌腺腫症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体癌、形質細胞腫、胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、非黒色腫皮膚癌、小腸癌、扁平上皮癌、頸部扁平上皮癌、テント上原始神経外胚葉腫瘍、睾丸癌、咽喉癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、移行上皮癌、絨毛性腫瘍、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ならびにウィルムス腫瘍を処置することにおいて有用である。
【0082】
[0096]特に、癌は、B−RAF遺伝子中の突然変異に関連するものであってもよい。いくつかの実施態様において、癌は、RAF依存性癌であってもよい。これらの癌としては、これらに限定されないが、黒色腫、乳癌、結腸直腸癌、神経膠腫、肺癌、卵巣癌、肉腫、および甲状腺癌が挙げられる。
【0083】
[0097]特定の実施態様において、本明細書で提供される治療的組み合わせは、対象における中度から重度の癌の処置に効果的である。
【0084】
投与量
[0098]癌を処置するための薬剤の組み合わせの最適な用量は、各対象ごとに公知の方法を使用して経験的に決定でき、薬剤の活性;対象の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食事;投与の時間および経路;ならびに対象が受けている他の薬物療法などの様々な要因によって決まると予想される。最適な投与量は、慣例的な試験と当業界周知の手法を使用して確立してもよい。
【0085】
[0099]キャリアー材料と組み合わせて単回用剤形を生産できる、薬剤の組み合わせの量は、処置された個体と特定の投与様式に応じて様々であると予想される。いくつかの実施態様において、本明細書で説明されるような薬剤の組み合わせを含有する1回量剤形は、それら薬剤が単独で投与される場合に典型的に投与される組み合わせの各薬剤の量を含有すると予想される。
【0086】
[00100]当業界において通常の技術を有する医師または獣医師であれば、必要な医薬組成物の有効量を容易に決定し処方できる。例えば、医師または獣医師は、医薬組成物で採用される本発明の化合物の用量を、望ましい治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルから開始して、望ましい作用が達成されるまで徐々に投与量を増加させることができる。
【0087】
[00101]一般的に、本発明の化合物の好適な1日用量は、治療効果をもたらすのに有効な最低限の用量である化合物量と予想される。このような有効量は、一般的に、上記で説明した要因によって決まると予想され、当業者によって容易に決定される。
【0088】
[00102]一般的に、患者ごとの本発明の化合物の治療有効量は、提示された鎮痛作用で使用する場合、約0.0001〜約1000mg/キログラム体重/日、より好ましくは約0.01〜約50mg/kg/日の範囲と予想される。
【0089】
[00103]必要に応じて、活性化合物の有効な1日用量は、一日のうち適切なインターバルで、別々に投与される2回、3回、4回、5回、6回またはそれよりも多くの分割用量として、場合により1回量剤形で投与してもよい。
【0090】
医薬製剤および投与経路
[00104]例えば黒色腫などの癌を処置するための薬剤の組み合わせを含む医薬製剤が、本明細書で提供される。加えて医薬製剤は、キャリアーもしくは添加剤、安定剤、矯味矯臭剤、および/または着色剤を含んでいてもよい。
【0091】
[00105]薬剤の組み合わせを含む医薬製剤が本明細書で提供され、このような組み合わせは、例えば、2タイプの薬剤、すなわち(1)RAF阻害剤、ならびに/またはRAF阻害剤の薬理学的に活性な代謝産物、塩、溶媒和物、およびラセミ化合物と、(2)MEK阻害剤、ならびに/またはMEK阻害剤の薬理学的に活性な代謝産物、塩、溶媒和物、およびラセミ化合物との組み合わせであってもよい。
【0092】
[00106]薬剤の組み合わせは、当業者公知の様々な投与経路を使用して投与してもよい。薬剤の組み合わせは、要求に応じて従来の非毒性の薬学的に許容されるキャリアー、アジュバント、および媒体を含有する投与単位製剤で、ヒトおよび他の動物に、経口的に、非経口的に、舌下に、エアロゾル化または吸入噴霧によって、直腸に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、口腔粘膜に、または局所的に投与してもよい。また局所投与は、例えば経皮パッチまたはイオン泳動装置などの経皮投与の使用を伴っていてもよい。非経口という用語は、本明細書で使用される場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、または注入技術を包含する。
【0093】
[00107]調合方法は当業界周知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Company)、ペンシルバニア州イーストン、第19版(1995)で開示されている。本発明で使用するのに適した医薬組成物は、滅菌した非発熱性の液体溶液または懸濁液、コーティングされたカプセル、坐剤、凍結乾燥粉末、経皮パッチの形態、または当業界公知の他の形態であってもよい。
【0094】
[00108]注射製剤、例えば、滅菌された注射用の水性または油性懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用する公知技術に従って配合してもよい。また滅菌注射製剤、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の、例えば、溶液として1,3−プロパンジオールまたは1,3−ブタンジオール中の、滅菌された注射用溶液、懸濁液またはエマルジョンであってもよい。採用される可能性がある許容できる媒体および溶媒のなかでも特に、水、リンゲル液、米国薬局方グレードの等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。加えて滅菌不揮発性油も、溶媒または懸濁媒として慣習的に採用される。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドなどのあらゆる刺激の少ない不揮発性油が採用される可能性がある。加えて、例えばオレイン酸などの脂肪酸が、注射用製剤の調製で使用できることが見出されている。注射製剤は、例えば、細菌保持フィルター(bacterial-retaining filter)でろ過することによって滅菌してもよいし、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を取り入れることによって滅菌してもよい。
【0095】
[00109]薬物の作用を延長させるために、皮下または筋肉内注射による薬物の吸収を遅らせることが望ましい場合がある。これは、水溶性が低い結晶質または無定形材料の液体懸濁液を使用することによって達成してもよい。このような場合、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、同様に結晶サイズおよび結晶性形状にも依存する。あるいは、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性基剤に溶解または懸濁させることによって達成してもよい。注射用デポ製剤の形態は、例えばポリラクチド、ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物をマイクロカプセル化したマトリックスを形成することによって製造される。薬物とポリマーとの比率、および採用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度を制御できる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。また注射用デポ製剤は、体内組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を閉じ込めることによっても調製できる。
【0096】
[00110]直腸または膣内投与用の組成物は、好ましくは坐剤であり、これは、本発明の化合物と、周囲温度では固体であるが体温では液体であるため、直腸または膣腔内で溶融して活性化合物を放出する、カカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスなどの好適な刺激のない添加剤またはキャリアーとを混合することによって調製できる。
【0097】
[00111]経口投与用固体剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、および顆粒を包含する。このような固体剤形において、活性化合物は、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/またはa)充填剤もしくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸など、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなど、c)潤滑剤、例えばグリセロールなど、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、所定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなど、e)溶解遅延剤、例えばパラフィンなど、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物など、g)湿潤剤、例えばアセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土など、ならびにi)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなど、ならびにそれらの混合物などの少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される添加剤またはキャリアーと混合される。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形はさらに緩衝剤を含んでいてもよい。
【0098】
[00112]また類似のタイプの固体組成物を、ラクトースまたは乳糖のような添加剤に加えて高分子量ポリエチレングリコールなどを使用したソフトおよびハード充填ゼラチンカプセル中に充填剤として用いてもよい。
【0099】
[00113]錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒の固体剤形は、例えば腸溶コーティングなどのコーティングおよびシェル、および医薬の製剤化分野で周知の他のコーティングを用いて調製できる。このような剤形は、場合により不透明化剤を含有していてもよく、さらに、腸管の所定の部分だけに、またはそのような部分に優先的に活性成分(複数可)を、場合により遅延放出式で放出する組成物の形態であってもよい。使用可能な包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。
【0100】
[00114]また活性化合物は、上述したような1またはそれより多くの添加剤と共にマイクロカプセルに封入した形態であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒の固体剤形は、例えば腸溶コーティング、放出制御コーティングなどのコーティングおよびシェル、ならびに医薬の製剤化分野で周知の他のコーティングを用いて調製できる。このような固体剤形において、活性化合物は、例えばスクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合されていてもよい。またこのような剤形は、通常の実施と同様に、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤および他の錠剤形成を補助する物質、例えばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどを含んでいてもよい。カプセル、錠剤、および丸剤の場合、剤形はさらに、緩衝剤を含んでいてもよい。このような剤形は、場合により不透明化剤を含有していてもよく、さらに、腸管の所定の部分だけに、またはそのような部分に優先的に活性成分(複数可)を、場合により遅延放出式で放出する組成物の形態であってもよい。使用可能な包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。
【0101】
[00115]経口投与用液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを包含する。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒などの当業界において一般的に使用されている不活性希釈剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、EtOAc、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタン脂肪酸エステルなどの可溶化剤および乳化剤、ならびにそれらの混合物を含有していてもよい。不活性希釈剤の他にも、経口用組成物はさらに、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香料、ならびに着香料などのアジュバントを包含していてもよい。
【0102】
[00116]本発明の化合物の局所または経皮投与用剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧、吸入剤またはパッチを包含する。活性成分は、必要に応じて医薬的に許容されるキャリアーおよび必要なあらゆる保存剤または緩衝液と共に滅菌条件下で混合される。眼用製剤、点耳剤なども、本発明の範囲内であると考えられる。
【0103】
[00117]軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、例えば動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、ならびに酸化亜鉛、またはそれらの混合物などの添加剤を含有していてもよい。
【0104】
[00118]また本発明の組成物は、液体エアロゾルまたは吸入用乾燥粉末として送達用に配合することもできる。液体エアロゾル製剤を霧状にして、主として終末細気管支および呼吸細気管支に送達され得る粒度にしてもよい。
【0105】
[00119]好ましくは主として1〜5μmの平均質量中央径を有するエアロゾル粒子が形成されるように選択された、例えばジェット、振動多孔板(vibrating porous plate)または超音波ネブライザーなどのエアロゾルを形成する装置を使用して、本発明のエアロゾル化された製剤を送達してもよい。さらに、製剤は、好ましくは、釣り合った浸透圧モル濃度、イオン強度、および塩化物濃度を有し、さらに、感染部位に本発明の化合物の有効量を送達できる最小のエアロゾル化可能な体積を有する。加えて、エアロゾル化された製剤は、気道の機能性を減じて、望ましくない副作用を引き起こさないことが好ましい。
【0106】
[00120]本発明のエアロゾル製剤の投与に好適なエアロゾル化装置としては、例えば、本発明の製剤を霧状にして、主として1〜5μmのサイズ範囲のエアロゾル粒度にすることができるジェット、振動多孔板、超音波ネブライザー、および電気で稼働する乾燥粉末吸入器などが挙げられる。主としてとは、本出願において、生成した全てのエアロゾル粒子の少なくとも70%、ただし好ましくは90%より多くが1〜5μmの範囲内であることを意味する。ジェット式ネブライザーは、空気圧により、液体溶液をエアロゾルの液滴に分断するように作用する。振動多孔板型ネブライザーは、急速に振動する多孔板によって生産された超音波真空(sonic vacuum)を使用して溶媒液体粒子を多孔板から押し出すことによって作用する。超音波ネブライザーは、液体を小さいエアロゾル液滴に剪断する圧電性結晶によって作用する。様々な好適な装置が利用可能であり、このような装置としては、例えば、エアロネブ(AERONEB)およびエアロドーズ(AERODOSE)振動多孔板型ネブライザー(エアロジェン社(AeroGen,Inc.)、カリフォルニア州サニーベール)、サイドストリーム(SIDESTREAM)ネブライザー(メディック・エイド社(Medic Aid Ltd.)、イングランドウェストサセックス州)、PARI LCおよびPARI LC STARジェット式ネブライザー(パリ・レスピレイトリー・イクイップメント社(Pari Respiratory Equipment,Inc.)、バージニア州リッチモンド)、およびエアロソニック(AEROSONIC)(デビルビス・メディツィンシェ・プロドゥクテ(ドイツ)社(DeVilbiss Medizinische Produkte(Deutschland)GmbH)、ハイデン、ドイツ)、およびウルトラエア(ULTRAAIRE)(オムロン・ヘルスケア社(Omron Healthcare,Inc.)、イリノイ州ヴァーノンヒルズ)超音波ネブライザーが挙げられる。
【0107】
[00121]また局所用パウダーおよびスプレーとして使用するために本発明の化合物を配合してもよく、このような局所用パウダーおよびスプレーは、本発明の化合物に加えて、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの添加剤を含有していてもよい。それに加えて、スプレーは、例えばクロロフルオロ炭化水素などの通常使用される噴射剤を含有していてもよい。
【0108】
[00122]経皮パッチは、体への化合物の制御送達を提供するという追加の利点がある。このような剤形は、化合物を適した媒体に溶解させること、または分配することによって作製できる。また、皮膚上での化合物の流動を高めるために吸収促進剤を使用してもよい。速度は、速度制御膜を設けること、または高分子マトリックスまたはゲル中に化合物を分散させることのいずれかによって制御できる。本発明の化合物は、リポソームの形態でも投与できる。当業界で公知のように、リポソームは、一般的に、リン脂質または他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性媒体中で分散される単層または多重層の含水液晶によって形成される。リポソームの形成が可能なあらゆる非毒性の生理学的に許容できる代謝可能な脂質を使用できる。リポソーム形態の本発明の組成物は、発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、添加剤などを含有していてもよい。好ましい脂質は、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)であり、これは天然でも合成でもよい。リポソームを形成する方法は、当業界公知である。例えば、Prescott(編)、「Methods in Cell Biology」、第XIV巻、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1976、33頁(以下参照)を参照されたい。
【実施例】
【0109】
[00124]実施例1:インビトロでのCRAF耐性突然変異の同定および特徴付け
[00125]RAF阻害剤に対する耐性を付与する体細胞のRAF突然変異を同定するために、XL1−Red細菌系と、C−RAFのcDNAを発現するレトロウイルスベクターとを使用して飽和ランダム変異誘発スクリーニングを行った(Emeryら、上記文献、2009、Wagleら、上記文献、2011)。得られたランダムに変異誘発されたCRAF突然変異の飽和cDNAライブラリーを、BRAFV600E突然変異を含む、RAF阻害剤に高い反応性を有するA375黒色腫細胞で発現させた(Liら、2007;Tsaiら、2008、Emeryら、上記文献、2009)。これらの細胞をPLX4720の十分な阻害濃度(1.5μM)の存在下で4週間培養し、出現した耐性クローンをプールし、大規模並列配列決定によって特徴付けた(Emeryら、上記文献、2009、Wagleら、上記文献、2011).試験した全てのC−RAF突然変異(図1A)は、A375細胞中での安定した発現が可能であった(図9A)。さらに、p−MEKおよびp−ERKのレベルから証明されたように、10種の最も顕著なC−RAF突然変異のうち8種が、A375細胞において、RAF阻害剤PLX4720に対する生化学的な耐性を付与した(図9B)。これらの対立遺伝子のうち1つ(CRAFG361A)が、高いPLX4720濃度において実質的なp−MEKの「逆説的な」活性化を付与した(図9B)。
【0110】
[00126]スクリーニングによって達成されたCRAF突然変異をCRAFキナーゼドメインの結晶構造(340〜618)上にマッピングした(Hatzivassiliouら、2010)(PDBコード:30MV)(図1B)。それまでにCRAFの全長構造がまだ解明されていなかったため、これらの突然変異のうち3つはマッピングしなかった。CRAF耐性対立遺伝子を、2つの別個の領域、すなわち調節領域の外側またはその内側(N末端)と、キナーゼドメイン(C末端)とにクラスター化した(図1C)。CRAFは、2つの14−3−3コンセンサス結合部位と、CR2中の14−3−3コンセンサス結合部位のうち一方に含まれる2つの耐性対立遺伝子S257PおよびP261Tとからなるが、E104K対立遺伝子はCR1領域中にある(図1B)。
【0111】
[00127]耐性対立遺伝子の第二の種類は、グリシンリッチループを包含するキナーゼドメインを包含する。例えばG356EおよびG361Aなどの突然変異が、ATP結合Pループ、GxGxxGモチーフのグリシン残基中に見出されている。Pループ突然変異は、Mekを活性化することによる細胞形質転換能力を有するBRAFを包含する数種のプロテインキナーゼ(Christopherら、2007)中に見出されている(Wanら、Cell 116:855〜867、2004;Garnettら、上記文献、2005)。突然変異の他の部分集合(S427T、D447N、M469I、E478K、およびR554K)は、活性化セグメントの外側に形成されている(図1B)。
【0112】
[00128]実施例2:C−RAF耐性突然変異体の機能的な特徴付け
[00129]同定されたC−RAF耐性対立遺伝子の機能上の結果を研究するために、代表的な突然変異(図1A)をA375黒色腫細胞に導入してそこで発現させた。A375細胞およびWT−C−RAF発現細胞において、生化学的分析の後に、Raf阻害剤PLX4720で処置したところ、2μMの濃度でMekリン酸化(pMek)とErkリン酸化(pErk)とが弱化した(図2A)。しかしながら、耐性対立遺伝子が、同じ(図2A)濃度でpMekおよびpErkを維持したことが示された。また、耐性対立遺伝子は、14−3−3結合領域(S257PおよびP261T)にクラスター化され、ATP結合領域に含まれるもの、特にG361Aが、PLX4720に対する強い薬理学的な耐性を付与した。これらの突然変異体は、PLX4720のGI50値を、WT(0.4μM)と比較した場合、約100倍(S257PおよびP261T)および30倍(G361A)に増加させた(図2C)。さらに、C−Rafの安定性は、S259およびS621のリン酸化(図1C)と相関しており、それに続く14−3−3結合およびC−RAFの活性化は、S338およびS621残基のリン酸化と相関していた(図1C)(Wellbrockら、上記文献、2004)。PLX4720は、S338のリン酸化を誘導し、さらに、特にS257P、P261T、およびG361A耐性突然変異体において、S621の適度な増加を誘導し、これは、これらの変異体におけるpMekの逆説的な活性化と一致する(図2B)。このMEK/ERKシグナル伝達のC−RAF活性化は、薬理学的なMEK阻害によって抑制された(図2G)。WT発現細胞は、S338では適度な増加を示したが、S621では示さなかった。それとは逆に、基本条件下でS259部位がリン酸化され、WT−C−RAFの異所発現がPLX4720非存在下での作用を悪化させた(図2B)。しかしながら、PLX4720は耐性突然変異体においてS259のリン酸化も誘導したが、それと比較してこれらの突然変異体はより低いS259リン酸化レベル示し(図2B)、ただしこの作用はAZD6244の存在下で弱くなり、pErkレベルを減少させた(図2E)。C−RAFはリン酸化によって高度に調節および活性化されるため、これらのデータは、絶えず稼働して、MAPKシグナル伝達のアウトプットに対するロバスト性とストリンジェンシーを維持するフィードバック活性化と阻害ループが存在することを示唆している。従って、C−RAF耐性対立遺伝子の活性は、活性化状態にする部位(S338、S621)と阻害状態にする部位(S259)とによって達成されるリン酸化の量のバランスによって調節される可能性がある。唯一の対立遺伝子(G361A)が、MEK阻害に対する薬理学的な耐性の証拠をもたらした(図2Fおよび2G)。
【0113】
[00130]実施例3:C−RAF耐性突然変異体は、B−RAFと高い関連を示す
[00131]上記の累積データは、14−3−3コンセンサス結合部位(S257PおよびP261T)とATP結合領域(G361A)とを含む耐性対立遺伝子(図1C)は、リン酸化されたMEKおよびERKの阻害の低下により耐性を付与したことを示す。また、S259/S621Aの二重突然変異体は、RASまたはMEKとの相互作用に影響を与えることなくC−RAFと14−3−3との相互作用を完全になくすことも示されている(Tzivionら、Nature 394:88〜92、1998)。基礎となるメカニズムを調査するために、本発明者らは、最初のスクリーニングで同定された全ての耐性対立遺伝子を異所発現する293/T細胞から、C−RAFを免疫沈降させた。14−3−3との相互作用を低下させてB−RAFとの相互作用を増加させる突然変異は、WTと比較した場合、より高いMEKおよびERKリン酸化状態を維持し(図3A)、インビトロでC−RAFキナーゼ活性も増加させた(データ示さず)。これらの結果は、C−RAF対立遺伝子を発現するA375細胞において14−3−3とB−RAFとが相互作用状態であることの裏付けとなった(図3B)。従って、これらの耐性突然変異体は、例えばRasなどの発癌ドライバーの非存在下でもその基質に対してより高い活性を有する(Weberら、2001)。
【0114】
[00132]実施例4:(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートを使用したC−RAF耐性対立遺伝子の生化学的な特徴付け
[00133]PLX4720の耐性突然変異体への非効率的な結合の可能性を排除するために、A375細胞およびWT−C−RAF発現細胞における(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメート(ノバルティス(Novartis))に対する突然変異体C−RAF応答(図3C)を試験した。C−RAF耐性対立遺伝子(S257P、P261T)は、(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートのGI50値をそれぞれ約10,000および約30,000倍に増加させ、G361Aによる増加は20倍であった(図3C)。図2CおよびEで観察されるように、PLX4720およびAZD6244に対する応答は同じままであった(図3BおよびD)。さらに、生化学的に、C−RAF耐性突然変異体は、1μMの濃度でさえも、(S)−メチル1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバメートに対する耐性を付与した(図3A)。
【0115】
[00134]実施例5:C−RAF耐性突然変異体はベムラフェニブ(PLX4032)に対する耐性を付与する
[00135]ベムラフェニブは、BRAFV600E突然変異に高い反応性を有するが、腫瘍形成性Rasを発現する細胞においてMekおよびErkの逆説的な活性化を引き起こす(Hatzivassiliouら、2010;Heidornら、2010;Poulikakosら、2010)。C−RAF耐性対立遺伝子を試験して、C−RAF耐性対立遺伝子が腫瘍形成性B−RAFの存在下でベムラフェニブに対して類似の応答を示すかどうかを決定した。WT−C−RAFを発現するA375細胞(0.4μM)(図5A)は、PLX4720で処置したWT−C−RAF細胞のGI50値に匹敵するGI50値を示した(図2C)。G361Aによって付与された耐性はWTよりも50倍高かったが、それに対して、驚くべきことに、S257PおよびP261Tは、ベムラフェニブに対する耐性の増加を示した。これらの突然変異体は腫瘍形成性Rasの非存在下でも耐性を付与するために、Raf阻害剤に対する耐性が活性の増加に起因するのかどうかをさらに決定した。全C−RAFをベムラフェニブの存在および非存在下で、C−RAF変異体を発現するA375細胞の抽出物から免疫沈降させた。薬理学的な阻害下で高い耐性を示す突然変異(S257PおよびP261T)(図5A)は、インビトロでWTと比較してキナーゼ活性が増加した(図5B);しかしながら、G361A耐性突然変異体は、薬物存在下でよりいっそう高いキナーゼ活性を示した(図5B)。さらに、C−RAF耐性対立遺伝子は、PLX4720およびAZD6244でのコンビナトリアル処置に対する感受性を保ったことが示される(図5C、D、およびE)。
【0116】
[00136]まとめると、これらのデータは、耐性を付与する細胞にとって、ちょうど最適な量のErkシグナル伝達が必要であるという概念と一致する。
【0117】
[00137]実施例6:C−RAF耐性対立遺伝子は、逆説的なC−RAF活性化を可能にし、二量体化を強化する
[00138]RAF阻害剤により誘導された逆説的なMEK/ERK活性化は、RAFタンパク質の二量体化を伴う(Hatzivassiliouら、2010;Poulikakosら、2010)。さらに、強化された二量体化を示すBRAFV600Eのトランケーションされた形態は、RAF阻害剤に対する耐性を付与する(Poulikakosら、2011)。C−RAF耐性突然変異が、二量体化の増加により耐性を仲介するのかどうかを決定するために、数種の代表的なC−RAF耐性対立遺伝子が2つの別個のエピトープ(His/V5またはFlag)で差異的にタグ付けされた発現コンストラクトを使用して、293/T細胞でコトランスフェクションを行った。Ni2+ビーズを使用して免疫沈降反応を実行し(Hisタグが付けられたタンパク質を捕獲するため)、それに続いて抗Flag抗体を使用して免疫ブロッティングを実行した。これらの実験において、薬理学的なRAF阻害剤に対する耐性を付与する全てのC−RAF突然変異も、野生型C−RAF(S257P、P261T、G361A、およびE478K;)と比較してホモ二量体化の増加を示した。予想通りに、二量体化の増加は、一般的に、p−MEKレベルの増加と相関していた(図6A、投入溶解産物)。His/V5タグが付けられたC−RAF突然変異体をFlagタグが付けられた野生型C−RAFでコトランスフェクトした場合も類似の結果が観察されたが(図10A)、MEK/ERK活性化の規模は質的に低減したようであった(図10A、投入溶解産物)。また、PLX4720およびベムラフェニブに対する最も強い薬理学的な耐性を付与した3種のC−RAF突然変異体(S257P、P261T、およびG361A)(図2Cおよび2F)も、全てのタンパク質の蓄積が増加したという証拠を示した(図6A、投入溶解産物)。したがって、C−RAF突然変異に関連する耐性の表現型は、RAFの二量体化と強く相関していた。
【0118】
[00139]293T細胞(腫瘍形成性BRAF突然変異がない)において、耐性突然変異の存在によって引き起こされたC−RAF二量体化の増加は維持されたが、トランスフェクトされた細胞をRAF阻害剤(ベムラフェニブ;図6B)に曝露したところそれ以上強化されなかった。しかしながら、C−RAF活性化(S338リン酸化によって証明された)および下流のMEK/ERKシグナル伝達の両方が確実にRAF阻害剤により誘導された(図6B、投入溶解産物)。これらの耐性突然変異の内因性C−RAFキナーゼ活性に対する作用を決定するために、RAF阻害剤の存在または非存在下で培養した293T細胞でインビトロでのキナーゼ反応を行った。薬物の非存在下では、定常状態のC−RAFキナーゼ活性(p−MEK)は、ほとんどの場合、耐性突然変異によっても測定可能な程度まで増加しなかった(図6C)。CRAFG361Aはこれに対する例外の1つであった;ここで、それに相当する全細胞溶解産物中のロバストな内因性p−MEKレベルと相関する適度な定常状態のキナーゼ活性を検出した(図6C)。それに対して、インビトロでのキナーゼアッセイ前の293T細胞の2μMのベムラフェニブでの処置により、試験した全ての耐性対立遺伝子においてC−RAFキナーゼ活性の著しいアップレギュレーションが起こった(図6C)。BRAFV600E黒色腫細胞(A375)での類似の実験によって、試験されたなかでも最も有力な3種のC−RAF耐性突然変異体(S257P、P261T、およびG361A;図6D)における内因性キナーゼ活性の増加が明らかになった。293T細胞で観察されたように、これらの細胞をベムラフェニブに曝露したところ(図6D)、このキナーゼ活性はさらに増大した。まとめると、これらの結果から、有力なC−RAF耐性突然変異体は、RAFの二量体化とRAF阻害剤が介在するC−RAFキナーゼ活性の両方を強化したことが示唆される。
【0119】
[00140]実施例7:C−RAF耐性突然変異体は14−3−3結合の低減とB−RAFヘテロ二量体化の増加を示す
[00141]上記の累積データから、その14−3−3コンセンサス結合部位(S257PおよびP261T)とPループのATP結合領域(G361A)を含むC−RAF突然変異は、RAF阻害剤で処置した際に、RAF阻害に対する薬理学的および生化学的な耐性を付与し、RAF二量体化を強化し、C−RAFキナーゼ活性化を増加させたことが示唆された。RAF二量体化に関する14−3−3タンパク質結合の役割を調査するために、C−RAF耐性対立遺伝子を異所発現するように加工された細胞で免疫沈降実験を行った。14−3−3結合およびB−RAFヘテロ二量体化に対する薬理学的なRAF阻害の作用を試験するために、これらの実験をRAF阻害(この場合はベムラフェニブ)の非存在下および存在下の両方で行った。RAF阻害剤の非存在下で、C−RAF耐性対立遺伝子S257P、P261T、およびG361Aは、293T細胞(図7A)、特にA375(BRAFV600E)黒色腫細胞(図7B)の両方において、14−3−3ζとの相互作用の低減、B−RAFとの相互作用の増加を示す傾向があった。293T細胞において、C−RAF突然変異によって起こるC−RAF/B−RAFのヘテロ二量体化の強化は、C−RAFタンパク質の安定化およびロバストなMEK/ERKリン酸化と相関していた(図7A)。一方で、BRAFV600E黒色腫細胞で観察されたロバストなMEK/ERK活性化は、ほんのわずかしかC−RAF耐性突然変異体によって強化されなかった(図7B);これらの細胞における構成的な腫瘍形成性B−RAFシグナル伝達を考慮すれば、この結果は予想通りであった。興味深いことに、C−RAF突然変異体のうち1つ(G356E)が両方の細胞環境で極めて低い14−3−3ζ結合を示した(図7Aおよび7B);しかしながら、C−RAFG356Eは、B−RAFヘテロ二量体化の強化を示さず、さらに定常状態条件下でのMEK/ERKシグナル伝達の増加も示さなかった。これらの結果は、14−3−3結合の低減は、突然変異体C−RAF二量体化の強化を促進する可能性があるが、最大限のRAF依存性シグナル伝達を促進するには、ある程度の14−3−3結合(おそらくC末端ドメイン内)が必要であるということを示唆する。
【0120】
[00142]予想通りに、RAF阻害剤のベムラフェニブは、野生型C−RAFを異所発現する293/T細胞においてB−RAF/C−RAFヘテロ二量体化を誘導したが(図7A)、A375黒色腫細胞ではこのヘテロ二量体化を阻害した(図7B)。それに対して、ほとんどのロバストなC−RAF耐性突然変異体の異所発現は、A375細胞において、薬物の存在下でさえも持続的なB−RAFヘテロ二量体化を可能にした(図7B)。これらの結果は、BRAFV600Eが、耐性関連C−RAF変異体を有するヘテロ二量体化に好都合な優勢なコンフォメーションであると予想されることを示唆する。薬理学的なRAF阻害の14−3−3/C−RAF相互作用に対する作用は、細胞の遺伝学的な状況に応じて変化した。A375細胞(BRAFV600E)において、ベムラフェニブは、野生型C−RAFへの14−3−3ζ結合をやや低下させたが、C−RAFS257P、C−RAFP261T、およびC−RAFG361A突然変異体の場合では作用はなかった(図7B)。一方で、ベムラフェニブは、293/T細胞において、これらの14−3−3/C−RAF相互作用を強化した(図7A)。これらの発見は、BRAFV600Eの場合において、これらのC−RAF突然変異体によって付与された耐性の表現型は、RAF二量体化の強化を含み、この強化が、14−3−3/C−RAFの相互作用の減少と相関するという論理をさらに裏付けるものとして役立つ。
【0121】
[00143]実施例8:C−RAF耐性突然変異体によるMEK/ERKシグナル伝達の強化は二量体化を必要とする
[00144]C−RAF耐性突然変異体によって付与されたMEK/ERKシグナル伝達の強化にC−RAF二量体化は必要かどうかを試験するために、残基R401にアルギニン−ヒスチジン突然変異を導入した(C−RAFR401H)(図10B)。この突然変異体は、これまでにC−RAFホモ二量体化を崩壊させることが示されている(Hatzivassiliouら、Nature 464:431〜435,2010;Poulikakosら、Nature 464:427〜430、2010)。R401H二量体化が不十分な突然変異をそれぞれのC−RAF耐性対立遺伝子に導入した。予想通りに、C−RAF二重突然変異体の大部分がMEK/ERKシグナル伝達を強化することができなくなった(図8A)。次に、差異的にエピトープタグが付けられたC−RAF耐性/R401H二重突然変異体を使用してコトランスフェクションを行った。前述したように、C−RAF耐性対立遺伝子は、RAF阻害剤の影響を受けずにC−RAFホモ二量体化を増大した(図8B)。それに対して、R401H対立遺伝子の導入は、C−RAFホモ二量体化を抑制し、試験されたほとんどのC−RAF突然変異体の条件においてMEK/ERKシグナル伝達を阻害した。この例外は、C−RAFG361A対立遺伝子であり、これは、二量体化が不十分な二重突然変異体を共に発現したとしても、ベムラフェニブ曝露によりさらに誘導された、(著しく低いとしても)構成的なMEK/ERK活性化を示した。上記のインビトロのキナーゼ活性の結果と合わせると、これらのデータは、C−RAFG361A/R401H対立遺伝子は、高い内因性キナーゼ活性を含有し得ることを示唆する。全体として、これらの結果は、C−RAF耐性突然変異体によって付与されたMEK/ERKシグナル伝達の強化は、RAF二量体化を必要とするということの直接的な証拠を示すものである。これらの結果はさらに、RAF二量体化の境界を崩壊させる将来的なアロステリックRAF阻害剤の開発の論理的説明を示す可能性がある。
【0122】
方法
細胞培養
[00145]293/T細胞、A375細胞(ATCC)、およびフェニックス(Phoenix)細胞(アレル・バイオテク(Allele Biotech))を、5%COを含有する加湿雰囲気中で、10%ウシ胎児血清が補充されたダルベッコ改変イーグル培地中で37℃で培養し、維持した。
【0123】
C−RAFランダム変異誘発スクリーニング
[00146]C−RAFのcDNAを、組み換えクローニング(インビトロジェン(Invitrogen))によりpWZL−Blastベクター(J. BoehmおよびW. C. Hahnからの進呈)にクローニングした。c−rafのcDNAに、クイックチェンジII(QuickChange II)部位特異的変異誘発(ストラタジーン(Stratagene))を使用して特定の突然変異を導入した。確立されたプロトコールに基づいてランダム変異誘発を行った(Emeryら、上記文献、2009)。変異誘発されたC−RAFプラスミドを使用して、A375黒色腫細胞に感染させた。ブラストサイジンで選択した後、細胞を15cmの培養皿で平板培養し、RAF阻害剤、PLX4720(1.5μM)の存在下で、耐性クローンが出現するまで4週間培養した。
【0124】
c−RAFのDNAの配列決定
[00147]ランダム変異誘発スクリーニングにより出現したPLX4720耐性細胞をプールし、ゲノムDNAを調製した(キアゲン(Qiagen)DNeasy)。5’および3’末端にあるフランキングベクター配列に特異的なプライマーを使用して、ゲノムDNAからC−RAFのcDNAを増幅し、確立されたプロトコールを使用したサンガー法によって配列決定した。
【0125】
大規模並行配列決定の分析
[00148]大規模並行配列決定のレーン(イルミナ(Illumina);1レーンあたり36塩基対配列で、2〜300万レーン)からの生データを「次世代の」配列決定分析パイプラインを使用して分析した(Emeryら、PNAS、2009)。ヌクレオチド配列、1塩基あたりの品質尺度、検出された変異体、およびcDNA参照配列に対するアライメント(ELANDアルゴリズムを用いたアライメントによって決定した通り)を示すデータファイルからのアウトプットを各ランごとに統合して加工した。全ての塩基について有効範囲(すなわち、参照cDNAの各塩基を包含するフラグメントの数)を決定し、参照配列上に、変異体対立遺伝子を個々のDNAフラグメントからマッピングした。各非野生型対立遺伝子の変異頻度を決定し、対象となる位置と変異体対立遺伝子に関する全ての品質スコアの平均として平均変異スコア(AVS)を計算した。全てのコーディング突然変異を翻訳して、アミノ酸の変化(存在する場合)を決定し、高頻度(>0.5%)および高品質(AVS>7)突然変異のデータをCCGDの結果データベースにロードした。
【0126】
レトロウイルス感染
[00149]フージーン6(Fugene 6)(ロシュ)を使用して、フェニック細胞(70%の密集度)を、pWZLBlast−C−RAFまたはその突然変異体でトランスフェクトした。ウイルスを含有する上清を0.45μmのシリンジに通過させた。A375細胞に、ポリブレン(4μg/mL、シグマ(Sigma))と共にウイルスを16時間感染させた。感染から48時間後に選択的なマーカーのブラストサイジン(3μg/mL)を導入した。
【0127】
ウェスタンブロット分析
[00150]サンプルをPBSで2回洗浄した後に抽出し、1%NP−40の存在下で、150mMのNaCl、50mMのトリス、pH7.5、1mMのEDTA、PMSF、フッ化ナトリウム、オルトバナジウム酸ナトリウム、およびプロテアーゼ阻害剤カクテルで溶解させた。タンパク質アッセイ試薬(バイオ・ラッド(Bio-Rad))を製造元の説明書に従って用いてタンパク質含量を推測した。等量の全細胞溶解産物を8〜16%SDS−PAGE既製ゲルにローディングして分離した。トランス−ブロット(Trans-Blot)器具でポリビニリデンジフルオリドメンブレンにタンパク質を移した。0.1%トゥイーン20含有TBS中の5%スキムミルクでメンブレンを室温で1時間または4℃で一晩ブロックした。次いで、対象のタンパク質に対して発生させたモノクローナルまたはポリクローナル抗体と共にメンブレンを室温で1時間または4℃で一晩インキュベートし、続いて0.1%トゥイーン20含有TBSで3回洗浄した。一次抗体C−RAF、S259C−RAF、S338C−RAF、S621C−RAF、pERK、ERK、pMEK、MEK、14−3−3ζFlag(セル・シグナリング(Cell Signaling))、B−RAF(サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology))、およびアクチン(シグマ)の免疫反応性を、ホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートした二次抗ウサギ(BDトランスダクション・ラボラトリーズ(BD Transduction Laboratories))または抗マウス(サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー)抗体で可視化し、続いてECLプラス(ECL Plus)(アマシャム・バイオサイエンス(Amersham Biosciences))で展開し、X−OMAR TARフィルムでオートラジオグラフィを行った。バンドをスキャンし、クオンティティー・ワン(Quantity One)ソフトウェアを使用してゲル・ドック(Gel Doc)システムにより定量した。
【0128】
免疫沈降
[00151]C−RAF抗体(BDバイオサイエンス(BD Biosciences))での免疫沈降のために、タンパク質G−セファローススラリー(サーモ・サイエンティフィック(Thermo Scientific))を1×PBSで洗浄し、C−RAF抗体(BDバイオサイエンス)または正常マウスIgG(対照)と共に4℃で1時間インキュベートした。溶解緩衝液で3回洗浄した後、ビーズを全細胞溶解産物(0.5mgの全タンパク質)と共に2時間インキュベートし、次いで溶解緩衝液で3回洗浄した。次いで1×SDS−サンプル緩衝液中で沸騰させることによりタンパク質を溶出させた。
【0129】
C−RAFキナーゼアッセイ
[00152]293T細胞(70%の密集度)を、C−RAF−WTおよびC−RAF変異体対立遺伝子を含有し、C末端にHisまたはV5タグを有するpc−DNA(6μg)でトランスフェクトした。トランスフェクションの1時間および48時間後に細胞をベムラフェニブ(アレル・バイオテク)で処置し、溶解産物を一般的なプロトコールで抽出した。コバルトビーズを使用した免疫沈降を夜中に4℃で1時間行った。タンパク質結合コバルトビーズを、20μLのATP/マグネシウム混合物(20mMのMops、pH7.2、25mMのβ−グリセロリン酸塩、5mMのEGTA、1mMのNa3VO4、1mMのDTT、75mMのMgCl2、および0.5mMATP)、20μLの希釈緩衝液(20mMのMops、pH7.2、25mMのグリセロールリン酸、5mMのEGTA、1mMのオルトバナジウム酸ナトリウム、1mMのDTT)、および1μgの不活性なMEK(ミリポア(Millipore)から入手)と共に30℃で30分インキュベートした。p−MEK抗体(セル・シグナリング・テクノロジー(Cell Signaling Technology))を使用した免疫染色によってリン酸化MEK生成物を検出し、濃度測定を使用して相対的なp−MEKシグナルを定量し、投入されたC−RAFの量に正規化し、参照としてC−RAF−WTと比較した。
【0130】
C−RAFキナーゼアッセイ(A375)
[00153]WTおよび突然変異体C−RAF対立遺伝子で感染させたA375細胞をPLX4032(アレル・バイオテク)の非存在および存在下で16時間培養した。1%NP−40の存在下で、150mMのNaCl、50mMのトリス、pH7.5、1mMのEDTA、PMSF、フッ化ナトリウム、オルトバナジウム酸ナトリウム、およびプロテアーゼ阻害剤カクテルを用いて溶解産物を調製した。C−RAF抗体での免疫沈降を一晩行い、結合したビーズを溶解緩衝液で3回、続いてキナーゼ緩衝液で(1回)洗浄した。20μlのATP/マグネシウム混合物(ミリポア)および0.5μgの不活性なMEK(ミリポア)と共にビーズを30℃で30分インキュベートした。リン酸化された基質MEKを免疫ブロッティングによって検出した。
【0131】
薬理学的な増殖阻害アッセイ
[00154]A375を包含する全ての黒色腫の短期培養のために、培養細胞を1ウェルあたり3,000細胞の密度で96−ウェルプレートに植え付けた。16時間後、化合物をDMSOで連続希釈し、これを細胞に移して、DMSOの最終体積が1%を超えないようにして、薬物の効力に基づく薬物濃度を達成した。B−RAF阻害剤PLX4720をシマンシス(Symansis)から購入し、PLX4032をアレル・バイオテクから購入し、AZD6244をセレック・ケミカルズ(Selleck Chemicals)から購入し、GSK1120212をアクティブ・バイオケム(Active Biochem)から購入した。薬物添加後、4日後に、セル−タイター−96(Cell-Titer-96)水性非放射性増殖アッセイ(プロメガ(Promega))を使用して細胞生存率を測定した。生存率は、バックグラウンドを差し引いた後の対照(未処置細胞)に対する百分率として計算された。各細胞株ごとに最低でも6つの複製を作製し、全実験を少なくとも3回繰り返した。S字状の用量反応との非線形回帰曲線の当てはめを使用して薬理学的な増殖−阻害アッセイからのデータをモデル化した。ウィンドウズ(登録商標)用グラフパッド・プリズム5(GraphPad Prism 5)(グラフパッド(GraphPad))を使用してこれらの曲線を表示した。50%ポイントの両端にあるデータポイントをつなぐラインの傾きを決定することによってGI50値を計算した。
【0132】
[00155]本明細書で示された定義および開示が、参照により組み入れられるその他全てのものを規定し、それらにとって代わるものとする。本明細書に記載された本発明をそれらの好ましい実施態様に関して説明したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の本質および範囲から逸脱することなく、具体的に説明されていない追加、改変、置き換え、および削除がなされてもよいことを理解するであろう。したがって、前述の詳細な説明は、限定的というのではなく例示的なものとみなされるものとし、さらに本発明の本質および範囲は、あらゆる等価体を含め以下に記載の特許請求の範囲によって定義されることが意図されていることが理解される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図10B
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]