(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0013】
<第1の実施の形態>
先ず、本実施の形態の生体情報取得装置及び生体情報取得方法を概略的に説明する。本実施の形態の生体情報取得装置及び生体情報取得方法は、第1の波長の光を生体に照射して得た血管での反射光又は透過光の検出信号(即ち、出力波形)から、第2の波長の光を生体に照射して得た、ノイズとして大きい真皮近傍での反射光又は透過光の検出信号を減じた減算値に基づいて生体の脈波を得る。これにより、ノイズの少ない検出信号を得ることができ、生体の脈波、ひいては生体の血圧を精度良く測定することができる。
【0014】
次に、本実施の形態の生体情報取得装置を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の生体情報取得装置を模式的に示すブロック図である。
図2は、本実施の形態の生体情報取得装置におけるセンサユニットを模式的に示す平面図である。
図3は、本実施の形態の生体情報取得装置における光源から出射された光が生体を介して受光器で受光される様子を模式的に示す図である。
【0015】
生体情報取得装置1は、例えばウェアラブル式端末に設けられる生体情報取得装置であって、手首などに装着されるものである。生体情報取得装置1は、
図1に示すように、センサユニット10、AFE(Analog Front End)20、処理装置30及び表示部40を備えている。
【0016】
センサユニット10は、第1の検出部11及び第2の検出部12を備えており、処理装置30からの制御信号に基づいて動作する。第1の検出部11は、検出光として赤色光又は赤外光(IR:例えば、波長780nm以上1100nm以下)を出射する光源及び当該検出光が生体内で反射した光又は透過した光を受光する受光器を備えている。
【0017】
第2の検出部12は、検出光として緑色光(例えば、波長495nm以上570nm以下)を出射する光源及び当該検出光が生体内で反射した光又は透過した光を受光する受光器を備えている。
【0018】
第1の検出部11及び第2の検出部12の光源としては、例えばLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの発光素子を用いることができる。第1の検出部11及び第2の検出部12の受光器としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)などの受光素子を用いることができる。受光器は、受光した光の強度を示す信号を光電変換してAFE20に出力する。
【0019】
本実施の形態のセンサユニット10は、第1の検出部11において赤色光や赤外光を生体に照射して血管で反射した反射光を受光し、第2の検出部12において緑色光を生体に照射して真皮近傍の末梢血管や脂肪などで反射した反射光を受光する。
【0020】
詳細には、センサユニット10は、
図2に示すように、共通の基板13上に検出光として赤色光又は赤外光を出射する第1の光源111、検出光として緑色光を出射する第2の光源121、同じく検出光として緑色光を出射する第3の光源122及び受光器112を備えている。つまり、本実施の形態のセンサユニット10は、一つの第1の検出部11及び二つの第2の検出部12を備えており、二つの第2の検出部12の受光器としては第1の検出部11の受光器112を共通に用いている。これにより、受光器112の個数を削減することができ、センサユニット10を小型化することができる。
【0021】
ここで、一般的に受光器と光源との距離は光の生体内への深達度と対応する。そこで、本実施の形態では、
図3に示すように、受光器112から離れる方向に第3の光源122、第2の光源121、第1の光源111の順で配置することで、真皮より生体の内部に存在する血管の反射光を得るために用いる第1の光源111を第2の光源121及び第3の光源122より受光器112から離れた位置に配置している。これにより、血管での反射光を良好に受光することができる。ちなみに、
図3では、光の照射領域をハッチング部分で示している。なお、各光源111、121、122の間隔は、出射光の波長などに基づいて適宜設定される。
【0022】
また、本実施の形態の第1の光源111、第2の光源121及び第3の光源122は、
図2に示すように、略直線上に略等しい間隔で配置されている。これにより、生体情報取得装置1を生体に装着する際に、第1の光源111、第2の光源121及び第3の光源122を略等しい血管上に配置することができ、脈波の測定精度を向上させることができる。
【0023】
AFE20は、アンプ21、ノイズ除去フィルタ22及びADC(Analog Digital Converter)23を備えている。アンプ21は、センサユニット10からの検出信号を増幅する。ノイズ除去フィルタ22は、アナログフィルタであり、アナログ処理によってアンプ21で増幅された検出信号のノイズを除去する。例えば、ノイズ除去フィルタ22はローパスフィルタやハイパスフィルタなどのLCフィルタである。
【0024】
ADC23は、ノイズ除去フィルタ22でノイズ除去された検出信号をデジタル信号に変換する。そして、ADC23は、デジタル信号に変換された検出信号を処理装置30に出力する。ADC23は、所定のサンプリング周期でサンプリングされたデジタル値を検出信号として出力する。
【0025】
処理装置30は、例えば、マイコンであり、CPU(Central Processing Unit)31、メモリ32、デジタルフィルタ33及びパワーマネジメントユニット34を備えている。メモリ32は、所定のプログラムを格納している。CPU31は、メモリ32に格納されたプログラムを読み出して、実行する。こうすることで、処理装置30は、AFE20からの検出信号に基づいて、血圧(SBP、DBP)などを測定し、測定した血圧などを示す信号を表示部40に出力する。なお、処理装置30は、血圧以外の健康指標、例えばAI(動脈硬化指数)値を測定するようにしてもよい。
【0026】
デジタルフィルタ33は、第1の光源111から検出光を生体に照射して得た検出信号から、第2光源121又は第3の光源122から検出光を生体に照射して得た検出信号を減じる処理を行う。ここで、検出信号には、血管の脈動に応じた脈波が繰り返し現れるため、検出信号に基づいて生体の脈波を得ることができる。
【0027】
パワーマネジメントユニット34は、センサユニット10に供給する電源を制御する。例えば、パワーマネジメントユニット34は、各光源111、121、122に所定の駆動電流を供給して、各光源111、121、122を所定の強度で発光させる。さらに、パワーマネジメントユニット34は、各光源111、121、122に電流を供給するタイミングを制御して、各光源111、121、122を所定のタイミングで間欠的に発光させるようにしてもよい。
【0028】
表示部40は、処理装置30からの信号に示された生体の脈波や血圧などの情報を出力する。表示部40としては、例えば液晶ディスプレイやEL(Electro Luminescence)ディスプレイを用いることができる。
【0029】
次に、上述の生体情報取得装置1を用いた生体情報取得方法を説明する。なお、本実施の形態の生体情報取得方法は、生体の脈波に基づいて血圧を測定する。ここで、
図4は、本実施の形態の生体情報取得方法を示すフローチャート図である。
図5は、赤色光又は赤外光と緑色光との発光タイミングを示す図である。
図6は、赤色光又は赤外光と緑色光との異なる発光タイミングを示す図である。
図7は、処理装置に入力される第1の検出部の検出信号を例示的に示す図である。
図8は、第1の検出部の検出信号から第2の検出部の検出信号を減じた減算値の波形の一例を示し、減算値と、減算値から抽出される特徴点の一例を示す図である。
図9は、抽出した特徴点及び回帰直線に基づいて生体の血圧を導き出すための図である。
【0030】
先ず、生体情報取得装置1を例えばバントなどにより生体の手首に装着し、
図4に示すように、第1の光源111、第2の光源121、第3の光源122の検出光を夫々生体に照射し、生体からの反射光を受光器112で受光する(S1)。
【0031】
詳細には、第1の光源111、第2の光源121、第3の光源122の発光期間が重ならないように、処理装置30からの制御信号に基づいて、第1の光源111、第2の光源121、第3の光源122が所定の周期で所定の期間、発光する。
【0032】
本実施の形態では、予め生体の脈波をサンプリングしておき、
図5に示すように、先ず第1の光源111を脈波の略一周期期間、発光させ、その後、第2の光源121を同じく脈波の略一周期期間、発光させる。さらに、第3の光源122を当該脈波の略一周期期間、発光させる。
【0033】
つまり、脈波の略一周期毎に第1の光源111、第2の光源121、第3の光源122を順に生体に照射する。これにより、第1の光源111、第2の光源121、第3の光源122を夫々、検出信号の強度が略等しい時から略等しい期間、生体に照射することができる。
【0034】
但し、一周期の開始点は、脈波の極小点でなくてもよく、特に限定されない。また、本実施の形態では、第1の光源111、第2の光源121、第3の光源122を夫々一周期の全期間内で照射しているが、例えば、
図6に示すように、第1の光源111、第2の光源121、第3の光源122の検出光を脈波と略等しい周期で間欠的に等しい期間出射してもよい。これにより、第1の光源111、第2の光源121及び第3の光源122の消費電源を抑制することができる。また、光源の発光順は、特に限定されず、第1の光源111、第2の光源121及び第3の光源122の発光が一組となっていればよい。
【0035】
上述のように赤色光や赤外光は血管で反射し、緑色光は真皮近傍の末梢血管や脂肪などで反射する。そのため、
図3に示すように、第1の光源111から生体に照射された検出光は血管で反射し、反射光が受光器112で受光される。また、第2の光源121から生体に照射された検出光は真皮近傍の末梢血管や脂肪などで反射し、反射光が受光器112で受光される。さらに、第3の光源122から生体に照射された検出光は真皮近傍の末梢血管や脂肪などで反射し、反射光が受光器112で受光される。受光器112は、受光した光の強度を示す信号を光電変換してアナログ信号をAFE20に出力する。
【0036】
次に、AFE20は、センサユニット10から入力された検出信号を処理する(S2)。詳細には、AFE20のアンプ21は、処理装置30の制御信号に基づいて、センサユニット10から入力された検出信号を増幅する。そして、AFE20のノイズ除去フィルタ22は、処理装置30の制御信号に基づいて、増幅された検出信号をフィルタリング処理してノイズを除去する。さらに、AFE20のADC23は、処理装置30の制御信号に基づいて、ノイズが除去された検出信号をデジタル処理し、デジタル処理した検出信号を処理装置30に出力する。例えば、AFE20のADC23は、
図7に示すような波形を有する第1の検出部11の検出信号を処理装置30に出力する。
【0037】
次に、処理装置30は、AFE20から入力された検出信号に基づいて血圧を測定する(S3)。表皮から血管までの間には、真皮近傍の末梢血管や脂肪などが存在し、このような末梢血管や脂肪などで反射した反射光に基づくノイズが、第1の光源111から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号に含まれる。
【0038】
そこで、処理装置30のデジタルフィルタ33は、第1の光源111から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号から、第2の光源121又は第3の光源122から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号を減じた減算値に基づいて生体の脈波を得る。そして、デジタルフィルタ33は、減算値を示す検出信号(即ち、生体の脈波を示す検出信号)をCPU31に出力する。
【0039】
これにより、検出光が真皮近傍の末梢血管や脂肪などで反射することに起因するノイズを良好に除去した検出信号を得ることができ、その結果、生体の脈波の測定精度を向上させることができる。
【0040】
しかも、第1の光源111から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号から、第2の光源121又は第3の光源122から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号を減ずる簡単な処理であるので、処理装置30での演算処理負担を軽減することができる。
【0041】
ここで、本実施の形態では、第2の光源121から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号、及び第3の光源122から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号のうち、検出信号の強度が強い方を選択し、選択した検出信号を第1の光源111から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号から減ずる。これにより、より精度良く生体の脈波を測定することができる。
【0042】
次に、処理装置30のCPU31は、デジタルフィルタ33から入力された検出信号に基づいて血圧を測定する。詳細には、CPU31は、
図8に示すように、第1の光源111から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号から、第2の光源121又は第3の光源122から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号を減じた減算値が正となる期間から脈波の一周期を特定する。なお、以下の説明において、一周期分の脈波を一脈波とする。CPU31は、減算値が負から正となるタイミングが一脈波の開始点として設定する。ちなみに、
図8では、下側に減算値による生体の脈波を示し、上側に理想的な生体の脈波の一部を拡大して示している。
【0043】
そして、CPU31は減算値に基づいて、一脈波の特徴点を抽出する。CPU31は、一脈波毎に、例えば、最大値、最小値、極大値、極小値、変曲点などを特徴点として抽出する。CPU31は、減算値の波形から特徴点の値、及び時間を算出する。例えば、CPU31は、脈波を微分して速度脈波を求めたり、二回微分して加速度脈波を求めたりすることで、特徴点を算出する。
【0044】
図8では、一周期における第1のピーク(最大値)がSystolic peak,第2のピーク(極大値)がReflective peakとなる。さらに、第2のピークの後の極小値が収縮期(systolic)と拡張期(Diastolic)との境界を示すノッチとなる。一周期の開始点からsystolic peakまでの時間をS.Timeとする。一周期の開始点からReflective peakをR.Timeとする。一周期の開始点からノッチまでの時間をNotch Timeとする。さらに、CPU31は一周期の最小値を特徴点として抽出する。このように、CPU31は、複数の特徴点における値と時間を算出する。また、本実施の形態では、ノッチでの減算値を基に、最大値、最小値などを補正するようにしてもよい。
【0045】
CPU31は、一脈波に含まれる複数の特徴点の値、及び時間から特徴量を算出する。本明細書において、特徴量とは、血圧(SBP,DBP)を算出するための値であり、1脈波における特徴点の値、及び時間から導き出される値である。特徴量は予め設定された計算式に基づいて算出することが可能である。
【0046】
そして、CPU31は、特徴量を血圧に換算する。CPU31は、回帰直線を用いて、特徴量を血圧値に換算する。ここでは、
図9に示すように、SBP(収縮期血圧:BP_MAX)と、BP(拡張期血圧:BP_MIN)とを算出するため、二つ回帰直線がメモリ32に格納されている。そして、CPU31は、一脈波に基づいて、SBP用の特徴量とDBP用の特徴量を算出する。そして、CPU31は、回帰直線を用いて二つの特徴量からSBP及びDBPをそれぞれ算出する。このようにして、処理装置30は血圧を導き出し、血圧を示す信号を表示部40に出力する。ちなみに、
図9では、右側にBP_MAXを算出するための図を示し、左側にBP_MINを算出するための図を示している。
【0047】
なお、回帰直線は、予め取得された複数の測定結果を用いて設定されている。すなわち、複数の測定対象者に対して、本実施の形態に係る生体情報取得装置で特徴量を求めるとともに、従来のカフ式の血圧計で血圧値を測定する。これにより、特徴量と血圧値を対応付けたデータベースが構築される。そして、データベースに記憶されたデータに対して回帰分析を行って、回帰直線を求める。
【0048】
ここで、回帰直線は、性別、及び年代別に設定されていてもよい。例えば、20代男性、20代女性、30代男性、30代女性などのように、性別ごと、年代別に設定されていてもよい。すなわち、年代、性別ごとにデータを取得して、データベースを構築してもよい。
【0049】
また、CPU31は、回帰直線に限らず、二次以上の多項式などを用いた回帰曲線を用いて特徴量を血圧に換算してもよい。
【0050】
さらに、CPU31は、複数の脈波に基づいて、血圧を算出するようにしてもよい。例えば、CPU31は、n個(nは2以上の整数)の脈波のそれぞれについて特徴点を抽出して、特徴量を算出する。これにより、一脈波毎に特徴量が算出されるため、n個の特徴量が算出される。そして、CPU31が、回帰直線を用いて、n個の特徴量をそれぞれ血圧(SBP又はDBP)に換算する。これにより、n個の血圧値が算出される。そして、n個の血圧値の平均値を血圧とすることができる。このように、複数の脈波に基づいて、特徴量を算出することで、測定精度を向上することができる。
【0051】
さらに、n個の血圧値の最大値、又は最小値を除いて血圧を求めるようにしてもよい。例えば、n個の血圧値のうち、最大値と最小値を除いた(n―2)個の血圧値の平均値を血圧としてもよい。これにより、より測定精度を向上することができる。
【0052】
なお、特徴点が抽出できない一脈波(一周期)については、血圧の算出から除外するようにしてもよい。例えば、ノイズなどの影響によって、特徴量の算出に必要な極大値、極小値がノイズに埋もれてしまい、算出することができない場合、その周期については、特徴量を算出できなくなる。したがって、特徴点が抽出できない一脈波(一周期)については、血圧を換算しないようにすることが好ましい。こうすることで、血圧の測定精度を向上することができる。
【0053】
このように、CPU31は、減算値を元に脈波の上昇、下降などの傾向を推定して、最大値、最小値、極大値、極小値、変曲点などを特徴点として推定する。そして、CPU31は一脈波毎に、複数の特徴点から特徴量を算出し、データベースによって予め求められた回帰直線を用いて、当該特徴量を血圧値に換算する。
【0054】
次に、表示部40は、処理装置30から入力される信号が示す血圧を出力する(S4)。
【0055】
このように本実施の形態では、第1の波長の光を生体に照射して得た血管での反射光又は透過光の検出信号から、第2の波長の光を生体に照射して得た、ノイズとして大きい真皮近傍での反射光又は透過光の検出信号を減じた減算値に基づいて生体の脈波を得る。そのため、ノイズの少ない検出信号を得ることができ、生体の脈波、ひいては生体の血圧を精度良く測定することができる。
【0056】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、センサユニットの異なる形態を説明する。
図10は、本実施の形態のセンサユニットを模式的に示す図である。なお、第1の実施の形態の生体情報取得装置1と同一の要素には同一の符号を用いて説明し、重複する説明は省略する。
【0057】
本実施の形態のセンサユニット50は、
図10に示すように、第1の光源111、第2の光源121及び第3の光源122を略直線上に配置した光源ユニット51が、基板13上で受光器112を中心とした放射状に配置されている。そして、各光源ユニット51の光源111、121、122は夫々、異なる略同心円上に配置されている。
【0058】
すなわち、各光源ユニット51の第1の光源111は、受光器112を中心とした第1の円上に配置されている。各光源ユニット51の第2の光源121は、受光器112を中心とした第1の円より小さい直径の第2の円上に配置されている。各光源ユニット51の第3の光源122は、受光器112を中心とした第2の円より小さい第3の円上に配置されている。
【0059】
測定する脈波は、生体情報取得装置の生体への装着具合(例えば、接触しているか離れているか、圧力はどの程度か)により、波形が異なる。そのため、各光源ユニット51のうち、処理装置30は所定の条件を満たす(例えば、所定の圧力で各光源111、121及び122が生体に接触する)光源ユニット51を選択し、選択した光源ユニット51の各光源111、121、122から検出光を生体に照射して得た検出信号に基づいて生体の脈波を得ると、精度良く脈波を測定することができる。
【0060】
なお、本実施の形態のセンサユニット50は、検出光として赤色光又は赤外光を生体に照射して得た検出信号から、検出光として緑色光を生体に照射して得た検出信号を減じる処理を行うことを前提とした構成であるが、検出光として緑色光を生体に照射して得た検出信号を用いてノイズを除去しない場合は、センサユニット50に搭載される光源は全て第1の光源111で構成することができる。このとき、径方向の隣接する第1の光源の間隔及び周方向に隣接する第1の光源の間隔は、出射光の波長などに基づいて適宜設定される。
【0061】
この場合、全ての第1の光源111から検出光を生体に照射して得た検出信号をサンプリングし、第1の光源111から検出光を生体に照射して得た、最も信号状態の良い(例えば、特徴点を抽出し易い)検出信号に基づいて生体の脈波を得る。これにより、精度良く生体の脈波を測定することができる。つまり、直線上に配置された複数の第1の光源111のうち、最も信号状態が良く、且つ等しい円上に配置された複数の第1の光源111のうち、最も信号状態が良い検出信号を得ることができる第1の光源111を選択し、当該第1の光源111から検出光を生体に照射して得た検出信号に基づいて生体の脈波を得る。
【0062】
また、性別、年齢、体重などで区分けし、第1の光源111と受光器112との距離を一定としてデータを収集して上述のようなデータベースを作成する際に、上述のように第1の光源111を略同心円上に配置すると、等しい略円上に配置された第1の光源111から受光器112までの距離は略等しいので、当該データベースによる血圧推定アルゴリズムの誤差を抑制することができる。
【0063】
しかも、基板13上にマトリックス状に第1の光源111を配置する場合に比べて、上述のように第1の光源111を略同心円上に配置すると、第1の光源111の個数を削減することができ、その結果、生体情報取得装置の軽量化に寄与できる。
【0064】
ちなみに、特許文献2(特許第2766317号公報)には、受光素子を中心とした円上に発光素子を配置した構成が開示されているが、血液中の酸素飽和度測定に関する技術である。
【0065】
<第3の実施の形態>
検出光として緑色光を生体に照射して得た検出信号を用いてノイズを除去しない場合における、センサユニットの異なる形態を説明する。
図11は、本実施の形態のセンサユニットを模式的に示す図である。なお、第1の実施の形態の生体情報取得装置1と同一の要素には同一の符号を用いて説明し、重複する説明は省略する。
【0066】
本実施の形態のセンサユニット60は、
図11に示すように、複数の受光器112を略直線上に配置した受光器ユニット61が、基板13上に第1の光源111を中心とした放射状に配置されている。そして、各受光器ユニット61の受光器112は夫々、異なる略同心円上に配置されている。このとき、径方向に隣接する受光器112の間隔及び周方向に隣接する受光器112の間隔は、第1の光源111の出射光の波長などに基づいて適宜設定される。
【0067】
上述のように、測定する脈波は生体情報取得装置の生体への装着具合により、波形が異なるため、各受光器112のうち、所定の条件を満たす(例えば、所定の圧力で生体に接触する)受光器112を選択し、選択した受光器112の検出信号に基づいて生体の脈波を得ることで、脈波の測定精度を向上させることができる。
【0068】
また、性別、年齢、体重などで区分けし、第1の光源111と受光器112との距離を一定としてデータを収集して上述のようなデータベースを作成する際に、上述のように受光器112を略同心円上に配置すると、等しい略円上の受光器112は第1の光源111までの距離が略一定であるので、当該データベースによる血圧推定アルゴリズムの誤差を抑制することができる。
【0069】
しかも、基板13上にマトリックス状に受光器112を配置する場合に比べて、上述のように受光器112を略同心円上に配置すると、受光器112の個数を削減することができ、その結果、生体情報取得装置の軽量化に寄与できる。
【0070】
<第4の実施の形態>
検出光として緑色光を生体に照射して得た検出信号を用いてノイズを除去しない場合における、センサユニットの異なる形態を説明する。
図12は、本実施の形態のセンサユニットを模式的に示す図である。なお、第1の実施の形態の生体情報取得装置1と同一の要素には同一の符号を用いて説明し、重複する説明は省略する。
【0071】
本実施の形態のセンサユニット70は、
図12に示すように、第1の光源111を中心に略渦巻き線(
図12では二点鎖線で示している)上に受光器112が基板13上に配置されている。この場合も、複数の受光器112のうち、所定の条件を満たす受光器112を選択し、選択した受光器112の検出信号に基づいて生体の脈波を得ることで、脈波の測定精度を向上させることができる。このとき、渦巻き線上で隣接する受光器112の間隔は、第1の光源111の出射光の波長などに基づいて適宜設定される。
【0072】
なお、本実施の形態では、第1の光源111を中心に略渦巻き線上に受光器112を配置したが、受光器112を中心に略渦巻き線上に第1の光源111を配置して、所定の条件を満たす第1の光源111を選択し、選択した第1の光源111から検出光を生体に照射して得た反射光の検出信号に基づいて生体の脈波を得てもよい。
【0073】
<第5の実施の形態>
検出光として緑色光を生体に照射して得た検出信号を用いてノイズを除去しない場合における、センサユニットの異なる形態を説明する。
図13は、本実施の形態のセンサユニットを模式的に示す図である。なお、第1の実施の形態の生体情報取得装置1と同一の要素には同一の符号を用いて説明し、重複する説明は省略する。
【0074】
本実施の形態のセンサユニット80は、
図13に示すように、略直線上に複数の第1の光源111及び受光器112が基板13上に配置されている。この場合も、複数の第1の光源111のうち、所定の条件を満たす第1の光源111を選択し、選択した第1の光源111の検出信号に基づいて生体の脈波を得ることで、脈波の測定精度を向上させることができる。
【0075】
なお、本実施の形態では、略直線上に複数の第1の光源111及び受光器112を配置したが、略直線上に第1の光源及び複数の受光器112を配置して、所定の条件を満たす受光器112を選択し、選択した受光器112から検出光を生体に照射して得た検出信号に基づいて生体の脈波を得てもよい。
【0076】
<第6の実施の形態>
検出光として緑色光を生体に照射して得た検出信号を用いてノイズを除去しない場合における、センサユニットの異なる形態を説明する。
図14は、本実施の形態のセンサユニットを模式的に示す図である。なお、第1の実施の形態の生体情報取得装置1と同一の要素には同一の符号を用いて説明し、重複する説明は省略する。
【0077】
本実施の形態のセンサユニット90は、
図14に示すように、径の異なる複数のリング状の光源91が基板13上に受光器112を中心に配置されている。この場合も、各光源91のうち、所定の条件を満たす(例えば、所定の圧力で生体に接触する)光源91を選択し、選択した光源91から検出光を生体に照射して得た検出信号に基づいて生体の脈波を得ることで、脈波の測定精度を向上させることができる。ここで、隣接する光源91の間隔は、出射光の波長などに基づいて適宜設定される。
【0078】
なお、本実施の形態では、受光器112を中心にリング状の光源91を配置したが、点光源を中心として複数のリング状の受光器を配置し、所定の条件を満たす受光器を選択し、選択した受光器の検出信号に基づいて生体の脈波を測定してもよい。
【0079】
<第7の実施の形態>
基板13は、フレキシブル基板で構成されていることが好ましい。これにより、基板13を生体の例えば手首の湾曲に沿わせて、光源及び受光器を良好に生体に接触させることができる。
【0080】
このように基板13をフレキシブル基板で構成した生体情報取得装置を生体に装着した場合、基板13が湾曲して上述の同心円が変形してしまう。そこで、生体情報取得装置を生体に装着した状態で、光源又は受光器が略同心円上に配置されるように、基板13を平坦にした状態で光源及び受光器の何れか一方は他方を中心とした同心楕円上に配置されることが好ましい。これにより、データベースを作成する際に、第1の光源111と受光器112との距離を精度良く一定にすることができる。
【0081】
<第8の実施の形態>
上述のように光源や受光器の生体への接触圧力を検出する場合、以下のような構成を採用すればよい。
図15は、第1の光源の生体への接触圧力を検出可能な構成としたセンサユニットを模式的に示す図である。
【0082】
本実施の形態のセンサユニットは、
図15に示すように、第1の光源111と基板13との間に圧力検出部14を備えている。圧力検出部14としては、一般的な圧力センサを用いることができる。
【0083】
このような構成を例えば複数の第1の光源111を備えるセンサユニットに採用すると、処理装置は、圧力検出部14の検出信号に基づいて、複数の第1の光源111のうち、予め設定された圧力値以上の第1の光源111を選択し、選択した第1の光源111から検出光を生体に照射して得た検出信号に基づいて生体の脈波を得る。これにより、生体情報取得装置の生体への装着状態のばらつきや生体の個体差による測定困難を回避することができる。
【0084】
但し、
図15では、第1の光源111の生体への接触圧力を検出することができる構成とされているが、例えば複数の受光器112を備えるセンサユニットの場合は、各受光器112と基板13との間に圧力検出部14を配置すればよい。
【0085】
<第9の実施の形態>
ここで、光源や受光器の生体への接触圧力を予め設定された値に調整可能な構成であることが好ましい。
図16は、第1の光源の生体への接触圧力を予め設定された値に調整可能な構成を模式的に示す図である。
【0086】
本実施の形態では、
図16に示すように、第1の光源111と基板13との間に圧力検出部14及び圧力調整部15を備えている。圧力調整部15としては、例えばアクチュエータを用いることができる。
【0087】
このような構成を例えば複数の第1の光源111を備えるセンサユニットに採用すると、処理装置は、圧力検出部14からの検出信号に基づいて圧力調整部15を制御して、第1の光源111の生体への接触圧力を予め設定された値に調整する。そして、処理装置は、複数の第1の光源111から検出光を生体に照射して得た、最も信号状態の良い(例えば、特徴点を抽出し易い)検出信号に基づいて生体の脈波を得る。これにより、生体情報取得装置の生体への装着状態のばらつきや生体の個体差による測定困難を回避することができる。
【0088】
但し、
図16では、第1の光源111の生体への接触圧力を調整可能な構成とされているが、例えば複数の受光器112を備えるセンサユニットの場合は、各受光器112と基板13との間に圧力検出部14及び圧力調整部15を配置すればよい。
【0089】
<第10の実施の形態>
複数の第1の光源111又は複数の受光器112を備えるセンサユニットを用いる場合、中央の第1の光源111及び受光器112の何れか一方からの距離が異なる複数の他方の第1の光源111又は受光器112を動作させ、生体の異なる位置で得た脈波に基づいて、一般的なPWTT(Pulse Wave Transit Time)方式で生体の血圧を導き出してもよい。
【0090】
<第11の実施の形態>
センサユニットが複数の第1の光源111を備える場合、受光器112からの距離に応じて第1の光源の出射光の周波数を変更することが好ましい。例えば、受光器112から遠くなるのに従って第1の光源111の出射光の周波数を長くする。これにより、第1の光源111の出射光の生体内への深達度を調整することができる。
【0091】
以上、本発明に係る生体情報取得装置及び生体情報取得方法の実施の形態を説明したが、上記に限らず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、変更することが可能である。
【0092】
例えば、上記実施の形態では、検出光が生体内で反射した反射光に基づいて生体の脈波などを測定しているが、検出光が生体を透過した透過光に基づいて生体の脈波などを測定してもよい。この場合、光源と受光器との間に生体が配置されるように、光源及び受光器を配置すればよい。
【0093】
例えば、第2の実施の形態以降の実施の形態では、第1の光源111又は受光器112を複数備えるセンサユニットを説明したが、上述の構成に限定されない。すなわち、複数の第1の光源111又は受光器112は不規則的に又は規則的に基板13上に配置されていればよい。
【0094】
例えば、上記実施の形態の生体情報取得装置を腕時計端末などのウェアラブル端末に組み込みことも可能である。すなわち、生体情報取得装置を備えた腕時計端末と捉えることも可能である。さらには、センサユニット10が腕時計端末に設けられるとともに無線通信部を有しおり、その他の構成(例えば、処理装置30、表示部40等)は、スマートフォンに備えられていてもよい。この場合、腕時計端末で取得したアナログデータ又はデジタルデータが無線通信によってスマートフォンに転送される。そして、データを受信したスマートフォンが血圧を測定するための処理の一部又は全部を行ってもよい。