(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作業者と接続されたメインロープ(20)に加えライフラインとしてセイフティブロック(31)を用いる高所作業の二重安全対策において前記メインロープ(20)に装着され、前記セイフティブロック(31)と接続されると共にランヤード(32)を介して作業者と接続される中継装置(10)において、
前記セイフティブロック(31)及び前記ランヤード(32)を接続するための環状部(12)と、
前記メインロープ(20)に装着するために前記環状部(12)における少なくとも2箇所に設けられた鉤状部(13)と、を有し、
隣り合う2つの前記鉤状部(13)における前記メインロープ(20)に引っ掛けるための各々の開口が互いに逆向きであり、かつ、
前記メインロープ(20)が三つ打ちでかつ直径18mmである場合、隣り合う2つの前記鉤状部(13a,13b)の取付間隔(L1)が45〜100mmであることを特徴とする中継装置。
作業者と接続されたメインロープ(20)に加えライフラインとしてセイフティブロック(31)を用いる高所作業の二重安全対策において前記メインロープ(20)に装着され、前記セイフティブロック(31)と接続されると共にランヤード(32)を介して作業者と接続される中継装置(10)において、
前記セイフティブロック(31)及び前記ランヤード(32)を接続するための環状部(12)と、
前記メインロープ(20)に装着するために前記環状部(12)における少なくとも2箇所に設けられた鉤状部(13)と、を有し、
隣り合う2つの前記鉤状部(13)における前記メインロープ(20)に引っ掛けるための各々の開口が互いに逆向きであり、かつ、
前記メインロープ(20)が三つ打ちである場合、隣り合う2つの前記鉤状部(13a,13b)の取付間隔(L1)が、前記メインロープ(20)の直径の3倍以上、又は、前記メインロープ(20)を構成するストランド(21)の直径の8倍以上であることを特徴とする中継装置。
隣り合う2つの前記鉤状部(13)の部材幅(L2)が、前記メインロープ(20)を構成するストランド(21)の直径の1倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の中継装置。
【背景技術】
【0002】
地上から2m以上の場所で行う通常の高所作業や、法面保護工に代表される地上から2m以上の傾斜面で作業員が昇降器具を用いて身体を保持して行う法面ロープ高所作業を行う場合、メインロープに加えてライフラインを使用し、作業者の安全帯のD環に直接又は間接的にライフラインを接続する二重安全対策が講じられる。この場合、上下左右方向への移動を伴う傾斜面作業では、直接又は間接的に接続したライフラインがメインロープと略平行状態にならず、作業者の目の前で斜め状態で角度をもって接続される形になるので作業上の支障になる。また、間接的にライフラインを接続した場合、接続部以降に余ったライフラインが作業員の移動時に手足に絡まりやすく、安全確保のために行った二重安全対策が作業員転倒等の事故原因となってしまう問題があった。
【0003】
この問題を解消するために特許文献1に記載の二重安全対策方法では、ライフラインとしてセイフティブロックを使用し、セイフティブロックのフックが接続された中継装置をメインロープに沿って昇降可能になるように装着している。その結果、中継装置と安全帯のD環を接続するランヤードの部分はメインロープと略平行となるので作業の支障とならない。もっとも、中継装置にフックを接続されたセイフティブロックとメインロープとは所定の角度をなすが、この部分は作業者よりも上方に位置するので作業に支障はない。
【0004】
特許文献1の中継装置は、メインロープを挿通させる中空部を有する構造、又は、メインロープを挟む1対の滑車を具備する構造となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、中継装置がメインロープを挿通させる中空部を有する構造の場合、メインロープと中継装置が接触する面積が大きくなり摩擦力が増加する。そのため、セイフティブロックの引張り力で、ランヤードが接続された中継装置を引き上げることが困難となり、結果的に傾斜面作業における作業員の昇降に中継装置の昇降(動き)が追随できなくなる問題を有していた。
【0007】
また、中継装置がメインロープを挟む1対の滑車を具備する構造の場合、前述したメインロープを挿通させる中空部を有する構造の有する摩擦力の増加を解消することができるが、中継装置の構造が複雑となるため軽量化が困難である。その結果、セイフティブロックの引張り力で、ランヤードが接続された中継装置を引き上げることが困難となることに加え、中継装置の製造コストの増大や、メインロープへ中継装置を接続する際に手間がかかるという問題を有していた。
【0008】
一方、中継装置をメインロープに装着する構造として、例えば中継装置をメインロープに単に引っ掛けるような簡易な構造を採用した場合、セイフティブロックとメインロープとのなす角度が大きくなると、中継装置がメインロープから外れて脱落し易いという問題が生じる。
【0009】
以上の現状に鑑み本発明は、作業者と接続されたメインロープに加えライフラインとしてセイフティブロックを用いる高所作業、特に、高所作業の中でも傾斜面で行われる法面ロープ高所作業の二重安全対策においてメインロープに装着される中継装置であって、メインロープとの摩擦力が少なく簡易で軽量な構造とすると同時に、セイフティブロックとメインロープとのなす角度が大きくなった場合にも中継装置がメインロープから脱落することがない構造を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を提供する。
・ 本発明の第1の態様は、作業者と接続されたメインロープ(20)に加えライフラインとしてセイフティブロック(31)を用いる高所作業の二重安全対策において前記メインロープ(20)に装着され、前記セイフティブロック(31)と接続されると共にランヤード(32)を介して作業者と接続される中継装置(10)において、
前記セイフティブロック(31)及び前記ランヤード(32)を接続するための環状部(12)と、
前記メインロープ(20)に装着するために前記環状部(12)における少なくとも2箇所に設けられた鉤状部(13)と、を有し、
隣り合う2つの前記鉤状部(13)における前記メインロープ(20)に引っ掛けるための各々の開口が互いに逆向きであり、かつ、
前記メインロープ(20)が三つ打ちでかつ直径18mmである場合、隣り合う2つの前記鉤状部(13a,13b)の取付間隔(L1)が45〜100mmであることを特徴とする。
・ 上記第1の態様において、隣り合う2つの前記鉤状部(13)の部材幅(l2)が6〜18mmであることを特徴とする。
・ 本発明の第2の態様は、作業者と接続されたメインロープ(20)に加えライフラインとしてセイフティブロック(31)を用いる高所作業の二重安全対策において前記メインロープ(20)に装着され、前記セイフティブロック(31)と接続されると共にランヤード(32)を介して作業者と接続される中継装置(10)において、
前記セイフティブロック(31)及び前記ランヤード(32)を接続するための環状部(12)と、
前記メインロープ(20)に装着するために前記環状部(12)における少なくとも2箇所に設けられた鉤状部(13)と、を有し、
隣り合う2つの前記鉤状部(13)における前記メインロープ(20)に引っ掛けるための各々の開口が互いに逆向きであり、かつ、
前記メインロープ(20)が三つ打ちである場合、隣り合う2つの前記鉤状部(13a,13b)の取付間隔(L1)が、前記メインロープ(20)の直径の3倍以上、又は、前記メインロープ(20)を構成するストランド(21)の直径の8倍以上であることを特徴とする。
・ 上記第2の態様において、隣り合う2つの前記鉤状部(13)の部材幅(L2)が、前記メインロープ(20)を構成するストランド(21)の直径の1倍以上であることを特徴とする。
・ 本発明の第3の態様は、上記いずれかの態様の中継装置(10)を用いることを特徴とする高所作業における二重安全対策方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、次のような効果が得られるので、高所作業中に中継装置をメインロープに接続し直す作業ロスがなくなり、作業性の向上に大きく寄与する。
1)中継装置をメインロープに単に引っ掛ける簡易な構造であっても、中継装置にフックを接続されたセイフティブロックとメインロープとのなす角度が略30度以上に広くなっても中継装置がメインロープから容易に脱落することがない。
2)吹付作業時にメインロープに吹き付けるモルタル等が付着して、メインロープに沿った中継装置の昇降が困難となる問題を解消できる。
3)メインロープに沿った中継装置の昇降が困難となった際にメインロープをゆすったり、ランヤードを引っ張ったりすることによって中継装置がメインロープから容易に脱落する問題を解消できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例を示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(1)中継装置の使用形態
本発明の中継装置の構成の説明に先立って、
図1を参照して本発明の中継装置の使用形態の一例を説明する。
【0014】
図1は、本発明の中継装置を用いて傾斜面で行う法面ロープ高所作業状況の一例を概略的に示している。作業員は、傾斜面用ハーネス(以下、単に「ハーネス」と称する)40を着用している。ハーネス40の本体は、安全帯であり腰で身体を保持する胴ベルト41と、臀部を広範囲で保持するバックサイドベルト43と、胴ベルト41とバックサイドベルト43を連結する吊りベルト42とから構成されている。胴ベルト41には、少なくとも1箇所に第1D環44が固着されている。バックサイドベルト43には、少なくとも2箇所に第2D環45が固着されている。
【0015】
メインロープ20は、高所作業用として通常直径18mmの合成繊維製のロープが用いられ、撚り方として三つ打ち(三つ打ちロープ)、八つ打ち(八つ打ちロープ、エイトロープ、クロスロープ)、十二打ち(トエルロープ)、二重組打索(タフレロープ)などがある。その上端は傾斜面の頂上近傍に設けた支点に固定されている。
【0016】
メインロープ20とハーネス40は、傾斜面用ランヤード60により接続されている。これによりメインロープ20と作業者が接続される。傾斜面用ランヤード60は、その中間に取り付けられたグリップ61がメインロープ20を把持するように装着されると共に、その両端の2つのフック62がバックサイドベルト43の2つの第2D環45にそれぞれ接続されている。
【0017】
二重安全対策として、メインロープ20に加え、ライフラインとしてのセイフティブロック31、中継装置10及びランヤード32が用いられている。セイフティブロック31は、急激な下向きの力が加わるとロックがかかるもので、ワイヤーロープ巻き取り式又はベルト巻き取り式等がある。作業員転落の最大リスクであるメインロープ2の切断が発生した場合、セイフティブロック31がロックされることで転落を回避できる。
【0018】
セイフティブロック31のフックは中継装置10に接続される。さらに中継装置10にはランヤード32の一端が接続され、ランヤード32の他端は作業員の胴ベルト41に接続されている。これによりセイフティブロック31と作業員が接続される。中継装置10は、セイフティブロック31とランヤード32を中継するものである。
【0019】
中継装置10は、メインロープ20に沿って昇降可能にメインロープ20に装着されている。セイフティブロック31は自動巻き取り式であるので、作業位置を変更するとき、中継装置10は作業員の移動に従ってメインロープ20上を自在に昇降し、作業員はグリップ61のみを移動させればよい。中継装置10の具体的構造は後述するが、環状部12と鉤状部13とを有し、鉤状部13によりメインロープ20に装着される。
【0020】
ランヤード32は、中継装置10の環状部12と、作業員の胴ベルト41の第1D環44とを接続する。図示の例では、ランヤード32の途中部分が、バックサイドベルト43の第2D環45に取り付けられたカラビナ46を通過している。別の例ではカラビナ46を用いなくともよい。このようにして、作業者の目の前に位置するメインロープ20とランヤード32は、略平行に揃ってほぼ一本のラインのように延在するので、作業の支障とならない。ランヤード32としては、ワイヤー、ロープ、ストラップなどが用いられる。
【0021】
作業者よりも上方の位置では、メインロープ20とセイフティブロック31とが接続角度θをなしている。
【0022】
(2)中継装置の基本的構成
図2(a)は
図1に示した中継装置10の正面図、(b)は背面図、(c)は
図1における中継装置10の近傍の概略拡大図である。
図3は、
図2(c)のI−I断面を概略的に示している。
図4は、三つ打ちの撚りをもつメインロープ20の一部の拡大側面図である。
【0023】
中継装置10は、環状部12と鉤状部13とを具備する。
図2(a)(b)に例示するように、環状部12は、一対の直線部分と一対の略半円部分とからなる長円形の線状部材である。
図2(c)に示すように、環状部12には、セイフティブロック31のフック31a及びランヤード32のフック32aが接続される。従って、環状部12の大きさは、セイブティブロック31のフック31aと、ランヤード32のフック32a又はカラビナ等の接続器具が接続できる大きさであればよい。
【0024】
鉤状部13は、環状部12の一方の直線部分における少なくとも2箇所から外側に突出している。少なくとも2つの鉤状部13は、所定の取付間隔L1で設けられ、所定の部材幅L2の線状部材からなる。図示の例では、2つの鉤状部13a、13bが、環状部12の直線部分の両端近傍にそれぞれ固着されている。中継装置10は、法令で定められる規格値(強度)を有するものであれば材質は問わないが、好適には、環状部12と鉤状部13は鋼材で形成され、溶接等により一体化されている。
【0025】
図3に示すように、1つの鉤状部13bは、所定の内径L3をもつ円形の線状部材であり、メインロープ20に引っ掛けるために円周の一箇所に開口13b1を具備する。開口13b1は、鉤状部13bにおける環状部12との接合部分の近傍に位置し、所定の開口寸法L4を有する。環状部12の面と鉤状部13の面とは、互いに垂直である。
【0026】
図2に示すように、隣り合う2つの鉤状部13aと13bにおける開口13a1と13b1は、環状部12の面を対称面として互いに逆向きに形成されている。3つ以上の鉤状部を設ける場合も、各鉤状部の開口を交互に逆向きとする。
図2(c)に示すように、中継装置10をメインロープ20に装着したとき、メインロープ20が中継装置10の複数の鉤状部13の各々をジグザグに挿通した状態となる。メインロープ20は、所定の直径L5を有する。
【0027】
図4に示すように、三つ打ちのメインロープ20は、各々直径L6を有する3本のストランド21a、21b、21cを撚ることにより形成されている。メインロープ20の直径L5が18mmの場合、ストランド21の直径L6は約6mmである。
【0028】
ここで、
図1に示した通り、メインロープ20とセイフティブロック31とは接続角度θをなす。メインロープ20とセイフティブロック31の接続角度θが略30度以上開くと、中継装置10がメインロープ20から容易に脱落する(外れる)という問題が生じる。この問題は、例えば中継装置10が法肩部付近にあるとき等、メインロープ20とセイフティブロック31の接続角度θがどうしても開いてしまう場合に顕著に発生する。
【0029】
二重安全対策では、安全上の観点からセイフティブロック31のフック31aの取り付けは、セイフティブロック31本体の取り付け位置から鉛直線に対して30度の範囲内とされている。しかし、実際の傾斜面作業では、例えば法肩部で作業員がメインロープ20に中継装置10を装着して作業開始する際、支点となる立木の位置などに制約されて、セイフティブロック31本体の取付位置をメインロープ20の近傍にできない場合がある。その場合、30度以上の開きが生じてしまうことがある。
【0030】
また、例えば実際に吹付作業を行う位置では略30度の範囲内を満足できるとしても、法肩部でメインロープ20に中継装置10を装着し、吹付作業を行う位置まで降下するまでの間は、略30度を超過してしまうような場合もある。このような場合、降下中に中継装置10がメインロープ20から脱落してしまうと、作業員は再度昇り返して中継装置10を装着し直さなければならず、工程上の大きな支障となっていた。
【0031】
また、吹付作業時にモルタル等の吹付材がメインロープ20に付着すると、それが抵抗になってメインロープ20に沿った中継装置10の昇降が困難となる問題も生じる。さらに、昇降困難となった状態を解消するためにメインロープ20をゆすったり、ランヤード32を引っ張ったりすると、中継装置10がメインロープ20から容易に脱落するといった問題も生じる。これらの問題は作業性の低下に繋がる。以下では、これらの問題を生じないための、本発明の中継装置10の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明においては
図1〜
図4中の符号を参照する。
【0032】
(3)鉤状部の取付間隔に係る実施形態
メインロープ20が三つ打ちの撚りをもちかつその直径L5が18mmである場合、中継装置10の隣り合う2つの鉤状部13a、13bの取付間隔L1が、45〜100mmであることが、好適である。これは、鉤状部が3つ以上ある場合における隣り合う2つの鉤状部の取付間隔についても同様である。
【0033】
ここで、鉤状部13の取付間隔L1について、22mm、44mm、66mmのケースについて比較検討した。また、検討に用いた中継装置10の鉤状部13は、面取り加工を施して昇降時の抵抗を減少させる対策も講じた。
【0034】
その結果、取付間隔L1が22mmと44mmの場合は、メインロープ20と中継装置10に接続するセイフティブロック31の接続角度のθが略30度以上開いたり、吹付作業時にメインロープ20にモルタル等が付着したりするとメインロープ20に沿った中継装置10の昇降が困難となったり、その状態を解消するためにメインロープ20やランヤード32を作業員がゆすったりすると、中継装置10がメインロープ20から容易に脱落することがわかった。
【0035】
鉤状部13の取付間隔L1が44mm以下と短い場合、先ず、それに起因する中継装置10の捻れによってメインロープ20との摩擦力の増加が生じる。加えて、鉤状部13の取付間隔L1を44mm以下に、例えば22mmにすると、中継装置10の鉤状部13が回転するような状態となるために容易に脱落してしまう。あるいは、中継装置10の捻れによって鉤状部13の部材が、メインロープ20を構成しているストランド21とストランド21の間に挟み込まれてしまい、完全にロックして昇降できなくなる。
【0036】
また、鉤状部13の取付間隔L1を44mmにすると、容易にロックしてしまう現象は軽減されるが、作業員が中継装置10が昇降困難となった状態を解消するためにメインロープ20をゆすったり、ランヤード32を引っ張ったりすると、取付間隔L1が22mmの場合と同様に中継装置10の捻れによって鉤状部13の部材が、メインロープ20を構成しているストランド21とストランド21の間に挟み込まれてロックしてしまうことがわかった。この現象は、メインロープ20にモルタル等が付着しているとより顕著に生じる。
【0037】
それに対し、鉤状部13の取付間隔L1を66mmにした場合は、こうした現象は生じないことがわかった。これらの結果から、三つ打ちで直径L5が18mmのメインロープ20を使用した場合に問題を生じない鉤状部13の取付間隔L1の範囲として、少なくとも44mmと66mmの間の範囲が含まれるといえる。従って、鉤状部13の取付間隔L1は、少なくとも45mm以上である。
【0038】
一方、取付間隔L1を広くするほど中継装置10の捻れの影響を低減できるが、鉤状部13の取付間隔L1を広げるためにはより大きな環状部12が必要となり、中継装置10の重量の増加を招くことになる。従って、鉤状部13の取付間隔L1は、100mm以下とすることが好適である。
【0039】
これらの試験結果から、メインロープ20が三つ打ちでかつ直径L5が18mmである場合、中継装置10の鉤状部13の取付間隔L1は、45mm〜100mmの範囲が好適である。さらに好適には、55〜77mmがより実用的である。これにより、一連の問題を解消できる。
【0040】
また、メインロープ20が三つ打ちであるが、直径L5が18mm(ストランドの直径L6が約6mm)に限られない場合については、中継装置10の鉤状部13の取付間隔L1は、メインロープ20の直径L5の3倍以上(L5が18mmの場合の54mm以上に相当)を確保すれば十分な効果が得られることになる。別の表現として、中継装置10の鉤状部13の取付間隔L1は、ストランド21の直径L6の8倍以上(L6が約6mmの場合の48mm以上に相当)を確保すれば十分な効果が得られるということもできる。
【0041】
(4)鉤状部の部材幅に係る実施形態
上述した中継装置10の鉤状部13の取付間隔L1の実施形態と組み合わせることができる、鉤状部13の部材幅L2の実施形態について説明する。
【0042】
メインロープ20が三つ打ちでかつ直径L5が18mm(ストランドの直径L6が約6mm)である場合、中継装置10の鉤状部13の部材幅L2は、6mm以上、好適には6〜18mm、さらに好適には9〜15mmとする。これにより、中継装置10が捻れた場合でも、鉤状部13がストランド21とストランド21の間に挟み込まれる現象を防止する効果をさらに高めることができる。
【0043】
また、メインロープ20が三つ打ちであるが、直径L5が18mm(ストランドの直径L6が約6mm)に限られない場合については、中継装置10の鉤状部13の部材幅L2を、ストランド21の直径L6の1倍以上、好適には1〜3倍、さらに好適には1.5〜2.5倍とすることにより同様の効果が得られることになる。
【0044】
(5)鉤状部の内径及び開口寸法に係る実施形態
試験では、メインロープ20が三つ打ちでかつ直径L5が18mmの場合について、中継装置10の鉤状部13の内径L3と開口寸法L4についても比較検証した。
【0045】
中継装置10の鉤状部13の内径L3について、26mmと34mmを比較した結果、鉤状部13の取付間隔L1を固定して内径L3を変えただけでは格段の効果の違いは得られなかった。
【0046】
しかしながら、鉤状部13の内径L3を広くすればメインロープ20にモルタル等が付着した場合の摩擦力を減少させることができる。この場合、鉤状部13の内径L3が40mm程度を超過すると中継装置10の捻れが著しく増大することから、鉤状部13の内径L3は26〜35mmが好適である。
【0047】
中継装置10の鉤状部13の開口寸法L4について、17.1mmと16.7mmを比較した結果、鉤状部13の取付間隔L1を固定して開口寸法L4を変えても十分な効果の違いが得られないことがわかった。