(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661716
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】シールアセンブリおよびシールアセンブリから成るシールリング
(51)【国際特許分類】
G01B 7/06 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
G01B7/06 C
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-164461(P2018-164461)
(22)【出願日】2018年9月3日
(65)【公開番号】特開2019-49550(P2019-49550A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】10 2017 008 314.2
(32)【優先日】2017年9月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ ナールヴォルト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ズィンドリンガー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ラウアー
(72)【発明者】
【氏名】ボリス トラーバー
(72)【発明者】
【氏名】ヤスミン メンツェル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クラーマー
【審査官】
仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平3−215701(JP,A)
【文献】
特開平11−173275(JP,A)
【文献】
特表2014−500479(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102007007405(DE,A1)
【文献】
国際公開第2012/034716(WO,A1)
【文献】
特開2018−71786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
F16J 15/00−15/14
15/16−15/32
15/324−15/3296
15/46−15/53
F16C 19/00−19/56
33/00−33/66
G01M 13/00−13/045
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールアセンブリであって、
動的な荷重が加えられる少なくとも1つのシールリップ(2)を備えたシールリング(1)と、
シールすべき表面(4)を備えたシールすべき機械要素(3)であって、前記表面(4)は、導電性であり、かつ前記シールリップ(2)によって、半径方向の予荷重が加えられてシール作用をもって取り囲まれており、前記シールリング(1)は、導電性の材料(6)からなるコア(5)と、電気絶縁性の材料(8)からなる周壁(7)とを有し、該周壁(7)は、材料厚さ(9,10,11)を有し、前記コア(5)を少なくとも部分的に取り囲んでいて、かつ前記シールリップ(2)を含む、機械要素(3)と、
前記シールリング(1)の摩耗状態を検出する容量式の測定装置(13)を備えた摩耗検出器(12)と、
を含む、シールアセンブリにおいて、
断面図で見て、半径方向(14)における前記シールリップ(2)の前記材料厚さ(9)は、残りの前記周壁(7)の前記材料厚さ(10,11)よりも小さいことを特徴とする、シールアセンブリ。
【請求項2】
前記残りの周壁(7)は、最大の材料厚さ(11)を有し、該最大の材料厚さ(11)と前記シールリップ(2)の材料厚さ(9)との比は、少なくとも5である、請求項1記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
前記比は、5〜10である、請求項2記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
前記周壁(7)の前記材料厚さ(9,10,11)は、前記シールリップ(2)を起点として、前記半径方向(14)および/または軸方向(15)において、少なくとも最初は、連続的に増大する、請求項1から3までのいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
前記周壁(7)は、断面図で見て、ほぼU字形に形成されていて、かつほぼ前記半径方向(14)に延びる2つの端面(16,17)を有し、該端面(16,17)の間に、軸方向(15)で見て、前記コア(5)が配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
前記端面(16,17)はそれぞれ、ほぼ前記コア(5)の軸方向厚さ(20)に相当する軸方向厚さ(18,19)を有している、請求項5記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
前記コア(5)は、円形リング形に形成されていて、かつ半径方向で前記シールリップ(2)に向けられた側において、断面図で見て、前記シールリップ(2)にほぼ一致する構成を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
前記コア(5)は、半径方向で前記シールリップ(2)に向けられた側において、断面図で見て、ほぼ円錐形に形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項9】
シールリング(2)は、軸方向(15)において真ん中に、仮想の半径方向平面(21)を有し、かつ該半径方向平面(21)に対して対称的に形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項10】
前記容量式の測定装置(13)は、前記半径方向(14)における前記シールリップ(2)の前記材料厚さ(9)を連続的に検出する容量式の測定装置(22)として形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のシールアセンブリ。
【請求項11】
前記容量式の測定装置(22)は測定箇所(23)を含んでおり、該測定箇所(23)は、前記半径方向(14)で前記シールリップ(2)の両側において、一方では前記シールすべき表面(4)によって半径方向で、かつ他方では前記コア(5)によって半径方向で画定されている、請求項10記載のシールアセンブリ。
【請求項12】
容量式の測定装置(13)により摩耗状態を検出することが可能なシールリングであって、
導電性の材料(6)からなるコア(5)と、
電気絶縁性の材料(8)からなる周壁(7)と、
を備え、
該周壁(7)は、材料厚さ(9,10,11)を有し、前記コア(5)を少なくとも部分的に取り囲んでいて、かつシールリップ(2)を含み、
断面図で見て、前記シールリップ(2)の前記材料厚さ(9)は、前記半径方向(14)において、前記残りの周壁(7)の前記材料厚さ(10,11)よりも小さい、
シールリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールアセンブリであって、動的な荷重が加えられる少なくとも1つのシールリップを備えたシールリングと、シールすべき表面を備えたシールすべき機械要素とを含んでおり、表面は、導電性であり、かつシールリップによって、半径方向の予荷重が加えられてシール作用をもって取り囲まれており、このときシールリングは、導電性の材料からなるコアと、電気絶縁性の材料からなる周壁とを有し、このとき周壁は、材料厚さを有し、コアを少なくとも部分的に取り囲んでいて、かつシールリップを含んでおり、さらにシールアセンブリは、シールリングの摩耗状態を検出する電気式の測定装置を備えた摩耗検出器を含んでいる、シールアセンブリに関する。
【0002】
さらに本発明は、上に記載したようなシールアセンブリから成るシールリングに関する。
【0003】
従来の技術
このようなシールアセンブリおよびこのようなシールリングは、旧出願である独国特許出願第102016012552.7号明細書に開示されている。
【0004】
電気絶縁性の周壁は、導電性のコアの周りにおけるすべての周囲領域において一定である材料厚さを有している。このとき周壁は、比較的薄い材料厚さを有し、面でコアに接触している。
【0005】
摩耗検出器は、容量式の測定装置として形成された電気式の測定装置を含んでいる。このような測定原理は、シールすべき機械要素のシールすべき表面とシールリングのコアとの間において電圧が印加され、かつシールすべき表面とコアとの間において電気容量が検出されることに基づいている。電気容量への影響値は、周壁の誘電率およびシールすべき表面とコアとの間における半径方向間隔である。シール材料からなるシールリップ、特に動的な荷重が加えられるシールリップを備えたシールリングは、シールリングの規則通りの使用中に摩耗する。このような摩耗は、まずシールアセンブリにおける漏れの発生、次いでシール系全体の故障の発生を惹起するおそれがある。
【0006】
摩耗の増大に連れて、周壁の一構成部分であるシールリップの材料厚さが変化すると、シールすべき表面とシールリングのコアとの間における電気容量も変化し、このとき電気容量のこの変化は、適宜な評価電子装置によって検出される。
【0007】
旧出願において開示されているように、これによってシールリングの運転特性における緩やかな変化を、かつシールリップの緩やかな摩耗をも検出することができる。したがってシールリップの状態は持続的に監視される。
【0008】
別のシールアセンブリが、独国特許発明第102007007405号明細書に基づいて公知である。この公知のシールアセンブリは、動的な荷重が加えられるシールリングと、シールリングの摩耗状態を検出する電気的な装置とを含んでおり、このときシールリングは、導電性の第1のシール材料から成っており、このシール材料には、非導電性の第2のシール材料が取り付けられており、この第2のシール材料は、シールすべき機械要素のシールすべき表面にシール作用をもって接触している。シールすべき表面は、第1のシール材料と同様に導電性である。
【0009】
第2のシール材料が完全に摩耗すると、導電性のシールすべき表面は、同様に導電性の第1のシール材料に接触し、かつ電流回路が閉じられて、シールリングの完全な摩耗が示され、つまりシールリングの破損が示される。
【0010】
シールアセンブリのこのような構成において注目すべきことは、シールリングの緩やかな状態変化を検出できないということである。電流回路の閉鎖によって表示されるのは、もっぱら、シールリングがもはや使用不能であり、直ちに交換されねばならないということである。
【0011】
発明の開示
本発明の根底を成す課題は、冒頭に述べた形式のシールアセンブリおよびシールリングをそれぞれ改良して、シールリングの持続的な状態監視が可能であり、持続的な状態監視のために使用される電気式の測定装置が、特に正確な測定結果を供給し、かつ特に、測定結果の精度に対して不都合な影響を及ぼす可能性がある、例えば妨害容量のような妨害影響が、十分に最小化される、シールアセンブリおよびシールリングを提供することである。
【0012】
この課題は、本発明によれば請求項1および請求項12に記載の特徴によって解決される。好適な構成については、従属請求項に記載されている。
【0013】
課題を解決するために、断面図で見て、半径方向におけるシールリップの材料厚さは、残りの周壁の材料厚さよりも小さいことが提案されている。
【0014】
このように構成されていると、主として、シールリップの、作動に基づいて半径方向において減じる材料厚さだけが、電気式の測定装置の測定結果に影響を及ぼすという利点が得られる。
【0015】
シールリップの相対的に最小の材料厚さに関連して、残りの周壁の相対的に大きな材料厚さは、測定結果の測定精度に不都合な影響を及ぼすおそれがある妨害影響を、事実上消滅させるのに役立つ。シールリップに隣接した領域からの、このような不所望の容量的な妨害影響は、遮蔽されていないと、残りの周壁の比較的大きな材料厚さを通して、シールリングの摩耗状態を検出する測定に作用するおそれがあり、かつ測定結果を不都合に劣化させるおそれがある。妨害影響は、例えば、シールリングを取り囲むハウジング、またはシールすべき媒体からもたらされるおそれがある。シールリング、ひいてはシールアセンブリ全体のその都度現在の摩耗状態の信頼できる検出は、このような場合にはもはや不可能である。
【0016】
周壁の材料厚さは、好ましくはそれぞれの使用例に合わせられていて、容量的な妨害値が発生し得る箇所において周壁の材料厚さが増大するようになっている。本来の容量式の測定が行われる箇所においてだけ、つまり半径方向でシールリップの両側において、一方ではシールすべき表面によって半径方向で、かつ他方ではコアによって半径方向で画定されている測定箇所においてだけ、電気絶縁性の材料からなるシールリップの材料厚さは、比較的最小である。
【0017】
不所望の容量的な妨害影響が、電気式の測定装置を用いた測定に作用しないことによって、測定結果の精度は特に高くなる。
【0018】
コアは、エラストマ材料から、特に通常のシール材料から成っていてもよい。
【0019】
エラストマ材料は、例えば導電性の粒子によって導電性にすることができる。このような粒子は、例えば金属からなる粒子であってもよい。
【0020】
周壁もまた同様に、エラストマ材料から、またはPTFE材料から、または例えばPTFE、PEEKまたはPPSのような他のポリマ材料から成っていてもよい。
【0021】
コアおよび周壁の両方が、エラストマ材料から成っている場合には、コアおよび周壁は、これらを形成する類似の材料に基づいて、素材結合式に特に良好に互いに固着する。
【0022】
これに対して周壁がPTFE材料から成っている場合には、シールリップは、特に低い静止摩擦係数を有していて、かつ高い化学的な耐性を有している。PTFE材料からなるシールリップは、全体として特に耐摩耗性である。
【0023】
好適な構成によれば、残りの周壁は、最大の材料厚さを有しており、このとき最大の材料厚さとシールリップの材料厚さとの比は、少なくとも5であり、さらに好ましくは5〜10であることが提案されていてもよい。このような比は、残りの周壁の材料厚さがシールリップの材料厚さよりも明らかに大きいことを示している。比較的大きな材料厚さによって、およびこれに基づく、外部の妨害容量からの良好な遮蔽によって、シールリップの、作動に基づく状態変化、ひいてはシールリングのシール作用、したがってシールアセンブリ全体のシール作用の、作動に基づく変化を、特に正確に検出することができる。
【0024】
なお規則通りに機能するシールリングの早期に過ぎる交換、またはシールリングの、使用者にとって突然発生する損傷/破壊は、高い測定精度によってもはや発生しない。
【0025】
周壁の材料厚さは、シールリップを起点として、半径方向および/または軸方向において、少なくとも最初は、連続的に増大することができる。シールリングの材料における切欠き応力を、ひいてはシールアセンブリの早期の故障を惹起するおそれがある、急激な方向変化は、これによって回避される。
【0026】
周壁は、断面図で見て、ほぼU字形に形成されていて、かつほぼ半径方向に延びる2つの端面を有していることができ、該端面の間に、軸方向で見て、コアが配置されている。これによって導電性のコアは、電気絶縁性の周壁によって事実上取り囲まれる。シールリップの領域においてのみ、電気絶縁性の周壁は最小の材料厚さを有している。これに対して残りのすべての領域、つまり測定箇所の外側において、絶縁性の周壁は比較的大きな材料厚さを有しており、これによって、外部の妨害容量を測定箇所から遠ざけておくこと、および測定精度を高めることができる。
【0027】
好適な構成によれば、端面はそれぞれ、ほぼコアの軸方向厚さに相当する軸方向厚さを有していることが提案されていてもよい。例えば内部にシールリングが配置されているハウジングから到来する妨害容量は、周壁の比較的厚い端面によって、測定箇所から、および軸方向において端面の間に位置しているコアから、最高度に遮蔽される。
【0028】
コアは、円形リング形に形成されていて、かつ半径方向でシールリップに向けられた側において、断面図で見て、好ましくはシールリップにほぼ一致する構成を有している。
【0029】
コアは、半径方向でシールリップに向けられた側において、断面図で見て、ほぼ円錐形に形成されていてもよい。このような構成によって、シールリングは全体として単純な構造を有している。コアの円錐角の適合および周壁のU字形の構成によって、測定箇所の周りにおける周壁の所望の材料厚さ、および周壁の遮蔽作用を、使用例のそれぞれの所与性に特に簡単に合わせることができる。
【0030】
半径方向でシールリップに向けられた側におけるコアの円錐角が減じられると、シールリップの外側/測定箇所の外側における周壁の材料厚さ、および不所望の妨害容量の遮蔽の有効性は、比較的迅速に増大する。
【0031】
これに対して円錐角が比較的大きい場合には、シールリップひいては測定箇所も、軸方向で見て広幅にすることができる。
【0032】
シールリングは、軸方向において真ん中に、仮想の半径方向平面を有していて、かつ半径方向平面に対して対称的に形成されていてもよい。このように構成されていると、このようなシールリングを特に簡単に製造することでき、かつ両側においてシールアセンブリに取り付けることができるという利点が得られる。取付けエラーのおそれは、最小化されている。
【0033】
電気式の測定装置は、好ましくは、上に記載したように、半径方向におけるシールリップの材料厚さを連続的に検出する容量式の測定装置として形成されている。シールリップの、半径方向における材料厚さを連続的に検出することによって、シールリングの来る故障が適時に予告され、シールアセンブリのオペレータは、例えば迅速な修理のための措置を適時に前もって施すことができるようになる。
【0034】
シールリング/シールアセンブリの故障を、それが実際に既に発生した場合に初めて表示する電気式の測定装置に比べて、このことには大きな利点がある。
【0035】
容量式の測定装置は測定箇所を含んでおり、該測定箇所は、半径方向でシールリップの両側において、一方ではシールすべき表面によって半径方向で、かつ他方ではコアによって半径方向で画定されている。測定箇所の領域において、電気絶縁性の材料からなるシールリップの材料厚さは最小である。
【0036】
上に記載したシールリングを備えた上に記載したシールアセンブリは、液圧装置または空圧装置において使用することができ、同様に化学工業、食品工業および飲料工業においても使用することができる。
【0037】
したがってシールアセンブリおよびシールアセンブリから成るシールリングは、弁のための軸シールとして特に良好に使用することできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1および
図2には、シールアセンブリの2つの実施形態が概略的に示されている。
【
図1】冒頭に述べた旧出願において開示されたシールアセンブリを示す図である。
【
図2】本発明に係るシールリングが使用される本発明に係るシールアセンブリの1実施形態を示す図である。
【0039】
発明の実施形態
図1には、冒頭に述べた旧出願において開示された実施形態が示されている。
【0040】
シールアセンブリは、動的な荷重が加えられるシールリップ2を備えたシールリング1を含んでおり、シールリップ2は、シールすべき機械要素3のシールすべき表面4を、半径方向の予荷重によってシール作用をもって取り囲んでいる。
【0041】
シールすべき表面4は、導電性である。
【0042】
シールリング1は、コア5を含んでおり、このコア5は、周壁7によってその端面16,17の領域において、およびシールすべき表面4に向けられた側において取り囲まれている。
【0043】
コア5は、導電性の材料6から成っており、周壁7は、これに対して電気絶縁性の材料8から成っている。
【0044】
略示されている摩耗検出器12は、シールリング1の摩耗状態を検出する電気式の測定装置13を含んでいる。
【0045】
図示された断面図から分かるように、周壁7は全体的に一定の材料厚さ9,10,11を有している。測定箇所23の領域におけるシールリップ2の材料厚さ9は、測定箇所23の外側における材料厚さ10に相当している。
【0046】
例えばハウジング24またはシールすべき媒体25からの、外部の妨害容量(Stoerkapazitaet)を、測定箇所23から遠ざけておくために、本発明に係るシールリングを備えた本発明に係るシールアセンブリが設けられている。
【0047】
図2には、本発明に係るシールリングを備えた本発明に係るシールアセンブリの1実施形態が示されている。
図1に示されたシールリング1とは異なり、
図2に示されたシールリング1が有する周壁7では、ここに図示された断面図から分かるように、半径方向14におけるシールリップ2の材料厚さ9は、残りの周壁7の材料厚さ10,11より小さい。測定箇所23の外側における比較的大きな材料厚さ10,11によって、電気式の測定装置13は、電気的な妨害影響から遮蔽される。これによって測定結果は、極めて多くより正確になり、シールリングのその都度現在の状態、特にシールリップ2の状態に対する確実な推定を可能にする。
【0048】
ここに示された実施形態では、残りの周壁7は、最大の材料厚さ11を有しており、このとき最大の材料厚さ11とシールリップ2の材料厚さ9との比は、約7〜8である。
【0049】
シールリップ2を起点として、周壁7の材料厚さ10,11は、半径方向14および軸方向15において連続的に増大し、この増大は、電気絶縁性の周壁7が、半径方向14に延びる端面16,17に移行するまで続く。端面16,17において、周壁7の材料厚さ10,11は、一定かつ最大である。
【0050】
端面16,17は、それぞれほぼ、コア5の軸方向厚さ20に相当する軸方向厚さ18,19を有している。これによってコア5は、特に良好に、不所望の妨害容量の影響に対して遮蔽される。
【0051】
シールリング1は、特に簡単かつ安価に製造可能であり、かつさらにプロセス確実に取付け可能であり、またシールリング1は軸方向15において真ん中に仮想の半径方向平面21を有しているので、この半径方向平面21に対してシールリング1は対称的に形成されている。
【0052】
容量式の測定装置22として形成されている電気式の測定装置13を備えた摩耗検出器12によって、半径方向におけるシールリップ2の材料厚さ9を連続的に検出することができる。測定箇所23は、半径方向14でシールリップ2の両側において、つまり一方ではシールすべき表面4によって半径方向で、かつ他方ではコア5によって半径方向で画定され、このときシールすべき表面4およびコア5はそれぞれ、導電性の材料から成っている。