特許第6662816号(P6662816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662816
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】2階建て以上の建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/04 20060101AFI20200227BHJP
   E03C 1/122 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   E04H1/04 C
   E03C1/122 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-143412(P2017-143412)
(22)【出願日】2017年7月25日
(65)【公開番号】特開2019-27005(P2019-27005A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2017年7月25日
【審判番号】不服2019-4222(P2019-4222/J1)
【審判請求日】2019年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】595106969
【氏名又は名称】大東建託株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】戸田 宗稔
【合議体】
【審判長】 秋田 将行
【審判官】 有家 秀郎
【審判官】 大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−239327(JP,A)
【文献】 特開2012−237146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H1/04
E03C1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2階建て以上の建物であって、
奇数階と偶数階とを備え、
前記奇数階および前記偶数階の各々は、ユニットバスを有する浴室を備え、
前記奇数階の前記浴室は、平面上の第1の領域に配置され、
前記偶数階の前記浴室は、平面上の第2の領域に配置され、
少なくとも前記第1の領域および前記第2の領域の床下スラブは、相対的に高さが下げられたスラブ下がり構造を有しており、
前記第1の領域は、鉛直方向に見て、前記第2の領域とは重ならない位置に配置され、
前記建物は、さらに、パイプスペースを備え、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、鉛直方向に見て、前記パイプスペースを基準位置として対称的に配置されており、
前記パイプスペースは、前記建物の全ての階において、前記奇数階の前記浴室に関する給排水と前記偶数階の前記浴室に関する給排水とで共用される
建物。
【請求項2】
2階建て以上の建物であって、
奇数階と偶数階とを備え、
前記奇数階および前記偶数階の各々は、ユニットバスを有する浴室を備え、
前記奇数階の前記浴室は、平面上の第1の領域に配置され、
前記偶数階の前記浴室は、平面上の第2の領域に配置され、
少なくとも前記第1の領域および前記第2の領域の床下スラブは、相対的に高さが下げられたスラブ下がり構造を有しており、
前記第1の領域は、鉛直方向に見て、前記第2の領域とは重ならない位置に配置され、
鉛直方向に見て前記第2の領域に対応する前記奇数階の領域、および、鉛直方向に見て前記第1の領域に対応する前記偶数階の領域には、洗面室、便所、廊下又はキッチンの少なくとも一つが配置されている 建物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建物であって、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、鉛直方向に見て、隣接して配置された
建物。
【請求項4】
請求項2、または、請求項2を従属元に含む請求項3に記載の建物であって、
パイプスペースを備え、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、鉛直方向に見て、前記パイプスペースを基準位置として対称的に配置されており、
前記パイプスペースは、前記奇数階の前記浴室に関する給排水と前記偶数階の前記浴室に関する給排水とで共用される
建物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の建物であって、
前記奇数階のレンジフードは、鉛直方向に見て前記第2の領域に対応する前記奇数階の領域を避けて配置され、
前記偶数階のレンジフードは、鉛直方向に見て前記第1の領域に対応する前記偶数階の領域を避けて配置された
建物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の建物であって、
鉛直方向に見て前記第2の領域に対応する前記奇数階の領域には、洗面室および便所の少なくとも一方が配置され、
鉛直方向に見て前記第1の領域に対応する前記偶数階の領域には、洗面室および便所の少なくとも一方が配置された
建物。
【請求項7】
請求項6に記載の建物であって、
前記奇数階の前記便所からの排水管、および、前記偶数階の前記便所からの排水管は、共通する1つの排水縦管に接続された
建物。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の建物であって、
前記奇数階の前記浴室および前記洗面室からの排水管、ならびに、前記偶数階の前記浴室および前記洗面室からの排水管は、共通する1つの排水縦管に接続された
建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2階建て以上の建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2階建て以上の集合住宅(マンション、アパートなど)用の建物において、各階に浴室を設け、各浴室にユニットバスを設置する場合、各階の浴室は、鉛直方向に見て、平面上の同一位置に配置される(以下、直線的配置とも呼ぶ)。これにより、浴室に対する給排水のための配管を効率的に配置できるとともに、水漏れ時等の弊害が居室に及ぶことを抑制できる。また、ユニットバスが設置される領域(その周辺も含む)の床下スラブは、バリアフリーを実現する場合には、排水用の配管を引き回すスペースを確保するために、他の領域の床下スラブよりも下方に下げられる(以下、スラブ下がり構造とも呼ぶ)。
【0003】
一方、建物は、建築基準法によって、その高さが地域に応じて制限される。具体的には、建物高さは、用途地域の種別に応じて10m以下または12m以下に制限される。また、日影規制に基づいて建物高さを低く抑える必要がある場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−138618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような高さ制限下において、ユニットバスを設置する場合、上記の直線的配置およびスラブ下がり構造に起因して、ユニットバスの天井高を低く設定せざるを得ないことがある。例えば、建物高さが10m以下に制限される地域において4階建ての集合住宅を建設する場合、階高を低く抑える必要がある。この場合、ユニットバスの天井高は、1900mm程度しか確保できないものとなる。このような課題は、4階建てや集合住宅に限らず、高さ規制下で、ユニットバスを有する浴室を各階に設ける2階建て以上の任意の建物に共通する。このようなことから、建物の高さ制限を満たしつつ、ユニットバスの天井高を従来よりも高く設定できる2階建て以上の建物が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本発明の第1の形態によれば、2階建て以上の建物が提供される。この建物は、奇数階と偶数階とを備える。奇数階および偶数階の各々は、ユニットバスを有する浴室を備える。奇数階の浴室は、平面上の第1の領域に配置され、偶数階の浴室は、平面上の第2の領域に配置される。少なくとも第1の領域および第2の領域の床下スラブは、相対的に高さが下げられたスラブ下がり構造を有している。第1の領域は、鉛直方向に見て、第2の領域とは重ならない位置に配置される。
【0008】
かかる建物によれば、ユニットバスを有する浴室が、奇数階と偶数階との間で、鉛直方向に見た同一位置に連続しない。すなわち、浴室のスラブ下がり構造が鉛直方向に連続しない。したがって、浴室のスラブ下がり構造が鉛直方向に連続する従来の建物と比べて、1つ分のスラブ下がり構造の下がり高さの分だけ、ユニットバスの天井高を従来よりも高く設定できる。
【0009】
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、第1の領域と第2の領域とは、鉛直方向に見て、隣接して配置される。かかる形態によれば、奇数階の浴室と偶数階の浴室とが、鉛直方向に見て隣接する位置に配置される。したがって、浴室に対する給排水の配管を効率的に配置できるとともに、水漏れ時等の弊害が居室に及ぶことを抑制できる。
【0010】
本発明の第3の形態によれば、第1または第2の形態において、建物はパイプスペースを備える。第1の領域と第2の領域とは、鉛直方向に見て、パイプスペースを基準位置として対称的に配置されている。パイプスペースは、奇数階の浴室に関する給排水と前記偶数階の前記浴室に関する給排水とで共用される。かかる形態によれば、浴室に対する給排水の配管をいっそう効率的に配置できる。
【0011】
本発明の第4の形態によれば、第1ないし第3のいずれかの形態において、奇数階のレンジフードは、鉛直方向に見て第2の領域に対応する奇数階の領域を避けて配置される。偶数階のレンジフードは、鉛直方向に見て第1の領域に対応する偶数階の領域を避けて配置される。かかる形態によれば、1つ上の階の浴室のスラブ下がり箇所を避けてレンジフードが配置されるので、浴室の配置に起因してレンジフードの設置箇所の階高が低減されることがない。つまり、レンジフードの設置自由度が向上する。
【0012】
本発明の第5の形態によれば、第1ないし第4のいずれかの形態において、鉛直方向に見て第2の領域に対応する奇数階の領域には、洗面室および便所の少なくとも一方が配置される。鉛直方向に見て第1の領域に対応する偶数階の領域には、洗面室および便所の少なくとも一方が配置される。かかる形態によれば、浴室、洗面室および便所に関連する配管を効率的に配置できるとともに、水漏れ時等の弊害が居室に及ぶことを抑制できる。また、第4の形態に係る効果も得ることができる。
【0013】
本発明の第6の形態によれば、第5の形態において、奇数階の便所からの排水管と、偶数階の便所からの排水管とは、共通する1つの排水縦管に接続される。かかる形態によれば、汚物系の排水を効率的に排出することができる。また、汚物系の排水配管を、鉛直方向に見て略対称的となるように効率的に配置することができる。
【0014】
本発明の第7の形態によれば、第5または第6の形態において、奇数階の浴室および洗面室からの排水管、ならびに、偶数階の浴室および洗面室からの排水管は、共通する1つの排水縦管に接続される。かかる形態によれば、生活雑排水系の排水を効率的に排出することができる。また、生活雑排水系の排水配管を、鉛直方向に見て略対称的となるように効率的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施例による建物の1,3階平面図および2,4階平面図である。
図2図1のX1−X1断面図である。
図3図1のY1−Y1断面図である。
図4】第2実施例による建物の1階平面図である。
図5】第2実施例による建物の2,4階平面図である。
図6図4,5のX2−X2断面図である。
図7図4,5のY2−Y2断面図である。
図8】1,3階の浴室、洗面室および便所の排水管の配置を示す平面図である。
図9】2,4階の浴室、洗面室および便所の排水管の配置を示す平面図である。
図10】奇数階の配管と偶数階の配管とを重ね合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例による建物20の1,3階平面図および2,4階平面図である。本実施例では、建物20は、4階建ての1Kアパートとして例示されている。建物20の高さは、本実施例では、9.99mに設定されている。図1(a)は、1,3階の平面図であり、図1(b)は、2,4階の平面図である。建物20の各階には、複数の部屋が存在するが、図1では、1つの部屋のみを示している。建物20の各部屋は、居室(洋室)30とキッチン40と浴室50と洗面室60と便所70とPS(パイプスペース)80とを備えている。
【0017】
図2は、図1のX1−X1断面図である。図3は、図1のY1−Y1断面図である。図2,3では、各符号の末尾に「−」を介して階数を表示している。例えば、2階の浴室50は、「50−2」と示されている。図2および図3に示されるように、奇数階(ここでは、1,3階)の浴室50は、鉛直方向に見て、同一の位置に配置されている。この奇数階の浴室50が配置される領域を第1の領域とも呼ぶ。また、偶数階(ここでは、2,4階)の浴室50は、鉛直方向に見て、同一の位置に配置されている。この偶数階の浴室50が配置される領域を第2の領域とも呼ぶ。図2に示されるように、第1の領域と第2の領域とは、鉛直方向に見て、互いに重ならない位置に配置されている。
【0018】
本実施例では、第1の領域と第2の領域とは、鉛直方向に見て、隣接して配置されている。このため、各階の浴室50に対する給排水の配管を効率的に配置できる。しかも、浴室50またはその配管からの水漏れ時等の弊害が居室30に及ぶことを抑制できる。
【0019】
換言すると、第1の領域と第2の領域とは、鉛直方向に沿って互い違いに配置されている。具体的には、図1に示すように、奇数階では、浴室50は、部屋の長手方向の玄関側において、部屋の短手方向の一方側(紙面左側)に配置されている。そして、洗面室60および便所70が、長手方向において浴室50に隣接して配置されている。浴室50、洗面室60および便所70の反対側(短手方向の他方側)には、キッチン40が配置されている。一方、偶数階では、浴室50は、長手方向の玄関側において、短手方向の他方側(紙面右側)に配置されている。そして、洗面室60および便所70が、長手方向において浴室50に隣接して配置されている。浴室50、洗面室60および便所70の反対側(短手方向の一方側)には、キッチン40が配置されている。つまり、第1実施例では、浴室50、洗面室60および便所70と、キッチン40と、が鉛直方向に沿って互い違いに配置されている。
【0020】
さらに、図1に示すように、PS80は、短手方向の略中央に配置されている。その結果、第1の領域と第2の領域とは(つまり、浴室50、洗面室60および便所70は)、PS80を基準位置として、短手方向に対称となるように配置されている。このため、浴室50に対する給排水の配管をいっそう効率的に配置できる。
【0021】
図2および図3に示すように、浴室50の各々には、ユニットバス51が設置されている。このユニットバス51を設置するために、浴室50の床下スラブ52は、上階から見て床下スラブが局所的に下がったスラブ下がり構造を有している。具体的には、浴室50の床下スラブ52は、他の箇所の床下スラブ(図2および図3では、キッチン40の床下スラブ42、および、居室30の床下スラブ32)よりも下方に下げられており、局所的に凹んでいる。浴室50の床下スラブ52とユニットバス51との間の空間には、給排水のための配管が敷設される。また、1つ上の階の床下スラブと浴室50との間には、換気設備および換気のための配管が敷設される。本実施例では、図3に示すように、洗面室60の床下スラブ62もスラブ下がり構造を有している。浴室50の周囲のどの範囲までをスラブ下がり構造とするかは、水廻りの配管設計に応じて設定すればよい。
【0022】
上述の浴室50の互い違いの配置により、スラブ下がり構造も、1階おきに発生することになる。このため、各階の浴室50が鉛直方向に見て同一位置に直線的に並ぶ直線的配置と比べて、スラブ下がり1つ分の高さだけ、浴室50の天井高を高く設定することができる。その結果、ユニットバス51の天井高も高く設定することができる。従来の直線的配置では、ユニットバス51の天井高は、1900mm程度が限界であったが、本実施例の建物20によれば、2000mm程度の天井高を実現可能である。
【0023】
B.第2実施例:
以下、第2実施例について、主に、第1実施例と異なる点について説明する。図4は、第2実施例による建物120の1階平面図である。図5は、建物120の2,4階平面図である。図6は、図4および図5のX2−X2断面図である。図7は、図4および図5のY2−Y2断面図である。図6および図7の階数の表示は、図2および図3と同様である。建物120は、主に、第1実施例と同様に4階建ての1Kアパートとして例示されており、その高さは、9.99mに設定されている。なお、建物120の3階は、エントランスを除き、1階と同じ配置であるため、図示を省略している。
【0024】
建物120の各部屋は、居室(洋室)130とキッチン140と浴室150と洗面室160と便所170とPS180とを備えている。浴室150の各々には、ユニットバス151が設置されている。建物120は、第1実施例と同様に、浴室150の互い違い配置を有している。ただし、建物120では、図4および図5に示すように、奇数階では、玄関側から見て、短手方向の一方側において、便所170、洗面室160、浴室150の順にこれらが長手方向に並ぶのに対して、偶数階では、玄関側から見て、短手方向の一方側において、浴室150、洗面室160、便所170の順にこれらが長手方向に並ぶ。つまり、奇数階と偶数階との間で、浴室150と、洗面室160および便所170と、が互い違いになるように配置されている。PS180は、長手方向において、洗面室160および便所170が配置された範囲にわたって配置されている。また、図6および図7に示すように、浴室150の床下スラブ152は、他の箇所の床下スラブ(例えばキッチン140の床下スラブ142)よりも下がっており、スラブ下がり構造を有している。図4および図5では、当該階の床スラブ下がり部分を領域A1として、下階の床スラブ下がり部分を領域A2として示している。かかる配置によっても、第1実施例と同様の効果を奏する。
【0025】
また、奇数階と偶数階との間で、浴室150の配置位置と、洗面室160および便所170の配置位置と、を入れ替えることによって、図6に示すように、スラブ下がり構造のない領域にキッチン140を配置することができる。その結果、キッチン140のレンジフード141は、当該階のスラブ下がり構造を避けた領域に配置されることになる。かかる配置によれば、浴室150の配置に起因してレンジフード141の設置箇所の階高が低減されることがない。つまり、レンジフード141の設置自由度が向上する。
【0026】
図8は、建物120の3階の浴室150、洗面室160および便所170の排水管の配置を示す平面図である。図9は、建物120の2,4階の浴室150、洗面室160および便所170の排水管の配置を示す平面図である。図8および図9において、当該階の床スラブ下がり部分には、ハッチングを付している。奇数階の便所170からの排水管173(図8参照)、および、偶数階の便所170からの排水管173(図9参照)は、共通する1つの排水縦管174(図8および図9参照)に接続されている。かかる構成によれば、汚物系の排水を効率的に排出することができる。
【0027】
また、図8に示すように、奇数階の浴室150からの排水管153および洗面室160からの排水管163は、途中で合流して、排水縦管154に接続されている。同様に、図9に示すように、偶数階の浴室150からの排水管153および洗面室160からの排水管163は、途中で合流して、排水縦管154に接続されている。この図8および図9に示す排水縦管154も、奇数階および偶数階で共通する1つの配管である。かかる構成によれば、生活雑排水系の排水を効率的に排出することができる。
【0028】
図10は、図8および図9に示した配管を鉛直方向から見た図であり、奇数階の配管と偶数階の配管とを重ね合わせて図示している。図示するように、排水管153,173は、鉛直方向から見て略対称的となるように配置されており、各配管の延長を極力短くして、各配管を効率的に配置できることが分かる。
【0029】
図4および図5に示すように、PS180のうち、略半分は、奇数階と偶数階とで共用される。すなわち、奇数階のPS180のバルコニー側の半分は、偶数階のPS180の玄関側の半分と共通的に(つまり、鉛直方向に貫通するように)設けられている。この共通空間に、上記の排水縦管154,174を直線的に配置することができる。
【0030】
C.変形例:
上述した実施例の構成は、4階建てに限らず、2階建て以上の集合住宅に同様に適用することができる。また、上述した実施例の構成は、集合住宅に限らず、奇数階と偶数階とに浴室を配置する個別住宅にも適用することができる。
【0031】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、上記した実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各形態要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0032】
20,120…建物
30…居室
32…居室の床下スラブ
40,140…キッチン
42,142…キッチンの床下スラブ
50,150…浴室
51,151…ユニットバス
52,152…浴室の床下スラブ
60,160…洗面室
62…洗面室の床下スラブ
70,170…便所
141…レンジフード
153,163,173…排水管
154,174…排水縦管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10