(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベース体はガラス層及び磁性体を備え、前記プラスチックフィルムは、前記金属層と前記ガラス層との間に位置し、前記磁性体は、前記ガラス層における前記ベースから離れている表面に設置され、前記磁性体は、前記金属層と互いに吸引されることを特徴とする請求項2に記載の蒸着マスクの製造方法。
前記金属層における前記プラスチックフィルムから離れている表面を覆う静電気保護フィルムは、前記ベースの周縁を避け、前記フレームは、前記ベースの周縁を囲み、前記蒸着マスクは、前記ベースを支持するための少なくとも1つのブラケットを備え、前記ブラケットは、前記ベースに亘って前記フレームと接合して固定されることを特徴とする請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、蒸着マスクの機能を向上させる蒸着マスクの製造方法を提供することを目的とする。更に、有機発光材料の蒸着方法を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0005】
蒸着マスクの製造方法であって、
ベースを提供し、ベースは、プラスチックフィルムを備えるステップと、
ベースが静電気保護フィルムと接合されるステップと、
静電気保護フィルムと接合するベースをフレームに固定して、ベースを支持し、静電気保護フィルムは、ベースにおけるフレームから離れている表面及びフレームに隣接する表面中の少なくとも一つに設置されるステップと、
プラスチックフィルムをエッチングしてプラスチックフィルムを貫通する複数の開口部が形成されるステップと、
静電気保護フィルムを除去し、ベース及びフレームが接合されて蒸着マスクを形成するステップと、
を備えることを特徴とする蒸着マスクの製造方法。
【0006】
有機発光材料の蒸着方法であって、
蒸着マスクの製造方法によって製造された蒸着マスクを提供するステップと、
基板を提供し、基板は、蒸着マスクのベースの一つの表面に設置されるステップと、
蒸着源を提供し、蒸着源は、ベースにおける基板から離れている一側に位置するステップと、
蒸着源を加熱し、蒸着源は加熱された後、蒸着源中の蒸着材料は気化され、蒸着マスクの複数の開口部を貫通して基板に堆積して有機発光材料層が形成されるステップと、
を備えることを特徴とする有機発光材料の蒸着方法。
【0007】
有機発光材料の蒸着方法であって、
蒸着マスクの製造方法によって蒸着マスクを製造するステップと、
基板を提供し、基板は、蒸着マスクのベースの一つの表面に設置されるステップと、
蒸着源を提供し、蒸着源は、ベースにおける基板から離れている一側に位置するステップと、
蒸着源を加熱し、蒸着源は加熱された後、蒸着源中の蒸着材料は気化され、蒸着マスクの複数の開口部を貫通して基板に堆積して有機発光材料層が形成されるステップと、
を備えることを特徴とする有機発光材料の蒸着方法。
【発明の効果】
【0008】
従来の技術に比べて、本発明の蒸着マスクの製造過程中に、ベースの少なくとも一側に静電気保護フィルムが設置され、防水でき且つ傷がつかないだけでなく、エッチングによって開口部を形成する過程中に、良好にベースの移動を防止し、且つエッチング過程中の顆粒(フラグメンテーション)を除去することができるため、製造された表示パネルの効果を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図面に本発明の実施例を示しているが、本発明は複数の異なる方法によって実現できる。しかし、これらの記載に限定されるものではないことは言うまでもない。逆に、これらの実施例は、本発明をより全面に及び完全に公開させ、当業者が十分に本発明の範囲を理解できるために提供されたものである。はっきりとわかるように、図面において、層及びエリアのサイズを拡大した。
【0012】
第一、第二等、これらの用語は各種の素子、アセンブリ、エリア、層及び/或いは一部の説明に利用されるが、これらの素子、アセンブリ、エリア、層及び/或いは一部は、これらの用語に限定されない。これらの用語は、ただ素子、アセンブリ、エリア、層及び/或いは一部を、他の素子、アセンブリ、エリア、層及び/或いは部分と区別するために利用されるだけである。したがって、本発明の範囲を逸脱しないかぎり、以下に記載された第一部分、アセンブリ、エリア、層及び/或いは一部を、第二素子、アセンブリ、エリア、層及び/或いは一部と呼ぶことができる。
【0013】
ここで利用される専用名詞は、特定の実施例を説明するために用いられ、本発明を限定するものではない。上文、下文の記載において、その他の状況が明示されていることを除いて、ここで利用される単数形式の「一」、「一つ」及び「当該」という記載も複数形式を含む。明細書において、用語の「備える」、「有する」、「含む」が利用されている場合、前記特徴、全体、ステップ、操作、素子及び/或いは部材が存在することを指し、一つの或いは複数のその他の特徴、全体、ステップ、操作、素子及び/或いは部材の存在又は追加を排除しない。
【0014】
断面図を参照しながら本発明の実施例を説明する。これらの断面図は、本発明の理想化された実施例(及び中間構造)を示す図である。よって、製造プロセス及び/或いは公差によって図示された形状が異なることは言うまでもない。したがって、本発明の実施例は、図示されたエリアの特定形状に限定されず、例えば製造により生成された形状のばらつきも含まれる。図面で示されたエリア自体は模式的に示されたもので、これらの形状は、図示された装置の実際の形状に利用されず、本発明の範囲の限定にも利用されない。
【0015】
特別に定義しない限り、ここで使用される用語(技術用語及び科学用語を含む)の意味は、本発明が属する分野における当業者が通常理解できる意味と同じである。本明細書で明確に定義しない限り、例えば、一般の辞典で定義されているこれらの用語は、これらが関連する分野における環境中での意味と同じ意味であり、過度に理想化された或いは過度の正式な意味によって解釈してはならないことは言うまでもない。
【0016】
本発明に係る蒸着マスクは、プラスチック製の板状基材、板状基材を支持する金属層、及び板状基材を貫通する複数のくり抜き部を備える。前記複数のくり抜き部は、蒸着過程において、蒸着ノズルによって噴出された蒸着予定の材料がくり抜き部から蒸着予定の基板の指定位置上に噴出されるのに用いられる。本発明の蒸着マスクは、まずプラスチック材料を有するベースの少なくとも1つの外表面上に保護層が形成された後、レーザー彫刻によって保護層を有するプラスチック材料の基材に対してパターン化処理を行う。これにより、マスクのくり抜き部が形成され、最後に保護層を除去して必要な蒸着マスクが形成される。好ましくは、プラスチック材料のベースの対向する2つの表面には、それぞれ保護層が形成される。以下、本発明の蒸着マスクの製造方法の各実施方法について詳細に説明する。
【0017】
図1〜
図8は、本発明の蒸着マスクの製造方法の一つの実施方法における各プロセスのステップの構造を説明した図であり、前記蒸着マスクの製造方法は、以下のステップを備える。
【0018】
ステップ1:
図1及び
図2を併せて参照すると、ベース11を提供し、ベース11は、プラスチックフィルム111を備える。好ましくは、ベース11は、プラスチックフィルム111の一側に設置されて、プラスチックフィルム111を支持する機能を発揮する金属層112を更に備える。金属層112は、くり抜き部を有する金属薄板であり、金属層112の非くり抜き部側は、プラスチックフィルム111と隣接して、プラスチックフィルム111を支持する。本実施例において、金属層112は、金属層112の厚さ方向に沿って貫通したマトリクス状に配列された複数の第一くり抜き部101を有する金属板材であり、各第一くり抜き部101は、くり抜き部エリアAを有する。したがって、金属層112の非くり抜き部は、全ての第一くり抜き部101を囲んで金属層112の外辺のエッジ側に位置する第一部分、及び隣接する第一くり抜き部101間に位置する縦横配列された第二部分を備える。その他の実施例において、金属層112が一つの第一くり抜き部101を備えるため、金属層112の非くり抜き部は、当該第一くり抜き部101を囲んで金属層112の外辺のエッジ側に位置する第一部分を備えることができる。
【0019】
本実施例において、金属層112の第一部分の延伸サイズは、プラスチックフィルム111の延伸サイズと同じであるが、これに限定されない。その他の実施例において、金属層112の延伸サイズはプラスチックフィルム111よりも小さい、或いは、プラスチックフィルム111よりも大きくてもよい。複数の第一くり抜き部101は矩形であるが、これに限定されない。第一くり抜き部101の形状は限定されず、円形、ひし形など他の形状でもよい。
【0020】
プラスチックフィルム111の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン(SI)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のうち一種から選択されるが、これに限定されない。プラスチックフィルム111の熱膨張値は、1.0ppm/K〜15.0ppm/Kの間であることが好ましい。また、プラスチックフィルム111の厚さは、3μm〜100μmの間であることが好ましい。
【0021】
金属層112の材料は磁気を有する金属であり、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)及びインバー合金(Invar Alloy)のうちの一種から選択されるが、これに限定されない。また、金属層112の厚さは、5μm〜50μmの間であることが好ましい。
【0022】
ステップ2:
図3を参照すると、静電気保護フィルム13をベース11の少なくとも一つの表面に設置する。即ち、静電気保護フィルム13は、プラスチックフィルム111における金属層112から離れている表面と/或いは金属層112におけるプラスチックフィルム111から離れている表面と、プラスチックフィルム111における金属層112に近い表面に形成されている。本実施例において、ベース11の両表面には、静電気保護フィルム13が形成されている。即ち、2つの静電気保護フィルム131、132を備え、静電気保護フィルム131は、プラスチックフィルム111における金属層112から離れている表面を覆い、静電気保護フィルム132は、金属層112におけるプラスチックフィルム111から離れている表面を覆うと同時に、対応するくり抜き部101のプラスチックフィルム111を覆うのが好ましい。静電気保護フィルム13は、静電気を吸着する機能を有する透明フィルムであり、レーザー光を通すことができる。本発明において、静電気保護フィルム13は、以下の特性を有する。
【0023】
(1)静電気保護フィルムの吸水性は1%よりも小さく、好ましくは、0.2%よりも小さい。
(2)静電気保護フィルムの粘着強度は、0.1〜0.9N/20mmである。
(3)静電気保護フィルムの透光性は、95%よりも大きい。
(4)静電気保護フィルムの厚さは、3μm〜200μmの間であり、10〜50μmの間であることが好ましい。
【0024】
静電気保護フィルム13は高分子材料であり、例えば、セルロースアセテート(CA)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン(PO)、熱可塑性エラストマー(TPE)、エポキシ樹脂(Epoxy resin)、メラミン樹脂(Melamine resin)、ユリア(Urea−formaldehyde)、加硫ゴム(vulcanized rubber)、ポリウレタン(Polyurethanes)などであるが、好ましくは、熱硬化性高分子材料であり、蒸着マスク100の製造過程中で発生する熱による変形或いは溶融の影響を受けない。
【0025】
ベース11が金属層112を有しない場合、静電気保護フィルム13は、直接プラスチックフィルム111の対向する2つの表面を覆うことができる。また、ベース11において金属層112が省略される場合、プラスチックフィルム111の厚さは、金属層112を有する場合のベース11に使用されるプラスチックフィルム111の厚さと比べてほぼ同じであり(好ましくは、5μm)、この際、静電気保護フィルム13の厚さは、金属層112を有する場合に使用される静電気保護フィルム13よりも厚いので、金属層の代わりにプラスチックフィルム111を支持する機能を発揮する。例えば、金属層を有する場合、プラスチックフィルムの厚さは5μmが好ましく、静電気保護フィルム13の厚さは15〜25μmが好ましい。金属層がない場合、プラスチックフィルムの厚さは、5μmでもよく、静電気保護フィルム13の厚さは50μmが好ましい。
【0026】
本実施例において、静電気保護フィルム13は、貼合プロセスによってベース11の対向する両表面に設置されてもよい。
図3及び
図4を参照すると、静電気保護フィルム13は、貼合プロセスによってそれぞれベース11の第一表面1101と第二表面1102に設置されており、第一表面1101は、金属層112が位置している側に隣接している表面であり、第二表面1102は、金属層112が位置している側から離れる表面である。
図4を参照すると、
図4は、静電気保護フィルム13を製造する貼合プロセスを示す図である。
図4には、ただ模式的に工程プロセスが示されているだけで、構造の細部は詳細に記載されていない。例えば、ベース11の構造の特徴は図示されていない。ベース11を機台14の表面に配置し、プラスチックフィルム111は上方に向いており、且つ第二表面1102は露出される。静電気保護フィルム13の一端をベース11の第二表面1102の一端側に配置し、ローラ15を静電気保護フィルム13の当該端側に設置し、且つ静電気保護フィルム13に圧力を印加する。当該端側と逆の方向に沿ってローラ15が回転するので、静電気保護フィルム13は、プラスチックフィルム111における金属層112から離れている表面、即ち、ベース11の第二表面1102に貼合して固定される。静電気保護フィルム13を、金属層112におけるプラスチックフィルム111から離れている表面、即ち、ベース11の第一表面1101に貼合して固定する方法は、保護フィルム13をプラスチックフィルム111における金属層112から離れている表面に貼合して固定する方法と同じであるので、ここでの説明は省略する。静電気保護フィルム13は、貼合プロセスによって形成され、ベース11の表面、即ち第一表面1101と第二表面1102に密着貼合するため、ベース11の突出した部分の静電気保護フィルム13は、ベース11の凹んだ部分の静電気保護フィルム13よりも高くなる。しかし、
図4にこの詳細な特徴は図示していない。ベース11は、静電気保護フィルム13の少なくとも1つの表面に静電気吸着作用によって密着貼合されているが、好ましくは、ベース11は、静電気保護フィルム13の両表面に静電気吸着によって密着貼合されている。その他の実施例において、他の装置のプロセスによって、静電気保護フィルム13をベース11の表面に設置する、或いは静電気吸着のみによって、プラスチックフィルム111及び金属層112を静電気保護フィルム13に密着貼合させる。静電気保護フィルム13は、ベース11が製造過程中に水分を吸水して耐久性が低下するのを防止し、ベース11の表面に傷がつき、蒸着過程中に蒸発の品質が低下するのも防止する。本実施例において、プラスチックフィルム111及び静電気保護フィルム13は、貼合プロセスによって貼合固定された後、静電気の密着作用によって吸着するため、粘着剤によって固定する必要はなく、ベース11に粘着剤が残るという問題が生じない。
【0027】
本実施例において、静電気保護フィルム13が接合されているベース11を直接提供することができる。
【0028】
ステップ3:
図5及び
図6を併せて参照すると、静電気保護フィルム13が接合されているベース11をフレーム16上に固定する。ベース11全体の厚さは薄いので、ベース11が剛性不足でフレーム16に固定される際に撓ってしまうことを防止するために、固定する際、ベース11に対して、張力を印加してベース11に十分な張力を持たせることが好ましい。
【0029】
フレーム16は、金属層112におけるプラスチックフィルム111から離れている表面に設置され、且つベース11の周縁を囲む。フレーム16はベース11を支持することに用いられる。本実施例において、フレーム16は、口型の金属フレームである。即ち、フレーム16は第一開口部102を有し、複数の第一くり抜き部101は第一開口部102と連通している。ベース11は、半田付の方法によってフレーム16上に固定される。具体的には、金属層112がフレーム16と接触する部分に半田付を行って、ベース11とフレーム16とを固定するが、これに限定されない。実際の要求に基づいて、適当な固定方法、例えば、貼合方法などを選択することができるが、ここでは一つ一つ例示しない。金属層112におけるプラスチックフィルム111から離れている表面に固定された静電気保護フィルム13は、金属層112の周縁を避けて、フレーム16と重なるのを防止する。
【0030】
フレーム16の材料は、インバー(Invar)、ニッケル(Ni)、ステンレスなどのうちの一種から選択されるが、これに限定されない。
【0031】
ステップ2とステップ3との前後の順番は変更することができる。即ち、その他の実施例において、ベース11をフレーム16上に固定し、静電気保護フィルム13をベース11におけるフレーム16の表面と前記フレームに近い表面に貼合する。
【0032】
ステップ4:
図7を併せて参照すると、金属層112でプラスチックフィルム111をマスクパターン化し、厚さ方向に沿ってプラスチックフィルム111を貫通する複数の第二開口部103が形成される。
【0033】
パターン化される部位は、プラスチックフィルム111が金属層112によって覆われないエリアである。本実施例において、レーザー彫刻の方法によってプラスチックフィルム111をパターン化し、前記レーザー光源は、ベース11のフレームを有する一側に設置されるが、これに限定されない。具体的には、金属層112におけるプラスチックフィルム111から離れている一側から、プラスチックフィルム111に対してパターン化する。好ましくは、本実施例において、第二開口部103の開口部の面積は、第一くり抜き部101の開口部の面積よりも小さい。その他の実施例において、第二開口部103は、第一くり抜き部101の大きさとほぼ同じである。
【0034】
本ステップにおいて、ベース11がパターン化される過程中に移動するのを防止するために、ベース11を支持するベース体17を設置して、ベース11をベース体17上に配置し、ベース体17に近い静電気保護フィルム13を直接ベース体17の表面に貼合する。ベース体17は、一つのガラス層171及び一つの磁性体172を備え、プラスチックフィルム111は、金属層112とガラス層171との間に位置する。本実施例において、静電気保護フィルム13におけるベース11から離れている表面は、ガラス層171の一つの表面に貼合され、磁性体172は、ガラス層171におけるベース11から離れている表面に設置される。プラスチックフィルム111は、静電気保護フィルム13とガラス層171とに静電気によって緊密に吸着されており、磁性体172は、金属層112と互いに吸引して、エッチング過程中にベース11が移動するのを効果的に防止し、精密なパターンを有するベース11の形成に有利である。本実施例において、好ましくは、静電気保護フィルム13は透明の材料であるため、レーザー彫刻を行う際、レーザー光は直接静電気保護フィルム13を透過し、静電気保護フィルム13を彫刻せず、前記レーザー光は静電気保護フィルム13を透過してプラスチックフィルム111を彫刻する。また、本実施例の静電気保護フィルム13はベース11の両表面を覆うため、エッチング過程中で発生したある炭化物質が堆積して形成された顆粒(フラグメンテーション)(図示せず)が静電気保護フィルム13に良好に吸着される。
【0035】
ステップ5:
図8を併せて参照すると、本発明の蒸着マスク100の製造方法は、静電気保護フィルム13を除去して、複数の第二開口部103を有する蒸着マスク100を形成するステップを備える。本実施例において、ベース11の対向する2つの表面にそれぞれ静電気保護フィルム13が設置されており、ベース11の1つの表面のみに設置されている静電気保護フィルム13と比べると、エッチング過程中に形成される顆粒(フラグメンテーション)が良好に静電気保護フィルム13の剥離に伴って除去されて、より効果的に顆粒(フラグメンテーション)の残留により蒸着精度が下がるのを防止する。好ましくは、静電気保護フィルム13は手動で剥離でき、他の装置をさらに追加する必要がなく、製造コストを低減させる。
【0036】
次いで、プラスチックフィルム111は、静電気保護フィルム13とガラス層171とに静電気によって緊密に吸着され、磁性体172は金属層112と互いに吸引されて、効果的にエッチング過程中にベース11が移動するのを防止し、精密なパターンを有するベース11の形成に有利である。
【0037】
静電気保護フィルム13は、プラスチックフィルム111が製造過程中に水分を吸水して耐久性が低下するのを防止し、プラスチックフィルム111の表面に傷がついて、蒸着過程中に蒸発の品質が低下するのも防止する。また、プラスチックフィルム111及び金属層112は、静電気保護フィルム13と静電気によって緊密に吸着するため、粘着剤によって固定する必要はなく、ベース11に粘着剤が残るという問題が生じない。
【0038】
本発明の蒸着マスク100は、一つの基板21に有機発光材料層が蒸着して形成されることに用いられる。例えば、OLED表示装置のアクティブアレイ基板の画素エリア内には、有機発光材料が蒸着して形成されている。具体的には、
図9を参照すると、
図9は、本発明の第一実施例の蒸着マスク100の蒸着を示す図である。蒸着過程中において、基板21は、蒸着マスク100のベース11の一つの表面に設置される。本実施例において、基板21は、プラスチックフィルム111における金属層112から離れている表面に設置される。各第二開口部103は一つの蒸着エリア20を定義し、蒸着源(図示せず)は、ベース11における基板21から離れている一側から加熱された後、蒸着源中の蒸着材料が気化されて第二開口部103を貫通し、基板21に堆積されて有機発光材料層が形成される。基板21とベース11とをより緊密に貼合させるため、基板21におけるベース11から離れている一側に磁性体172を用いて、磁性体172と金属層112とを吸着させてもよい。
【0039】
図10は、本発明第一実施例の蒸着マスク100を製造するフローチャートである。なお、説明の便宜上、当該方法には番号が付されたステップの順番が記載されているが、この番号はステップの順番を決定するわけではない。これらのステップにおいて、一部のステップを実施しなかったり、並行に実施したり、或いはステップの順番通りに実施しなくてもよい。しかしながら、通常は、前記方法はステップの番号順に実施される。
【0040】
図10に示すように、本発明第一実施例の蒸着マスク100を製造する方法は、以下のステップを備える。
【0041】
ステップS1:ベース11を提供し、ベース11は、プラスチックフィルム111備える。ステップS2:静電気保護フィルム13をベース11の少なくとも一つの表面に設置し、静電気保護フィルム13は、静電気を吸着する機能を有する透明フィルムである。ステップS3:静電気保護フィルム13と接合されているベース11をフレーム16に固定する。ステップS4:プラスチックフィルム111の厚さ方向に沿ってプラスチックフィルム111のみを貫通した複数の第二開口部103が形成される。ステップS5:静電気保護フィルム13を除去し、複数の第二開口部103を有する蒸着マスク100が形成される。
【0042】
図11は、本発明の有機発光材料を蒸着する方法の他の実施方法のステップのフローチャートである。当該実施例の有機発光材料を蒸着する方法は、前記第一実施方法で記載されている蒸着マスク100の製造ステップを備える。ここで、蒸着マスク100の金属層112の第一くり抜き部101のサイズ及び配列密度は、所定の蒸着のアクティブアレイの画素エリアのサイズ及び配列密度によって得られるため、金属層をパターン化して、生産要求を満たす第二開口部103を有するベース11が得られ、各第二開口部103は、一つの蒸着エリア20を定義する。即ち、蒸着マスクの形成及び蒸着有機発光材料の形成は、OLEDパネルを製造する同一生産ラインで行われ、
図9に示した実施例ように、既に設計された蒸着マスクを利用することがない。これにより、異なるOLEDパネルを製造する場合、パネルメーカーは異なるOLEDパネルの解像度によって、対応する蒸着マスクを製造して使用する。
【0043】
ステップT1:ベース11を提供し、ベース11は、プラスチックフィルム111備える。ステップT2:静電気保護フィルム13をベース11の少なくとも一つの表面に設置し、静電気保護フィルム13は、静電気を吸着する機能を有する透明フィルムである。ステップT3:静電気保護フィルム13と接合されているベース11をフレーム16に固定する。ステップT4:プラスチックフィルム111の厚さ方向に沿ってプラスチックフィルム111のみを貫通した複数の第二開口部103が形成される。ステップT5:静電気保護フィルム13を除去し、複数の第二開口部103を有する蒸着マスク100が形成される。ステップT6:基板21を提供し、基板21が蒸着マスク100のベース11の一つの表面に設置される。ステップT7:磁性体172を提供し、磁性体172は基板21におけるベース11から離れている一側に設置され、磁性体172は金属層112に吸着される。ステップT8:蒸着源(図示せず)を提供し、前記蒸着源は、ベース11における基板21から離れている一側に設置され、且つ前記蒸着源を過熱する。前記蒸着源は過熱された後に、蒸着源中の蒸着材料(有機発光材料)を気化させ、且つ第二開口部103を貫通して堆積して、基板21上に有機発光材料層が形成される。
【0044】
なお、説明の便宜上、以下の実施例において、第一実施例にて説明した構造と同じ機能を有する部材についてここでの詳細な説明は省略し、第一実例と同じ符号を付す。
図12を参照すると、
図12は、本発明の他の実施例における蒸着マスクを予め形成する場合の、静電気保護フィルム13とベース11の接合構造の断面図である。
図12に示したように、静電気保護フィルム13は、金属層112におけるプラスチックフィルム111から離れている表面に設置されてもよい。
【0045】
図13を参照すると、
図13は、本発明の他の実施例における蒸着マスクを予め形成する場合の、静電気保護フィルム13とベース11の接合構造の断面図である。
図13に示したように、静電気保護フィルム13は、プラスチックフィルム111における金属層112から離れている表面に形成される。
【0046】
図14、
図15及び
図16を併せて参照すると、
図14は、本発明のベース11の変形例の平面図である。
図15は、
図14をXV−XV線に沿って切断した断面図であり、
図16は、ベース11とフレーム16を固定する第二実施方法の断面図である。
図14及び
図15に示したように、金属層112は、一つの第一くり抜き部101のみを備え、金属層112はプラスチックフィルム111の周辺を覆う。
図16に示したように、金属層112は、半田付等の方法によってフレーム16に固定される。
【0047】
図17を参照すると、
図17は、本発明のベース11とフレーム16を固定する第三実施方法の断面図である。本実施例において、フレーム16は、口型のフレームであり、ベース11は、一層の中で層が連続している層であり、本実施例において、ベース11は、8つの蒸着エリア20を定義している。静電気保護フィルム13は、その厚さ方向に沿って互いに独立している複数の第二サブフィルム130に分割され、ベース11の対向する2つの表面は、それぞれ複数の第二サブフィルム130によって覆われる。本実施例において、各第二サブフィルム130は、対応する蒸着エリア20を覆い、隣接する第二サブフィルム130間に隙間を有する。
【0048】
図18及び
図19を参照すると、
図18は、本発明のベース11とフレーム16を固定する第四実施方法の断面図であり、
図19は、
図18をXIX−XIX線に沿って切断した断面図である。本実施例において、フレーム16は、口型のフレームであり、フレーム16はブラケット19を更に備える。ブラケット19は、Y軸に沿って延伸した第一ブラケット191、及びX軸に沿って延伸した第二ブラケット192を備える。本実施例において、フレーム16は、3本の第一ブラケット191及び1本の第二ブラケット192を備える。第一ブラケット191及び第二ブラケット192の両端はそれぞれフレーム16に固定される。ベース11は非連続の層であり、また、ベース11は、その厚さ方向に沿って互いに独立している少なくとも2つの第一サブフィルム110に分割される。本実施例において、各第一サブフィルム110は互いに独立しており、各第一サブフィルム110は、積層して設置されている金属層112及びプラスチックフィルム111を備えるが、これに限定されない。その他の実施例において、ベース11の第一サブフィルム110には、少なくとも1つの第一サブフィルム110が備えられており、この少なくとも1つの第一サブフィルム110は、プラスチックフィルム111のみを備える。本実施例において、ベース11の構造は第一実施例のベース11の構造とほぼ同じであるが、異なる点として、第一実施例のベース11は連続した層である。しかし、本実施例のベース11はその厚さ方向に沿って互いに独立している複数の第一サブフィルム110に分割される構成なので、本実施例のベース11の構造及びその変形例のここでの説明は省略する。
【0049】
本実施例において、ベース11は、4つの第一サブフィルム110を備える。第一ブラケット191と第二ブラケット192とは交差して設置され、各第一ブラケット191は、第一支持部1912及び第一支持部1912から延伸して形成された第一延伸部1911を備え、第一支持部1912は隣接する2つの第一サブフィルム110を支持し、第一延伸部1911は隣接する2つの第一サブフィルム110間に位置して、隣接する2つの第一サブフィルム110間に間隙をもたせる。好ましくは、第一延伸部1911の厚さは、第一サブフィルム110の厚さに等しい。各ベース11は、少なくとも一つの、表示パネル(図示せず)を蒸着するのに用いられる蒸着エリア20を定義する。本実施例において、ベース11は8つの蒸着エリア20を定義するが、好ましくは、蒸着エリア20は、交差する第一ブラケット191及び第二ブラケット192間の空白箇所に対応する。静電気保護フィルム13は、少なくとも全ての蒸着エリア20を覆う。本実施例において、静電気保護フィルム13は連続する層であり、且つ第一延伸部1911を覆う。
【0050】
図20を参照すると、
図20は、本発明のベース11とフレーム16を固定する第五実施方法の断面図である。本実施例において、ベース11とフレーム16の構造は、第四実施例のベース11とフレーム16の構造とほぼ同じであるが、異なる点として、本実施例において、静電気保護フィルム13は、それぞれベース11の対向する2つの表面を覆い、前記対向する2つの表面中において、各表面は、8つの第二サブフィルム130を覆い、各第二サブフィルム130はそれぞれ対応する蒸着エリア20を覆う。好ましくは、静電気保護フィルム13は、それぞれベース11の対向する2つの表面を覆う。
【0051】
図21を参照すると、
図21は、本発明のベース11とフレーム16を固定する第六実施方法の断面図である。本実施例において、ベース11とフレーム16の構造は、第四実施例のベース11とフレーム16の構造とほぼ同じであるが、異なる点として、静電気保護フィルム13は、それぞれベース11の対向する2つの表面を覆い、前記対向する2つの表面中において、各表面は、4つの第二サブフィルム130を覆い、各第二サブフィルム130はY軸に沿って延伸し、且つ2つの蒸着エリア20を覆う。
【0052】
図22を参照すると、
図22は、本発明のベース11とフレーム16を固定する第七実施方法の断面図である。本実施例において、フレーム16は口型のフレームであり、また、フレーム16はブラケット19更に備える。ブラケット19はY軸に沿って延伸した第一ブラケット191、及びX軸に沿った延伸した第二ブラケット192を備える。本実施例において、フレーム16は、3本の第一ブラケット191及び1本の第二ブラケット192を備える。第一ブラケット191及び第二ブラケット192の両端は、それぞれフレーム16に固定される。ベース11は非連続の層であり、ベース11はその厚さ方向に沿って互いに独立している少なくとも2つの第一サブフィルム110に分割される。本実施例において、ベース11は、2つの第一サブフィルム110を備える。第一ブラケット191と第二ブラケット192とは交差して設置され、各第二ブラケット192は、第二支持部1922及び第二支持部1922から延伸して形成された第二延伸部1921を備える。第二支持部1922は、隣接する2つの第一サブフィルム110を支持し、第二延伸部1921は、隣接する2つの第一サブフィルム110間に位置して、隣接する2つの第一サブフィルム110間に間隙をもたせる。好ましくは、第二延伸部1921の厚さは、第一サブフィルム110の厚さに等しい。各ベース11は、少なくとも一つの、表示パネル(図示せず)を蒸着するのに用いられる蒸着エリア20を定義する。本実施例において、ベース11は8つの蒸着エリア20を定義するが、好ましくは、蒸着エリア20は、交差する第一ブラケット191及び第二ブラケット192間の空白箇所に対応する。静電気保護フィルム13は、少なくとも全ての蒸着エリア20を覆う。本実施例において、静電気保護フィルム13は連続する層であり、且つ第一延伸部1911を覆う。
【0053】
図23を参照すると、
図23は、本発明のベース11とフレーム16を固定する第八実施方法の断面図である。本実施例において、ベース11とフレーム16の構造は、第七実施例のベース11とフレーム16の構造とほぼ同じであるが、異なる点として、本実施例において、静電気保護フィルム13は、それぞれベース11の対向する2つの表面を覆い、前記対向する2つの表面中において、各表面は、8つの第二サブフィルム130を覆い、各第二サブフィルム130は、それぞれ対応する蒸着エリア20を覆う。
【0054】
図24を参照すると、
図24は、本発明のベース11とフレーム16を固定する第九実施方法の断面図である。本実施例において、ベース11とフレーム16の構造は、第四実施例のベース11とフレーム16の構造とほぼ同じであるが、異なる点として、静電気保護フィルム13は、それぞれベース11の対向する2つの表面を覆い、前記対向する2つの表面中において、各表面は、2つの第二サブフィルム130を覆い、各第二サブフィルム130はX軸に沿って延伸し、且つ4つの蒸着エリア20を覆う。
【0055】
その他の実施例において、ブラケット19は、第一ブラケット191のみを備えても、或いは第二ブラケット192のみを備えてもよい。ブラケット19の第一ブラケット191及び第二ブラケット192のそれぞれは延伸部及び支持部を備えてもよいし、或いは、第一ブラケット191及び第二ブラケット192のそれぞれは延伸部及び支持部を備えてもよい。ブラケット19がどのように変更されても、異なる構造のベース11及び静電気保護フィルム13に設置することができる。例えば、連続するベース11は、複数の第一サブフィルム110のベース11、連続する静電気保護フィルム13を備えるか、或いは複数の第二サブフィルム130の静電気保護フィルム13等を備える。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。