(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度が前記第1のNOx排出閾値より低い第2のNOx排出閾値より低下した場合には、前記リッチ燃焼運転を行わずに、前記リーン燃焼運転を継続させることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の排ガス浄化システム。
前記第2の排ガス浄化触媒の下流側のNOx排出濃度は、前記第2の排ガス浄化触媒より下流の前記排ガス通路に設けられ、該NOx排出濃度を検出する第2のNOxセンサからの信号を基に算出されることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排ガス浄化システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記排ガス浄化システムでは、NOxトラップ触媒に吸蔵されたNOxを放出・還元するために、リッチ燃焼運転を行い、燃料噴射量を増大して還元剤を供給する必要がある。そのため、CO
2などの排出量が増大し、燃費の低下が起るという問題がある。
【0006】
そこで、これら技術的課題に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態は、NOx吸蔵触媒のNOx離脱/浄化(パージ)を行う際のリッチ燃焼運転に伴う燃費の悪化を抑制しつつ、NOx浄化性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る内燃機関の排ガス浄化システムは、内燃機関の排ガス通路に設けられ、リーン燃焼運転時に排ガス中のNOxを吸蔵可能な第1の排ガス浄化触媒と、前記第1の排ガス浄化触媒より下流の前記排ガス通路に設けられ、排ガス中に含まれるNH
3を吸着可能であり、かつ吸着したNH
3で排ガス中のNOxを選択還元する第2の排ガス浄化触媒と、内燃機関の燃焼空燃比を制御する空燃比制御部と、を備え、前記空燃比制御部は、空燃比を制御して、理論空燃比よりリーン燃焼運転において前記第1の排ガス浄化触媒に吸蔵させたNOxを、リッチ燃焼運転にして前記吸蔵させたNOxを脱離させると共に、前記第1の排ガス浄化触媒においてNH
3を生成させて前記第2の排ガス浄化触媒に供給するNH
3生成部と、前記第2の排ガス浄化触媒によるNOx還元性能を示す指標に基づいて前記リッチ燃焼運転のリッチ化度合いを制御するリッチ化制御部と、を有し
、前記リッチ化制御部は、前記第1の排ガス浄化触媒で生成されるNH3の生成量を求めるNH3生成量算出部と、該NH3生成量算出部で求めたNH3生成量と前記第2の排ガス浄化触媒の温度とから前記第2の排ガス浄化触媒のNH3吸着量を求めるNH3吸着量算出部と、前記第1の排ガス浄化触媒の下流側排ガスに含まれるNOx濃度を求める第1のNOx濃度算出部と、前記NH3吸着量算出部で求めた前記第2の排ガス浄化触媒のNH3吸着量と前記第2の排ガス浄化触媒のNOx浄化効率との関係、及び前記第2の排ガス浄化触媒の温度と前記第2の排ガス浄化触媒のNOx浄化効率との関係を用いて、前記第1のNOx濃度算出部で求めたNOx濃度から前記第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度を算出する第2のNOx濃度算出部と、を有し、該第2のNOx濃度算出部で算出されたNOx排出濃度に基づいて前記リッチ化度合いを制御する。
【0008】
排ガス中にCO、HCが存在すると、反応式(1)の水性ガス反応と、反応式(2)の水蒸気改質反応が進行してH
2が生成され、反応式(3)、反応式(4)や反応式(5)の反応によりNH
3が生成する。これらの反応は、上記第1の排ガス浄化触媒に吸蔵されるNOxの存在により促進される。
CO+H
2O → CO
2+H
2 (1)
HC+H
2O → CO
2+CO+H
2 (2)
2NO+5H
2 →2H
2O+2NH
3 (3)
3/2H
2+NO+CO → NH
3+CO
2 (4)
NO+HC+H
2O → CO
2+NH
3 (5)
内燃機関のリーン燃焼運転時には、排ガス中のNOx成分は前記第1の排ガス浄化触媒に吸蔵される。これによって、NOxの下流側への流出を抑制する。
しかし、第1の排ガス浄化触媒の浄化性能を維持する上で吸蔵されたNOx成分を脱離/浄化(パージ)させる必要があり、定期的、又は所定の条件が成立したときに行っている。
この脱離の際に、空燃比制御部のNH
3生成部は、リッチ燃焼運転によって、第1の排ガス浄化触媒に吸蔵されたNOxを脱離させると共に一部を還元浄化する。また、このリッチ化によって、第1の排ガス浄化触媒でNH
3が生成され、生成されたNH
3は下流の第2の排ガス浄化触媒に流入する。
【0009】
第2の排ガス浄化触媒は、第1の排ガス浄化触媒で生成されたNH
3を吸着する。また、第2の排ガス浄化触媒では、第1の排ガス浄化触媒で浄化されずに放出されたNOxと吸着したNH
3とを反応させ、反応式(6)〜(8)の反応によりNOxを選択還元する。
NO+NO
2+2NH
3 → 2N
2+3H
2O (6)
4NO+4NH
3+O
2 → 4N
2+6H
2O (7)
6NO
2+8NH
3 → 7N
2+12H
2O (8)
このように、第2の排ガス浄化触媒に吸着したNH
3で排ガス中のNOxを還元するので、NOxの還元率を向上できると共に、外部から還元剤を供給する設備が不要になり、省スペース化できる。
また、上記リッチ化制御部は、NOx還元性能を示す指標に基づいてリッチ燃焼運転時の上記リッチ化度合いを制御することで、第1の排ガス浄化触媒のNOx離脱/浄化(パージ)を行う際のリッチ燃焼運転に伴う燃費の悪化を抑制しつつ、NOx浄化性能を向上することできる。
また、第2の排ガス浄化触媒出口のNOx濃度を、第2の排ガス浄化触媒入口のNOx濃度と第2の排ガス浄化触媒のNOx浄化効率とを基に算出するので、NOxセンサを用いずに第2の排ガス浄化触媒から排出されるNOx濃度を算出できる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、前記構成(1)において、前記第2の排ガス浄化触媒によるNOx還元性能を示す指標は、前記第2の排ガス浄化触媒のNH
3吸着量であり、
前記リッチ化制御部は、前記第2の排ガス浄化触媒のNH
3吸着量がNH
3吸着閾値より低下したとき、前記リッチ化度合いを増大する。
上記構成(2)によれば、第2の排ガス浄化触媒のNH
3吸着量が閾値より低下したとき、リッチ化度合いを増大させることで、NOxと反応して還元するNH
3の生成量を増加できるため、第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度を低減できる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、前記構成(1)または(2)において、前記第2の排ガス浄化触媒によるNOx還元性能を示す指標は、前記第2の排ガス浄化触媒の下流側のNOx排出濃度であり、
前記リッチ化制御部は、前記第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度が所定の第1のNOx排出閾値を越えたとき、前記リッチ化度合いを増大し、前記NOx排出濃度が前記第1のNOx排出閾値より低下した場合には前記リッチ化度合いを低減する。
上記構成(3)によれば、第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度が第1のNOx排出閾値を超えたとき、リッチ化度合いを増大させることで、NOxと反応して還元するNH
3の生成量を増加できるため、第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度を低減できる。また、該NOx排出濃度が第1のNOx排出閾値より小さいときは、リッチ化度合いを低減することで、燃費を向上できる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、前記構成(3)において、前記第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度が前記第1のNOx排出閾値より低い第2のNOx排出閾値より低下した場合には、前記リッチ燃焼運転を行わずに、前記リーン
燃焼運転を継続させる。
上記構成(4)によれば、第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度が、第1のNOx排出閾値より低い第2のNOx排出閾値より低下した場合には、リッチ燃焼運転を行わずにリーン
燃焼運転を継続させる。すなわち、第2のNOx排出閾値より低下した場合には、第2の排ガス浄化触媒のNOx浄化性能が維持されており、NOx離脱/浄化(NOxパージ)を行う必要がないと判定して、リーン
燃焼運転を継続させる。これによって、NOx離脱の際のリッチ化の発生頻度を抑えることで、燃費の向上をさらに図ることができる。
【0013】
(5)幾つかの実施形態では、前記構成(2)において、前記リッチ化制御部は、前記第1の排ガス浄化触媒で生成されるNH
3の生成量を求めるNH
3生成量算出部と、前記NH
3生成量算出部で求めたNH
3生成量と前記第2の排ガス浄化触媒の温度とから前記第2の排ガス浄化触媒のNH
3吸着量を求めるNH
3吸着量算出部とを有し、該NH
3吸着量算出部で算出されたNH
3吸着量に基づいて前記リッチ化度合いを制御する。
上記構成(5)によれば、NH
3吸着量算出部において、NH
3生成量算出部で求めたNH
3生成量と第2の排ガス浄化触媒の温度とから、第2の排ガス浄化触媒のNH
3吸着量を求めるので、NH
3吸着量を正確に推定できる。この推定値に基づいてリッチ化度合いを制御するので、NOx浄化の向上、燃費の向上が可能になる。
【0014】
(6)幾つかの実施形態では、前記構成(5)において、前記NH
3生成量算出部において、前記NH
3生成量は、空燃比及び前記第1の排ガス浄化触媒の温度を含む内燃機関の運転状態量と前記第1の排ガス浄化触媒で生成されるNH
3生成量との関係を示す第1のマップによって算出する。
上記構成(6)によれば、予め試験などで得た上記第1のマップから、第1の排ガス浄化触媒のNH
3生成量を正確に把握できる。
【0015】
(7)幾つかの実施形態では、前記構成(5)において、前記NH
3生成量算出部において、前記NH
3生成量は、前記第1の排ガス浄化触媒と前記第2の排ガス浄化触媒との間の前記排ガス通路に設けられ、排ガス中のNH
3濃度を検出する第1のNH
3センサからの信号を基に算出される。
上記構成(7)によれば、第1のNH
3センサを設けることで、第1の排ガス浄化触媒のNH
3生成量を正確には把握できる。
【0018】
(
8)幾つかの実施形態では、前記構成(
1)において、前記NOx濃度算出部において、前記第1の排ガス浄化触媒の下流側排ガスに含まれるNOx濃度は、空燃比及び前記第1の排ガス浄化触媒の温度を含む内燃機関の運転状態量と前記第1の排ガス浄化触媒の下流側排ガスに含まれるNOx濃度との関係を示す第2のマップに基づいて算出される。
上記構成(
8)によれば、予め試験などで得た上記第2のマップから、第1の排ガス浄化触媒出口排ガスに含まれるNOx濃度を算出するため、センサを用いずに正確に把握できる。
【0019】
(
9)幾つかの実施形態では、前記構成(
1)において、前記第1の排ガス浄化触媒の下流側排ガスに含まれるNOx濃度は、前記第1の排ガス浄化触媒と前記第2の排ガス浄化触媒との間の前記排ガス通路に設けられ、排ガス中のNOx濃度を検出する第1のNOxセンサからの信号を基に算出される。
上記構成(
9)によれば、第1の排ガス浄化触媒下流側のNOx濃度が第1のNOxセンサで検出された信号を基に算出されるので、正確に算出できる。
【0020】
(
10)幾つかの実施形態では、前記構成(3)において、前記第2の排ガス浄化触媒の下流側のNOx排出濃度は、前記第2の排ガス浄化触媒より下流の前記排ガス通路に設けられ、該NOx排出濃度を検出する第2のNOxセンサからの信号を基に算出される。
上記構成(
10)によれば、上記NOxセンサを設けることで、第2の排ガス浄化触媒出口のNOx排出濃度を正確に把握できる。
【0021】
(
11)幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(
10)の何れかにおいて、前記第1の排ガス浄化触媒と前記第2の排ガス浄化触媒間の前記排ガス通路に設けられた還元剤供給部をさらに備え、排ガス中のNOx濃度に対する前記NH
3生成部によるNH
3生成量が不足するとき、前記還元剤供給部から還元剤を排ガス中に供給してNH
3生成量の不足分を補うための還元剤供給制御部を備える。
上記構成(
11)によれば、還元剤供給部及び還元剤供給制御部を備えることで、NOx浄化効率をさらに向上できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、第2の排ガス浄化触媒のNOx還元性能を示す指標に基づいて、第1の排ガス浄化触媒でのNOx離脱/浄化(パージ)を行わせるリッチ燃焼運転のリッチ化度合いを制御することで、NOx浄化率を高く維持しつつ、燃費の悪化を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態に係る排ガス浄化システム10Aは、
図1に示すような全体構成を有し、エンジン(内燃機関)11は、例えばガソリンリーンバーンエンジンである。エンジン11の燃焼室(不図示)と連通する排気ポート12が気筒毎に形成されている。そして、エンジン11には夫々の排気ポート12と連通するように排気マニフォールド14が接続されている。
排気マニフォールド14の排ガス流れ方向下流には、排気過給機16が設けられている。排気過給機16ではタービンハウジング16aと排ガス通路18とが連通し、エンジン11から排出される排ガスeのエネルギを利用して吸入された新気を圧縮し、エンジン11の燃焼室に供給する。
排ガス通路18には、NOxトラップ触媒(第1の排ガス浄化触媒)22を内蔵した触媒コンバータ20が設けられている。エンジンのリーン燃焼運転時に、排ガスeに含まれるNOxを吸蔵可能なアルカリ元素やアルカリ土類元素などの触媒成分と吸蔵したNOxをリッチ燃焼運転時に還元浄化可能な貴金属元素などの触媒活性成分を担持している。
【0026】
また、触媒コンバータ20より下流の排ガス通路18には、選択還元触媒(SCR)(第2の排ガス浄化触媒)26を内蔵した触媒コンバータ24が設けられる。選択還元触媒26は、上記反応式(1)〜(5)によって生成され排ガスeに含まれるNH
3を吸着可能な触媒活性成分、及び吸着したNH
3で排ガス中のNOxを選択還元する触媒活性成分を担持する。
【0027】
リーン燃焼運転時には、排ガス中のNOx成分はNOxトラップ触媒22に吸蔵され、NOxの下流側への流出を抑制する。そして、NOxトラップ触媒22で吸蔵されたNOx成分はNOx浄化性能を維持するために定期的、又は所定の条件が成立したときに、リッチ燃焼運転によってNOxを脱離/浄化(パージ)させている。また、リッチ化によってNOxトラップ触媒22でNH
3が生成される。選択還元触媒26では、NOxトラップ触媒22で生成されて存在するNH
3と、排ガス中に残存するNOxとを反応させ、反応式(6)〜(8)の反応によりNOxを選択還元する。
なお、NOxパージは、脱離だけではなく浄化作用を含むため「脱離/浄化(パージ)」と記載している。
【0028】
エンジン11の運転を制御する制御装置40が設けられている。
制御装置40には、図示しない信号入力部、信号出力部、記憶部、演算部等が設けられ、さらに、エンジン11の燃焼空燃比を制御する空燃比制御部42が設けられている。
信号入力部には、エンジン11の運転状態の空燃比、エンジン回転、エンジン負荷等、さらに、温度センサ44からNOxトラップ触媒22の温度、温度センサ46から選択還元触媒26の温度の信号が入力され、信号出力部からは、燃料供給装置48への燃料供給量を制御する信号、すなわち、空燃比を制御する信号が出力される。
【0029】
空燃比制御部42には、空燃比を理論空燃比よりリッチ燃焼運転に制御してNOxトラップ触媒22においてNH
3を生成させて、選択還元触媒26に供給するNH
3生成部50と、選択還元触媒26によるNOx還元性能を示す指標に基づいてリッチ燃焼運転のリッチ化度合いを制御してNH
3生成部50によって生成されるNH
3量を制御するリッチ化制御部52とを有して構成されている。
【0030】
リッチ化制御部52は、選択還元触媒26によるNOx還元性能を示す指標(以下「NOx還元指標」と言う)に基づいて、リッチ燃焼運転時のリッチ化度合いを制御する。
また、NH
3生成部50では、空燃比を理論空燃比よりリッチ燃焼運転に制御してNOxトラップ触媒22においてNH
3を生成させ選択還元触媒26に供給するので、リッチ化制御部52でのリッチ化度合いを制御することで、生成されるNH
3量を制御することができる。
従って、選択還元触媒26のNOx還元指標に基づいてリッチ燃焼運転を制御することによって、NOxトラップ触媒22でのNOx離脱/浄化(パージ)を行わせるリッチ燃焼運転のリッチ化度合いを制御することができ、NOx浄化率を高く維持しつつ、燃費の悪化を抑制できる。
また、還元剤を排ガス通路18に供給するための還元剤供給装置を別途設置する必要がないため排ガス浄化システムの簡素化による小型化及びコスト低減が図れる。
【0031】
幾つかの実施形態では、
図4に示すように、リッチ化制御部52は、選択還元触媒26に吸着したNH
3吸着量を「NOx還元指標」としてリッチ化度合いを制御する構成を有る。
この制御のために、NH
3生成部50で生成されるNH
3生成量を求めるNH
3生成量算出部54と、NH
3生成量算出部54で求めたNH
3生成量と選択還元触媒26の温度とから選択還元触媒のNH
3吸着量を求めるNH
3吸着量算出部56とを有し、さらに、NH
3吸着量算出部56で算出したNH
3吸着量が、所定のNH
3吸着閾値より低下したか否かを判定するNH
3吸着量判定部58を有している。
【0032】
NH
3生成量算出部54は、
図10、11に示すNH
3生成量マップ(第1のマップ)60、62を用いて、NOxトラップ触媒22で生成されるNH
3生成量を算出する。
図10のNH
3生成量マップには、NOxトラップ触媒22の温度とNH
3生成量との関係が設定されている。また、
図11のNH
3生成量マップには、空燃比(A/F)とNOxトラップ触媒22で生成されるNH
3生成量との関係が設定されている。従って、温度センサ44からの検出温度と、エンジン11からの空燃比情報を基に
図10、11のNH
3生成量マップ60、62を用いて算出される。例えば、一方のマップには生成量(ppm)が設定され、他方のマップには補正係数が設定されており、それらを掛け合わせて求める。
【0033】
NH
3吸着量算出部56は、NH
3生成量算出部54で求めたNH
3生成量と選択還元触媒26の温度とから、選択還元触媒のNH
3吸着量を求める。例えば、
図14の選択還元触媒26の温度とNH
3吸着量との関係が設定されたNH
3吸着量マップ63を用いて算出する。
図14のNH
3吸着量は、最大吸着量を示すため、NH
3生成量算出部54で求めたNH
3生成量が、最大吸着量に達している場合には、最大吸着量が吸着され、達していない場合には、その流入するNH
3生成量が吸着量となると仮定して算出する。
【0034】
NH
3吸着量判定部58は、所定のNH
3吸着閾値より低下したか否かを判定して、低下している場合には、NOx還元性能が得られないと判定して、空燃比のリッチ化を強化(増大)する。また、NH
3吸着量が閾値を超えるときは、リッチ化度合いを抑制(低減)する。
この所定のNH
3吸着閾値は、
図14に示す最大吸着量に対して所定の比率、例えば50%の値として、50%以上であれば必要なNOx還元性能(NOxの排ガス規制値を満たすことができるNOx還元性能)が得られるような値に設定される。また、NH
3吸着閾値を範囲として設定してもよく50%〜70%のように範囲指定し、その範囲を超える場合または低下する場合として判定してもよい。
【0035】
以上の構成では、選択還元触媒26のNH
3吸着量が所定のNH
3吸着閾値に維持されるよう空燃比のリッチ化度合が制御されるので、NOx還元浄化を、燃費を向上しつつ効率よく行うことができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、
図4に示すように、リッチ化制御部52は、選択還元触媒26から排出されるNOx濃度を「NOx還元指標」としてリッチ化度合いを制御する構成を有する。
この制御のために、NOxトラップ触媒22の下流側の排ガスに含まれるNOx濃度を求める第1のNOx濃度算出部64と、選択還元触媒26の出口側のNOx濃度を求める第2のNOx濃度算出部66とを有し、さらに、第2のNOx濃度算出部66で算出したNOx濃度が、所定のNOx濃度閾値を越えたか否かを判定するNOx濃度判定部68を有している。
【0037】
第1のNOx濃度算出部64は、
図15、16に示すNOx濃度マップ(第2のマップ)70、72を用いて、NOxトラップ触媒22の下流側でのNOx濃度を算出する。
図15のNOx濃度マップ70は、NOxトラップ触媒22の温度とNOx排出量(濃度)との関係が設定されている。温度が低すぎるとNOxトラップ反応の進行が弱まりNOxトラップ触媒下流のNOx排出量は増大し、また温度が高すぎるとNOxトラップ反応が低下する。
図16のNOx濃度マップ72は、空燃比(A/F)とNOx排出量(濃度)との関係が設定されている。理論空燃比近傍では、NOxトラップ触媒下流のNOx排出量は極めて少ない。しかし過剰なリッチ空燃比では、NOx排出量が僅かに増加する。
従って、温度センサ44からの検出温度と、エンジン11からの空燃比情報を基に
図15、16のNOx濃度マップ70、72を用いて算出される。例えば、一方のマップには生成量(ppm)が設定され、他方のマップには補正係数が設定されており、それらを掛け合わせて求める。
【0038】
第2のNOx濃度算出部66は、NH
3吸着量算出部56で求めた選択還元触媒26のNH
3吸着量と、選択還元触媒26のNOx浄化効率との関係を設定した
図12に示すNOx浄化効率マップ74、及び選択還元触媒26の温度と選択還元触媒26のNOx浄化効率との関係を設定した
図13に示す浄化効率マップ76とを用いて、例えば、NH
3吸着量から求めた浄化効率に対して温度補正をするようにして求めた浄化効率を用いて、第1のNOx濃度算出部64で求めた選択還元触媒26の入口のNOx濃度から選択還元触媒26の出口のNOx濃度を算出する。
【0039】
NOx濃度判定部68は、所定のNOx濃度閾値を超えたか否かを判定して、超えた場合には、NOx排出規制値が満たされないと判定して、空燃比のリッチ化を強化(増大)する。また、NOx排出濃度がNOx排出閾値より低下したときは、リッチ化度合いを抑制(低減)する。
このように、NOx排出規制値が満たされるのに必要なNOx還元性能が得られるようにリッチ化度合いが制御される。
以上の構成では、選択還元触媒から排出されるNOx濃度が、NOx排出規制値を満たすように設定されたNOx濃度閾値を維持するよう空燃比のリッチ化度合が制御されるので、NOx還元浄化を、燃費を向上しつつ効率よく行うことができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、
図2、
図4に示すように、リッチ化制御部52において、NH
3生成量マップ(第1のマップ)60、62に代えて、NOxトラップ触媒22と選択還元触媒26との間の排ガス通路18に設けられ、排ガス中のNH
3濃度を検出する第1のNH
3センサ80を用いて、該第1のNH
3センサ80から信号を基に、NOxトラップ触媒22によって生成されるNH
3生成量が算出される。
また、NOx濃度マップ(第2のマップ)70、72に代えて、NOxトラップ触媒22と選択還元触媒26との間の排ガス通路18に設けられ、排ガス中のNOx濃度を検出する第1のNOxセンサ82を用いて、該第1のNOxセンサ82から信号を基に、NOxトラップ触媒22の下流側におけるNOx濃度が算出される。
図2に示す排ガス浄化システム10Bの構成は、
図1と第1のNH
3センサ80、及び第1のNOxセンサ82以外は同様である。また、
図4においては、第1のNH
3センサ80、及び第1のNOxセンサ82は点線で示す。
以上の構成では、NH
3生成量及びNOx濃度が、それぞれ第1のNH
3センサ80、及び第1のNOxセンサ82からの信号で算出されるため正確に算出できる。
【0041】
幾つかの実施形態では、
図2、
図4に示すように、リッチ化制御部52には、選択還元触媒26の下流側のNH
3を算出するNH
3排出量算出部78を有し、選択還元触媒26の下流の排ガス通路18に設けられた第2のNH
3センサ84からの信号によってNH
3排出量が算出される。
そして、NH
3吸着量算出部56における吸着量の算出を、第2のNH
3センサ84からの信号と、第1のNH
3センサ80とからの信号を用いて、それぞれのNH
3センサ80、84の検出値の差を算出することで算出する。
また、選択還元触媒26の下流の排ガス通路18に、排ガス中のNOx排出濃度を検出する第2のNOxセンサ86を設け、選択還元触媒26の下流側のNOxを算出する第2のNOx濃度算出部66を、NOx浄化効率マップ74、76を用いて算出する代わりに、第2のNOxセンサ86からの信号を基に算出する。
図2に示す排ガス浄化システム10Bの構成は、
図1とは、第2のNH
3センサ84、及び第2のNOxセンサ86以外は同様である。また、
図4においては、第2のNH
3センサ84、及び第2のNOxセンサ86は点線で示す。
以上の構成では、第2のNH
3センサ84、及び第2のNOxセンサ86からの信号を用いることで、選択還元触媒26の下流側のNOx濃度、及び選択還元触媒26のNH
3吸着量を正確に算出できる。
【0042】
幾つかの実施形態では、
図5に示すフローチャートのように、リッチ化制御部52は、選択還元触媒26に吸着したNH
3排出量を「NOx還元指標」としてリッチ化度合いを制御する。
ステップS1で、各種エンジン運転条件を検出する。例えば、空燃比、エンジン回転、エンジン負荷、NOxパージ制御の実施の有無等を検出する。ステップS2で、温度センサ44からNOxトラップ触媒22の温度、温度センサ46から選択還元触媒(SCR)26の温度を検出する。ステップS3で、選択還元触媒26へのNH
3流入量を推定する。このステップS3の推定は、NH
3生成量算出部54による算出によって推定する。その後、ステップS4で、選択還元触媒26のNH
3吸着量を推定する。このステップS4の推定は、NH
3吸着量算出部56による算出によって推定する。
【0043】
その後、ステップS5で、推定したNH
3吸着量が、所定のNH
3吸着閾値以下か否かを判定して、Yesの場合には、NOx還元性能が得られないと判定して、ステップS6に進んでNOxトラップ触媒22のNOxパージの空燃比のリッチ化を強化(増大)し、ステップS5でNOの場合には、すなわち、NH
3吸着閾値を越えている場合には、NH
3のスリップの恐れが生ずる可能性が高いためステップS7に進んで、NOxパージの空燃比のリッチ化を抑制(低減)する。なお、NH
3吸着閾値を一定の範囲の値として設定してもよい。
以上の構成によると、選択還元触媒26のNH
3吸着量が所定のNH
3吸着閾値より低下しないように空燃比のリッチ化度合が制御されるので、NOxパージの空燃比のリッチ化によるNOxの浄化を、燃費を悪化させることなく効率よく行うことができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、
図6に示すフローチャートのように、選択還元触媒26から排出されるNOx濃度を「NOx還元指標」としてリッチ化度合いを制御する。
ステップS11、S12は、
図5のステップS1、S2と同一であり、ステップS13で、選択還元触媒26へ流入するNOx濃度を推定する。このステップS13の推定は、第1のNOx濃度算出部64の算出によって推定する。その後、ステップS14で、選択還元触媒26のNOx浄化効率を算出する。このステップS14の算出は、NOx浄化効率マップ74、76を用いて算出される。その後、ステップS15で、選択還元触媒26の下流側のNOx濃度を推定する。このステップS15の推定は、第2のNOx濃度算出部66の算出によって推定する。
【0045】
その後、ステップS16で、推定したNOx濃度が、所定の第1のNOx排出閾値以下か否かを判定して、Yesの場合には、NOx還元性能が得られていると判定して、ステップS17に進んで、さらに第1のNOx排出閾値より小の第2のNOx排出閾値以下か否かを判定する。
ステップS16でNOの場合には、すなわち、第1のNOx排出閾値を越えている場合には、NOx還元性能が得られていないと判定して、ステップS20に進んで、NOxパージ時の空燃比のリッチ化を強化(増大)する。
また、ステップS17でNOの場合には、すなわち、第2のNOx排出閾値を越えているが第1のNOx排出閾値以下の場合には、NOxパージは行うがNOx還元性能は得られているため、空燃比のリッチ化を抑制(低減)する。
さらに、ステップS17でYesの場合には、選択還元触媒26のNOx浄化性能が維持されており、NOx離脱/浄化(NOxパージ)を行う必要がないと判定して、リーン運転を継続させる。これによって、NOx離脱の際のリッチ化の発生頻度を抑えることで、燃費の向上をさらに図ることができる。
以上の構成によると、選択還元触媒26の下流側のNOx濃度に基づいて、空燃比のリッチ化度合が制御されるので、NOxパージの空燃比のリッチ化によるNOxの浄化を、燃費を悪化させることなく効率よく行うことができる。
【0046】
幾つかの実施形態では、
図7に示すフローチャートのように、選択還元触媒26に吸着したNH
3排出量、及び選択還元触媒26から排出されるNOx濃度を組み合わせて「NOx還元指標」としてリッチ化度合いを制御する。
ステップS31〜S35は、
図5の実施形態のステップS1〜S5にそれぞれ対応しており、同一である。
ステップS35で、NOの場合にはリターンに戻り、Yesの場合には、すなわち選択還元触媒26のNH
3吸着量が、所定のNH
3吸着閾値以下の場合には、NOx還元性能が得られない恐れがあるため、ステップS36に進んで、NOx還元性能が得られているかどうかを、選択還元触媒26の下流側の推定したNOx濃度が、所定の第1のNOx閾値以下か否かによって判定する。
ステップS36での判定がYesの場合には、NOx還元性能が得られていると判定してステップS38に進み、ステップS36での判定がNOの場合には、NOx還元性能が得られていないと判定してステップS40に進む。
以降のステップS38〜S40における作動は、
図6の実施形態におけるステップS18〜S20とそれぞれ対応して同一である。
【0047】
再度説明すると、ステップS36でNOの場合には、すなわち、第1のNOx排出閾値を越えている場合には、NOx還元性能が得られていないと判定して、ステップS40に進んで、NOxパージ時の空燃比のリッチ化を強化(増大)する。
また、ステップS37でNOの場合には、すなわち、第2のNOx排出閾値を越えているが第1のNOx排出閾値以下の場合には、NOxパージは行うがNOx還元性能は得られているため、空燃比のリッチ化を抑制(低減)する。
さらに、ステップS37でYesの場合には、選択還元触媒26のNOx浄化性能が維持されており、NOx離脱/浄化(NOxパージ)を行う必要がないと判定して、リーン運転を継続させる。これによって、NOx離脱の際のリッチ化の発生頻度を抑えることで、燃費の向上をさらに図ることができる。
【0048】
以上の構成によれば、選択還元触媒26に吸着したNH
3排出量、選択還元触媒26から排出されるNOx濃度を組み合わせて「NOx還元指標」として判定して、その結果を基にリッチ化度合いを制御するので、一つの「NOx還元指標」による判定よりも、精度が高められるため、NOxパージの空燃比のリッチ化によるNOxの浄化を、燃費を悪化させることなくより効率よく行うことができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、
図8に示すフローチャートのように、
図7の実施形態に対してさらに、ステップS41〜S43を追加した構成を有する。
図8において、ステップS35でNOの場合、すなわち、選択還元触媒26のNH
3吸着量が、所定のNH
3吸着閾値を越えている場合には、NH
3のスリップの恐れがあるため、ステップS41に進んで、NH
3排出量が、所定のNH
3排出閾値以下か否かを判定する。
選択還元触媒26の下流側に排出されるNH
3の排出量は、NH
3排出量算出部78によって算出され、第2のNH
3センサ84からの信号から算出される。
ステップS41での判定結果、Yesの場合には、NH
3のスリップの恐れは問題ないと判定して、ステップS43に進んで、空燃比のリッチ化を強化(増大)する。
一方、ステップS41で、NOの場合には、すなわち、NH
3排出閾値を越えている場合には、NH
3のスリップ量が多いと判定して、ステップS42に進んで、空燃比のリッチ化を抑制(低減)する。
以上の構成によれば、
図7の実施形態によって得られ効果に加えて、選択還元触媒26をスリップしてしまうNH
3スリップ量の抑制を可能とする。従って、NOxパージの空燃比のリッチ化によるNOxの浄化を、燃費を悪化させることなくさらに効率よく行うことができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、
図9に示す排ガス浄化の手順に沿って、NOxパージ時の空燃比のリッチ化の制御が行われる。
リーン燃焼運転時には、排ガス中のNOx成分はNOxトラップ触媒22に吸蔵され、NOxの下流側への流出を抑制する。そして、NOxトラップ触媒22で吸蔵されたNOx成分はNOx浄化性能を維持するために所定の条件下で脱離/浄化(パージ)させているが、その脱離の際に、リッチ燃焼運転によって、NOxトラップ触媒に吸蔵されたNOxを脱離させると共に大部分のNOxは還元浄化する。また、リッチ化によってNOxトラップ触媒22でNH
3が生成される。選択還元触媒26では、NOxトラップ触媒22で生成されて存在するNH
3と、排ガス中に残存するNOxとを反応させることで、NOxの還元効率を高める。
従って、NOxパージ時の空燃比のリッチ化を、予め運転条件(NOxパージを開始するエンジン回転数及びエンジン負荷等の条件)に基づいて設定される基準のリッチ化の空燃比に対して、NOx還元性能を示す指標(「NOx還元指標」)を基にさらにリッチ化を増大、低減するように補正する。
【0051】
図9は、排ガス浄化のタイムチャートを示すものであり、横軸に時間、縦軸には、(a)では空燃比(A/F)、(b)ではNOx濃度、(c)ではNH
3排出量、(d)ではエンジン11を車両に搭載した場合の車速をそれぞれ示している。
図9(a)において、空燃比(A/F)の変化を示すタイムチャートでは、リーン運転中にt0でNOxパージが開始され、空燃比のリッチ化が開始される。その後t1でリッチ化が終了する。
NOxパージ時のリッチ化のリッチ化度合の制御は、少なくともt
0〜t
1のリッチ化時間tcまたは空燃比(A/F)の大きさwの増減によって行われる。また、NOxパージを行う間隔時間Mを変更して発生頻度を制御することによって可能である。
【0052】
図9(b)のNOx濃度の変化を示すタイムチャートでは、NOxパージのリッチ化の開始後に、NOxトラップ触媒22の出口側すなわち、選択還元触媒(SCR)26への流入NOxは、NOx排出閾値を大きく超えた値を示しているが、選択還元触媒26の出口側のNOx濃度は、第1のNOx排出閾値を満たす範囲に低減されていることがわかる。
図9(c)のNH
3排出量の変化を示すタイムチャートでは、NOxパージのリッチ化の開始後に、NOxトラップ触媒22の出口側すなわち、選択還元触媒26への流入NH
3は、大きく増加していることがわかる。選択還元触媒26の出口側のNH
3は僅かな排出量となっており、選択還元触媒26に吸着されるとともにNOxの還元作用に用いられて消費されたことがわかる。
図9(d)の車速の変化を示すタイムチャートでは、車速変化はなく、一定車速である。
【0053】
以上の構成によれば、リッチ化度合いの制御を、リッチ化時間tc、又はリッチ化の空燃比の大きさw、すなわち燃料量と空気量との増減、又はNOxパージを行う間隔時間M(パージ発生頻度の増減)、のうちの少なくともいずれかを制御することで行われるので、リッチ化度合いの制御を精度よく行うことができる。その結果、燃費を悪化させることなくNOx浄化性能を効率よく発揮することができる。
【0054】
なお、NOxトラップ触媒に吸収されているNOxの吸収量によっては、同一のリッチ化度合いであっても、NOxトラップ触媒22で生成されるNH
3の生成量に差異が生じる。
このため、予め設定されるNOxパージを行う間隔時間等の設定条件以外で、NOx発生量が増大する運転状態、例えば加速状態、を検出するためにエンジン回転数の累積値やアクセルペダル(スロットルバルブ)の開度の累積値等を算出して、NOxトラップ触媒22のNOx吸収量を示すNOx吸蔵量のパラメータを基にリッチ化の空燃比をさらに補正するようにしてもよい。
すなわち、予め運転条件(エンジン回転数及びエンジン負荷等の条件)に基づいてNOxパージを行う際の基準のリッチ化の空燃比が設定されている。これに対して、既に説明してきたようにNOx還元性能を示す指標(「NOx還元指標」)を基に空燃比のリッチ化を増大、低減する補正を行う。そして、さらに、NOx吸収量のパラメータによる補正を加える。例えば、加速状態が頻繁に発生した運転状態の場合には、空燃比のリッチ化を増大するように補正する。
このように、選択還元触媒26のNOx還元性能による補正と、NOxトラップ触媒22のNOx吸収状態による補正との2種類の補正を施すようにしてよい。
このように、2種類の補正を施すことで、NOxパージの空燃比のリッチ化によるNOxの浄化を、燃費を悪化させることなくさらに効率よく行うことができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、
図3に示す排ガス浄化システム10Cのように、NOxトラップ触媒22と選択還元触媒26との間の排ガス通路18に還元剤供給部19と、還元剤供給部19から排ガス中へ供給される還元剤供給量を制御する還元剤供給制御部53と、を備えている。
そして、還元剤供給制御部53は、エンジン11の運転状態より、NH
3生成部50によって生成されるNH
3生成量の不足分を補うように還元剤供給制量を制御する。
以上の構成によって、NOxパージ時の空燃比のリッチ化によるNOxの浄化効率をさらに向上できる。