特許第6662705号(P6662705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662705
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】チップ部品用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20200227BHJP
   B65D 73/02 20060101ALI20200227BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   B65D85/86 300
   B65D73/02 K
   H05K13/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-94868(P2016-94868)
(22)【出願日】2016年5月10日
(65)【公開番号】特開2017-202841(P2017-202841A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩太郎
【審査官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−95564(JP,U)
【文献】 特開2012−218793(JP,A)
【文献】 特開2005−225552(JP,A)
【文献】 特開昭63−249398(JP,A)
【文献】 特許第2837923(JP,B2)
【文献】 特開2014−69823(JP,A)
【文献】 特開2003−112772(JP,A)
【文献】 特開平10−139089(JP,A)
【文献】 特開平3−212370(JP,A)
【文献】 特開平1−294463(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0023931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/86
B65D 73/02
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状のチップ部品を収納する多数の収納凹所が所定間隔を存して連続的に形成されたベーステープと、前記収納凹所を覆うように前記ベーステープの表面に貼着されたカバーテープとを備え、前記ベーステープを一方向へ移送させながら前記カバーテープを剥離することにより、前記チップ部品が前記収納凹所から取り出されるチップ部品用包装体において、
前記収納凹所の底面が前記ベーステープの移送方向に向かって前下がりに傾斜する載置面となっており、この載置面を介して移送方向に沿って対向する下流側の第1内壁面と上流側の第2内壁面のうち、前記第1内壁面と前記載置面の交差角度が略直角に設定されていると共に、前記第2内壁面と前記載置面の交差角度が鈍角に設定されていることを特徴とするチップ部品用包装体。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記ベーステープの表面に対する前記載置面の傾斜角度が1°〜10°に設定されていることを特徴とするチップ部品用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のチップ部品を梱包するのに好適なチップ部品用包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップ抵抗器やチップコンデンサ等のチップ部品を実装基板に搭載する手段の一例として、ベーステープとカバーテープとで構成されるテープ状の包装体に多数のチップ部品を収納しておき、実装工程でベーステープを一方向へ移動させながらカバーテープを剥離した状態で、ベーステープの収納凹所内のチップ部品を吸着ノズルにより取り出して実装基板に高速かつ正確に搭載するという技術が知られている。
【0003】
図4に示すように、この種のチップ部品用包装体は、プラスチック材料からなる帯状のベーステープ10に多数の収納凹所11を所定間隔を存して連続的に形成し、各収納凹所11内にチップ部品12を収納した後、チップ部品12が飛び出さないようにベーステープ10の表面にカバーテープ13を貼着するように構成されている。収納凹所11に対するチップ部品12の出し入れをスムーズに行えるようにするために、収納凹所11はチップ部品よりも一回り大きめに形成されており、かつ、ベーステープ10を加工しやすくすると共にチップ部品を取り出しやすくするために、収納凹所11の断面形状は底面よりも天面(開口側)を広くした逆台形状となっている。
【0004】
このように構成された包装体はリールに巻き取られた状態で製造現場に搬送され、製造現場の実装機では、図5に示すように、リールから引き出した包装体のベーステープ10を矢印A方向へ移送させながらカバーテープ13を剥離し、移送方向Aの下流側に設置した吸着ノズル14によりカバーテープ13が剥がされた収納凹所11内のチップ部品12をピッアップして実装基板に搭載するようになっている。その際、図6(a)に示すように、カバーテープ13を剥離するときに、カバーテープ13の帯電等によりチップ部品12が収納凹所11から飛び出してしまうことがあり、また、図6(b)に示すように、吸着ノズル14でチップ部品12をピッアップする際に、ベーステープ10の移送停止に伴う慣性力によりチップ部品12が収納凹所11から飛び出してしまうことがあり、いずれの場合も、吸着ノズル14によるチップ部品12の取り出しに支障をきたすという問題があった。
【0005】
そこで従来より、特許文献1に記載されているように、収納凹所を有するベーステープを帯電性材で形成すると共に、収納凹所を覆うカバーテープを非帯電性材(導電性材)で形成することにより、静電気を利用してカバーテープの剥離時に発生するチップ部品の飛び出しを防止するようにしたチップ部品用包装体が提案されている。このように構成された包装体では、ベーステープを帯電性材とすることにより、チップ部品をベーステープの収納凹所内に静電気力で付着固定させると共に、カバーテープを帯電しない非帯電性材とすることにより、チップ部品のカバーテープへの付着を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−58690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、チップ部品の外形寸法は近年ますます小型化されており、例えば、0402サイズ(0.4mm×0.2mm)や0201(0.2mm×0.1mm)といった超小型のチップ部品になると、チップ部品の自重が極めて軽くなるため、特許文献1に記載されたようなチップ部品用包装体を使用しても、チップ部品の飛び出しを完全に防止することができなくなる。また、小型のチップ部品は特に静電気に弱いため、特許文献1に記載された従来例のように帯電性材を使用した場合、ESD破壊(静電破壊)される可能性が高くなるという問題も発生する。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、実装時におけるチップ部品の取り出しを安定して行うことができるチップ部品用包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、直方体形状のチップ部品を収納する多数の収納凹所が所定間隔を存して連続的に形成されたベーステープと、前記収納凹所を覆うように前記ベーステープの表面に貼着されたカバーテープとを備え、前記ベーステープを一方向へ移送させながら前記カバーテープを剥離することにより、前記チップ部品が前記収納凹所から取り出されるチップ部品用包装体において、前記収納凹所の底面が前記ベーステープの移送方向に向かって前下がりに傾斜する載置面となっており、この載置面を介して移送方向に沿って対向する下流側の第1内壁面と上流側の第2内壁面のうち、前記第1内壁面と前記載置面の交差角度が略直角に設定されていると共に、前記第2内壁面と前記載置面の交差角度が鈍角に設定されていることを特徴としている。
【0010】
このように構成されたチップ部品用包装体では、収納凹所の底面がベーステープの移送方向に向かって前下がりに傾斜する載置面となっており、この載置面に対して移送方向の下流側に位置する収納凹所の第1内壁面が略直角に形成されているため、カバーテープを剥離する際に、収納凹所内のチップ部品は第1内壁面に寄って飛び出しにくくなり、しかも、カバーテープの剥離後の収納凹所内におけるチップ部品の位置が一定となるため、吸着ノズル等による安定した取り出しを行うことができる。
【0011】
上記の構成において、ベーステープの表面に対する載置面の傾斜角度は1°〜10°に設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のチップ部品用包装体によれば、実装時におけるチップ部品の取り出しを安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態例に係るチップ部品用包装体の平面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面拡大図である。
図3図1の包装体によるチップ部品の実装手順を示す説明図である。
図4】従来例に係るチップ部品用包装体の断面図である。
図5】従来例に係る包装体によるチップ部品の実装手順を示す説明図である。
図6】従来例に係る包装体の問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図2に示すように、実施形態例に係るチップ部品用包装体(以下、包装体という)は、多数の収納凹所1が所定間隔を存して連続的に形成されたベーステープ2と、収納凹所1を覆うようにベーステープ2の表面に貼着されたカバーテープ3とによって構成されており、収納凹所1内にはチップ抵抗器等からなる直方体形状のチップ部品4が収納されている。
【0015】
ベーステープ2はポリスチレン(PS)やポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボート(PC)等のプラスチック材料からなる帯状体であり、このベーステープ2の幅方向一側部には多数の送り孔5が等間隔で形成されている。収納凹所1はエンボス加工によってチップ部品4よりも一回り大きめに形成されており、図2に示すように、チップ部品4の実装時におけるベーステープ2の移送方向を矢印Aとすると、収納凹所1の底面は移送方向A側へ前下がりに傾斜する載置面1aとなっている。ここで、ベーステープ2の表面に対する載置面1aの傾斜角度θは1°〜10°の範囲(好ましくは4°〜8°)に設定されており、本実施形態例の場合は傾斜角度θ=6°となっている。また、載置面1aを介して移送方向Aに沿って対向する収納凹所1の下流側の第1内壁面1bと上流側の第2内壁面1cのうち、第1内壁面1bと載置面1aの交差角度は略直角に設定され、第2内壁面1cと載置面1aの交差角度は90°よりも大きい鈍角に設定されている。
【0016】
カバーテープ3はポリエチレン(PE)やポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック材料からなる長尺状シートであって、このカバーテープ3は送り孔5を除くベーステープ2の表面に熱圧着にて貼着されており、収納凹所1内に収納されたチップ部品4はカバーテープ3によって覆われている。
【0017】
このように構成された包装体はリールに巻き取られた状態で製造現場に搬送され、製造現場の実装機では、図3に示すように、リールから引き出した包装体のベーステープ2を矢印A方向へ移送させながらカバーテープ3を剥離し、移送方向Aの下流側に設置した吸着ノズル6により収納凹所1内のチップ部品4をピッアップして図示せぬ実装基板に搭載するようになっている。
【0018】
ここで、本発明者らがチップ部品の飛び出し現象を観察したところ、図6(a)に示すように、カバーテープを剥離する際に、チップ部品はベーステープの移送方向A側が浮き始めて収納凹所から飛び出すことが確認され、図6(b)に示すように、ピックアップを行う際のベーステープの移送停止時にも、チップ部品はベーステープの移送方向A側が浮き始めて収納凹所から飛び出すことが確認された。
【0019】
このような知見に基づいて、本実施形態例に係る包装体では、収納凹所1の底面を移送方向A側へ前下がりに傾斜する載置面1aとすると共に、この載置面1aに対して移送方向Aの下流側に位置する収納凹所1の第1内壁面1bを略直角に形成したので、カバーテープ3を剥離する際に、収納凹所1内のチップ部品4を第1内壁面1bに寄らせて飛び出しにくくすることができる。また、ピックアップを行う際にベーステープ2の移送が停止されたとき、チップ部品4は慣性力に加えて載置面1aの傾斜角度によって第1内壁面1b側へ一層寄りやすくなるため、吸着ノズル6に対するチップ部品4の吸着位置が一定となって安定した取り出しを行うことができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態例に係る包装体は、ベーステープ2に形成された収納凹所1の底面が移送方向A側へ前下がりに傾斜する載置面1aとなっており、この載置面1aに対して移送方向Aの下流側に位置する収納凹所1の第1内壁面1bが略直角に形成されているため、カバーテープ3を剥離する際に、収納凹所1内のチップ部品4は第1内壁面1bに寄って飛び出しにくくなり、しかも、カバーテープ3の剥離後の収納凹所1内におけるチップ部品4の位置が一定となるため、吸着ノズル6による安定した取り出しを行うことができる。
【0021】
また、ベーステープ2の表面に対する載置面1aの傾斜角度をθとしたとき、傾斜角度θが1°未満であると、収納凹所1内のチップ部品4を第1内壁面1bに寄らせる機能が十分に発揮されず、傾斜角度θが10°を超えると、吸着ノズル6の吸着面に対してチップ部品4が大きく傾いて取り出しにくくなるため、本実施形態例の場合、傾斜角度θは1°〜10°の範囲に設定されている。
【符号の説明】
【0022】
1 収納凹所
1a 載置面
1b 第1内壁面
1c 第2内壁面
2 ベーステープ
3 カバーテープ
4 チップ部品
5 送り孔
6 吸着ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6