特許第6661758号(P6661758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661758
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】染色助剤及び染色繊維製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06P 3/54 20060101AFI20200227BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20200227BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   D06P3/54 A
   D06M13/224
   D06M15/53
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-516566(P2018-516566)
(86)(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公表番号】特表2019-500507(P2019-500507A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】CN2015097939
(87)【国際公開番号】WO2017101115
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】514134217
【氏名又は名称】日華化学(中国)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140888
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 欣乃
(72)【発明者】
【氏名】▲姫▼ ▲書▼亮
(72)【発明者】
【氏名】▲揚▼ ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】末定 君之
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101892603(CN,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第01227909(CA,A1)
【文献】 特開昭57−117688(JP,A)
【文献】 特開昭57−191385(JP,A)
【文献】 特開昭61−066691(JP,A)
【文献】 特開昭51−095433(JP,A)
【文献】 特表2015−522721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06P
D06M
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):下記一般式(1)で表される化合物と、成分(B):アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選択される少なくも一つの界面活性剤とを含有し、
前記成分(B)が、下記一般式(2)で表される化合物(B1)及び下記一般式(3)で表される化合物(B2)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含み、
前記成分(A)と前記成分(B)との質量比が、40:60〜85:15であることを特徴とする染色助剤。
【化1】

(式(1)中、R及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を表し、a及びcはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシ基を表し、bは1〜10の整数を表す。)
【化2】

(式(2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、dは1〜3、eは0〜2、fは0〜5の整数を表し、[(de+e)+f]は1〜5であり、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、gは1〜100の整数を表し、Xは水素原子或いは下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される基を表す。)
【化3】

(式(2−1)中、Rは炭素数7〜23の脂肪族炭化水素基を表す。)
【化4】

【化5】

【化6】

(式(2−2)、式(2−3)及び式(2−4)中、M、M、M及びMはそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウムを表す。)
【化7】

(式(3)中、R及びR10はそれぞれ独立に炭素数7〜23の脂肪族炭化水素基を表し、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、hは1〜100の整数を表す。)
【請求項2】
前記成分(B)が、記一般式(2)で表される化合物(B1)及び記一般式(3)で表される化合物(B2)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする請求項に記載の染色助剤。
【請求項3】
繊維に請求項1又は2に記載の染色助剤を付着した後、染色する工程を含むことを特徴とする染色繊維製品の製造方法。
【請求項4】
繊維を請求項1又は2に記載の染色助剤を含む染色処理液を用いて染色する工程を含むことを特徴とする染色繊維製品の製造方法。
【請求項5】
前記繊維がポリエステル繊維を含むことを特徴とする請求項又はに記載の染色繊維製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル繊維を含む繊維等を染色する際に用いる染色助剤、及び該染色助剤を用いた染色により得られる染色繊維製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、繊維への染色は高温及び高圧の条件下で時間をかけて行われている。例えば、ポリエステル繊維への染色は以下のように行われる。まず、処理浴を約40〜60℃に加温し、通常は約50〜80分、染色を早く完了させたい場合は約30〜50分かけて徐々に昇温し、120〜135℃(通常、約130℃)で約30〜90分間(通常、約60分間)の高温高圧処理を行う。
【0003】
エネルギー及び作業時間の削減のため従来から染色時間の短縮、即ち昇温速度の向上が望まれているが、昇温速度を上げると、染め斑が発生し易くなったり十分な染着性が得られ難かったりするといった問題があった。特に、分散性の低い染料又は複数の染料を使う場合、染色対象が混紡繊維又は極細繊維を含む場合は染め斑が生じ易かった。
【0004】
ところで、繊維染色においては、繊維を染色処理液に投入する前の前処理として、約180〜200℃の乾熱で繊維を加熱処理する場合がある。これは、繊維の寸法安定性向上又はシワ防止、或いは、ポリウレタンなどの弾性繊維を含む繊維に対しては繊維の耳巻き防止を図るために行われている。また、染色処理液には染料凝集を防ぎ、斑なく均一に染色するための均染剤と、必要に応じて濃く染色するためのキャリヤー剤が添加される。
【0005】
このような前処理又は均染剤、キャリヤー剤により昇温速度の高速化に伴う上記問題を解決することが考えられている。前処理又は均染剤、キャリヤー剤としては、従来、以下のような技術が開示されている。
【0006】
均染剤としては例えば、安息香酸エステル及びジベンジルエーテルから選択された1種又は2種以上と、ポリアルキレングリコール脂肪酸ジエステルと、スチレン化フェノール又はα−メチルスチレン化フェノールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物についての硫酸エステル塩またはリン酸エステル塩とを、所定の量で含有するポリエステル繊維用均染剤(特許文献1)が開示されている。キャリヤー剤としては、安息香酸エステルとノニオン活性剤とを含むもの(特許文献2)が開示されている。前処理方法としては、セルロース系繊維を含む布帛に0.1〜10.0重量%の分子量1000以下のスルホン酸塩を含む処理液を付与し、その後、乾熱セットする方法(特許文献3)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−090498号公報
【特許文献2】特開2007−100284号公報
【特許文献3】特開2007−039842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の均染剤及びキャリヤー剤では剤が特異臭気を発し、作業環境が悪くなったり染色繊維製品に臭気が残ったりするといった問題があった。また、上記従来の前処理方法では昇温速度が速い場合には均染性が不十分であった。
【0009】
そこで、従来の均染剤又はキャリヤー剤に不十分な均染性を向上させ、通常よりも速い昇温速度であっても優れた均染性の染色繊維製品が得られ、さらに臭気の少ない染色用薬剤が望まれていた。
【0010】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、従来の繊維染色に用いられることにより、優れた均染性及び染着性の染色繊維製品が得られ、また通常より昇温速度が速い場合であっても優れた均染性及び染着性の染色繊維製品が得られ、さらに臭気の少ない染色助剤並びに該染色助剤を用いた染色繊維製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、所定の芳香族カルボン酸のジエステルを用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の一実施形態は、成分(A):下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする染色助剤を提供するものである。
【化1】

(式(1)中、R及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を表し、a及びcはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、AOは炭素数2〜6のアルキレンオキシ基を表し、bは1〜10の整数を表す。)
【0013】
本実施形態の染色助剤においては、成分(B):アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一つの界面活性剤をさらに含有することが好ましい。
【0014】
また、本実施形態の染色助剤においては、成分(B)が、下記一般式(2)で表される化合物(B1)及び下記一般式(3)で表される化合物(B2)からなる群より選択される少なくとも一つの化合物であることが好ましい。
【化2】

(式(2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、dは1〜3、eは0〜2、fは0〜5の整数を表し、[(de+e)+f]は1〜5であり、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、gは1〜100の整数を表し、Xは水素原子或いは下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される基を表す。)
【化3】

(式(2−1)中、Rは炭素数7〜23の脂肪族炭化水素基を表す。)
【化4】

【化5】

【化6】

(式(2−2)、式(2−3)及び式(2−4)中、M、M、M及びMはそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウムを表す。)
【化7】

(式(3)中、R及びR10はそれぞれ独立に炭素数7〜23の脂肪族炭化水素基を表し、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、hは1〜100の整数を表す。)
【0015】
本実施形態の染色助剤においては、成分(A)と成分(B)との質量比が20:80〜98:2であることが好ましい。
【0016】
本発明の別の実施形態は、繊維に上記染色助剤を付着した後、染色する工程を含むことを特徴とする染色繊維製品の製造方法を提供する。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態は、繊維を上記染色助剤を含む染色処理液を用いて染色する工程を含むことを特徴とする染色繊維製品の製造方法を提供する。
【0018】
上記染色繊維製品の製造方法においては、前記繊維がポリエステル繊維を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態の染色助剤は、従来の繊維染色に用いられることにより、優れた均染性及び染着性の染色繊維製品を得ることができる。そのため、均一に染色することが困難な混紡繊維、複合繊維、及び極細繊維を含む繊維などであっても、均一に染色することができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態の染色助剤を用いることにより、通常より速い昇温速度の染色であっても、優れた均染性及び染着性の染色繊維製品を得ることができる。そのため、エネルギーの節約及び作業時間の短縮に貢献でき、コスト削減にも寄与できる。さらに、本発明の一実施形態の染色助剤は臭気が少ないため、剤由来の臭気が繊維へ付着したり、作業環境を悪化させたりする恐れが少ない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態の染色助剤は、成分(A)として下記一般式(1)で表される化合物を含有するものである。成分(A)は、特にポリエステル繊維等の化学繊維或いはそれらを含む混紡繊維又は複合繊維等の染色において、繊維の結晶領域を拡張し、染料が繊維内に進入しやすくするキャリヤーとして作用する。
【化8】
【0022】
式(1)中、R及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を表し、a及びcはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。R又はR4が複数ある場合、同一であっても異なっていてもよい。均染性及び染着性がより優れるという観点から、R及びR4としては炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また同様の観点からa及びcとしては0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0023】
及びRはそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。均染性及び染着性がより優れるという観点からR及びRとしては単結合が好ましい。
【0024】
Oは炭素数2〜6のアルキレンオキシ基を表し、bは1〜10である。AOが複数ある場合、同一であっても異なっていてもよい。均染性及び染着性がより優れるという観点から、AOとしては炭素数2〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。また、均染性及び染着性がより優れるという観点からbとしては1〜5が好ましい。
【0025】
式(1)で表される化合物を製造する方法としては、例えばアルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい芳香族カルボン酸と、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体又は炭素数2〜6のアルカンジオールとを反応させることにより得ることができる。
【0026】
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、2−メチル安息香酸、4−エチル安息香酸、4−n−プロピル安息香酸、及び4−t−ブチル安息香酸等の炭素数1〜4のアルキル基を有する安息香酸、並びに、2−メトキシ安息香酸、及び4−t−ブトキシ安息香酸等の炭素数1〜4のアルコキシ基を有する安息香酸が挙げられる。芳香族カルボン酸として、均染性及び染着性がより優れるという観点から、安息香酸又は炭素数1〜4のアルキル基を有する安息香酸がより好ましい。
【0027】
また、炭素数2〜6のアルカンジオールとしては、エタン−1,2―ジオール、1,3−プロパンジオール、及び1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
【0028】
染色助剤における成分(A)の含有量は0.1〜100質量%という量が挙げられる。染色助剤に含まれ得る成分(A)以外の成分としては、例えば水、有機溶剤、及び成分(A)以外の界面活性剤等が挙げられる。
【0029】
有機溶剤は例えば染色助剤の粘度調整又は剤安定性のために添加され、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の炭素数1〜10のアルコール等が挙げられる。中でもジエチレングリコールモノブチルエーテルが好適である。染色助剤における有機溶剤の含有量は染色助剤総量に対し0.5〜15質量%が好適である。
【0030】
成分(A)以外の界面活性剤としては、公知の界面活性剤を特に制限なく用いることができる。例えば、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤等が挙げられる。
【0031】
アニオン界面活性剤としては、例えば脂肪族アルコール(脂肪族アルコールの炭素数1〜22)のアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル若しくはリン酸エステル又はそれらの塩、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドから得られるポリアルキレングリコールの硫酸エステル若しくはリン酸エステル又はそれらの塩、モノ又はポリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル又はリン酸エステル或いはそれらの塩、モノ又はポリスチレン化アルキル(アルキル基の炭素数1〜10)フェノールのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル又はリン酸エステル或いはそれらの塩、アルキル(アルキル基の炭素数8〜22)ベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル(アルキル基の炭素数8〜22)スルホン酸又はその塩、α−オレフィンスルホン酸(α−オレフィンスルホン酸の炭素数8〜22)又はその塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル(α−スルホ脂肪酸の炭素数8〜22、アルキル基の炭素数1〜12)又はその塩等が挙げられる。
【0032】
塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0033】
また、非イオン界面活性剤としては、例えば脂肪族アルコール(脂肪族アルコールの炭素数1〜22)のアルキレンオキサイド付加物又はその脂肪酸(脂肪酸の炭素数8〜24)エスエル、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドから得られるポリアルキレングリコール又はその脂肪酸(脂肪酸の炭素数8〜24)エステル、モノ又はポリスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物又はその脂肪酸(脂肪酸の炭素数8〜24)エステル、モノ又はポリスチレン化アルキル(アルキル基の炭素数1〜10)フェノールのアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸(脂肪酸の炭素数8〜24)エステル等が挙げられる。
【0034】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、長鎖アルキル基を1個又は2個有するトリアルキルアミンと4級化剤との反応物、モノ又はジアルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物と4級化剤との反応物、アルキルピリジニウム塩等の第4級アンモニウム型界面活性剤等が挙げられる。前記トリアルキルアミンの長鎖アルキル基の炭素数としては6〜24が挙げられ、残りのアルキル基の炭素数は1〜5が挙げられる。前記モノ又はジアルキルアミンのアルキル基の炭素数としては6〜24が挙げられる。前記アルキレンオキサイドとしては炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが挙げられ、それらの付加モル数としては2〜50が挙げられる。前記4級化剤としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルハライドや炭素数1〜5のアルキル基を有するジアルキル硫酸等が挙げられる。前記アルキルピリジニウム塩のアルキル基の炭素数としては3〜24が挙げられる。
【0035】
染色助剤においては、均染性及び染着性がより優れるという観点から、成分(B)として、アニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一つの界面活性剤がさらに含有されていることが好ましい。
【0036】
さらに、これらのアニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤の中でも、成分(B)としては均染性及び染着性がより優れるという観点から、下記化合物(B1)及び/又は下記化合物(B2)であることが好ましい。
【0037】
化合物(B1)は、下記一般式(2)で表される化合物である。
【化9】
【0038】
式(2)中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、均染性及び染着性がより優れるという観点から、水素原子が好ましい。
【0039】
dは1〜3、eは0〜2、fは0〜5の整数を表し、[(de+e)+f]は1〜5である。均染性及び染着性がより優れるという観点から、[(de+e)+f]は1〜4が好ましく、2又は3がより好ましい。
【0040】
Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、gは1〜100の整数である。AOが複数ある場合は、同一であっても異なっていてもよい。均染性及び染着性がより優れるという観点から、AOとしてはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。また、均染性及び染着性がより優れるという観点からgとしては2〜50が好ましく、4〜20がより好ましい。
【0041】
Xは水素原子或いは下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される基を表す。
【0042】
Xが水素原子である式(2)で表される化合物の製造方法としては、例えばモノ又はポリスチレン化フェノールに塩基触媒(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)を添加し、高温及び減圧下で充分に脱水した後、80〜200℃で炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加反応させることにより得ることができる。
【化10】
【0043】
式(2−1)中、Rは炭素数7〜23の脂肪族炭化水素基を表し、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。均染性及び染着性がより優れるという観点から、炭素数は11〜21が好ましく、13〜19がより好ましい。
【0044】
Xが式(2−1)で表される基である式(2)の化合物の製造方法としては、例えばモノ又はポリスチレン化フェノールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物と炭素数8〜24の脂肪酸とを反応させることにより製造することができる。
【0045】
炭素数8〜24の脂肪酸としては、例えばオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、2−ヘプチルウンデカン酸、cis−9−オクタデセン酸、11−オクタデセン酸、cis,cis−9,12−オクタデカジエン酸等が挙げられる。また、炭素数8〜24の脂肪酸としては天然物由来のものを用いてもよく、例えばトール油より精製されるトール脂肪酸、ヤシ油を加水分解して得られるヤシ油脂肪酸等が挙げられる。これらの中でも、染料分散性、均染性及び染着性がより優れるという観点から、cis−9−オクタデセン酸、トール脂肪酸、cis,cis−9,12−オクタデカジエン酸が好ましく、cis−9−オクタデセン酸がより好ましい。
【化11】

【化12】

【化13】
【0046】
式(2−2)、(2−3)及び(2−4)中、M、M、M及びMは水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウムを表す。均染性及び染着性がより優れるという観点からM、M、M及びMとしてはアンモニウムが好ましい。
【0047】
Xとしては、均染性及び染着性がより優れるという観点から、水素原子又は式(2−1)で表される基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0048】
次に(B2)について説明する。(B2)は下記一般式(3)で表される化合物である。
【化14】
【0049】
式(3)中、R及びR10はそれぞれ独立に炭素数7〜23の脂肪族炭化水素基を表し、飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。均染性及び染着性がより優れるという観点から、炭素数は11〜21が好ましく、13〜19がより好ましい。
【0050】
Oは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、hは1〜100の整数を表す。AOが複数ある場合は同一であっても異なっていてもよい。均染性及び染着性がより優れるという観点から、AOとしてはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。また、均染性及び染着性がより優れるという観点からhとしては5〜25が好ましい。
【0051】
一般式(3)で表される化合物の製造方法としては、例えば炭素数8〜24の脂肪酸と、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体又は炭素数2〜4のアルカンジオールとを反応させることにより得ることができる。
【0052】
炭素数8〜24の脂肪酸としては上述したものと同様のものが例示できる。炭素数2〜4のアルカンジオールとしては、エタン−1,2―ジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
【0053】
染色助剤における成分(B)としては、化合物(B1)及び化合物(B2)の中でも、均染性及び染着性がより優れるという観点から、化合物(B1)がより好ましい。
【0054】
染色助剤における成分(A)と成分(B)の質量比は、均染性及び染着性がより優れるという観点から、(A):(B)=20:80〜98:2であることが好ましく、30:70〜90:10であることがより好ましく、40:60〜85:15がより好ましい。
【0055】
染色助剤における成分(A)及び成分(B)の含有総量は0.1〜100質量%という量が挙げられる。
【0056】
次に、染色繊維製品の製造方法の実施形態について説明する。
【0057】
染色繊維製品の製造方法としては、染色助剤を、染色処理液に投入される前の繊維に付着した後、染色する工程を含む方法(前処理方法を含む染色繊維製品の製造方法)、及び、染色助剤を含む染色処理液を用いて繊維を染色する工程を含む方法が挙げられる。
【0058】
前処理方法において、染色助剤を繊維に付着する方法としては、例えば、染色助剤をそのまま、又は水等に分散させて処理液を調製し、浸漬法、パディング法、スプレー法、塗布法(コーティング法、プリント法)等の方法を用いて、染色助剤を繊維に付着する方法が挙げられる。付着した後、乾燥させてもよい。浸漬法の場合、通常使用される染色機械、例えばウインス染色機、液流染色機、ジッカー、チーズ染色機、かせ染色機等を用いることができる。また、コーティング法の場合、刷毛塗り、ローラー塗装、フロー・コーター塗装等の方法が挙げられる。
【0059】
乾燥条件としては特に制限はなく常温でもよいし加熱してもよい。また、乾燥と同時、又は乾燥後に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理の方法としては、例えばテンター機等のヒートセット加工機を用いて行われる方法が挙げられる。条件は湿熱でも乾熱でもよいが乾熱が好ましく、温度としては120〜190℃が好ましく、150〜170℃がより好ましい。
【0060】
また、繊維への本実施形態の染色助剤の付着量としては、成分(A)の付着量が繊維の0.1〜10質量%となる量であることが好ましく、0.5〜5質量%となる量であることがより好ましい。
【0061】
また、染色助剤を含む染色処理液を用いて繊維を染色する場合、染色処理液への染色助剤の添加量としては、染料の種類等により適宜調整され得るが、例えば成分(A)が0.01〜15%o.w.f.となる量が挙げられ、0.3〜8%o.w.f.となる量がより好適である。
【0062】
染色繊維製品の製造方法としては、均染性がより優れるという観点から、前処理方法を含む方法が好ましい。
【0063】
染色繊維製品の製造方法における染色処理液には均染剤が添加されるが、従来公知の均染剤を特に制限なく使用することができる。均染剤の染色処理液への添加量としては、0.01〜15%o.w.f.となる量が挙げられ、0.3〜8%o.w.f.となる量がより好適である。
【0064】
染色繊維製品の製造方法において、染色対象とする繊維に特に制限はなく、例えば天然繊維、化学繊維及びこれらの混紡繊維又は複合繊維が挙げられる。天然繊維としては、木綿、麻および羊毛などが挙げられ、化学繊維としてはレーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル及びスパンデックスなどの合成繊維が挙げられる。繊維の形態としても特に制限はなく、糸、極細繊維、編み物、織物、不織布などが挙げられる。
【0065】
染色繊維製品の製造方法は、均染性及び染着性がより優れるという観点から、ポリエステル繊維を含む染色繊維製品の製造において好ましく用いられる。
【0066】
染色対象繊維と染色処理液の浴比は目的とする染着性等によって異なるが、1:3〜1:30、より好適には1:5〜1:25という範囲が挙げられる。
【0067】
染料としては分散染料が好適であり、染料使用量は適宜選択することができるが、例えば0.001〜20%o.w.f.という量が挙げられる。
【0068】
さらに処理液にはpH調整のための酸又はキレート剤、成分(A)及び成分(B)以外の界面活性剤なども従来通り添加できる。
【0069】
使用する染色機械に特に制限はなく、従来のものを使用することができ、例えば、液流染色機、ウィンス染色機、ジッガー染色機、ビーム染色機、チーズ染色機、オーバーマイヤー染色機、高圧噴射染色機等が挙げられる。
【0070】
染色温度と染色時間については従来の条件を適用でき、例えば、処理液を約40〜60℃に加温し、通常は約50〜80分、早く染色を完了させたい場合は約30〜50分かけて徐々に昇温し、120〜135℃で約30〜90分間の高温処理を行う方法が挙げられる。この後、還元洗浄等のソーピング処理を行うことが好適である。
【0071】
染色時の圧力及び染色後のソーピング方法に特に制限はなく、従来の方法及び条件を採用することができる。
【0072】
染色助剤は、通常の昇温速度である染色の時だけでなく、通常より速い昇温速度での染色であっても優れた均染性及び染着性の染色繊維製品を得ることができる。そのため、エネルギー及び作業時間の削減に貢献できる。また、染色助剤は臭気を抑えることができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0074】
≪1≫染色助剤の製造
以下の合成例及び比較合成例で得られた化合物を用いて表1及び表2の組成の染色助剤(実施例1〜5、8〜15、18〜25及び28〜30、参考例6〜7、16〜17及び26〜27、比較例1〜8)を得た。
【0075】
合成例1 成分(A)である化合物(A−1)の合成
攪拌機、温度計、水分離器付還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた1Lのガラス製反応容器にトリエチレングリコール150.1g(1.0モル)、安息香酸244.2g(2.0モル)、酸化錫1.22g、キシレン36gを仕込み、窒素を30ml/minの流量で反応液中に吹き込みながら180℃まで昇温した。180℃に到達後、同温度で8〜10時間エステル化反応させた。反応により生成した水はキシレンとの共沸により反応系外へ除去した。得られたエステル化反応物を5質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和後、温水洗浄し、次いで、1.5kPaの減圧下、120〜135℃で残っているキシレンを留去し、下記式で表される化合物A−1を得た。
【化15】

(上記式において、EOはエチレンオキシ基を表す。)
【0076】
合成例2 成分(A)である化合物(A−2)の合成
トリエチレングリコール150.1g(1.0モル)をジプロピレングリコール134g(1.0モル)に変えたこと以外は合成例1と同様にして、下記式で表される化合物A−2を得た。
【化16】

〔上記式において、POはプロピレンオキシ基を表す。〕
【0077】
合成例3 成分(A)である化合物(A−3)の合成
トリエチレングリコール150.1g(1.0モル)をポリエチレングリコール(平均分子量400)400g(1.0モル)に変えたこと以外は合成例1と同様にして、下記式で表される化合物を得た。
【化17】

(上記式において、EOはエチレンオキシ基を表し、pは8〜10を表す。)
【0078】
合成例4 成分(A)である化合物(A−4)の合成
トリエチレングリコール150.1g(1.0モル)を1,4−ブタンジオール90.1g(1.0モル)に変えたこと以外は合成例1と同様にして、下記式で表される化合物を得た。
【化18】
【0079】
合成例5 成分(A)である化合物(A−5)の合成
安息香酸244.2g(2.0モル)をメチル安息香酸272.3g(2.0モル)に変えたこと以外は合成例1と同様にして、下記式で表される化合物を得た。
【化19】
【0080】
合成例6 成分(B)である化合物(B1−1)の合成
トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数20)をB1−1として用いた。
【0081】
合成例7 成分(B)である化合物(B1−2)の合成
モノスチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数20)のcis−9−オクタデセン酸エステルをB1−2として用いた。
【0082】
合成例8 成分(B)である化合物(B1−3)の合成
トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数10)の硫酸エステルのアンモニウム塩をB1−3として用いた。
【0083】
合成例9 成分(B)である化合物(B2−1)の合成
ポリエチレングリコール(平均分子量800)のcis−9−オクタデセン酸ジエステルをB2−1として用いた。
【0084】
比較合成例1 化合物(A’)の合成
トリエチレングリコール150.1g(1.0モル)をポリエチレングリコール(平均分子量600)600g(1.0モル)に変えたこと以外は合成例1と同様にして、下記式で表される化合物を得た。
【化20】

(上記式において、EOはエチレンオキシ基を表し、qは13又は14を表す。)
【0085】
≪2≫評価
以下の方法により、各実施例及び比較例の染色助剤について、(I)臭気、(II)染着性及び均染性を評価した。
【0086】
(I)臭気
実施例及び比較例の染色助剤の1質量%水溶液を調製し、密閉容器に入れ80℃、10分間、静置した。その後、密閉容器を開封した時の臭気について以下の基準により評価した。その結果を表1及び表2に示す。
A:臭気を全く感じない。
B:臭気をやや感じる。
C:臭気を非常に感じる。
【0087】
(II)染着性及び均染性
下記染色方法1又は染色方法2にて染色繊維製品を得た。なお、比較例5及び8については、染色助剤を用いずに染色を行った。
【0088】
(II)−1.染色方法1
ミニカラー染色機(Rapid製)のポットに、水を用いて下記組成の染色処理液を調製し、そこに染色対象繊維としてポリエステルタフタ精練布(30デニール、目付け:50g/m)を、浴比1:10で投入し、下記条件i又は条件iiにて染色処理した。
【0089】
<染色処理液組成>
・実施例及び比較例の染色助剤 1g/L
・均染剤 0.5g/L
[均染剤組成]
・ポリエチレングリコール(平均分子量800)のcis−9−オクタデセン酸ジエステル 45質量%
・トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数10)の硫酸エステルのアンモニウム塩 45質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・水 5質量%
・pH調整剤 0.3g/L
氷酢酸
・分散染料 各0.3%o.w.f.
・Dianix Yellow Brown XF(ダイスター製、商品名)
・Dianix Rubine XFN(ダイスター製、商品名)
・Dianix Navy XF(ダイスター製、商品名)
【0090】
<染色条件>
【表1】

【表2】
【0091】
染色処理後、処理液を約80℃まで冷却し、染色対象繊維を取り出した。それらを下記組成の還元洗浄液に浴比1:30で投入し、80℃で15分間、還元洗浄した。その後、水洗、脱水及び乾燥を行い、染色繊維製品を得た。
【0092】
<還元洗浄液組成>
・SUNMORL M−240(浙江日華化学製、商品名) 1g/L
・炭酸ナトリウム 1g/L
・ハイドロサルファイトナトリウム 1g/L
【0093】
(II)−2.染色方法2(前処理方法)
【0094】
実施例及び比較例の染色助剤の濃度が2.5質量%となるよう水と混合し、処理液を調製した。そこに、ポリエステルタフタ精練布(30デニール、目付け:50g/m)を浸漬し、マングルにて絞り率40質量%となるように絞り、その後、120℃で2分間、乾燥し、続いて150℃で1分間、乾熱処理した。ポリエステルタフタ精練布への染色助剤の付着量は、ポリエステルタフタ精練布の1質量%であった。
【0095】
その後、染色処理液組成を下記のように変えたこと以外は、上記の「(II)−1.染色方法1」と同様の方法で染色し、染色繊維製品を得た。
<染色処理液組成>
・均染剤 0.5g/L
[均染剤組成]
・ポリエチレングリコール(平均分子量800)のcis−9−オクタデセン酸ジエステル 45質量%
・トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数10)の硫酸エステルのアンモニウム塩 45質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・水 5質量%
・pH調整剤 0.3g/L
氷酢酸
・分散染料 各0.3%o.w.f.
・Dianix Yellow Brown XF(ダイスター製、商品名)
・Dianix Rubine XFN(ダイスター製、商品名)
・Dianix Navy XF(ダイスター製、商品名)
【0096】
(II)−3.染着性の評価
得られた染色繊維製品について、分光測色計(CM−3600d、コニカミノルタセンシング(株)製)を用いて400〜700nmの10nm毎のK/S値を求め、その積分値を算出し、その染色繊維製品のK/S値とした。
【0097】
比較例5の染色繊維製品のK/S値を100とした時の、他の染色繊維製品のK/S値を求め、染着率とした。その結果を表1及び表2に示す。染着率が高いほど、濃く染色できていること、即ち染着性が優れていることを示す。
【0098】
(II)−4.均染性の評価
得られた染色繊維製品を目視観察し、均染性を下記基準により評価した。その結果を表1及び表2に示す。
<評価基準>
A:染色斑が殆ど見られず、均染性が良好
B:染色斑が少ししか見られず、均染性がやや良好
C:染色斑がやや見られ、均染性がやや不十分
D:染色斑が多く見られ、均染性が不十分
【0099】
【表3】

【0100】
【表4】
【0101】
表1及び表2に示されるように、本発明の一実施形態の染色助剤は剤由来の臭気が抑えられていることが分かった。また、本発明の一実施形態の染色助剤を用いることにより、優れた均染性及び染着性の染色繊維製品を製造できることが分かった。
【0102】
また、昇温速度を通常よりも速くした場合でもあっても優れた均染性及び染着性の染色繊維製品を製造できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の一実施形態の染色助剤は臭気が少ないため、剤由来の臭気が染色対象繊維に付く恐れが少なく、染色の作業環境を良好なものとできる。また、本発明の染色助剤を用いることにより、優れた均染性及び染着性の染色繊維製品を製造することができる。そのため、均一に染色することが困難な混紡繊維、複合繊維、及び極細繊維を含む繊維製品などであっても、均一に染色することができる。
【0104】
また、本発明の一実施形態の染色助剤においては、昇温速度を通常よりも速くした場合であっても優れた均染性及び染着性の染色繊維製品を製造することができる。そのため、エネルギーの節約及び作業時間の短縮に貢献でき、コスト削減にも寄与できる。