(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ワイヤ張力体(3)は、前記ワイヤ(2)に所定の張力を加えることができるように前記制御要素(1、11)に対して移動可能である、請求項1に記載の内視鏡制御装置。
前記ワイヤ張力体(3)は、前記ワイヤ(2)に前記所定の張力を加えることができるように前記制御要素(1、11)に対して回転可能である、請求項2に記載の内視鏡制御装置。
前記ワイヤ張力体(3)は、前記ワイヤ(2)が着座するワイヤ固定用開口部(31)を有する環状体であり、前記環状体は、前記ワイヤ(2)に張力をかけるための前記制御要素(1、11)に対して回転可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の内視鏡制御装置。
前記環状体は、前記環状体の近位面が前記制御要素(1、11)から離れるように向き、前記環状体の遠位面が前記制御要素(1、11)の方に向くように、前記制御要素(1、11)に対して配置され、
前記ワイヤ固定用開口部(31)は、前記環状体の前記近位面と前記遠位面との間の貫通孔であり、
固定するために、前記ワイヤ(2)の前記近位端は、第1のワイヤ固定用開口部(31)と、前記環状体の前記近位面の一部と、第2のワイヤ固定用開口部(31)と、前記環状体の前記遠位面の一部と、に沿って巻かれている、請求項7に記載の内視鏡制御装置。
前記ワイヤ張力体(3)において、前記ワイヤ張力体(3)のそれぞれの固定位置と前記制御要素(1、11)のそれぞれのワイヤ案内手段(111、122)との間に、少なくとも2本のワイヤ(2)が互いに異なる長さの張力可能な長さを有するように、前記少なくとも2本のワイヤ(2)がワイヤ固定用開口部(31)内に固定され、前記制御要素(1、11)の前記ワイヤ案内手段(111、122)に対する前記ワイヤ張力体(3)の移動中に、前記少なくとも2本の固定されたワイヤ(2)は、互いに異なる長さの変化において張力可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載の内視鏡制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第1の実施形態
続いて、本発明の第1の実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態の内視鏡制御装置の制御要素1を示しており、傾動体11と、環状延長部12と、ワイヤ張力体3と、係合部材4と、を含む。傾動体11と環状延長部12は一体的に設計され、傾動体11は遠位側に配置され、環状延長部12は近位側に配置される。したがって、環状延長部12は、傾動体11の近位延長部を形成する。
図1では、上向き方向はユーザの方に向いている近位方向であり、下向き方向はユーザから離れている遠位方向である。
【0031】
ワイヤ張力を達成するための構造
以下、ワイヤの張力を達成するための構造について説明する。
【0032】
環状延長部12を有する傾動体11からなるベース部材
環状延長部12と共に、傾動体11はプラスチック材料で作られる。例えば、射出成形法を適用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。傾動体11は、
図1に示すような球形のジョイスティック要素である。傾動体11は、
図1には示していないヘッドに着座している。特に、傾動体11は、本発明による内視鏡制御装置1の中空ボール部分を形成し、この中空ボール部分は、上記頭部を形成するカウンターボール部分(カウンターボールセグメント)に着座しているが、
図1には示していない。カウンターボール部分は、その上に載置された傾動体11が円滑に移動可能な大きさのボール形状を有するように形成されている。カウンターボール部分と傾動体11との間の寸法関係は、ユーザが大きな労力を要することなく、傾動体11のカウンターボール部分に対する移動が可能であり、一方、傾動体11は、カウンターポール部分に緩く配置されていない。したがって、制御要素1は、
図1には示していない伝達ワイヤによって偏向運動を行うために、カウンターボール部分に対してジョイスティックとして傾動することができる。傾動体11は、ポール領域に開口部を有する。環状延長部12は、傾動体11の極に配置されている。
【0033】
図1は、概略的な斜視抽出のような表現で、制御要素1へのワイヤの接続の詳細を示している。より明確にするために、後で説明するワイヤは
図1では省略されている。
【0034】
図1に示すように、傾動体11の外周面には、ワイヤ案内手段としての3つの底部溝111が設けられており、そのうちの1つの溝111のみが
図1に示されている。3つの溝111は、傾動体11の外周面に対称に等間隔に配置されている。各溝111は、下方に、すなわち遠位方向に、環状延長部12への移行部の下方から傾動体11の赤道線を越えて延在する。具体的には、各溝111は、傾動体11の外面上に上部開口部112から底部開口部113まで延在する。上部開口部112は近位開口部を形成し、底部開口部113は遠位開口部を形成する。
【0035】
近位開口部112は、傾動体11の中空ボール形状を貫通する貫通開口部として形成されている。遠位開口部113は、傾動体11の外面に止まり穴として設計されている。したがって、溝111は、近位開口部112の貫通孔に入る。溝111は、ワイヤ案内手段として機能し、遠位側から来て遠位開口部113を通過するワイヤが傾動体11の外側の底部溝111に配置され、近位開口部112を通して傾動体11の外側から内周側に導かれるように、ワイヤが溝111内に配置される。したがって、締め付けられると、ワイヤは、近位開口部112と遠位開口部113との間の溝111の底部に当接する。
【0036】
溝111に加えて、傾動体11の外周面には3つの切り込み115が設けられているが、
図1には2つの切り込み115しか示されていない。3つの切り込み115の各々は、2つの溝111の間で傾動体11の外周面に対称に等間隔に配置されている。各切り込み115は、上方に、すなわち近位方向に、傾動体11の底端部から環状延長部12への移行部の下まで延在する。各切り込み115は、一定の幅を有する隙間を形成する。切り込み115により、弾性傾動体11は、開いた状態で曲げられ、カウンターボール部分の上に置くことができる。
【0037】
切り込み115の近位端には端部116が設けられている。端部116の緯度方向の幅は、切り込み115の幅よりも大きい。
【0038】
このため、傾動体11の経度方向の外周面に溝111および切り込み115が設けられている。溝111および切り込み115の数は限定されない。溝111の数は、使用されるワイヤの数に依存する。溝111の数は、切り込み115の数と異なっていてもよい。
【0039】
環状延長部12は、中空リング体として形成されている。環状延長部12は、内周面と、外周面と、傾動体11に面する遠位面と、傾動体11から離れる近位面と、を有する。環状延長部12は、傾動体11の極に一体的に配置されている。環状延長部12は、傾動体11の極に形成された傾動体11の近位開口部を取り囲んでいる。
【0040】
近位面において、環状延長部12は、円周方向に延在するチャネル121を有し、
図1に示すように、円周方向に割り込むことができる。外周面および内周面の両方において、チャネル121は壁によって取り囲まれている。
【0041】
さらに、環状延長部12の近位側には、それぞれの溝111の延長部に対応する位置に、軸方向に延在するそれぞれのワイヤ入口スリット122が設けられている。したがって、環状延長部12の近位側には、3本のワイヤ入口スリット122が120°間隔で形成されている。このようなワイヤ入口スリット122は、近位開口部112の上方の環状延長部12の内周面に沿って通過するワイヤを、ワイヤ入口スリット122の外側に斜めに半径方向に挿入し、続いて説明されるワイヤ張力体3の対応する貫通開口部31に挿入することを可能にする。
【0042】
また、環状延長部12の近位側には、ワイヤ入口スリット122から円周方向に離間した位置に、軸方向に延在するそれぞれのワイヤ出口スリット123が設けられている。したがって、環状延長部12の近位側には、120°間隔で3本のワイヤ出口スリット123が形成されている。このようなワイヤ出口スリット123は、
図2に示すように、後に説明されるワイヤ張力体3を残してワイヤ端部をワイヤ出口スリット123を通して外部に出すことを可能にする。
【0043】
環状延長部12の内周面には、半径方向内側に延在する、後述する被覆体の第1のラッチノーズ124が設けられており、被覆体は、制御要素1を近位側から覆っている。環状延長部12の内周面には、さらに半径方向内向きに延在するラッチノーズ(図示せず)が第1のラッチノーズ124と同じ高さに配置され、第1のラッチノーズ124に対して約120°でオフセットされている。
【0044】
ワイヤ張力体3
ワイヤ張力体3は、環状体を形成し、プラスチック材料で作られているが、代替的に金属製であってもよい。このように、ワイヤ張力体3は、内周面と、外周面と、傾動体11に面する遠位面と、傾動体11から離れる近位面と、を有する。ワイヤ張力体3には、遠位面と近位面との間のワイヤ固定用開口部として、対として形成された貫通開口部31が軸方向に設けられている。この実施形態では、3対の貫通開口部31が設けられ、各対は1本のワイヤに割り当てられ、したがって傾動体11の1つの溝111に割り当てられている。したがって、貫通開口部31のそれぞれの対は、ワイヤ張力体3上に対称に等間隔で配置される。なお、貫通開口部31は、ワイヤ張力体3の内周面および外周面から半径方向にオフセットされて配置されている。一対の貫通開口部31に属する貫通開口部31は、ワイヤ張力体3の円周方向に離間して配置されている。一対の貫通開口部31に属する貫通開口部31の間隔は、環状延長部12の円周方向におけるワイヤ入口スリット122とワイヤ出口スリット123との間の距離に対応する。
【0045】
一対を形成する各2つの貫通開口部31の間には、近位面にノッチ32が設けられた中心がある。このように、本実施形態では、互いに120°の間隔を置いて配置された3つのノッチ32がある。
【0046】
外周面には、
図3Bに示すように、ワイヤ張力体3は、直方体様形状の軸方向に延在する突起部33を有している。突起部33も、ワイヤ張力体3上に対称に等間隔で配置されている。本実施形態では、ワイヤ張力体3の円周方向から見て、ノッチ32の間に突起部33が設けられている。ワイヤ張力体3は、内周面に軸方向に延在するノーズ34を有する。3つの突起部33が本実施形態に設けられているが、本発明は特定の数の突起に限定されない。
【0047】
係合部材4
係合部材4は、環状形状に形成されている。係合部材4は、プラスチック材料で作られているが、金属で作られてもよい。係合部材4は、内周面と、外周面と、ワイヤ張力体3に面する遠位面と、ワイヤ張力体3から離れて面する近位面と、を有する。遠位面には、軸方向に突出して対をなすロックピン41が設けられている。各ロックピン41は、係合部材4の遠位面に配置され、1つの貫通開口部31に挿入できるように寸法決めされている。したがって、本実施形態では、3対のロックピン41が設けられ、各対は1本のワイヤに割り当てられる。したがって、ロックピン41のそれぞれの対は、対称に配置され、係合部材4上に120°の間隔を置いて配置される。
【0048】
係合部材4の遠位面には、ロックピン41より軸方向の長さが短い膨出部42が軸方向に突出して設けられている。本実施形態では、3つの膨出部42が設けられており、そのうちの1つの膨出部42のみが
図3Aに示されている。膨出部42は、対称に配置され、120°で等間隔に配置され、係合部材4上でオフセットされている。本実施形態では、一対のロックピン41の各々の間に1つの膨出部42が設けられている。係合部材4がワイヤ張力体3上に置かれると、各膨出部42は、対応する1つのノッチ32に係合する。
【0049】
外周面には、係合部材4は、軸方向に延在する直方体様の形状の突起部43を有する。突起部43もまた、係合部材4上に対称に等間隔で配置されている。本実施形態では、形状、配置、位置合わせに関しては、突起部43は、ワイヤ張力体3の突起部33に対応するように係合部材4上に配置される(
図2も参照)。
【0050】
係合部材4は、内周面に軸方向に延在するノーズ44を有する。
【0051】
ワイヤ2の固定
ワイヤ張力体3がワイヤ2に張力を加えることができるためには、ワイヤ2が固定されなければならない、すなわちワイヤ張力体内に固定されなければならない。
【0052】
以下では、ワイヤ張力体3へのワイヤ2の固定について、
図3を参照してより詳細に説明する。ここで、ワイヤ張力体3と係合部材4とからなるアセンブリにワイヤ2を固定するには、複数の可能性があることに留意する必要がある。
【0053】
図3はワイヤの固定を示し、
図3Aは係合部材4を示し、
図3Bはワイヤ2を有するワイヤ張力体3を示し、
図3Cは、ワイヤ2を固定するためにワイヤ張力体3と係合部材4をどのように組み立てるかを示す。
【0054】
本実施形態では、ワイヤ2は、
図3Bに示すように、ワイヤ張力体3の遠位側から第1の対の貫通開口部31に挿入され、第1の貫通開口部31を近位方向に通過して、ワイヤ張力体3の近位側の第2の貫通開口部31に挿入され、第2の貫通開口部31を遠位方向に通過する。
【0055】
この状態では、係合部材4は、ワイヤ2が設けられたワイヤ張力体3の近位側に配置され、それぞれのロックピン41が対応する貫通開口部31に挿入される(
図3Cを参照)。したがって、ロックピン41は、対応する貫通開口部31に位置するワイヤ2をクランプする。
図3Cに示す状態では、係合部材4がさらに遠位方向に押し込まれると、ノーズ42がノッチ32に入り、ワイヤ張力体3の近位側のワイヤの一部に張力を加える。このようにして、ワイヤ2の十分な静止摩擦が同時に3つの位置、すなわち、第1のロックピン41とそれに対応する貫通開口部31との間、ノーズ42とノッチ32との間、および第2のロックピン41とそれに対応する貫通開口部31との間で実現される。
【0056】
図3Cでは、ワイヤ2は、このようにして、ワイヤ張力体3および係合部材4にループによって固定される。ワイヤ張力体3および係合部材4におけるワイヤ2のこのようなクランプは、ワイヤ2の十分な固定を確実にする。もちろん、ワイヤ2はワイヤ張力体3および係合部材4に2つ以上のループで固定されるように固定することもできる。これは、ワイヤ2が第2の貫通開口部31を離れた後に、再度、第1の対の貫通開口部31の近位方向に挿入され、それを通過するということなどを意味する。
【0057】
ワイヤ2の張力
図4および
図5に示すように、ワイヤ2は各対の貫通開口部31に固定されており、係合部材4は
図4および
図5では省略されている。ここで、ワイヤ2は、ワイヤ張力体3の遠位側から第1の対の貫通開口部31に挿入され、第1の貫通開口部31を通って、ワイヤ張力体3の近位側の第2の貫通開口部31に挿入され、第2の貫通開口部31を通過する。このように、ワイヤ2の近位端は、第1の貫通開口部31、ワイヤ張力体3の近位面の一部、第2の貫通開口部31、およびワイヤ張力体3の遠位面の一部に沿って巻かれている。
【0058】
ワイヤ2が貫通開口部31を介して導かれる状態では、係合部材4がワイヤ張力体3上に置かれる。特に、それぞれのロックピン41は、対応する貫通開口部31に挿入される。これにより、ロックピン41は、対応する貫通孔31内に位置するワイヤ2をクランプする。
【0059】
図4は、傾動体11に対するワイヤ張力体3の位置を示し、固定されたワイヤ2には張力がかかっていない。この位置では、ワイヤ張力体3の遠位面上のワイヤ挿入位置と環状延長部12の近位面上のワイヤ出口位置との間の距離は最小限である。
【0060】
ワイヤ張力体3が傾動体11に対して回転すると、ワイヤ張力体3の遠位面上のワイヤ挿入位置と環状延長部12の近位面上のワイヤ出口位置との間の距離が増加する。したがって、ワイヤ2は、
図5に示すように張力がかけられる。
【0061】
明瞭さを改善するために、
図4および
図5に分解図を示してあることに留意されたい。実際には、ワイヤ張力体3の遠位面は、環状延長部12の近位面に当接する。
【0062】
ブレーキリング5
図2に示すように、ブレーキリング5は、遠位傾動体11の外周に配置されている。より正確には、ブレーキリング5は、遠位傾動体11の赤道領域に配置される。
【0063】
ブレーキリング5は、環状部材51と、環状部材51に一体に形成されたトグルレバー要素52と、から形成されている。トグルレバー要素52は環状部材51から内側に延在する。好ましくは、トグルレバー要素52は、環状部材51の中央平面内で垂直または鉛直に環状部材51から内側に延在していないが、環状部材51からのトグルレバー要素52の延長方向は、環状部材51の中央平面に対して所定の角度をなしている。
【0064】
環状部材51から離れて面するトグルレバー要素52の端部は、球体11の外面の開口部113内に着座する。ブラインドホール状の開口部113の底部は、トグルレバー要素52の内側支持面を形成する。トグルレバー要素52の領域において、環状部材51は、ワイヤ2が通過するように中断されている。環状部材51のトグルレバー要素52の数は、開口部113の数に対応する。
【0065】
そのトグルレバー要素52により、ブレーキリング5は2つの端部位置の間を切り替えることができる。第1の端部位置は、球体11をカウンターボール部分(カウンターボールセグメント)に向かって内方に押圧する位置である。これは、カウンターボール部分に対する制御要素1の動きが制動摩擦により妨げられる制動位置である。制動位置は、内視鏡の適用中に達成される制御要素1の傾動位置を、カウンターボール部分に対して、したがって、傾動可能な偏向部材または偏向部分の偏向位置に対して、ロックする目的を有する。第2の端部位置は、ブレーキリング5が球体11をカウンターボール部分に向かって内方に押圧しない位置である。これは、非制動位置であり、カウンターボール部分に対する制御要素1の移動が可能である。
【0066】
フード部材6
フード部材6は、制御要素1の外側に配置されている。
図6は、フード部材を下方から、すなわち遠位側から示している。
【0067】
フード部材6は、制御要素1の外面を取り囲み、その近位側にネック61を有し、遠位側に球状部分63を有する。ネック61と球状部分63との間には、移行部分62が一体的に配置されている。
【0068】
ネック61は中空円筒状に構成されており、その内径はワイヤ張力リング3および係合部材4の外径よりわずかに大きい。ネック61の内周側には、ネック61の長手方向に3つの案内溝67が延在している。案内溝67は、ネック61の内周に対称に等間隔に配置されている。案内溝67の各々には、ワイヤ張力リング3の突起部33のうちの1つと係合部材4の突起部43のうちの1つとがそれぞれ収容されている。したがって、案内溝67の内側形状は、ワイヤ張力リング3の突起部33と係合部材4の突起部43のうちの1つの外側形状に適合している。これにより、案内溝67に導かれて、ワイヤ張力リング3と係合部材4とがネック61の長手方向に移動することができる。
【0069】
球状部分63は、遠位傾動体11の外側に着座するベル形状を有する。球状部分63は、カウンターボール部分に対して遠位傾動体11と共に傾動可能である。言い換えると、球状部分63は、ベル形状をなし、遠位傾動体11を取り囲む外殻を形成している。
【0070】
球状部分63は、遠位傾動体11と同様に、
図8に示すように、一定の壁厚を有する部分球面体である。したがって、球状部分63は、内周面と外周面とを有している。
図8の組み立てられた状態では、球状部分63の内周面は遠位傾動体11の方に向いており、球状部分63の外周面は遠位傾動体11から離れるように向いている。球状部分63の内周面は、遠位傾動体11の外周面から所定距離だけ離間している。
【0071】
球状部分63の内周面には、フード部材6が赤道上に環状溝64を有している。環状溝64には、ブレーキリング5の環状体51が挿入されている。すなわち、ブレーキリング5の環状体51の外周は、環状溝64の内周に当接する。
【0072】
環状部材51は、球状部分63の内面の環状溝64内に傾動可能に配置され、前記環状溝は環状部材51の環状形状に適合している(
図8を参照)。環状溝64は、トグルレバー要素52の外側支持面を形成する。
【0073】
したがって、球状部分63は、近位環状延長部の外周に沿って摺動するネック61によって、遠位傾動可能体11に対して変位することができる。遠位傾動体11に対して、球状部分63が制御要素1の軸に沿って変位すると、本質的に安定した2つの端部位置が形成される。球状部分63が遠位傾動体11に向かって遠位方向に変位すると、制動位置が第1の端部位置として確立される(
図8を参照)。球状部分63が遠位傾動体11から近位方向に離れるように変位すると、非制動位置が第2の端部位置として確立される。
【0074】
制御要素1が完全に組み立てられた状態では、ワイヤ張力リング3と係合部材4とがアセンブリを形成する。このアセンブリは突起部33、43を有し、フード部材6のネック61内に配置される。これにより、制御要素1の突起部33、43が完全に組み立てられた状態で、制御要素1の突起部33、43がネック61の案内溝67内に配置され、したがって、ワイヤ張力体3と係合部材4からなるアセンブリが、フード部材6の、より明示的にはネック61の(時計回りの)回転によって回転され、ワイヤ2に張力を加える。したがって、ネック61は、ワイヤ2に張力を加えるための回転部材を形成する。
【0075】
漏斗部材7
ワイヤ張力リング3と係合部材4とをフード部材6のネック61に保持するために、漏斗部材7をネック部61の近位側からフード部材6のネック61に係合設定する(
図7を参照)。これにより、漏斗部材7は、ワイヤ張力リング3と係合部材4の抜けを防止する。
【0076】
漏斗部材7は、近位側からカテーテル(挿入管)を挿入することができる先細の漏斗入口開口部71を有する。漏斗入口開口部71は、挿入されたカテーテルが通過するように適合された貫通開口部を通過する。
【0077】
漏斗部材7は、一定の大きい直径を有する近位部分72と、一定の小さい直径を有する遠位部分74と、近位部分72を遠位部分74に一体的に接続する先細の直径を有する中間部分73と、を含む。遠位部分74は、カテーテルのための貫通開口部を含む。
【0078】
漏斗部材7は、被覆体として作用し、遠位部分74の挿入された外周上に、環状延長部12のラッチノーズ124が係合可能なノッチ75を含む。より正確には、遠位部分74の外周上に約120°オフセットされた2つのノッチ75が形成されている。これらの2つのノッチ75は、約120°オフセットされた環状延長部12の2つのラッチノーズ124とロックできるように配向されている。漏斗部材7が約120°オフセットされた2点で環状延長部12に保持されることにより、環状延長部12への漏斗部材7の誤った取り付けが回避される一方、制御要素1の極めて高い安定性が達成される。
【0079】
その外周の遠位部分74において、漏斗部材7は、同じ高さにいくつかの係合溝76、77、78を有する。より正確には、係合溝76、77、78は、
図7Aの線A−Aの断面の領域にある。
図7Bは、遠位部分74を底部から見た図であり、係合溝76、77、78の領域が見える。
図7Cは、
図7Aの線A−Aの断面を上から見た図である。
【0080】
係合溝76、77、78は、ワイヤ張力体3の内周面のノーズ34がそれぞれ係合溝76、77、78に係合するように適合されている。より正確には、この構成は、係合溝76、77、78において、ワイヤ張力体3および係合部材4からなるアセンブリのノーズ34、44の少なくとも一方(または両方の)が係合することができるように選択される。
【0081】
係合溝76、77、78は特定の形状を有する。
図7Cの上面図における反時計回り方向の縁部において、第1の係合溝76は、遠位部分74の外周に段差を有する。対照的に、第1の係合溝76の縁部に向かう時計回りの移行は平坦化される。第1の係合溝76は、開始溝を形成する。ノーズ34および/またはノーズ44は、ワイヤ2にまだ張力がかかっていないときに第1の係合溝76に係合される。第1の係合溝76の縁部の特定の設計により、ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリは、第1の係合溝76から時計回り方向にわずかに移動することができるが、反時計回りの方向には移動することができない。
【0082】
また、第2の係合溝77は、縁部の遠位部分74の外周に対して反時計回り方向に段差を有し、遠位部分74の外周に対して時計回り方向に平坦な縁部を有する。第2の係合溝77は中間溝を形成している。
【0083】
ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリが第1の係合溝76から第2の係合溝77へ回転されて係合することにより、ワイヤ2を中間位置まで(予め)張力をかけることができる。遠位部分74の外周までの段差により、ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリを反時計回りに(すなわち、後方ではなく)回転させることができないため、ワイヤ2を第2の係合溝77から再度弛ませる(解放する)ことができない。すなわち、ワイヤ張力体3と係合部材4のアセンブリを第2の係合溝77から第1の係合溝76に戻すことができない。
【0084】
第3の係合溝78は、遠位部分74の外周に、反時計回り方向に位置する縁部および時計回り方向に位置する縁部に段差を有する。第3の係合溝78は、端部溝を構成している。
【0085】
ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリが第2の係合溝77から第3の係合溝78に回り込んで係合することにより、ワイヤ2は中間位置から終端位置に張力をかけることができる。遠位部分74の外周までの段差により、ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリを反時計回りに(すなわち、後方でなく)回転させることができないため、ワイヤ2を第3の係合溝78から再度解放することができない。これにより、ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリを第3の係合溝78から第2の係合溝77に戻すことができなくなる。
【0086】
係合溝76、77、78は、ノッチ75の上方の遠位部分74の外周に配置されている。換言すれば、係合溝76、77および78は、ノッチ75に対して近位にある。
【0087】
好ましくは、その近位側において、漏斗部材7は、制御要素1のユーザへの傾動方向を示す方向マーカー79を備えている(
図7参照)。漏斗部材7の遠位部分のノッチ75と環状延長部12のラッチノーズ124との間の所定の位置関係は、方向マーカー79の正確な方向付けを確実にするのに役立つ。
【0088】
アセンブリ方法
以下、第1の実施形態の制御要素1のアセンブリ方法について説明する。
【0089】
まず、環状延長部12を含む制御要素1の傾動体11が設けられている。傾動体11は、可撓性であり、その切り込み115のために、それは開いて曲げられ、内視鏡Eの準備されたカウンターボール部分(カウンターボールセグメント)上に配置される(
図9参照)。
図9において、カウンターボール部分が示唆され、そこでは、カウンターボール部分は、傾動体11の遠位側にわずかに突出して示されている。好適には、このカウンターボール部分は、傾動体11が所望のようにその上で旋回(swivel/pivot:旋回/軸回転)できるように形成される。カウンターボール部分の正確な構造は、いかなる制限も受けてはならない。
【0090】
ここで、ブレーキリング5は、傾動体11の赤道上に設置されている。
図10は、
図9に示されている傾動体11の拡大図を示す。
図10は制動位置を示していることに留意すべきである。この位置から、ブレーキリング5は、矢印の方向に非制動位置に移動することができる。
【0091】
続いて、ワイヤ2を内視鏡の先端の偏向要素(偏向部分)に挿入して内視鏡を介して導く。そして、ワイヤ2は、トグルレバー要素52によって、傾動体11の外側で遠位側から遠位開口部113を越えて底部溝内に導かれ、さらに、ワイヤ2は、溝111に沿って、外側から近位開口部112を介して傾動体11の内周側に導かれる。最後に、ワイヤ2は環状延長部12から突出する(
図10を参照)。
図10では、3つの準備されたワイヤ2が環状延長部12から突出していることがわかる。
【0092】
内視鏡は、固定具Fによって固定される(
図11を参照)。
図11Aは、固定具Fをより詳細に示す。固定具Fは、内視鏡、すなわちアセンブリのための基本内視鏡Eを保持するための装置である。固定具Fは、互いに回転可能であり、その間に基本内視鏡Eが保持される2つのクランプジョーを含む。基本内視鏡Eを固定するためには、基本内視鏡Eを固定した状態に維持するのに適合された保持装置がすべて適している。
【0093】
ワイヤ2は手で保持され、アセンブリピンDは近位側から環状延長部12に軸方向に挿入される(
図12を参照)。アセンブリピンDを
図13に示す。アセンブリピンDは、中実の円筒状のピンとして構成されており、小径部分と大径部分とを備えている。小径部分と大径部分との間にストッパが形成されている。アセンブリピンDは、
図13に示すように、軸方向に延在するスロットを含み、このスロットは、小径部分および大径部分にわたって延在する。より正確には、アセンブリピンDの小径部分は、環状延長部12内にストッパまで挿入されている。
【0094】
ここで、ワイヤ張力体3の内周面がアセンブリピンDの外周面上を摺動することができ、ノーズ34がアセンブリピンDのスロット内に導かれるように、ワイヤ張力体3をアセンブリピンDに取り付ける。
【0095】
すると、係合部材4がアセンブリピンDに取り付けられて、係合部材4の内周面がアセンブリピンDの外周面上を摺動し、ノーズ44がアセンブリピンDの溝内に導かれる(
図15を参照)。ノーズ43および44は、既にワイヤ張力体3と係合部材4との正確な相対位置を決定する。
【0096】
そして、「ワイヤ2の固定」の項で説明したように、ワイヤ2をワイヤ張力体3に巻き付ける。すなわち、
図16に示すように、ワイヤ2は、ワイヤ張力体3の遠位側から第1の貫通開口部31に挿入され、第1の貫通開口部31を近位方向に通過して、ワイヤ張力体3の近位側の第2の貫通開口部31に挿入され、第2の貫通開口部31を遠位方向に通過する。
【0097】
ワイヤ張力体3が環状延長部12の近位面上に配置された状態で、ワイヤ2は十分に張力がかけられている(
図17を参照)。
【0098】
次に、ワイヤ張力体3の近位面に接着剤を塗布し、それぞれのロックピン41を対応する貫通開口部31に挿入し、ノーズ42がノッチ32内に貫通することにより、係合部材4をスライダSによりワイヤ張力体3の近位面に押し付ける(
図18を参照)。
【0099】
スライダSは、
図19により明確に示されている。スライダSは、テーパ状に設けられ、アセンブリピンD上を摺動するように適合され、テーパ状にスライダSが係合部材4をワイヤ張力体3に押し付ける面を有する中空の円筒体である(
図20を参照)。
【0100】
ワイヤ張力体3に突出しているワイヤ2の余分な部分が切断される(
図21を参照)。
【0101】
スライダSが取り外され、その代わりに、フード部材6が制御要素1の近位側に配置され、その球状部分63が前方に向けられ、係合部材4の突起部33、43とワイヤ張力体3が案内溝67内に配置され、環状部材51が環状溝64内に着座する(
図22を参照)。
【0102】
アセンブリピンDが引き抜かれ、代わりに、漏斗部材7が、ラッチノーズ124と係合するまで、制御要素1の近位側に挿入される(
図23を参照)。この位置において、ノーズ34および/または44は、漏斗部材7の第1の係合溝76に係合される。
【0103】
図24に示すように、固定具Fが除去され、ハウジング部品が制御要素1上に配置される。
【0104】
これにより、制御要素1のアセンブリが完了する。制御要素1は、ワイヤ2に張力をかける準備が整っている。
【0105】
制御要素1の利点
第1の実施形態の制御要素1は、操作が容易である。ワイヤの張力をかけようとするユーザは、ワイヤ張力リング3および係合部材4のアセンブリが中間溝77または端部溝78に係合するまで、フード部材6のネック61を所定の方向(ここでは時計回り)に、係合溝76、77、78によって決定される所定の回転経路で回転させる。ワイヤ張力リング3と係合部材4とのアセンブリの端部溝78への係合は不可逆的である。ワイヤに張力がかけられたら、これを元に戻すことはできない。したがって、ユーザは、ワイヤに張力をかけて適用状態にされた内視鏡を不用意に、張力をかけられていないワイヤ状態に変更することができない。したがって、この制御要素1を含む内視鏡は、適用において非常に安全である。
【0106】
ワイヤ張力リング3および係合部材4のアセンブリが中間溝77または端部溝78に係合するように構成されているので、ワイヤ2の張力は異なって強くなり得る。すなわち、ワイヤ張力リング3と係合部材4とのアセンブリを中間溝77に係合させることにより、ワイヤ2の張力が弱くなり、この結果、ワイヤの引張り力が小さくなる。ワイヤ張力リング3および係合部材4のアセンブリを端部溝78に係合させることによって、ワイヤ2はより強く緊張される。これにより、非常に硬いワイヤの張力が生じる。
【0107】
中間溝77を使用して、ワイヤ2の瞬間的な張力を達成することができる。ワイヤ張力リング3と係合部材4とのアセンブリが中間溝77に係合するにもかかわらず、ある時間後にワイヤの張力が弛緩し、もはや十分ではない場合、ワイヤ張力リング3のアセンブリ係合部材4を中間溝77から端部溝78に向けてオンにして、係合することができ、これにより、適切なワイヤ張力を再び達成することができる。
【0108】
ワイヤ張力リング3と係合溝76、77、78に係合する係合部材4とのアセンブリにより、ワイヤ2を正確に所定の張力にすることができる。
【0109】
ワイヤの引張りは、フード部材6の長手方向軸の周りで回転運動が行われることによって実現される。ブレーキリング5によるワイヤの仮止めは、フード部材6の軸方向(並進運動)で行われる摺動運動によって実現される。したがって、ワイヤに張力をかけるため、およびワイヤを一時的にロックするためには、全く異なる手順が必要である。したがって、ワイヤの引張りおよびワイヤの一時的な固定は、互いに完全に別々に行われる。
【0110】
制御要素1は、使い捨て部品として設計することができる。その個々の部分は、例えば、プラスチックからなる。その製造およびアセンブリは容易であり、安価である。
【0111】
第2の実施形態
以下、本発明の第2の実施形態を、添付の
図25および26を用いて説明する。
【0112】
第2の実施形態が第1の実施形態と異なるのは、ワイヤ張力体1003にノッチがなく、係合部材1004にノーズがないことである(
図25および
図26を参照)。
【0113】
それにもかかわらず、ワイヤ2の十分な張力と固定を達成するために、ワイヤ2は、ワイヤ張力体1003の遠位側から一対の第1の貫通開口部31に挿入され、第1の貫通開口部31を近位方向に通過し、ワイヤ張力体1003の近位側の第2の貫通開口部31に挿入され、第2の貫通開口部31を遠位方向に通過する。続いて、ワイヤ2は、一対の貫通開口部31のうちの第1のものに近位方向に再び挿入され、それを近位方向に通過し、ワイヤ張力体1003の近位側の第2の貫通開口部31に再挿入され、第2の貫通開口部31を遠位方向に再び通過する(
図26を参照)。したがって、ワイヤ2は、ワイヤ張力体1003内の2つのループ内を走行する。
【0114】
このため、アセンブリでは、ワイヤ張力体1003の近位面に接着剤を塗布し、それぞれのロックピン41を対応する貫通開口部31に挿入することにより係合部材1004をスライダSによりワイヤ張力体1003の近位面に変位させる。
【0115】
その他は、第2の実施形態は第1の実施形態と同様である。
【0116】
第3の実施形態
以下、添付の
図27および
図28を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0117】
第3の実施形態は、第1の実施形態のすべてのワイヤ2が均等に引っ張られる一方で、個々のワイヤ2、2Aが異なる張力を受けるように適合されている点で第1の実施形態と異なる。その他は、第3の実施形態は第1の実施形態と同様である。
【0118】
図27に示すように、近位環状延長部2012を有する遠位傾動体2011は、ワイヤ張力体2003と組み合わされて、第1のワイヤ2がワイヤ張力体2003から環状延長部2012に垂直に配置され、一方、第2のワイヤは、ワイヤ張力体2003から環状延長部2012まで斜めに配置されている。特に、第2のワイヤ2Aは、環状延長部2012から第1のワイヤのための貫通開口部31の近くに配置された貫通開口部31まで斜めに延在する。したがって、第1のワイヤ2の緊張可能な経路距離は、第2のワイヤ2Aのそれよりも短い。
【0119】
ワイヤ張力体2003を
図27に示す位置から回転させることにより、第1のワイヤ2がワイヤ張力体2003によって左に張られるように、ワイヤ2、2Aに張力が加わり、一方、第2のワイヤ2Aは、最初に左に解放され、次いで、ワイヤ張力体2003をさらに回転させると、左に張られる。しかし、それは第1のワイヤ2ほど強く引っ張られない(
図28を参照)。
【0120】
既知の幾何学的形状のため、第3の実施形態の原理において、第1のワイヤ2が第2のワイヤ2Aよりもより強く引っ張られる量を正確に計算することができる。
【0121】
異なる張力のワイヤは、以下の利点を伴う。内視鏡の導入チューブ(カテーテル)がその休止状態にあるとき、または適用されるときに、通常、それ自体の軸の周りに2回または数回巻かれるとき、内視鏡のワイヤは異なる張力にさらされる。したがって、ほとんどの場合、一方のワイヤは他のワイヤよりも強く引っ張られる。このようにして、制御要素(ジョイスティック)は、より強く引っ張られたワイヤによって引っ張られる方向に、その開始位置において既に傾けられている。これを補うために、本実施形態は、自身の軸の周りに巻き付けられているにもかかわらず、その非作動状態の制御要素(ジョイスティック)が垂直中立位置にあるように内視鏡を適用することができる解決策を提供する。これにより、内視鏡の使用が容易になる。ユーザは、もはや自身の軸の周りに巻くことによって引き起こされるワイヤのプリ張力を考慮する必要はなく、または少なくとも、これらを考慮する必要がより少なくなる。
【0122】
内視鏡の導入チューブ(カテーテル)の巻線の正確なタイプが通常知られているので、より強い張力にさらされるワイヤを特定することも可能である。
【0123】
第4の実施形態
以下、添付の
図29を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。
【0124】
第3の実施形態では、ワイヤは、環状延長部とワイヤ張力体との間の異なる緊張可能な距離を有するため、異なるように張力がかけられる。第4の実施形態では、ワイヤ張力体3003上の内側貫通開口部3031および外側貫通開口部3032を使用することによって、ワイヤに異なる張力が付与される。ワイヤ張力体3003の中心に対する内側貫通開口部3031の距離は、ワイヤ張力体3003の中心に対する外側貫通開口部3032の距離よりも小さい。
【0125】
一方のワイヤ2は、内側貫通開口部3031および外側貫通開口部3032にそれぞれ挿入され、ワイヤ張力体3003の内周に導かれ、遠位方向に導かれ、遠位方向に、各内側貫通開口部3031または外側貫通開口部3032に再び挿入される。したがって、すべてのワイヤはループ全体を形成する。あるいは、1つのワイヤ2が、内側貫通開口部3031および外側貫通開口部3032にそれぞれ挿入され、ループを形成することなく、係合部材の1つのロックピンによってそれぞれクランプされる。
【0126】
ワイヤを引っ張るために、ワイヤ張力体3003を
図29に示す位置から時計回りに回転させ、内側貫通開口部3031にクランプされたワイヤは、外側貫通開口部3032にクランプされたワイヤほど強く引っ張られない。
【0127】
既知の形状のために、第4の実施形態の原理の場合にも、一方のワイヤが他方のワイヤよりもより強く引っ張られる正確な量を計算することができる。これにより、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0128】
代替案
本実施形態では、3本のワイヤ2が引張りケーブルとして設けられている。ここで、ワイヤ2の数は限定されない。1本のワイヤ、2本、3本、4本またはそれ以上のワイヤを設けることができる。2つ以上のワイヤ2が設けられている場合、それぞれの溝111は、傾動体11の赤道に対して垂直に互いに等距離に配置される。
【0129】
本実施形態では、ワイヤ2は、ワイヤ2が貫通開口部31を通って導かれ、それぞれのロックピン41がその貫通開口部31に挿入されることによって、ワイヤ張力体3上にクランプされるだけである。かくして、ロックピン41は、その貫通開口部31内に位置するワイヤ2をクランプする。
【0130】
ワイヤ2をワイヤ張力体3に固定する際には、代替的にまたは追加的にワイヤ2をワイヤ張力体3の遠位側から一対の貫通開口部31のうち第1のものに挿入し、第1の貫通開口部31を通過させ、ワイヤ張力部材3の近位側の第2の貫通開口部31に挿入し、第2の貫通開口部31を通過させ、ワイヤ張力部材3の遠位側のワイヤ2の一部に連結することができる。さらなる代替例として、ワイヤ2は、例えば、第2の貫通開口部31の下方に配置され、変形したかしめ部分がロックピン41によって塞がれた貫通開口部31を通過できないように変形されたかしめ部分を含むことができる。
【0131】
本実施形態では、アセンブリのためにワイヤ2を手で引っ張ることができる。取り付け精度を高めるために、ワイヤ2を調節可能な力で引っ張って張力をかけるためにワイヤ引張り手段を使用することができる。第1の実施形態では、ワイヤ2を2ニュートンで引っ張ることができる。第2の実施形態では、ワイヤ2を3ニュートンで引っ張ることができる。もちろん、これらは単なる例に過ぎない。他の力が加えられてもよい。
【0132】
係合部材4とワイヤ張力体3との組み付け時にワイヤ張力体3の近位面に塗布される接着剤は省略してもよい。
【0133】
この実施形態では、環状延長部12には、120°変位した2つのラッチノーズ124が設けられ、それぞれの120°変位したノッチ75に係合するように適合され、漏斗部材7の遠位部分に形成されている。代替案として、環状延長部12は、漏斗部材7の遠位部分に形成された単一のノッチ75に係合するように適合された1つのラッチノーズ124のみを設けることができる。代替案として、環状延長部12には、漏斗部材7の遠位部分に形成されたそれぞれの3つ以上のノッチ75と係合するように適合された3つ以上のラッチノーズを設けることができる。2つのラッチノーズ124が設けられている場合、これらは互いに対角に配置されていてもよい。同様に、2つのノッチが漏斗部材7の遠位部分の対角線上に対向して形成される。
【0134】
中間溝としての第2の係合溝77は、遠位部分74の外周に対して反時計回り方向および時計回り方向に平坦な縁部を有することができる。したがって、第2の係合溝77は、ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリの可逆的係合を可能にすることができる。この変形例では、ワイヤ張力体3と係合部材4のアセンブリを第1の係合溝76から第2の係合溝77に回して係合させることにより、ワイヤ2に張力をかけることができる。ワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリを第2の係合溝77から第1の係合溝76に回して係合させることにより、ワイヤ2を再び弛緩(解放)することができる。
【0135】
第2の係合溝77は省略することができる。この代替案では、ワイヤ2は、第3の係合溝78内の係合によってのみ張力をかけることができる。
【0136】
さらに、第2の係合溝77および/または第3の係合溝78は、段部に代えて、遠位部分74の外周に向かって反時計回り方向に平坦な縁部を有することもできる。このように構成された制御要素は、第2の係合溝77および/または第3の係合溝78内のワイヤ張力体3と係合部材4とのアセンブリの可逆的係合を可能にする。したがって、ワイヤは張力をかけられ、必要に応じて再びユーザによって緩められる。
【0137】
本実施形態では、ワイヤ案内溝111をワイヤ案内手段と称している。本発明の範囲内で、ワイヤ案内手段は、溝111に限定されず、ワイヤ2を案内する役目をする制御要素1上の任意の部材を含む。したがって、別の可能性は、溝111が省略され、ワイヤ2が近位環状延長部12内でのみ導かれる変形例であってもよい。