(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、漏電を精度よく検出できない虞がある。すなわち、漏電検出対象の電力線に印加される電圧には、一般にノイズ成分の重畳が避けられない。ノイズ成分が重畳するということは、電力線とグランドラインの間の電位差が変化することを意味するので、この電位差を単純に監視するだけでは、漏電しているか否かを精度よく判定することはできない。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、高い精度で漏電を検出可能な漏電検出装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、及びワイヤレス電力伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による漏電検出装置は、直流電圧及び交流電圧の一方を他方に変換する変換回路、及び、接地された金属部材を備える装置に設けられる漏電検出装置であって、前記変換回路の直流側の高圧側端子又は低圧側端子と前記金属部材との間の電位差に対応する電圧の平均電圧を検出する平均電圧検出回路と、前記平均電圧検出回路によって検出された前記平均電圧に基づいて漏電の有無を検出する漏電検出回路と、を備える漏電検出装置である。
【0009】
本発明によれば、平均電圧に基づいて漏電を検出するため、ノイズによる誤検出を抑制し、高い精度で漏電を検出することが可能になる。
【0010】
上記漏電検出装置において、前記平均電圧検出回路は、前記変換回路の直流側の低圧側端子と前記金属部材との間の電位差に対応する電圧の平均電圧を検出するよう構成される、こととしてもよい。これによれば、漏電をより確実に検出することが可能になる。
【0011】
上記各漏電検出装置において、前記平均電圧検出回路は、前記電位差を抵抗分圧する第1抵抗分圧回路と、前記第1抵抗分圧回路の出力電圧の平均電圧を検出する第1平均回路と、を有する、こととしてもよい。これによれば、直流ラインにおける漏電を検出することができる。また、直流ラインが電源となる構成に接続されていれば、送電停止中であっても漏電を検出することが可能になる。
【0012】
上記各漏電検出装置において、前記平均電圧検出回路は、前記電位差を容量分圧する容量分圧回路と、前記容量分圧回路の出力を整流する第1整流回路と、前記第1整流回路の出力電圧の平均電圧を検出する第2平均回路と、を有する、こととしてもよい。これによれば、送電中又は弱励磁中に、交流ラインにおける漏電を検出することができる。
【0013】
上記各漏電検出装置において、前記平均電圧検出回路は、前記電位差を抵抗分圧する第2抵抗分圧回路と、前記第2抵抗分圧回路の出力を微分する微分回路と、前記微分回路からの出力を整流する第2整流回路と、前記第2整流回路の出力電圧の平均電圧を検出する第3平均回路と、を有する、こととしてもよい。これによっても、送電中又は弱励磁中に、交流ラインにおける漏電を検出することができる。
【0014】
上記各漏電検出装置において、前記平均電圧検出回路は、前記電位差を容量分圧する容量分圧回路と、前記容量分圧回路の出力を整流する第1整流回路と、前記第1整流回路の出力電圧の平均電圧を検出する第2平均回路と、を有し、前記漏電検出回路は、前記第1平均回路から出力される平均電圧に基づいて漏電の有無を検出する動作と、前記第2平均回路から出力される平均電圧に基づいて漏電の有無を検出する動作とを切り替える第1切替回路、を含む、こととしてもよい。これによれば、直流ライン及び交流ラインの両方における漏電を検出することができるので、実質的にあらゆる箇所で生じた漏電を検出することが可能になる。
【0015】
上記各漏電検出装置において、前記平均電圧検出回路は、前記電位差を抵抗分圧する第2抵抗分圧回路と、前記第2抵抗分圧回路の出力を微分する微分回路と、前記微分回路からの出力を整流する第2整流回路と、前記第2整流回路の出力電圧の平均電圧を検出する第3平均回路と、を有し、前記漏電検出回路は、前記第1平均回路から出力される平均電圧に基づいて漏電の有無を検出する動作と、前記第3平均回路から出力される平均電圧に基づいて漏電の有無を検出する動作とを切り替える第2切替回路、を含む、こととしてもよい。これによっても、直流ライン及び交流ラインの両方における漏電を検出することができるので、実質的にあらゆる箇所で生じた漏電を検出することが可能になる。
【0016】
ここで、前記第1平均回路は、ローパスフィルタの平均化作用を用いて前記第1抵抗分圧回路の出力電圧の平均電圧を検出するよう構成されることができ、前記第2平均回路は、ローパスフィルタの平均化作用を用いて前記第1整流回路の出力電圧の平均電圧を検出するよう構成されることができ、前記第3平均回路は、ローパスフィルタの平均化作用を用いて前記第2整流回路の出力電圧の平均電圧を検出するよう構成されることができる。
【0017】
上記各漏電検出装置において、前記漏電検出回路は、前記平均電圧と閾値を比較する比較回路と、前記比較回路の結果に基づいて漏電の有無を検出する検出回路と、を含み、前記閾値は、電圧値の異なる複数の閾値を含む、こととしてもよい。これによれば、複数の閾値と比較することにより、漏電が発生した箇所を特定することができる。
【0018】
上記各漏電検出装置において、前記漏電検出回路は、前記平均電圧と閾値を比較する比較回路と、前記比較回路の結果に基づいて漏電の有無を検出する検出回路と、を含み、前記閾値は、任意の値に変更可能に構成されている、こととしてもよい。これによれば、閾値を変更しつつ比較を行うことにより、漏電が発生した箇所を特定することができる。
【0019】
上記各漏電検出装置において、前記漏電検出回路は、前記平均電圧をデジタル信号に変換するAD変換回路と、前記AD変換回路による変換後の前記平均電圧に基づいて漏電の有無を検出する検出回路と、を含む、こととしてもよい。これによれば、AD変換回路による変換後の平均電圧に基づいて漏電の有無を検出することが可能になる。
【0020】
本発明によるワイヤレス送電装置は、上記各漏電検出装置のいずれかと、直流電圧を交流電圧に変換する前記変換回路である駆動回路と、前記金属部材と、前記駆動回路から供給される交流電圧に基づいて交流磁界を生成する送電コイルと、前記漏電検出回路が漏電を検出したことに応じて前記駆動回路の動作を停止させる制御回路と、を備えるワイヤレス送電装置である。これによれば、漏電が発生した場合に送電動作を停止することができるので、2次故障を抑制することが可能になる。
【0021】
本発明の他の一側面によるワイヤレス送電装置は、上記各漏電検出装置のいずれかと、直流電圧を交流電圧に変換する前記変換回路である駆動回路と、前記金属部材と、前記駆動回路から供給される交流電圧に基づいて交流磁界を生成する送電コイルと、前記漏電検出回路が漏電を検出したことに応じて、ユーザ又は外部機器に対する通知を実行する報知器と、を備えるワイヤレス送電装置である。これによれば、漏電が発生した場合に送電停止及び修理を促すことができるので、2次故障を抑制することが可能になる。
【0022】
本発明によるワイヤレス受電装置は、上記各漏電検出装置のいずれかと、交流磁界を受けて交流電圧を生成する受電コイルと、前記受電コイルによって生成された交流電圧を直流電圧に変換する前記変換回路である整流回路と、前記金属部材と、前記漏電検出回路が漏電を検出したことに応じ、前記交流磁界を生成するワイヤレス送電装置に対して送電動作の停止を促す停止信号を送信する送信器と、を備えるワイヤレス受電装置である。これによれば、漏電が発生した場合に送電動作を停止することができるので、2次故障を抑制することが可能になる。
【0023】
本発明の他の一側面によるワイヤレス受電装置は、上記各漏電検出装置のいずれかと、交流磁界を受けて交流電圧を生成する受電コイルと、前記受電コイルによって生成された交流電圧を直流電圧に変換する前記変換回路である整流回路と、前記金属部材と、前記漏電検出回路が漏電を検出したことに応じて、ユーザ又は外部機器に対する通知を実行する報知器と、を備えるワイヤレス受電装置である。これによれば、漏電が発生した場合に送電停止及び修理を促すことができるので、2次故障を抑制することが可能になる。
【0024】
なお、上記各ワイヤレス送電装置又は上記各ワイヤレス受電装置においては、前記金属部材は、前記送電コイルの近傍に配置され、漏洩磁束を遮蔽する金属シールド板である、こととしてもよい。
【0025】
本発明によるワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス送電装置及びワイヤレス受電装置を備え、前記ワイヤレス送電装置は、上記各ワイヤレス送電装置のいずれかである、ワイヤレス電力伝送システムである。
【0026】
本発明の他の一側面によるワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス送電装置及びワイヤレス受電装置を備え、前記ワイヤレス受電装置は、上記各ワイヤレス受電装置のいずれかである、ワイヤレス電力伝送システムである。
【0027】
本発明のさらに他の一側面によるワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス送電装置及びワイヤレス受電装置を備え、前記ワイヤレス送電装置は、上記各ワイヤレス送電装置のいずれかであり、前記ワイヤレス受電装置は、上記各ワイヤレス受電装置のいずれかである、ワイヤレス電力伝送システムである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、平均電圧に基づいて漏電を検出するため、ノイズによる誤検出を抑制し、高い精度で漏電を検出することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下で説明する内容により、本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、説明において同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るワイヤレス電力伝送システム1の構成と、このワイヤレス電力伝送システム1に接続される負荷2とを示す図である。同図に示すように、ワイヤレス電力伝送システム1は、ワイヤレス送電装置10と、ワイヤレス受電装置20とを有して構成される。負荷2は、ワイヤレス受電装置20に接続される。
【0032】
ワイヤレス電力伝送システム1は、例えば、二次電池の電力を利用する電気自動車(EV: Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV: Hybrid Vehicle)などの移動体への送電用に用いられるシステムである。この場合、ワイヤレス送電装置10は地上に配設される送電設備内に搭載され、ワイヤレス受電装置20は車両に搭載されることになる。以下では、ワイヤレス電力伝送システム1が電気自動車への送電用のものであるとして説明を続ける。
【0033】
ワイヤレス送電装置10は、
図1に示すように、直流電源11、駆動回路12、制御回路13、受信器14、送電コイルL1、及び送電側コンデンサC1を有して構成される。
【0034】
直流電源11は、駆動回路12に直流電力を供給する役割を果たす。直流電源11の具体的な種類は、直流電力を供給できるものであれば特に限定されない。例えば、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、又はスイッチングコンバータなどのスイッチング電源を、直流電源11として好適に用いることが可能である。
【0035】
駆動回路12は、直流電源11から供給された直流電圧を交流電圧に変換する変換回路であり、例えば、4つのスイッチング素子がブリッジ接続されてなるスイッチング回路(フルブリッジ回路。図示せず)により構成される。駆動回路12は、送電コイルL1に交流電流を供給する役割を果たす。
【0036】
制御回路13は、送電コイルL1に供給される交流電流の周波数が所定の電力伝送周波数fpに等しくなるよう、駆動回路12の動作を制御する回路である。例えば駆動回路12が上述したフルブリッジ回路である場合であれば、制御回路13は、送電コイルL1に供給される交流電流の周波数が所定の電力伝送周波数fpに等しくなるよう、フルブリッジ回路を構成する各スイッチング素子の制御信号を生成する。電力伝送周波数fpの具体的な値は、例えば20〔kHz〕〜200〔kHz〕に設定される。
【0037】
受信器14は、ワイヤレス受電装置20内に設けられる送信器70から任意の信号を受信可能に構成された通信機器である。受信器14と送信器70の間の通信は、例えばブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信によって実現してもよいし、Wi−Fi(登録商標)などの無線LANによって実現してもよい。受信器14が送信器70から受信する信号には、後述する漏電検出装置30による漏電の有無の検出結果を示す結果信号Rが含まれる。
【0038】
受信器14は、結果信号Rを受信すると、受信した結果信号Rを制御回路13に出力するよう構成される。制御回路13は、受信器14から入力された結果信号Rが漏電検出装置30による漏電の検出を示すものであった場合、それに応じて駆動回路12の動作を停止させる。具体的には、例えば駆動回路12が上述したフルブリッジ回路である場合であれば、フルブリッジ回路を構成する各スイッチング素子をすべてオフの状態とする。これにより、送電動作が停止されるので、漏電によるワイヤレス電力伝送システム1の2次故障を抑制することが可能になる。
【0039】
送電コイルL1及び送電側コンデンサC1は、駆動回路12の出力側(交流側)の一方側端子と他方側端子の間に直列に接続され、共振回路を構成する。この共振回路は、上述した電力伝送周波数fpと同一又はそれに近い周波数の共振周波数を有しており、駆動回路12から供給される交流電流に基づいて交番磁界を生成する役割を果たす。なお、駆動回路12の出力側の一方側端子と他方側端子の間に、並列に、送電側コンデンサC1及び送電コイルL1を接続することとしてもよい。
【0040】
送電コイルL1は、例えばφ0.1(mm)の絶縁された銅線を2千本程度撚り合わせたリッツ線を数ターンから数十ターン程度、平面状に巻回することによって形成されたスパイラル構造のコイルであり、例えば地中または地面近傍に配置される。駆動回路12から送電コイルL1に交流電流が供給されると、それによって交番磁界が発生する。この交番磁界は、送電コイルL1と後述する受電コイルL2との間の相互インダクタンスによって受電コイルL2内に起電力を発生させ、それによって電力の伝送が実現される。
【0041】
次に、ワイヤレス受電装置20は、
図1に示すように、受電コイルL2、受電側コンデンサC2,C3、整流回路22、バイパスコンデンサC4〜C6、漏電検出装置30、報知器60、及び送信器70を有して構成される。
【0042】
受電コイルL2及び受電側コンデンサC2は、整流回路22の入力側(交流側)の一方側端子と他方側端子の間に直列に接続される。また、受電側コンデンサC3は、受電コイルL2及び受電側コンデンサC2と並列に接続される。これらの接続により、受電コイルL2及び受電側コンデンサC2,C3は共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数も、上述した電力伝送周波数fpと同一又はそれに近い周波数に設定される。この共振回路は、送電コイルL1から伝送された交流電力をワイヤレスにて受電する受電部としての役割を果たす。
【0043】
受電コイルL2は、送電コイルL1と同様に、例えばφ0.1(mm)の絶縁された銅線を2千本程度撚り合わせたリッツ線を数ターンから数十ターン程度、平面状に巻回することによって形成されたスパイラル構造のコイルである。一方、受電コイルL2の設置位置は、送電コイルL1とは異なり、例えば電気自動車の車両下部となる。送電コイルL1によって生成される磁束が受電コイルL2に鎖交すると、電磁誘導作用により受電コイルL2に交流電流が流れる。この交流電流は、整流回路22により直流電流に変換されたうえで、負荷2に供給される。これにより、負荷2に対して直流電力を供給することが実現される。
【0044】
整流回路22は、受電コイルL2から供給された交流電圧を直流電圧に変換する変換回路である。具体的には、受電コイルL2から供給された交流電流を直流電流に変換し、負荷2に対して供給する機能を有して構成され、例えば、複数のダイオードがブリッジ接続されてなるブリッジ回路(図示せず)によって構成される。
【0045】
バイパスコンデンサC4〜C6はそれぞれ、直流電圧である整流回路22の出力電圧の変動を抑制する目的で設置されるコンデンサである。バイパスコンデンサC4は、整流回路22の出力側(直流側)の高圧側端子と低圧側端子の間に接続され、バイパスコンデンサC5は、整流回路22の出力側の高圧側端子とグランドラインの間に接続され、バイパスコンデンサC6は、整流回路22の出力側の低圧側端子とグランドラインの間に接続される。
【0046】
負荷2は、図示していないが、充電器及びバッテリーを含んで構成される。このうち充電器は、整流回路22から出力された直流電力に基づいてバッテリーを充電する機能を有する回路である。この充電は、例えば定電圧定電流充電(CVCC充電)により実行される。バッテリーの具体的な種類は、電力を蓄える機能を有するものであれば特に限定されない。例えば、二次電池(リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケル電池など)や容量素子(電気二重層キャパシタなど)を、負荷2を構成するバッテリーとして好適に用いることが可能である。
【0047】
漏電検出装置30は、ワイヤレス受電装置20内の電力線の漏電を検出するための装置である。具体的には、
図1に示すように、整流回路22の出力側の低圧側端子(電圧V
L)と、磁束遮蔽のために受電コイルL2の近傍に設けられる金属部材MG(電圧V
G)との間の電位差V
L−V
Gに対応する電圧の平均電圧Aを検出する平均電圧検出回路40と、平均電圧検出回路40によって検出された平均電圧Aに基づいて漏電の有無を検出し、その結果を示す結果信号Rを出力する漏電検出回路50とを備えて構成される。なお、金属部材MGは、例えば金属シールド板であり、
図1に示すように接地されている。また、
図1では、整流回路22の出力側の低圧側端子を平均電圧検出回路40に接続しているが、整流回路22の出力側の高圧側端子を平均電圧検出回路40に接続することとしてもよい。この場合の平均電圧検出回路40は、整流回路22の出力側の高圧側端子と金属部材MGとの間の電位差に対応する電圧の平均電圧を検出する回路となる。漏電検出装置30の詳細については、後ほど別途説明する。
【0048】
報知器60は、漏電検出装置30が漏電を検出したこと(すなわち、漏電を検出したことを示す結果信号Rが漏電検出装置30から供給されたこと)に応じて、ユーザ又は外部機器に対する通知を実行する機器である。ユーザに対する通知を実行するための具体的な装置としては、例えば、漏電の検出を警報音によりユーザに通知するベル、漏電の検出を光によりユーザに通知するランプなどが挙げられる。また、報知器60による通知の対象となる外部機器としては、例えば、車両内の各種システム(上述した負荷2の充電器を含む)などが挙げられる。
【0049】
送信器70は、漏電検出装置30から供給された結果信号Rを受信器14に転送する回路である。上述したように、受信器14は、送信器70から受信した結果信号Rを制御回路13に出力するよう構成され、制御回路13は、受信器14から入力された結果信号Rが漏電検出装置30による漏電の検出を示すものであった場合、それに応じて駆動回路12の動作を停止させるよう構成される。したがって、漏電検出装置30による漏電の検出を示す結果信号Rは、ワイヤレス送電装置10に対して送電動作の停止を促す停止信号であると言える。
【0050】
以下、漏電検出装置30の具体的な構成について、
図2〜
図4を参照しながら詳細に説明する。
【0051】
図2(a)〜(e)はそれぞれ、
図1に示した平均電圧検出回路40の内部構成の例を示す図である。また、
図3(a)は、
図2に示した抵抗分圧回路41,46の内部構成の例を示す図であり、
図3(b)は、
図2に示した平均回路42,45,49の内部構成の例を示す図であり、
図3(c)は、
図2に示した容量分圧回路43の内部構成の例を示す図であり、
図3(d)及び(e)はそれぞれ、
図2に示した整流回路44,48の内部構成の例を示す図であり、
図3(f)は、
図2に示した微分回路47の内部構成の例を示す図である。
【0052】
図2(a)に示す第1の例による平均電圧検出回路40は、抵抗分圧回路41(第1抵抗分圧回路)と、平均回路42(第1平均回路)とによって構成される。
【0053】
抵抗分圧回路41は、上述した電位差V
L−V
Gを抵抗分圧することにより電圧V1を生成する回路であり、
図3(a)に示すように、電圧V
Lの入力端子と電圧V
Gの入力端子との間に直列に接続された2つの抵抗素子を含んで構成される。電圧V1は、2つの抵抗素子のうち電圧V
Gの入力端子に近い方の両端電圧となる。2つの抵抗素子の抵抗値が等しい場合には、V1=(V
G−V
L)/2となる。
【0054】
平均回路42は、抵抗分圧回路41の出力電圧V1の平均電圧Aを検出する回路であり、
図3(b)に示すように、コンデンサと抵抗素子からなるローパスフィルタによって構成される。本実施の形態による平均回路42は、このローパスフィルタの平均化作用を用いて平均電圧Aを検出するよう構成される。
【0055】
第1の例による平均電圧検出回路40によれば、ワイヤレス受電装置20の直流ライン(具体的には、整流回路22の出力端子に接続される配線)における漏電を検出することができる。また、直流ラインは負荷2に接続されていることから、第1の例による平均電圧検出回路40によれば、送電停止中であっても漏電を検出することができる。
【0056】
図2(b)に示す第2の例による平均電圧検出回路40は、容量分圧回路43と、整流回路44(第1整流回路)と、平均回路45(第2平均回路)とによって構成される。
【0057】
容量分圧回路43は、上述した電位差V
L−V
Gを容量分圧することにより電圧V2を生成する回路であり、
図3(c)に示すように、電圧V
Lの入力端子と電圧V
Gの入力端子との間に直列に接続された2つの容量素子を含んで構成される。電圧V2は、2つの容量素子のうち電圧V
Gの入力端子に近い方の両端電圧となる。
【0058】
整流回路44は、容量分圧回路43の出力電圧V2を整流することにより電圧V3を生成する回路であり、
図3(d)又は
図3(e)に示すように、1以上のダイオードを含んで構成される。具体的に説明すると、
図3(d)の例による整流回路44は、アノードが高圧側入力端子にカソードが高圧側出力端子にそれぞれ接続されるダイオードを1つだけ有して構成される。一方、
図3(e)の例による整流回路44は、アノードが高圧側入力端子にカソードが高圧側出力端子にそれぞれ接続されるダイオードと、アノードが低圧側入力端子にカソードが高圧側出力端子にそれぞれ接続されるダイオードと、アノードが低圧側出力端子にカソードが高圧側入力端子にそれぞれ接続されるダイオードと、アノードが低圧側出力端子にカソードが低圧側入力端子にそれぞれ接続されるダイオードとを有して構成される。
【0059】
平均回路45は、整流回路44の出力電圧V3の平均電圧Aを検出する回路であり、
図3(b)に示すように、平均回路42と同様のローパスフィルタによって構成される。本実施の形態による平均回路45は、このローパスフィルタの平均化作用を用いて平均電圧Aを検出するよう構成される。
【0060】
第2の例による平均電圧検出回路40によれば、ワイヤレス受電装置20の交流ライン(具体的には、整流回路22の入力端子に接続される配線)における漏電を検出することができる。これは、交流ラインを流れる交流電流が金属部材MGに漏洩すると、金属部材MGの電位が変動することを利用するものである。なお、交流ラインに交流電流が流れるのは、ワイヤレス電力伝送システム1が送電中又は弱励磁中である場合のみであるため、第2の例による平均電圧検出回路40によって交流ラインにおける漏電を検出できるのは、送電中又は弱励磁中のみとなる。
【0061】
図2(c)に示す第3の例による平均電圧検出回路40は、抵抗分圧回路46(第2抵抗分圧回路)と、微分回路47と、整流回路48(第2整流回路)と、平均回路49(第3平均回路)とによって構成される。
【0062】
抵抗分圧回路46は、上述した電位差V
L−V
Gを抵抗分圧することにより電圧V1を生成する回路であり、
図3(a)に示すように、抵抗分圧回路41と同様の回路によって構成される。具体的には、電圧V
Lの入力端子と電圧V
Gの入力端子との間に直列に接続された2つの抵抗素子を含んで構成され、2つの抵抗素子のうち電圧V
Gの入力端子に近い方の両端電圧が電圧V1となる。
【0063】
微分回路47は、抵抗分圧回路46の出力電圧V1を微分することにより電圧V4を生成する回路であり、
図3(f)に示すように、コンデンサと抵抗素子からなるハイパスフィルタによって構成される。
【0064】
整流回路48は、微分回路47の出力電圧V4を整流することにより電圧V3を生成する回路であり、
図3(d)又は
図3(d)に示すように、整流回路44と同様の回路によって構成される。
【0065】
平均回路49は、整流回路48の出力電圧V3の平均電圧Aを検出する回路であり、
図3(b)に示すように、平均回路42,45と同様のローパスフィルタによって構成される。本実施の形態による平均回路49は、このローパスフィルタの平均化作用を用いて平均電圧Aを検出するよう構成される。
【0066】
第3の例による平均電圧検出回路40によっても、ワイヤレス受電装置20の交流ライン(具体的には、整流回路22の入力端子に接続される配線)における漏電を検出することができる。これも、交流ラインを流れる交流電流が金属部材MGに漏洩すると、金属部材MGの電位が変動することを利用するものである。第3の例においても、交流ラインにおける漏電を検出できるのは送電中又は弱励磁中のみとなる。
【0067】
図2(d)に示す第4の例による平均電圧検出回路40は、
図2(a)に示した第1の例による回路と、
図2(b)に示した第2の例による回路とが並列に接続され、それによって2種類の平均電圧A1,A2を出力するよう構成される。上述したように、第1の例による回路によれば、ワイヤレス受電装置20の直流ラインにおける漏電を検出することができ、第2の例による回路によれば、ワイヤレス受電装置20の交流ラインにおける漏電を検出することができることから、第4の例による平均電圧検出回路40によれば、直流ライン及び交流ラインの両方における漏電を検出することが可能になる。したがって、実質的に、ワイヤレス受電装置20内のあらゆる箇所で生じた漏電を検出することが可能になる。
【0068】
図2(e)に示す第5の例による平均電圧検出回路40は、
図2(a)に示した第1の例による回路と、
図2(c)に示した第3の例による回路とが並列に接続され、それによって2種類の平均電圧A1,A2を出力するよう構成される。上述したように、第1の例による回路によれば、ワイヤレス受電装置20の直流ラインにおける漏電を検出することができ、第3の例による回路によれば、ワイヤレス受電装置20の交流ラインにおける漏電を検出することができることから、第5の例による平均電圧検出回路40によっても、直流ライン及び交流ラインの両方における漏電を検出することが可能になる。したがって、実質的に、ワイヤレス受電装置20内のあらゆる箇所で生じた漏電を検出することが可能になる。
【0069】
次に、
図4(a)及び
図4(b)はそれぞれ、
図1に示した漏電検出回路50の内部構成の例を示す図である。
【0070】
図4(a)に示す例による漏電検出回路50は、
図2(a)〜
図2(c)に示した平均電圧検出回路40とともに用いられるもので、AD変換回路52と、比較回路53と、検出回路54とを有して構成される。
【0071】
AD変換回路52は、平均電圧検出回路40から入力される平均電圧Aをデジタル信号に変換する回路である。具体的には、所定のサンプリング周波数で平均電圧Aを標本化し、その結果を量子化することによってデジタル信号の生成を行う。比較回路53は、AD変換回路52による変換後の平均電圧Aと閾値を比較する回路である。閾値は、例えば比較回路53内に予め格納される。検出回路54は、比較回路53の結果に基づいて漏電の有無を検出する回路である。検出回路54の出力は、結果信号Rとして
図1に示した報知器60及び送信器70に供給される。
【0072】
ここで、比較回路53が比較対象とする閾値には、電圧値の異なる複数の閾値が含まれることとしてもよい。この場合の比較回路53は、複数の閾値それぞれに対応して複数の比較結果を出力することになる。平均電圧Aの具体的な値は、漏電が発生した箇所によって異なってくるのが通常である。したがって、このように複数の閾値を用意しておくことで、比較回路53から出力される複数の比較結果から漏電が発生した箇所を特定することが可能になる。
【0073】
また、比較回路53に格納される閾値は、任意の値に変更可能に構成されていることとしてもよい。そして、閾値を変更しつつ、それぞれの閾値について比較回路53による比較を行うことしてもよい。これによっても、上記同様に、比較回路53から出力される複数の比較結果から漏電が発生した箇所を特定することが可能になる。
【0074】
また、漏電検出回路50内にAD変換回路52を設けず、平均電圧検出回路40から入力される平均電圧Aを直接比較回路53に供給することとしてもよい。この場合、アナログ信号である平均電圧Aと閾値を比較する回路により、比較回路53を構成する必要がある。
【0075】
また、比較回路53及び検出回路54による処理に代え、他の方法で漏電の有無を検出することとしてもよい。例えば、平均電圧Aの値と漏電の有無を対応付けるルックアップテーブルを用意し、AD変換回路52から平均電圧Aが出力された場合にその平均電圧Aに対応する漏電の有無を読み出すことによって、漏電の有無を検出することとしてもよい。
【0076】
図4(b)に示す例による漏電検出回路50は、
図2(d)又は
図2(e)に示した平均電圧検出回路40とともに用いられるもので、AD変換回路52の前段に切替回路51を有する点で、
図4(a)に示す例による漏電検出回路50と相違する。その他の点では、
図4(a)に示す例による漏電検出回路50と同様であるので、以下では切替回路51についてのみ説明する。
【0077】
切替回路51は、
図2(d)に示した平均電圧検出回路40とともに用いられる場合には、平均回路42から出力される平均電圧A1に基づいて漏電の有無を検出する動作と、平均回路45から出力される平均電圧A2に基づいて漏電の有無を検出する動作とを切り替える回路(第1切替回路)である。また、切替回路51は、
図2(e)に示した平均電圧検出回路40とともに用いられる場合には、平均回路42から出力される平均電圧A1に基づいて漏電の有無を検出する動作と、平均回路49から出力される平均電圧A2に基づいて漏電の有無を検出する動作とを切り替える回路(第2切替回路)である。いずれの場合においても、漏電検出回路50は、平均電圧A1に基づいて漏電の有無を検出する動作を行うことによりワイヤレス受電装置20の直流ラインにおける漏電を検出することができ、平均電圧A2に基づいて漏電の有無を検出する動作を行うことによりワイヤレス受電装置20の交流ラインにおける漏電を検出することができる。したがって、実質的に、ワイヤレス受電装置20内のあらゆる箇所で生じた漏電を検出することが可能になる。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電位差V
L−V
Gに対応する電圧V1の平均電圧Aに基づいて漏電を検出しているので、ノイズによる誤検出を抑制し、高い精度で漏電を検出することが可能になる。また、漏電検出回路50内の具体的な回路構成によっては、実質的に、ワイヤレス受電装置20内のあらゆる箇所で生じた漏電を検出することが可能になる。さらに、複数の閾値を用いることで、漏電が発生した箇所を特定することも可能になる。
【0079】
なお、上記実施の形態では、
図4(a)に示す例による漏電検出回路50について、
図2(a)〜
図2(c)に示した平均電圧検出回路40とともに用いられるものと説明したが、
図2(d)又は
図2(e)に示した平均電圧検出回路40とともに
図4(a)に示す例による漏電検出回路50を用いることも可能である。この場合の漏電検出装置30には、平均電圧検出回路40から出力される2種類の平均電圧A1,A2のそれぞれについて、
図4(a)に示す例による漏電検出回路50が設けられる。
【0080】
また、上記実施の形態では、平均回路42,45,49をローパスフィルタによって構成する例を説明したが、平均回路42,45,49はそれぞれの入力電圧の平均電圧を検出できる回路であればよく、他の種類の回路によって平均回路42,45,49を構成することも可能である。そのような回路の例としては、例えば、FIR(Finite Impulse Response)型のデジタルフィルタや、
図5に示すようなオペアンプを用いた回路(積分回路)が挙げられる。なお、平均回路42,45,49としてFIR型のデジタルフィルタを用いる場合は、漏電検出回路50を構成するAD変換回路52は省略される。
【0081】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るワイヤレス電力伝送システム1の構成と、このワイヤレス電力伝送システム1に接続される負荷2とを示す図である。本実施の形態に係るワイヤレス電力伝送システム1は、漏電検出装置30及び報知器60がワイヤレス送電装置10内に設けられる点で、第1の実施の形態によるワイヤレス電力伝送システム1と相違する。以下、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付し、第1の実施の形態との相違点に着目して説明する。
【0082】
本実施の形態による平均電圧検出回路40は、駆動回路12の入力側(直流側)の低圧側端子(電圧V
L)と、金属部材MG(電圧V
G)との間の電位差V
L−V
Gに対応する電圧の平均電圧Aを検出するよう構成される。ただし、本実施の形態による金属部材MGは、磁束遮蔽のために送電コイルL1の近傍に設けられるものである。その他の点では、第1の実施の形態による平均電圧検出回路40と同様である。第1の実施の形態と同様に、駆動回路12の入力側の高圧側端子と金属部材MGとの間の電位差に対応する電圧の平均電圧Aを検出するように平均電圧検出回路40を構成してもよい。
【0083】
漏電検出回路50及び報知器60はそれぞれ、第1の実施の形態による漏電検出回路50及び報知器60と同様の構成及び機能を有する。すなわち、漏電検出回路50は、平均電圧検出回路40によって検出された平均電圧Aに基づいて漏電の有無を検出し、その結果を示す結果信号Rを出力する。また、報知器60は、漏電検出装置30が漏電を検出したことに応じて、ユーザ又は外部機器に対する通知を実行する。
【0084】
ここで、本実施の形態においては、制御回路13と漏電検出装置30とが同一の装置内に位置しているので、結果信号Rは、
図1に示した送信器70及び受信器14を介さず、漏電検出装置30から制御回路13に直接供給される。結果信号Rを受けた制御回路13の動作も、第1の実施の形態と同様である。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態によっても、電位差V
L−V
Gに対応する電圧V1の平均電圧Aに基づいて漏電を検出しているので、ノイズによる誤検出を抑制し、高い精度で漏電を検出することが可能になる。また、漏電検出回路50内の具体的な回路構成によっては、実質的に、ワイヤレス受電装置20内のあらゆる箇所で生じた漏電を検出することが可能になる点、複数の閾値を用いることで、漏電が発生した箇所を特定することも可能になる点についても、第1の実施の形態と同様である。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0087】
例えば、上記実施の形態では、ワイヤレス受電装置20内に漏電検出装置30を設ける構成と、ワイヤレス送電装置10内に漏電検出装置30を設ける構成とについて説明したが、ワイヤレス受電装置20及びワイヤレス送電装置10の両方に漏電検出装置30を設けることとしてもよい。この場合、どちらの漏電検出装置30が漏電を検出した場合であっても駆動回路12の動作が停止することとなるように、ワイヤレス電力伝送システム1を構成することが好ましい。