特許第6661719号(P6661719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6661719流体容積低減アッセンブリを有する還元剤供給ユニット用のインジェクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661719
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】流体容積低減アッセンブリを有する還元剤供給ユニット用のインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-172919(P2018-172919)
(22)【出願日】2018年9月14日
(65)【公開番号】特開2019-56373(P2019-56373A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年9月14日
(31)【優先権主張番号】15/704,294
(32)【優先日】2017年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン シー. ブゴス
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュ リー ハットフィールド
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/045845(WO,A1)
【文献】 特開2010−216483(JP,A)
【文献】 特開2004−316520(JP,A)
【文献】 特表2007−500301(JP,A)
【文献】 特開2002−327660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤供給ユニットであって、
流体インジェクタを備え、該流体インジェクタは、該流体インジェクタの第1の端部に配置された、還元剤を受容するための流体入口と、該流体インジェクタの第2の端部に配置された、前記還元剤を放出するための流体出口とを有しており、前記流体入口から前記流体出口までの還元剤のための流体路を画成しており、
前記流体インジェクタは、
前記流体インジェクタの前記流体入口に配置された端部を有する管部材であって、前記流体路に沿って還元剤を通すように構成された管部材と、
前記流体インジェクタの前記流体入口の近位で前記管部材内に配置されたフィルタと、
前記流体インジェクタの前記流体入口から前記流体出口までの前記流体路に沿った還元剤流の方向に関して、前記フィルタの下流で、前記管部材内に配置された容積低減部材であって、前記容積低減部材は、前記管部材の内面に接触しており、該容積低減部材を貫通するように画成された孔を有しており、前記孔は、前記流体インジェクタを通る前記流体路の少なくとも一部を画成しており、前記孔は、前記容積低減部材の外径よりも小さい直径を有しており、前記容積低減部材は、前記流体インジェクタ内で占有する前記還元剤のための前記流体路の容積を該容積低減部材が減らすように、前記管部材内の容積を占有する、容積低減部材と、
内部に前記フィルタが配置されているキャップ部材であって、前記キャップ部材は、前記フィルタと前記容積低減部材と前記キャップとが単一の部材を形成するように、前記容積低減部材に係合され固定されている、キャップ部材と
前記流体インジェクタ内に配置されている可動アーマチュアと、
前記流体インジェクタ内に配置されているばねであって、前記ばねは、前記可動アーマチュアに接触する第1の長手方向端部と、第2の長手方向端部とを有している、ばねと、
前記流体路に沿った還元剤流の方向に関して、前記可動アーマチュア及び前記ばねの上流に配置されたばね調節管であって、前記ばね調節管は、前記ばねの前記第2の長手方向端部と接触する第1の長手方向端部と、前記容積低減部材内に配置されずに、前記容積低減部材と隣接し、かつ、接触する、第2の長手方向端部とを有する、ばね調節管と、
前記流体インジェクタ内に配置されている固定された極片であって、前記固定された極片は、前記可動アーマチュアに係合するか、または、該可動アーマチュアから離れる第1の長手方向端部と、第2の長手方向端部とを有しており、前記固定された極片は、前記ばね調節管が部分的に配置される貫通孔を有する、固定された極片と、
圧縮可能な材料から構成された容積補償部材であって、前記容積補償部材は、前記固定された極片の前記第2の長手方向端部と、前記容積低減部材の、前記流体路に沿った還元剤流の方向に関して下流端部との間に、かつ、前記極片の前記第2の長手方向端部及び前記容積低減部材の下流端部に接触している圧縮状態で配置されている、容積補償部材と、
を有している、還元剤供給ユニット。
【請求項2】
前記容積低減部材は、第1の部分と第2の部分とを有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分の外径よりも小さい外径を有しており、前記キャップ部材は、前記容積低減部材の前記第1の部分に係合する、請求項1記載の還元剤供給ユニット。
【請求項3】
前記キャップ部材と、前記容積低減部材の前記第1の部分とは、金属である、請求項2記載の還元剤供給ユニット。
【請求項4】
前記容積低減部材の前記第1の部分の少なくとも一部は、前記キャップ部材内に配置されており、前記キャップ部材の外径は、前記容積低減部材の前記第2の部分の外径に等しい、請求項2記載の還元剤供給ユニット。
【請求項5】
前記キャップ部材は、前記容積低減部材の前記第1の部分とのプレス嵌め係合部を有している、請求項4記載の還元剤供給ユニット。
【請求項6】
前記キャップ部材は、前記容積低減部材の前記第1の部分に溶接されている、請求項4記載の還元剤供給ユニット。
【請求項7】
前記容積低減部材は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に角度付けられた面を有しており、前記角度付けられた面は、前記容積低減部材の長手方向軸線に対して直交する角度とは異なる角度である、請求項2記載の還元剤供給ユニット。
【請求項8】
前記容積低減部材の前記第1の部分と、前記第2の部分の第1部とは、金属組成物であり、前記容積低減部材の前記第2の部分の第2部は、プラスチック組成物である、請求項2記載の還元剤供給ユニット。
【請求項9】
前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第2部は、前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第1部の少なくとも一部の上にオーバーモールドされている、請求項8記載の還元剤供給ユニット。
【請求項10】
前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第1部はビームを画成しており、前記ビームの周りに、前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第2部がモールドされており、前記ビームは、前記容積低減部材の前記第2の部分の前記外径の半径方向内側に位置している、請求項8記載の還元剤供給ユニット。
【請求項11】
前記キャップ部材は、第1の軸方向端部と第2の軸方向端部とを有する円筒状の側壁と、前記第1の軸方向端部から半径方向内側に延在する環状の部材と、を有しており、前記キャップ部材の前記第2の軸方向端部は、前記容積低減部材の1つの部分の周りに配置され、該部分に係合している、請求項1記載の還元剤供給ユニット。
【請求項12】
流体インジェクタであって、
前記流体インジェクタの第1の端部に配置された、流体を受容するための流体入口と、前記流体インジェクタの第2の端部に配置された、前記流体を放出するための流体出口と、を備え、前記流体インジェクタは、前記流体入口から前記流体出口までの流体路を画成しており、
前記流体インジェクタの前記流体入口に配置された端部を有する管であって、前記管を前記流体路が通っている管と、
前記流体インジェクタの前記流体入口の近位で前記管内に配置されたフィルタと、
前記流体インジェクタの前記流体入口から前記流体出口までの流体流の方向に関して、前記フィルタの下流で、前記管内に配置された容積低減部材であって、前記容積低減部材は、前記管の内面に接触しており、該容積低減部材を貫通するように画成された孔を有しており、前記孔は、前記流体インジェクタを通る前記流体路の少なくとも一部を画成しており、前記孔は、前記管の内径よりも小さい直径を有しており、前記容積低減部材は、前記流体インジェクタ内の前記流体路の容積を該容積低減部材が減らすように、前記管内の容積を占有する、容積低減部材と、
内部に前記フィルタが配置されているキャップ部材であって、前記キャップ部材は、前記フィルタと前記容積低減部材と前記キャップとが単一の組立部材を形成するように、前記容積低減部材に取り付けられている、キャップ部材と
前記流体インジェクタ内に配置されている可動アーマチュアと、
前記流体インジェクタ内に配置されているばねであって、前記ばねは、前記可動アーマチュアに接触する第1の長手方向端部と、第2の長手方向端部とを有している、ばねと、
前記流体路に沿った還元剤流の方向に関して、前記可動アーマチュア及び前記ばねの上流に配置されたばね調節管であって、前記ばね調節管は、前記ばねの前記第2の長手方向端部と接触する第1の長手方向端部と、前記容積低減部材内に配置されずに、前記容積低減部材と隣接し、かつ、接触する、第2の長手方向端部とを有する、ばね調節管と、
前記流体インジェクタ内に配置されている固定された極片であって、前記固定された極片は、前記可動アーマチュアに係合するか、または、該可動アーマチュアから離れる第1の長手方向端部と、第2の長手方向端部とを有しており、前記固定された極片は、前記ばね調節管が部分的に配置される貫通孔を有する、固定された極片と、
圧縮可能な材料から構成された容積補償部材であって、前記容積補償部材は、前記固定された極片の前記第2の長手方向端部と、前記容積低減部材の、前記流体路に沿った還元剤流の方向に関して下流端部との間に、かつ、前記極片の前記第2の長手方向端部及び前記容積低減部材の下流端部に接触している圧縮状態で配置されている、容積補償部材と、
を備える流体インジェクタ。
【請求項13】
前記容積低減部材は、第1の部分と第2の部分とを有しており、前記第1の部分は、前記第2の部分の外径よりも小さい外径を有しており、前記キャップ部材は、前記容積低減部材の前記第1の部分に取り付けられる、請求項12記載の流体インジェクタ。
【請求項14】
前記容積低減部材の前記第1の部分は、前記キャップ部材内に配置されており、前記キャップ部材の外径は、前記容積低減部材の前記第2の部分の外径に等しい、請求項13記載の流体インジェクタ。
【請求項15】
前記キャップ部材は、前記容積低減部材の前記第1の部分とのプレス嵌め取付け部を有している、請求項13記載の流体インジェクタ。
【請求項16】
前記キャップ部材は、前記容積低減部材の前記第1の部分に溶接されている、請求項13記載の流体インジェクタ。
【請求項17】
前記容積低減部材は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に角度付けられた面を有しており、前記角度付けられた面は、前記容積低減部材の長手方向軸線に対して直交する角度とは異なる角度である、請求項13記載の流体インジェクタ。
【請求項18】
前記容積低減部材の前記第1の部分と、前記第2の部分の第1部とは、金属組成物であって、前記容積低減部材の前記第2の部分の第2部は、プラスチック組成物である、請求項13記載の流体インジェクタ。
【請求項19】
前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第2部は、前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第1部の一部の上にオーバーモールドされており、前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第1部はビームを画成しており、前記ビームの周りに、前記容積低減部材の前記第2の部分の前記第2部がモールドされており、前記ビームは、前記容積低減部材の前記第2の部分の前記外径の半径方向内側に位置している、請求項18記載の流体インジェクタ。
【請求項20】
前記流体インジェクタは、還元剤供給ユニットの一部を形成しており、前記キャップ部材は、第1の軸方向端部と第2の軸方向端部とを有する円筒状の側壁と、前記第1の軸方向端部から半径方向内側に延在した環状の部材と、を有しており、前記キャップ部材の前記第2の軸方向端部は、前記容積低減部材の1つの部分の周りに配置され、該部分に係合している、請求項12記載の流体インジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、−付けで出願された、「減じられた流体容積を有する還元剤供給ユニット用のインジェクタ」と題する米国特許出願第−号(代理人整理番号2017P03658US)、−付けで出願された、「還元剤供給ユニット用のシール部材」と題する米国特許出願第−号(代理人整理番号2017P03660US)、および−付けで出願された、「流体容積低減アッセンブリを有する還元剤供給ユニット用のインジェクタ」と題する米国特許出願第−号(代理人整理番号2017P03661US)に関連する。上記出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に還元剤供給ユニット(RDU)の流体インジェクタに関し、特に、非パージ用途のための堅牢なRDU流体インジェクタに関する。
【背景技術】
【0003】
欧州および北米における排出規制は、特に圧縮点火(ディーゼル)エンジンや、希薄条件および超希薄条件下で作動する(通常は直接噴射が行われる)成層燃焼火花点火式エンジンなどの希薄燃焼技術のための、新たな排気後処理システムの実現を促進している。希薄燃焼エンジンは、高レベルの窒素酸化物(NO)排出物を発生し、このNO排出物は、希薄燃焼の酸素リッチな排気環境において処理することが困難である。これらの条件下でNOを処理する排気後処理技術が現在開発されつつある。
【0004】
これらの技術のうちの1つは、排気窒素酸化物(NO)とのアンモニア(NH)の反応を促進して、窒素(N)および水(HO)を発生させる触媒を含む。この技術は、選択的触媒還元(SCR)と呼ばれる。アンモニアは、自動車環境においてその純粋な形態で取り扱うことが困難であり、したがって通常は、これらのシステムと共に、ディーゼル排気流体(DEF)および/または典型的には32%の尿素(CO(NH)濃度の液体尿素水溶液が使用される。溶液は、AUS−32と呼ばれ、AdBlueという商品名でも知られている。還元剤溶液は、典型的には、インジェクタを用いて高温の排気流に供給され、触媒に流入する前にアンモニアに変換される。特に、溶液は、高温排気流へ供給され、加熱分解を受けた後に排気においてアンモニアに変換されるか、または熱分解を受けた後に、アンモニアおよびイソシアン酸(HNCO)に変換される。次いで、イソシアン酸は、排気に存在する水分との加水分解を受け、アンモニアと二酸化炭素(CO)とに変換される。加熱分解および加水分解から生じたアンモニアは、前述のように、窒素酸化物との触媒反応を受ける。
【0005】
AUS−32またはAdBlueの凍結点は−11℃であり、寒い気候ではシステムの凍結が生じることが予想される。これらの流体は水性であるので、凍結時には固体状態に移行した後に体積膨張が生じる。膨張している固体は、インジェクタのような閉じられた容積に大きな力を加える恐れがある。このような膨張は、インジェクタユニットに損傷を与える恐れがあるので、還元剤膨張に対処するための異なるSCRストラテジが存在している。
【0006】
市場には2つの公知のSCRシステム方式が存在している。すなわち、パージシステムと非パージシステムである。パージSCRシステムでは、車両エンジンが停止したときに、還元剤尿素および/またはDEF溶液がRDUからパージされる。非パージSCRシステムでは、還元剤は、車両の耐用期間にわたってRDU内に留まる。非パージSCRシステムの通常の作動中、RDUインジェクタは、還元剤の凍結点を越える温度で作動するので、RDU内の還元剤は液状に維持されている。しかしながら、非パージSCRシステムで車両エンジンが停止されると、RDUインジェクタは還元剤で満たされたままになり、これにより、RDUインジェクタは凍結状態で膨張した還元剤により損傷を受け易くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示実施形態は、既存のRDU流体インジェクタで見受けられる欠点を克服し、還元剤の凍結点以下の温度にあるRDUによる弊害が減じられる非パージSCRシステム用の改善された流体インジェクタを提供する。例示実施形態によれば、RDUは、流体インジェクタの第1の端部に配置された、還元剤を受容するための流体入口と、流体インジェクタの第2の端部に配置された、還元剤を放出するための流体出口と、を有し、流体入口から流体出口までの還元剤のための流体路を画成している、流体インジェクタを備えている。流体インジェクタはさらに、流体インジェクタの流体入口に配置された端部を有する管部材であって、流体路に沿って還元剤を通すように構成された管部材と、流体インジェクタの流体入口の近位で管部材内に配置されたフィルタと、を有している。流体インジェクタの流体入口から流体出口への還元剤流れ方向で見てフィルタの下流で、管部材内に容積低減部材が配置されており、この容積低減部材は管部材の内面に接触しており、この容積低減部材を貫通するように画成された孔を有している。孔は、流体インジェクタを通る流体路の少なくとも一部を画成し、管部材の内径よりも小さい直径を有しており、これにより、容積低減部材は、管部材内の一定の容積を占有するので、還元剤のための流体路が流体インジェクタ内で占める容積を減らす。さらに、流体インジェクタは、キャップ部材を有しており、このキャップ部材内にフィルタが配置されている。例示実施形態では、このキャップ部材は、フィルタと容積低減部材とキャップとが単一の組立部材を形成するように、容積低減部材に係合している。
【0008】
一例示実施形態では、容積低減部材は、第1の部分と第2の部分とを有しており、第1の部分は、第2の部分の外径よりも小さい外径を有しており、キャップ部材は、容積低減部材の第1の部分に係合する。キャップ部材と、容積低減部材の少なくとも第1の部分とは、金属であり、かつ/または金属組成物を有している。
【0009】
さらに、容積低減部材の第1の部分の少なくとも一部は、キャップ部材内に配置されており、したがって、キャップ部材の外径は、容積低減部材の第2の部分の外径に等しい。
【0010】
一例示実施形態では、キャップ部材は、容積低減部材の第1の部分とのプレス嵌め係合部を有している。別の例示実施形態では、キャップ部材は、容積低減部材の第1の部分に溶接されている。
【0011】
容積低減部材は、第1の部分と第2の部分との間に角度付けられた面を有していてよく、角度付けられた面は、容積低減部材の長手方向軸線に対して直交する角度とは異なる角度である。
【0012】
いくつかの例示実施形態では、容積低減部材の第1の部分と、第2の部分の第1部とは、金属組成物であり、容積低減部材の第2の部分の第2部は、プラスチック組成物である。一例示実施形態では、容積低減部材の第2の部分の第2部は、容積低減部材の第2の部分の第1部の少なくとも一部の上にオーバーモールドされている。さらに、容積低減部材の第2の部分の第1部はビームを画成しており、ビームの周りに、容積低減部材の第2の部分の第2部がモールドされており、ビームは、容積低減部材の第2の部分の外径の半径方向内側に位置している。
【0013】
一例示実施形態では、キャップ部材は、第1の軸方向端部と第2の軸方向端部とを有する円筒状の側壁と、第1の軸方向端部から半径方向内側に延在する環状の部材と、を有しており、キャップ部材の第2の軸方向端部は、容積低減部材の1つの部分の周りに配置されていて、この部分に係合している。
【0014】
図面とともに例示実施形態を参照して、本発明の態様を以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一例示実施形態による非パージSCRシステム用のRDUを示す断面図である。
図2図1のRDUの流体インジェクタを示す断面図である。
図3】一例示実施形態による図1に示したRDUの流体インジェクタの入口部分を示す拡大断面図である。
図4】一例示実施形態による図1に示したRDUの流体インジェクタの構成要素を示す分解斜視図である。
図5】一例示実施形態による図1に示したRDUの流体インジェクタの出口部分を示す拡大断面図である。
図6】別の例示実施形態による図1に示したRDUの流体インジェクタの入口部分を示す拡大断面図である。
図7図6に示した流体インジェクタの構成要素を示す分解斜視図である。
図8図6の構成要素を示す断面図である。
図9】さらに別の例示実施形態による図1に示したRDUの流体インジェクタの入口部分を示す拡大断面図である。
図10図9に示した流体インジェクタの構成要素を示す断面図である。
図11図9に示した流体インジェクタの構成要素を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の例示実施形態の説明は、実際は単なる例であり、本発明、その適用または使用を限定するものではない。
【0017】
例示実施形態は、一般にRDUインジェクタ内で凍結する還元剤、DEF、および/または尿素水溶液による損傷作用が減じられる、非パージSCRシステム用のRDUに関する。
【0018】
図1には、一例示実施形態による非パージSCRシステムのRDU10が示されている。RDU10は、全体を符号12で示したソレノイド流体インジェクタを備えており、ソレノイド流体インジェクタ12は、流体の調量機能を提供し、計量供給用途において車両の排ガス路内への流体の噴霧準備を提供する。つまり、流体インジェクタ12は、選択的触媒還元(SCR)触媒コンバータ(図示せず)の上流の排ガス流路に関連するように構成および配置されている。流体インジェクタ12は、電気的に操作される、ソレノイド燃料インジェクタであってよい。図1および図2に示すように、流体インジェクタ12は、コイル14と可動アーマチュア16とを有するアクチュエータユニットを含む。インジェクタ12の構成要素は、インジェクタ12を通る還元剤、DEF、および/または尿素溶液のための流体路を画成する。RDU10は、還元剤、DEF、および/または尿素溶液を車両エンジンの排ガス路内に噴射するように構成されており、これらの還元剤、DEF、および/または尿素溶液は、以下では簡略化のために「還元剤」と呼ばれる。
【0019】
図1に示したように、流体インジェクタ12は、RDU10の内部キャリヤ18内に配置されている。全体的に符号20で示されるインジェクタシールドは、上部シールド20Aと下部シールド20Bとから成っている。上部シールドと下部シールドとは、インジェクタ12を取り囲んでいて、下部シールド20Bのフランジ22のタングを、キャリヤ18および上部シールド20Aのシェルフ部材上に被せるように折り曲げることにより、キャリヤ18に連結されている。結果として、シールド20とキャリヤ18とはインジェクタ12に対して位置固定される。
【0020】
図1に全体を符号24で示した、RDU10の入口カップ構造は、カップ26と、このカップ26に統合されて形成された流体供給管28とを有している。流体供給管28は、還元剤源(図示せず)に連通しており、この還元剤は、インジェクタ12の流体入口30内に供給され、インジェクタの流体出口32から、車両エンジン(図示せず)の排気流内へと排出される。インジェクタ12の流体入口30は、流体供給管28に流体連通している。流体出口32は、RDU10の下部シールド20Bの端部に直接連結されている排気フランジ36のフランジ出口34に流体接続されている。
【0021】
インジェクタ12はインジェクタ本体構造を含み、このインジェクタ本体構造内には、インジェクタ12の構成要素が配置されている。インジェクタ本体構造は、第1のインジェクタ本体部材38と、バルブ本体部材40とを含む。第1のインジェクタ本体部材内にはコイル14とアーマチュア16とが配置されており、バルブ本体部材内にはインジェクタ12のバルブアッセンブリが少なくとも部分的に配置されている。第1のインジェクタ本体部材38とバルブ本体部材40とは、互いに直接または間接的に固定接続されている。
【0022】
図1図3を参照すると、流体インジェクタ12は、第1のインジェクタ本体部材38内に少なくとも部分的に配置された管部材42を含む。管部材42の外面は、第1のインジェクタ本体部材38の内面に接触している。管部材42の開放端部は、カップ26内に配置されていて、流体供給管28に流体連通している。カップ26内には、カップの内面と、管部材42の外面との間に、管部材42の開放端部の近くでOリング44が配置されている。Oリング44は、流体供給管28を出ていく還元剤が、インジェクタ12の管部材42の開放端部内を通過することを確実にするために機能している。
【0023】
流体インジェクタ12のアクチュエータユニットはさらに、第1のインジェクタ本体部材38内に固定的に配置された極片46を含む。コイル14は少なくとも部分的に極片46とアーマチュア16とを取り囲んでいる。極片46は、インジェクタ12内でアーマチュア16の上流に配置されている。極片46は、この極片を軸方向で貫通するように画成された中心孔を有している。
【0024】
アーマチュア16は、ポケットを画成するU字形の区分を含み、このポケット内にはばね50の少なくとも一部が配置されている。アクチュエータユニットの一部であるばね50は、可動アーマチュア16を付勢し、これによりアーマチュア16は、コイル14に電流が流されないときは極片46から間隔を置いて位置している。ばね50は部分的に、極片46の中心孔内に延在している。極片46内に延在しているばね50の端部は、ばね調節管52に接触している。ばね調節管52は、ばね50の(インジェクタ12を通る還元剤の流れの方向に関して)上流で、極片46の中心孔内に少なくとも部分的に配置されている。ばね調節管52は、このばね調節管を軸方向で貫通するように画成された孔を有している。ばね調節管52の貫通孔は、流体インジェクタ12内の還元剤のための流体路を部分的に画成しており、極片46内の還元剤のための流体路のみを画成している。ばね調節管52は、ばね50との係合により、流体インジェクタ12を通る還元剤の動的な流れを較正するために使用される。
【0025】
アーマチュア16はさらに、ポケットの内部から、ピン部材58の上流端部までアーマチュア16を貫通するように画成された1つ以上の通路60(図1および図2)を含む。通路60は、アーマチュア16の周囲に等間隔で配置されていてよい。一例示実施形態では、アーマチュア16は、ポケット壁16Aによって形成されたポケットの基部の周り全体に画成された単一の通路を含む。通路60により還元剤は、アーマチュア16のポケットから、ピン部材58の上流端部の周りのスペースまで流れることができる。アーマチュア16のポケットと通路60とは一緒に、流体インジェクタ12の還元剤流体路を部分的に画成し、アーマチュア16を貫通する、またはアーマチュア16の周りを通る流体路の部分のみを画成する。
【0026】
図1および図2および図5を参照すると、インジェクタ12のバルブアッセンブリは、シール部材54と座部56とを備えている。シール部材54は、シール部材54とアーマチュア16の下流端部との間に配置されたピン部材58を介してアーマチュア16に接続されている。シール部材54と、ピン部材58と、アーマチュア16とは、1つのアーマチュアアッセンブリを形成するために組み合わせることができる。コイル14が励磁されると、コイル14は、アーマチュア16に作用するばね50の付勢力を克服する電磁力を発生させ、アーマチュア16を極片46に向かって動かす。アーマチュアは対応してピン部材58を動かすので、シール部材54が座部56から持ち上げられて座部56から離れ、アーマチュアアッセンブリを開放位置へと動かし、したがって、還元剤が流体出口32を通過してフランジ出口34へと到り、車両エンジンの排ガス路内へ到る。コイル14への通電が遮断されると、電磁力は消え、ばね50はアーマチュア16を付勢するので、アーマチュア16は極片46から離れ、結果としてシール部材54は座部56に係合してシールし、アーマチュアアッセンブリを閉鎖位置へ戻すように変更する。閉鎖位置にあるアーマチュアアッセンブリにより、還元剤は、座部56とフランジ出口34を通って流れることができず、車両エンジンの排ガス路内へ入ることはできない。
【0027】
上述したように、RDU10は、非パージSCR排気後処理システムの部分を成す。結果として、車両エンジンがオフにされた後、還元剤が流体インジェクタ12内に残る。例示実施形態では、流体インジェクタ12は、流体インジェクタ12内の還元剤の量を減らすように構成されている。言い換えると、流体インジェクタ12を通る還元剤のための流体路の総容積が減じられている。インジェクタ12内の還元剤のためのスペースが小さくなることにより、潜在的に凍結するかもしれないRDU10内の還元剤の量が減り、これにより、凍結した還元剤からの膨張力によって損傷を受けるインジェクタ12の損傷率が減少する。
【0028】
流体インジェクタ12内の還元剤流体路の容積を減らすために、バルブ本体部材40の厚さを増大させる。さらに、ピン部材58を中実のエレメントとして構造化し、還元剤がピン部材を貫通するのではなく、ピン部材58の外面の周りを流れるようにする。インジェクタ12を通る還元剤のための流体路を部分的に画成する、ピン58の外面とバルブ本体部材40の内面との間のスペースが、狭められる。この狭められた流体路の部分は、流体インジェクタ12内のアーマチュア16と座部56との間の還元剤のための流体路だけである。ピン58とバルブ本体部材40との間の狭められた流体路は、RDU10の通常作動中、還元剤の噴射を実施するために流体インジェクタ12を通る十分な還元剤流量を提供すると同時に、インジェクタ12内における還元剤の比較的小さい体積を維持し、インジェクタ内での還元剤の凍結によりインジェクタ12が損傷を受ける危険を減らす。
【0029】
さらに、ばね50が少なくとも部分的に配置されている、アーマチュア16のポケットの直径が減らされ、これにより、アーマチュア16のポケット壁16Aの厚さを増やすことができる。一例示実施形態では、ポケット壁16Aの厚さは、ポケットの直径の45%〜75%であり、例えば約60%である。ポケット壁16Aの厚さの増加、ならびにバルブ本体部材40の増大した厚さ、および中実なピンであるピン部材58により、結果的にインジェクタ12の構成要素は強固になり、したがって、還元剤の凍結力に対する抵抗力が上がる。
【0030】
さらに、ばね調節管52の孔は、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積を減らすように寸法設定されている。一例示実施形態では、ばね調節管52の孔の直径は、極片46の外径の12%〜22%であり、特に16%〜19%である。
【0031】
図3には、インジェクタ12の上流部分が示されている。管部材42が少なくとも部分的にインジェクタ12内に延在している。インジェクタ12を通る還元剤流体路は、管部材42を通過する。インジェクタ12は、管部材42の開放端部近くで、管部材42内に配置されたフィルタ204を含む。フィルタ204は、還元剤の凍結による膨張力に良好に耐えられるように、ステンレス鋼材料などの、構造的に堅牢な焼結された金属フィルタである。フィルタ204は、付加された強度のための支持外部構造を有していてよい。図3により最もよくわかるように、フィルタ204はキャップ部材206内に配置されている。キャップ部材206は、実質的に円筒形状であって、周方向に延在する側壁206Aを有しており、この側壁は、キャップ部材内にフィルタ204を収容するためにサイズを規定された内部容積を画成している。キャップ部材206は、管部材42内に嵌め込まれるように寸法設定されていて、特にこれにより、キャップ部材206の側壁206Aの外面が管部材42の内面に接触している。キャップ部材206はさらに、キャップ部材206の軸方向端部に沿って配置され、かつ側壁206Aから半径方向内側に向かって延在する環状部材206Bを含む。環状部材206Bは、キャップ部材206内にフィルタ204を固定位置に維持するために機能する。キャップ部材206は、金属等の組成物から構成されている。
【0032】
インジェクタ12はさらに、図1図3に示したように、キャップ部材206の上流にありキャップ部材206に接触している、管部材42内に配置された保持リング207を有している。保持リング207は、管部材の内面に沿って管部材42に対して位置固定されている。管部材42に沿った位置で位置固定されている保持リング207は、インジェクタ12の下流の構成要素を、第1のインジェクタ本体部材38内の固定位置に維持するために機能する。一例示実施形態では、保持リング207は、管部材42の内面に沿って溶接されている。このような溶接接続は、保持リング207の上縁部の全周に沿って形成されている。しかしながら、別の接続機構を、管部材42への保持リング207の固定のために利用してもよいことがわかる。
【0033】
図1図4を参照すると、インジェクタ12はさらに、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積をさらに減じるために機能する容積低減部材208を有している。低減部材208は、図4に示したように、実質的に円筒状の形状であり、上側(上流)端部と、底面側(下流)端部とを有している。一実施形態では、容積低減部材208は、ステンレス鋼などの金属から構成されている。しかしながら、容積低減部材208が別の金属または金属組成物から形成されていてもよいことを理解されたい。容積低減部材208の外面は、管部材42の内面に接触するサイズとなっている。
【0034】
容積低減部材208はさらに、一方の軸方向(上側)端部から他方の軸方向(底面側)端部へと、容積低減部材208を軸方向で貫通するように画成された孔208A(図2および図3)を有している。孔208Aは、容積低減部材208の長手方向軸線に沿って位置しており、孔自体が、インジェクタ12を通過する還元剤のための流体路の一部を形成している。孔208Aは、容積低減部材208内を通る、または容積低減部材208の周りを通る還元剤のための流体路のみを形成する。一例示実施形態では、孔208Aの直径は、容積低減部材208の外径の12%〜20%であり、例えば約16%である。容積低減部材208は半径方向で管部材42の内面に向かって延在しているので、また孔208Aの直径は容積低減部材208の外径に比べて小さいので、容積低減部材208は、インジェクタ12内に還元剤が留まることができるスペースまたは容積を減らし、これにより内部の還元剤の流体路の容積を減らす。容積低減部材208はさらに、ばね調節管52をインジェクタ12内で位置保持するのを支援するので、ばね調節管52は、ばね50に対する所望の力を維持し、これにより較正の損失を阻止する。特に、保持リング207は、フィルタ204の位置を維持し、したがってキャップ部材206の位置を維持する。キャップ部材206は、容積低減部材208の位置を維持し、容積低減部材は、ばね調節部材52の位置を維持する。
【0035】
図1図4を参照すると、流体インジェクタ12はさらに、容積低減部材208の底面側(下流)端部と、極片46の上側との間に配置された容積補償部材210を有している。容積補償部材210は弾性材料から構成されており、容積低減部材208と極片46との間のスペースを埋めるために用いられ、これにより、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積をさらに減らすことができる。容積補償部材210は、組み付けられる際に圧縮状態でインジェクタ12内に位置することができ、容積低減部材208と、極片46と、管部材42の内面と、ばね調節部材52の外面とに接触している。
【0036】
図5には、流体インジェクタ12の下流端部部分が示されている。図面からわかるように、座部56は、座部56を軸方向で貫通するように画成された孔を有する。一例示実施形態では、座部56の貫通孔の長さは、座部56を通る還元剤流体路の容積、特に、シール部材54と係合する座部56のシール帯の下方の袋状容積をさらに減らすように、短くされている。
【0037】
一例示実施形態によれば、流体インジェクタ12は、積層配置されている複数のオリフィスディスク212を有している。オリフィスディスク積層体は、座部56の下流端部に向かって配置されている。図5に示した例示実施形態では、ディスク積層体は第1のディスク212Aを含み、この第1のディスクは、インジェクタ12から出ていく還元剤の所望の噴霧パターンを提供するように構成された1つ以上のオリフィスを有している。第1のディスク212Aのオリフィスの寸法および位置は、変化させることができ、特に車両エンジンの還元剤調量要求に依存していてよいことがわかる。ディスク積層体はさらに、第2のディスク212Bを含み、この第2のディスクは、第1のディスク212Aの下流に配置されていて、還元剤噴霧が通過するオリフィスを有している。第2のディスク212Bは、第1のディスク212Aの厚さよりも大きな厚さを有し、第1のディスク212Aに対して配置され、第1のディスク212Aを支持しているので、第1のディスク212Aの上流の凍結した還元剤からの膨張力に起因する、より薄い第1のディスク212Aの変形を阻止する。
【0038】
上述したように、流体インジェクタ12、特に流体インジェクタの構成要素は、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積を減らすように構成されている。例示実施形態では、流体インジェクタ12内の流体路の容積の、(コイル14、アーマチュア16、極片46、ばね調節管52、容積低減部材208、容積補償部材210、フィルタ204、保持リング207、ばね50、ピン部材58、シール部材54、座部56、第1のインジェクタ本体部材20A、バルブ本体部材40を含むが、これらに限定されるものではない)インジェクタ12の構成要素の体積に対する比は、0.08〜0.30であり、特に0.12〜0.20であり、例えば約0.15である。これらの容積量は、管部材42の開放端部に沿った第1の平面の、流体インジェクタ12の長手方向軸線に対して直交する平面(すなわち、流体入口30)と、第2のディスク212Bの最も下方の(下流の)面に沿った第2の平面(すなわち、流体出口32)との間で計算される。流体インジェクタ12内のインジェクタ構成要素体積に対する還元剤路の容積の特別な比は、コスト数と、関連するファクタの性能に応じて変化してよく、約0.08〜約0.30の間の任意の値であってよいことが理解される。上述した範囲内に入るインジェクタ構成要素体積に対する還元剤流体路容積の減じられた比を有する流体インジェクタを提供することで、有利には、インジェクタ12内の還元剤が減少し、インジェクタ12内で還元剤が凍結した場合にRDU10が損傷する確率を減少させる。
【0039】
図6図8に示す別の例示実施形態では、流体インジェクタ12が容積低減部材308を備えており、この容積低減部材は、図1図5について上述した容積低減部材208の特徴の多くを有している。容積低減部材208と同様に、容積低減部材308は、ステンレス鋼、または類似の組成物から構成されており、流体インジェクタ12の管部材42内に、容積補償部材210とフィルタ204との間に配置されている。しかしながら、容積低減部材308は、第1の部分308Aと第2の部分308Bとを有している。図7に示すように、第1の部分308Aと第2の部分308Bのそれぞれは円筒形状を有しており、第1の部分308Aの外径は、第2の部分308Bの外径よりも小さい。より詳しく後述するように、第1の部分308Aの外径は、第2の部分308Bの直径よりも、キャップ部材306の側壁306Aの厚さ分だけ小さい。容積低減部材308は、上側(上流)の端部と底面側(下流)の端部とを有しており、これらの端部はそれぞれ、第1の部分308Aと第2の部分308Bの軸方向端部を形成している。第2の部分308Bの外面は、管部材42の内面に接触するサイズとなっている。
【0040】
上述したように、容積低減部材308の第1の部分308Aの外径は、第2の部分308Bの外径よりも小さい。図6図8に示したように、容積低減部材308は、角度付けられた環状面またはスカート308Dを有し、この環状面またはスカートは、軸方向で、第1の部分308Aの外面と、第2の部分308Bの外面との間に延在しており、これら両外面の間の物理的なインターフェースとして機能する。容積低減部材308および/またはインジェクタ12の長手方向軸線に対する、角度付けられた面308Dの角度は、鋭角である。選択的に、角度付けられた面308Dの角度は、容積低減部材308および/またはインジェクタ12の長手方向軸線に対して直角である。
【0041】
容積低減部材308はさらに、一方の軸方向(上側)端部から他方の軸方向(底面側)端部へと、容積低減部材308を軸方向で貫通するように画成された孔308Cを有している。孔308Cは、容積低減部材308の長手方向軸線に沿って位置しており、孔自体が、インジェクタ12を通過する還元剤のための還元剤流体路のみを形成しており、容積低減部材308を貫通する、または容積低減部材308の周りの還元剤流体路の一部を形成している。一例示実施形態では、孔308Cの直径は、容積低減部材308の外径の12%〜20%であり、例えば約16%である。容積低減部材308は管部材42の内面に向かって延在しているので、また孔308Cの直径は、容積低減部材308の外径に比べて比較的小さいので、容積低減部材308は、インジェクタ12内の所定の容積を占めており、インジェクタ12を通る還元剤流体路のスペースまたは容積を減らし、これにより、凍結してインジェクタ12を潜在的に損傷する恐れのあるインジェクタ12内の還元剤の量を減らす。
【0042】
キャップ部材306は、図1図5について上述したキャップ部材206と同じいくつかの特徴を有している。図7に示したように、キャップ部材306は、実質的に円筒形状であって周方向に延在する側壁306Aを有しており、この側壁は、キャップ部材内にフィルタ204を収容するためにサイズを規定された内部容積を画成している。キャップ部材306は、管部材42内に嵌め込まれるように寸法設定されており、特にこれにより、キャップ部材306の側壁306Aの外面が、管部材42の内面に接触している。キャップ部材306はさらに、キャップ部材306の軸方向(上流)端部に沿って配置され、かつ側壁306Aから半径方向内側に向かって延在する環状部材306Bを有する。環状部材306Bは、キャップ部材306内でフィルタ204を固定位置に維持するために機能する。キャップ部材206と同様に、キャップ部材306は、金属または類似の組成物から構成され、フィルタ204に構造的支持を提供する。
【0043】
例示実施形態では、キャップ部材306は、容積低減部材308に係合して、容積低減部材308に固定されている。このようにして、フィルタ204と、キャップ部材306と、容積低減部材308とは、図8に示したように、単一の、一体的な、統合された構成要素を形成する。 フィルタ204と、キャップ部材306と、容積低減部材308とから形成された単一の一体的な構成要素を有することにより、好適には、インジェクタを製造する間にインジェクタ12を組み立てるためのシンプルで複雑でないプロセスが可能である。
【0044】
例示実施形態では、キャップ部材306は、図6および図8に示したように、容積低減部材308の第1の部分308Aの少なくとも一部の上に嵌め込まれ、これに係合し、またはその他の形式で取り付けられる。一例示実施形態では、キャップ部材306は、第1の部分308Aと共にプレス嵌め係合部を形成している。別の例示実施形態では、キャップ部材306の底面306Cと第1の部分308Aの半径方向外面との間の隅肉溶接のように、キャップ部材306は、第1の部分308Aに溶接されている。このような実施形態のそれぞれにおいて、角度付けられた面308Dは、キャップ部材306を第1の部分308Aに固定するための十分なスペースを提供する。キャップ部材306は、別の機構を介して、容積低減部材308の第1の部分308Aに固定されてもよい。
【0045】
容積低減部材308の第1の部分308Aの上に嵌め込まれるキャップ部材306により、側壁306Aの外径は、第2の部分308Bの外径と同じ、またはほぼ同じである。図6および図8参照。
【0046】
上述したように、容積低減部材308は、一例示実施形態によれば、ステンレス鋼などの金属から構成されている。別の例示実施形態では、第2の部分308Bの一部は、プラスチック、または類似の組成物から構成されている。特に図9図11に示すように、第1の部分308Aと、第2の部分308Bの第1部308B−1とは、単一の金属部材として形成されており、第2の部分308Bの第2部308B−2は、第2の部分の第1部の周りにオーバーモールドされたプラスチックである。図11には、金属の第1の部分308Aと、第2の部分308Bの第1部308B−1とが示されている。第2の部分308Bの第1部308B−1は、図10に示したように、第1の部分308Aから(下流)軸方向に延在する中間区分308B−3と、この中間区分308B−3に取り付けられ、ここから(下流)軸方向に延在する遠位区分308B−4とを含む。遠位区分308B−4は、容積低減部材308(および/またはインジェクタ12)の長手方向軸線から、中間区分308B−3の半径方向の延びよりもさらに半径方向に延在しており、これによりビームを形成している。オーバーモールドされたプラスチックまたはその他類似の組成物から成る第2の部分308Bの第2部308B−2は、中間区分308B−3と遠位区分308B−4とにより形成されたビームの周りに形成されており、したがって、単一の、一体的な統合された構成要素として容積低減部材308を形成している。上述したように、容積低減部材308は、キャップ部材306に接続されているので、結果として、容積低減部材308、フィルタ204、キャップ部材306は、組み立てられたインジェクタ12における使用のための単一の組み立てられた構成部材を形成する。
【0047】
インジェクタ12の組立中、単一の組立構成要素(フィルタ204、キャップ部材306、容積低減部材308)が、容積補償部材210と接触しながら圧力下で管部材42内に挿入される。挿入に次いで、依然として圧力下で、キャップ部材306が、管部材42の上側部分に沿った全ての交差部に沿って管部材42に溶接される。一実施形態では、溶接接続部は隅肉溶接である。
【0048】
本明細書において例示実施形態について例示的な形式で説明してきた。使用されている用語は限定の性質ではなく説明の文言の性質で有ることが意図されていると理解される。上記の教示に照らして、本発明の多数の改良および変更が可能であることは明らかである。上記説明は実際は単なる例であり、したがって、添付の請求の範囲内で規定される本発明の思想および範囲を逸脱することなく変更をなすことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11