(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662078
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】分散電源設備の出力抑制制御装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/24 20060101AFI20200227BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20200227BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20200227BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
H02J3/24
H02J3/00 130
H02J3/38 110
H02J13/00 311R
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-26558(P2016-26558)
(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公開番号】特開2017-147804(P2017-147804A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100516
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 惠
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 聡
【審査官】
坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−060921(JP,A)
【文献】
特開2014−030315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
G16Z99/00
H02J 3/00− 5/00
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の周波数調整が必要となったときに前記電力系統に接続された分散電源設備に出力抑制指令を出力する電力サーバと、
前記電力系統の電力需要を監視する電力需要監視部と、
前記電力需要監視部で得られた電力需要の変化率から前記電力サーバから出力された出力抑制指令を検出する出力抑制指令検出部と、
前記出力抑制指令検出部で出力抑制指令が検出されたとき前記電力サーバから出力抑制指令が出力される前の電力需要と前記電力サーバから出力抑制指令を出力した後の前記電力需要監視部で得られた電力需要とから前記出力抑制指令による前記分散電源設備の出力抑制量を算出する出力抑制量算出部とを備えたことを特徴とする分散電源設備の出力抑制制御装置。
【請求項2】
前記電力サーバは、出力抑制指令として、1個のステップ信号、または1個の複数階段状のステップ信号、または1個のランプ信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の分散電源設備の出力抑制制御装置。
【請求項3】
前記電力サーバは、出力抑制指令を出力した後に出力抑制指令を解除し、その後に再度出力抑制指令を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分散電源設備の出力抑制制御装置。
【請求項4】
前記電力サーバは、電力系統の電力需要の変動が所定値以下のときに出力抑制指令を出力することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の分散電源設備の出力抑制制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の周波数調整のために分散電源設備の出力抑制を行う分散電源設備の出力抑制制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統には分散電源設備が導入されている。分散電源設備のうち特に再生可能エネルギーは、電力会社による固定買取が制度化されるなど導入促進策が取られており、太陽光発電設備は増大の一歩をたどっている。太陽光発電設備が大量に導入されると、電力会社の既設発電設備による電力系統の周波数調整能力が不足する事態が考えられる。
【0003】
そこで、電力会社は周波数調整能力の確保のために分散電源設備に対して出力抑制を請求できる制度が実現した。更に、出力抑制を高度化するための実証研究が開始された。分散電源設備の出力抑制について、太陽光発電設備の稼働率にさほど悪い影響を与えないで、太陽光発電設備に周波数調整の機能を担わせるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
ここで、分散電源設備に対して出力抑制を指令する出力抑制方式には、双方向制御方式、インターネットによる単方向出力制御方式の2種類がある。双方向方式は、電力会社と分散電源設備との双方向で情報交換して分散電源設備の出力を抑制する方式であり、単方向出力制御方式は、電力会社から分散電源設備に出力抑制指令を出力する単方向での制御である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−60921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、双方向方式は、電力会社と分散電源設備との双方向で情報交換して分散電源設備の出力を抑制する方式であるので、電力会社は分散電源設備の出力を把握しながら需給制御を行うことができるが、制御システムが複雑化しコスト高となることで太陽光発電システムの普及が抑制される懸念がある。
【0007】
一方、単方向出力制御方式の場合は、電力会社から分散電源設備に出力抑制指令を出力する単方向での制御であるので、制御システムは簡素化できるが、出力抑制指令に分散電源設備が応答したか否かや分散電源設備の出力を把握することが困難であることから、周波数調整能力の確保のための適切な電力の需給制御が必ずしも精度良くできずに、不必要な出力抑制が行われることがある。
【0008】
本発明の目的は、制御システムを複雑化することなく、単方向で的確な需給制御が可能となる分散電源設備の出力抑制制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係る分散電源設備の出力抑制制御装置は、電力系統の周波数調整が必要となったときに前記電力系統に接続された分散電源設備に出力抑制指令を出力する電力サーバと、前記電力系統の電力需要を監視する電力需要監視部と、前記電力需要監視部で得られた電力需要の変化率から前記電力サーバから出力された出力抑制指令を検出する出力抑制指令検出部と、前記出力抑制指令検出部で出力抑制指令が検出されたとき前記電力サーバから出力抑制指令が出力される前の電力需要と前記電力サーバから出力抑制指令を出力した後の前記電力需要監視部で得られた電力需要とから前記出力抑制指令による前記分散電源設備の出力抑制量を算出する出力抑制量算出部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明に係る分散電源設備の出力抑制制御装置は、請求項1の発明において、前記電力サーバは、出力抑制指令として、1個のステップ信号、または1個の複数階段状のステップ信号、または1個のランプ信号を出力することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明に係る分散電源設備の出力抑制制御装置は、請求項1または請求項2の発明において、前記電力サーバは、出力抑制指令を出力した後に出力抑制指令を解除し、その後に再度出力抑制指令を出力することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明に係る分散電源設備の出力抑制制御装置は、請求項1乃至請求項3の発明において、前記電力サーバは、電力系統の電力需要の変動が所定値以下のときに出力抑制指令を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分散電源設備の出力抑制を単方向出力制御方式で行うので、制御システムを複雑化することなく的確な需給制御が可能となる。また、電力サーバから出力された出力抑制指令を検出して分散電源設備の出力抑制量を算出するので、単方向出力制御方式であっても的確な需給制御が可能となる。さらには、分散電源設備の出力抑制量を把握できるので不必要な出力抑制が低減され、分散電源設備の設置者の出力抑制に伴う固定価格買取による収入減を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る分散電源設備の出力抑制制御装置を電力系統の適用した構成図。
【
図2】本発明の実施形態に係る分散電源設備の出力抑制制御装置の処理内容を示すフローチャート。
【
図3】本発明の実施形態に係る分散電源設備の出力抑制制御装置から出力抑制指令を受信した各分散電源設備での処理内容を示すフローチャート。
【
図4】本発明の実施形態における電力サーバから出力抑制指令が出力されたときに電力需要監視部で得られた電力需要の一例を示すグラフ。
【
図5】本発明の実施形態における電力サーバから出力抑制指令が出力されたときに電力需要監視部で得られた電力需要の他の一例を示すグラフ。
【
図6】電力系統の電力需要の変動が所定値以下のときに電力サーバが出力抑制指令を出力するようにした場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る分散電源設備の出力抑制制御装置を電力系統に適用した構成図である。電力系統11には複数の分散電源設備12が導入されている。分散電源設備12は、太陽光発電設備、小水力発電設備、風力発電設備など再生可能エネルギーを用いた発電設備である。このような分散電源設備12に対して、電力会社は電力系統の周波数調整能力を確保するために出力抑制を依頼する。
【0016】
電力会社は、分散電源設備12に対して周波数調整能力を確保するための出力抑制を依頼するにあたっては、電力サーバ13から出力抑制指令を出力する。電力サーバ13から各分散電源設備への出力抑制指令は、例えばインターネット回線を用いて出力する。これにより設備を簡素化できる。
【0017】
電力サーバ13は、電力系統11の電力需給情報や電力需要監視部14からの電力需要情報を基に電力系統11の周波数調整能力を判断し、周波数調整能力が不足すると判断したときは、分散電源設備12に対して出力抑制指令を出力する。例えば、ゴールデンウィークや正月などは電力需要が少なくなるので、電力系統に並列された火力発電機が少なくなり、火力発電機による周波数調整力が減少することから周波数調整力の確保が必要となる。また、所定以上の曇天時は分散電源設備12のうち太陽光発電設備の出力変動が大きくなるので、電力系統11の系統周波数の変動幅が大きくなり周波数調整力の確保が必要となる。
【0018】
電力需要監視部14は、電力系統11の時々刻々の電力需要を監視する。電力需要監視部14で得られた電力系統11の電力需要は電力サーバ13や出力抑制指令検出部15に出力される。
【0019】
出力抑制指令検出部15は、電力需要監視部14で得られた電力需要Pの変化率(dP/dt)から電力サーバ13から出力された出力抑制指令を検出する。電力サーバ13から出力抑制指令が各分散電源設備12に出力されると、各分散電源設備12はその出力抑制指令に応答して出力を抑制するので、電力系統11の電力需要は各分散電源設備12が出力を抑制した時点において増加することになる。この電力系統の電力需要の増加(変化率:dP/dt>α)を検出して、電力サーバ13からの出力抑制指令が各分散電源設備12に誤りなく伝送されたことを検出する。電力需要Pの変化率(dP/dt)が所定値α以上のときに電力サーバ13から各分散電源設備12に出力抑制指令が出力されたと判断する。これは、電力系統11の電力需要Pは負荷の大きさにより常時変動しているので、負荷変動による電力需要Pの変化と識別するためである。
【0020】
出力抑制量算出部16は、出力抑制指令検出部15で出力抑制指令が検出されたときは、電力サーバ13から出力抑制指令が出力される前の電力需要P1と、電力サーバ13から出力抑制指令を出力した後の電力需要監視部14で得られた電力需要P2とから、出力抑制指令による分散電源設備12の出力抑制量Pa(=P2−P1)を算出する。すなわち、各分散電源設備12が出力抑制指令に応答して増加した電力需要が分散電源設備12の出力抑制量Paであるからである。
【0021】
出力抑制量算出部16で算出された分散電源設備12の出力抑制量Paや出力抑制指令検出部15で検出された出力抑制指令は、必要に応じて出力装置17に出力される。出力装置は印刷装置や表示装置などである。
【0022】
このように、電力サーバ13から出力された出力抑制指令を検出して分散電源設備12の出力抑制量Paを算出するので、単方向出力制御方式であっても適切な需給制御が可能となる。また、分散電源設備12の出力抑制量Paを把握できるので、不必要な出力抑制を低減できる。このことから、分散電源設備12の設置者の金銭的損失も抑制することができる。
【0023】
図2は、本発明の実施形態に係る分散電源設備の出力抑制制御装置の処理内容を示すフローチャートである。電力需要監視部14は電力需要を監視する(S1)。すなわち、電力需要監視部14は電力系統11の電力需要を常時監視しており、電力需要監視部14で得られた電力需要は、図示省略の記憶部に記憶され電力系統11の電力需給情報として蓄積される。電力需要監視部14が電力需要を監視している状態で、電力サーバ13は周波数調整が必要か否かを判定する(S2)。周波数調整が必要であると判断したときは、電力サーバ13は各分散電源設備12に出力抑制指令を出力する(S3)。出力指令検出部17は、前述したように、電力需要監視部14で得られた電力需要Pの変化率(dP/dt>α)に基づいて電力サーバ13から出力された出力抑制指令を検出する(S4)。
【0024】
ここで、電力サーバ13から出力抑制指令を検出できないときは、分散電源設備12が出力抑制に応答していないことになる。分散電源設備12が停止中であると出力抑制に応答できないし、分散電源設備12に出力抑制指令が伝送されていない場合も出力抑制に応答できないので、電力サーバ13からの出力抑制指令を検出できないときは、別の対策で周波数調整を行うことになる。
【0025】
ステップS5の判定で、電力サーバ13から出力抑制指令を検出できたときは、出力抑制量算出部16は、出力抑制指令による分散電源設備12の出力抑制量Pa(=P2−P1)を算出する(S5)。そして、出力抑制量Paや出力抑制指令を出力装置17に出力する(S6)。
【0026】
図3は、本発明の実施形態に係る分散電源設備の出力抑制制御装置から出力抑制指令を受信した各分散電源設備での処理内容を示すフローチャートである。電力サーバ13から出力抑制指令があるか否かを判定し(S11)、電力サーバ13から出力抑制指令があるときは、分散電源設備12の出力が出力抑制指令より大きいか否かを判定する(S12)。分散電源設備12の出力が出力抑制指令より大きいときは、分散電源設備12の出力を抑制する(S13)。
【0027】
ここで、出力抑制指令は各分散電源設備12の全出力に対して百分率%で表され、各分散電源設備12に対して一律に出力される。例えば、出力が0%の出力抑制指令の場合は、各分散電源設備12は出力0(停止)との出力抑制指令である。出力が30%の出力抑制指令の場合は、各分散電源設備12は全出力の30%出力との出力抑制指令である。従って、ある分散電源設備12が全出力100%の出力をしているときに、出力が0%の出力抑制指令を受信したときは、分散電源設備12を停止することになる。また、ある分散電源設備が全出力100%の出力をしているときに、出力が30%の出力抑制指令を受信したときは、分散電源設備12の出力は30%に抑制される。
【0028】
次に、
図4は、電力サーバ13から出力抑制指令が出力されたときに電力需要監視部14で得られた電力需要Pの一例を示すグラフである。
図4(a)は電力サーバ13から1個のステップ信号である出力抑制指令が出力された場合の電力需要Pの波形、
図4(b)は電力サーバ13から1個の複数階段状のステップ信号である出力抑制指令が出力された場合の電力需要Pの波形、
図4(c)は電力サーバ13から1個のランプ信号である出力抑制指令が出力された場合の電力需要Pの波形である。
【0029】
図4(a)に示すように、出力抑制指令が1個のステップ信号である場合は、時点t1において電力系統11の電力需要PはP1からP2に変化している。これにより、負荷変動による電力需要Pの変化ではないことが分かる。本発明の実施形態では、この時点t1での電力需要Pの変化率(dP/dt)を求めることによって、出力抑制指令検出部15により出力抑制指令が検出される。また、出力抑制量算出部16は、出力抑制指令検出部15により出力抑制指令が検出されると、電力需要PのP1からP2の変化に基づいて、分散電源設備12の出力抑制量Pa(=P2−P1)を算出する。
【0030】
これに加えて、出力抑制指令が1個のステップ信号であることに着目し、出力抑制指令が1個のステップ信号であり、電力需要Pもその1個のステップ信号の出力抑制指令に対応して、電力需要PがP1からP2に変化していることから、この電力需要Pの変化は負荷変動による電力需要Pの変化ではなく、出力抑制指令に対応するものであると判定する。
【0031】
図4(b)に示す1個の複数階段状のステップ信号である出力抑制指令の場合、
図4(c)に示す1個のランプ信号である出力抑制指令の場合も、同様に、電力需要Pが1個の複数階段状のステップ信号や1個のランプ信号である出力抑制指令に対応して、電力需要PがP1からP2に変化していることで、この電力需要Pの変化は負荷変動による電力需要Pの変化ではなく、出力抑制指令に対応するものであると判定する。
【0032】
図5は、電力サーバ13から出力抑制指令が出力されたときに電力需要監視部14で得られた電力需要Pの他の一例を示すグラフである。この他の一例は、
図4に示した一例に対し、電力サーバ13から1個めの出力抑制指令を出力した後に出力抑制指令を解除し、その後に再度2個めの出力抑制指令を出力するようにしたものである。
【0033】
図5(a)は電力サーバ13から2個のステップ信号である出力抑制指令が出力された場合の電力需要Pの波形、
図5(b)は電力サーバ13から2個の複数階段状のステップ信号である出力抑制指令が出力された場合の電力需要Pの波形、
図5(c)は電力サーバ13から2個のランプ信号である出力抑制指令が出力された場合の電力需要Pの波形である。
【0034】
図5(a)に示すように、出力抑制指令が2個のステップ信号である場合は、時点t1において電力系統11の電力需要PはP1からP2aに変化し、時点t2において電力系統11の電力需要PはP1からP2bに変化している。これにより、負荷変動による電力需要Pの変化ではないことが分かる。本発明の実施形態では、時点t1や時点t2での電力需要Pの変化率(dP/dt)を求めることによって、出力抑制指令検出部15により出力抑制指令が検出される。また、出力抑制量算出部16は、出力抑制指令検出部15により出力抑制指令が検出されると、時点t1において電力需要PがP1からP2aに変化していること、時点t2において電力需要PがP1からP2bに変化していることから、変化後の電力需要PはP2aとP2bとの平均値(P2a+P2b)/2とする。すなわち、分散電源設備12の出力抑制量Paは、(P2a+P2b)/2−P1として算出する。
【0035】
これに加えて、出力抑制指令が2個のステップ信号であることに着目し、出力抑制指令が2個のステップ信号であり、電力需要Pもその2個のステップ信号の出力抑制指令に対応して、電力需要PがP1からP2a、P1からP2bに変化していることから、この電力需要Pの変化は負荷変動による電力需要Pの変化ではなく、出力抑制指令に対応するものであると判定する。
【0036】
図5(b)に示す2個の複数階段状のステップ信号である出力抑制指令の場合、
図5(c)に示す2個のランプ信号である出力抑制指令の場合も、同様に、電力需要Pが2個の複数階段状のステップ信号や2個のランプ信号である出力抑制指令に対応して、電力需要PがP1からP2a、P1からP2bに変化していることで、この電力需要Pの変化は負荷変動による電力需要Pの変化ではなく、出力抑制指令に対応するものであると判定する。
【0037】
以上説明した
図4及び
図5では、出力抑制指令として、ステップ信号、複数階段状のステップ信号、ランプ信号である場合について説明したが、これらに代えて、ランプ信号の直線部分を上に凸とした信号、ランプ信号の直線部分を下に凸とした信号、ランプ信号の直線部分を鋸状とした信号としてもよい。つまり、出力抑制指令であることを認識できる信号とする。
【0038】
また、電力サーバ13は電力系統11の電力需要Pの変動が所定値以下のときに出力抑制指令を出力するようにしてもよい。これは、負荷変動による電力需要Pの変化と明確に識別できるようにするためである。
【0039】
図6は、電力系統11の電力需要Pの変動が所定値以下のときに電力サーバ13が出力抑制指令を出力するようにした場合の説明図である。時点ta以前の期間Tにおいては電力需要Pが変動しているので、その電力需要Pの変動が収まった後の時点t1で出力抑制指令を出力するようにする。電力需要Pの変動は電力需要Pの変化率(dP/dt)で検出する。つまり、出力抑制信号を出力していない状態で電力需要Pの変化率(dP/dt)を求め、電力需要Pの変化率(dP/dt)が所定値以上の場合は電力需要Pの変動があると判定する。これにより、出力抑制信号をより精度よく検出できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
11…電力系統、12…分散電源設備、13…電力サーバ、14…電力需要監視部、15…出力抑制指令検出部、16…出力抑制量算出部、17…出力装置