特許第6661755号(P6661755)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661755
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】真空掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 5/24 20060101AFI20200227BHJP
   A47L 5/28 20060101ALI20200227BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20200227BHJP
   A47L 9/16 20060101ALI20200227BHJP
   A47L 9/32 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   A47L5/24 A
   A47L5/28
   A47L9/28 U
   A47L9/28 D
   A47L9/16
   A47L9/32 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-514345(P2018-514345)
(86)(22)【出願日】2016年8月23日
(65)【公表番号】特表2018-527115(P2018-527115A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】GB2016052612
(87)【国際公開番号】WO2017046560
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年5月15日
(31)【優先権主張番号】1516500.4
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ディンバイロー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ヒンチリフ
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/195711(WO,A1)
【文献】 特表2009−543641(JP,A)
【文献】 特開2002−085297(JP,A)
【文献】 特開2010−201169(JP,A)
【文献】 特開2013−132561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L5/00− 5/38
A47L9/00− 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行式真空掃除機であって、
サイクロン式分離ユニットと、
吸引発生器、バッテリ、及び、利用の際に前記携行式真空掃除機を支持するためのハンドルを備えている本体であって、前記ハンドルが、前記携行式真空掃除機を動作させるためのアクチュエータであって、指で操作可能とされるトリガーの形態をした前記アクチュエータ、及び、前記トリガーの下方に配置されているトリガーガードを備えている、前記本体と、
を備えている前記携行式真空掃除機において、
前記バッテリが、前記携行式真空掃除機の重心が前記トリガーガードの下方に位置するように、前記トリガーガードの下方に配置されており、
前記吸引発生器と前記サイクロン式分離ユニットとが、前記ハンドルの一方の端部に配置されており、前記バッテリが、前記ハンドルの反対側の端部に配置されていることを特徴とする携行式真空掃除機。
【請求項2】
前記バッテリの下面が、前記携行式真空掃除機の基部を形成しており、
前記吸引発生器が、前記携行式真空掃除機の重心が前記基部の上方に位置決めされるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の携行式真空掃除機。
【請求項3】
前記サイクロン式分離ユニットが、前記トリガーの前方に延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の携行式真空掃除機。
【請求項4】
前記ハンドルが、前記ハンドルと前記サイクロン式分離ユニットの長手方向軸線とが成す角度が85°以上140°以下となるように、前記サイクロン式分離ユニットに対して傾斜していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携行式真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行式真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、ハンドルを具備する本体と、ハンドルと並列して延在するように配置されているサイクロン式分離器と、を備えている携行式真空掃除機を開示している。ハンドルは、真空掃除機の電源の入切を切り替えるために利用されるバネ装填式トリガーを具備している。利用者は、清掃作業中に人差し指で押圧されるトリガーを保持する。トリガーを解放することによって、真空掃除機の電源が切れる。当該構成は、バッテリ駆動の携行式真空掃除機にとって特に有益である。清掃作業の合間にトリガーを解放することによって、バッテリ電力を節約することができるからである。
【0003】
しかしながら、利用者がトリガーを解放した場合に、真空掃除機は、その手の残りの4本の、一般に力が弱い指で支持しなければならない。バッテリ持続時間を伸ばすためにこのような態様で携行式真空掃除機を保持しなければならないので、疲労の要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許第2440111号明細書
【特許文献2】英国特許第2484146号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、携行式真空掃除機であって、サイクロン式分離ユニットと、吸引発生器、バッテリ、及び、利用の際に携行式真空掃除機を支持するためのハンドルを備えている本体であって、ハンドルが、携行式真空掃除機を動作させるためのアクチュエータであって、指で操作可能とされるトリガーの形態をしたアクチュエータと、トリガーの下方に配置されているトリガーガードとを備えている、本体と、を備えている携行式真空掃除機において、バッテリが、携行式真空掃除機の重心がトリガーガードの下方に位置するように、トリガーガードの下方に配置されていることを特徴とする携行式真空掃除機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トリガーが前後に傾斜されずに解放された場合にトリガーガードによって携行式真空掃除機が支持可能とされる、釣合いのとれた配置を提供する。
【0007】
バッテリの下面が、携行式真空掃除機の基部を形成しており、吸引発生器が、携行式真空掃除機の重心が基部の上方に位置決めされるように配置されている。
【0008】
サイクロン式分離ユニットは、トリガーの前方に延在している。ハンドルが、ハンドルとサイクロン式分離ユニットの長手方向軸線とが成す角度が85°以上140°以下、例えば100°〜125°となるように、サイクロン式分離ユニットに対して傾斜している。
【0009】
本発明を良好に理解するために、及び、本発明の実施を明確に表わすために、本発明について、添付図面を参照しつつ例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】携行式真空掃除機の概略図である。
図2図1に表わす携行式真空掃除機の概略的な断面図である。
図3図1に表わす携行式真空掃除機の正面図である。
図4】利用時における図1に表わす携行式真空掃除機を表わす。
図5a】特定の向きの図1に表わす携行式真空掃除機を表わす。
図5b】特定の向きの図1に表わす携行式真空掃除機を表わす。
図5c】特定の向きの図1に表わす携行式真空掃除機を表わす。
図6図1に表わす携行式真空掃除機を備えているスティック型真空掃除機の斜視図である。
図7a】特定の向きの図6に表わす真空掃除機を表わす。
図7b】特定の向きの図6に表わす真空掃除機を表わす。
図7c】特定の向きの図6に表わす真空掃除機を表わす。
図8図1に表わす真空掃除機を空にする様子を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2は、桿体状のハンドル6を有している本体4と、長手方向軸線Xを有しているサイクロン式分離ユニット8と、サイクロン式分離ユニット8に固定されているノズルの形態をした清掃ツール10と、を備えている携行式真空掃除機2を表わす。サイクロン式分離ユニット8は、ハンドル6から離隔するように延在しており、清掃ツール10が、ハンドル6から最も離隔しているサイクロン式分離ユニット8の端部に配置されている。清掃ツール10は、サイクロン式分離ユニット8から離隔するようにサイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xに沿って延在している。
【0012】
さらに、本体4は、吸引発生器11を備えており、吸引発生器11は、モータ12と、ハンドル6の上方に且つハンドル6の後方に向かって配置されている羽根車13と、ハンドル6の直下に配置されているバッテリ14とを備えている。指で操作可能とされるトリガー16の形態をしたアクチュエータが、ハンドル6の上側部分に設けられている。トリガーガード17は、トリガー16の下方においてハンドル6から前方に延在している。ハンドル6は、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xに対して角度θで配置されているので、ハンドル6が拳銃のグリップ部分のように構成されている。角度θは、85°以上140°以下の角度、好ましくは100°以上125°以下の角度とされる。図示の実施例では、ハンドル軸線Hは、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xに対して110°の角度で配置されている。角度θ1は、ハンドル6の前方に延在している長手方向軸線Xとハンドル6を貫通して延在しているハンドル軸線Hの一部とが成すネジ山の角度である。
【0013】
サイクロン式分離ユニット8は、一次サイクロン式分離器18と、一次サイクロン式分離器18の下流に位置決めされている複数の二次サイクロン式分離器20とを備えている。一次サイクロン式分離器18は、サイクロン式分離ユニット8の第1の端部に隣接しており、二次サイクロン式分離器20は、第1の端部の反対側に位置するサイクロン式分離ユニット8の第2の端部に隣接している。二次サイクロン式分離器20は、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xを中心として延在している円状配列に配置されている。
【0014】
一次サイクロン式分離器18は、容器の形態をした分離器本体22を備えており、分離器本体22は、円筒状の外壁24と端部壁26とを有している。円筒状の外壁24は、サイクロン式分離チャンバ28を形成している。図示の実施例では、サイクロン式分離チャンバ28の軸線は、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xを形成している。中央ダクト30は、端部壁26からサイクロン式分離チャンバ28の入口32に至るまで延在している。
【0015】
清掃ツール10は、接続部分33と、ダクト36を清掃ツール10に沿って形成しているノズル部分34とを備えている。接続部分33は、端部壁26に隣接している中央ダクト30の一部分の内径より小さい外径を有しているので、(図示の如く)接続部分33を中央ダクト30に挿入することによって、清掃ツール10とサイクロン式分離ユニット8とを確実に且つ堅固に接続することができる。
【0016】
中央ダクト30と清掃ツール10を貫通しているダクト36とが共に、長手方向軸線Xと同軸に且つハンドル6から最も離隔しているサイクロン式分離ユニット8の端部を貫通して延在している入口ダクト30を形成している。サイクロン式分離チャンバ28の入口32は、端部壁26から離隔しており、サイクロン式分離チャンバ28の入口32は、清掃ツール10に接続するためのサイクロン式分離ユニット8の端部の反対側に位置する、一次サイクロン式分離器18の端部に向かって配置されている。従って、サイクロン式分離チャンバ28は、中央ダクト30によって形成されている入口ダクトの一部分を囲んでいる。端部壁26から通じている中央ダクト30の第1の部分は、サイクロン式分離チャンバ28の長手方向軸線Xに沿って延在している。中央ダクト30の第2の部分は、第1の部分からサイクロン式分離チャンバ28の入口32に至るまで延在している。第2の部分は、利用の際にサイクロン式分離チャンバ28の内部における回転流れが促進されるように、サイクロン式分離チャンバ28に関するラジアル方向成分及び周方向成分の両方を有する方向に延在している。
【0017】
端部壁26と端部壁26に隣接している円筒状の外壁24の一部分とが、一次サイクロン式分離器18によって流入流れから分離された塵埃を収集するための塵埃収集容器の形態とされる、塵埃収集器38を形成している。
【0018】
端部壁26は、ピボット40を介して、円筒状の外壁24に接続されており、利用者が操作可能とされるキャッチ42によって、閉位置に保持されている。端部壁26は、キャッチ42を解除し、円筒状の外壁24の端部から離隔するように端部壁26を回動させることによって、塵埃が塵埃収集器38の内部に保持される閉位置から、塵埃が塵埃収集器38から排除可能とされる開位置に至るまで移動可能とされる。清掃ツール10は、清掃ツール10を中央ダクト30に固定するように中央ダクト30と係合する保持機能部(図示しない)を備えている。さらに、清掃ツール10は、端部壁26に当接することによって閉位置において端部壁26を保持する、環状カラー43を備えているので、清掃ツール10が取付られた状態において端部壁26が偶発的に開くことを防止することができる。清掃ツール10は、清掃ツール10をサイクロン式分離ユニット8から取り外すために保持機能部を中央ダクト24から係合解除するように動作する、手動で操作可能なキャッチ44を有している。
【0019】
円筒状のシュラウド45は、サイクロン式分離チャンバ28の内部の中央に配置されており、サイクロン式分離チャンバ28の軸線と同軸に延在している。シュラウド45を貫通して設けられている開口部46は、サイクロン式分離チャンバ28からの流体出口を形成している。
【0020】
ダクト48は、シュラウド45によって部分的に形成されており、開口部46によって形成されているサイクロン式分離チャンバからの出口と二次サイクロン式分離器20の入口49との間を流通させている。二次サイクロン式分離器20それぞれは、一次サイクロン式分離器18の側面に沿って延在している微小塵埃収集器51と連通している一方の端部に、固形物用出口50を有している。流体用出口52は、固形物用出口50の反対側に位置する二次サイクロン式分離器20の端部それぞれに配置されている。
【0021】
サイクロン式分離ユニット8と吸引発生器11とバッテリ14とは、真空掃除機2の構成部品の中で最も重い構成部品であると思われる。サイクロン式分離ユニット8の重心は、トリガーガード17の前方に位置しているので、サイクロン式分離ユニット8は、トリガー16及びトリガーガード17を中心として時計回り方向のモーメントを発生させる(図2参照)。バッテリ14の重心は、トリガーガード17の後方に位置している。従って、バッテリ14は、トリガー16及びトリガーガード17を中心として反時計回り方向のモーメントを作用させる。また、吸引発生器11の重心は、トリガーガード17の後方に位置している。サイクロン式分離ユニット8と吸引発生器11とバッテリ14とは、ハンドル6及びサイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xに対して垂直に延在している軸線であって、トリガーガード17の直下の領域を貫通している軸線を中心とする、真空掃除機2のすべての構成部品の正味のモーメントが零となるように位置決めされている。従って、真空掃除機2の重心は、トリガー16が利用者によって解除された場合に携行式真空掃除機2がトリガーガード17の下方の点を中心とする平衡状態となり、これによりトリガーガード17に接している人差し指と利用者のハンドル6に掛かった残りの指とによって、携行式真空掃除機2が前後に傾くことなく容易に支持可能とされるように、トリガーガード17の下方の領域内に配置されている。さらに、真空掃除機2は、倒れることなく、真空掃除機2の基部を形成しているバッテリ14に支持可能とされる。
【0022】
図3は、真空掃除機2の正面図である。清掃ツール10は、比較的直線状に形成されており、細長く、長手方向軸線Xに沿って延在している。従って、清掃ツール10は、真空掃除機2の前方から長手方向軸線Xに沿って見ると、サイクロン式分離ユニット8の外側輪郭の内部において延在している。
【0023】
利用時には、携行式真空掃除機2は、利用者が人差し指でトリガー16を押すことによって作動する。塵埃を含む空気は、吸引発生器11によって、入口ダクト30,36及び入口32を通じて、サイクロン式分離チャンバ28の内部に引き込まれる。サイクロン式分離チャンバ28の内部において中央ダクト30の第2の部分によって促進される回転流れが、比較的重い又は大きい塵埃を当該空気から分離するサイクロン作用を生成する。一般に、真空掃除機2は、サイクロン式分離ユニット8がハンドル6から下方に向いているように保持される。従って、サイクロン式分離チャンバ28において分離された塵埃は、重力の影響によって塵埃収集器38の内部に向かって落下する。部分的に清浄された空気は、シュラウド45の開口部46を通過して、ダクト48に沿って二次サイクロン20に引き込まれる。比較的小さく軽量な塵埃粒子は、二次サイクロン式分離器20によって当該空気から分離され、固形物用出口50それぞれを通じて微小塵埃収集器51の内部に吐出される。清浄された空気は、吸引発生器11を通じて二次サイクロン20の流体用出口52それぞれを介して、二次サイクロン20から排出され、本体4の後方においてベント(図示しない)から流出する。
【0024】
サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xを清掃ツール10と位置合わせすることによって、真空掃除機2を小型化し、図4に表わすように、清掃の際にサイクロン式分離ユニット8の端部を密閉空間に挿入することができる。従って、真空掃除機2は、例えば家具同士、壁同士、及び電化製品同士の間の間隙のように到達困難とされる清掃箇所に特に適している。さらに、サイクロン式分離ユニット8は、清掃の際に自身の輪郭の内部において概略的に回転可能とされる。すなわち、サイクロン式分離ユニット8が自身の長手方向軸線Xを中心として回転された場合に、サイクロン式分離ユニット8によって掃き出される領域は、(長手方向軸線Xに沿って見ると)サイクロン式分離ユニット8によって占有される実際の領域より著しく大きい訳ではない。図5bは、ハンドル6が垂直姿勢になっている状態における真空掃除機2の概略図である。図5a及び図5cは、図5bに表わす姿勢から時計回りに又は反時計回りに45°回転された真空掃除機2を表わす。従って、サイクロン式分離ユニット8は、密閉空間の表面に衝突することなく、密閉空間の内部において時計回りに又は反時計回りに回転可能とされるので、到達困難な表面を清掃するために容易に操作可能とされる。
【0025】
上述の利点に加えて、清掃ツール10を長手方向軸線Xと位置合わせすることによって、真空掃除機2が長手方向軸線Xを中心として回転しても、サイクロン式分離ユニット8の傾斜角度が変化しないことが確実になるので、一次サイクロン式分離器18及び二次サイクロン式分離器20の分離効率を利用時に略一定を保つことができる。このことは、図6に表わすようなスティック型真空掃除機102を形成するために、清掃ツール10がワンド110及び掃除機ヘッド112に交換された場合に特に優位である。
【0026】
ワンド110は、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xと同軸に延在している。掃除機ヘッド112は、互いに対して垂直に配置されている第1の回転軸線Y及び第2の回転軸線Zを有している、関節式頸部114を備えている。第1の回転軸線Y及び第2の回転軸線Zは、掃除機ヘッド112がワンド110が表面に対して傾斜している状態において当該表面に載置されている場合に、スティック型真空掃除機102をサイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xを中心として回転させることによって(ひいては、ワンド110をワンド軸線を中心として回転させることによって)、図7a〜図7cに表わすように、掃除機ヘッド112は左右に方向転換することができるように配置されている。
【0027】
上述のように、掃除機ヘッド114が清掃面に沿って方向転換されるので、サイクロン式分離ユニット8の長手方向軸線Xの傾斜が略一定に維持される。結論として、既知のスティック型真空掃除機とは異なり、サイクロン方式に基づく分離効率は略一定を保たれ、再び塵埃が混入する恐れが低い。
【0028】
さらなる利点は、サイクロン式分離ユニット8の重心がワンド110の軸線に又はその近傍に配置されていることである。結論として、ワンド110の軸線を中心とするサイクロン式分離ユニット8の重量バランスは、サイクロン式分離ユニット8が清掃の際に回転された場合であっても、略一定に維持される。従って、真空掃除機2は、容易に操縦可能とされる。
【0029】
図8を参照すると、上述の実施例のいずれかについての塵埃収集器38及び微小塵埃収集器51を空にするために、利用者は、最初に清掃ツール10又はワンド110を接続解除する。その後に、利用者は、ハンドル6を把持した状態において、真空掃除機2を適切な容器(例えばごみ箱やごみ袋)に向け、塵埃を当該容器に入れ空にする。その後に、キャッチ42は、利用者によって解除され、端部壁26は、閉位置から開位置に回動される。サイクロン式分離ユニット8が利用者から離隔するように向いているので、利用者は通常の清掃の際に行われる把持や姿勢を実施する必要がない。結論として、塵埃収集器38及び微小塵埃収集器51を空にするためのプロセスは、非常に直観的であり且つ人間工学に基づくものである。さらに、塵埃は、ハンドル6から最も離隔しているサイクロン式分離ユニット8の端部を介して、塵埃収集器38/微小塵埃収集器51から排出される。従って、空にする際に、塵埃が塵埃収集器38/微小塵埃収集器51から利用者にこぼされる危険性がほとんど解消される。
【0030】
代替的な構成では、入口ダクトが、サイクロン式分離ユニット8の軸線から離隔している。それにも関わらず、サイクロン式分離ユニットは、入口ダクトの一部分の周りに部分的に延在するように、又は、入口ダクトの一部分を完全に囲むように配置されている場合がある。例えば、入口ダクトは、サイクロン式分離ユニットの軸線に沿って見た場合に、ダクトがサイクロン式分離ユニットの輪郭の内側に延在しているように、サイクロン式分離ユニットの側面に窪んで形成されている場合がある。
【符号の説明】
【0031】
2 携行式真空掃除機
4 本体
6 ハンドル
8 サイクロン式分離ユニット
10 清掃ツール
11 吸引発生器
12 モータ
13 羽根車
14 バッテリ
16 トリガー
17 トリガーガード
18 一次サイクロン式分離器
20 二次サイクロン式分離器
22 分離器本体
24 (分離器本体22の)外壁
26 (分離器本体22の)端部壁
28 サイクロン式分離チャンバ
30 中央ダクト
32 (サイクロン式分離チャンバ28の)入口
33 (清掃ツール10の)接続部分
34 (清掃ツール10の)ノズル部分
36 ダクト
38 塵埃収集器
40 ピボット
42 キャッチ
43 環状カラー
44 キャッチ
45 シュラウド
46 開口部
48 ダクト
49 (二次サイクロン式分離器20の)入口
50 固形物用出口
51 微小塵埃収集器
52 流体用出口
102 スティック型真空掃除機
110 ワンド
112 掃除機ヘッド
H ハンドル軸線
X (サイクロン式分離ユニット8の)長手方向軸線
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図7c
図8