特許第6662029号(P6662029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6662029-エアサスペンション用ドライヤ 図000002
  • 特許6662029-エアサスペンション用ドライヤ 図000003
  • 特許6662029-エアサスペンション用ドライヤ 図000004
  • 特許6662029-エアサスペンション用ドライヤ 図000005
  • 特許6662029-エアサスペンション用ドライヤ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662029
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】エアサスペンション用ドライヤ
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20200227BHJP
   B60G 17/052 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   B01D53/26 230
   B60G17/052
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-250288(P2015-250288)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-113685(P2017-113685A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084124
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 一眞
(72)【発明者】
【氏名】牧田 洋平
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−089526(JP,A)
【文献】 実開平01−139819(JP,U)
【文献】 実開昭63−130126(JP,U)
【文献】 特開2010−162450(JP,A)
【文献】 特開2002−119824(JP,A)
【文献】 特開平01−266834(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/060882(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0036912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26−28
B60G 17/04−56
F04B 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジングの軸方向の両端に流入口と流出口を有し、前記ハウジングの軸方向が車両の水平方向で前記流入口が前記ハウジングの車両下方側となるように配置し、前記流入口から導入した流体を乾燥剤を介して乾燥させ、前記流出口から乾燥空気を吐出して車両のエアサスペンションに供給する車両のエアサスペンション用ドライヤにおいて、
前記ハウジングは前記流入口側の底面に位置決め部を有し、
前記ハウジング内に収容され前記位置決め部に底部が当接するように配置される有底筒体形状、前記底部の前記流入口側に形成され車両下方側を遮蔽する遮蔽部を有すると共に、該遮蔽部に対し車両上方側の前記底部に複数の連通孔を有するケースであって、前記底部の前記流入口側に形成され前記ケースの軸に直交且つ前記車両の水平方向に延在する少なくとも一つの壁部を有し、該壁部を介して両側に前記遮蔽部を有するケースと、
該ケースの外周面と前記ハウジングの内周面との間に介装される環状シール部材と、
前記ケース内の軸方向両端部に配置される一対のフィルタと、
該一対のフィルタ間に収容される乾燥剤と、
複数の連通孔を有するプレートであって、前記一対のフィルタのうち前記ケースの開口端側に配置されるフィルタに当接するように配置されるプレートと、
該プレートと前記ハウジングの軸方向端部との間に介装される付勢部材とを備えたことを特徴とする車両のエアサスペンション用ドライヤ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記遮蔽部に対向する内面に、前記ハウジングの軸に直交且つ前記車両の水平方向に延在し、前記ケースの壁部との間に間隙を以って並設される少なくとも一つの壁部を有することを特徴とする請求項記載の車両のエアサスペンション用ドライヤ。
【請求項3】
前記ケースの複数の連通孔が、前記ケースの車両上方側から車両下方側に向かって孔径が漸増するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両のエアサスペンション用ドライヤ。
【請求項4】
前記ケースの複数の連通孔が、前記ケースの車両下方側に向かって傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両のエアサスペンション用ドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアサスペンション用ドライヤに関し、特に、ハウジング内に導入した流体を乾燥剤を介して乾燥させ、乾燥空気を車両のエアサスペンションに供給するエアサスペンション用ドライヤに係る。
【背景技術】
【0002】
エアサスペンション用ドライヤとして、例えば下記の特許文献1には「外部のコンプレッサにより圧縮された圧縮空気を乾燥させてから外部のエア制御システム側に送り込むためのエアドライヤ」に関し、従来は「略円筒状のハウジングにおいて軸方向両端面中央部の一方に、外部のコンプレッサに接続されたコンプレッサ側ポートを有し、他方に外部のエア制御システム側に接続されたシステム側ポートを有し、ハウジング内部には乾燥剤が充填されている。」と説明され、更に「充填されている乾燥剤は、コンプレッサ側からエア制御システム側へ向けてハウジング内を通過する空気を除湿する機能を有するものであり、その際に、乾燥剤内部には除湿された空気中の水分が吸着される。この水分の吸着量が増加すると、乾燥剤の除湿機能が徐々に低下する傾向にあるので、エアドライヤを継続的に使用する際には、適宜、外部エア制御システム内に充填されている除湿済の空気を外部エア制御システム側からエアドライヤを介してコンプレッサ側に戻すことにより、乾燥剤中に吸着した水分を乾燥空気に戻し、乾燥剤内の水分の吸着量を減少させ乾燥剤を再生させることにより、エアドライヤの除湿機能の回復を図っている。」と説明されている。そして、特許文献1では「横置きにして車両等へ配置した場合であっても、ハウジング内に結露した水分の排出性を確保可能なエアドライヤ」が提案されている。
【0003】
また、下記の特許文献2には「筒状のハウジングの軸方向の両端に流入口と流出口を有し、前記ハウジング内に収容した一対のフィルタ間に乾燥剤を挟持して成り、前記流入口から導入した流体を前記乾燥剤を介して乾燥させ、前記流出口から乾燥空気を吐出して車両のエアサスペンションに供給する車両のエアサスペンション用ドライヤにおいて、前記流入口側のフィルタと前記流入口との間に介装し、前記流入口側のフィルタを支持すると共に前記流入口側のフィルタを介して前記乾燥剤内に前記流体を案内する案内部材であって、前記流入口の開口面積以上の開口を有し、前記流入口から前記流入口側のフィルタに案内する流路を形成するように前記流入口を含み、内面を遮蔽面とする遮蔽筒部と、該遮蔽筒部の開口部から径方向外側に延出し複数の連通孔を形成した環状プレート部を有する案内部材を備え、前記流体を前記流入口から前記案内部材の前記遮蔽筒部内に導入し、前記流路を介して前記環状プレート部の連通孔に案内するように構成した」エアサスペンション用ドライヤが提案されている。
【0004】
上記特許文献1に記載のドライヤは車両に搭載するためには大きなスペースが必要であったことに鑑み、特許文献2においては、ハウジング内に導入する流体を効率的に乾燥させて、車両のエアサスペンションに乾燥空気を供給する安価で小型のエアサスペンション用ドライヤを提供することを目的としたものであるが、特許文献1に記載の「横置きにして車両等へ配置」するドライヤとして用いる場合には、別途対策を講ずる必要があり、安価で小型に形成するには、設計当初から横置型とすることが望ましい。この点に鑑み、下記の特許文献3には「所謂横置型としたときにもハウジング内に導入する流体を効率的に乾燥させ得る安価で小型のエアサスペンション用ドライヤを提供する」ことを目的として、「筒状のハウジングの軸方向の両端に流入口と流出口を有し、前記ハウジング内に収容した一対のフィルタ間に乾燥剤を挟持して成り、前記ハウジングの軸方向が車両の水平方向となるように配置し、前記流入口から導入した流体を前記乾燥剤を介して乾燥させ、前記流出口から乾燥空気を吐出して車両のエアサスペンションに供給する車両のエアサスペンション用ドライヤにおいて、前記流入口が前記ハウジングの車両下方側に設けられており、前記流入口を含み車両下方側の端面を遮蔽する遮蔽筒部、及び車両上方側の端面が開口する開口部を有する案内部材と、該案内部材と前記流入口側のフィルタとの間に介装され、前記流入口側のフィルタを支持すると共に前記流入口側のフィルタを介して前記乾燥剤内に前記流体を導入するプレートであって、車両上方側から車両下方側に向かって開口面積が漸増する開口部が形成されたプレートとを備える」ドライヤが提案されている(特許文献3の段落〔0006〕及び〔0007〕及に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−119824号公報
【特許文献2】特開2012−16669号公報
【特許文献3】特開2015−89526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然し乍ら、上記特許文献3に記載のドライヤにおいては、ハウジング内に上記のプレートを装着する際、ハウジング内の所定の位置に配置することが必須であるが、ハウジング内へのプレート等の組付けは必ずしも容易ではなかった。仮にハウジング内で上記のプレートが傾いた状態で組付けられると、ハウジング内で結露した水等が乾燥剤内に流入するおそれがあるので、これを回避するため組付性の改良が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、横置型のエアサスペンション用ドライヤにおいて、組付けが容易で、ハウジング内に導入する流体を効率的且つ確実に乾燥させ得るドライヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明は、筒状のハウジングの軸方向の両端に流入口と流出口を有し、前記ハウジングの軸方向が車両の水平方向で前記流入口が前記ハウジングの車両下方側となるように配置し、前記流入口から導入した流体を乾燥剤を介して乾燥させ、前記流出口から乾燥空気を吐出して車両のエアサスペンションに供給する車両のエアサスペンション用ドライヤにおいて、前記ハウジングは前記流入口側の底面に位置決め部を有し、前記ハウジング内に収容され前記位置決め部に底部が当接するように配置される有底筒体形状、前記底部の前記流入口側に形成され車両下方側を遮蔽する遮蔽部を有すると共に、該遮蔽部に対し車両上方側の前記底部に複数の連通孔を有するケースであって、前記底部の前記流入口側に形成され前記ケースの軸に直交且つ前記車両の水平方向に延在する少なくとも一つの壁部を有し、該壁部を介して両側に前記遮蔽部を有するケースと、該ケースの外周面と前記ハウジングの内周面との間に介装される環状シール部材と、前記ケース内の軸方向両端部に配置される一対のフィルタと、該一対のフィルタ間に収容される乾燥剤と、複数の連通孔を有するプレートであって、前記一対のフィルタのうち前記ケースの開口端側に配置されるフィルタに当接するように配置されるプレートと、該プレートと前記ハウジングの軸方向端部との間に介装される付勢部材とを備えることとしたものである。
【0010】
更に、前記ハウジングは、前記遮蔽部に対向する内面に、前記ハウジングの軸に直交且つ前記車両の水平方向に延在し、前記ケースの壁部との間に間隙を以って並設される少なくとも一つの壁部を有するものとしてもよい。
【0011】
上記のエアサスペンション用ドライヤにおいて、前記ケースの複数の連通孔は、前記ケースの車両上方側から車両下方側に向かって孔径が漸増するように形成されているものとするとよい。あるいは、前記ケースの複数の連通孔は、前記ケースの車両下方側に向かって傾斜するように形成されているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、ハウジングは流入口側の底面に位置決め部を有し、ハウジング内に収容され位置決め部に底部が当接するように配置される有底筒体形状、底部の流入口側に形成され車両下方側を遮蔽する遮蔽部を有すると共に、該遮蔽部に対し車両上方側の底部に複数の連通孔を有するケースであって、底部の流入口側に形成されケースの軸に直交且つ車両の水平方向に延在する少なくとも一つの壁部を有し、該壁部を介して両側に遮蔽部を有するケースと、該ケースの外周面とハウジングの内周面との間に介装される環状シール部材と、ケース内の軸方向両端部に配置される一対のフィルタと、該一対のフィルタ間に収容される乾燥剤と、複数の連通孔を有するプレートであって、一対のフィルタのうちケースの開口端側に配置されるフィルタに当接するように配置されるプレートと、該プレートとハウジングの軸方向端部との間に介装される付勢部材とを備えたものであり、流入口から流入する流体はケース内の乾燥剤によって効率的に乾燥され、乾燥空気となって流出口から吐出される。また、ハウジング内で分離された水分は乾燥剤に接触することなく車両下方側の流入口から排出されるので、乾燥剤を有効に機能させることができる。また、環状シール部材によって、分離された水分の侵入を防止するとともに、流出口から乾燥空気を導入して乾燥剤を再生させる際の漏れをなくし、確実に再生作動を行うことができる。しかも、ケース内に乾燥剤等を収容しケースの外周面に環状シール部材を装着した状態で、ハウジング内に収容して所定の位置に配置することができるので、良好な組み付性を確保し、所期の性能を維持することができる。
【0014】
更に、ハウジングを、遮蔽部に対向する内面に、ハウジングの軸に直交且つ車両の水平方向に延在し、ケースの壁部との間に間隙を以って並設される少なくとも一つの壁部を有するものとすれば、壁部間に屈曲流路が形成され、ラビリンス構造となるので、流体の水分を一層確実に分離することができる。
【0015】
そして、上記ケースの複数の連通孔を、ケースの車両上方側から車両下方側に向かって孔径が漸増するように形成すれば、車両上方側の流路抵抗より車両下方側の流路抵抗が小さく、車両下方側に向かって流路抵抗が漸減する状態となるので、乾燥剤に対し流体を均等に導入することができる。あるいは、上記ケースの複数の連通孔を、ケースの車両下方側に向かって傾斜するように形成すれば、乾燥剤に対し流体を均等に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るエアサスペンション用ドライヤの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に供するケースの斜視図である。
図3】本発明の他の実施形態に係るエアサスペンション用ドライヤの断面図である。
図4】本発明の他の実施形態に供するケースの斜視図である。
図5】本発明の各実施形態に係るドライヤが装着されるエアサスペンション装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るエアサスペンション用ドライヤ(以下、単にドライヤという)の全体構成を示すもので、軸方向の両端に流入口11と流出口12を有する筒状のハウジング10内に、有底筒体形状のケース40が収容され、その底部が流入口11側となるように配置されている。ケース40は、流入口11側の底部に形成され車両下方側を遮蔽する遮蔽部41を有すると共に、遮蔽部41に対し車両上方側の底部42に複数の連通孔(代表して43で表す)を有し、ケース40内の軸方向両端部にはフィルタ21及び22が配置され、これらのフィルタ21及び22の間に乾燥剤30が収容されている。ケース40の外周面とハウジング10の内周面との間には、環状シール部材60が介装され、ケース40の開口端側に配置されるフィルタ22(及び、後述するプレート50)とハウジング10の軸方向端部との間には、付勢部材たる圧縮スプリング15が介装され、乾燥剤30が軸方向(水平方向)に付勢されている。
【0018】
本実施形態のドライヤは、図1に示すように、ハウジング10の筒体軸が水平方向(図1の左右方向)となるように配置されるものであり、流入口11はハウジング10の車両下方側に設けられている。従って、ハウジング10の車両下方側面に沿って流体を案内する流路14が形成されている。ハウジング10は合成樹脂製の有底円筒体で、その開口端部に蓋部13が環状シール部材16を介して装着されており、流出口12は蓋部13に形成されている。乾燥剤30は例えば粒体のシリカゲルで構成され、フィルタ21及び22の間に挟持されるように収容されており、フィルタ21及び22は不織布で円板状に形成されている。そして、フィルタ22とスプリング15との間には、従前の支持プレートと同様、複数の連通孔52が均等に形成されたプレート50が介装されているが、フィルタ22自体で必要な剛性を確保すればプレート50を省略することができる。
【0019】
ケース40は、流入口11を含み車両下方側の底面を遮蔽する遮蔽部41を有し、車両上方側の底部42に複数の連通孔43が形成されている。遮蔽部41は、図2に示すように、ケース40の底部から開口端側に向かって形成される凹部であり、正面視半円形状の遮蔽面を構成している。また、複数の連通孔43は、ケース40の車両上方側から車両下方側に向かって孔径が漸増するように形成されている。尚、複数の連通孔43を、ケース40の車両下方側に向かって傾斜するように形成することとしてもよく、車両上方側から車両下方側に向かって開口面積が漸増する複数の横スリット(図示せず)としてもよい。更に、ケース40の外周面には環状シール部材60を収容するための環状溝部40pが形成されている。一方、ハウジング10の底面には位置決め部17が一体的に形成されており、ケース40の底部42が位置決め部17に当接するように配置される。
【0020】
上記の構成になるドライヤの組付けに際しては、先ず、ケース40内にフィルタ21及び22、乾燥剤30並びにプレート50が収容され、環状溝部40pに環状シール部材60が装着された状態で、ハウジング10内に収容される。そして、ハウジング10内に圧縮スプリング15が収容され、蓋部13が装着されると、圧縮スプリング15の付勢力によって、底部42が位置決め部17に当接した状態でケース40が保持されると共に、乾燥剤30は粒体間の流路を確保した状態でフィルタ21及び22間に保持される。
【0021】
而して、図1に示すように、ハウジング10内の所定位置にケース40が配置された状態となり、流入口11から流入する流体(水分を含んだ圧縮空気)は流路14、ケース40の連通孔43及びフィルタ21を介して乾燥剤30内に均等に導入され、この乾燥剤30によって適切に乾燥された空気がフィルタ22(及びプレート50)を介して流出口12から吐出されるように構成されるので、良好な組み付性を確保し得ると共に、以下に説明するように、ドライヤとしての所期の性能を維持することができる。
【0022】
即ち、上記の構成になるドライヤにおいては、流体(水分を含んだ圧縮空気)は、流入口11からハウジング10(流路14)内に導入され、遮蔽部41の遮蔽面に慣性衝突して当該流体内の水分が分離される。尚、図示は省略するが、ここで分離された水分は流入口11の下方で捕集され適宜排出される。更に、流体(水分が分離された湿った空気)は複数の連通孔43及びフィルタ21を介して乾燥剤30の充填空間に導入される。この場合において、複数の連通孔43を前述のように、車両上方側から車両下方側に向かって孔径が漸増するように形成すれば、車両上方側の流路抵抗より車両下方側の流路抵抗が小さく、車両下方側に向かって流路抵抗が漸減する状態となるので、乾燥剤30に対し流体(水分が分離された湿った空気)が均等に導入される。而して、乾燥剤30によって効率的に乾燥され、乾燥空気となって流出口12から吐出される。また、上記のドライヤに対し流出口12から乾燥空気が導入されると乾燥剤30が再生されるので、乾燥剤30を交換することなく連続して使用することができる。
【0023】
特に、上記の乾燥剤30による乾燥及び再生に際し、ケース40の外周面とハウジング10の内周面との間には環状シール部材60が介装されているので、ケース40で分離された水分が乾燥剤30に接触することを防止し、乾燥剤30を有効に機能させることができると共に、乾燥剤30を再生させる際の漏れをなくし、効率的な再生作動を確保することができる。
【0024】
図3及び図4は上記ケース40の他の態様を示すもので、ケース80は、底部の流入口側に形成されケース80の軸に直交且つ車両の水平方向に延在する少なくとも一つ(本実施形態では二つ)の壁部82、82を有し、一方の壁部82の両側に遮蔽部81、81が形成されている。一方、ハウジング10には、遮蔽部81、81に対向する内面に、ハウジング10の軸に直交且つ車両の水平方向に延在する少なくとも一つ(本実施形態では二つ)の壁部18、18が、ケース80の壁部82、82との間に間隙を以って並設されている。これにより、壁部18、18と壁部82、82との間に屈曲流路が形成され、ラビリンス構造となるので気液分離が促進され、流体内の水分が適切に分離される。尚、ケース80の外周面には環状シール部材60を収容するための環状溝部80pが形成されている。その他の構成は前述の実施形態と同様であるので、実質的に同一の部材については同一の符合を付して説明は省略する。
【0025】
而して、流入口11からハウジング10内に導入される流体(水分を含んだ圧縮空気)は、遮蔽部81、81の遮蔽面に慣性衝突して当該流体内の水分が分離され、ここで分離された水分は流入口11の下方で捕集され適宜排出される。そして、流体(水分が分離された湿った空気)は複数の連通孔83及びフィルタ21を介して乾燥剤30の充填空間に導入され、乾燥剤30によって効率的に乾燥され、乾燥空気となって流出口12から吐出される。また、流出口12から乾燥空気が導入されると乾燥剤30が再生されるので、乾燥剤30を交換することなく連続して使用することができる。しかも、ケース80の外周面とハウジング10の内周面との間には環状シール部材60が介装されているので、前述の実施形態と同様、乾燥剤30を有効に機能させることができると共に、効率的な再生作動を確保することができる。
【0026】
上記の各実施形態に係るドライヤ(代表してDで表す)は、例えば図5に示すエアサスペンション装置において、エアサスペンション用の空気ばね手段ASに対し加圧空気を供給する空気供給源PSの一部を構成し、バッテリBTに接続されたモータMによってコンプレッサCが駆動されると、ドライヤD及び逆止弁Gを介して、乾燥した加圧(圧縮)空気が制御弁VAを介して空気ばね手段ASの空気室ARに供給される。また、コンプレッサCの非駆動時に、常閉の排気弁VE及び制御弁VAが開位置とされると、オリフィスO及びドライヤDを介して空気が排出されるように構成されており、この空気の排出時にドライヤDが再生される。尚、オリフィスO及びチェックバルブGはドライヤD内に収容もしくは一体的に形成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
10 ハウジング
11 流入口
12 流出口
13 蓋部
14 流路
15 圧縮スプリング(付勢部材)
18 壁部
21、22 フィルタ
30 乾燥剤
40、80 ケース
41、81 遮蔽部
43、83 連通孔
16、60 環状シール部材
図1
図2
図3
図4
図5