(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記箱状物品(2)の上面(3a)を覆う天トレイ(4)及び前記箱状物品(2)の下面(3b)を覆う底トレイ(5)を備えており、前記端部緩衝材(6,7)及び側部緩衝材(8)が当該箱状物品(2)と両トレイ(4,5)との間に配設されている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の梱包部材(1)。
前記天トレイ(4)及び底トレイ(5)が段ボールシートからなり、前記端部緩衝材(6,7)及び側部緩衝材(8)が合成樹脂発泡体からなる、請求項4に記載の梱包部材(1)。
【背景技術】
【0002】
物品の保管時及び輸送時に当該物品が損傷するのを防ぐために、物品の端部を緩衝材で被覆して支持することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の梱包装置は、
図12に示されるように、被梱包物101の両端部を被覆して支持する梱包材102を備えており、梱包材102によって被覆された被梱包物101は、パレット103の上に複数個積重ねた「段積み」の状態で保管される。
【0003】
また、比較的細長い箱型の形状を呈する箱状物品を扱う場合、端部を被覆する緩衝材(端部緩衝材)とともに、当該箱状物品の側面を被覆する緩衝材(側部緩衝材)を用いることがある。
【0004】
図13は、かかる端部緩衝材及び側部緩衝材を備えた梱包部材の一例により梱包された、箱状物品である天吊り型の室内機111がパレットP上に段積みされた状態を示す斜視説明図であり、
図14は、
図13に示される梱包部材の分解斜視図である。
【0005】
室内機111の端面は端部緩衝材112で被覆され、当該端面と直交する、室内機111の側面は側部緩衝材113で被覆されている。また、室内機111の上面及び下面は、それぞれ天トレイ114及び底トレイ115で覆われている。天トレイ114の高さと底トレイ115の高さの合計は、端部緩衝材112又は側部緩衝材113の高さよりも小さいので、端部緩衝材112の外側の側面及び側部緩衝材113の外側の側面の一部は、天トレイ114又は底トレイ115により被覆されていないむき出しの状態である。
【0006】
梱包部材により梱包された室内機111は、端部緩衝材112及び側部緩衝材113の各位置において結束バンド109で結束される。梱包された室内機111は、作業者によってパレットPの上に積み重ねられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
段積み状態における室内機111の荷重は、当該室内機111自体と、端部緩衝材112又は側部緩衝材113とで支持される。この場合、端部緩衝材112は、
図14に示されるように、平面視長方形状の室内機111の長辺に平行な部分と短辺に平行な部分とが一体化された部材であるので、前記室内機111の荷重に対して鉛直方向に縮むが、水平方向への変形はわずかである。
【0009】
一方、室内機111の長辺に平行な部分だけからなる側部緩衝材113は、
図15に示されるように、前記室内機111の荷重に対して鉛直方向に縮むとともに、水平方向に膨らむ。具体的には、側部緩衝材113は外側(室内機111に向う側と反対側)に膨らむ。側部緩衝材113は、鉛直方向の荷重に対して内側又は外側に膨らむように変形しようとするが、内側は室内機111のケーシング116の側面116aとほぼ当接した状態であり、又、室内機111のケーシング116自体が上からの荷重によってわずかに外側に膨出するよう弾性変形することから、このケーシング116の側面116aに押されるようにして外側に膨らんでしまう。
図15では、分かり易くするために、膨らみの程度を誇張して描いている。
【0010】
側部緩衝材113の側面113aが外側に膨らむように変形すると、その程度によっては、荷崩れにつながる恐れがある。また、むき出しの状態である側部緩衝材113の側面113aが外側に膨らんでいる状態は外観上も好ましくはない。側部緩衝材113の側面113aの外側への膨らみを解消又は抑制するために、側部緩衝材113を構成する合成樹脂発泡体の発泡倍率を下げて当該合成樹脂発泡体の強度を大きくしたり、側部緩衝材113の断面2次モーメントを大きくするために当該側部緩衝材113の水平断面を大きくしたりすることが考えられる。
【0011】
しかし、前者の場合、梱包部材のコストが上昇するという問題がある。一方、後者の場合、包装容積が大きくなり、又、梱包部材のコストも上昇するという問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、包装容積を大きくしたりコストを上昇させたりすることなく、段積み時における外側への膨らみを抑制することができる梱包部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の梱包部材は、
(1)箱状物品の端面を被覆して支持する端部緩衝材と、前記端面と直交する、前記箱状物品の側面を被覆して支持する側部緩衝材とを備えており、
前記側部緩衝材の外側の側面に凹面が形成されており、
前記凹面は、前記箱状物品を載置するときの上下方向において当該凹面の中央が上下端より内側にへこむ面である。
【0014】
本発明の梱包部材では、側部緩衝材の外側の側面に、内側にへこむ凹面が形成されているので、この側部緩衝材に鉛直方向の荷重が作用したときに当該側部緩衝材は、内側に膨出するように、すなわち箱状物品の側面を押し付けるように変形しようとする。この場合、側部緩衝材と当接する箱状物品の側面が上からの荷重によって外側に弾性変形し、その影響で側部緩衝材が外側に膨らむように変形したとしても、当該側部緩衝材の側面は荷重が作用しない状態において内側にへこむ凹面が形成されているので、外側へのふくらみの程度を抑制することができる。その結果、段積みされた箱状物品が荷崩れすることがなく、又、側部緩衝材の側面の膨らみが外観上問題になることもない。また、平坦であった側面を凹面にすることで、へこみの分だけ使用材料を低減させることができ、コストダウンを図ることができる。
【0015】
(2)前記(1)の梱包部材において、前記凹面を曲面からなるものとすることができる。この場合、曲面という簡単な形状を側部緩衝材の側面に与えることにより当該側部緩衝材の外側への膨らみを抑制することができる。
【0016】
(3)前記(1)又は(2)の梱包部材において、前記凹面の前記中央におけるへこみの大きさを、5〜10mmとすることができる。この場合、側部緩衝材の強度を確保しつつ当該側部緩衝材の外側への膨らみを抑制することができる。
【0017】
(4)前記(1)〜(3)の梱包部材において、前記箱状物品の上面を覆う天トレイ及び前記箱状物品の下面を覆う底トレイを備えており、前記端部緩衝材及び側部緩衝材が当該箱状物品と両トレイとの間に配設されていることが望ましい。この場合、箱状物品を両トレイで上下から被覆することができ、箱状物品を安定した状態で梱包することができる。
【0018】
(5)前記(4)の梱包部材において、前記天トレイ及び底トレイが段ボールシートからなり、前記端部緩衝材及び側部緩衝材が合成樹脂発泡体からなるものとすることができる。この場合、軽量且つ加工が容易な材料で梱包部材を作製することができる。
【0019】
(6)前記(1)〜(5)の梱包部材において、前記端部緩衝材及び側部緩衝材が、それぞれ上下に2分割可能であり、前記梱包部材が、前記端部緩衝材及び側部緩衝材をそれぞれ一体化させる結合手段を備えていることが望ましい。この場合、箱状物品の梱包作業を簡単に行うことができる。また、使用後の端部緩衝材及び側部緩衝材の廃棄が容易である。
【0020】
(7)前記(1)〜(6)の梱包部材において、前記箱状物品を天吊り型の室内機とすることができる。この場合、梱包部材のコストを上昇させることなく、天吊り型の室内機の段積み時の荷崩れを防ぐとともに外観をよくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の梱包部材によれば、包装容積を大きくしたりコストを上昇させたりすることなく、段積み時における外側への膨らみを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の梱包部材を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る梱包部材1により梱包された室内機2をパレットPの上に複数台(本実施形態では4台)載置した状態を示す斜視説明図であり、
図2は、
図1に示される梱包部材1の分解斜視図である。梱包部材1は、箱型の形状を呈する箱状物品の一例である天吊り型の室内機2を梱包する部材である。
【0025】
図2に示されるように、梱包部材1は、室内機2のケーシング3の上面3aを覆う天トレイ4と、当該ケーシング3の下面3bを覆う底トレイ5と、当該ケーシング3の端面3c及び、当該端面3cと直交する側面3dをそれぞれ被覆して支持する端部緩衝材6、7及び側部緩衝材8とを備えている。天トレイ4及び底トレイ5は、段ボールシートで作製されており、端部緩衝材6,7及び側部緩衝材8は発泡スチロール等の合成樹脂発泡体で作製されている。段ボールシートや合成樹脂発泡体は、軽量で加工が容易であるという利点がある。
【0026】
なお、本明細書において、「上面」及び「下面」とは、梱包部材1により梱包された室内機2をパレット等の上に載置したときに、それぞれ上側及び下側に位置する面のことをいう。また、「上下方向」とは、室内機2をパレット等の上に載置した状態における上下の方向のことである。さらに、「内側」及び「外側」とは、梱包部材1により梱包された室内機2を基準として、当該室内機2に向かう方向を「内側」、当該室内機2から離れる方向を「外側」という。
【0027】
ケーシング3は箱型の形状を呈しており、このケーシング3の内部に熱交換器(図示せず)やファン(図示せず)が配設されている。ケーシング3は、平面視で長方形状を呈しており、対向する短辺のうち一方の短辺側の側面である端面から冷媒配管の接続部(図示せず)が外方に突設されている。端部緩衝材6,7及び側部緩衝材8の内側には、梱包する室内機2の外形に対応した形状の凹所が形成されているが、一方の端面だけから冷媒配管の接続部が外方に突設されていることから、端部緩衝材6と端部緩衝材7は、外形はほぼ同一であるが、内部の形状は互いに相違している。
【0028】
端部緩衝材6,7及び側部緩衝材8は、室内機2の梱包作業を簡単に行うことができるとともに使用後の廃棄が容易となるように、上下に2分割可能である。具体的に、端部緩衝材6は上側の分割体である上側端部緩衝材6aと下側の分割体である下側端部緩衝材6bとで構成されており、端部緩衝材7は上側の分割体である上側端部緩衝材7aと下側の分割体である下側端部緩衝材7bとで構成されている。また、側部緩衝材8は、上側の分割体である上側側部緩衝材8aと下側の分割体である下側側部緩衝材8bとで構成されている。上下に2分割可能にすると、底トレイ5内に下側の各分割体を配設し、ついで、その上に室内機2を配置し、その後、上側の各分割体及び天トレイ4を配設する作業をスムーズに行うことができ、当該室内機2の梱包作業を簡単に行うことができる。上側側部緩衝材8aはケーシング3の対向する長辺のうち一方の長辺側に配設されるものと、他方の長辺側に配設されるものとがあり、それらは同じ構成(形状、寸法等)である。
【0029】
端部緩衝材6は、室内機2のケーシング3の対向する端面3cのうち前記冷媒配管の接続部が存在しない側の端面3cを被覆して支持する。一方、端部緩衝材7は、室内機2のケーシング3の残りの端面3c、すなわち前記冷媒配管の接続部が突設される側の端面3cを被覆して支持する。側部緩衝材8は、室内機2のケーシング3の互いに対向する側面3dの長手方向中央部を被覆して支持する。
【0030】
また、端部緩衝材6,7及び側部緩衝材8は、室内機2を梱包した状態において、当該室内機2と、天トレイ4及び底トレイ5との間に配設される。換言すれば、端部緩衝材6,7及び側部緩衝材8により、そのケーシング3の端面3c及び側面3dが被覆された室内機2の外側に天トレイ4及び底トレイ5が配設される。天トレイ4の高さH1と底トレイ5の高さH2の合計は、端部緩衝材6,7又は側部緩衝材8の高さH3よりも小さい。したがって、端部緩衝材6の外側の側面6a1、6a2、6b1,6b2、端部緩衝材7の外側の側面7a1、7a2、7b1、7b2、及び側部緩衝材8の外側の側面8a1の一部は、天トレイ4又は底トレイ5により被覆されていないむき出しの状態である。天トレイ4は、上側端部緩衝材6a,7aに形成された凹所18を利用して当該上側端部緩衝材6a,7aに被せられ、底トレイ5は、下側端部緩衝材6b、7bに形成された凹所19を利用して当該下側端部緩衝材6b、7bに被せられる。
【0031】
梱包部材1により梱包された室内機2は、端部緩衝材6,7及び側部緩衝材8の各位置において、ポリプロピレン等の合成樹脂製の結束バンド9(
図1参照)で結束される。結束バンド9で締め付けることで、当該結束バンド9に沿って内向きの締め付け荷重がかかり、天トレイ4及び底トレイ5を室内機2に固定することができる。
【0032】
側部緩衝材8の上側側部緩衝材8aは、
図2に示されるように、長方形状を呈する板状の部材であり、対向する短辺の一方側には膨出部10が形成されており、他方側には係合凹部11が形成されている。上側側部緩衝材8aは、膨出部10が上方に、係合凹部11が下方に位置するように配設される。膨出部10の上面10aには凹部12が形成されている。この凹部12内に、上からの荷重に対して室内機2のケーシング3を保護するための帯状の板材13が配設される。より詳細には、一対の上側側部緩衝材8aは、その膨出部10が対向するように下側側部緩衝材8bの長手方向の両端部に取り付けられるが、この状態における一方の上側側部緩衝材8aの膨出部10の凹部12内に板材13の一端部が配設され、他方の上側側部緩衝材8aの膨出部10の凹部12内に当該板材13の他端部が配設される。本実施形態における板材13は木製であるが、合成樹脂等の他の材質で作製することもできる。
【0033】
側部緩衝材8の下側側部緩衝材8bは帯板形状を呈しており、長手方向の両端部には、係合凸部14が形成されている。この係合凸部14に、上側側部緩衝材8aの係合凹部11を係合させることで、上側側部緩衝材8aを下側側部緩衝材8bの両端部に取り付けることができる。
【0034】
図3に示されるように、上側側部緩衝材8aの外側の側面、すなわち梱包される室内機2のケーシング3の側面3dと対向する側の側面と反対側の側面15には、曲面からなる凹面16が形成されている。この凹面16は、上下方向において当該凹面16の中央が上端及び下端よりも内側、すなわち梱包される室内機2側にへこむ面である。本実施形態では、側面15の全面に凹面16が形成されている。
【0035】
凹面16の中央におけるへこみの大きさwは、上側側部緩衝材8aの厚さや室内機2の重量等を考慮して選定することができるが、例えば上側側部緩衝材8aの厚さの1/3程度、具体的には、例えば5〜10mmとすることができる。例えば、高さ250mm程度の高さの上側側部緩衝材8aに対し、曲率半径Rが1500mm程度の曲面を当該上側側部緩衝材8aの側面15に形成することで、約5mmのへこみを凹面16の上下方向の中央に与えることができる。
【0036】
梱包された室内機2を段積みしたときに、上側側部緩衝材8aに鉛直方向の荷重が作用するが、上側側部緩衝材8aの外側の側面15に内側にへこむ凹面16を形成すると、当該上側側部緩衝材8aは、内側に膨出するように、すなわち室内機2のケーシング3の側面3dを押し付けるように変形しようとする。この場合、
図4に示されるように、上側側部緩衝材8aと当接するケーシング3の側面3dが上からの荷重によって外側に弾性変形し、その影響で上側側部緩衝材8aが外側に膨らむように変形したとしても、当該上側側部緩衝材8aの側面15は荷重が作用しない状態において内側にへこむ凹面16が形成されているので、
図4において2点鎖線で示されるように、外側へのふくらみをなくすか、又はその程度を抑制することができる。その結果、段積みされた室内機2が荷崩れすることがなく、又、上側側部緩衝材8aの側面15の膨らみが外観上問題になることもない。また、平坦であった側面15を凹面16にすることで、へこみの分だけ使用材料を低減させることができ、コストダウンを図ることができる。
【0037】
図5は、冷媒配管の接続部が存在しない側の端部緩衝材6の一部拡大斜視図である。端部緩衝材6の上側端部緩衝材6a及び端部緩衝材7の上側端部緩衝材7aには、梱包部材1によって梱包された室内機2を持ち上げる際に作業者が指を入れてひっかけるための凹所20が形成されている。凹所20は、上側端部緩衝材6a及び上側端部緩衝材7aに2か所ずつ形成されている。凹所20は、上側端部緩衝材6aの側面6a1において当該側面6a1の長手方向に沿って所定距離だけ離間して形成されている。同様に、上側端部緩衝材7aの側面7a1において当該側面7a1の長手方向に沿って所定距離だけ離間して形成されている。凹所20は、上側端部緩衝材6aの側面6a1の下縁又は上側端部緩衝材7aの側面7a1の下縁に形成されている。このため、凹所20は、下方が開放ないし開口されている。
【0038】
凹所20の上縁には、突条部21が形成されている。作業者は梱包された室内機2を持ち上げるときに、凹所20の上側の側面20a(
図6参照)及び突条部21に指を引っかけることで当該室内機2を容易に持ち上げることができる。梱包された室内機2を確実に把持するためには、少なくとも指の第1関節が引っかかる必要があり、通常、引っかかりの距離ないし長さは25mm以上に設定される。換言すれば、単に凹所だけを形成する場合は、当該凹所の深さは25mm以上に設定される。
【0039】
しかし、本実施形態では、凹所20の上縁に突条部21が形成されており、この突条部21に作業者は指を引っかけることができる。突条部21の高さを、例えば3mmとすると、凹所20の深さd(
図6参照)をその高さ分だけ浅くすることができる。従って、従来、例えば25mm必要であった凹所20の深さdを22mm(25mm−3mm)とすることができる。これにより、端部緩衝材6,7の壁厚tも、突条部21の高さ分だけ薄くすることができる。その結果、梱包部材1の包装容積を減少させるとともに使用材料を低減させることができる。そして、使用材料を低減させることでコストダウンを図ることができる。
【0040】
突条部21の断面形状は、
図6に示されるような台形状以外に、矩形状であってもよいし、又、4分の1円形状であってもよい。突条部21の突出高さと凹所20の深さdとの合計sは、梱包された室内機2を確実に把持することができるという観点から、製品重量にもよるが、20〜30mmであることが好ましく、指の第1関節の引っ掛かりを確保するとともに使用材料を低減させることも考慮すると25mm程度とすることがより好ましい。
【0041】
図7は、他の例に係る凹所30の断面説明図である。この凹所30では、上側の側面30aが内側(室内機2側)に向かうに従い上方に傾斜する傾斜面とされている。凹所30内に挿入した作業者の指が当接する側面30aを傾斜面とすることで、凹所30の深さを浅くしても、当該作業者の指の引っかかり長さを確保することができる。その結果、端部緩衝材6,7の壁厚を、
図6に示される例よりも低減させることができる。
【0042】
図8は端部緩衝材6の分解斜視図であり、
図9は、
図8に示される端部緩衝材6を組み合わせたときの斜視図である。上下に分離可能な端部緩衝材6は、組み立てられたときに互いに当接し合う合わせ面を有している。そして、本実施形態に係る梱包部材1では、この合わせ面が、凹所20が形成された側壁(一側壁)40に平行であり、且つ、互いに面接触する縦合わせ面41を含んでいる。具体的に、下側端部緩衝材6bの上面42には、上側端部緩衝材6aに形成された凹所20と嵌合する突起部である第1突起部43が形成されている。この第1突起部43は、凹所20が形成される側壁40の長手方向に沿って2つ形成されている。この第1突起部43の内側の側面43aと凹所20の内面20bとで縦合わせ面41が構成されている。なお、端部緩衝材7についても、端部緩衝材6と同様に、前記縦合わせ面及び後述する横合わせ面を有している。第1突起部43の高さh1及び幅w1は、特に限定されないが、例えば、それぞれ15〜30mm、及び76〜96mmとすることができる。
【0043】
また、前記凹所20が形成された側壁40と直交する端部緩衝材6の他側壁には互いに面接触する横合わせ面が形成されている。具体的に、上側端部緩衝材6aの他側壁である側壁44の下端部には切り欠き45が形成されている。また、下側端部緩衝材6bの他側壁である側壁46には前記切り欠き45に嵌合する突条部である第2突起部47が形成されている。この第2突起部47は、下側端部緩衝材6b及び下側端部緩衝材7bに2つずつ形成されている。この第2突起部47の上面47aと切り欠き45の上面45aとで横合わせ面48が構成されている。第2突起部47の高さh2及び幅w2は、特に限定されないが、例えば、それぞれ15〜30mm、及び70〜90mmとすることができる。
【0044】
図10は、冷媒配管の接続部が突設される側の端部緩衝材7の断面説明図である。ケーシング3の端面3cから冷媒配管の接続部49が外方に突設されている。上側端部緩衝材7aと下側端部緩衝材7bとの合わせ面に縦合わせ面41を設けることで、当該上側端部緩衝材7aの天板部50の、ケーシング3の上面3aに対する被り代kが前記接続部49のために小さくなる場合において、結束バンドによる上下の端部緩衝材7a、7bの締め付けが緩んでいても、室内機2を持ち上げる際の当該上側端部緩衝材7aの下端部51の外方への移動(
図10において右側への移動)を縦合わせ面41で抑制することができる。
【0045】
また、前記縦合わせ面41に加えて、上側端部緩衝材7aと下側端部緩衝材7bとの合わせ面に横合わせ面48を設けることで、室内機2を持ち上げる際の当該上側端部緩衝材7aの下端部51の外方への移動(
図10において右側への移動)をさらに抑制することができる。即ち、1つの合わせ面(縦合わせ面)だけでなく、他の合わせ面(横合わせ面)を設け、複数の合わせ面とすることで、上側端部緩衝材7aの下端部51の外方への移動をさらに抑制することができる。
【0046】
縦合わせ面41と横合わせ面48は、本実施形態のように両方設けることが、梱包部材1で梱包された室内機2を持ち上げる際の上側端部緩衝材7aの下端部51の外方への移動をより効果的に抑制するという点からは望ましいが、いずれか一方だけを設けることもできる。
【0047】
以下の表1は、両合わせ面を設けた場合、縦合わせ面だけを設けた場合、横合わせ面だけを設けた場合、及び両合わせ面を設けなかった場合の4つのケースについて、上側端部緩衝材7aの下端部51の外方への移動量を測定した実験例を示している。被り代は20mmであり、第1突起部の突出高さh1は20mmであり、幅w1は76mmであり、第2突起部の突出高さh2は20mmであり、幅w2は70mmであった。前記外方への移動量は、上側端部緩衝材7aの底面の外側の縁の、下側端部緩衝材7bの上面の外側の縁に対する水平方向のずれ量である。
【0049】
表1より、両合わせ面を設けた場合の移動抑制量が最も大きく、その次に縦合わせ面だけを設けた場合の移動抑制量が大きいことが分かった。
【0050】
〔その他の変形例〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、側部緩衝材の外側の側面に形成される凹面を曲面としているが、これに限定されず、例えば
図11に示されるような傾斜面で構成することもできる。
図11に示される変形例では、側面15の中央部に向かうに従い内側(室内機側)に傾斜する一対の傾斜面17で凹面が構成されている。
【0051】
また、前述した実施形態では、箱状物品である室内機の上面及び下面を被覆する天トレイ及び底トレイを用いているが、当該天トレイ及び底トレイに代えて、緩衝材で被覆された箱状物品と、同じく緩衝材で被覆された箱状物品との間に、例えば段ボールシートを挟み込むことで当該箱状物品の上面及び下面を保護することができる。
また、前述した実施形態では、上下に分割可能な端部緩衝材を用いているが、一体型の端部緩衝材を用いることもできる。
【0052】
また、前述した実施形態では、箱状物品として天吊り型の室内機を梱包部材で梱包しているが、天吊り型に限らず、壁掛け型、天井埋込み型、床置き型の室内機にも本発明の梱包部材を用いることができる。さらに、室内機に限らず、箱型形状を呈する他の箱状物品にも本発明の梱包部材を用いることができる。