【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る食品搬送車は、内部空間に食品を収納し、搬送路上を走行して食品を搬送する食品搬送車であって、本体部と、走行輪と、開閉扉と、保護カバーと、を備えている。本体部は、内部に内部空間を形成する。走行輪は、本体部の下部に配置され、搬送路上を走行するために設けられている。開閉扉は、本体部内に形成される内部空間と外部空間とを遮蔽または開放するために開閉可能であって、窓部と、窓部の四方を取り囲むように配置されたフレーム部材と、を有する。保護カバーは、フレーム部材の少なくとも一部を覆うように装着される平面部と、平面部に連結されておりフレーム部材における側面に対して取り付けられる固定部と、を有する。
【0009】
ここでは、例えば、病院や高齢者介護施設等において搬送路上を走行して内部空間に収納した食品を搬送する食品搬送車において、フレーム部材の少なくとも一部を覆うための保護カバーが、固定部においてフレーム部材の側面に対して固定されている。
ここで、保護カバーが取り付けられるフレーム部材の側面とは、開閉扉の正面視におけるフレーム部材の側面(開閉扉の側面視における上面または左右の面)を意味している。すなわち、保護カバーは、開閉扉における走行時における手摺り等の障害物に接触する外部空間に面するフレーム部材の表面ではなく、その側面に対して固定されている。
【0010】
なお、フレーム部材に対する保護カバーの固定方法としては、例えば、ネジ、ボルト、弾性変形を利用した固定具等、各種方法を用いることができる。
また、搬送路上を走行中の障害物として廊下等に設置された手摺りを想定する場合には、設置された手摺りの高さ位置に対応する位置に、保護カバーが取り付けられていることが望ましい。
【0011】
これにより、食品搬送車が搬送路上を走行中に手摺り等の障害物と接触した場合でも、保護カバーはフレーム部材の側面に固定されているため、開閉扉の表面にはネジ等の固定具は設けられていない。よって、保護カバーに衝突した障害物がネジ等の固定具に接触することを防止して、保護カバーの平面部によって覆われた開閉扉の部分を保護することができる。
【0012】
この結果、廊下等に設置された障害物との衝突時における開閉扉の変形・破損を効果的に抑制することができる。
第2の発明に係る食品搬送車は、第1の発明に係る食品搬送車であって、本体部の側面に複数の開閉扉を備えており、互いに隣接するフレーム部材の間には、保護カバーが固定される隙間が形成されている。
【0013】
ここでは、本体部の少なくとも一方の側面に複数の開閉扉が設けられた食品搬送車において、隣接配置されたフレーム部材同士の間には、隙間が形成されている。
ここで、フレーム部材同士の間に形成された隙間は、開閉扉を閉じた状態、開けた状態の双方において形成されている。
これにより、開閉扉のフレーム部材に対して保護カバーを固定するための空間を確保することができる。よって、保護カバーを固定する際には、フレーム部材間に形成された隙間からネジやボルト、その他の固定具等を挿入して、フレーム部材に対して保護カバーを固定することができる。
【0014】
また、開閉扉の開閉状態に関わらず常に隙間が形成されていることで、保護カバーの装着、位置調整等を行うことができる。
第3の発明に係る食品搬送車は、第1または第2の発明に係る食品搬送車であって、保護カバーは、搬送路の側方に設置された手摺りの高さ位置に対応する高さ位置に取り付けられている。
【0015】
ここでは、保護カバーの高さ方向における設置位置を、食品搬送車が走行する搬送路の側方に設置された手摺りの高さ位置を基準にして設定している。
ここで、搬送路の側方に設置された手摺りは、搬送路の側方の壁面に設置されていてもよいし、搬送路の側方における端部に設置されていてもよい。
これにより、例えば、搬送路を走行中の食品搬送車がコーナーを曲がろうとした際に、搬送路の側方に設置された手摺りに開閉扉が接触した場合でも、手摺りの高さ位置には保護カバーが設置されているため、保護カバーによって開閉扉を保護することができる。
【0016】
第4の発明に係る食品搬送車は、第3の発明に係る食品搬送車であって、保護カバーは、長手方向における中心位置を、手摺りの高さ位置に合わせて取り付けられている。
ここでは、保護カバーの高さ方向における設置位置を、食品搬送車が走行する搬送路の側方に設置された手摺りの高さ位置が中心となるように設定している。
これにより、例えば、搬送路を走行中の食品搬送車がコーナーを曲がろうとした際に、搬送路の側方に設置された手摺りに開閉扉が接触した場合でも、保護カバーは手摺りの高さ位置を中心にして設置されているため、保護カバーによって開閉扉を確実に保護することができる。
【0017】
第5の発明に係る食品搬送車は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、保護カバーの取付位置を調整する調整機構を、さらに備えている。
ここでは、開閉扉のフレーム部材を保護する保護カバーのフレーム部材に対する取付位置を調整するための調整機構を設けている。
これにより、例えば、食品搬送車が設置される施設ごとに異なる手摺りの位置等に対応して、保護カバーの取付位置を調整することができる。
【0018】
第6の発明に係る食品搬送車は、第5の発明に係る食品搬送車であって、調整機構は、フレーム部材に対して保護カバーを固定するための固定具と、保護カバーに形成され固定具が挿入される長穴または複数の穴とを含む。
ここでは、調整機構が、例えば、ネジ等の固定具と、保護カバーにおいて調整方向に沿って形成された長穴、あるいは複数の穴と、を有している。
【0019】
ここで、調整機構による調整方向は、食品搬送車が接触するおそれがある障害物の態様等に応じて、例えば、略鉛直方向、略水平方向、あるいは、鉛直方向に交差する方向のいずれかに設定されていてもよい。
これにより、例えば、保護カバー側に調整方向に沿って形成された長穴、あるいは複数の穴を介して、フレーム部材に形成されたネジ穴にネジを挿嵌することで、フレーム部材に対する保護カバーの取付位置を調整することができる。
【0020】
第7の発明に係る食品搬送車は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、保護カバーは、長手方向に交差する方向の断面視において、フレーム部材の表面部分を覆う平面部と、平面部における第1端部側を内部空間側に屈曲させた第1屈曲部と、第1端部とは反対側の第2端部側を内部空間側に屈曲させた第2屈曲部と、を有している。
【0021】
ここでは、保護カバーが、長手方向に交差する断面視において、中央に配置された平面部と、平面部における一方の端部(第1端部)側に形成された第1屈曲部と、平面部における他方の端部(第2端部)側に形成された第2屈曲部と、を有している。そして、第1・第2屈曲部は、平面部に対して、食品搬送車の本体部の内部空間側へ屈曲されている。
これにより、窓部の四方を取り囲むように配置されたフレーム部材の少なくとも一部を、平面部および第1・第2屈曲部を含む保護カバーによって覆うことができる。よって、食品搬送車が走行中に手摺り等に接触した場合でも、保護カバーによって、開閉扉のフレーム部材を効果的に保護することができる。
【0022】
第8の発明に係る食品搬送車は、第7の発明に係る食品搬送車であって、第1屈曲部は、断面視において平面部に対して略直角に屈曲している。第2屈曲部は、断面視において平面部に対して90度より大きく180度未満の角度で屈曲している。
ここでは、上述した保護カバーの構造において、第1屈曲部を平面部に対して略直角に屈曲させるとともに、第2屈曲部を平面部に対して鈍角になる角度で屈曲させる。
【0023】
これにより、例えば、互いに隣接する複数の開閉扉において、間隔が小さい側に第1屈曲部を、間隔が大きい側に第2屈曲部を配置することができる。よって、手摺り等が接触しやすい間隔が広い側に手摺り等の障害物が接触した場合でも、鈍角に屈曲された第2屈曲部が接触時に付与される外力を受けることで、内側のフレーム部材が変形等することを効果的に防止することができる。
【0024】
第9の発明に係る食品搬送車は、第8の発明に係る食品搬送車であって、第2屈曲部は、窓部側に配置されている。
ここでは、平面部に対して鈍角に屈曲された第2屈曲部を、隣接するフレーム部材との間隔が広い窓部側に配置している。
これにより、フレーム部材間の間隔が大きい側に第2屈曲部を配置することができる。よって、手摺り等が接触しやすい間隔が広い側に手摺り等の障害物が接触した場合でも、鈍角に屈曲された第2屈曲部が接触時に付与される外力を受けることで、内側のフレーム部材が変形等することを効果的に防止することができる。
【0025】
第10の発明に係る食品搬送車は、第1から第9の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、窓部は、耐衝撃性を有する樹脂によって形成されている。
ここでは、例えば、ポリカーボネート等の耐衝撃性を有する樹脂によって窓部を形成している。
ここで、窓部は、耐衝撃性に加えて、半透明あるいは透明性の高い樹脂によって形成されていてもよい。
【0026】
これにより、食品搬送車の走行中に手摺り等の障害物が開閉扉に接触した場合でも、窓部が耐衝撃性に優れた樹脂によって形成されているため、窓部の変形や破損等を考慮する必要がない。この結果、窓部の四方を囲むように配置されたフレーム部材を保護カバーによって保護することで、手摺り等との接触に伴うフレーム部材の変形等を効果的に防止することができる。
【0027】
第11の発明に係る食品搬送車は、第1から第10の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、フレーム部材は、開閉扉を開閉する際に使用者の手が挿入される凹部を有している。保護カバーは、凹部を覆うように取り付けられている。
ここでは、保護カバーによって、フレーム部材における使用者の手が挿入される凹部が覆われている。
【0028】
これにより、開閉扉を開閉する際に手が挿入される凹部は、手摺り等の障害物と接触する可能性がある位置において、保護カバーによって覆うことができる。
この結果、手摺り等の障害物が接触した際に、凹部内に手を入れた状態で障害物等に挟まれてしまうリスクを低減することができる。
第12の発明に係る食品搬送車は、第1から第11の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、開閉扉は、略鉛直方向に沿って配置された回転軸を有しており、回転軸を中心にして180度以上開閉可能である。
【0029】
ここでは、食品搬送車が、略鉛直方向に沿って配置された回転軸を中心にして180度以上の開度まで開閉可能な開閉扉を備えている。
これにより、例えば、トレイに載せた状態で収納された食品を内部空間から取り出す際に、開閉扉を180度以上開いた状態にできるため、食品を取り出しやすくすることができる。
【0030】
また、例えば、複数の開閉窓を備えた食品搬送車において、互いに隣接するフレーム部材の間に隙間が設けられている場合には、180度の開度まで開く開閉扉の側面(フレーム部材の側面)に、保護カバーを容易に固定することができる。
第13の発明に係る食品搬送車は、第1から第12の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、本体部の側面に設けられており、搬送路を走行する際に使用者によって把持されて走行操作される操作ハンドルを、さらに備えている。保護カバーは、長手方向において、操作ハンドルが設置された高さ位置を含む高さ位置に配置されている。
【0031】
ここでは、保護カバーを、食品搬送車の走行操作を行う操作ハンドルの設置位置を基準にして設けている。
これにより、操作ハンドルが設置された高さ位置と同じ高さにおいて、食品搬送車が手摺り等の障害物と接触した場合でも、保護カバーによってフレーム部材を保護することができる。
【0032】
第14の発明に係る食品搬送車は、第1から第13の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、保護カバーは、表面に滑り加工が施されている。
ここでは、保護カバーの表面に、例えば、テフロン(登録商標)加工等の滑り加工を施している。
これにより、食品搬送車が走行中に手摺り等の障害物と接触した場合でも、保護カバーの表面加工によって滑り抵抗が小さくなっているため、手摺り等の障害物が保護カバーの表面を滑りやすくすることができる。この結果、手摺り等の障害物によって、保護カバーによって覆われたフレーム部材が変形等することを効果的に抑制することができる。
【0033】
第15の発明に係る食品搬送車は、第1から第14の発明のいずれか1つに係る食品搬送車であって、保護カバーは、表面が弾性体によって覆われている。
ここでは、保護カバーの表面を、例えば、ゴム等の弾性体によって被覆している。
これにより、食品搬送車が走行中に手摺り等の障害物と接触した場合でも、保護カバーの表面が弾性体によって被覆されているため、手摺り等の障害物との接触によって保護カバーに対して付与される外力を吸収することができる。この結果、保護カバーによって覆われたフレーム部材が変形等することを効果的に抑制することができる。
【0034】
第16の発明に係る保護カバーは、内部空間に食品を収納し搬送路上において移動して食品を搬送する食品搬送車に装着される保護カバーである。食品搬送車は、本体部と、走行輪と、開閉扉と、を備えている。本体部は、内部に内部空間を形成する。走行輪は、本体部の下部に配置され、搬送路上を走行するために設けられている。開閉扉は、本体部内に形成される内部空間と外部空間とを遮蔽または開放するために開閉可能であって、窓部と、窓部の四方を取り囲むように配置されたフレーム部材と、を有する。そして、保護カバーは、平面部と、固定部と、を備えている。平面部は、フレーム部材の少なくとも一部を覆うように装着される。固定部は、平面部に連結されておりフレーム部材における側面に対して取り付けられる。
【0035】
ここでは、例えば、病院や高齢者介護施設等において搬送路上を走行して内部空間に収納した食品を搬送する食品搬送車に装着される保護カバーが、固定部においてフレーム部材の側面に対して固定されている。
ここで、保護カバーが取り付けられるフレーム部材の側面とは、開閉扉の正面視におけるフレーム部材の側面を意味している。すなわち、保護カバーは、開閉扉における走行時における手摺り等の障害物に接触する外部空間に面するフレーム部材の表面ではなく、その側面に対して固定されている。
【0036】
なお、フレーム部材に対する保護カバーの固定方法としては、例えば、ネジ、ボルト、弾性変形を利用した固定具等、各種方法を用いることができる。
また、搬送路上を走行中の障害物として廊下等に設置された手摺りを想定する場合には、設置された手摺りの高さ位置に対応する位置に、保護カバーが取り付けられていることが望ましい。
【0037】
これにより、食品搬送車が搬送路上を走行中に手摺り等の障害物と接触した場合でも、保護カバーはフレーム部材の側面に固定されているため、開閉扉の表面にはネジ等の固定具は設けられていない。よって、保護カバーに衝突した障害物がネジ等の固定具に接触することを防止して、保護カバーの平面部によって覆われた開閉扉の部分を保護することができる。
【0038】
この結果、廊下等に設置された障害物との衝突時における開閉扉の変形・破損を効果的に抑制することができる。