特許第6662738号(P6662738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662738
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】入力検出装置および電子装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20200227BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20200227BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   G06F3/041 420
   G06F3/044 122
   G06F3/046 A
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-161400(P2016-161400)
(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公開番号】特開2018-28863(P2018-28863A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 忠義
(72)【発明者】
【氏名】水橋 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 隼人
【審査官】 星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−232876(JP,A)
【文献】 特開2014−164770(JP,A)
【文献】 特開2016−126695(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0043284(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0026311(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0192274(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02772838(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動電極と、
前記複数の駆動電極に対向し、所定の配線パターンを有する金属電極と、
遮光膜と、
を備え、
平面視において、前記遮光膜の幅が太い部分に重畳する前記金属電極の配線パターンは、それ以外の部分より太い、入力検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力検出装置において、
前記金属電極は、前記複数の駆動電極と別層に形成されている、入力検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の入力検出装置において、
前記金属電極は、前記複数の駆動電極に電気的に接続されている、入力検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の入力検出装置において、
前記金属電極は、前記複数の駆動電極と絶縁されている、入力検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の入力検出装置において、
第1基板と第2基板との間を保持するスペーサをさらに備え、
平面視において、前記遮光膜の幅が太い部分には前記スペーサが重畳し、
平面視において、前記スペーサが重畳する前記金属電極の配線パターンは、前記スペーサが重畳しない部分より太い、入力検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の入力検出装置において、
赤色画素、緑色画素および青色画素の複数の画素が行列状に配置された画素配列をさらに備え、
平面視において、前記遮光膜の幅が太い部分には、前記赤色画素、前記青色画素またはその両方の画素が重畳し、
平面視において、前記赤色画素、前記青色画素またはその両方の画素が重畳する前記金属電極の配線パターンは、前記赤色画素、前記青色画素またはその両方の画素が重畳しない部分より太い、入力検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の入力検出装置において、
前記複数の駆動電極に駆動電圧を供給する信号配線をさらに備え、
平面視において、前記複数の駆動電極は、第1方向に延在し前記第1方向と交差する第2方向に配列され、
平面視において、前記信号配線は、前記第2方向に延在し前記駆動電圧の供給源に近い第1端部と、この第1端部より遠い第2端部とを含み、
平面視において、前記金属電極の配線パターンが太い部分は、前記信号配線の前記第2端部に位置する駆動電極から前記第1端部に位置する駆動電極に近づくほど少ない、入力検出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の入力検出装置において、
前記複数の駆動電極は、電磁誘導方式の入力検出の駆動電極である、入力検出装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の入力検出装置を備える、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力検出装置および電子装置に関し、特に外部物体の近接を検出可能なタッチ検出機能を有する入力検出装置および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入力検出装置として、いわゆるタッチパネルと呼ばれる、外部物体の近接(以下、接触も含む)を検出可能なタッチ検出機能を有する入力検出装置が注目されている。タッチパネルは、表示装置、例えば液晶表示装置上に装着または液晶表示装置と一体化され、タッチ検出機能付き表示装置として提供される。
【0003】
外部物体として、例えばペンを用いることを可能にしたタッチパネルがある。ペンを用いることにより、例えば小さな領域を指定したり、手書き文字の入力が可能となる。ペンによるタッチを検出する技術は、種々ある。種々ある技術の一つとして、電磁誘導方式がある。電磁誘導方式は、高精度、高い筆圧検出精度を実現することが可能であり、外部物体がタッチパネル表面から離間したホバリング検出機能も実現可能であるため、ペンによるタッチを検出する技術としては有力な技術である。
【0004】
また、外部物体として、指等の検出が可能なタッチ検出装置がある。この場合、検出対象が、ペンと異なるため、タッチを検出する技術としては、電磁誘導方式とは異なる方式が採用される。例えば、指等のタッチにより生じる光学的な変化、抵抗値の変化、あるいは電界の変化を検出する方式が存在する。これらの方式のなかで、電界の変化を検出する方式は、例えば静電容量を用いる静電容量方式がある。静電容量方式は、比較的単純な構造を有し、低消費電力であるため、携帯情報端末などに用いられている。
【0005】
電磁誘導方式のタッチパネルに関する技術は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−49301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電磁誘導方式のタッチパネルの場合、駆動電極の抵抗値を下げて電流量を増やすために、駆動電極に対向する金属電極を配置することが有効である。これは、静電容量方式のタッチパネルより電磁誘導方式のタッチパネルの方が、低抵抗化が必要なことによる。
【0008】
この場合に、金属電極を配置する領域は遮光膜の内側に限定されてしまう。そこで、本発明者らは、金属電極と遮光膜との配置関係を考慮して、駆動電極を低抵抗化する金属電極の配置を検討した。
【0009】
特許文献1には、電磁誘導方式のタッチパネルに関する技術が記載されているが、金属電極と遮光膜との配置関係において、駆動電極を低抵抗化することまでは記載も認識もされていない。
【0010】
本発明の目的は、金属電極と遮光膜との配置関係において、駆動電極を低抵抗化する入力検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係わる入力検出装置は、複数の駆動電極と、複数の駆動電極に対向し、所定の配線パターンを有する金属電極と、遮光膜と、を備える。そして、平面視において、遮光膜の幅が太い部分に重畳する金属電極の配線パターンは、それ以外の部分より太い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(A)および(B)は、表示装置の構成を示す平面図および断面図である。
図2】(A)〜(C)は、磁界検出の原理を示す説明図である。
図3】(A)〜(C)は、電界検出の原理を示す説明図である。
図4】実施の形態1に係わる表示装置の構成を示すブロック図である。
図5】実施の形態1に係わるモジュールの構成を示す平面図である。
図6】実施の形態1に係わる表示領域の画素配列を示す回路図である。
図7】実施の形態1に係わる駆動電極に対向する金属電極と遮光膜との配置関係を示す平面図である。
図8図7のA−B切断線による断面図である。
図9】実施の形態1に対する比較例に係わる駆動電極に対向する金属電極と遮光膜との配置関係を示す平面図である。
図10】実施の形態2に係わる表示装置の磁界発生期間の動作を説明するための平面図である。
図11】実施の形態2に係わる表示装置の課題を説明するための図である。
図12】実施の形態2に係わる表示装置の課題を説明するための図である。
図13図11および図12の磁界発生期間において、駆動電極を流れる電流の値を示す特性図である。
図14】実施の形態2に係わる表示装置の遠端、中間および近端の駆動電極に対向する金属電極の幅の太さを示す説明図である。
図15】実施の形態1および2に係わる電子装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0014】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。以下の説明は、入力検出装置として、タッチ検出機能付き液晶表示装置を例として述べるが、これに限定されるものではない。例えば、入力検出装置は、タッチ検出機能付きOLED表示装置でもよいし、表示機能を有していないタッチパネル等であってもよい。
【0015】
(実施の形態1)
実施の形態1では、ペンによるタッチと指によるタッチの両方を検出することが可能なタッチ検出機能付き液晶表示装置(以下、表示装置とも称する)が提供される。先ず、表示装置の基本的な構成を説明し、次に、この基本的な構成を基にして、ペンによるタッチを検出する磁界検出(以下、磁界タッチ検出、電磁誘導方式による磁界タッチ検出とも称する)および指によるタッチを検出する電界検出(以下、電界タッチ検出、静電容量方式による電界タッチ検出とも称する)の原理を説明する。
【0016】
<表示装置の基本的な構成>
図1は、表示装置の構成を模式的に示す図である。図1において、1は、表示装置を示しており、図1(A)は、表示装置1の平面を示す平面図であり、図1(B)は、表示装置1の断面を示す断面図である。表示装置1は、TFT(Thin Film Transistor)ガラス基板(以下、絶縁性第1基板または単に第1基板とも称する)TGBと、第1基板TGBに積層されたレイヤ(層)、カラーフィルタCFT、CF(Color Filter)ガラス基板(以下、絶縁性第2基板または単に第2基板とも称する)CGBおよび第2基板CGBに積層されたレイヤ(層)を備えている。
【0017】
図1(A)において、TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されたレイヤによって構成された駆動電極を示している。また、RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1に形成されたレイヤによって構成された検出電極を示している。理解を容易にするために、図1(A)では、第1基板TGBと第2基板CGBとが分離して、描かれているが、実際には、図1(B)に示すように、液晶層を挟んで、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように配置されている。
【0018】
第1基板TGBの第1主面TSF1と、第2基板CGBの第2主面CSF2との間には、複数のレイヤと、液晶層等が挟まれているが、図1(B)では、第1主面TSF1と第2主面CSF2との間に挟まれた駆動電極TL(0)〜TL(n+2)、液晶層およびカラーフィルタCFTのみが示されている。また、第2基板CGBの第1主面CSF1には、図1(A)に示すように複数の検出電極RL(0)〜RL(p)と偏光板が配置されている。また、図1(B)において、13は検出電極RL(n)に接続された単位検出回路を示している。
【0019】
本明細書では、表示装置1を、図1(B)に示すように、第2基板CGBおよび第1基板TGBの第1主面CSF1、TSF1側から見たときの状態を、平面視として説明する。第1主面CSF1およびTSF1側から、平面視で見たとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、第1基板TGBの第1主面TSF1において、図1(A)に示すように、行方向(横方向)に延在し、列方向(縦方向)に平行に配置されている。また、検出電極RL(0)〜RL(p)は、第2基板CGBの第1主面CSF1において、図1(A)に示すように、列方向(縦方向)に延在し、行方向(横方向)に平行に配置されている。
【0020】
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)の間には、第2基板CGB、液晶層等が介在している。そのため、駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)は、平面視で見たときには、交差しているが、互いに電気的に分離されている。駆動電極と検出電極との間には、容量が存在するため、図1(B)では、この容量が容量素子として破線で示されている。
【0021】
駆動電極TL(0)〜TL(p)と検出電極RL(0)〜RL(p)とは、平面視で見たとき、直交していることが望ましいが、平面視で見たときに、駆動電極と検出電極とは傾きを持って交差していてもよい。そのため、以下の説明で用いる「直交」は「交差」も含むものと理解されるべきである。
【0022】
<磁界検出の原理>
図2は、磁界検出の原理を示す説明図である。磁界検出の期間は、磁界を発生する磁界発生期間と磁界を検出する磁界検出期間とによって構成される。図2(A)および(C)は、磁界発生期間のときの動作を示しており、図2(B)は、磁界検出期間のときの動作を示している。説明の都合上、図2(A)〜(C)は、図1(A)を90度回転させた状態が示されている。
【0023】
磁界発生期間においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、所定の駆動電極間の端部が、電気的に接続され、端部が接続された駆動電極に、所定の電圧(例えば接地電圧Vs)と磁界駆動信号が供給される。例えば、図1に示した駆動電極TL(0)およびTL(2)のそれぞれの端部のうち、他方の端部が、図1の右側において電気的に接続される。これにより、互いに平行に配置されている駆動電極TL(0)およびTL(2)が、直列的に接続される。駆動電極TL(0)の一方の端部に、図1の左側において、接地電圧Vsを供給し、駆動電極TL(2)の一方の端部に、図1の左側において、磁界駆動信号を供給する。ここで、磁界駆動信号は、その電圧が周期的に変化する信号である。駆動電極TL(0)およびTL(2)によって、この駆動電極により挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界発生コイルが構成され、この磁界発生コイルは、磁界駆動信号の電圧の変化に応じた磁界を、その内側で発生する。
【0024】
図2(A)において、GX(n−1)は、駆動電極TL(0)、TL(2)によって構成された磁界発生コイルを示し、GX(n)〜GX(n+4)のそれぞれは、磁界発生コイルGX(n−1)と同様に、駆動電極TL(1)、TL(3)〜TL(p)によって構成された磁界発生コイルを示している。
【0025】
図2(A)において、CおよびL1は、ペンPenに内蔵されている容量素子およびコイルを示している。容量素子CとコイルL1は、共振回路を構成するように、並列接続されている。磁界発生期間において、磁界発生コイルGX(n−1)〜GX(n+3)のそれぞれの一方の端部には、接地電圧Vsが供給される。磁界駆動信号CLKが、磁界発生コイルGX(n)の他方の端部に供給される。これにより、磁界発生コイルGX(n)が、磁界駆動信号CLKの電圧変化に応じた磁界φ1を発生する。ペンPenが、磁界発生コイルGX(n)に近接していれば、磁界発生コイルGX(n)とコイルL1との間は電磁結合され、磁界φ1によってコイルL1に相互誘導による誘起電圧が発生し、容量素子Cが充電される。
【0026】
次に、図2(B)に示す磁界検出期間に移行する。磁界検出期間においては、検出電極RL(0)〜RL(p)を用いて、磁界の検出が行われる。検出電極RL(0)〜RL(p)は一対の端部を有している。検出電極RL(0)〜RL(p)のうち、所定の検出電極間の他方の端部が、互いに電気的に接続される。例えば、図1に示した検出電極RL(0)とRL(3)のそれぞれの他方の端部が、図1の上側において電気的に接続される。これにより、平行に配置された検出電極RL(0)、RL(3)が直列的に接続される。磁界検出期間においては、検出電極RL(3)の一方の端部に所定の電圧Vsが供給され、検出電極RL(0)の一方の端部が、単位検出回路に接続される。これにより、検出電極RL(0)とRL(3)とによって挟まれた領域(形成された領域)を内側とした磁界検出コイルが形成され、この磁界検出コイルによって、ペンPenからの磁界の検出が行われる。
【0027】
図2(B)において、DY(n−2)は、検出電極RL(0)、RL(3)によって構成された磁界検出コイルを示しており、DY(n−1)〜DY(n+1)は、同様に検出電極RL(2)〜RL(p)によって構成された磁界検出コイルを示している。磁界検出期間のとき、磁界検出コイルDY(n−1)〜DY(n+1)のそれぞれの一方の端部に、所定の電圧Vsが供給され、それぞれの他方の端部における信号Rx(n−2)〜Rx(n+1)が、単位検出回路に供給される。
【0028】
磁界発生期間において、容量素子Cに充電が行われていれば、磁界検出期間のとき、コイルL1は、容量素子Cに充電されている電荷に従って、共振回路の共振周波数に応じて変化する磁界φ2を発生する。図2(B)では、磁界検出コイルDY(n)の内側に、コイルL1の中心(一点鎖線)が存在している。そのため、磁界検出コイルDY(n)とコイルL1との間で電磁結合が発生し、相互誘導によって、磁界検出コイルDY(n)に誘起電圧が発生する。その結果、磁界検出コイルDY(n)の他方の端部における信号Rx(n)は、容量素子Cに充電されている電荷量に応じて変化することになる。磁界検出コイルDY(n)に接続された単位検出回路は、この信号Rx(n)の変化を検出信号として出力する。これにより、ペンPenが近接(タッチ)しているか否か、および座標を抽出することが可能となる。また、電荷量に応じて検出信号が変化するため、ペンPenとの距離を求めることが可能となる。
【0029】
図2(C)は、図2(B)に続いて移行した磁界発生期間を示している。図2(A)と異なるのは、磁界発生コイルGX(n+1)に磁界駆動信号CLKが供給されていることである。ペンPenの位置は変化していないため、図2(C)に示した磁界発生期間においては、コイルL1に誘起電圧が発生せず、容量素子Cは充電されない。これにより、図2(C)に続いて移行する磁界検出期間においては、ペンPenが近接していないと検出される。以降、同様にして、ペンPenの検出が行われる。
【0030】
<電界検出の原理>
図3は、電界検出の原理を示す説明図である。図3(A)において、12−0〜12−pのそれぞれは、電界駆動信号を出力する単位駆動回路を示し、13−0〜13−pのそれぞれは、単位検出回路を示している。また、図3(A)において、実線の○で囲んだパルス信号は、駆動電極TL(2)へ供給される電界駆動信号Tx(2)の波形を示している。外部物体として、指がFGとして示されている。
【0031】
駆動電極TL(2)に、電界駆動信号Tx(2)が供給されると、図3(B)に示すように、駆動電極TL(2)と、この駆動電極TL(2)と直交する検出電極RL(n)との間で電界が発生する。このとき、指FGが、駆動電極TL(2)の近傍をタッチしていると、指FGと駆動電極TL(2)との間でも電界が発生し、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間で発生している電界が減少する。これにより、駆動電極TL(2)と検出電極RL(n)との間の電荷量が減少する。その結果、図3(C)に示すように、駆動信号Tx(2)の供給に応答して生じる電荷量は、指FGがタッチしているときは、タッチしていないときに比べてΔQだけ減少する。電荷量の差は、電圧の差として表れ、単位検出回路13−nに供給され、検出信号として出力される。
【0032】
他の駆動電極についても、同様にして、電界駆動信号を供給することにより、指FGがタッチしているか否かに応じた信号の電圧変化が、検出電極RL(0)〜RL(p)に生じ、検出信号として出力されることになる。これにより、指FGがタッチしているか否か、および座標を抽出することが可能となる。
【0033】
上記したように、磁界検出の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)のうち、選択された駆動電極に磁界駆動信号が供給され、電界検出の際には、選択された駆動電極に電界駆動信号が供給される。一方、表示の際には、駆動電極TL(0)〜TL(p)に、表示駆動信号が供給される。表示駆動信号によって、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれは、同じ電圧とされるため、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、1個の共通電極と見なすことができる。
【0034】
<表示装置の全体構成>
図4は、実施の形態1に係わる表示装置1の構成を示すブロック図である。図4において、表示装置1は、表示パネル(液晶パネル)、制御装置3、ゲートドライバ4(ゲートドライバ4L、4R)およびタッチ制御装置5を備えている。また、表示装置1は、駆動回路DRVL、DRVRおよび検出回路DETを備えている。表示パネルは、表示を行う表示領域とその周辺の額縁領域とを備えている。表示と言う観点で見た場合、表示領域はアクティブ領域であり、表示領域を包囲する額縁領域は非アクティブ領域である。図4では、2が、表示領域である。また、この表示領域2は、電磁誘導方式による磁界タッチ検出および静電容量方式による電界タッチ検出の検出領域である。
【0035】
表示領域2は、複数の画素が行列状に配置された画素配列を有している。画素配列には、複数の信号線、複数の駆動電極、複数の走査線および複数の検出電極が配置されている。図4を参照して述べると、画素配列において、信号線SL(0)〜SL(p)は、縦方向(列方向)に延在し、横方向(行方向)に平行に配置されている。また、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置されている。さらに、走査線は、横方向に延在し、縦方向に平行に配置され、検出電極RL(0)〜RL(p)は、縦方向に延在し、横方向に平行に配置されている。この場合、画素は、かかる複数の信号線と複数の走査線とが交差することにより形成される空間に配置されている。表示の期間(表示期間)においては、信号線と走査線により、画素が選択され、選択された画素には、そのときの信号線の電圧と、駆動電極の電圧が印加され、信号線と駆動電極との間の電圧差に従った表示が行われる。
【0036】
制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号と入力端子Tiに供給される画像情報とを受け、表示期間のとき、画像情報に従った画像信号を形成し、複数の信号線SL(0)〜SL(p)に供給する。また、制御装置3は、外部端子Ttに供給されるタイミング信号とタッチ制御装置5からの制御信号SWとを受け、種々の信号を形成する。図4には、制御装置3により形成される信号のうち、説明に必要な信号のみが、代表として描かれている。すなわち、制御装置3は、同期信号TSHDおよび制御信号CNTL、CNTRを形成する。また、特に制限されないが、制御装置3は、駆動信号TPL、TSVを形成する。
【0037】
同期信号TSHDは、表示領域2において表示を行う表示期間とタッチ検出を行うタッチ検出期間とを識別する同期信号である。制御装置3は、この同期信号TSHDによって、タッチ制御装置5が、タッチ検出期間の際に動作するように制御する。
【0038】
ゲートドライバ4は、表示のとき、制御装置3からのタイミング信号に従って走査線信号Vs0〜Vspを形成し、表示領域2内の走査線に供給する。表示期間においては、ハイレベルの走査線信号が供給されている走査線に接続されている画素が選択され、選択された画素は、そのとき信号線SL(0)〜SL(p)に供給されている画像信号に従った表示を行う。
【0039】
検出回路DETは、電磁誘導方式による磁界タッチ検出および静電容量方式による電界タッチ検出の際に、検出電極RL(0)〜RL(p)における信号の変化を検出し、検出信号Rx(0)〜Rx(p)として出力する。
【0040】
タッチ制御装置5は、検出信号Rx(0)〜Rx(p)を受け、タッチされた位置の座標を抽出し、外部端子Toから出力する。また、タッチ制御装置5は、制御信号SWを出力するとともに、同期信号TSHDを受け、制御装置3に同期して動作する。
【0041】
表示領域2は、画素配列の行に平行した辺2−U、2−Dと、画素配列の列に平行した辺2−R、2−Lを有している。ここで、辺2−Uと辺2−Dは、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)と複数の走査線が配置されている。また、辺2−Rと辺2−Lも、互いに対向した辺であり、この2辺の間に、画素配列における複数の信号線SL(0)〜SL(p)と複数の検出電極RL(0)〜RL(p)が配置されている。
【0042】
駆動回路DRVLは、表示領域2の辺2−Lに沿って配置され、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの一方の端部に接続されている。同様に、駆動回路DRVRは、表示領域2の辺2−Rに沿って配置され、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれの他方の端部に接続されている。
【0043】
駆動回路DRVL、DRVRは、磁界タッチ検出のとき、駆動電極TL(0)〜TL(p)から、所望の駆動電極を選択し、選択した駆動電極に磁界駆動信号を供給し、電界タッチ検出のときにも、所望の駆動電極を選択し、選択した駆動電極に電界駆動信号を供給する。
【0044】
図4において、TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれは、信号配線を示している。信号配線TPLLおよびTSVLは、表示領域2の辺2−Lに沿って延在している。同様に、信号配線TPLRおよびTSVRは、表示領域2の辺2−Rに沿って延在している。
【0045】
駆動回路DRVLは、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、選択した駆動電極を、信号配線TPLLまたはTSVLに接続する。同様に、駆動回路DRVRは、磁界タッチ検出および電界タッチ検出のとき、選択した駆動電極を、信号配線TPLRまたはTSVRに接続する。
【0046】
制御装置3によって形成された駆動信号TPLおよびTSVが、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRのそれぞれの端部に供給される。磁界タッチ検出のときには、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TPLおよびTSVが、選択した駆動電極に供給され、磁界が発生する。また、電界タッチ検出の際には、信号配線TPLL、TPLRおよびTSVL、TSVRを伝搬している駆動信号TPLおよびTSVが、選択した駆動電極に供給され、電界が発生する。
【0047】
<表示装置のモジュール構成>
図5は、実施の形態1に係わる表示装置1を実装したモジュール500の全体構成を示す模式的な平面図である。模式的ではあるが、図5は、実際の配置に合わせて描かれている。同図において、501は、図1で示した第1基板TGBの領域を示し、502は、第1基板TGBと第2基板CGBとが積層された領域を示している。モジュール500において、第1基板TGBは、領域501と502において一体となっている。また、領域502では、第1基板TGBの第1主面TSF1と第2基板CGBの第2主面CSF2とが対向するように、第1基板TGBに第2基板CGBが搭載されている。また、図5において、500−U、500−Dは、モジュール500の短辺を示しており、500−L、500−Rは、モジュール500の長辺を示している。
【0048】
領域502であって、表示領域2の辺2−Lとモジュール500の辺500−Lとの間の左辺額縁領域には、図4で示したゲートドライバ4Lおよび駆動回路DRVLが配置されている。表示領域2の辺2−Rとモジュール500の辺500−Rとの間の右辺額縁領域には、図4で示したゲートドライバ4Rおよび駆動回路DRVRが配置されている。表示領域2の辺2−Dとモジュール500の辺500−Dとの間の下辺額縁領域には、図4で示した検出回路DETおよび制御装置3が配置されている。検出回路DETは、領域501の第1基板TGBの第1主面TSF1に形成された配線および部品により構成されている。平面視で見たとき、検出回路DETを覆うように、制御装置3が、第1基板TGBに実装されている。また、駆動回路DRVL、DRVRを構成する配線および部品も、領域502における第1基板TGBの第1主面TSF1に形成されている。
【0049】
図4において説明した検出信号Rx(0)〜Rx(p)は、フレキシブルケーブルFB1内の配線を介して、タッチ制御装置5に供給される。領域501には、フレキシブルケーブルFB2が接続されており、このフレキシブルケーブルFB2に設けられたコネクタCNを介して、タッチ制御装置5と制御装置3との間で信号の送受信が行われる。
【0050】
表示領域2には、既に述べたように、複数の画素が行列状に配列された画素配列を有しており、画素配列の行に沿って配置された複数の駆動電極TL(0)〜TL(p)および走査線と、配列の列に沿って配置された複数の信号線SL(0)〜SL(p)と複数の検出電極RL(0)〜RL(p)とを備えている。図5には、例として、2個の駆動電極TL(n)、TL(m)と2個の信号線SL(k)、SL(n)と3個の検出電極RL(n−2)〜RL(n)が示されている。なお、図5では、走査線は、省略されているが、走査線は、例示した駆動電極TL(n)、TL(m)と平行して、延在している。
【0051】
また、図5には、画素配列が、破線PDMとして示されており、画素配列PDMに配置されている複数の画素のうち、表示領域2の4個の角に配置されている画素と、例示した駆動電極および信号線との交差部に配置された画素が、Pixとして示されている。
【0052】
<表示領域の画素配列>
図6は、実施の形態1に係わる表示領域2の画素配列を示す回路図である。図6に示すように、表示領域2には、複数の画素Pixが行列状に配置された画素配列を有している。各画素Pixは、赤色、緑色および青色の3つの副画素SPixが1組の画素に対応している。画素配列には、複数の信号線、複数の走査線および複数の駆動電極が配置されている。赤色、緑色および青色の各副画素SPixは、複数の信号線と複数の走査線とが交差することにより形成される空間に配置されている。
【0053】
図6では、例として、複数の信号線SL(k)〜SL(k+3)、複数の走査線GL(m)〜GL(m+3)および複数の駆動電極TL(n)〜TL(n+2)の部分を示している。複数の信号線SL(k)〜SL(k+3)は、列方向に延在し、行方向に平行に配置されている。複数の走査線GL(m)〜GL(m+3)は、行方向に延在し、列方向に平行に配置されている。複数の駆動電極TL(n)〜TL(n+2)は、行方向に延在し、列方向に平行に配置されている。赤色、緑色および青色の各副画素SPixは、複数の信号線SL(k)〜SL(k+3)と複数の走査線GL(m)〜GL(m+3)とが交差することにより形成される空間に配置されている。
【0054】
副画素SPixは、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)素子Tr、液晶素子LCおよび保持容量Cを備えている。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは信号線SL(k)〜SL(k+3)に接続され、ゲートは走査線GL(m)〜GL(m+3)に接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極TL(n)〜TL(n+2)に接続されている。保持容量Cは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極TL(n)〜TL(n+2)に接続されている。
【0055】
実施の形態1に係わる表示装置1では、図4で示したゲートドライバ4が走査線GL(m)〜GL(m+3)を順次走査するように駆動することにより、1水平ライン(行列状に配置された画素Pixのうちの1行)が順次選択される。また、表示装置1は、1水平ラインに属する画素Pixに対して、図4で示した制御装置3が信号線SL(k)〜SL(k+3)を介して画像信号を供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われる。この表示動作を行う際、図4で示した駆動回路DRVL、DRVRは、その1水平ラインに対応する駆動電極TL(n)〜TL(n+2)に対して駆動信号を印加するようになっている。
【0056】
この表示装置1の表示領域2には、平面視において、図6に示すように、複数の信号線SL(k)〜SL(k+3)と複数の走査線GL(m)〜GL(m+3)が遮光膜BMと重なる領域に配置されている。また、表示領域2は、遮光膜BMが配置されていない領域が開口部OPとなる。遮光膜BMは、各副画素SPixの境界に配置されることで、格子形状となる。開口部OPは、遮光膜BMの格子形状で形成されている開口であり、副画素SPixに対応して配置されている。赤色の副画素SPixの開口部はOP(R)で示し、緑色の副画素SPixの開口部はOP(G)で示し、青色の副画素SPixの開口部はOP(B)で示している。
【0057】
<駆動電極に対向する金属電極と遮光膜との配置関係>
図7図9は、駆動電極に対向する金属電極と遮光膜との配置関係を説明するための図であり、このうち、図7および図8は、実施の形態1を説明する図であり、図9は、実施の形態1に対する比較例を説明する図である。
【0058】
実施の形態1に係わる表示装置1のように、電磁誘導方式のタッチパネルの場合、駆動電極の抵抗値を下げて電流量を増やすために、駆動電極に対向する金属電極を配置することが有効である。これは、静電容量方式のタッチパネルより電磁誘導方式のタッチパネルの方が、低抵抗化が必要なことによる。
【0059】
この場合に、金属電極を配置する領域は遮光膜の内側に限定されてしまう。そこで、実施の形態1では、金属電極と遮光膜との配置関係において、駆動電極を低抵抗化する入力検出装置を有する表示装置を提供することにある。
【0060】
まず、実施の形態1に係わる駆動電極に対向する金属電極と遮光膜との配置関係の特徴を分かり易くするために、実施の形態1に対する比較例について説明する。図9は、実施の形態1に対する比較例に係わる駆動電極に対向する金属電極と遮光膜との配置関係を示す平面図である。図9は、平面視で図示しており、赤色画素、緑色画素、青色画素および赤色画素の4つの画素配列の部分を示している。
【0061】
表示装置1においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)の低抵抗化のため、駆動電極に金属電極MLを対向して配置する方法がある。その場合、金属電極MLによる配線層による反射を抑えるため、遮光膜BMに包含される形で金属電極MLを配置する必要がある。図9の例では、金属電極MLを走査線GL(m)に沿った直線形状にしている。すなわち、赤色画素、緑色画素および青色画素の画素配列において、金属電極MLは走査線GL(m)に沿って同じ太さの幅L31で形成している。この場合に、金属電極MLが重畳する遮光膜BMは、金属電極MLより太い幅L21で走査線GLに沿って形成している。
【0062】
図9に示す実施の形態1に対する比較例では、金属電極MLを配置する領域は遮光膜BMの内側に限定されてしまうため、金属電極MLと遮光膜BMとの配置関係を考慮して、より一層、駆動電極TLを低抵抗化することが求められている。
【0063】
そこで、実施の形態1においては、図7および図8に示すような工夫を施している。図7は、実施の形態1に係わる駆動電極に対向する金属電極と遮光膜との配置関係を示す平面図である。図7は、平面視で図示しており、赤色画素、緑色画素、青色画素および赤色画素の4つの画素配列の部分を示している。図8は、図7のA−B切断線による断面図である。
【0064】
図7および図8において、SL(k)〜SL(k+3)は信号線、GL(m)〜GL(m+1)は走査線、TL(n)は駆動電極をそれぞれ示す。駆動電極TL(n)の開口部をTLOで示している。また、BMは遮光膜を示し、この遮光膜BMの開口部をOP(R)、OP(G)およびOP(B)で示している。開口部OPにおける(R)は赤色画素、(G)は緑色画素、(B)は青色画素にそれぞれ対応する。また、MLは金属電極、SPはスペーサ、PL(R)、PL(G)およびPL(B)は画素電極をそれぞれ示す。画素電極PLにおける(R)は赤色画素、(G)は緑色画素、(B)は青色画素にそれぞれ対応する。また、CN1〜CN3はコンタクト、CNWはコンタクト用配線、IS1〜IS3は絶縁層をそれぞれ示す。コンタクトCN1は絶縁層IS1、コンタクトCN2は絶縁層IS2、コンタクトCN3は絶縁層IS3のそれぞれの開口部を通じたコンタクトであり、コンタクトCN2とCN3はコンタクト用配線CNWを台座としている。
【0065】
実施の形態1に係わる表示装置1は、図7および図8に示すように、第1基板(TFTガラス基板)TGB、第1基板TGBに対向して配置された第2基板(CFガラス基板)CGB、および第1基板TGBと第2基板CGBとの間に挟まれた液晶層LCLを備えている。なお、第1基板TGBの液晶層LCLとは反対側の面には、図示しないバックライトが配置されている。
【0066】
第2基板CGBは、ガラス基板GBC、およびこのガラス基板GBCの一方の面に形成されたカラーフィルタCFTを含む。カラーフィルタCFTは、格子形状の遮光膜BMと、開口部OP(R)、OP(G)、OP(B)とを有する。遮光膜BMは、光の吸収率が高い材料で形成されている。カラーフィルタCFTは、開口部OP(R)、OP(G)、OP(B)に赤色、緑色、青色の3色に着色された色領域を周期的に配列して、図6に示す3つの副画素SPixを1組とする画素Pixに対応付けられている。
【0067】
第1基板TGBは、ガラス基板GBT、このガラス基板GBT上に格子状に配設された複数の画素電極PL(R)、PL(G)、PL(B)、駆動電極TL(n)、および絶縁層IS3を含む。駆動電極TL(n)上には、金属電極MLが対向して形成されている。駆動電極TL(n)は、例えば酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)のような透明導電性材料で形成されている。金属電極MLは、駆動電極TL(n)よりも導電率が高い金属材料、例えばTi(チタン)やAL(アルミニウム)などの金属で形成されている。
【0068】
第1基板TGBには、各画素電極PL(R)、PL(G)、PL(B)に画素信号を供給する信号線、およびTFT素子を駆動する走査線などの配線が積層して形成されている。図8では、走査線GL(m)を図示している。各画素電極PL(R)、PL(G)、PL(B)はコンタクトCN3、CN2を通じてコンタクト用配線CNWに接続され、さらにコンタクトCN1を通じて信号線に接続されている。TFT素子と信号線と走査線とは、コンタクトCN1、CN2により接続する部分を除いて、間に絶縁層IS1、IS2が形成されている。つまり、TFT素子と信号線と走査線とは、異なる層に形成されている。
【0069】
実施の形態1においては、図7に示すように、遮光膜BMを、信号線SL(k)〜SL(k+3)および走査線GL(m)を包含する形で配置する。これは、信号線SL(k)〜SL(k+3)および走査線GL(m)の配線層による反射を抑えるためである。その際の遮光膜BMの形状は、反射を防ぐのに必要最低限の寸法にして開口率を最大化するのが通常であり、特に視認性の高い緑色画素は開口率を最大化することが多い。実施の形態1においても、遮光膜BMの形状は緑色画素の開口率を最大化する。開口率は、開口部OP(R)、OP(G)、OP(B)を大きくする程、大きくなる。図7では、緑色画素の開口部OP(G)を大きくして、緑色画素の開口率を最大化している。この緑色画素において、走査線GL(m)に沿った遮光膜BMの幅L1は細くしている。
【0070】
一方、ホワイトバランスを最適化するため、赤色画素、青色画素では緑色画素よりも遮光膜BMの幅を太くして開口率を下げる手法を用いる場合がある。実施の形態1においても、赤色画素、青色画素またはその両方の画素では緑色画素よりも遮光膜BMの幅を太くして開口率を下げる。図7では、左端の赤色画素において、走査線GL(m)に沿った遮光膜BMの幅L2を太くしている。
【0071】
また、第1基板TGBと第2基板CGBとの間を保持するためのスペーサSPを置く必要があるが、その周辺は液晶の配向が乱れやすい。そこを遮光する必要があるため、遮光膜BMの幅をさらに太くする場合がある。実施の形態1においても、スペーサSPの周辺の画素では遮光膜BMの幅をさらに太くする。図7では、右端の赤色画素および青色画素において、走査線GL(m)に沿った遮光膜BMの幅L3を太くしている。
【0072】
実施の形態1では、上記のような遮光膜BMの幅が太い部分が存在する箇所については、図7に示すように、金属電極MLの配線パターンも幅を太くして形成する。図7では、走査線GL(m)に沿った遮光膜BMの幅は、緑色画素の幅L1が最も細く、これに比べて、左端の赤色画素の幅L2を太くし、右端の赤色画素および青色画素の幅L3をさらに太くしている。これに対応して、金属電極MLの配線パターンの幅は、緑色画素の幅L11が最も細く、これに比べて、左端の赤色画素の幅L12を太くし、右端の赤色画素および青色画素の幅L13をさらに太くしている。遮光膜BMの幅および金属電極MLの配線パターンの幅は、走査線GL(m)が延在する方向と交差する方向の寸法である。
【0073】
このように、実施の形態1においては、平面視において、遮光膜BMの幅が太い部分に重畳する金属電極MLの配線パターンは、それ以外の部分より太い形状になっている。具体的には、遮光膜BMの幅が太い部分にはスペーサSPが重畳し、スペーサSPが重畳する金属電極MLの配線パターンはスペーサSPが重畳しない部分より太い。また、遮光膜BMの幅が太い部分には赤色画素、青色画素またはその両方の画素が重畳し、赤色画素、青色画素またはその両方の画素が重畳する金属電極MLの配線パターンは、赤色画素、青色画素またはその両方の画素が重畳しない部分より太い。このため、金属電極MLは、図9に示した比較例のような単純な直線形状ではなく、実施の形態では、図7に示すように、遮光膜BMの形状に応じた段差形状となる。
【0074】
これにより、実施の形態1によれば、開口率を落とすことなく、直線形状で形成する場合よりもトータルの抵抗値を下げることができる。すなわち、金属電極MLと遮光膜BMとの配置関係において、駆動電極を低抵抗化することができる。この結果、電磁誘導方式のタッチパネルに適用することで、駆動電極の時定数を下げ、タッチ性能の向上を図ることができる。さらには、電磁誘導方式と静電容量方式との両方式で検出するタッチパネルに適用した場合でも、高精度なタッチ性能を得ることができる。
【0075】
実施の形態1においては、図8に示すように、金属電極MLは、駆動電極TL(n)と別層に形成されている。すなわち、駆動電極TL(n)が形成された層の上層に金属電極MLが形成されている。この金属電極MLと駆動電極TL(n)とは、面接触でオーミック接続するように、電気的に接続されている。
【0076】
この実施の形態1において、金属電極MLと駆動電極TL(n)との電気的な接続は、面接触でオーミック接続する場合に限られるものではない。例えば、駆動電極TL(n)上に絶縁層を介して金属電極MLを形成し、絶縁層の開口部を通じて金属電極MLと駆動電極TL(n)とを電気的に接続するようにしてもよい。この場合には、金属電極MLは駆動電極TL(n)と絶縁され、金属電極MLと駆動電極TL(n)とは開口部を通じて電気的に接続されるようになる。
【0077】
(実施の形態2)
実施の形態2に係わる表示装置1について、図10図14を用いて説明する。この実施の形態2では、先に説明した実施の形態1との相違点を主に説明する。実施の形態2は、実施の形態1における駆動電極の低抵抗化の考え方を、表示領域全体における遠端、中間および近端の駆動電極の配置まで考慮した例である。
【0078】
<磁界発生期間の動作>
図10は、実施の形態2に係わる表示装置1の磁界発生期間の動作を説明するための平面図である。前述した図2では、離間して配置された2本の駆動電極の端部を直列に接続してループ状の磁界発生コイルを構成する例により磁界タッチ検出の原理を示したが、本実施の形態2では、磁界タッチ検出の時、離間して配置された複数個の駆動電極を同時に選択し、互いに電流が反対の向きに流れるように、駆動電圧を供給する。
【0079】
図10において、TL(0)〜TL(p)は、駆動電極を示している。駆動電極TL(0)〜TL(p)は、平面視で見たとき、互いに平行に配置されており、それぞれの駆動電極が、一対の端部n1、n2を備えている。
【0080】
図10において、DRVL、DRVRは、図4に示した駆動回路を示している。駆動回路DRVL、DRVRは、駆動電極TL(0)〜TL(p)のそれぞれに対応する選択回路SEL(0)〜SEL(p)およびSER(0)〜SER(p)と、これらの選択回路のそれぞれに対応する一対のスイッチS1L、S2L、S1RおよびS2Rとを備えている。
【0081】
選択回路SEL(0)〜SEL(p)およびSER(0)〜SER(p)のそれぞれは、選択信号により、各選択回路に対応するスイッチS1L、S2L、S1RおよびS2Rを切り替えて、対応する駆動電極TL(0)〜TL(p)を選択する。各選択回路に対応するスイッチS1L、S2L、S1RおよびS2Rのそれぞれは、対応する選択回路からの選択信号によりオン状態となる。
【0082】
選択回路SEL(0)〜SEL(p)に対応するスイッチS1Lは、選択信号によりオン状態となることで、信号配線TPLLと、対応する駆動電極TL(0)〜TL(p)の一方の端部n1とを接続する。選択回路SEL(0)〜SEL(p)に対応するスイッチS2Lは、選択信号によりオン状態となることで、信号配線TSVLと、対応する駆動電極TL(0)〜TL(p)の一方の端部n1とを接続する。
【0083】
選択回路SER(0)〜SER(p)に対応するスイッチS1Rは、選択信号によりオン状態となることで、信号配線TPLRと、対応する駆動電極TL(0)〜TL(p)の他方の端部n2とを接続する。選択回路SER(0)〜SER(p)に対応するスイッチS2Rは、選択信号によりオン状態となることで、信号配線TSVRと、対応する駆動電極TL(0)〜TL(p)の他方の端部n2とを接続する。
【0084】
この実施の形態1において、信号配線TPLLおよびTPLRに供給する駆動信号TPLは、直流電圧である。この直流電圧の駆動信号TPLは、例えば接地電圧のような電圧Vsの信号である。また、信号配線TSVLおよびTSVRに供給する駆動信号TSVは、交流電圧である。この交流電圧の駆動信号TSVは、例えば接地電圧のような電圧Vsと、この電圧Vsより高い電圧Vdとの間で周期的に変化する信号である。
【0085】
ここでは、駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生する場合を説明する。磁界発生期間のとき、磁界を発生する駆動電極の領域を挟むように配置された一方の複数個の駆動電極と他方の複数個の駆動電極とが選択され、選択された一方の複数個の駆動電極と他方の複数個の駆動電極とにおいて流れる電流の方向が反対になるように、一方の複数個の駆動電極と他方の複数個の駆動電極とが駆動される。
【0086】
図10においては、隣り合った3個の駆動電極が、束とされ、束の駆動電極(以下、束駆動電極とも称する)が、対を構成する駆動電極として用いられる。すなわち、駆動電極TL(1)〜TL(3)が束とされ、束駆動電極が構成され、駆動電極TL(5)〜TL(7)が束とされ、束駆動電極が構成されている。
【0087】
磁界発生期間において、磁界を発生する領域に対応する駆動電極TL(4)を挟むように配置された、3個の駆動電極TL(1)〜TL(3)および3個の駆動電極TL(5)〜TL(7)が、対応する選択回路SEL(1)〜SEL(3)、SER(1)〜SER(3)、SEL(5)〜SEL(7)およびSER(5)〜SER(7)によって選択される。
【0088】
選択回路SER(1)〜SER(3)は、選択信号によりスイッチS2Rをオンにして、選択した駆動電極TL(1)〜TL(3)を、信号配線TSVRに接続する。同様に、選択回路SEL(1)〜SEL(3)は、選択信号によりスイッチS1Lをオンにして、選択した駆動電極TL(1)〜TL(3)を、信号配線TPLLに接続する。選択した駆動電極TL(1)〜TL(3)は、他方の端部n2に、信号配線TSVRから電圧Vdが供給され、一方の端部n1に、信号配線TPLLから電圧Vsが供給される。図10では、電圧Vdが+で示されており、電圧Vsが0で示されている。
【0089】
同時に、選択回路SEL(5)〜SEL(7)は、選択信号によりスイッチS2Lをオンにして、選択した駆動電極TL(5)〜TL(7)を、信号配線TSVLに接続する。同様に、選択回路SER(5)〜SER(7)は、選択信号によりスイッチS1Rをオンにして、選択した駆動電極TL(5)〜TL(7)を、信号配線TPLRに接続する。選択した駆動電極TL(5)〜TL(7)は、一方の端部n1に、信号配線TSVLから電圧Vdが供給され、他方の端部n2に、信号配線TPLRから電圧Vsが供給される。
【0090】
これにより、駆動電極TL(1)〜TL(3)に、その他方の端部n2から一方の端部n1に向けて電圧差によって矢印の電流I1が流れ、磁界φ1が発生する。同時に、駆動電極TL(5)〜TL(7)に、その一方の端部n1から他方の端部n2に向けて電圧差によって矢印の電流I2が流れ、磁界φ2が発生する。駆動電極TL(1)〜TL(3)によって発生した磁界φ1と、駆動電極TL(5)〜TL(7)によって発生した磁界φ2が、駆動電極TL(4)の領域において、重畳されることになり、強い磁界を駆動電極TL(4)の領域で発生させることが可能となる。
【0091】
磁界発生期間において発生した磁界によって、ペンPenの容量素子に電荷が蓄積され、磁界検出期間において、ペンPenが発生する磁界を、磁界検出コイルで検出するのは、先に図2を用いて説明したのと同様である。
【0092】
<遠端および近端の駆動電極に対向する金属電極>
図11および図12は、実施の形態2に係わる表示装置1の課題を説明するための図であり、図11は駆動回路と遠端の駆動電極の構成を示す平面図であり、図12は、駆動回路と近端の駆動電極の構成を示す平面図である。
【0093】
図11および図12において、nVL、nVRは、信号配線TSVL、TSVRの端部を示しており、nLL、nLRは、信号配線TPLL、TPLRの端部を示している。信号配線TSVL、TSVR、TPLLおよびTPLRの端部nVL、nVR、nLLおよびnLRは、駆動信号の供給源である制御装置3に接続されている。磁界発生期間において、制御装置3が、信号配線TSVLの端部nVLおよび信号配線TSVRの端部nVRに、電圧Vdを有する駆動信号TSVを供給し、信号配線TPLLの端部nLLおよび信号配線TPLRの端部nLRに、電圧Vsを有する駆動信号TPLを供給する。
【0094】
図11には、表示領域2の辺2−U側に近接した駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生する場合のスイッチS1L、S1R、S2LおよびS2Rの状態が示されている。これに対して、図12には、表示領域2の辺2−D側に近接した駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生する場合のスイッチS1L、S1R、S2LおよびS2Rの状態が示されている。
【0095】
図11および図12において、信号配線TSVL、TSVR、TPLLおよびTPLR上に示されているRは、それぞれの信号配線に付随する抵抗成分を、分布定数の抵抗として示している。
【0096】
図11に示すように、駆動電極TL(4)の領域において磁界を発生するとき、駆動電極TL(1)〜TL(3)の端部n1、n2に接続されたスイッチS1L、S2Rがオン状態となり、駆動電極TL(5)〜TL(7)の端部n1、n2に接続されたスイッチS2L、スイッチS1Rがオン状態となる。これにより、駆動電極TL(1)〜TL(3)には、駆動電極TL(2)に例示しているような方向の電流I1Fが流れ、駆動電極TL(5)〜TL(7)には、駆動電極TL(6)に例示しているような方向の電流I2Fが流れることになり、駆動電極TL(4)の領域において磁界が発生することになる。
【0097】
同様に、図12に示すように、駆動電極TL(p−4)の領域において磁界を発生するとき、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)の端部n1、n2に接続されたスイッチS1L、S2Rがオン状態となり、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)の端部n1、n2に接続されたスイッチS2L、S1Rがオン状態となる。これにより、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)には、駆動電極TL(p−6)に例示しているような方向の電流I1Nが流れ、駆動電極TL(p−3)〜TL(p−1)には、駆動電極TL(p−2)に例示しているような方向の電流I2Nが流れることになり、駆動電極TL(p−4)の領域において磁界が発生することになる。
【0098】
駆動電極TL(p−4)の領域において、磁界を発生する場合、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)は、駆動信号TPL、TSVが供給される信号配線TPLL、TPLR、TSVLおよびTSVRの端部nLL、nLR、nVLおよびnVRに、平面視において近接しているため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rは少なくなる。そのため、図12では、磁界発生期間において、端部nLL、nLR、nVLおよびnVRを流れる電流とほぼ同じ値の電流が、電流I1N、I2Nとして、これらの駆動電極を流れることになる。
【0099】
これに対して、駆動電極TL(4)の領域において、磁界を発生する場合、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)は、信号配線の端部nLL、nLR、nVLおよびnVRから、平面視において離れているため、これらの駆動電極の端部n1、n2と信号配線の端部との間に接続される抵抗Rが多くなる。そのため、図11では、磁界発生期間において、図12に比べて小さな値の電流が、電流I1F、I2Fとして、これらの駆動電極を流れることになる。
【0100】
駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)を流れる電流の値が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)を流れる電流の値に比べ、小さくなるため、駆動電極TL(1)〜TL(3)およびTL(5)〜TL(7)によって発生する磁界が、駆動電極TL(p−7)〜TL(p−5)およびTL(p−3)〜TL(p−1)によって発生する磁界に比べて弱くなる。その結果として、駆動電極TL(4)の領域において発生する磁界が、駆動電極TL(p−4)の領域において発生する磁界よりも弱くなる。すなわち、端部nLL、nLR、nVLおよびnVRから平面視において離れた位置に配置されている駆動電極によって発生する磁界は、端部nLL、nLR、nVLおよびnVRの近傍の位置に配置されている駆動電極によって発生する磁界よりも弱くなる。
【0101】
図13は、図11および図12の磁界発生期間において、駆動電極を流れる電流値を示す特性図である。図13は、本発明者らが測定して、作成した特性図である。図13において、横軸は、駆動電極の位置を示しており、近端は、駆動信号TPL、TSVが供給される端部nLL、nLR、nVLおよびnVRに近接して配置された駆動電極TL(p)を示しており、遠端は、端部nLL、nLR、nVLおよびnVRから離れて配置された駆動電極TL(0)を示している。駆動電極TL(p)からTL(0)の順に、信号配線の端部から離れて配置されている。図13の縦軸は、駆動電極を流れている電流値を示している。図13から理解されるように、磁界発生期間においては、近端から遠端に向かって、駆動電極を流れる電流値が小さくなっている。また、本発明者らが測定した結果では、近端の駆動電極を流れる電流値は、遠端の駆動電極を流れる電流に対して、約3倍の値を有している。
【0102】
駆動電極を流れる電流値が、近端から遠端に向かって小さくなると、発生する磁界も、近端から遠端に向かって弱くなる。そのため、磁界発生期間において、ペンPenの容量素子に蓄積される電荷量も、タッチしている位置によって異なることになる。その結果、磁界検出期間において、磁界検出コイルにより検出される変化量も変わることになり、検出感度が位置に依存してばらつくことになる。例えば、図4に示したタッチ制御装置5において、受信した検出信号Rx(0)〜Rx(p)を調整することにより、検出感度のバラツキを低減し、位置に対して一定にすることが考えられるが、図13に示すように、駆動電極を流れる電流が3倍も異なると、発生する磁界の変化が大きく、検出感度が一定となるように、調整するのは容易ではない。
【0103】
そこで、実施の形態2においては、駆動電極に対向する金属電極の幅を、遠端と近端とで異なる太さとする。図14は、実施の形態2に係わる表示装置1の遠端、中間および近端の駆動電極に対向する金属電極の幅の太さを示す説明図である。
【0104】
図14において、Pix(0)〜Pix(3)、Pix(n)〜Pix(n+3)およびPix(p−3)〜Pix(p)は、複数の画素が行列状に配置された画素配列の各行を示しており、Pix(0)〜Pix(3)は遠端、Pix(n)〜Pix(n+3)は中間、Pix(p−3)〜Pix(p)は近端をそれぞれ示している。Pix(0)が最も遠端で、Pix(p)が最も近端である。また、R、GおよびBは、赤色、緑色および青色の各副画素SPixに対応することを示している。行列状の各行の各画素Pixは、赤色、緑色および青色の3つの副画素SPixが1組の画素に対応して、繰り返して配置されている。
【0105】
図14においては、遠端、中間および近端の駆動電極に対向する金属電極MLにおいて、各金属電極MLの幅を太くした部分(L41)と細くした部分(L42)とを示している。太くした部分(L41)は2つの長方形を重ねて示し、細くした部分(L42)は1つの長方形で示している。
【0106】
例えば、遠端の画素配列Pix(0)〜Pix(3)では、左端の赤色(R)および緑色(G)の画素に対応する金属電極MLの幅を細く、その隣の青色(B)、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の画素に対応する金属電極MLの幅を太く、その隣の赤色(R)および緑色(G)の画素に対応する金属電極MLの幅を細く、右端の青色(B)の画素に対応する金属電極MLの幅を太く形成している。これに対して、近端の画素配列Pix(p−3)〜Pix(p)では、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の画素に対応する全ての金属電極MLの幅を細く形成している。また、中間の画素配列Pix(n)〜Pix(n+3)では、各行で交互に、遠端と近端とに対応する金属電極MLの幅で形成している。
【0107】
このように、実施の形態2においては、平面視において、金属電極MLの配線パターンが太い部分は、遠端(第2端部)に位置する駆動電極から近端近(第1端部)に位置する駆動電極に近づくほど少ない。これにより、遠端から近端に向かうほど金属電極MLの幅の太い部分を減らしていくことで、駆動電極の抵抗の面内差を抑えることができる。また、遠端と近端の金属電極MLの疎密差はそれほど大きくはならないので、エッチングバラツキによる線幅バラツキを抑制することも可能となる。
【0108】
図14の例では、金属電極MLの幅を太くした部分(L41)と細くした部分(L42)との2種類としたが、3種類以上に細分化することも可能である。また、遠端、中間および近端の金属電極MLの幅は、スペーサSP(図7)の配置密度が低い場合などのように、遮光膜BMの太い領域が少ない場合を考慮して、金属電極MLの幅を決定することが望ましい。
【0109】
<電子装置>
図15は、実施の形態1および2において説明した表示装置1を備えた電子装置100の構成を示す斜視図である。電子装置100は、表示装置1を備えたタブレット型のコンピュータ101とペンPenとを備えている。ペンPenは、図2に示したように、コイルおよび容量素子を含む指示器である。図15において、2は、上記した表示領域を示し、102は、表示領域2を囲むように配置された額縁領域を示している。また、103は、コンピュータ101のボタンを示している。
【0110】
上記した表示期間において、表示領域2に画像の表示が行われ、また、磁界タッチ検出期間等において、ペンPenが、表示領域2に近接しているか否か、および座標の検出が行われ、この検出の結果に応じて、コンピュータ101が処理を行う。
【0111】
ペンPenとタブレット型のコンピュータ101が電気的に直接接続されている必要はない。電子装置100がペンPenを含まなくてもよく、その場合はタブレット型コンピュータ101そのものが電子装置100に相当する。電子装置100に含まれる表示装置として、タブレット型のコンピュータの代わりにノート型もしくはデスクトップ型のパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0112】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0113】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0114】
例えば、前述の実施の形態においては、駆動電極TL(0)〜TL(p)は、行方向(横方向)に延在し、列方向(縦方向)に平行に配置されている場合を説明したが、行方向および列方向は、見る視点により変化する。見る視点を変えて、駆動電極TL(0)〜TL(p)が、列方向に延在し、行方向に平行に配置されている場合も本発明の範囲に含まれるものである。また、本明細書で用いている「平行」とは、互いに一端から他端に亘るまで交わることなく延在することを意味する。そのため、一方の線(あるいは電極)の一部又は全部が他方の線(あるいは電極)に対して傾いた状態で設けられていたとしても、これらの線が一端から他端まで交わるものでなければ、本明細書においては、この状態も「平行」であるとする。
【符号の説明】
【0115】
1 表示装置
3 制御装置
5 タッチ制御装置
100 電子装置
BM 遮光膜
ML 金属電極
Pix 画素
SP スペーサ
TL(0)〜TL(p) 駆動電極
TPLL、TSVL、TPLR、TSVR 信号配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15