(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前後壁及び両側壁を持つ筒状をなし、筒状の一方側開口から他方側開口に紐を挿通可能であると共に、前記前後壁に対向して設けられて筒方向に延びている長孔及び前記両側壁の内面に形成された奥広がりの傾斜部を有する本体と、
前記長孔を介して前記前壁上及び前記後壁上にそれぞれ配置される前壁側操作部と後壁側操作部とが連結部を介して一体に連結され、付勢手段による一方側開口への付勢によって、前記傾斜部と協働し、筒状内に挿通される紐を挟持可能な歯車状係合部を備えた操作ボタンとからなるコードロックであって、
前記操作ボタンは、前記前壁側操作部と後壁側操作部の少なくとも一方から他方に向かって突出すると共に、前記歯車状係合部を軸支する軸支部を有し、前記軸支部の軸端と、前記前壁側操作部と後壁側操作部の他方側に設けられて前記歯車状係合部を支持する軸端又は支持部との間隔が前記歯車状係合部の厚みよりも狭く、前記操作ボタンに設けられた弾性変形部により前記間隔が開き、前記歯車状係合部が通過可能となることを特徴とするコードロック。
前後壁及び両側壁を持つ筒状をなし、筒状の一方側開口から他方側開口に紐を挿通可能であると共に、前記前後壁に対向して設けられて筒方向に延びている長孔及び前記両側壁の内面に形成された傾斜部を有する本体と、
前記長孔を介して前記前壁上及び前記後壁上にそれぞれ配置される前壁側操作部と後壁側操作部とが連結部を介して一体に連結され、付勢手段による一方側開口への付勢によって、前記傾斜部と協働し、筒状内に挿通される紐を挟持可能な歯車状係合部を備えた操作ボタンとからなるコードロックであって、
前記操作ボタンは、前記連結部に設けられた支持片、及び前記支持片に設けられて前記前壁側操作部と後壁側操作部の何れか一方から他方に向かって突出して前記歯車状係合部を軸支する軸支部を有し、前記軸支部の軸端と、前記前壁側操作部と後壁側操作部の他方側に設けられて前記歯車状係合部を支持する軸端又は支持部との間隔が前記歯車状係合部の厚みよりも狭く、前記操作ボタンに設けられた弾性変形部により前記間隔が開き、前記歯車状係合部が通過可能となることを特徴とするコードロック。
前記付勢手段はコイルばねであり、前記他方側開口にはコイルばねの対応端部を受ける座を有していると共に開口端を一部閉塞するように抜け止め部を設け、前記抜け止め部の閉塞部分以外の開口部分を紐の挿通部としたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のコードロック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、コードロックとしては、特に以下のような項目から評価されることがある。
(ア)、使用者の使い勝手ないしは操作性がよいことである。この点から、特許文献1のものは、操作ボタンが操作部を本体前後壁の両外面に配置されているため、例えば、文献2や3のごとく操作部を片側にだけ設けるような構成より優れている。また、従来例には操作部を両側に設ける構成(例えば、台湾特許M4895235)もあるが、操作部が狭くなり、歯車の径方向にスペースが大となるため、掴みづらく操作性が悪くなる。
(イ)、ロック解除操作が違和感なく行えることである。この点から、特許文献3のものは、文献1や2のごとく金属製バネ材に比べ樹脂の弾性片により付勢手段を構成しているため操作力が固かったり重くなり易く高級感に欠ける。
(ウ)、挟持力が強いと共に長期に亘って維持されることである。この点から、特許文献3の歯車状係合体は、文献1や2のごとく係合部が回動不能な構成に比べ、紐に対する食い付き力が大きいことに加え、操作ボタン側の軸支部に回動可能に支持されているため摩耗し難く紐から受ける過大な外力を緩和吸収して耐久性からも好ましい。
【0008】
そこで、本発明の目的は、以上の(ア)から(ウ)に挙げたような項目と共に、特に歯車状係合体の支持構成を改良することで耐久性と操作性により優れたコードロックを提供することにある。他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1と2の各発明は、
図1から
図10の例を参照し特定すると、前提要件として、前後壁(10,11)及び両側壁(12)を持つ筒状をなし、筒状の一方側開口(16)から他方側開口(17)に紐を挿通可能であると共に、前記前後壁に対向して設けられて筒方向に延びている長孔(14)及び前記両側壁の内面に形成された奥広がりの傾斜部(12a,18)を有する本体(1)と、前記長孔を介して前記前壁上及び前記後壁上にそれぞれ配置される前壁側操作部(20)と後壁側操作部(21)とが連結部(22)を介して一体に連結され、付勢手段(5)による一方側開口(16の方向)への付勢によって、前記傾斜部と協働し、筒状内に挿通される紐を挟持可能な歯車状係合部(4)を備えた操作ボタン(2)とからなるコードロック(6)を対象としている。
【0010】
請求項1の要部は、例えば、
図7から
図10の例を参照すると、前記操作ボタン(2
)は、前記前壁側操作部(20)と後壁側操作部(21)の少なくとも一方から他方に向かって突出すると共に、前記歯車状係合部(4)
を軸支
する軸支部(25又は25A)を有し、
前記軸支部の軸端と
、前記前壁側操作部と後壁側操作部の他方側に設けられて前記歯車状係合部(4)を支持する軸端(
図8の例だと軸支部25と対向する軸支部25の構成、又は、
図10の例だと後側壁部
21に設けられた軸支部25Aの構成)又は支持部(
図7の例だと支持部26、又は、
図9の例だと前後壁10,11の一方、
図10の例だと支持部
24A)との間隔が前記歯車状係合部の厚みよりも狭く、前記操作ボタンに設けられた弾性変形部(22aや24a等)により前記間隔が開き、前記歯車状係合部(4)が通過可能となることを特徴としている。
【0011】
これに対し、請求項2の要部は、
図3と
図7及び
図8の例を参照すると、前記操作ボタン(2
)は、前記連結部(22)に設けられた支持片(24)、及び前記支持片(24)に設けられて
前記前壁側操作部と後壁側操作部の何れか一方
から他方に向かって突出して前記歯車状係合部(4)
を軸支
する軸支部(25)を有し、
前記軸支部の軸端と、
前記前壁側操作部と後壁側操作部の他方側に設けられ
て前記歯車状係合部を支持する軸端(
図8の例だと支持片26に設けられた軸支部25の構成)又は支持部(
図3や
図7の例だと支持部26)との間隔が前記歯車状係合部の厚みよりも狭く、前記操作ボタンに設けられた弾性変形部(22aや24a等)により前記間隔が開き、前記歯車状係合部が通過可能となることを特徴としている。
【0012】
以上の本発明は、請求項2〜5で特定したように具体化されることがより好ましい。
第1に、前記弾性変形部は
図6に例示のごとく前記連結部の構成である(請求項3)。
第2に、前記弾性変形部は
図7や
図8に例示のごとく前記支持片や支持部の構成である(請求項4)。
第3に、
図5及び
図6に例示されるように、前記付勢手段はコイルばねであり、前記他方側開口にはコイルばねの対応端部を受ける座を有していると共に開口端を一部閉塞するように抜け止め部を設け、前記抜け止め部の閉塞部分以外の開口部分を紐の挿通部とした構成である(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び2の各発明では、上記したごとく操作部がケース前後壁の両外面に配置されているため前後壁の一方だけに設ける構成やケースの両側に設ける構成に比べて良好な操作性、歯車状係合部を用いているため安定した強い挟持力が得られる。また、各発明では、操作部を歯車状係合部の軸方向に配置しているため外観を損なうことなく面的に広く設定でき、全体を薄くコンパクトにできる。しかも、歯車状係合部が軸支部に回動可能に支持されているため摩耗し難い。その上で、以下のような利点を有している。
【0014】
請求項1の発明では、歯車状係合部の支持構造として、例えば、
図7から
図10の例から推察されるごとく歯車状係合部を操作ボタンに簡単に支持でき、その状態から本体に組み込むため組立性に優れている点、歯車状係合部が本体内で軸支部に枢支されているため、仮に紐から大きな負荷を受けても効率よく緩和したり吸収し、前記した紐に対する挟持力を安定維持でき、耐久性を向上できる。
【0015】
請求項2の発明では、歯車状係合部の支持構造として、例えば、
図3と
図7及び
図8の例から推察されるごとく歯車状係合部を操作ボタンに簡単に支持でき、その状態から本体に組み込むため組立性に優れている点、歯車状係合部が本体内で支持片と対応部との間に挟まれた状態で軸支部に枢支されているため、仮に紐から大きな負荷を受けても不用意に傾いて回動不能になることがなく、それにより過大な外力を効率よく緩和したり吸収し、上記した挟持力を安定維持でき、耐久性を向上できる。
【0016】
請求項3の発明では、操作部同士を接続している連結部の弾性変形が操作ボタンを本体に組み付けた状態で、
図4から分かるごとく両方の操作部で本体の前後壁を挟んだ状態となるため変形規制され、それにより品質を損ねることなく実施容易となったり薄型化も可能となる。
【0017】
請求項4の発明では、連結部に突設された支持片や支持部の弾性変形が操作ボタンを本体に組み付けた状態で、
図4から推察されるごとく歯車状係合部と対応する本体前後壁の一方との間に支持片や支持部を挟んだ状態となるため変形規制され、それにより品質を損ねることなく実施容易となったり薄型化も可能となる。
【0018】
請求項5の発明では、抜け止め部の存在で全体の剛性を確保したり踏み付け強度を向上できると共に、紐の挿通箇所が形態のごとく左右の側壁と抜け止め部との間に区画されることで、
図6(c)から推察されるごとく紐の絡み合いも防ぎ易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の最適な形態及びその変形例を図面を参照しながら説明する。この説明では、
図1から
図6の形態であるコードロックの構造、使用例、
図7及び
図8の変形例1、
図9の変形例2、
図10の変形例3の順に詳述する。
【0021】
(構造)形態のコードロック6は、本体である略筒形のケース1と、ケース1に組み付けられる操作ボタン2と、ケース1に対しケース
の他方側開口
17を塞いだ状態に装着される抜け止め部である仕切部材3と、ケース1の筒状内に挿通される紐6を後述するケース内に設けられた傾斜部との間で挟持可能にする歯車状係合部4と、歯車状係合部4を付勢して紐6の移動を阻止可能にする付勢手段であるコイルばね5とを備えている。なお、ケース1、操作ボタン2、仕切部材3は何れもが樹脂成形品であるが、樹脂以外でも差し支えない。コイルばね5は金属製である。全体の大きさは、作図上拡大しているが、実際はかなり小さくなっている。細部は以下の通りである。
【0022】
まず、ケース1は、
図2及び
図5に示されるごとく、前後壁10,11及び両側壁12で区画された軸線方向に長い筒状となっており、筒形の
他方側開口17から
一方側開口16又は
一方側開口16から
他方側開口17へ紐6を挿通可能となっている。ケース1には、前後壁10,11に対向した長溝14及び係止孔15並びに開口16側の他端から各係止孔15に延びている溝13と、両側壁12の内面を一端開口17側より他端開口16に向けて略ハ形状にした傾斜部12aとが設けられている。
【0023】
このうち、長溝14は、左右中間に位置して開口
17側の他端から開口
16の一端側の少し手前まで延びている。係止孔15は、仕切部材3を係合する箇所であり、開口
17側にあって長溝14の左右に設けられている。溝13は、仕切部材3を導いて後述する爪35を係止孔15に係合可能にする。傾斜部12aは、奥広がり、つまり開口
17から開口
16側に行くに従って次第に前後壁の中心線に近づくテーパーであり、開口
16側の所定範囲に凹凸部ないしは歯状部18を形成している。
【0024】
操作ボタン2は、
図2及び
図3並びに
図5に示されるごとく、ケースの前壁10外面に配置される前壁側操作部20と、ケースの後壁11外面に配置される後壁側操作部21と、両操作部20,21を連結している連結部22と、連結部22の一方側に突設されている支持片24及び支持部26と、連結部22の他方側に突設されている軸部27とを備えている。
【0025】
このうち、各操作部20,21は、板幅及び長さが前後壁10,11より若干小さく形成されているが、文献1の操作部よりもかなり広い偏平板状となっている。外面には、2つの三角
印、つまり操作部20,21の一方端側に位置した大きい三角印20a,21aとその下側に位置した小さい三角印20a,20bが設けられている。この三角印20a
,21aは、必要に応じて付設されるもので、操作ボタン2の紐6を拘束するロック方向を示している。このため、この例では、操作ボタン2を三角印20a,21aの方向と逆方向に移動して紐6の拘束をロック解除することになる。
【0026】
連結部22は、操作部20と操作部21を対向内面の概略中央部で連結している。支持片24及び支持部26は開口16と対応する方向へ突出されると共に、軸部27は開口17と対応する方向へ突出されている。連結部22の両端、つまり操作部20,21に連結している箇所がヒンジ部つまり弾性変形部22aとして若干欠肉されている。また、
図4(b)に示されるごとく、操作部20と支持片24の間は、ケース前壁10の対応部が挿入される間隔を保っている。操作部21と支持部26の間は、ケース後壁11の対応部が挿入される間隔を保っている。また、軸部27は、コイルばねの一端5aに挿入した状態で、コイルばね5を連結部22に安定支持されるようにする。
【0027】
支持片24と支持部26は、軸支部の有無により分けたが、支持部26を支持片と捉えても差し支えない。すなわち、支持片24及び支持部26は、歯車状係合部4が間に回動可能に収まる間隔を保っている。支持片24には、軸支部25が支持部26と対向する側より連結部22と略平行ないしは支持部26の方向に向かって突設されている。軸支部25は、歯車状係合部4の軸穴4bに嵌合する枢軸である。
【0028】
以上の操作ボタン2には、歯車状係合部4が支持片24と支持部26の間に配置され、かつ軸穴4bに軸支部25を嵌合することにより回動可能に支持される。この操作では、
図3(b)に示したごとく、例えば、前後の操作部20,21に対して各操作部の一端側同士を近づける方向に指8,9で外から内側に押す。すると、操作部20,21は、対応する弾性変形部22aにより他端側同士の間隔を拡大する方向へ傾斜し、それに伴って支持片24及び支持部26が拡開方向へ傾いて支持片
24と支持部26の間隔を拡大する。このため、歯車状係合部4は、支持片24及び支持部26が弾性変形部22aにより変位した状態で、軸穴4bに軸支部25を嵌合しワンタッチ操作にて支持可能となる。なお、歯車状係合部4は、歯4aを多数形成していると共に、中央部に円形軸穴4bを有している。
【0029】
そして、操作ボタン2は、以上のようにして歯車状係合部4を支持した
図3(c)の状態からケース1に組み込まれる。この操作では、ケースの前後壁10,11の外面に対応する操作部20,21を位置するようにして、連結部22を前後壁の各長溝14に嵌入させる。その後は、コイルばね5が上述したごとく軸部27を介して連結部22に対応端5aを当接した状態で支持される。
【0030】
仕切部材3は、
図2及び
図5に示されるごとく、本体30がケースの開口17に応じた大きさの小ブロック状をなし、対向した各長溝14に嵌合される対の張出部31と、各張出部31の両側にあって縦溝33により区画されている両側部34と、各側部34の下前後面にそれぞれ突設された合計4つの爪35と、本体30の下面側に設けられた凹部32とを備えている。
【0031】
以上の仕切部材3は、ケース1に対し本体30の全体が開口17に差し込まれるが、その際は両側部34が対応する溝13に沿って嵌入されると、前後4箇所の爪35が対応する係止孔15と係合することで装着される。この装着状態では、各長溝14の入口側が対応する張出部31で塞がれると共にケースの開口17内を二分する。このため、紐7は、例えば、
図5(c)のごとく両側壁12のうち、一端7aが一方側壁12と仕切部材13との間の空間から外へ引き出され、他端7bが他方側壁12と仕切部材13との間の空間から外へ引き出されることになる。
【0032】
(使用例)以上のコードロック6において、組立状態及び使い方については特許文献1から3と同じであり、例えば靴、衣服、袋状部材の開口縁回り等に配置される紐7の両端7a,7b又は一端を任意の長さに係止したり、紐7の引出量や締め付け度合いを調整するときに用いられる。具体的には以下の通りである。
【0033】
(1)、
図4はコードロック6の組立完了時の状態を示している。この状態では、操作ボタン2がコイルばね5の付勢力により開口16側に最大まで移動、つまり連結部22がケースの長溝14の奥端面に当接されるまで移動されている。歯車状係合部4は、軸支部25に枢支されると共に、支持片24と支持部26及び両側壁12で区画された空間に回動可能に拘束された状態で、外周の歯4aが両傾斜部12aに設けられた歯状部18と噛み合っている。
【0034】
(2)、
図5はコードロック6を紐7にセットする際の途中状態を示している。この操作では、前後の操作部20,21を
図1(b)に一点鎖線で示した矢印方向、つまり三角印20aと反対方向へコイルばね5の付勢力に抗して指等により移動させ、その移動後の状態に保つ。すると、歯車状係合部4は、歯状部18との噛み合いが解除されて開口17側の傾斜部12aと対向する。このため、歯車状係合部4と傾斜部12aとの間には、紐挿通用の隙間が両内側に形成されるので、例えば、紐の両端7a,7bが
図5(c)に示したごとく開口16側よりその対応する隙間を通って開口17の外へ引き出される。その後は、両端7a,7bを必要量だけ引き出してから、操作部20,21から指等を離す。なお、以上の構造では、操作ボタンの操作部20,21を歯車状係合部4の軸方向に配置しているため外観を損なうことなく操作部を面的に広く形成可能となり、全体を薄くコンパクトにできる。
【0035】
(3)、
図6はそのようにしてコードロック6を紐7にセットした使用時の状態を示している。すなわち、前記したごとく操作部20,21から指等を離すと、操作ボタン2はコイルばね5の付勢力により開口16側へ移動されて、紐7の対応部が歯車状係合部4の歯4aと一方側の歯状部18、及び他方側の歯状部18との間に挟持されて、引き抜き不能となる。
【0036】
(4)、以上のコードロック6では、紐7が傾斜部
12aに設けられた歯状部18と歯車状係合部の歯4aの両方の食い付き作用により安定した強い挟持力が得られる点、歯車状係合部4が操作ボタン側の軸支部25に回動可能に枢支されて
いるため摩耗し難い点、歯車状係合部4が軸支部25に枢支された状態で支持片24と他の支持部26との間に配置されているため、仮に紐7から負荷を受けても不用意に傾いて回動不能になることがなく、それにより過大な外力を効率よく緩和したり吸収して初期の挟持力を安定維持できると共に、耐久性も向上できる。
【0037】
(5)、以上のごとく紐7にコードロック6をセットした使用時の状態において、紐7の引出量や締め付け度合いを調整する場合は、
図5の場合と同様な操作、つまり操作ボタン2をコイルばね5の付勢力に抗して移動し、その状態に保って紐7の引き出し端7a,7b側を必要量だけ引っ張ったり緩めることになる。
図1(b)の矢印は、そのように紐7の引出量や締め付け度合いを調整している過程を模式的に示している。
【0038】
(変形例1)
図7及び
図8は以上の弾性変形部22aの他の一例を
図3に対応させて示している。この説明では、上記形態と同一又は類似する箇所には同じ符号を付し、重複記載を極力省きつつ変更点だけを明らかにする。
【0039】
変形例1の操作ボタン2では、上記形態の弾性変形部22aに代えて、支持片24及び支持部26(
図8の場合は支持片26A)が連結部22と連結している箇所つまり基端を欠肉した弾性変形部24a,26aを有している。このため、変形例1では、歯車状係合部4を操作ボタン2に組み込む場合、
図7(b)に示したごとく、歯車状係合部4を支持片24と支持部26(
図8の場合は支持片26A)との間に同図の矢印方向へ押し付けると、支持片24と支持部26(支持片26A)が弾性変形部24a,26aを支点として間の間隔を拡大する方向に変位する。このため、歯車状係合部4は、支持片24及び支持部26(支持片26A)が弾性変形部24a,26aにより変位した状態で、軸穴4bに軸支部25を嵌合すると、後は同(c)のごとく支持片24及び支持部26(支持片26A)が弾性復帰して回動可能に支持される。よって、この変形例1でも、歯車状係合部4を軸支部25にワンタッチ操作にて支持可能となる。
【0040】
なお、変形例1において、支持片24及び支持部26(支持片26A)は共に弾性変形部24a,26aにより変位可能に形成されているが、支持片24又は支持部26の一方だけを弾性変形部24a又は26aにより変位可能にしてもよい。
【0041】
また、他の軸支部構成としては、
図8に例示したが、以上の支持部26を支持片26Aに代えて、両支持片24,26Aをほぼ同じ長さに設定すると共に、両方の支持片24,26Aに所定長さの軸支部25(この軸支部25は上記形態の軸支部25より短くなっている)をそれぞれ対向して突出している。このため、この例では、各軸支部25を軸穴4bに反対方向から挿入し嵌合することとなる。
【0042】
(変形例2)
図9は以上の支持部26や支持片26Aを省略した変更例であり、同(a)は
図3(a)に対応し、同(b)は
図5(b)に対応し、同(c)は
図6(b)に対応して示している。この説明では、上記形態と同一又は類似する箇所には同じ符号を付し、重複記載を極力省きつつ変更点だけを明らかにする。
【0043】
変形例2の操作ボタン2では、上記した支持片24及び支持部26や支持片26Aのうち、支持部26や支持片26Aを省略した点、歯車状係合部4が支持片24、連結部22、後壁11にて区画される内空間23に揺動可能に拘束されるようにした点、支持片24が変形例1と同じく連結部22と連結している箇所つまり基端を欠肉して弾性変形部24aに形成している点で変更されている。このため、この支持構造では、例えば、歯車状係合部4を後側の操作部21と軸支部25との間から内空間23に差し込んだ後、厚さ又は径方向に動かして軸支部25に軸穴4bを嵌合操作するか、或いは、歯車状係合部4を支持片24や軸支部25に押し当てて支持片24が弾性変形部24aを支点として前壁20方向へ弾性変位するようにして支持軸25に軸穴4bを嵌合操作する。
【0044】
この変型例2では、歯車状係合部4を操作ボタン2に簡単に支持でき、その状態からケースに組み込むため組立性に優れている。また、歯車状係合部4は、ケース内で軸支部25に枢支された状態で支持片24と後壁11との間に配置することも可能なため、仮に紐から大きな負荷を受けても不用意に傾いて回動不能になることが生じ難く、それにより過大な外力を効率よく緩和したり吸収し、上記した挟持力を安定維持でき、耐久性を向上できる。
【0045】
以上の変形例2の他の例としては、
図9(a)に一点鎖線で加入したごとく支持片24と共に他の支持部26Bを設け、歯車状係合部4を支持片24と支持部26Bとの間に配置するようにしてもよい。その場合は、両長溝14のうち、支持部26Bに対応して溝14の長さを支持部26Bを逃がす分だけ長くする必要があるが、歯車状係合部4が紐から大きな負荷を受けても不用意に傾いて回動不能になることが生じ難く、それにより過大な外力を効率よく緩和したり吸収し、上記した挟持力を安定維持でき、耐久性を向上できる。
【0046】
(変形例3)
図10は以上の軸支部25の他の変更例であり、同(a)は
図3(a)に対応し、同(b)は
図5(b)に対応し、同(c)は
図6(b)に対応して示している。この説明でも、上記形態と同一又は類似する箇所には同じ符号を付し、重複記載を極力省きつつ変更点だけを明らかにする。
【0047】
変形例3の操作ボタン2は、上記した構成に対して、支持片24が軸支部を省いた支持部24Aに変更されている点、支持部26や支持片26Aを省略した点、両操作部の一方である後壁側操作部21の内面に突設された軸支部25Aを有している点、後壁11に設けられている長孔14が前壁10の長孔14より少し長くなっている点で変更され、また、支持部24Aが連結部22と連結している箇所つまり基端の弾性変形部24aを支点として変位可能となっている。このため、この支持構造では、例えば、歯車状係合部4を後側操作部21の軸支部25Aと支持部24Aとの間から支持片24Aの前壁20方向への変位を伴って、支持部24A、後側操作部21、連結部22で区画される内空間に差し込んだ後、厚さ又は径方向に動かして軸支部25Aに軸穴4bを嵌合操作することになる。なお、上記形態及び
変形例1と2では、例えば、
図9と
図10の対比から分かるように、変形例3のごとく軸支部
25Aを操作ボタンの操作部21に設ける構成に比べ、長孔14を短く設定可能なため剛性及び見栄えの点で有利である。
【0048】
この変型例3でも、歯車状係合部4を操作ボタン2に簡単に支持でき、その状態からケースに組み込むため組立性に優れている。また、歯車状係合部4は、ケース内で軸支部25Aに枢支された状態で支持部24Aと後壁11との間に配置可能なため、仮に紐から大きな負荷を受けても不用意に傾いて回動不能になることが生じ難く、それにより過大な外力を効率よく緩和したり吸収し、上記した挟持力を安定維持でき、耐久性を向上できる。
【0049】
なお、以上の形態及び変形例は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項で特定される構成を実質的に備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更したり展開可能なものである。特に、ケースや操作ボタンの外観形状については適宜変更されるものである。用途は、靴類の締め紐、リックサックやバック等の袋体の開口を開閉する紐、衣服のくび周りや胴部を絞り込む紐、ヘルメットや帽子類の締め紐や飾り紐、更にそれ以外でもコードや帯等の紐を目的の部位に締め付けたり緩めたりする場合等に広く適用可能なものである。