(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容積低減部材は側壁を有しており、該容積低減部材の側壁は、前記流体インジェクタの長手方向軸線に沿った方向で波状に形成されている、請求項2記載の還元剤供給ユニット。
前記キャリブレーションフィルタ管は、前記キャリブレーションフィルタ管の前記第1の端部部分から軸方向に延在する第2の部分と、前記第2の部分と、前記キャリブレーションフィルタ管の前記第2の端部との間に位置する第3の部分とを有しており、前記容積低減部材は、前記第2の部分の周りに配置されており、前記第3の部分は、前記極片の前記孔内に配置されており、前記容積低減部材の下流端部は、前記流体路に沿った還元剤流方向に関して、前記極片の上流端部に隣接している、請求項5記載の還元剤供給ユニット。
前記キャリブレーションフィルタ管は、前記キャリブレーションフィルタ管の前記第1の端部部分から軸方向に延在する第2の部分と、前記第2の部分と、前記キャリブレーションフィルタ管の前記第2の端部との間に位置する第3の部分とを有しており、前記容積低減部材は、前記第2の部分の周りに配置されており、前記第3の部分は前記極片の前記孔内に配置されており、前記容積低減部材の下流端部は、前記流体路に沿った流体の流れの方向に関して、前記極片の上流端部に隣接している、請求項11記載の流体インジェクタ。
前記キャリブレーションフィルタ管は、前記キャリブレーションフィルタ管の前記第3の部分から延在する環状のタブをさらに有しており、前記環状のタブは、前記極片の前記孔内に配置され、前記極片とプレス嵌め係合部を形成している、請求項13記載の流体インジェクタ。
【背景技術】
【0003】
欧州および北米における排出規制は、特に圧縮点火(ディーゼル)エンジンや、希薄条件および超希薄条件下で作動する(通常は直接噴射が行われる)成層燃焼火花点火式エンジンなどの希薄燃焼技術のための、新たな排気後処理システムの実現を促進している。希薄燃焼エンジンは、高レベルの窒素酸化物(NO
X)排出物を発生し、このNO
X排出物は、希薄燃焼の酸素リッチな排気環境において処理することが困難である。これらの条件下でNO
Xを処理する排気後処理技術が現在開発されつつある。
【0004】
これらの技術のうちの1つは、排気窒素酸化物(NO
X)とのアンモニア(NH
3)の反応を促進して、窒素(N
2)および水(H
2O)を発生させる触媒を含む。この技術は、選択的触媒還元(SCR)と呼ばれる。アンモニアは、自動車環境においてその純粋な形態で取り扱うことが困難であり、したがって通常は、これらのシステムと共に、ディーゼル排気流体(DEF)および/または典型的には32%の尿素(CO(NH
2)
2)濃度の液体尿素水溶液が使用される。溶液は、AUS−32と呼ばれ、AdBlueという商品名でも知られている。還元剤溶液は、典型的には、インジェクタを用いて高温の排気流に供給され、触媒に流入する前にアンモニアに変換される。特に、溶液は、高温排気流へ供給され、加熱分解を受けた後に排気においてアンモニアに変換されるか、または熱分解を受けた後に、アンモニアおよびイソシアン酸(HNCO)に変換される。次いで、イソシアン酸は、排気に存在する水分との加水分解を受け、アンモニアと二酸化炭素(CO
2)とに変換される。加熱分解および加水分解から生じたアンモニアは、前述のように、窒素酸化物との触媒反応を受ける。
【0005】
AUS−32またはAdBlueの凍結点は−11℃であり、寒い気候ではシステムの凍結が生じることが予想される。これらの流体は水性であるので、凍結時には固体状態に移行した後に体積膨張が生じる。膨張している固体は、インジェクタのような閉じられた容積に大きな力を加える恐れがある。このような膨張は、インジェクタユニットに損傷を与える恐れがあるので、還元剤膨張に対処するための異なるSCRストラテジが存在している。
【0006】
市場には2つの公知のSCRシステム方式が存在している。すなわち、パージシステムと非パージシステムである。パージSCRシステムでは、車両エンジンが停止したときに、還元剤尿素および/またはDEF溶液がRDUからパージされる。非パージSCRシステムでは、還元剤は、車両の耐用期間にわたってRDU内に留まる。非パージSCRシステムの通常の作動中、RDUインジェクタは、還元剤の凍結点を越える温度で作動するので、RDU内の還元剤は液状に維持されている。しかしながら、非パージSCRシステムで車両エンジンが停止されると、RDUインジェクタは還元剤で満たされたままになり、これにより、RDUインジェクタは凍結状態で膨張した還元剤により損傷を受け易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の例示実施形態の説明は、実際は単なる例であり、本発明、その適用または使用を限定するものではない。
【0018】
例示実施形態は、一般にRDUインジェクタ内で凍結する還元剤、DEF、および/または尿素水溶液による損傷作用が減じられる、非パージSCRシステム用のRDUに関する。
【0019】
図1には、一例示実施形態による非パージSCRシステムのRDU10が示されている。RDU10は、全体を符号12で示したソレノイド流体インジェクタを備えており、ソレノイド流体インジェクタ12は、流体の調量機能を提供し、計量供給用途において車両の排ガス路内への流体の噴霧準備を提供する。つまり、流体インジェクタ12は、選択的触媒還元(SCR)触媒コンバータ(図示せず)の上流の排ガス流路に関連するように構成および配置されている。流体インジェクタ12は、電気的に操作される、ソレノイド燃料インジェクタであってよい。
図1および
図2に示すように、流体インジェクタ12は、コイル14と可動アーマチュア16とを有するアクチュエータユニットを含む。インジェクタ12の構成要素は、インジェクタ12を通る還元剤、DEF、および/または尿素溶液のための流体路を画成する。RDU10は、還元剤、DEF、および/または尿素溶液を車両エンジンの排ガス路内に噴射するように構成されており、これらの還元剤、DEF、および/または尿素溶液は、以下では簡略化のために「還元剤」と呼ばれる。
【0020】
図1に示したように、流体インジェクタ12は、RDU10の内部キャリヤ18内に配置されている。全体的に符号20で示されるインジェクタシールドは、上部シールド20Aと下部シールド20Bとから成っている。上部シールドと下部シールドとは、インジェクタ12を取り囲んでいて、下部シールド20Bのフランジ22のタングを、キャリヤ18および上部シールド20Aのシェルフ部材上に被せるように折り曲げることにより、キャリヤ18に連結されている。結果として、シールド20とキャリヤ18とはインジェクタ12に対して位置固定される。
【0021】
図1に全体を符号24で示した、RDU10の入口カップ構造は、カップ26と、このカップ26に統合されて形成された流体供給管28とを有している。流体供給管28は、還元剤源(図示せず)に連通しており、この還元剤は、インジェクタ12の流体入口30内に供給され、インジェクタの流体出口32から、車両エンジン(図示せず)の排気流内へと排出される。インジェクタ12の流体入口30は、流体供給管28に流体連通している。流体出口32は、RDU10の下部シールド20Bの端部に直接連結されている排気フランジ36のフランジ出口34に流体接続されている。
【0022】
インジェクタ12はインジェクタ本体構造を含み、このインジェクタ本体構造内には、インジェクタ12の構成要素が配置されている。インジェクタ本体構造は、第1のインジェクタ本体部材38と、バルブ本体部材40とを含む。第1のインジェクタ本体部材内にはコイル14とアーマチュア16とが配置されており、バルブ本体部材内にはインジェクタ12のバルブアッセンブリが少なくとも部分的に配置されている。第1のインジェクタ本体部材38とバルブ本体部材40とは、互いに直接または間接的に固定接続されている。
【0023】
図1〜
図3を参照すると、流体インジェクタ12は、第1のインジェクタ本体部材38内に少なくとも部分的に配置された管部材42を含む。管部材42の外面は、第1のインジェクタ本体部材38の内面に接触している。管部材42の開放端部は、カップ26内に配置されていて、流体供給管28に流体連通している。カップ26内には、カップの内面と、管部材42の外面との間に、管部材42の開放端部の近くでOリング44が配置されている。Oリング44は、流体供給管28を出ていく還元剤が、インジェクタ12の管部材42の開放端部内を通過することを確実にするために機能している。
【0024】
流体インジェクタ12のアクチュエータユニットはさらに、第1のインジェクタ本体部材38内に固定的に配置された極片46を含む。コイル14は少なくとも部分的に極片46とアーマチュア16とを取り囲んでいる。極片46は、インジェクタ12内でアーマチュア16の上流に配置されている。極片46は、この極片を軸方向で貫通するように画成された中心孔を有している。
【0025】
アーマチュア16は、ポケットを画成するU字形の区分を含み、このポケット内にはばね50の少なくとも一部が配置されている。アクチュエータユニットの一部であるばね50は、可動アーマチュア16を付勢し、これによりアーマチュア16は、コイル14に電流が流されないときは極片46から間隔を置いて位置している。ばね50は部分的に、極片46の中心孔内に延在している。極片46内に延在しているばね50の端部は、ばね調節管52に接触している。ばね調節管52は、ばね50の(インジェクタ12を通る還元剤の流れの方向に関して)上流で、極片46の中心孔内に少なくとも部分的に配置されている。ばね調節管52は、このばね調節管を軸方向で貫通するように画成された孔を有している。ばね調節管52の貫通孔は、流体インジェクタ12内の還元剤のための流体路を部分的に画成しており、極片46内の還元剤のための流体路のみを画成している。ばね調節管52は、ばね50との係合により、流体インジェクタ12を通る還元剤の動的な流れを較正するために使用される。
【0026】
アーマチュア16はさらに、ポケットの内部から、ピン部材58の上流端部までアーマチュア16を貫通するように画成された1つ以上の通路60(
図1および
図2)を含む。通路60は、アーマチュア16の周囲に等間隔で配置されていてよい。一例示実施形態では、アーマチュア16は、ポケット壁16Aによって形成されたポケットの基部の周り全体に画成された単一の通路を含む。通路60により還元剤は、アーマチュア16のポケットから、ピン部材58の上流端部の周りのスペースまで流れることができる。アーマチュア16のポケットと通路60とは一緒に、流体インジェクタ12の還元剤流体路を部分的に画成し、アーマチュア16を貫通する、またはアーマチュア16の周りを通る流体路の部分のみを画成する。
【0027】
図1および
図2および
図5を参照すると、インジェクタ12のバルブアッセンブリは、シール部材54と座部56とを備えている。シール部材54は、シール部材54とアーマチュア16の下流端部との間に配置されたピン部材58を介してアーマチュア16に接続されている。シール部材54と、ピン部材58と、アーマチュア16とは、1つのアーマチュアアッセンブリを形成するために組み合わせることができる。コイル14が励磁されると、コイル14は、アーマチュア16に作用するばね50の付勢力を克服する電磁力を発生させ、アーマチュア16を極片46に向かって動かす。アーマチュアは対応してピン部材58を動かすので、シール部材54が座部56から持ち上げられて座部56から離れ、アーマチュアアッセンブリを開放位置へと動かし、したがって、還元剤が流体出口32を通過してフランジ出口34へと到り、車両エンジンの排ガス路内へ到る。コイル14への通電が遮断されると、電磁力は消え、ばね50はアーマチュア16を付勢するので、アーマチュア16は極片46から離れ、結果としてシール部材54は座部56に係合してシールし、アーマチュアアッセンブリを閉鎖位置へ戻すように変更する。閉鎖位置にあるアーマチュアアッセンブリにより、還元剤は、座部56とフランジ出口34を通って流れることができず、車両エンジンの排ガス路内へ入ることはできない。
【0028】
上述したように、RDU10は、非パージSCR排気後処理システムの部分を成す。結果として、車両エンジンがオフにされた後、還元剤が流体インジェクタ12内に残る。例示実施形態では、流体インジェクタ12は、流体インジェクタ12内の還元剤の量を減らすように構成されている。言い換えると、流体インジェクタ12を通る還元剤のための流体路の総容積が減じられている。インジェクタ12内の還元剤のためのスペースが小さくなることにより、潜在的に凍結するかもしれないRDU10内の還元剤の量が減り、これにより、凍結した還元剤からの膨張力によって損傷を受けるインジェクタ12の損傷率が減少する。
【0029】
流体インジェクタ12内の還元剤流体路の容積を減らすために、バルブ本体部材40の厚さを増大させる。さらに、ピン部材58を中実のエレメントとして構造化し、還元剤がピン部材を貫通するのではなく、ピン部材58の外面の周りを流れるようにする。インジェクタ12を通る還元剤のための流体路を部分的に画成する、ピン58の外面とバルブ本体部材40の内面との間のスペースが、狭められる。この狭められた流体路の部分は、流体インジェクタ12内のアーマチュア16と座部56との間の還元剤のための流体路だけである。ピン58とバルブ本体部材40との間の狭められた流体路は、RDU10の通常作動中、還元剤の噴射を実施するために流体インジェクタ12を通る十分な還元剤流量を提供すると同時に、インジェクタ12内における還元剤の比較的小さい体積を維持し、インジェクタ内での還元剤の凍結によりインジェクタ12が損傷を受ける危険を減らす。
【0030】
さらに、ばね50が少なくとも部分的に配置されている、アーマチュア16のポケットの直径が減らされ、これにより、アーマチュア16のポケット壁16Aの厚さを増やすことができる。一例示実施形態では、ポケット壁16Aの厚さは、ポケットの直径の45%〜75%であり、例えば約60%である。ポケット壁16Aの厚さの増加、ならびにバルブ本体部材40の増大した厚さ、および中実なピンであるピン部材58により、結果的にインジェクタ12の構成要素は強固になり、したがって、還元剤の凍結力に対する抵抗力が上がる。
【0031】
さらに、ばね調節管52の孔は、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積を減らすように寸法設定されている。一例示実施形態では、ばね調節管52の孔の直径は、極片46の外径の12%〜22%であり、特に16%〜19%である。
【0032】
図3には、インジェクタ12の上流部分が示されている。管部材42が少なくとも部分的にインジェクタ12内に延在している。インジェクタ12を通る還元剤流体路は、管部材42を通過する。インジェクタ12は、管部材42の開放端部近くで、管部材42内に配置されたフィルタ204を含む。フィルタ204は、還元剤の凍結による膨張力に良好に耐えられるように、ステンレス鋼材料などの、構造的に堅牢な焼結された金属フィルタである。フィルタ204は、付加された強度のための支持外部構造を有していてよい。
図3により最もよくわかるように、フィルタ204はキャップ部材206内に配置されている。キャップ部材206は、実質的に円筒形状であって、周方向に延在する側壁206Aを有しており、この側壁は、キャップ部材内にフィルタ204を収容するためにサイズを規定された内部容積を画成している。キャップ部材206は、管部材42内に嵌め込まれるように寸法設定されていて、特にこれにより、キャップ部材206の側壁206Aの外面が管部材42の内面に接触している。キャップ部材206はさらに、キャップ部材206の軸方向端部に沿って配置され、かつ側壁206Aから半径方向内側に向かって延在する環状部材206Bを含む。環状部材206Bは、キャップ部材206内にフィルタ204を固定位置に維持するために機能する。キャップ部材206は、金属等の組成物から構成されている。
【0033】
インジェクタ12はさらに、
図1〜
図3に示したように、キャップ部材206の上流にありキャップ部材206に接触している、管部材42内に配置された保持リング207を有している。保持リング207は、管部材の内面に沿って管部材42に対して位置固定されている。管部材42に沿った位置で位置固定されている保持リング207は、インジェクタ12の下流の構成要素を、第1のインジェクタ本体部材38内の固定位置に維持するために機能する。一例示実施形態では、保持リング207は、管部材42の内面に沿って溶接されている。このような溶接接続は、保持リング207の上縁部の全周に沿って形成されている。しかしながら、別の接続機構を、管部材42への保持リング207の固定のために利用してもよいことがわかる。
【0034】
図1〜
図4を参照すると、インジェクタ12はさらに、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積をさらに減じるために機能する容積低減部材208を有している。低減部材208は、
図4に示したように、実質的に円筒状の形状であり、上側(上流)端部と、底面側(下流)端部とを有している。一実施形態では、容積低減部材208は、ステンレス鋼などの金属から構成されている。しかしながら、容積低減部材208が別の金属または金属組成物から形成されていてもよいことを理解されたい。容積低減部材208の外面は、管部材42の内面に接触するサイズとなっている。
【0035】
容積低減部材208はさらに、一方の軸方向(上側)端部から他方の軸方向(底面側)端部へと、容積低減部材208を軸方向で貫通するように画成された孔208A(
図2および
図3)を有している。孔208Aは、容積低減部材208の長手方向軸線に沿って位置しており、孔自体が、インジェクタ12を通過する還元剤のための流体路の一部を形成している。孔208Aは、容積低減部材208内を通る、または容積低減部材208の周りを通る還元剤のための流体路のみを形成する。一例示実施形態では、孔208Aの直径は、容積低減部材208の外径の12%〜20%であり、例えば約16%である。容積低減部材208は半径方向で管部材42の内面に向かって延在しているので、また孔208Aの直径は容積低減部材208の外径に比べて小さいので、容積低減部材208は、インジェクタ12内に還元剤が留まることができるスペースまたは容積を減らし、これにより内部の還元剤の流体路の容積を減らす。容積低減部材208はさらに、ばね調節管52をインジェクタ12内で位置保持するのを支援するので、ばね調節管52は、ばね50に対する所望の力を維持し、これにより較正の損失を阻止する。特に、保持リング207は、フィルタ204の位置を維持し、したがってキャップ部材206の位置を維持する。キャップ部材206は、容積低減部材208の位置を維持し、容積低減部材は、ばね調節部材52の位置を維持する。
【0036】
図1〜
図4を参照すると、流体インジェクタ12はさらに、容積低減部材208の底面側(下流)端部と、極片46の上側との間に配置された容積補償部材210を有している。容積補償部材210は弾性材料から構成されており、容積低減部材208と極片46との間のスペースを埋めるために用いられ、これにより、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積をさらに減らすことができる。容積補償部材210は、組み付けられる際に圧縮状態でインジェクタ12内に位置することができ、容積低減部材208と、極片46と、管部材42の内面と、ばね調節部材52の外面とに接触している。
【0037】
図5には、流体インジェクタ12の下流端部部分が示されている。図面からわかるように、座部56は、座部56を軸方向で貫通するように画成された孔を有する。一例示実施形態では、座部56の貫通孔の長さは、座部56を通る還元剤流体路の容積、特に、シール部材54と係合する座部56のシール帯の下方の袋状容積をさらに減らすように、短くされている。
【0038】
一例示実施形態によれば、流体インジェクタ12は、積層配置されている複数のオリフィスディスク212を有している。オリフィスディスク積層体は、座部56の下流端部に向かって配置されている。
図5に示した例示実施形態では、ディスク積層体は第1のディスク212Aを含み、この第1のディスクは、インジェクタ12から出ていく還元剤の所望の噴霧パターンを提供するように構成された1つ以上のオリフィスを有している。第1のディスク212Aのオリフィスの寸法および位置は、変化させることができ、特に車両エンジンの還元剤調量要求に依存していてよいことがわかる。ディスク積層体はさらに、第2のディスク212Bを含み、この第2のディスクは、第1のディスク212Aの下流に配置されていて、還元剤噴霧が通過するオリフィスを有している。第2のディスク212Bは、第1のディスク212Aの厚さよりも大きな厚さを有し、第1のディスク212Aに対して配置され、第1のディスク212Aを支持しているので、第1のディスク212Aの上流の凍結した還元剤からの膨張力に起因する、より薄い第1のディスク212Aの変形を阻止する。
【0039】
上述したように、流体インジェクタ12、特に流体インジェクタの構成要素は、インジェクタ12内の還元剤流体路の容積を減らすように構成されている。例示実施形態では、流体インジェクタ12内の流体路の容積の、(コイル14、アーマチュア16、極片46、ばね調節管52、容積低減部材208、容積補償部材210、フィルタ204、保持リング207、ばね50、ピン部材58、シール部材54、座部56、第1のインジェクタ本体部材20A、バルブ本体部材40を含むが、これらに限定されるものではない)インジェクタ12の構成要素の体積に対する比は、0.08〜0.30であり、特に0.12〜0.20であり、例えば約0.15である。これらの容積量は、管部材42の開放端部に沿った第1の平面の、流体インジェクタ12の長手方向軸線に対して直交する平面(すなわち、流体入口30)と、第2のディスク212Bの最も下方の(下流の)面に沿った第2の平面(すなわち、流体出口32)との間で計算される。流体インジェクタ12内のインジェクタ構成要素体積に対する還元剤路の容積の特別な比は、コスト数と、関連するファクタの性能に応じて変化してよく、約0.08〜約0.30の間の任意の値であってよいことが理解される。上述した範囲内に入るインジェクタ構成要素体積に対する還元剤流体路容積の減じられた比を有する流体インジェクタを提供することで、有利には、インジェクタ12内の還元剤が減少し、インジェクタ12内で還元剤が凍結した場合にRDU10が損傷する確率を減少させる。
【0040】
図6〜
図8に示す別の例示実施形態では、流体インジェクタ12が容積低減部材308を備えており、この容積低減部材は、
図1〜
図5について上述した容積低減部材208の特徴の多くを有している。容積低減部材208と同様に、容積低減部材308は、ステンレス鋼、または類似の組成物から構成されており、流体インジェクタ12の管部材42内に、容積補償部材210とフィルタ204との間に配置されている。しかしながら、容積低減部材308は、第1の部分308Aと第2の部分308Bとを有している。
図7に示すように、第1の部分308Aと第2の部分308Bのそれぞれは円筒形状を有しており、第1の部分308Aの外径は、第2の部分308Bの外径よりも小さい。より詳しく後述するように、第1の部分308Aの外径は、第2の部分308Bの直径よりも、キャップ部材306の側壁306Aの厚さ分だけ小さい。容積低減部材308は、上側(上流)の端部と底面側(下流)の端部とを有しており、これらの端部はそれぞれ、第1の部分308Aと第2の部分308Bの軸方向端部を形成している。第2の部分308Bの外面は、管部材42の内面に接触するサイズとなっている。
【0041】
上述したように、容積低減部材308の第1の部分308Aの外径は、第2の部分308Bの外径よりも小さい。
図6〜
図8に示したように、容積低減部材308は、角度付けられた環状面またはスカート308Dを有し、この環状面またはスカートは、軸方向で、第1の部分308Aの外面と、第2の部分308Bの外面との間に延在しており、これら両外面の間の物理的なインターフェースとして機能する。容積低減部材308および/またはインジェクタ12の長手方向軸線に対する、角度付けられた面308Dの角度は、鋭角である。選択的に、角度付けられた面308Dの角度は、容積低減部材308および/またはインジェクタ12の長手方向軸線に対して直角である。
【0042】
容積低減部材308はさらに、一方の軸方向(上側)端部から他方の軸方向(底面側)端部へと、容積低減部材308を軸方向で貫通するように画成された孔308Cを有している。孔308Cは、容積低減部材308の長手方向軸線に沿って位置しており、孔自体が、インジェクタ12を通過する還元剤のための還元剤流体路のみを形成しており、容積低減部材308を貫通する、または容積低減部材308の周りの還元剤流体路の一部を形成している。一例示実施形態では、孔308Cの直径は、容積低減部材308の外径の12%〜20%であり、例えば約16%である。容積低減部材308は管部材42の内面に向かって延在しているので、また孔308Cの直径は、容積低減部材308の外径に比べて比較的小さいので、容積低減部材308は、インジェクタ12内の所定の容積を占めており、インジェクタ12を通る還元剤流体路のスペースまたは容積を減らし、これにより、凍結してインジェクタ12を潜在的に損傷する恐れのあるインジェクタ12内の還元剤の量を減らす。
【0043】
キャップ部材306は、
図1〜
図5について上述したキャップ部材206と同じいくつかの特徴を有している。
図7に示したように、キャップ部材306は、実質的に円筒形状であって周方向に延在する側壁306Aを有しており、この側壁は、キャップ部材内にフィルタ204を収容するためにサイズを規定された内部容積を画成している。キャップ部材306は、管部材42内に嵌め込まれるように寸法設定されており、特にこれにより、キャップ部材306の側壁306Aの外面が、管部材42の内面に接触している。キャップ部材306はさらに、キャップ部材306の軸方向(上流)端部に沿って配置され、かつ側壁306Aから半径方向内側に向かって延在する環状部材306Bを有する。環状部材306Bは、キャップ部材306内でフィルタ204を固定位置に維持するために機能する。キャップ部材206と同様に、キャップ部材306は、金属または類似の組成物から構成され、フィルタ204に構造的支持を提供する。
【0044】
例示実施形態では、キャップ部材306は、容積低減部材308に係合して、容積低減部材308に固定されている。このようにして、フィルタ204と、キャップ部材306と、容積低減部材308とは、
図8に示したように、単一の、一体的な、統合された構成要素を形成する。 フィルタ204と、キャップ部材306と、容積低減部材308とから形成された単一の一体的な構成要素を有することにより、好適には、インジェクタを製造する間にインジェクタ12を組み立てるためのシンプルで複雑でないプロセスが可能である。
【0045】
例示実施形態では、キャップ部材306は、
図6および
図8に示したように、容積低減部材308の第1の部分308Aの少なくとも一部の上に嵌め込まれ、これに係合し、またはその他の形式で取り付けられる。一例示実施形態では、キャップ部材306は、第1の部分308Aと共にプレス嵌め係合部を形成している。別の例示実施形態では、キャップ部材306の底面306Cと第1の部分308Aの半径方向外面との間の隅肉溶接のように、キャップ部材306は、第1の部分308Aに溶接されている。このような実施形態のそれぞれにおいて、角度付けられた面308Dは、キャップ部材306を第1の部分308Aに固定するための十分なスペースを提供する。キャップ部材306は、別の機構を介して、容積低減部材308の第1の部分308Aに固定されてもよい。
【0046】
容積低減部材308の第1の部分308Aの上に嵌め込まれるキャップ部材306により、側壁306Aの外径は、第2の部分308Bの外径と同じ、またはほぼ同じである。
図6および
図8参照。
【0047】
上述したように、容積低減部材308は、一例示実施形態によれば、ステンレス鋼などの金属から構成されている。別の例示実施形態では、第2の部分308Bの一部は、プラスチック、または類似の組成物から構成されている。特に
図9〜
図11に示すように、第1の部分308Aと、第2の部分308Bの第1部308B−1とは、単一の金属部材として形成されており、第2の部分308Bの第2部308B−2は、第2の部分の第1部の周りにオーバーモールドされたプラスチックである。
図11には、金属の第1の部分308Aと、第2の部分308Bの第1部308B−1とが示されている。第2の部分308Bの第1部308B−1は、
図10に示したように、第1の部分308Aから(下流)軸方向に延在する中間区分308B−3と、この中間区分308B−3に取り付けられ、ここから(下流)軸方向に延在する遠位区分308B−4とを含む。遠位区分308B−4は、容積低減部材308(および/またはインジェクタ12)の長手方向軸線から、中間区分308B−3の半径方向の延びよりもさらに半径方向に延在しており、これによりビームを形成している。オーバーモールドされたプラスチックまたはその他類似の組成物から成る第2の部分308Bの第2部308B−2は、中間区分308B−3と遠位区分308B−4とにより形成されたビームの周りに形成されており、したがって、単一の、一体的な統合された構成要素として容積低減部材308を形成している。上述したように、容積低減部材308は、キャップ部材306に接続されているので、結果として、容積低減部材308、フィルタ204、キャップ部材306は、組み立てられたインジェクタ12における使用のための単一の組み立てられた構成部材を形成する。
【0048】
インジェクタ12の組立中、単一の組立構成要素(フィルタ204、キャップ部材306、容積低減部材308)が、容積補償部材210と接触しながら圧力下で管部材42内に挿入される。挿入に次いで、依然として圧力下で、キャップ部材306が、管部材42の上側部分に沿った全ての交差部に沿って管部材42に溶接される。一実施形態では、溶接接続部は隅肉溶接である。
【0049】
図12には、別の例示実施形態による流体インジェクタ12が示されている。この実施形態では、流体インジェクタ12は、フィルタ204と、上述したように、このフィルタ204が内部に配置されているキャップ部材306とを有している。さらに、流体インジェクタ12は、キャリブレーションフィルタ管402と、容積低減部材408とを有している。キャリブレーションフィルタ管402は、キャリブレーションフィルタ管402を軸方向で貫通するように画成された孔402Aを有している。キャリブレーションフィルタ管402の一方の(上流)端部で、孔402Aは、フィルタから還元剤を受け取るために、フィルタ204に流体連通している。キャリブレーションフィルタ管402の他方の(下流)端部で、孔402Aは、還元剤をアーマチュア16へと供給する。このようにして、キャリブレーションフィルタ管402は、流体インジェクタ12を通る還元剤用の流体路の一部を成しており、フィルタ204からアーマチュア16へのこのような流体路のみを形成している。キャリブレーションフィルタ管402の孔402Aの直径が、管部材42の内径よりも小さいことにより、インジェクタ12を通る還元剤用の流体路の容積が減るので、流体路内で凍結する還元剤の弊害が軽減される。
【0050】
図12〜
図14に示すように、キャリブレーションフィルタ管402はさらに、第1の端部部分402Bを有しており、この第1の端部部分は、少なくとも部分的にキャップ部材306内に配置され、フィルタ204に接触している。第1の端部部分402Bは、実質的に円板状であって、キャップ部材306の側壁306Aの内面に接触している側壁402Cを有している。一例示実施形態では、キャリブレーションフィルタ管402の第1の端部部分402Bは、キャップ部材306に取り付けられているので、キャップ部材306と、フィルタ204と、キャリブレーションフィルタ管402とは、流体インジェクタ12の簡略化された組立を促進するために、単一の、一体的な、統合されたサブアッセンブリ構成要素を形成している。一例示実施形態では、キャップ部材306は、第1の端部部分402Bに係合しており、特に第1の端部部分とプレス嵌め係合部を形成している。別の例示実施形態では、キャップ部材306の側壁306Aの軸方向端部と、第1の部分402Aの側壁402Cの外面との間の隅肉溶接のように、キャップ部材306は、第1の端部部分402Bに溶接されている。選択的にまたは付加的に、キャップ部材306は、別の技術を利用して、キャリブレーションフィルタ管402の第1の端部部分402Bに固定されてもよいことが理解される。
【0051】
キャリブレーションフィルタ管402はさらに、
図12〜
図14に示したように、第1の部分402Aから軸方向に延在する細長い第2の部分402Dを有している。第2の部分402Dは、極片46内へと延在するようなサイズとなっていて、これにより第1の端部部分402Bとは反対側の第2の端部402Eは、ばね50(
図12)に係合する。第2の部分402Dは実質的に円筒状であって、内部に配置された孔402Aを有している。キャリブレーションフィルタ管402はさらに、第2の部分402Dの外面から半径方向外側に向かって延在している環状のタブ402Fを有している。タブ402Fはキャリブレーションフィルタ管402の外面から僅かに外側に向かって延在していて、キャリブレーションフィルタ管402の第2の部分402Dに沿って配置されているので、極片46の中心孔を画成する極片46の内面に接触する。タブ402Fと極片46の中心孔との間のこのような接触により、キャリブレーションフィルタ管402は、極片46とプレス嵌め取り付け部を形成する。
【0052】
上述したように、キャリブレーションフィルタ管402の第2の端部402Eは、ばね50に接触し、係合している。キャリブレーションフィルタ管402とばね50との係合によって、およびアーマチュア16とばね50との係合によって、キャリブレーションフィルタ管402は、流体インジェクタ12を通る還元剤の動的な流れを較正するために使用される。特に、単一の、一体的な、統合されたサブアッセンブリ構成要素として形成された、キャップ部材306と、フィルタ204と、キャリブレーションフィルタ管402とは、キャップ部材306をキャリブレーションフィルタ管に溶接する前に、管部材42内の所望の位置にキャリブレーションフィルタ管402を配置し、ばね50のための所望のように較正された力を提供するのを容易にする。
【0053】
キャリブレーションフィルタ管402は、ステンレス鋼のような金属組成物から成っている。
【0054】
引き続き
図12〜
図14を参照すると、インジェクタ12はさらに、キャリブレーションフィルタ管402の第2の部分402Dの周囲に配置された容積低減部材408を有している。容積低減部材408は円筒形状であって、容積低減部材408を軸方向で貫通するように画成された中心孔を有している。容積低減部材408の中心孔は、その内部にキャリブレーションフィルタ管402を収容するためのサイズとなっている。
図12に示したように、容積低減部材408の半径方向外面は、管部材42の内面に接触する。容積低減部材408の一方の軸方向(上流)端部は、キャリブレーションフィルタ管402の第1の端部部分402Bの近くに配置されていて、第1の端部部分402Bに接触しており、容積低減部材408の他方の軸方向(下流)端部は、極片46の上流端部に向かって配置されていて、極片46の上流端部に接触している。このようにして、容積低減部材408は、極片46の上流、かつキャリブレーションフィルタ管402の第1の端部部分402Bの下流に位置する、キャリブレーションフィルタ管402の第2の部分402Dと、管部材42との間のスペースを占有している。一例示実施形態では、容積低減部材408は、容積低減部材408が、キャップ部材306と、フィルタ204と、キャリブレーションフィルタ管402と共に、単一の、一体的な、統合されたサブアッセンブリ構成要素を形成するように、キャリブレーションフィルタ管402に取り付けられている。
【0055】
一例示実施形態では、容積低減部材408は、弾性的かつ圧縮可能な材料から構成されていて、流体インジェクタ12に沿って少なくとも軸方向で圧縮可能である。軸方向で圧縮可能な容積低減部材408は、単一のアッセンブリ構成要素(キャップ部材306、フィルタ204、キャリブレーションフィルタ管402)を、極片46に対して相対的に管部材42内で調節可能に配置することができ、これにより、流体インジェクタ12のバルブアッセンブリの開閉力を、所望通りに容易に較正することができる。一実施形態では、容積低減部材408は、独立気泡型発泡体から構成されている。しかしながら、容積低減部材408は、別の圧縮可能な材料から形成されていてもよいことを理解されたい。独立気泡型発泡体から構成されている場合には、容積低減部材408は、軸方向(長手方向)および半径方向(横方向)の両方向で圧縮可能である。一実施形態では、容積低減部材408は、圧縮状態で流体インジェクタ12内にある。
【0056】
図15〜
図17には、別の例示実施形態による流体インジェクタ12が示されている。この実施形態では、流体インジェクタ12は、フィルタ204と、上述したように、このフィルタ204が内部に配置されているキャップ部材306とを有している。さらに、流体インジェクタ12は、キャリブレーションフィルタ管502を有している。キャリブレーションフィルタ管502は、
図12〜
図14について上述したキャリブレーションフィルタ管402の多くの特徴を有している。
【0057】
キャリブレーションフィルタ管502は、キャリブレーションフィルタ管502を軸方向で貫通するように画成された孔502Aを有している。キャリブレーションフィルタ管502の一方の(上流)端部で、孔502Aは、フィルタから還元剤を受け取るために、フィルタ204に流体連通している。キャリブレーションフィルタ管502の他方の(下流)端部で、孔502Aは、流体インジェクタ12を通る還元剤をアーマチュア16へと供給する。このようにして、キャリブレーションフィルタ管502は、還元剤用の流体路の一部を成しており、フィルタ204からアーマチュア16へのこのような流体路のみを形成している。キャリブレーションフィルタ管502の孔502Aの直径は、管部材42の内径よりも小さいことにより、インジェクタ12を通る還元剤用の流体路の容積が減らされているので、流体路内で凍結する還元剤の弊害が軽減される。
【0058】
図15〜
図17に示すように、キャリブレーションフィルタ管502はさらに、第1の端部部分502Bを有しており、この第1の端部部分は、少なくとも部分的にキャップ部材306内に配置され、フィルタ204に接触している。第1の端部部分502Bは、実質的に円板状であって、キャップ部材306の側壁306Aの内面に接触している側壁502Cを有している。一例示実施形態では、キャリブレーションフィルタ管502の第1の端部部分502Bは、キャップ部材306に取り付けられているので、キャップ部材306と、フィルタ204と、キャリブレーションフィルタ管502とは、流体インジェクタ12の簡略化された組立を促進するために、単一の、一体的な、統合されたサブアッセンブリ構成要素を形成している。一例示実施形態では、キャップ部材306は、第1の端部部分502Bに係合しており、特に第1の端部部分とプレス嵌め係合部を形成している。別の例示実施形態では、キャップ部材306の側壁306Aの軸方向端部と、第1の部分502Bの側壁502Cの外面との間の隅肉溶接のように、キャップ部材306は、第1の端部部分502Bに溶接されている。加えてまたは代わりに、キャップ部材306は、別の技術を利用して、キャリブレーションフィルタ管502の第1の端部部分502Bに固定されてもよいことが理解される。
【0059】
キャリブレーションフィルタ管502はさらに、
図15〜
図17に示したように、第1の部分502Aから軸方向に延在する細長い第2の部分502Dと、第2の部分502Dから軸方向に延在する細長い第3の部分502Eとを有している。第3の部分502Eは、極片46内へと延在するようなサイズとなっていて、これにより第1の端部部分502Bとは反対側の、キャリブレーションフィルタ管502の第2の端部502Fは、ばね50(
図12)に係合する。第2の部分502Dと第3の部分502Eとは実質的に円筒状であって、内部に配置された孔502Aを有している。
【0060】
一例示実施形態では、第2の部分502Dの外径は、第3の部分502Eの外径よりも大きい。第3の部分502Eの外径は、極片46の中心孔内に収容されるサイズとなっている。
【0061】
キャリブレーションフィルタ管502はさらに、第3の部分502Eの外面から半径方向外側に向かって延在している環状のタブ502Gを有している(
図17)。タブ502Gはキャリブレーションフィルタ管502の第3の部分502Eの外面から僅かに外側に向かって延在していて、キャリブレーションフィルタ管502の第3の部分502Eに沿って軸方向で配置されているので、極片の中心孔を画成する極片46の内面に接触する。タブ502Gと極片46の中心孔との間のこのような接触により、キャリブレーションフィルタ管502は、極片46とプレス嵌め係合部を形成する。
【0062】
キャリブレーションフィルタ管502は、ステンレス鋼などの金属組成物から成っている。
【0063】
上述したように、キャリブレーションフィルタ管502の第2の端部502Fは、ばね50に接触し、係合している。キャリブレーションフィルタ管502とばね50との係合により、およびばね50とアーマチュア16との係合により、キャリブレーションフィルタ管502は、流体インジェクタ12を通る還元剤の動的な流れを較正するために使用される。特に、単一の、一体的な、統合されたサブアッセンブリ構成要素として形成された、キャップ部材306と、フィルタ204と、キャリブレーションフィルタ管502とは、キャップ部材306をキャリブレーションフィルタ管に溶接する前に、管部材42内の所望の位置にキャリブレーションフィルタ管502を配置し、流体インジェクタ12のバルブアッセンブリのための互いに逆の開閉力を設定するために、ばね50のための所望のように較正された力を提供するのを容易にする。
【0064】
引き続き
図15〜
図17を参照すると、インジェクタ12はさらに、キャリブレーションフィルタ管502の第2の部分502Dの周囲に配置された容積低減部材508を有している。容積低減部材508は実質的に円筒形状であって、容積低減部材508を軸方向で貫通するように画成された中心孔を有している。容積低減部材508の中心孔は、その内部にキャリブレーションフィルタ管502の第2の部分502Dを収容するためのサイズとなっている。
図12に示したように、容積低減部材508の半径方向外面は、管部材42の内面に接触する。容積低減部材508の一方の軸方向(上流)端部は、キャリブレーションフィルタ管402の第1の端部部分502Bの近くに配置され、第1の端部部分502Bに接触しており、容積低減部材508の他方の軸方向(下流)端部は、極片46の上流端部に向かって配置され、極片46の上流端部に接触している。このようにして、容積低減部材508は、極片46の上流、かつキャリブレーションフィルタ管502の第1の端部部分502Bの下流に位置する、キャリブレーションフィルタ管502の第2の部分502Dと、管部材42との間のスペースを占有している。
【0065】
一例示実施形態では、容積低減部材508は、圧縮可能な材料から構成されており、したがって、流体インジェクタ12に沿って少なくとも軸方向で圧縮可能である。少なくとも軸方向で圧縮可能な容積低減部材508は、単一のアッセンブリ構成要素(キャップ部材306、フィルタ204、キャリブレーションフィルタ管502)を、極片46に対して相対的に管部材42内で調節可能に位置決めすることができ、これにより、流体インジェクタ12のバルブアッセンブリを、所望のように較正することができる。一実施形態では、容積低減部材508は、圧縮状態で流体インジェクタ12内にある。
【0066】
図15〜
図17に示したように、容積低減部材508は、2つの軸方向端部の間に延在する側壁508Aを有している。容積低減部材508の下流の軸方向端部壁508Bは、側壁508Aから半径方向内側に向かって延在しており、キャリブレーションフィルタ管502の第3の部分502Eの外面に接触している。容積低減部材508の上流の軸方向端部は開放されていてよく、キャリブレーションフィルタ管502の第1の部分502Bの下流側の面に接触している。
【0067】
容積低減部材508の側壁508Aは、
図15〜
図17に示したように軸方向で波状になっており、容積低減部材508および/またはインジェクタ12の長手方向軸線に関して側壁頂部と側壁谷部とが交互に波状のパターンで存在している。波状の側壁508Aを有することにより、側壁508Aは軸方向(長手方向)および半径方向(横方向)の両方向で圧縮可能、またはその他の形式で部分的に収縮可能である。一例示実施形態では、容積低減部材508は、ゴム合成物、またはその他類似の材料などの、圧縮可能な弾性材料から構成されている。容積低減部材508は、圧縮状態で流体インジェクタ12内にあってよい。
【0068】
本明細書において例示実施形態について例示的な形式で説明してきた。使用されている用語は限定の性質ではなく説明の文言の性質で有ることが意図されていると理解される。上記の教示に照らして、本発明の多数の改良および変更が可能であることは明らかである。上記説明は実際は単なる例であり、したがって、添付の請求の範囲内で規定される本発明の思想および範囲を逸脱することなく変更をなすことができる。