(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661875
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】触媒反応器バスケット
(51)【国際特許分類】
B01J 8/02 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
B01J8/02 E
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-558696(P2017-558696)
(86)(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公表番号】特表2018-516745(P2018-516745A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】US2016031987
(87)【国際公開番号】WO2016186941
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2018年7月26日
(31)【優先権主張番号】14/714,798
(32)【優先日】2015年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100121153
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 嘉高
(74)【代理人】
【識別番号】100178445
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 淳二
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194892
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 麻美
(74)【代理人】
【識別番号】100146134
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 聡子
(72)【発明者】
【氏名】コセオグル,オマール,レファ
(72)【発明者】
【氏名】アル−カルディ,サルマン,ジェイ.
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−023635(JP,U)
【文献】
特開昭64−051126(JP,A)
【文献】
特開平01−107844(JP,A)
【文献】
特開平03−106434(JP,A)
【文献】
特開平03−245833(JP,A)
【文献】
特表2002−504426(JP,A)
【文献】
米国特許第02332224(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00− 8/46
B01D 53/02− 53/18
B01D 53/34− 53/96
B01J 20/00− 20/28
B01J 20/30− 20/34
B01J 10/00− 12/02
B01J 14/00− 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側壁と、内側壁と、第1カバーおよび第2カバーと、隔壁を備え、別々のチャンバーに触媒を組み合わせて受け入れるように構成された触媒反応器バスケットであって、
前記外側壁は前記触媒反応器バスケットの外周面に沿って広がり、また前記外側壁が広がることで前記触媒反応器バスケットに内部容積部の外側境界が定められ、
前記内側壁は前記外側壁の内側に設けられ、前記内側壁が円筒状に広がっていることで、前記内側壁の内側に開口部が形成され、前記内側壁が前記触媒反応器バスケットの内部容積部の内側境界を定め、前記開口部は前記触媒反応器バスケットに対して軸方向に流体が流れるように寸法と形状が定められており、
前記第1カバーおよび前記第2カバーは、前記外側壁と前記内側壁の両端に、それぞれ設けられ、前記第1カバーおよび前記第2カバーが、前記触媒反応器バスケットの内部容積部の上端および底端を定め、前記第1カバーおよび前記第2カバーの少なくとも一部が流体透過性を有し、
前記触媒反応器バスケットの内部容積部は、前記外側壁により定められた前記外側境界と、前記内側壁により定められた前記内側境界と、前記前記第1カバーにより定められた前記上端と、前記第2カバーにより定められた前記底端と、により定められており、
前記隔壁は前記第1カバーと前記第2カバーの間に設けられ、前記隔壁は前記触媒反応器バスケットの内部容積部に第1チャンバーと第2チャンバーを形成し、前記隔壁の少なくとも一部が流体透過性を有し、前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの各々が、それぞれの触媒を受け入れるようにサイズ決めされていることにより、前記軸方向に沿う1つの流体経路の中で二段階の反応が可能となることを特徴とする触媒反応器バスケット。
【請求項2】
前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの内部に設けられた複数の間仕切りをさらに備え、前記複数の間仕切りの各々が前記外側壁と前記内側壁との間に広がると共に、前記隔壁と各カバーとの間に広がり、前記複数の間仕切りが前記第1チャンバーと前記第2チャンバーの内部に複数の区画室を形成し、前記区画室がそれぞれ触媒を受け入れるように寸法と形状が定められていることを特徴とする請求項1に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項3】
前記第1チャンバーの中の第1区画室が、前記触媒反応器バスケットの軸に沿って前記第2チャンバーの中の第2区画室に整合しており、すべての流体が前記第1区画室を通過した後に、前記第2区画室を通過できるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項4】
前記第1区画室が第1触媒を受け入れるようにサイズ決めされ、前記第2区画室が第2
触媒を受け入れるようにサイズ決めされており、軸方向の流体流路に沿って、流体がまず前記第1触媒に接触してから、前記第2触媒に接触するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項5】
前記第1触媒が前記第2触媒とは異なる性質を有することを特徴とする請求項4に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項6】
前記間仕切りが隣接する区画室との間に流体バリアを提供することを特徴とする請求項2に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項7】
少なくとも1つの区画室が第1触媒を受け入れるようにサイズ決めされ、前記第1触媒が隣接する区画室の中にある第2触媒とは異なる性質を有することを特徴とする請求項2に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項8】
支持フレームをさらに備え、前記外側壁、前記内側壁、および前記隔壁が、前記支持フレームに支持されていることを特徴とする請求項1に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項9】
前記カバーを前記触媒反応器バスケットの各端部に取り外し可能に固定するクリップが、さらに備えられている請求項1に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項10】
前記触媒反応器バスケットに連結されたフックをさらに備え、前記触媒反応器バスケットが前記フックから懸下するようにして前記触媒反応器バスケットが支持されるように、前記フックの寸法と形状が定められていることを特徴とする請求項1に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項11】
前記内側壁の少なくとも一部に流体透過性があることを特徴とする請求項1に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項12】
前記外側壁の少なくとも一部に流体透過性があることを特徴とする請求項1に記載の触媒反応器バスケット。
【請求項13】
反応器の内部に触媒反応器バスケットを配置させるステップであって、前記触媒反応器バスケットは容積部を定めており、前記触媒反応器バスケットの前記容積部の内部に流体透過性の隔壁を有するステップと、
前記流体透過性の隔壁の一側に面した第1チャンバーの内部に第1触媒を受け入れ、前記流体透過性の隔壁の他側に面した第2チャンバーの内部に第2触媒を受け入れるステップと、
前記反応器の内部において、前記流体透過性の隔壁を挟んで、前記触媒反応器バスケットの前記第1チャンバーと前記第2チャンバーに流体を通過させるステップと、
を含むことを特徴とする流体に触媒作用を及ぼす方法。
【請求項14】
前記触媒反応器バスケットの軸に沿って前記第1チャンバーが前記第2チャンバーに整合しており、前記触媒反応器バスケットの軸に沿って、流体を前記第1チャンバーに通過させた後に、前記第2チャンバーを通過させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記通過させるステップに、前記第1チャンバー内部の前記第1触媒に流体を接触させた後に、前記第2チャンバー内部の前記第2触媒に流体を接触させるステップが含まれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1チャンバーと前記第2チャンバーのうち少なくとも1つを複数の間仕切りで仕切るステップがさらに備えられ、前記複数の間仕切りが複数の区画室を各々定めており、前記受け入れるステップに触媒を各間仕切りの中に充填するステップが含まれていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
流体を軸方向に通過させ、
前記第1チャンバーの間仕切りを前記第2チャンバーの間仕切りに整合させることで、前記第1チャンバーの区画室を前記第2チャンバーの区画室に軸方向に整合させ、
前記間仕切りは流体透過性を有さず、
前記通過させるステップには、軸方向に沿って、前記第1チャンバーの区画室に流体を通過させた後に、前記第2チャンバーの区画室に流体を通過させるステップが含まれていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1チャンバーの中の各触媒が前記第2チャンバーの中の各触媒とは異なり、
前記通過させるステップには、
流体を前記第1チャンバーに通過させた後に、流体を前記第2チャンバーに通過させ、前記第1チャンバーから第2チャンバーに前記流体が軸方向に流れることで、整合している各区画室の中にある様々な組み合わせの触媒に流体を接触させるステップが含まれていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒反応器バスケットには、
前記流体透過性の隔壁から相隔てた第1カバーおよび第2カバーと、
前記第1カバーを取り外し可能に固定する第1クリップと、
前記第2カバーを取り外し可能に固定する第2クリップと、
が備えられ、
反応器の内部に触媒反応器バスケットを配置させるステップの前に、
前記第1チャンバーの内部に前記第1触媒を充填するステップと、
前記第1カバーを前記触媒反応器バスケットに設置するステップと、
前記第1クリップを用いて前記第1カバーを固定するステップと、
前記触媒反応器バスケットを裏返すステップと、
前記第2チャンバーの内部に前記第2触媒を充填するステップと、
前記第2カバーを前記触媒反応器バスケットに設置するステップと、
前記第2クリップを用いて前記第2カバーを固定するステップと、
が含まれていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記触媒反応器バスケットには、前記触媒反応器バスケットに連結されたフックが設けられ、前記フックを使用して前記触媒反応器バスケットを前記反応器に連結させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は触媒反応器バスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な形態を有する触媒反応器システムが種々の文献で知られており、その中に「化石燃料触媒生成器」と題する米国意匠特許第257,281号や「所定量の触媒の保存に適する円筒状バスケットを備え、材料の取り扱い性が改善」と題する米国特許出願公開第2004/0018124号明細書などがある。これら文献に記載された触媒バスケットの個々の設計および特徴は、各開示内容を再検討することで一番よく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1A】
図1Aは本発明の実施態様に係る、カバーが取り付けられた触媒反応器バスケットの上面斜視図である。
【
図1B】
図1Bは触媒反応器バスケットの上面分解斜視図である。
【
図2】
図2はカバーを取り外した触媒反応器バスケットの側面斜視図である。
【
図3】
図3は触媒バスケット開口部の拡大上面斜視図である。
【
図4】
図4は本発明の別の態様に係る触媒反応器バスケットの上面斜視図である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、触媒反応器バスケットが提供される。触媒バスケットには外側壁が設けられ、外側壁はバスケットの外周側面に沿って広がり、また軸方向に広がって略円筒のバスケット内容積が形成される。外側壁の少なくとも一部は流体透過性を有する。触媒バスケットは、外側壁の内側に内側壁を備えている。内側壁が円周状かつ軸方向に広がることで、バスケット容積の内側境界を形成する開口部が形成される。流体がバスケットの軸方向に流れるように開口部の寸法と形状が定められている。内側壁の少なくとも一部は流体透過性を有する。外側壁と内側壁の両端側に第1カバーと第2カバーが配置している。第1カバーと第2カバーはそれぞれバスケット内部容積の各端部を定めており、第1カバーおよび第2カバーの少なくとも一部に流体透過性がある。第1カバーと第2カバーの間に隔壁が設けられている。隔壁はバスケットの内部容積の中に第1チャンバーと第2チャンバーを形成する。隔壁の少なくとも一部に流体透過性がある。第1チャンバーと第2チャンバーの内部に複数の間仕切りが設けられている。間仕切りはそれぞれ外側壁と内側壁の間に放射状に広がり、また隔壁と各カバーの間に軸方向に広がっている。この複数の間仕切りは第1チャンバーと第2チャンバーの内部に複数の区画室を形成し、各区画室が触媒を受け入れるようにして寸法と形状が定められる。
【0005】
さらなる態様によれば、第1チャンバーの第1区画室が、バスケットの軸に沿って第2チャンバーの第2区画室と並列しており、すべての流体が第1区画室を通過した後に、第2区画室を通過できるようになっている。
【0006】
また別の実施態様によれば、第1区画室が第1触媒を受け入れ、第2区画室が第2触媒を受け入れるようにサイズ決めされており、軸方向の流体流路に沿って、流体がまず第1触媒に接触してから、第2触媒に接触するようになっている。
【0007】
また別の実施態様によれば、第1触媒には第2触媒とは異なる性質がある。
【0008】
また別の実施態様によれば、間仕切りは隣接する区画室に流体バリアを提供する。
【0009】
また別の実施態様によれば、少なくとも1つの区画室が第1触媒を受け入れるようにサイズ決めされており、この第1触媒には隣接した区画室の第2触媒とは異なる性質がある。
【0010】
また別の態様によれば、触媒バスケットは支持フレームを備えており、外壁、内壁、隔壁がこのフレームに支持されている。
【0011】
また別の態様によれば、触媒反応器バスケットには、バスケットの各端部にカバーを取り外し可能に固定するクリップが備えられている。
【0012】
また別の実施態様によれば、バスケットにフックが連結しており、バスケットがフックから懸下するようにしてバスケットが支持されるように、フックの寸法と形状が定められる。
【0013】
また別の実施態様によれば、内側壁の少なくとも一部に流体透過性がある。
【0014】
また別の実施態様によれば、外壁の少なくとも一部が流体透過性を有している。
【0015】
図1Aおよび
図1Bに、触媒反応器バスケット10が図示されている。このバスケットは略円筒状の形状をしており、バスケットを通って軸方向に延長する略円形状の開口部12が設けられる。バスケットの上端部にカバー14が設けられている。バスケットの底端部に別のカバーも設けられている。このカバーには外リム16と内リム18がある。これらリム16,18はカバーの円周の周りに延びており、カバーに構造的な剛性を与えている。これらリムに、リムを円形リングに形成し易くするためのレリーフカット16a,18aを設けても良い。レリーフカットの寸法および形状は様々なものにすることができる。リム16,18の間にメッシュ20が延びている。メッシュ20は、触媒バスケットの使用時に流体をメッシュに通過させる一方で、触媒粒子がメッシュを通過させないような孔が設けられるように、寸法と形状が定められる。このようにして、触媒粒子がバスケットの内部に保持される。メッシュ20は、メッシュをリムにスポット溶接などで溶接することなどにより、リム16,18に取り付けることができる。他の好適な取り付けも可能である。
【0016】
図1Bおよび
図3を参照すると、バスケット10には支持フレーム22が設けられている。支持フレーム22を各層の中に設けることができ、バスケット10は上部支持フレーム層24と下部支持フレーム層26とを備えている。さらに、上部支持フレーム層と下部支持フレーム層との間に配置される中間支持フレーム層25(
図2を参照)を設けることができる。これら支持フレーム層は各々、外リング28と内リング30を備えている。支持フレーム22は垂直支持体32を有しており、垂直支持体32は支持フレームの異なる層のリング間に延ばすことができる。支持フレーム22はまた、各層の外リングと内リングの間に延びる放射状支持体34を有してもよい。
図1Bに図示されている通り、例えば、上部層の外リング28と中間層の外リングとの間に4つの垂直支持体32が延びている。同様にして、上部層の内リング30と中間層の内リングとの間に4つの垂直支持体32が延びている。上部層の内リングおよび外リングと、中間層の内リングおよび外リングとを接続する垂直支持体は、好ましくは同一の長さを有し、上部層と中間層が略平行な面に維持されるように構成されている。また同様な配置として、垂直支持体は、中間層の内リングおよび外リングと、底部層の内リングおよび外リングとを接続する。さらに、記載の通り、放射状支持体34が中間層の外リング2と内リング30の間に延びている。
図1Bに示された組立体は、上部層と下部層に放射状支持体が必要とされないように構成されているが、これらは任意で含めることもできる。支持フレーム部材(例えば、内リング、外リング、垂直支持体および放射状支持体など)は管状金属などの金属製とすることができる。支持フレーム部材は、適当な締結具、および/または、溶接などの締結方法を用いて接続させることができる。
【0017】
バスケット10の外壁36は、支持フレームの各層にある外リング28に支持されている。バスケットの外壁36がバスケットの周りに円筒状に広がることでバスケットの外周側面が形成される。したがって、外壁は触媒バスケットの円筒状容積の外側境界を定めている。バスケットの内壁38は、支持フレームの各層にある内リング28に支持されている。バスケットの内壁38が円筒状に広がることで触媒バスケットの円筒状容積の内側境界が定められる。バスケットの内壁38が広がることで開口部12の周側面も形成される。外壁36は好ましくは透過性であり、液体が外壁を通過することでバスケットの内部と外部の間で流体が交換できるように構成されている。同様にして、内壁38は好ましくは透過性であり、液体が内壁を通過することによりバスケットの内部と外部の間で流体が交換できるように構成されている。外壁と内壁は共に織布鋼製メッシュなどのメッシュ部材から形成することができる。任意に、外壁、内壁、および隔壁、または少なくともこれらの一部を、非透過性の鋼板から作ることにより、液体がバスケットに進入または漏出しないようにできる。ある下降流反応器では、液流が軸方向であるために外壁と内壁を通過する流れは存在しないと考えられ、このために軸方向の流れの向きに平行な面、またはこの少なくとも一部を非透過性とすることができる。実施態様によっては、メッシュを鋼線網、織布ワイヤ径0.020インチの14×14メッシュとすることができる。
図3に認められる通り、例えば、内壁と外壁のワイヤメッシュは、ワイヤ39を用いて支持フレーム部材に固定することができる。その他好適な取付手段および取付方法を考えることもできる。
【0018】
外リング28と内リング30との間に隔壁40を広げ、中間層25に固定することができる。
図1Bおよび
図2に認められる通り、隔壁40はバスケットの内部を第1チャンバー42と第2チャンバー44にそれぞれ分割する。隔壁40は流体透過性を有しており、流体が隔壁をバスケットの長さ(高さ)に沿う軸方向に通過できるようになっている。例えば、隔壁を内壁と外壁と同じ織布メッシュから作ることができる。さらに、支持フレームの内リングと外リングの間に、間仕切り46を放射状に広げることができる。
図1Bに認められる通り、例えば、上部チャンバーと下部チャンバーにはそれぞれ4つの間仕切り46が設けられている。間仕切り46は上部チャンバーと下部チャンバーに区画室48を形成する。区画室48に触媒材料などの材料を受け入れることができる。間仕切り46は好ましくは流体透過性を有さず、ある1つの区画室の材料の影響が、隣接する区画室の材料からより容易に隔離されるようになっている。例えば、間仕切りは、固体鋼製シート材料とすることができる。
【0019】
図1Bに認められる通り、例えば、間仕切りにより、上部チャンバーと下部チャンバーにそれぞれ4つの区画室を形成することができる。区画室の数を増減させるために間仕切りを追加または除去することができる。このようにして、図示されている通り、間仕切り46と隔壁40がバスケットの内部を形成し、バスケットに、4つの区画室を備える上部チャンバーと、4つの区画室を備える下部チャンバーが設けられるようになっている。好ましくは、上部チャンバーと下部チャンバーの間仕切りは、下部チャンバーの区画室がこれに対応する上部チャンバーの区画室に整合するように配置され、同一の広がりを持ち、重複のないように寸法と形状が定められている。場合によっては、上部チャンバーと下部チャンバーの間仕切りは、チャンバー内の1つの区画室に軸方向に沿う重複が生じるようにして、区画室の寸法、形状、配置が定まるように、設置させることができる。
【0020】
各チャンバーに複数の区画室を含むバスケットの構造配置により、異なる数個の触媒を同時に試験することができる。さらに、バスケットを上部チャンバーと下部チャンバーに分割することによって、バスケットの軸方向に沿う1つの流体経路の中で、二段階の反応ができるようになる。例えば、ある1つのチャンバーの一つの区画室に第1触媒が提供される。次に、別のチャンバー(つまり、第2区画室は第1区画室と軸方向に並列している)の対応する区画室に、第2触媒が提供される。したがって、異なる性質を持つ触媒からなる2つの層に流体を通過させることができる。例えば、液体を第1区画室に通過させて内部に含まれる触媒に接触させることができる。第1区画室の中にある触媒は、流体から硫黄と水素を除去することにより流体を水素化処理させる触媒としても良い。流体がバスケットの軸方向に沿って移動すると、流体はバスケットの次の区画室の第2区画室に入る。第2区画室は異なる触媒を含むことができ、液体を区画室に含まれる触媒に接触させて、液体の熱分解やさらなる水素化に使用することができる。このように本発明の触媒バスケットを使用して2段階反応を達成することができる。この設計は、バスケットを貫通する1つの流体経路で直列接続している2つの反応器を有する貫流水素化分解ユニットを想定して作られている。さらには、隣接する区画室に異なる触媒材料を含有させ、異なる触媒の組み合わせを同一の反応バスケットを用いて同時に試験することができる。
【0021】
触媒バスケットが2層複数区画室型の設計であることにより、異なる触媒の組み合わせを同一のバスケットを用いて試験することができる。例えば、第1の層にある異なる2つの区画室は触媒A1と触媒A2を含むことができる。さらに、第2の層にある異なる2つの区画室は触媒B1と触媒B2を含むことができる。したがって、流体が反応バスケットを通過すると、流体が異なる触媒の組み合わせに晒される。例えば、バスケットを通過した流体の流れはまず、バスケットの第1の層にある1つの区画室に含まれる触媒A1に晒される。流体が触媒A1に晒されると、流体はバスケットの第2の層の中に入り、ここでバスケットの第2の層のなかの区画室に含まれる第2触媒B1に晒される。同様にして、流体は別の流路の中を通って進み、流体はバスケットの第1の層にある別の区画室の中にある触媒A2に晒され、その後、バスケットの第2の層にある別の区画室の中にある触媒B2に晒される。このように、反応器バスケットに流れる流体は、同じ反応器のなかで同じ触媒バスケットを用いて、触媒A1とB1の組み合わせに晒され、また流体を同時に触媒A2とB2の組み合わせに晒すことができる。したがって、同じバスケットを用いた同じチャンバーの中で、複数の組み合わせの触媒を同時に試験することができる。このように、このバスケット設計により数多くの触媒やその組み合わせを効果的にかつ効率的に試験することが可能になり、より好適で効果的な触媒を同定して将来の反応に使用することができる。
【0022】
カバー14がバスケットの上端と下端から取り外し可能となっていることで、区画室を触媒材料で充填することができる。カバーをバスケットの端部に選択的に取り付けるため、バスケットの側面にクリップを設けることができる。例えば、第1カバーからクリップを取り外し、カバーを取り外すことによって、第1チャンバーの中の区画室を露わにすることができる。この露わになった区画室に種々の触媒材料を添加し、クリップを使用してカバーを再固定することができる。その後、バスケットを裏返してバスケットの他端にある第2のカバーを取り外し、第2チャンバーの区画室を露わにすることができる。第2チャンバーの露わになった区画室に種々の触媒材料を添加し、クリップを使用して第2のカバーを再固定することができる。このようにして、2層複数区画室型触媒反応器バスケットに触媒を充填することができる。バスケットのフレームにフック50(
図1を参照のこと)を任意に接続させることができる。このフックはバスケットを支持してバスケットを反応器の内部に連結させることができる。フックはまた、反応器サイクルの最後に触媒を充填および除去する際に、バスケットを支持するために使用することができる。触媒は通常、サイクルの最後に吸引される。バスケットを吊るすことにより、触媒の吸引の際にバスケットが仮止め解除される。
【0023】
図4は、4つのチャンバーが設けられた単一層を持つ触媒バスケットを図示している。この4つのチャンバーには触媒が含まれ、上に記載された方法と同じような方法で、軸方向の流れができるようになっている。
【0024】
上記の主題は単に説明のために提供されており、限定的に解釈されるべきではない。ここに記載された主題に対して、図示され記載された例示的な実施形態および用途に従わずに、また本発明の真の精神および以下の特許請求の範囲に記載されている範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができる。