(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1の実施の形態では、電動ブレーキ装置が自動車の運転中に使用される常用ブレーキとしてのディスクブレーキに適用された場合について説明する。
図1に示すように、電動ブレーキ装置10は、ブレーキバイワイヤ方式であって、ブレーキペダル12と、ストローク量検出部14Aと、ECU14Bと、電動ブレーキ本体16とを含んで構成されている。
電動ブレーキ本体16は、被制動部材1602と、被制動部材1602の両側に配置された一対の制動部材1604A、1604Bと、押圧用ピストン1802と、押圧用シリンダ室18と、ペダル側シリンダ室20と、第1作動流体通路22と、第3電磁弁28と、第4電磁弁30とを含んで構成されている。
【0009】
ブレーキペダル12は、運転者によって踏み込み操作されるものであり、支軸1202により揺動可能に支持されたアーム1204と、アーム1204の下端に設けられたペダル部1206とを備えている。
ストローク量検出部14Aは、運転者により踏み込み操作されることによって変位するペダル部1206のストローク量を検出するものである。
ECU14Bは、ストローク量に基いて後述するモータ1614の駆動量を制御するものである。
【0010】
電動ブレーキ本体16は、左右輪のそれぞれに対応して設けられている。右側の電動ブレーキ本体16A、左側の電動ブレーキ本体16Bの構成は同一である。
電動ブレーキ本体16は、被制動部材を構成するディスクロータ1602と、制動部材を構成する一対のブレーキパッド1604A、1604Bと、キャリパ1606と、押圧機構1610とを備えている。
ディスクロータ1602は、不図示の車輪と共に回転するものであり、被制動部材を構成している。
押圧機構1610は、キャリパ1606で保持されたケース1612を備え、ケース1612には、モータ1614と、押圧用シリンダ室18と、押圧用ピストン1802と、歯車機構1616と、移動体1618とが設けられている。
歯車機構1616は、モータ1614の出力軸に取着された出力歯車1616Aと、出力歯車1616Aに噛合する第1歯車1616Bと、第1歯車1616Bと同軸上に設けられ一体的に回転する雄ねじ部1616Cとを備えている。
ケース1612の側面から円筒壁1620が突設されている。
【0011】
押圧用ピストン1802は、移動体1618と制動部材1604Aとの間に配置されている。押圧用ピストン1802は制動部材1604Aに取着されていてもよく、切り離されていても良い。
押圧用シリンダ室18は、ケース1612の側面と、円筒壁1620と、円筒壁1620の内側に摺動可能に配設された押圧用ピストン1802とにより構成されている。
押圧用シリンダ室18には作動流体が充填され、押圧用シリンダ室18には第1作動流体通路22が接続されている。
移動体1618は、押圧用シリンダ室18に収容されている。
【0012】
第5電磁弁32は、本実施の形態では、非通電時に押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34とを遮断し、通電時に押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34とを連通している。
なお、バッテリ36の正常時には第5電磁弁32への通電がなされ、バッテリ36の失陥時に第5電磁弁32への通電がなされない。
押圧用ピストン1802の軸方向の一方の端面は、移動体1618の端部に当接し、押圧用ピストン1802の軸方向の他方の端面は、後述する不図示のリターンスプリングにより制動部材1604Aに当接している。
雄ねじ部1616Cは、移動体1618の雌ねじに螺合されている。
したがって、押圧用シリンダ室18が第2作動流体通路33、第5電磁弁32を介してリザーバタンク34に接続された状態で、雄ねじ部1616Cの回転により移動体1618が移動し、移動体1618が押圧用ピストン1802を移動させることで、押圧用ピストン1802は一方のブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
【0013】
ここで、電源正常時の電動ブレーキ本体16の動作について説明する。
一対のブレーキパッド1604A、1604Bのうちの他方のブレーキパッド1604Bは、ディスクロータ1602を挟んで一方のブレーキパッド1604Aに対向するキャリパ1606の箇所に設けられている。
また、一対のブレーキパッド1604A、1604Bは、不図示のピストンシールによって、制動解除時に押圧用ピストン1802が戻されることでディスクロータ1602との間にクリアランスが生まれる。
モータ1614は、ECU14Bの制御によりバッテリ36から供給される電力に基いて回転駆動するものであり、電動アクチュエータを構成している。
モータ1614の正転により歯車機構1616、移動体1618を介して押圧用ピストン1802が移動されると、前記ピストンシールの付勢力に抗して、一対のブレーキパッド1604A、1604Bによりディスクロータ1602が挟持されることでディスクロータ1602が制動される。
また、モータ1614の逆転により歯車機構1616、移動体1618を介して押圧用ピストン1802が没入すると、前記ピストンシールの付勢力により、一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
すなわち、電源正常時においては、押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bによりディスクロータ1602が挟持されることでディスクロータ1602の制動がなされる。また、押圧機構1610を介して、一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除されることでディスクロータ1602の制動が解除される。
【0014】
ペダル側シリンダ室20は、電源失陥時に、ブレーキペダル12の踏み込み操作により作動流体の圧力が上昇するものであり、ペダル側シリンダ20Aに設けられている。
ペダル側シリンダ20Aは、シリンダ本体2002と、第1ピストン2004と、第2ピストン2006と、ピストンロッド2008と、第1スプリング2010と、第2スプリング2012と、バイパス路2014と、第1電磁弁24と、第2電磁弁26と、第3電磁弁28と、第4電磁弁30とを含んで構成されている。
【0015】
シリンダ本体2002は、前端面と後端面とを有している。
第1ピストン2004および第2ピストン2006は、シリンダ本体2002内に組み込まれている。
第1ピストン2004と前端面との間に第1シリンダ室2002Aが形成され、第1ピストン2004と第2ピストン2006との間に第2シリンダ室2002Bが形成され、第2ピストン2006と後端面との間に第3シリンダ室2002Cが形成されている。
第2シリンダ室2002Bと第3シリンダ室2002Cは、それぞれペダル側シリンダ室20を構成している。
【0016】
ピストンロッド2008は前端面を貫通し、その長手方向の一端が第1ピストン2004に連結され、長手方向の他端がブレーキペダル12に連結されている。したがって、ブレーキペダル12の踏み込み操作で第1ピストン2004は第2ピストン2006に向けて移動する。
第1スプリング2010は、第2シリンダ室2002Bに配置され、ブレーキペダル12の踏み込み操作で第1ピストン2004が第2ピストン2006に向けて移動した際に反力を発生させる。
第2スプリング2012は、第3シリンダ室2002Cに配置され、ブレーキペダル12の踏み込み操作で第2ピストン2006が後端面に向けて移動した際に反力を発生させる。
バイパス路2014は、第1シリンダ室2002Aと、第2シリンダ室2002Bおよび第3シリンダ室2002Cとを連通している。
なお、図中符号21は、バイパス路2014に連通し作動流体を貯留するリザーバタンクを示し、リザーバタンク21からバイパス路2014へ作動流体が供給され、あるいは、バイパス路2014からリザーバタンク21に作動流体が戻される。
【0017】
第1電磁弁24は、バイパス路2014のうち第1シリンダ室2002Aと第2シリンダ室2002Bとを連通する箇所に設けられ、第1シリンダ室2002Aに対して、第2シリンダ室2002Bを連通遮断する。
第2電磁弁26は、バイパス路2014のうち第1シリンダ室2002Aと第3シリンダ室2002Cとを連通する箇所に設けられ、第1シリンダ室2002Aに対して、第3シリンダ室2002Cを連通遮断する。
第1電磁弁24、第2電磁弁26は、本実施の形態では、通電時にバイパス路2014を開放し、非通電時にバイパス路2014を閉塞している。
なお、バッテリ36の正常時には第1電磁弁24、第2電磁弁26への通電がなされ、バッテリ36の失陥時に第1電磁弁24、第2電磁弁26への通電はなされない。
【0018】
図2(A)に示すように、第1電磁弁24、第2電磁弁26によりバイパス路2014が開放された状態でブレーキペダル12の踏み込み操作がなされると、第1ピストン2004および第2ピストン2006が後端面側に向かって移動し、第2シリンダ室2002Bおよび第3シリンダ室2002Cの作動流体がバイパス路2014を通って第1シリンダ室2002Aに流れる。
この際、第1スプリング2010、第2スプリング2012の付勢力と、作動流体がバイパス路2014を流れる際の流動抵抗とにより、ブレーキペダル12の操作に対する反力が発生する。
したがって、本実施の形態では、ペダル側シリンダ室20、バイパス路2014、第1電磁弁24、第2電磁弁26により、ブレーキペダル12の踏み込み操作による踏み込みストロークに応じた反力をブレーキペダル12に付与するストロークシミュレータが構成されている。
【0019】
第1作動流体通路22は、右第1作動流体通路22Aと左第1作動流体通路22Bとを備えている。
右第1作動流体通路22Aは、第2シリンダ室2002Bと、右側の電動ブレーキ本体16Aの押圧用シリンダ室18とを連通している。
左第1作動流体通路22Bは、第3シリンダ室2002Cと、左側の電動ブレーキ本体16Bの押圧用シリンダ室18とを連通している。
【0020】
第3電磁弁28は、右第1作動流体通路22Aに介設され、第2シリンダ室2002Bと、右側の電動ブレーキ16Aの押圧用シリンダ室18とを連通遮断する。
第4電磁弁30は、左第1作動流体通路22Bに介設され、第3シリンダ室2002Cと、左側の電動ブレーキ本体16Bの押圧用シリンダ室18とを連通遮断する。
第3電磁弁28、第4電磁弁30は、本実施の形態では、通電時に第1作動流体通路22を閉塞し、非通電時に第1作動流体通路22を開放している。
なお、バッテリ36の正常時には第3電磁弁28、第4電磁弁30への通電がなされ、バッテリ36の失陥時に第3電磁弁28、第4電磁弁30への通電がなされない。
【0021】
次に作用効果について説明する。
まず、電源正常時について説明する。
電源正常時、第3電磁弁28、第4電磁弁30は、通電状態であり、第3電磁弁28、第4電磁弁30により右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bは閉塞されている。
また、電源正常時、第5電磁弁32は、通電状態であり、第5電磁弁32により押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34とが連通され、押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34との間における作動流体の流通は許容されている。
図1、
図2(A)に示すように、ブレーキペダル12の踏み込み操作がなされると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を正転させる。
これにより、押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作が解除されると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を逆転させる。
これにより、押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
【0022】
また、バッテリ36の正常時、第1電磁弁24、第2電磁弁26は、通電状態であり、第1電磁弁24、第2電磁弁26によりバイパス路2014を開放している。
したがって、ブレーキペダル12が踏み込み操作されると、作動流体がバイパス路2014を介して第2シリンダ室2002Bおよび第3シリンダ室2002Cから第1シリンダ室2002Aに流れ、ブレーキペダル12に対して第1スプリング2010、第2スプリング2012、流動抵抗による反力が付与される。
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作が解除されると、ペダル側シリンダ20Aの第1ピストン2004、第2ピストン2006は、第1スプリング2010、第2スプリング2012の付勢力により初期位置に復帰し、その際、作動流体がバイパス路2014を介して第1シリンダ室2002Aから第2シリンダ室2002Bおよび第3シリンダ室2002Cに流れ初期状態に復帰する。
【0023】
また、電源正常時、押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34との間における作動流体の流通は許容されている。
したがって、モータ1614の作動により、移動体1618がディスクロータ1602側に移動し、移動体1618により押圧された押圧用ピストン1802がディスクロータ1602側に移動すると、リザーバタンク34内の作動流体が押圧用ピストン1802室内へ補充される。
また、モータ1614の作動により、移動体1618がディスクロータ1602側から離間する方向に移動し、押圧用ピストン1802がピストンシールの付勢力によりディスクロータ1602側から離間する方向に移動すると、押圧用ピストン1802室内の作動流体がリザーバタンク34内へ戻される。
したがって、押圧用シリンダ室18の作動流体は、押圧機構1610によるディスクロータ1602の制動に影響を与えない。
【0024】
次に、電源失陥時について説明する。
この場合、バッテリ36からの電力供給により動作するストローク量検出部14A、ECU14B、モータ1614は動作を停止した状態となり、電動ブレーキ装置10による制動が正常になされない状態となる。
電源失陥時、
図2(B)に示すように、第1電磁弁24、第2電磁弁26は、非通電状態となり、バイパス路2014を閉塞する。
また、電源失陥時、第3電磁弁28、第4電磁弁30は、非通電状態となり、第3電磁弁28、第4電磁弁30により右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bが開放される。
【0025】
したがって、第2シリンダ室2002Bと、右側の電動ブレーキ16Aの押圧用シリンダ室18との間での作動流体の流通が許容され、第3シリンダ室2002Cと、左側の電動ブレーキ本体16Bの押圧用シリンダ室18との間での作動流体の流通が許容されている。
また、電源失陥時、第5電磁弁32は非通電状態となり、第5電磁弁32により押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34との間における作動流体の流通が遮断される。
【0026】
したがって、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ20Aの第1ピストン2004、第2ピストン2006は、第1スプリング2010、第2スプリング2012の付勢力に抗して後端面に向かって移動する。
これにより、第2シリンダ室2002Bの作動流体が右第1作動流体通路22Aを介して右側の電動ブレーキ16Aの押圧用シリンダ室18に供給され、押圧用シリンダ室18の作動流体の圧力が上昇する。
これにより、押圧用ピストン1802が移動体1618から切り離されてディスクロータ1602側に移動し、押圧用ピストン1802はブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
同様に、第3シリンダ室2002Cの作動流体が左第1作動流体通路22Bを介して左側の電動ブレーキ本体16Bの押圧用シリンダ室18に供給され、押圧用ピストン1802はブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
【0027】
これにより、左右の電動ブレーキ本体16A、16Bのそれぞれにおいて、一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
すなわち、ブレーキペダル12のペダル踏力に応じた作動流体の圧力で電動ブレーキ装置10の制動部でブレーキがかけられ、以下の実施の形態でも同様である。
したがって、電源失陥時には、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ室20の作動流体の圧力を上昇させることで、第1作動流体通路22を介して押圧用シリンダ室18の作動流体の圧力を上昇させ、制動部材1604Aを被制動部材1602に押圧させることができる。
すなわち、電源失陥時においても電動ブレーキ装置10による制動機能が確保される。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、押圧用ピストン1802、押圧用シリンダ室18、ペダル側シリンダ室20、第1作動流体通路22を設けるといった簡単な構成により、電源失陥時における制動機能を確保する上で有利となる。
【0029】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について
図3、
図4(A)、(B)を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態は、1つの制動部材1604Aに対して移動体が2つ設けられ、2つの移動体と制動部材1604Aとの間にそれぞれ押圧用ピストンが設けられ、それら押圧用ピストンをそれぞれ収容する押圧用シリンダ室が設けられている点が第1の実施の形態と異なっており、他の部分は第1の実施の形態と同様に構成されているため、第1の実施の形態と異なる点について重点的に説明する。
【0030】
図3に示すように、電動ブレーキ装置10は、ブレーキペダル12と、ストローク量検出部14Aと、ECU14Bと、電動ブレーキ本体16とを含んで構成されている。
電動ブレーキ本体16は、被制動部材1602と、被制動部材1602の両側に配置された一対の制動部材1604A、1604Bと、押圧用ピストン1802A、1802Bと、押圧用シリンダ室18A、18Bと、ペダル側シリンダ室20と、第1作動流体通路22と、第3電磁弁28と、第4電磁弁30とを含んで構成されている。
【0031】
押圧機構1610は、キャリパ1606で保持されたケース1612を備え、ケース1612には、モータ1614と、2つの押圧用シリンダ室18A、18Bと、2つの押圧用ピストン1802A、1802Bと、歯車機構1616と、2つの移動体1618A、1618Bとが設けられている。
歯車機構1616は、モータ1614の出力軸に取着された出力歯車1616Aと、出力歯車1616Aに噛合する第1歯車1616Bと、第1歯車1616Bと同軸上に設けられ一体的に回転する第1雄ねじ部1616Cと、第1歯車1616Bに噛合する第2歯車1616Dと、第2歯車1616Dと同軸上に設けられ一体的に回転する第2雄ねじ部1616Eとを備えている。
ケース1612の側面から2つの円筒壁1620A、1620Bが突設されている。
【0032】
押圧用シリンダ室18は、第1押圧用シリンダ室18Aと第2押圧用シリンダ室18Bとを備えている。
第1押圧用シリンダ室18Aは、ケース1612の側面と、2つの円筒壁のうちの一方の円筒壁1620Aと、この円筒壁1620Aに摺動可能に配設された第1押圧用ピストン1802Aとに構成されている。
第2押圧用シリンダ室18Bは、ケース1612の側面と、2つの円筒壁1620A、1620Bのうちの他方の円筒壁1620Bと、この円筒壁1620Bに摺動可能に配設された第2押圧用ピストン1802Bとにより構成されている。
これら第1押圧用シリンダ室18Aと第2押圧用シリンダ室18Bとは連通路19により連通されている。
第1押圧用シリンダ室18Aおよび第2押圧用シリンダ室18Bには作動流体が充填され、第2押圧用シリンダ室18Bには第1作動流体通路22が接続されている。
【0033】
第1移動体1618Aは、第1押圧用シリンダ室18Aに収容されている。
第2移動体1618Bは、第2押圧用シリンダ室18Bに収容されている。
【0034】
第5電磁弁32は、本実施の形態では、非通電時に連通路19を介して第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34とを遮断し、通電時に第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34とを連通している。
なお、バッテリ36の正常時には第5電磁弁32への通電がなされ、バッテリ36の失陥時に第5電磁弁32への通電はなされない。
【0035】
第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bの軸方向の一方の端面は、第1移動体1618A、第2移動体1618Bの端部に当接し、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bの軸方向の他方の端面は、制動部材1604Aに当接している。
第1雄ねじ部1616C、第2雄ねじ部1616Eは、第1移動体1618A、第2移動体1618Bの雌ねじに螺合されている。
したがって、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bが連通路19および第2作動流体通路33、第5電磁弁32を介してリザーバタンク34に接続された状態で、第1雄ねじ部1616C、第2雄ねじ部1616Eの回転により第1移動体1618A、第2移動体1618Bが移動し、第1移動体1618A、第2移動体1618Bが第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bを移動させることで、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bは一方のブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
【0036】
ここで、電源正常時の電動ブレーキ本体16の動作について説明する。
第1の実施の形態と同様に、一対のブレーキパッド1604A、1604Bは、不図示のピストンシールによってディスクロータ1602から離間する方向に常時付勢されている。
モータ1614の正転により歯車機構1616、第1移動体1618Aおよび第2移動体1618Bを介して第1押圧用ピストン1802Aおよび第2押圧用ピストン1802Bが移動されると、前記ピストンシールの付勢力に抗して、一対のブレーキパッド1604A、1604Bによりディスクロータ1602が挟持されることでディスクロータ1602が制動される。
また、モータ1614の逆転により歯車機構1616、第1移動体1618Aおよび第2移動体1618Bを介して第1押圧用ピストン1802Aおよび第2押圧用ピストン1802Bが没入すると、前記ピストンシールの付勢力により、一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
すなわち、電源正常時においては、押圧機構1610を介してディスクロータ1602の制動と制動の解除がなされる。
【0037】
ペダル側シリンダ室20は、第1の実施の形態と同様に構成されており、電源正常時および失陥時における、第1電磁弁24、第2電磁弁26、第3電磁弁28、第4電磁弁30に対する通電、非通電の動作は第1の実施の形態と同様になされる。
【0038】
次に作用効果について説明する。
まず、電源正常時について説明する。
電源正常時、第3電磁弁28、第4電磁弁30は、通電状態であり、第3電磁弁28、第4電磁弁30により右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bは閉塞されている。
また、電源正常時、第5電磁弁32は、通電状態であり、第5電磁弁32により第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34とが連通され、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34との間における作動流体の流通は許容されている。
図3、
図4(A)に示すように、ブレーキペダル12の踏み込み操作がなされると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を正転させる。
これにより、第1押圧用ピストン1802Aおよび第2押圧用ピストン1802Bを含む押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作が解除されると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を逆転させる。
これにより、押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
なお、バッテリ36の正常時、ストロークシュミレータの動作については第1の実施の形態と同様である。
【0039】
また、電源正常時、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34との間における作動流体の流通は許容されている。
したがって、モータ1614の作動により、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bがディスクロータ1602側に移動し、第1移動体1618A、第2移動体1618Bにより押圧された第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bがディスクロータ1602側に移動すると、リザーバタンク34内の作動流体が第1押圧用シリンダ室18A内、第2押圧用シリンダ室18B内へ補充される。
また、モータ1614の作動により、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bがディスクロータ1602側から離間する方向に移動し、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bがピストンシールの付勢力によりディスクロータ1602側から離間する方向に移動すると、第1押圧用シリンダ室18A内、第2押圧用シリンダ室18B内の作動流体がリザーバタンク34内へ戻される。
したがって、第1押圧用シリンダ室18A内、第2押圧用シリンダ室18B内の作動流体は、押圧機構1610によるディスクロータ1602の制動に影響を与えない。
【0040】
次に、電源失陥時について説明する。
この場合、バッテリ36からの電力供給により動作するストローク量検出部14A、ECU14B、モータ1614は動作を停止した状態となり、電動ブレーキ装置10による制動が正常になされない状態となる。
電源失陥時、
図4(B)に示すように、第1電磁弁24、第2電磁弁26は、非通電状態となり、バイパス路2014を閉塞する。
また、電源失陥時、第3電磁弁28、第4電磁弁30は非通電状態となり、第3電磁弁28、第4電磁弁30により右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bが開放される。
【0041】
したがって、第2シリンダ室2002Bと、右側の電動ブレーキ16Aの第1押圧シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとの間での作動流体の流通が許容され、第3シリンダ室2002Cと、左側の電動ブレーキ本体16Bの第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとの間での作動流体の流通が許容されている。
また、電源失陥時、第5電磁弁32は非通電状態となり、第5電磁弁32により第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34との間における作動流体の流通が遮断される。
【0042】
したがって、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ20Aの第1ピストン2004、第2ピストン2006は、第1スプリング2010、第2スプリング2012の付勢力に抗して後端面に向かって移動する。
これにより、第2シリンダ室2002Bの作動流体が右第1作動流体通路22Aを介して右側の電動ブレーキ16Aの第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bに供給され、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bの作動流体の圧力が上昇する。
これにより、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bが第1移動体1618A、第2移動体1618Bから切り離されてディスクロータ1602側に移動し、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bはブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
同様に、第3シリンダ室2002Cの作動流体が左第1作動流体通路22Bを介して左側の電動ブレーキ本体16Bの第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bに供給され、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bはブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
【0043】
これにより、左右の電動ブレーキ本体16A、16Bのそれぞれにおいて、一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
したがって、電源失陥時には、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ室20の作動流体の圧力を上昇させることで、第1作動流体通路22を介して第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bの作動流体の圧力を上昇させ、制動部材1604A、1604Bを被制動部材1602に押圧させることができる。
すなわち、電源失陥時においても電動ブレーキ装置10による制動機能が確保される。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、ペダル側シリンダ室20、第1作動流体通路22、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802B、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bを設けるといった簡単な構成により、電源失陥時における制動機能を確保する上で有利となる。
【0045】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について
図5、
図6(A)、(B)を参照して説明する。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、制動部材1604Aに対して移動体が複数設けられ、複数の移動体のうちの少なくとも一つの移動体と制動部材1604Aとの間に押圧用ピストンが設けられると共に、押圧用ピストンを収容する押圧用シリンダ室が設けられ、複数の移動体のうちの残りの移動体は、ブレーキペダルの踏み込み操作に基いて電動アクチュエータが動作することにより移動して制動部材1604Aを被制動部材1602に押圧する点が第2の実施の形態と異なっており、その他の点は第2の実施の形態と同様である。
すなわち、第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、1つの制動部材1604Aに対して第1移動体1618Aと第2移動体1618Bとの2つの移動体が設けられている。
第1移動体1618Aの雌ねじと反対側に位置する端面は、制動部材1604Aに当接している。
第2移動体1618Bと制動部材1604Aとの間に、第2の実施の形態と同様に、押圧用ピストン1802が設けられ、押圧用ピストン1802を収容する押圧用シリンダ室18が設けられている。
押圧用ピストン1802の軸方向の一方の端面は、第2移動体1618Bの端部に当接し、押圧用ピストン1802の軸方向の他方の端面は、制動部材1604Aに当接している。
【0046】
ここで、電源正常時の電動ブレーキ本体16の動作について説明する。
第1の実施の形態と同様に、一対のブレーキパッド1604A、1604Bは、不図示のピストンシールの付勢力によって、制動解除時に押圧用ピストン1802が戻されることでディスクロータ1602との間にクリアランスが生まれる。
モータ1614の正転により歯車機構1616を介して第1移動体1618Aが移動されると共に、歯車機構1616および第2移動体1618Bを介して押圧用ピストン1802が移動されると、前記ピストンシールの付勢力に抗して、一対のブレーキパッド1604A、1604Bによりディスクロータ1602が挟持されることでディスクロータ1602が制動される。
また、モータ1614の逆転により歯車機構1616を介して第1移動体1618Aおよび第2移動体1618Bが没入すると、前記ピストンシールの付勢力により、一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
すなわち、電源正常時においては、押圧機構1610を介してディスクロータ1602の制動と制動の解除がなされる。
【0047】
ペダル側シリンダ室20は、第1の実施の形態と同様に構成されており、電源正常時および失陥時における、第1電磁弁24、第2電磁弁26、第3電磁弁28、第4電磁弁30に対する通電、非通電の動作は第1の実施の形態と同様になされる。
【0048】
次に作用効果について説明する。
まず、電源正常時について説明する。
電源正常時、第2の実施の形態と同様に、右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bは閉塞され、押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34との間における作動流体の流通は許容されている。
図5、
図6(A)に示すように、ブレーキペダル12の踏み込み操作がなされると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を正転させる。
これにより、第1移動体1618A、第2移動体1618B、押圧用ピストン1802を含む押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作が解除されると、押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
【0049】
なお、バッテリ36の正常時、ストロークシュミレータの動作については第1の実施の形態と同様である。
また、電源正常時、押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34との間における作動流体の流通状態は第2の実施の形態と同様であり、押圧用シリンダ室18内の作動流体は、押圧機構1610によるディスクロータ1602の制動に影響を与えない。
【0050】
次に、電源失陥時について説明する。
電源失陥時、
図6(B)に示すように、第2シリンダ室2002Bと、右側の電動ブレーキ16Aの押圧シリンダ室18との間における作動流体の流通状態、および、第3シリンダ室2002Cと、左側の電動ブレーキ本体16Bの押圧シリンダ室18との間における作動流体の流通状態は第2の実施の形態と同様である。
したがって、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、第2シリンダ室2002Bの作動流体が右第1作動流体通路22Aを介して右側の電動ブレーキ16Aの押圧用シリンダ室18に供給され、押圧用ピストン1802はブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
同様に、第3シリンダ室2002Cの作動流体が左第1作動流体通路22Bを介して左側の電動ブレーキ本体16Bの押圧用シリンダ室18に供給され、押圧用ピストン1802はブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
【0051】
これにより、左右の電動ブレーキ本体16A、16Bのそれぞれにおいて、一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
したがって、電源失陥時には、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ室20の作動流体の圧力を上昇させることで、第1作動流体通路22を介して押圧用シリンダ室18の作動流体の圧力を上昇させ、制動部材1604A、1604Bを被制動部材1602に押圧させることができる。
すなわち、電源失陥時においても電動ブレーキ装置10による制動機能が確保される。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様に、ペダル側シリンダ室20、第1作動流体通路22、押圧用ピストン1802、押圧用シリンダ室18を設けるといった簡単な構成により、電源失陥時における制動機能を確保する上で有利となる。
【0053】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について
図7、
図8、
図9を参照して説明する。
第4の実施の形態は、第2実施の形態の変形例であり、第1、第2移動体1618A、1618Bと、第1、第2押圧用ピストン1802A、1802Bと、第1、第2押圧用シリンダ室18A、18Bと、第2作動流体通路33と、第5電磁弁32とが、被制動部材1602の両側の制動部材1604A、1604Bにそれぞれ設けられている点が第2の実施の形態と異なっている。
【0054】
第4の実施の形態では、電源正常時において次のような動作がなされる。
電源正常時、第3電磁弁28、第4電磁弁30は、通電状態であり、第3電磁弁28、第4電磁弁30により右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bは閉塞されている。
また、電源正常時、第5電磁弁32は、通電状態であり、第5電磁弁32により、被制動部材1602の両側の第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34とが連通され、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34との間における作動流体の流通は許容されている。
図7、
図8に示すように、ブレーキペダル12の踏み込み操作がなされると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を正転させる。
これにより、被制動部材1602の両側の第1押圧用ピストン1802Aおよび第2押圧用ピストン1802Bを含む押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作が解除されると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を逆転させる。
これにより、押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
【0055】
第4の実施の形態では、電源失陥時において次のような動作がなされる。
この場合、バッテリ36からの電力供給により動作するストローク量検出部14A、ECU14B、モータ1614は動作を停止した状態となり、電動ブレーキ装置10による制動が正常になされない状態となる。
電源失陥時、
図9に示すように、第1電磁弁24、第2電磁弁26は、非通電状態となり、バイパス路2014を閉塞する。
また、電源失陥時、第3電磁弁28、第4電磁弁30は非通電状態となり、第3電磁弁28、第4電磁弁30により右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bが開放される。
【0056】
したがって、第2シリンダ室2002Bと、右側の電動ブレーキ本体16Aの被制動部材1602の両側の第1押圧シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとの間での作動流体の流通が許容され、第3シリンダ室2002Cと、左側の電動ブレーキ本体16Bの被制動部材1602の両側の第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとの間での作動流体の流通が許容されている。
また、電源失陥時、第5電磁弁32は非通電状態となり、第5電磁弁32により被制動部材1602の両側の第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bとリザーバタンク34との間における作動流体の流通が遮断される。
【0057】
したがって、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ20Aの第1ピストン2004、第2ピストン2006は、第1スプリング2010、第2スプリング2012の付勢力に抗して後端面に向かって移動する。
これにより、第2シリンダ室2002Bの作動流体が右第1作動流体通路22Aを介して右側の電動ブレーキ本体16Aの被制動部材1602の両側の第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bに供給され、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bの作動流体の圧力が上昇する。
これにより、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bが第1移動体1618A、第2移動体1618Bから切り離されてディスクロータ1602側に移動し、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bはブレーキパッド1604A、1604Bをディスクロータ1602に向けて押圧する。
同様に、第3シリンダ室2002Cの作動流体が左第1作動流体通路22Bを介して左側の電動ブレーキ本体16Bの被制動部材1602の両側の第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bに供給され、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802Bはブレーキパッド1604A、1604Bをディスクロータ1602に向けて押圧する。
【0058】
これにより、電動ブレーキ本体16A、16Bのそれぞれにおいて、一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
したがって、電源失陥時には、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ室20の作動流体の圧力を上昇させることで、第1作動流体通路22を介して被制動部材1602の両側の第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bの作動流体の圧力を上昇させ、制動部材1604A、1604Bを被制動部材1602に押圧させることができる。
すなわち、電源失陥時においても電動ブレーキ装置10による制動機能が確保される。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様に、ペダル側シリンダ室20、第1作動流体通路22、第1押圧用ピストン1802A、第2押圧用ピストン1802B、第1押圧用シリンダ室18A、第2押圧用シリンダ室18Bを設けるといった簡単な構成により、電源失陥時における制動機能を確保する上で有利となる。
【0060】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について
図10、
図11、
図12を参照して説明する。
第5の実施の形態は、第3実施の形態の変形例であり、第1、第2移動体1618A、1618Bと、押圧用ピストン1802と、押圧用シリンダ室18と、第2作動流体通路33と、第5電磁弁32とが、被制動部材1602の両側の制動部材1604A、1604Bにそれぞれ設けられている点が第3の実施の形態と異なっている。
【0061】
第5の実施の形態では、電源正常時において次のような動作がなされる。
電源正常時、第3の実施の形態と同様に、右第1作動流体通路22A、左第1作動流体通路22Bは閉塞され、押圧用シリンダ室18とリザーバタンク34との間における作動流体の流通は許容されている。
図10、
図11に示すように、ブレーキペダル12の踏み込み操作がなされると、ECU14Bはストローク量検出部14Aで検出されたペダル部1206のストローク量に基いてモータ1614を正転させる。
これにより、被制動部材1602の両側の第1移動体1618A、第2移動体1618B、押圧用ピストン1802を含む押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
また、ブレーキペダル12の踏み込み操作が解除されると、押圧機構1610を介して一対のブレーキパッド1604A、1604Bによるディスクロータ1602の挟持が解除され、ディスクロータ1602の制動が解除される。
【0062】
また、第5の実施の形態では、電源失陥時において次のような動作がなされる。
電源失陥時、
図12に示すように、第2シリンダ室2002Bと、右側の電動ブレーキ16Aの押圧シリンダ室18との間における作動流体の流通状態、および、第3シリンダ室2002Cと、左側の電動ブレーキ本体16Bの押圧シリンダ室18との間における作動流体の流通状態は第3の実施の形態と同様である。
したがって、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、第2シリンダ室2002Bの作動流体が右第1作動流体通路22Aを介して右側の電動ブレーキ16Aの被制動部材1602の両側の押圧用シリンダ室18に供給され、被制動部材1602の両側の押圧用ピストン1802はブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
同様に、第3シリンダ室2002Cの作動流体が左第1作動流体通路22Bを介して左側の電動ブレーキ本体16Bの被制動部材1602の両側の押圧用シリンダ室18に供給され、被制動部材1602の両側の押圧用ピストン1802はブレーキパッド1604Aをディスクロータ1602に向けて押圧する。
【0063】
これにより、左右の電動ブレーキ本体16A、16Bのそれぞれにおいて、一対のブレーキパッド1604A、1604Bがディスクロータ1602を挟持しディスクロータ1602を制動する。
したがって、電源失陥時には、ブレーキペダル12の踏み込み操作により、ペダル側シリンダ室20の作動流体の圧力を上昇させることで、第1作動流体通路22を介して被制動部材1602の両側の押圧用シリンダ室18の作動流体の圧力を上昇させ、制動部材1604A、1604Bを被制動部材1602に押圧させることができる。
すなわち、電源失陥時においても電動ブレーキ装置10による制動機能が確保される。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様に、ペダル側シリンダ室20、第1作動流体通路22、押圧用ピストン1802、押圧用シリンダ室18を設けるといった簡単な構成により、電源失陥時における制動機能を確保する上で有利となる。
【0065】
なお、実施の形態では、電動ブレーキ装置10が常用ブレーキであり、電動アクチュエータにより制動部材1604A、1604Bが被制動部材1602を押圧する電気機械式ブレーキ(EMB:Electro Mechanical Brake)である場合について説明した。
しかしながら、本発明は、電動アクチュエータにより制動部材が被制動部材1602に押圧される電動式パーキングブレーキ(EPB:Electric Parking Brake)、あるいは、電気機械式ブレーキと電動式パーキングブレーキとを兼用するブレーキなどにも広く適用可能である。