特許第6662019号(P6662019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662019
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】二重管式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/10 20060101AFI20200227BHJP
   F28D 7/04 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   F28D7/10 A
   F28D7/04
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-247035(P2015-247035)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-110878(P2017-110878A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】亀山 修司
(72)【発明者】
【氏名】釼菱 壮司
【審査官】 山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−189312(JP,A)
【文献】 特開2012−107824(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01724543(EP,A1)
【文献】 特開2005−147570(JP,A)
【文献】 特開2012−242054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と外管とで構成された二重管を連続曲げすることで一体形成された二重管式熱交換器であって、下段に配置される平面視渦巻き状の第1管部と、上段に配置される平面視渦巻き状の第2管部とを上下方向に積層した構造の二重管式熱交換器であって、
前記内管の内部に冷媒通路、内管と外管の間に温水通路が形成され、
前記第1管部のうちの最外周となる第1外周配管の端部において低温の冷媒が導出されると共に低温水が導入され、前記第2管部のうちの最外周となる第2外周配管の端部おいて高温の冷媒が導入されると共に高温水が導出され、
前記第2管部の巻き数は、前記第1管部の巻き数よりも少なく、かつ、前記第2管部の前記第2外周配管が前記第1管部の前記第1外周配管とその内周側の配管の間に対応する位置に配置されており、
前記第1外周配管と前記第2外周配管との間で熱交換が生じないように、前記第1外周配管と前記第2外周配管の間に隙間が設けられている
ことを特徴とする二重管式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重管式熱交換器に関し、特に螺旋状に巻回して上下方向に積層した二重管式熱交換器において、低温水が流れる配管と高温水が流れる配管との間での熱交換を防止して熱交換効率を向上させたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガス燃焼式熱源機、ヒートポンプ式熱源機、燃料電池発電装置等の熱源機で加熱した湯水を貯湯タンクに貯湯して所望の給湯先(給湯栓、浴槽、暖房端末等)に給湯する貯湯給湯装置、その他の種々の産業分野において高温の流体と低温の流体との間で熱交換させる為の種々の二重管式熱交換器が幅広く使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1の二重管式熱交換器は、二重管を螺旋状に且つ接触状に巻回した外側の第1伝熱管と、二重管を螺旋状に且つ接触状に巻回した第2伝熱管とで構成されている。第1伝熱管の管直径は第2伝熱管の管直径よりも大きく、螺旋状に巻回される第2伝熱管の曲げ半径は第1伝熱管の曲げ半径よりも小さく構成することで、第1伝熱管の内側の空間内に第2伝熱管を収納し、熱交換器全体の実装密度を向上させデッドスペースの削減を図っている。
【0004】
また、特許文献2の二重管式熱交換器においては、二重管を渦巻状に巻き回して形成された熱交換ユニットを上下方向に5層(但し上中下の3段)に積層し、下段2層の熱交換ユニットと中段2層の熱交換ユニットをヘッダで接続し、中段2層の熱交換ユニットと上段1層の熱交換ユニットをヘッダで接続している。上下に隣接する層の熱交換ユニットの間に金属製のパイプを挟着して層間に隙間を形成している。
【0005】
従来の一般的な二重管式熱交換器100について図7図8に基づいて説明する。
図7は二重管式熱交換器100の斜視図、図8図7のVIII−VIII線断面図である。 この二重管式熱交換器100は、平面視渦巻き状の下段の第1管部110と、平面視渦巻き状の上段の第2管部120とを上下に積層した構造である。
【0006】
第1管部110と第2管部120は、内管130と外管140とからなる二重管を渦巻き状に連続曲げすることで一体形成されている。この二重管において、内管130と外管140との間に外側流体通路140aが形成され、内管130の内部に内側流体通路130aが形成されている。
【0007】
低温の外側流体は配管100aにより導入部150に導入され、加熱されて導出部160から導出される。高温の内側流体は配管100cにより導出部160に導入され、放熱して配管100dにより導入部150から導出される。
【0008】
第1管部110は、外周配管110a,110b、中間配管110c,110d、内周配管110e,110fを有し、これらの配管110a〜110fは添字のアルファベッド順に繋がっている。第2管部120は、内周配管120a,120b、中間配管120c,120d、外周配管120e,120fを有し、これらの配管120a〜120fは添字のアルファベッド順に繋がっている。そして、下段の内周配管110fと上段の内周配管120aとが繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3922214号公報
【特許文献2】特許第4414196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の二重管式熱交換器では、第1,第2伝熱管において、二重管を螺旋状に且つ接触状に巻回しているため、上下に隣接する二重管の間で熱交換が生じる構造になっている。この二重管式熱交換器は、図7図8に示すような二重管式熱交換器とは二重管の巻き回し形態において全く異なるため、図7図8に示す二重管式熱交換器に適用できない。そして、上下に隣接する二重管を接触状に配置する場合には、低温水が流れる二重管と高温水が流れる二重管との間で熱交換が生じ、熱交換効率が低下する。
【0011】
また、特許文献2の二重管式熱交換器は、渦巻き状の二重管を3段以上に重ねることを前提としているため、小型の渦巻き状の二重管を2段に重ねる二重管式熱交換器には適用できない。また、熱交換ユニットの間に金属製パイプをロウ付けすることで、上下に隣接する熱交換ユニット間に隙間を形成しているが、金属製パイプがロウ付けされているので隣接する熱交換ユニット間での伝熱が生じるうえ、二重管式熱交換器の構造が複雑化し、部品数が多くなるという問題がある。
【0012】
図7図8に示す従来の二重管式熱交換器100においては、下段の外周配管110a,110bに約20℃の低温水が流れ、上段の外周配管120e,120fに約60℃の高温水が流れるが、外周配管110a,120eが接触しているため高温の外周配管120eから低温の外周配管110aへ熱伝達が生じ、外周配管110b,120fが接触しているため高温の外周配管120fから低温の外周配管110bへ熱伝達が生じる。そのため、低温水と高温水との間で熱交換が生じて熱交換効率が低下するという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、螺旋状に巻回して上下方向に積層した二重管式熱交換器であって、高温水が流れる配管と低温水が流れる配管との間での熱交換が生じないようにして熱交換効率を高めた二重管式熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の二重管式熱交換器は、内管と外管とで構成された二重管を連続曲げすることで一体形成された二重管式熱交換器であって、下段に配置される平面視渦巻き状の第1管部と、上段に配置される平面視渦巻き状の第2管部とを上下方向に積層した構造の二重管式熱交換器であって、前記内管の内部に冷媒通路、内管と外管の間に温水通路が形成され、 前記第1管部のうちの最外周となる第1外周配管の端部において低温の冷媒が導出されると共に低温水が導入され、前記第2管部のうちの最外周となる第2外周配管の端部おいて高温の冷媒が導入されると共に高温水が導出され、前記第2管部の巻き数は、前記第1管部の巻き数よりも少なく、かつ、前記第2管部の前記第2外周配管が前記第1管部の前記第1外周配管とその内周側の配管の間に対応する位置に配置されており、前記第1外周配管と前記第2外周配管との間で熱交換が生じないように、前記第1外周配管と前記第2外周配管の間に隙間が設けられている、ことを特徴とする二重管式熱交換器。
【0015】
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、二重管式熱交換器は、第1管部のうちの最外周となる第1外周配管と、第2管部のうちの最外周となる第2外周配管の間に隙間を設けたので、低温水が流れる第1外周配管と高温水が流れる第2外周配管の間で熱交換が生じなくなり、第1外周配管を流れる低温水と第2外周配管を流れる高温湯水との間での熱交換が生じなくなるから、二重管式熱交換器の熱交換効率を向上させることができる。
【0017】
しかも、高温の冷媒が第2外周配管の端部から導入されて低温冷媒が第1外周配管の端部から導出され、低温水が第1外周配管の端部から導入されて高温水が第2外周配管の端部から導出されるため、高温から低温に温度低下する冷媒と、低温から高温に温度上昇する水とが対向流となって高い熱交換効率を確保することができる。
そして、上段に配置される平面視渦巻き状の第2管部の巻き数は、下段に配置される平面視渦巻き状の第1管部の巻き数よりも少なく、第2外周配管を第1外周配管とその内周側の配管の間に対応する位置に配置するため、第1外周配管と第2外周配管との間に隙間を形成する上で有利になるうえ、二重管式熱交換器の厚さを小さくすることができる。二重管式熱交換器の熱交換効率が高まるため、第2管部の巻き数を第1管部の巻き数よりも少なくすることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例に係るヒートポンプ式熱源機の概略構成図である。
図2】二重管式熱交換器の斜視図である。
図3】二重管式熱交換器を構成する二重管の拡大断面図である。
図4図2のIV−IV線断面拡大図である。
図5】実施例の変更形態に係る図4相当図である。
図6】内管と外管の間を流れる水の温度変化を示すグラフである。
図7】従来の二重管式熱交換器の斜視図である。
図8図7のVIII−VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
先ず、本発明の二重管式熱交換器2が適用されたヒートポンプ式熱源機1の全体構成について簡単に説明する。
【0021】
図1に示すように、ヒートポンプ式熱源機1は、凝縮熱交換器としての二重管式熱交換器2、圧縮機3、高圧の冷媒を急膨張させて温度と圧力を下げる膨張弁4、外気熱吸収用の蒸発熱交換器5を有し、これら機器2〜5が冷媒配管6を介して接続されてヒートポンプ回路を構成し、冷媒配管6に封入された冷媒を利用して貯湯運転を行う。ヒートポンプ式熱源機1は、さらに蒸発熱交換器5用の送風ファン7を有し、これら機器2〜5とともに外装ケース20内に収納されている。
【0022】
次に、外装ケース20内に収納されている各種機器について簡単に説明する。
図1に示すように、圧縮機3は、気相状態の冷媒を断熱圧縮して温度上昇させる公知の密閉型圧縮機である。二重管式熱交換器2については後述する。
【0023】
膨張弁4は、液相状態の冷媒を断熱膨張させ温度低下させる。この膨張弁4は、絞り量が可変な制御弁からなる。蒸発熱交換器5は、冷媒配管6に含まれる蒸発器通路部5aを有し、この蒸発器通路部5aは伝熱管と複数のフィンとを有している。この蒸発熱交換器5において、送風ファン7によって取り込んだ外気熱と蒸発器通路部5aを流れる冷媒との間で熱交換される。
【0024】
冷媒配管6は、圧縮機3の吐出側と二重管式熱交換器2の入口側とを接続する冷媒通路6a、二重管式熱交換器2の出口側と膨張弁4の入口側とを接続する冷媒通路6b、膨張弁4の出口側と蒸発熱交換器5の入口側とを接続する冷媒通路(図示略)、蒸発熱交換器5の出口側と圧縮機3の導入側とを接続する冷媒通路(図示略)を備えている。
【0025】
送風ファン7は、送風モータ7aと、この送風モータ7aによって回転駆動される羽根部材7bとを有し、支持金具7cを介して底板24と横仕切り板26とに支持されている。
【0026】
外装ケース20は、薄鋼板製の箱状に形成され、左右1対の側板21,22と、前側板(図示略)と、後側板23と、天板(図示略)と、底板24とを備えている。外装ケース20の内部は、夫々が薄鋼板製の垂直な縦仕切り板25と水平な横仕切り板26とによって区画されている。右側板22には、配管接続部を覆う配管カバー22aが取り付けられている。
【0027】
次に、本発明の二重管式熱交換器2の構造について説明する。
図2図4に示すように、二重管式熱交換器2は、内管10と外管11とで構成された二重管9を連続曲げすることで一体形成され、下段に配置される平面視渦巻き状の第1管部12と、上段に配置される平面視渦巻き状の第2管部13とを上下方向に積層した構造で、全体として水平姿勢となるように配設されている。
【0028】
図3に示すように、内管10は、内層内管10aと、その外面にほぼ密着状に外嵌された漏洩検知管10bとで二重多葉管に形成されているが、以下この二重多葉管を内管10として説明する。内管10の断面は、周方向に山部10mと谷部10vとが繰り返す波形形状に形成されている。内管10の断面は4つの谷部10vと4つの山部10mとを有し、谷部10vは円弧的な形状であり、山部10mは円弧の両端部に湾曲部を付けた形状である。
【0029】
4つの谷部10vは、中心部の通路16bの回りに周方向に90°間隔に配置され、各谷部10vの先端近傍部は周方向に隣接する谷部10vと接触している。内管10は、山部10mと谷部10vとを接続する直線部10sを有している。外管11は、内管10に外接する内径の円筒状の素材管で構成され、内管10の山部10mの大部分は外管11の内面に面接触状に密着している。
【0030】
内管10の内部には、4つの断面三角形状の通路16aと、中心部の断面矩形状の通路16bとからなる冷媒通路16が形成され、内管10と外管11の間には、4つのほぼ扇形状の通路17aからなる温水通路17が形成されている。冷媒通路16を流れる冷媒と 温水通路17を流れる温水との間で熱交換可能に構成されている。
【0031】
内層内管10aと漏洩検知管10bと外管11は、例えば、リン脱酸銅製の円形断面の水道用銅管又はこれと同等品からなる所定の長さの素材管を用いて製作される。素材管の管壁の厚さは例えば0.4〜1.0mmで、二重管9の外径は例えば16〜20mmである。但し、これらの数値は例示でありこれらに限定されるものではない。
【0032】
図1に示すように、二重管式熱交換器2は、横仕切り板26の上面側に配置され、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレン等の樹脂を発泡成形した上下に2分割された保温材(図示略)で覆われている。
【0033】
図2に示すように、二重管式熱交換器2の一端部の導入部14には、低温の冷媒が導出される冷媒導出管6bと、低温水が導入される低温水導入管8aとが接続され、冷媒導出管6bは前記の冷媒通路16に接続されている。低温水導入管8aは前記の温水通路17に接続されている。二重管式熱交換器2の他端部の導出部15には、高温の冷媒が導入される冷媒導入管6aと、高温水が導出される高温水導出管8bとが接続され、冷媒導入管6aは前記の冷媒通路16に接続され、高温水導出管8bは前記の温水通路17に接続されている。
【0034】
冷媒導入管6aはヒートポンプ回路の圧縮機3の下流側に接続され、冷媒導出管6bは
ヒートポンプ回路の膨張弁4の上流側に接続されている。低温水導入管8aは低温側循環配管により貯湯槽の下部に接続され、高温水導出管8bは高温側循環配管により貯湯槽の頂部に接続されている。
【0035】
図4に示すように、二重管式熱交換器2の第1管部12は、外周配管12a,12bと中間配管12c,12dと内周配管12e,12fとを添字のアルファベッド順に接続して構成されている。第2管部13は、内周配管13a,13bと外周配管13c,13dとを添字のアルファベッド順に接続して構成されている。第1管部12と第2管部13の境界においては下段の内周配管12fと上段の内周配管13aとが接続されている。第1管部12と第2管部13は内管10と外管11とからなる二重管9を連続曲げすることで一体形成されている。
【0036】
第1管部12のうちの最外周となる第1外周配管12a,12bと、第2管部13のうちの最外周となる第2外周配管13c,13dとの間で熱交換が生じないように、第1外周配管12a,12bと第2外周配管13c,13dの間に隙間14a,14bが設けられている。
【0037】
第2管部13の巻き数(例えば2重巻き)は、第1管部12の巻き数(例えば3重巻き)よりも少なく、且つ、第2管部13の第2外周配管13c,13dが、第1管部12の第1外周配管12a,12bとその内周側の下段中間配管12c,12dの間に対応する位置に配置されている。
【0038】
即ち、第2外周配管13cが、第1外周配管12aとその内側の中間配管12cの間の
谷状部の上側近傍位置に配置されて、第2外周配管13cと第1外周配管12aの間に隙間14aが形成されると共に、第2外周配管13cと中間配管12cの間に隙間14cが形成されている。同様に、第2外周配管13dが、第1外周配管12bとその内側の中間配管12dの間の谷状部の上側近傍位置に配置されて、第2外周配管13dと第1外周配管12bの間に隙間14bが形成されると共に、第2外周配管13dと中間配管12dの間に隙間14dが形成されている。
【0039】
次に、前記の隙間14a〜14dを一定の大きさに設定する構造について説明する。
二重管9を連続曲げして二重管式熱交換器2を製作する際に、二重管9を長円形の螺旋状に曲げ加工してから、プレス加工にて圧縮成形することで図2に示すような偏平な構造にする。そのため、二重管9の弱い弾性復原力により前記隙間14a〜14dが拡大する方向へ復原する傾向がある。
【0040】
そこで、図2図4に示すように、片側の5本の配管12a,12c,12e,13a,13cのストレート部の両端寄りの2ケ所において、例えばPP等の合成樹脂製のバンド15a(結束手段)で束ねることで、前記隙間14a,14cを2〜3mm程度の所定の隙間に設定している。また、他方の側の5本の配管12b,12d,12f,13b,13dのストレート部材の両端寄りの2ケ所において、例えばPP等の合成樹脂製のバンド15b(結束手段)で束ねることで、前記隙間14b,14dを2〜3mm程度の所定の隙間に設定している。
【0041】
次に、二重管式熱交換器2の温水通路17内を流れる湯水の流通経路及び湯水の温度変化について説明する。図6に示すグラフは、温水通路17内を流れる湯水が、第1管部12の配管12a〜12f、第2管部13の配管13a〜13dを順に流通するに従い、内管10内の冷媒通路16を対向流で流れる高温冷媒と熱交換されて約20℃から約60℃に温度が上昇していく状態を示している。
【0042】
この二重管式熱交換器2においては、第1外周配管12aの端部に設けられた導入部14から入水した約20℃の低温水が、内管10内の冷媒通路16を対向流で流れる高温冷媒と熱交換されて第2外周配管13dの端部に設けられた導出部15から約60℃の高温の湯水となって導出される。
【0043】
次に、本発明の二重管式熱交換器2の作用、効果について説明する。
二重管式熱交換器2は、第1管部12のうちの最外周となる第1外周配管12a,12bと、第2管部13のうちの最外周となる第2外周配管13c,13dの間に隙間14a,14bを設けたので、第1外周配管12a,12bを流れる低温水と第2外周配管13c,13dを流れる高温湯水との間での熱交換が生じなくなり、熱交換効率を向上させることができる。
【0044】
即ち、第1外周配管12a,12bの温水通路17には約20℃の低温水が流通しているのに対し、第2外周配管13c,13dの温水通路17には、内管10内の冷媒通路16を対向流で流れる高温冷媒と熱交換された約60℃の高温水が流通している。
このため、第1外周配管12a,12bと第2外周配管13c,13dが接触した状態であれば、低温水と高温水との間で熱交換が生じ、熱交換効率が低下することに鑑み、第1外周配管12a,12bと第2外周配管13c,13dの間に隙間14a,14bを設けて熱交換効率が低下するのを防止している。
【0045】
また、第2管部13の巻き数は2重巻きであり、第1管部の巻き数である3重巻きよりも少ないため、第2外周配管13c,13dを第1外周配管12a,12bとその内周側の中間配管12c,12dの間に対応する位置に配置することができるため、前記の隙間14a,14bに加えて、前記の隙間14c,14dも形成できるため、熱交換効率を一層向上させることができる。その結果、第2管部13の巻き数を減らすことが可能になり、二重管9の使用量を削減でき、製作コストを低減することができる。
【0046】
次に、前記実施例を部分的に変更した例について説明する。
[1]実施例の上段の内周配管13a,13bは、下段の内周配管12e,12fの真上に位置するように配置して構成されているが、特にこの形状に限定する必要はなく、図5に示すように、上段の内周配管13aを下段の内周配管12eの真上よりも内周側へ寄せた位置に配置して、配管13a,12e間に隙間14eを形成し、また、上段の内周配管13bを下段の中間配管12dと内周配管12fの間の谷状部の上側近傍位置に配置して、
配管13b,12fの間及び配管13b,12dの間に隙間14f,14gを形成する。
【0047】
片側の配管12a,12c,12e,13a,13cをバンド15cで束ねることで、隣接する配管間の隙間14a,14c,14eが2〜3mm程度の所定の隙間に設定されている。また、他方の側の配管12b,12d,12f,13b,13dをバンド15dで束ねることで、隣接する配管間の隙間14b,14d,14f,14gが2〜3mm程度の所定の隙間に設定されている。
【0048】
[2]実施例の内管10は多葉管形状で構成されているが、特にこの形状に限定する必要はなく、種々の形状の内管を採用可能である。例えば、断面円形の内管も採用可能である。
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0049】
2 二重管式熱交換器
9 二重管
10 内管
11 外管
12 第1管部
12a,12b 第1外周配管
13 第2管部
13c,13d 第2外周配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8