(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る燃料供給装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1A及び
図1Bにおいて、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る燃料供給装置を示す。
【0018】
この燃料供給装置10は、図示しない二輪車等の車両において燃料タンク(図示せず)の外側に配置され使用されるものであり、
図1A〜
図4に示されるように、筒状のハウジング12と、該ハウジング12の内部に収納される燃料ポンプ14と、前記ハウジング12の一端部に連結されフィルタ16の収納されるフィルタボディ18と、前記ハウジング12の他端部側に収納される隔壁部材20と、前記隔壁部材20及び前記ハウジング12の他端部を閉塞するカバー部材22とを含む。
【0019】
なお、この燃料供給装置10は、図示しない車両において燃料ポンプ14の軸線が矢印A、B方向(
図2参照)に沿って略水平となるように搭載される横置き式の燃料供給装置である。
【0020】
ハウジング12は、例えば、樹脂製材料から有底筒状に形成され、その一端部となる底部には筒状に突出した連結部24(
図2参照)が形成され後述するフィルタボディ18が接続される。連結部24は、
図2に示されるように、ハウジング12の中心から径方向外側にオフセットして形成され、その中心には軸方向(矢印A、B方向)に貫通した吸入通路26が形成されると共に、この吸入通路26に対してさらに径方向外側にオフセットして燃料ポンプ14がハウジング12の内部に収納される。
【0021】
そして、ハウジング12の一端部には、フィルタボディ18の接続される接続端28が外縁部に沿って形成され、フィルタボディ18の端部が当接し、ハウジング12とフィルタボディ18とが所定位置に位置決めされた状態で溶着等によって互いに接続される。
【0022】
一方、ハウジング12の他端部には軸方向(矢印B方向)に向かって開口した開口部30が形成され、この開口部30の外周側となる外縁部にはカバー部材22の接続される第1接続端32が形成される。そして、第1接続端32に対してカバー部材22が当接した状態で互いに溶着等で接続されることで、ハウジング12の開口部30が閉塞される。
【0023】
また、ハウジング12の内部には、燃料ポンプ14の側方となる位置に所定容積を有した排出室(低圧室)34が設けられ、この排出室34には、後述する燃料ポンプ14で脱気された燃料の気体成分が排出されると共に、前記燃料ポンプ14から吐出され余剰となった燃料(余剰燃料)が導入される。
【0024】
さらに、
図4に示されるように、ハウジング12の内部には通路壁36を介して排出室34と分離され、該ハウジング12の軸方向(矢印A、B方向)に沿って延在する排出通路38が形成されると共に、
図3に示されるように、前記排出室34と分離された第1送出通路(燃料送出通路)40とを備える。
【0025】
排出通路38は、ハウジング12の一端部から他端部まで延在し、その一端部側(矢印A方向)がフィルタボディ18との間に形成された連通路42と連通し、他端部側(矢印B方向)が排出室34と連通している。すなわち、排出通路38は、ハウジング12及び燃料ポンプ14の軸線と略平行に形成されている。
【0026】
この第1送出通路40は、前記排出通路38と略平行に形成され、後述するフィルタボディ18に形成された第2送出通路104、送出管94と高圧燃料室140とを連通している。
【0027】
一方、ハウジング12の外部には、外側に向かって突出したコネクタ部44(
図1A及び
図1B参照)が設けられ、図示しないコントローラに接続されるハーネス(図示せず)が接続可能に設けられると共に、後述する燃料ポンプ14の給電端子74(
図3参照)と接続されている。
【0028】
燃料ポンプ14は、
図2及び
図3に示されるように、例えば、円筒状のケーシング46と、このケーシング46の一端部側(矢印A方向)に収納されるポンプ部48と、前記ケーシング46の中央部に収納され該ポンプ部48を駆動するモータ部50と、前記ケーシング46の他端部側(矢印B方向)に設けられ前記ポンプ部48によって吸い込まれた燃料を吐出する吐出部52とを含む。
【0029】
ポンプ部48は、ポンプボディ54と、このポンプボディ54を覆うポンプカバー56と、前記ポンプボディ54と前記ポンプカバー56との間に設けられるインペラ58とを含む。そして、ポンプ部48は、ポンプボディ54とポンプカバー56とが軸方向(矢印A、B方向)に沿って積層された状態でケーシング46の一端部に固定される。
【0030】
ポンプボディ54には、その中央部にモータ部50を構成するシャフト60が挿通されると共に、該シャフト60の径方向外側には軸方向(矢印A、B方向)に貫通し燃料の吐出される吐出口62が形成され、内部に形成された断面円形状のポンプ室64に円盤状のインペラ58が回転自在に収納される。このポンプ室64と吐出口62とが連通している。
【0031】
ポンプカバー56は、ポンプボディ54のポンプ室64を覆うように設けられ、その一端面に形成され軸方向(矢印A、B方向)に貫通した吸入口66(
図2参照)と、ポンプボディ54に臨む他端面に形成されたポンプ流路68と、このポンプ流路68に開口し気体燃料を外部へと排出させる脱気孔70(
図3参照)とを備える。
【0032】
そして、吸入口66は、ポンプカバー56の一端面から軸方向(矢印A方向)へ突出した吸入管72に形成され、この吸入管72がハウジング12の吸入通路26と接続され連通している。一方、脱気孔70は、ハウジング12の排出室34と連通している。
【0033】
モータ部50は、ブラシレスモータからなり、ケーシング46内に回転自在に設けられるステータコア及びロータ(図示せず)を含み、このロータの中心に保持されるシャフト60の一端部がインペラ58の中心に連結され、他端部がポンプボディ54に対して回転自在に支持される。
【0034】
また、モータ部50には、
図3に示されるように、ケーシング46の他端部に設けられた複数の給電端子74が電気的に接続され、この給電端子74にはそれぞれリード線76が接続され、このリード線76は排出室34の内部に延在した後にコネクタ部44へと電気的に接続される。
【0035】
そして、図示しないコントローラからの制御信号がコネクタ部44、リード線76及び給電端子74を介してモータ部50へと出力されることで、このモータ部50を構成するロータが回転し、それに伴って、シャフト60を介してインペラ58がポンプ室64で回転する。
【0036】
吐出部52は、
図2及び
図3に示されるように、モータ部50の他端部に臨むようにケーシング46の他端部に固定され、前記ケーシング46に連結される基部78と、この基部78に対して前記ケーシング46から離間する方向(矢印B方向)へ突出した円筒部80とを含み、この円筒部80が後述する隔壁部材20へ挿入され保持される。
【0037】
円筒部80の中心には、ケーシング46の燃料を外部へ吐出する燃料吐出口82が軸方向に沿って貫通すると共に、その内部には燃料が所定圧力となることで弁開状態となり前記燃料吐出口82を開放する第1チェック弁84が設けられる。この第1チェック弁84は、円筒部80との間に介装されたスプリング86によってモータ部50側(矢印A方向)へと常に付勢されており、弁閉状態から燃料の圧力によって弁開状態となって開放される。
【0038】
フィルタボディ18は、
図1A〜
図4に示されるように、例えば、樹脂製材料から形成され、ハウジング12の一端部に連結され、円筒状に形成されたボディ本体88と、このボディ本体88の外周面から突出した燃料供給管90、燃料排出管92及び送出管94とを有し、前記ボディ本体88の開口した一端部にキャップ96が装着されることで閉塞される。
【0039】
ボディ本体88は、ハウジング12の一端部に対して燃料ポンプ14と略同軸状となるように設けられ、このハウジング12に臨む端部がハウジング12における接続端28と当接することで、ハウジング12の一端部に対して所定の位置へと位置決めされた状態で溶着等によって互いに接続される。
【0040】
これにより、
図2に示されるように、連結部24がフィルタボディ18の内部に挿入された状態で、ハウジング12の一端部にフィルタボディ18が接続され、前記ハウジング12の吸入通路26を通じてフィルタボディ18の内部と燃料ポンプ14のポンプ室64とが連通する。
【0041】
一方、ボディ本体88の内部には、ホルダ98を介して円筒状のフィルタ16が装着され、このフィルタ16は、燃料供給管90からフィルタボディ18内へ導入される燃料中の塵埃等を除去する目的で設けられている。
【0042】
そして、ホルダ98の中央がハウジング12の連結部24に保持されることで、フィルタ16が燃料ポンプ14の吸入管72と同軸状となるように保持されると共に、前記フィルタ16の内部に吸入通路26が挿入されて開口した状態となる。
【0043】
燃料供給管90は、ボディ本体88の外周面から該ボディ本体88の軸線と直交方向に延在した管状に形成され、図示しない配管を介して燃料タンクと接続されている。そして、燃料ポンプ14の駆動作用下に図示しない燃料タンク中の燃料が燃料供給管90を通じてフィルタボディ18の内部へと導入され、フィルタ16を通過することで塵埃等が除去された後、吸入通路26を通じて前記燃料ポンプ14へと吸入される。
【0044】
燃料排出管92は、燃料供給管90と同様にボディ本体88の外周面から該ボディ本体88の軸線と直交方向に延在した管状に形成され、前記燃料供給管90と所定間隔離間して略平行に形成される。この燃料排出管92は、ボディ本体88及び燃料供給管90と非連通に設けられると共に、ハウジング12の連通路42を通じて排出室34と連通している。
【0045】
また、燃料排出管92の内部には、
図4に示されるように、フィルタボディ18から図示しない燃料タンク側への燃料の流れのみを許容する第2チェック弁100が設けられている。第2チェック弁100は、燃料排出管92内に設けられたスプリング102の弾発作用下にボディ本体88側に向かって常に付勢されて弁閉状態となり燃料タンクから排出室34側への塵埃等の進入を防止している。
【0046】
そして、燃料排出管92は、図示しない配管を介して燃料タンクと接続され、排出室34へと排出された余剰燃料の圧力によって第2チェック弁100が弁開することで、前記燃料排出管92を通じて燃料が前記燃料タンクへと戻される。
【0047】
送出管94は、燃料供給管90及び燃料排出管92と同様に、ボディ本体88の外周面から外側に向かって突出し、前記ボディ本体88内に形成された第2送出通路(燃料送出通路)104、ハウジング12の第1送出通路40と連通すると共に、図示しない配管を介して内燃機関のインジェクタ(燃料噴射弁)と接続されている。
【0048】
隔壁部材20は、
図2〜
図4に示されるように、例えば、樹脂製材料から形成され、ハウジング12における他端部の開口部30内に収納され、該ハウジング12の第1接続端32と略同一平面状となるベース部106と、該ベース部106に対して軸方向(矢印A、B方向)に突出した第1〜第3保持部108、110、112とを含む。
【0049】
ベース部106は、例えば、プレート状に形成され、その外縁部がハウジング12の内周面に臨むように該ハウジング12の内部に収納され、前記外縁部の一端部がハウジング12の開口部30に臨んだ段部へと挿入され当接する。これにより、ベース部106は、ハウジング12に対して軸方向に位置決めされると共に、前記ベース部106の他端面に形成された第2接続端114がハウジング12の第1接続端32と略同一面となる(
図2参照)。
【0050】
そして、隔壁部材20がハウジング12の開口部30に収納された状態で、ハウジング12の第1接続端32に対して溶着等によって固定される。
【0051】
第1〜第3保持部108、110、112は、それぞれハウジング12の軸方向(矢印A、B方向)に沿った円筒状に形成され、ベース部106の中心に対して径方向外側にそれぞれ設けられると共に、該ベース部106の周方向に沿って互いに離間するように形成される。
【0052】
第1保持部108には、燃料ポンプ14における吐出部52の円筒部80が内部に挿入されることで保持され、第2保持部110には、
図3に示されるようにハウジング12の第1送出通路40の端部が挿入され、後述するカバー部材22の高圧燃料室140とそれぞれ連通している。
【0053】
また、第3保持部112は、
図2〜
図5Bに示されるように、ハウジング12の排出室34側(矢印A方向)に向かって突出した第1突出部116と、カバー部材22側(矢印B方向)に向かって突出した第2突出部118とを有している。
【0054】
第1突出部116の中心には、軸方向(矢印A、B方向)に貫通した装着孔120が形成され、プレッシャレギュレータ(圧力調整弁)122が内部に装着されている。
【0055】
一方、第2突出部118は、ベース部106に対してカバー部材22側に所定高さで一直線状に突出し、その中心には軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通した整流通路124が形成され、前記装着孔120とカバー部材22の高圧燃料室140とを連通している。
【0056】
また、第2突出部118は、高圧燃料室140側(矢印B方向)となる入口側端部の高さが燃料ポンプ14の燃料吐出口82の高さと略同一となるように形成される(
図2参照)。
【0057】
この整流通路124は、断面円形状で軸方向(矢印A、B方向)に沿って略一定の通路径(直径)D1で形成されると共に、
図5Bに示されるように、前記軸方向に沿った長さLが前記通路径D1よりも大きくなるように形成されている(L>D1)。換言すれば、整流通路124は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って細長状となるように形成されている。そして、整流通路124は、高圧燃料室140を介して燃料ポンプ14の燃料吐出口82と連通している。
【0058】
また、
図5Aに示されるように、隔壁部材20において、上述した整流通路124の軸中心(軸線)と燃料吐出口82の軸中心(軸線)とを直線状に仮想線Cで繋いだ際に、前記仮想線C上とは異なる位置に第1送出通路40の開口部が設けられる。
【0059】
プレッシャレギュレータ122は、
図2、
図5A及び
図5Bに示されるように、弁ハウジング126と、該弁ハウジング126の内部に保持され弁座128を有した筒体130と、前記弁座128に対して着座自在に設けられる弁体132と、前記弁体132を弁座128側(矢印B方向)に向かって押圧するリテーナ134及びスプリング136とを有する。
【0060】
そして、弁体132が、スプリング136の弾発力によってリテーナ134を介して弁座128へと押圧され着座することで、筒体130の内部に形成された連通ポート138と排出室34との連通が遮断された弁閉状態となる。また、
図5Bに示されるように、連通ポート138の通路径D2に対して整流通路124の通路径D1が小さくなるように形成されている(D2>D1)。
【0061】
一方、プレッシャレギュレータ122は、高圧燃料室140から整流通路124、装着孔120及び連通ポート138へと流入する燃料の圧力によって弁体132が押圧されることで、該弁体132がスプリング136の弾発力に抗して弁座128から離間する方向に移動して弁開状態となり、燃料(余剰燃料)が前記高圧燃料室140から排出室34へと流れる。
【0062】
カバー部材22は、例えば、樹脂製材料からプレート状に形成され、ハウジング12及び隔壁部材20の他端部を覆うように装着され、前記ハウジング12の第1接続端32及び前記隔壁部材20の第2接続端114にカバー部材22の端部が当接し、所定位置に位置決めされた状態で溶着等によって互いに接続される。
【0063】
また、カバー部材22は、隔壁部材20側となる端面が該隔壁部材20から離れる方向(矢印B方向)に向かって凹状に窪み、前記隔壁部材20のベース部106との間に所定容積の空間となる高圧燃料室140が形成される。
【0064】
この高圧燃料室140は、燃料供給装置10の軸線と略直交方向に延在し、第1保持部108を介して燃料ポンプ14の吐出部52が接続され燃料吐出口82と連通すると共に、第2保持部110を介して第1及び第2送出通路40、104と連通すると共に、第3保持部112における第2突出部118の整流通路124を介してプレッシャレギュレータ122の装着された装着孔120と連通している。
【0065】
本発明の実施の形態に係る燃料供給装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0066】
この燃料供給装置10において、図示しないコントローラからの制御信号がコネクタ部44、リード線76、給電端子74を通じて燃料ポンプ14へと出力され、モータ部50のロータ(図示せず)が回転駆動することでシャフト60を介してポンプ部48のインペラ58がポンプ室64で回転駆動する。
【0067】
そして、燃料タンクから燃料供給管90を通じてフィルタボディ18の内部に導入されている燃料が、インペラ58の回転によってフィルタ16を通過した後に、吸入通路26及び吸入管72の吸入口66を通じてポンプ室64の内部へと吸入される。
【0068】
この吸入口66から吸入された燃料は、ポンプ室64においてポンプ流路68を通じてポンプカバー56に沿って周方向へと流れることで徐々に圧力が上昇すると共に、その気体成分が脱気孔70を通じて外部へと排出された後、ポンプボディ54の吐出口62へと流通して高圧となった燃料が吐出される。
【0069】
この吐出口62から吐出された燃料は、モータ部50の内部空間を通じて吐出部52の燃料吐出口82まで流れ、第1チェック弁84を押圧して弁開状態とすることで前記燃料吐出口82から高圧燃料室140へと吐出される。
【0070】
この高圧となった燃料は、
図3に示される高圧燃料室140からハウジング12の第1送出通路40及びフィルタボディ18の第2送出通路104、送出管94を通じて外部へと吐出され、図示しない配管を通じて内燃機関のインジェクタへと供給される。
【0071】
一方、燃料ポンプ14から吐出され余剰となった燃料は、高圧燃料室140において所定の圧力より高くなり、該高圧燃料室140と連通した整流通路124へと流入する。
【0072】
この際、燃料吐出口82と整流通路124との間は、高圧燃料室140を介して通じており、前記高圧燃料室140は、燃料吐出口82の軸心と整流通路124の軸心とを結ぶ直線状の仮想線Cとは異なる位置に配置される第1送出通路(燃料送出通路)40と燃料吐出口82と整流通路124とを内部に配置する部屋として構成されている。
【0073】
従って、燃料吐出口82から吐出された燃料は、高圧燃料室140内の整流通路124近傍において、前記燃料吐出口82と前記整流通路124とを結ぶ燃料の流れ方向(仮想線C上の方向)以外の方向からも該整流通路124へと流れ、主な燃料の流れ方向が変動することとなる。また、第1送出通路40と連通するインジェクタの燃料噴射量は変動し、高圧燃料室140から前記第1送出通路40へ流出する燃料量が変動していることも、前記高圧燃料室140内の整流通路124近傍における主な燃料の流れ方向が変動する一因となる。
【0074】
そのため、
図5Bに示されるように、整流通路124の入口近傍では、該整流通路124の軸線の直交方向において、燃料の流速が速い位置と遅い位置(流速分布)とが変動して安定しない。
【0075】
具体例として示すと、燃料ポンプ14側となる手前側(矢印E1方向)を流れる燃料の流速が速く、該手前が反対側となる奥側(矢印E2方向)を流れる燃料の流速が遅い場合(
図5B中、実線矢印参照)や、反対に前記燃料ポンプ14側となる手前側(矢印E1方向)を流れる燃料の流速が遅く、該手前が反対側となる奥側(矢印E2方向)を流れる燃料の流速が速い場合(
図5B中、破線矢印参照)等がある。
【0076】
そして、整流通路124の入口近傍では、該整流通路124の径方向において燃料の流速分布が変動していても、燃料が前記整流通路124に沿ってプレッシャレギュレータ122側(矢印A方向)へと流れることで、常に該整流通路124の中心を流れる燃料の流速が速く、内周面近傍となる径方向外側を流れる燃料の流速が該中心より遅く、且つ、周方向に沿って略均等となるように整流されて前記連通ポート138へと導かれる。
【0077】
すなわち、燃料が整流通路124を流れることで、該整流通路124の中心から径方向外側に向かって対称となるように燃料の流速分布が整えられる。
【0078】
この連通ポート138へ供給された燃料によってプレッシャレギュレータ122の弁体132が押圧され、スプリング136の弾発力に抗して弁座128から離間することで弁開状態となる。この際、燃料は、整流通路124によって整流され、連通ポート138を通じて弁体132の表面をその中心(軸線)に対して径方向に対称となり、且つ、周方向に略均等となる圧力で押圧するため、該弁体132が径方向へと移動することなくプレッシャレギュレータ122の軸方向(矢印A方向)のみに押圧力が付与されることとなる。
【0079】
そして、余剰となった燃料が弁ハウジング126の内部を通じて加圧状態で排出室34へと排出されると共に、この排出室34には、燃料ポンプ14のポンプ流路68から脱気孔70を通じて排出された気体燃料成分が加圧状態で流入している。この排出室34内の液体燃料成分は、
図4に示される排出通路38を通じて連通路42から燃料排出管92へと流れ、第2チェック弁100を押し上げて開放状態とすることで、図示しない配管を通じて燃料タンクへと戻される。
【0080】
以上のように、本実施の形態では、燃料供給装置10を構成するハウジング12とカバー部材22との間に燃料ポンプ14から高圧の燃料が吐出される高圧燃料室140が設けられ、前記高圧燃料室140に臨む隔壁部材20には、前記高圧燃料室140で余剰となった燃料を低圧の排出室34へと排出するためのプレッシャレギュレータ122を備えている。このプレッシャレギュレータ122と高圧燃料室140とを接続する整流通路124は、その軸線方向にそった長さLが通路径D1に対して大きく形成されている。
【0081】
従って、高圧燃料室140の燃料が整流通路124を軸方向に沿って流れることで、前記整流通路124を通過した後の燃料の流速分布が該整流通路124の中心から径方向外側に向かって対称となり、且つ、周方向に略均等となるように整流される。
【0082】
その結果、整流通路124において整流された燃料が、プレッシャレギュレータ122の連通ポート138へと供給されることで、弁体132がその中心に対して径方向に対称で、且つ、周方向に略均等となる圧力で押圧されるため、開弁時において前記弁体132が径方向に移動することなく軸方向にのみ移動することとなる。そのため、弁体132が、常に弁座128の軸線上となる所定位置に安定して維持されることとなり、該弁体132が径方向へ移動した際に生じる異音の発生を好適に抑制することができる。
【0083】
また、開弁時における弁体132の径方向への移動が抑制されることで、該弁体132が弁閉する際に弁座128に対して着座する際のずれが抑制され、着座時における異音の発生も抑制することが可能となる。
【0084】
さらに、燃料ポンプ14における燃料吐出口82とプレッシャレギュレータ122の連通ポート138とが平行に設けられ、且つ、該燃料吐出口82と隔壁部材20に形成された整流通路124とが、前記燃料吐出口82及び前記連通ポート138の軸方向に対して略直交した高圧燃料室140によって互いに接続されている。
【0085】
従って、燃料吐出口82から高圧燃料室140へと吐出された燃料が、該高圧燃料室140から整流通路124へと流入する直前では燃料の流れ方向が常に同じ方向に定まっていないため、整流通路124の上流側となる入口では、整流通路124内の軸線と直交する径方向において燃料流速分布が変動している。この変動した状態で燃料が連通ポート138を通じて弁座128まで流れると、弁体132の開弁時において該弁体132が径方向へと移動して振動に伴う異音が発生する。
【0086】
しかしながら、本実施の形態に係る燃料供給装置10では、燃料が整流通路124を通過した後に、該整流通路124の径方向において燃料の流速分布が軸線に対して対称となり、且つ、周方向に略均等となった状態で、前記燃料が弁座128へと流入する。そのため、開弁時において弁体132が弁ハウジング126の軸線上(中央)に安定して保持され、径方向への移動が抑制されることで振動に起因した異音の発生が抑制される。
【0087】
さらに、高圧燃料室140に対する第1送出通路40の開口部は、燃料吐出口82の中心と整流通路124の中心とを結んだ仮想線C上以外となる位置に配置される。そのため、燃料吐出口82から高圧燃料室140へと吐出された燃料は、該高圧燃料室140において異なる方向に開口した整流通路124及び第1送出通路40へとそれぞれ流れる。
【0088】
また、第1送出通路40と連通するインジェクタの燃料噴射量は変動し、高圧燃料室140から第1及び第2送出通路40、104へと流出する燃料量も変動する。
【0089】
その結果、整流通路124の入口近傍では、整流通路124の軸線と直交する方向での燃料の流速分布が変動しやすいが、前記整流通路124によって前記流速分布が軸線に対して対称となり、且つ、周方向に略均等となるように整流することで、弁体132からの異音の発生が好適に抑制される。
【0090】
さらにまた、高圧燃料室140を、ハウジング12内に収納された隔壁部材20と該ハウジング12の開口部30を覆うカバー部材22とを接合することで、両者の間に容易に形成することができる。
【0091】
またさらに、整流通路124の通路径(直径)D1を弁座128を含む連通ポート138の通路径(直径)D2より小さくすることで、前記整流通路124において軸方向に沿った短い通路長さで燃料の流れを好適に整流することができる。そのため、整流通路124の通路長さを小さくすることが可能となり、該整流通路124を有した隔壁部材20の小型化を図ることができる。
【0092】
また、燃料吐出口82と整流通路124の入口側となる上流側端部とを、燃料供給装置10の軸方向(矢印B方向)において同じ高さとなるように形成することで、前記燃料吐出口82から高圧燃料室140へと吐出された高圧の燃料を前記整流通路124へと好適に取り込んで整流することができる。
【0093】
なお、本発明に係る燃料供給装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【解決手段】燃料供給装置10は、燃料ポンプ14が収納され燃料吐出口82と連通する高圧燃料室140を有したハウジング12と、前記高圧燃料室140と連通しインジェクタへと高圧で燃料を送出する第1及び第2送出通路40、104と、前記ハウジング12の排出室34と前記高圧燃料室140との間に設けられるプレッシャレギュレータ122とを備えている。また、ハウジング12には、プレッシャレギュレータ122の弁座128を有した連通ポート138と高圧燃料室140との間に整流通路124が設けられ、該整流通路124は前記連通ポート138と同軸となり、その通路径に対して前記軸線方向に沿った通路長さが大きく形成される。