特許第6662842号(P6662842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662842
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】歩行者ナビゲーションデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   G01C21/26 P
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-500028(P2017-500028)
(86)(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公表番号】特表2017-526906(P2017-526906A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】US2015039244
(87)【国際公開番号】WO2016004434
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】14/323,823
(32)【優先日】2014年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤワーダン ジャナーダナン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイガネシュ バラクリシャナン
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−179869(JP,A)
【文献】 特開2013−200162(JP,A)
【文献】 特表2017−506745(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0284979(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0190008(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0136573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者ナビゲーションのためのデバイスであって、
加速度計センサであって、前記加速度計センサの複数の軸におけるデバイスの動きの加速度測定値を得るように構成され前記加速度測定値がストライド成分ステップ成分を含む、前記加速度計センサ
前記加速度計センサに結合される処理モジュールであって、前記加速度計センサに関する前記デバイスの動き推定姿勢を判定するために、
前記ステップ成分を保持するために前記加速度測定値の前記ストライド成分を除去することによって前記加速度測定値をフィルタリングし
前記デバイスの動きの横方向揺れの前記推定姿勢における偏りを軽減するために前記加速度測定値の前記ステップ成分に基づいて前記推定姿勢を判定する
ことによって前記加速度測定値を処理するように構成される、前記処理モジュールと、
を含む、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記処理モジュールが、
前記加速度測定値の傾き測定を計算する傾き推定モジュール
前記傾き測定に基づいて複数のパーソナルナビゲーション軸に沿う傾き回復加速度測定値を生成するために前記加速度測定値を処理するように構成される傾き回復モジュールであって、前記複数のパーソナルナビゲーション軸が、少なくとも、鉛直軸第1の水平軸第2の水平軸を含む、前記傾き回復モジュール
フィルタリングされた加速度測定値を生成するために前記傾き回復加速度測定値に対して前記加速度測定値のフィルタリングを行うステップフィルタリングモジュールであって、前記フィルタリングされた加速度測定値が鉛直加速度成分前記第1の水平軸に沿う第1の水平加速度成分前記第2の水平軸に沿う第2の水平加速度成分を含む、前記ステップフィルタリングモジュールと、
を含む、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、
前記処理モジュールが、式
に基づいて予備姿勢を判定するように構成される予備姿勢推定モジュールであって、Rxx前記第1の水平加速度成分の自己共分散であり、Ryy前記第2の水平加速度成分の自己共分散であり、Rxy前記第1の水平加速度成分と前記第2の水平加速度成分の相互共分散である、前記予備姿勢推定モジュールを更に含む、デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスであって、
前記処理モジュールが、予備前方向加速度成分を生成するため前記予備姿勢に応答して前記第1の水平加速度成分を回転回復予備横方向加速度成分を生成するため前記予備姿勢に応答して前記第2の水平加速度成分を回転回復するように構成される回転回復モジュールを更に含む、デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスであって、
前記処理モジュールが
前記予備前方向加速度成分と90度回転された前記鉛直加速度成分との相互共分散に基づいて前記予備前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分との間の進み関係又は遅れ関係の一方を検出
前記検出された関係に基づいて前記デバイスの動きの方向が前方向であるか又は後ろ方向であるかを判定する
ように構成される0−π曖昧さ推定モジュールを更に含む、デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスであって、
前記予備前方向加速度成分と90度回転された前記鉛直加速度成分との間の相互共分散が正である場合前記デバイスの動きの方向が前記前方向であり、
前記予備前方向加速度成分と90度回転された前記鉛直加速度成分との間の前記相互共分散が負である場合前記デバイスの動きの方向が前記後ろ方向である、デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のデバイスであって、
前記処理モジュールが、前記予備姿勢と、前記前方向前記後ろ方向の一方である前記デバイスの動きの方向とに基づいて前記推定姿勢を判定するように更に構成される、デバイス。
【請求項8】
請求項5に記載のデバイスであって、
前記0−π曖昧さ推定モジュールが、式
に基づいて品質メトリック因子(YawQM)を生成するように更に構成され、Rfv前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分の相互共分散であり、Rff前記前方向加速度成分の自己共分散であり、Rvv前記鉛直加速度成分の自己共分散である、デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、
前記処理モジュールが、前記予備姿勢前記デバイスの動きの方向前記品質メトリック因子に基づいて前記推定姿勢を判定するように更に構成される、デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のデバイスであって、
前記推定姿勢が、式
YawFiltn=Yaw×abs(YawQM)+YawFiltn-1×(1-abs(YawQM))
に基づいて判定され、YawFiltが時間tにおける推定姿勢であり、YawFiltn−1が時間tn−1における推定姿勢であり、Yawが時間tにおける前記予備姿勢と前記デバイスの動きの方向とに基づいて判定される姿勢である、デバイス。
【請求項11】
請求項2に記載のデバイスであって、
前記処理モジュールが、品質メトリック因子と予備姿勢に基づいて前記推定姿勢を判定するように更に構成され、前記予備姿勢が、式
によって判定され、Rxv予備前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分の相互共分散であり、Ryv予備横方向加速度成分と前記鉛直加速度成分の相互共分散である、デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記加速度計センサに物理的に固定して配置され、全地球的基準方向に関する前記デバイスの前記加速度計センサの方を判定するように構成されるデバイス進行方向センサをに含み、
前記処理モジュールが、ユーザ進行方向推定を判定するために前記推定姿勢を前記加速度計センサの方と組み合わせるように更に構成される、デバイス。
【請求項13】
歩行者ナビゲーションのためのデバイスにおいて動作可能な方法であって、
全地球的基準方向に関する前記デバイスの加速度計センサの方向を判定すること
前記加速度計センサの複数の軸におけるデバイスの動き加速度測定値ることであって、前記加速度測定値がストライド成分ステップ成分を含む、前記加速度測定値を得ること
前記加速度計センサに関する前記デバイスの動きの推定姿勢を判定するために前記加速度測定値を電子的に処理することであって、少なくとも、
前記ステップ成分を保持するために前記加速度測定値の前記ストライド成分を除去することによって前記加速度測定値をフィルタリングすることと、
前記デバイスの動きの横方向揺れ前記推定姿勢における偏りを軽減するために前記加速度測定値の前記ステップ成分に基づいて前記推定姿勢を判定することと、
を含む、前記電子的に処理すること
ユーザ進行方向推定を生成するために前記推定姿勢を前記加速度計センサの方向と電子的に組み合わせること
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記電子的に処理することが、
前記加速度測定値の傾き測定を計算すること
前記傾き測定に基づいて複数のパーソナルナビゲーション軸に沿う傾き回復加速度測定値を生成することであって、前記複数のパーソナルナビゲーション軸が少なくとも鉛直軸と第1の水平軸と第2の水平軸とを含む、前記傾き回復加速度測定値を生成すること
前記傾き回復加速度測定値からの前記ストライド成分を遮断することによってフィルタリングされた加速度測定値を生成することであって、前記フィルタリングされた加速度測定値が鉛直加速度成分と前記第1の水平軸に沿う第1の水平加速度成分と前記第2の水平軸に沿う第2の水平加速度成分とを含む、前記加速度測定値を生成すること
更に含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記推定姿勢を判定することが、式
に基づいて予備姿勢を判定することであって、Rxxが前記第1の水平加速度成分の自己共分散であり、Ryyが前記第2の水平加速度成分の自己共分散であり、Rxyが前記第1の水平加速度成分と前記第2の水平加速度成分の相互共分散である、前記予備姿勢を判定することと、
予備前方向加速度成分を生成するために前記予備姿勢に応答して前記第1の水平加速度成分を回転回復し、予備横方向加速度成分を生成するために前記予備姿勢に応答して前記第2の水平加速度成分を回転回復することと、
前記予備前方向加速度成分と90度回転された前記鉛直加速度成分との相互共分散に基づいて前記予備前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分との間の進み関係又は遅れ関係の一方を検出することと、
前記検出された関係に基づいて前記デバイスの動きの方向が前方向であるか又は後ろ方向であるかを判定することと、
前記予備姿勢と前記デバイスの動きの方向とに基づいて前記デバイスの動きの前記推定姿勢を判定することと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記予備前方向加速度成分と90度回転された前記鉛直加速度成分との間の相互共分散が正である場合に前記デバイスの動きの前記方向が前記前方向であり、
前記予備前方向加速度成分と90度回転された前記鉛直加速度成分との間の前記相互共分散が負である場合に前記デバイスの動きの前記方向が前記後ろ方向である、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記推定姿勢を判定することが、式
に基づいて予備姿勢を判定することであって、Rxxが前記第1の水平加速度成分の自己共分散であり、Ryyが前記第2の水平加速度成分の自己共分散であり、Rxyが前記第1の水平加速度成分と前記第2の水平加速度成分との相互共分散である、前記予備姿勢を判定することと、
予備前方向加速度成分を生成するために前記予備姿勢に応答して前記第1の水平加速度成分を回転回復し、予備横方向加速度成分を生成するために前記予備姿勢に応答して前記第2の水平加速度成分を回転回復することと、
前記予備前方向加速度成分と90度回転された前記鉛直加速度成分との相互共分散に基づいて前記予備前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分との間の進み関係又は遅れ関係の一方を検出することと、
前記検出された関係に基づいて前記デバイスの動きの方向が前方向であるか又は後ろ方向であるかを判定することと、

に基づいて品質メトリック因子(YawQM)を生成することであって、Rfvが前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分との間の相互共分散であり、Rffが前記前方向加速度成分の自己共分散であり、Rvvが前記鉛直加速度成分の自己共分散である、前記品質メトリック因子を生成することと、
前記予備姿勢と前記デバイスの動きの方向と前記品質メトリック因子とに基づいて前記推定姿勢を判定することと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記推定姿勢が、式
に基づいて判定され、YawFilt時間tにおける推定姿勢であり、YawFiltn−1時間tn−1における推定姿勢であり、Yaw時間tにおける前記予備姿勢と前記デバイスの動きの方向とに基づいて判定される姿勢である、方法。
【請求項19】
歩行者ナビゲーションのためのデバイスにおいて動作可能な方法であって、
加速度計センサの複数の軸におけるデバイスの動き加速度測定値ることであって、前記加速度測定値がストライド成分ステップ成分を含む、前記加速度測定値を得ること
前記加速度計センサに関する前記デバイスの動きの推定姿勢を判定するために前記加速度測定値の少なくとも一部を電子的に処理することであって、少なくとも、
前記ステップ成分を保持するために前記加速度測定値の前記ストライド成分を除去することによって前記加速度測定値の前記ステップ成分をフィルタリングすることと、
前記デバイスの動きの横方向揺れ前記推定姿勢における偏りを軽減するために前記加速度測定値の前記ステップ成分に基づいて前記推定姿勢を判定することと、
を含む、前記電子的に処理することと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記電子的に処理することが、式
に基づいて予備姿勢を判定することであって、Rxxが第1の水平加速度成分の自己共分散であり、Ryyが第2の水平加速度成分の自己共分散であり、Rxyが前記第1の水平加速度成分と前記第2の水平加速度成分との相互共分散である、前記予備姿勢を判定することと、
予備前方向加速度成分を生成するために前記予備姿勢に応答して前記第1の水平加速度成分を回転回復し、予備横方向加速度成分を生成するために前記予備姿勢に応答して前記第2の水平加速度成分を回転回復することと、
前記予備前方向加速度成分と90度回転された鉛直加速度成分との相互共分散に基づいて前記予備前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分との間の進み関係又は遅れ関係の一方を検出することと、
前記検出された関係に基づいて前記デバイスの動きの方向が前方向であるか又は後ろ方向であるかを判定することと、

に基づいて品質メトリック因子(YawQM)を生成することであって、Rfvが前方向加速度成分と前記鉛直加速度成分との間の相互共分散であり、Rffが前記前方向加速度成分の自己共分散であり、Rvvが前記鉛直加速度成分の自己共分散である、前記品質メトリック因子を生成することと、
前記予備姿勢と前記デバイスの動きの方向と前記品質メトリック因子とに基づいて前記推定姿勢を判定することと、
を更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して歩行者ナビゲーションに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者ナビゲーションデバイスは、道路でユーザ位置情報を判定するために用いられる。このようなナビゲーションデバイスの多くは、それらのユーザによって任意のパターンで保持され得る、結びつけられていないデバイスの形態ともし得る。このようなナビゲーションデバイスは、ユーザの方向に関連する姿勢(attitude)を推定することによってユーザの動きの方向を判定する。例えば、この姿勢は、センサの方向に対するユーザの動き(又は、ナビゲーションデバイスはユーザによって携帯されるのでデバイスの動き)の方向として定義され得、センサの方向はナビゲーションデバイスに既知である。幾つかの状況では、姿勢推定は静的に成され得る。しかし、この方法は、ユーザがナビゲーションデバイスをユーザの動きの方向に向けることを必要とし得、この方向における姿勢は定量値「ゼロ」によって定義される。また、姿勢の動的推定が、ナビゲーションデバイスの向きに対する制約を低減又は除外する助けとなり得る。例えば、ユーザが、ナビゲーションデバイスの向きを縦向きから横向きに変更し得、また、ナビゲーションデバイスをユーザのシャツ又はズボンのポケットに入れて携帯し、その後、歩行者ナビゲーションに関するマップを見るためにナビゲーションデバイスを取り出すことさえあり得る。(例えばモバイルデバイスにおいて埋め込まれ得る)ナビゲーションデバイス用の低コストセンサ(加速度計、電子コンパス(eコンパス)、ジャイロスコープなど)を用いる、結びつけられていない歩行者ナビゲーションにおける動的姿勢推定は、業界全体の問題である。
【発明の概要】
【0003】
歩行者ナビゲーションのためのデバイス及び方法の記載される例において、デバイスが、加速度成分を感知するように構成される加速度計センサを含み、加速度成分は加速度計センサの複数の軸におけるデバイスの動きに関連し、ストライド周波数成分及びステップ周波数成分を含む。このデバイスは、加速度計センサと通信可能に関連する処理モジュールを含む。処理モジュールは、加速度計センサに対するデバイスの動きに関連する推定姿勢を判定するために、加速度成分の少なくとも一部を処理するように構成される。処理モジュールは、加速度成分のストライド周波数成分を遮断することによって加速度成分のステップ周波数成分をフィルタ出力することにより、加速度成分を処理するように構成される。処理モジュールはさらに、推定姿勢におけるデバイスの動きの横方向動きに関連する偏りを軽減するために加速度成分のステップ周波数成分に基づいて推定姿勢を判定するように構成される。
【0004】
幾つかの実施形態では、歩行者ナビゲーションのためのデバイスにおいて動作可能な方法が、全地球的基準方向に対するデバイスの加速度計センサの方向を判定すること、加速度計センサの複数の軸におけるデバイスの動きに関連する加速度成分を感知することを含む。加速度成分は、ストライド周波数成分及びステップ周波数成分を含む。この方法はさらに、加速度計センサに対するデバイスの動きの推定姿勢を判定するため、加速度成分を電子的に処理することを含む。電子的な処理は、少なくとも、加速度成分のストライド周波数成分を遮断することによって加速度成分のステップ周波数成分をフィルタ出力すること、及びデバイスの動きの横方向揺れに関連する推定姿勢における偏りを軽減するために、加速度成分のステップ周波数成分に基づいて推定姿勢を判定することを含む。この方法はさらに、ユーザ進行方向(heading)推定を生成するため、推定姿勢を加速度計センサの方向と電子的に組み合わせることを含む。
【0005】
幾つかの実施形態では、歩行者ナビゲーションのためのデバイスにおいて動作可能な方法が、加速度計センサの複数の軸におけるデバイスの動きに関連する加速度成分を感知することを含む。加速度成分は、ストライド周波数成分及びステップ周波数成分を含む。この方法はさらに、加速度計センサに対するデバイスの動きの推定姿勢を判定するために、加速度成分の少なくとも一部を電子的に処理することを含む。電子的な処理は、少なくとも、加速度成分のストライド周波数成分を遮断することによって加速度成分のステップ周波数成分をフィルタ出力すること、及びデバイスの動きの横方向揺れに関連する推定姿勢における偏りを軽減するために、加速度成分のステップ周波数成分に基づいて推定姿勢を判定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】或る実施形態に従った、姿勢、及び全地球的基準方向に対するセンサ方向を示すように位置決めされるデバイスの例示表現である。
【0007】
図2】3つの加速度計軸及び全体加速度成分の各々について、時間に対する加速度成分測定の例示波形を示すグラフである。
【0008】
図3】例示実施形態に従った、歩行者ナビゲーションのためのデバイスの例示ブロック図表現である。
【0009】
図4】一実施形態に従った、姿勢推定の品質メトリックフィルタリングに関連する例示プロットを示すグラフである。
【0010】
図5A】一実施形態に従った、品質メトリックフィルタリングの例示ブロック図表現である。
図5B】別の実施形態に従った、品質メトリックフィルタリングの例示ブロック図表現である。
【0011】
図6】一実施形態に従った、歩行者ナビゲーションの例示的方法のフローチャートである。
【0012】
図7】別の実施形態に従った、歩行者ナビゲーションの例示的方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
歩行者ナビゲーションデバイスにおける姿勢推定のための様々な実施形態を図1図7を参照して説明する。
【0014】
「歩行者ナビゲーション」は、位置、方向、進行方向、傾き、姿勢、方位、高度、速度、加速度、及び急な動きの感知、及び/又は場所に基づくアプリケーション、位置に基づくアプリケーション、位置に基づくアプリケーション、歩数計アプリケーション、マップ関連アプリケーション、経路(軌道)制御、コース監視及び終了、限定領域又はゾーンに対する制約、操縦、自由落下検出、画像取得制御、画像安定化、及び上記の任意のものを組み合わせるアプリケーション又は上記の任意のものから恩恵を得る他のアプリケーションのいずれか1つ、いくつか、又は全てを含む。
【0015】
姿勢推定を提供し得る様々なデバイス、又は、より具体的には歩行者ナビゲーションを提供し得る様々なデバイスは、ポータブルデバイス、ハンドヘルドデバイス、又はモバイルデバイスである。このようなデバイスは、本明細書の実施形態及び教示を利用し、それらから恩恵を得るために位置又は向きに関して十分に移動可能な、本明細書に記載のもの並びに他のものなどの任意の電子デバイスを含み得、このようなデバイスを下記では「歩行者ナビゲーションデバイス」と称する。
【0016】
歩行者ナビゲーションデバイスが、歩行者ナビゲーションデバイスを携帯するユーザのスピード及び/又は距離の推定値、所定の方向(例えば磁北)に対する歩行者ナビゲーションデバイス内の1つ又は複数のセンサの方向、並びに加速度計センサに対するデバイスの動き(又は、歩行方向などのユーザの動き)の方向に対するこのようなモバイルデバイスの推定姿勢供給方向を計算するように構成される。いくつかの例示実施形態では、歩行者ナビゲーションデバイスは、所定の方向に対する歩行者ナビゲーションデバイス内の1つ又は複数のセンサの方向、及び歩行者ナビゲーションデバイスに関連する推定姿勢を計算するようにのみ構成され得る。このような例示実施形態では、スピード及び/又は距離の推定は、姿勢推定のために本明細書で開示する歩行者ナビゲーションデバイス(「デバイス」とも称する)にアクセス可能な又はこれと通信する適切なデバイス(歩数計など)によって実施され得る。或いは、幾つかの例示実施形態では、歩数計などのデバイスも歩行者ナビゲーションデバイスにおいて具現化され得る。
【0017】
図1を参照すると、デバイス100(歩行者ナビゲーションデバイス)の例示表現が示されている。デバイス100は、結びつけられていない及び結びつけられたナビゲーションデバイスとともに用いられるように構成され、ユーザ進行方向(ユーザ進行方向推定)を判定するためユーザによって携帯され得る。説明のため、この結びつけられていないナビゲーションを、ユーザが移動する距離の推定と、ユーザ進行方向推定とに別々に分ける。ユーザが移動する距離は、当技術分野で知られているように、歩数計のプロセス及び回路要素の実施形態を用いて推定される。様々な実施形態がユーザ進行方向推定の解決策を提供する。
【0018】
様々な実施形態では、ユーザ進行方向推定は2つの推定を判定することによって実施される。第1の推定が、全地球的基準方向(北など)に対するデバイスセンサ(加速度計センサなど)の方向であり、第2の推定が、デバイスセンサに対するユーザの動き(ユーザはデバイス100を携帯するので、「デバイスの動き」とも称する)の方向(姿勢)である。第1の推定はeコンパス及び/又はジャイロスコープを用いて判定され、第2の推定(姿勢)は加速度計センサとともに処理モジュールによって判定される。一例の実施形態において、デバイス100は推定姿勢しか判定し得ず、全地球的基準方向に対するデバイスセンサの方向は別のデバイスによって提供され得、推定姿勢及びデバイスセンサの方向両方が組み合わされてユーザ進行方向推定が判定される。加速度計センサ及び処理モジュールの様々な実施形態は、図2図7を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、デバイス100は、角度105及び角度110の2つの方向を判定することによってユーザ進行方向推定を判定するように構成される。角度105は、磁北(MN115参照)とセンサ方向(120)との方向差を表わし、角度110は、センサ方向(120)とユーザ又はデバイスの動きの方向(125参照)との方向差を表わす。この説明のために、デバイス100が水平面内に置かれる場合、方向110は、デバイスの動き(又はユーザの動き)に関連する「姿勢」と称される。
【0020】
図2において、未処理の加速度計測定値(加速度成分)が時間に対して示されている。典型的なユーザ歩行の動き(又は、デバイスがユーザによって携帯されているのでデバイスの動き)の間の加速度成分、例えば、ユーザの前方向成分(前方向加速度202として示す)、ユーザの横方向成分(横方向加速度204として示す)、及びユーザの鉛直方向成分(鉛直方向加速度206として示す)など、が図2に示されている。
【0021】
図2では、加速度成分(前方向加速度202、横方向加速度204、及び鉛直方向加速度206)の二乗値の和の平方根などの大きさ(Amag)もグラフ上部にグラフ化されている(総加速度208として示す)。これらの加速度は、横軸(X軸)の時間に対して縦軸(Y軸)にプロットされている。図2のプロットから、前方向加速度202、横方向加速度204、及び鉛直方向加速度206のうち、鉛直方向加速度206の変動が最大であり、横方向加速度204に沿った変動が最小である。さらに、鉛直方向加速度206と前方向加速度202は、位相が約90度、即ち、ステップ継続時間のほぼ1/4、オフセットされている。例えば、図2に示すように、鉛直方向加速度206の波形が、前方向加速度202の波形より約90度進んでいる。
【0022】
図3は、例示の実施形態に従った、歩行者ナビゲーションのためのデバイス300のブロック図である。デバイス300はデバイス100の例である。デバイス300は、加速度計センサ310及び処理モジュール325を含む。加速度計センサ310は、加速度計センサ310の複数の軸におけるデバイスの動きに関連する加速度成分を感知するように構成される。一例示実施形態では、デバイス300はまた、加速度計センサ310に対して物理的に固定されて配置され、全地球的基準方向(全地球的な北など)に対するデバイス進行方向推定を生成するように構成される、デバイス進行方向センサ320を含む。処理モジュール325は、加速度計センサ310に対するデバイスの動きに関連する推定姿勢を判定するように構成され、さらに、推定姿勢とデバイス進行方向推定を組み合わせることに基づいてユーザ進行方向推定を判定するように構成される。
【0023】
一例の実施形態において、加速度計センサ310は、3軸加速度計であり、加速度計センサ310の、それぞれ、X、Y、及びZの3軸に沿った、AccX、AccY、AccZなどの加速度成分の測定を提供する。一般性を失うことなく、加速度計センサ310は、デバイス300(デバイス100の例)内部の仮想観測器であり、外部のことはわからない。デバイス300の或る面(X軸)が水平面と一致する場合、AccXは、デバイス300のディスプレイからデバイス300のこの面に沿って外向きに発する方向の加速度成分であり、AccYは、水平面内におけるX軸の方向に直交するY軸などの横方向の加速度成分であり、AccZは、デバイス300のディスプレイからの垂線などの鉛直面における加速度成分である。加速度計センサ310が、デバイス300内部の仮想観測器であり、外部のことがわからず、そのため、X軸は常に、デバイス300の向きに関わらずデバイス300の上部を指し、AccX、AccY、AccZ間の角度関係はデバイス300の向きに関わらず一定に維持され、これらの軸はパーソナルナビゲーション座標の軸と必ずしも一致する必要はないことが視覚化され得る。デバイス進行方向センサ320の例には、ジャイロスコープや、磁北などの全地球的基準方向に対する加速度計センサ310の方向の情報を提供するeコンパスが含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0024】
処理モジュール325は、データ記憶装置に記憶されるか又はその中に受け取られる、ソフトウェア命令、プロトコル、又は論理命令の実行又は性能を促進又は可能にするための、当業者に既知の様々なデバイスを含み得る。処理モジュール325は、マルチコアプロセッサ、シングルコアプロセッサ、又はマルチコアプロセッサとシングルコアプロセッサの組合せとして具現化され得る。例えば、処理モジュール325は、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、DSP付き又はDSPなし処理回路要素、或いは特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラユニット(MCU)、ハードウェアアクセレレータ、又は特定目的コンピュータチップなどの集積回路を含む様々な他の処理デバイスなど、様々な処理手段の1つ又は複数として具現化され得る。処理モジュール325はまた、メモリデバイス(プロセッサキャッシュなど)、計時デバイス(リアルタイムクロック(RTC))、及び/又は追加の回路要素或いはデータ送信チャネルを含み得る。データ記憶装置は、複数の異なるデバイス又はデバイスの組合せによって具現化されてもよい。例えば、データ記憶装置は、1つ又は複数の揮発性及び/又は不揮発性メモリデバイスを含み得る。このようなデバイスの例には、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、及び電気的に消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
処理モジュール325は、ステップ検出モジュール330、傾き推定モジュール335、傾き回復(de-tilt)モジュール340、及びステップ周波数フィルタリングモジュール350を含む。
【0026】
ステップ検出モジュール330は、加速度成分(AccX、AccY、及びAccZ)におけるステップ周波数成分及びストライド周波数成分を判定するように構成される。一例の実施形態において、ステップ検出モジュール330は、これらの周波数成分を、加速度測定におけるゼロ交差の情報と、ステップ周波数が2/ストライド期間に等しいという仮定とを用いて判定する。ただし、ステップ検出モジュール330は、加速度計成分(AccX、AccY、及びAccZ)のパターン検出及び推定に基づいてステップ周波数成分及びストライド周波数成分を判定し得る。傾き推定モジュール335は、加速度計センサ310から受け取られる加速度成分(AccX、AccY、AccZ)及び(ステップ検出モジュール330から受け取られる)ステップ周波数成分及びストライド周波数成分の情報を用いたピッチ(Φ)及びロール(θ)出力などの、傾き測定を判定するように構成される。幾つかの実施形態では、これらの傾き測定は、通常、ユーザの動きの停止期間の間に、停止期間の間のサンプルを平均してノイズをフィルタリングすることによって推定され得る。これは、ユーザが動いている間は、測定にノイズが乗り過ぎて傾き推定のために平均できない可能性があるからである。幾つかの例示実施形態では、傾き推定モジュール335は、ストライドが検出されるたびに、ダイナミック傾き推定(及び追跡)のためそのストライドにわたって測定を平均するように構成される。これは、加速度測定波形が概してストライドにわたって周期的であり、正味の加速度が通常ゼロである(鉛直方向加速度成分を除く)からである。
【0027】
傾き回復モジュール340は、傾き測定に基づいて複数のパーソナルナビゲーション軸に沿う傾き回復加速度成分を生成するため加速度成分を処理するように構成される。一例の実施形態において、パーソナルナビゲーション軸は、少なくとも、鉛直軸、第1の水平軸、及び第2の水平軸を含む。例えば、傾き回復は、加速度計成分AccX、AccY、AccZを、それぞれ、第1の水平軸、第2の水平軸、及び鉛直軸における加速度計成分に変える。例えば、傾き推定モジュール335は、デバイス300の現在の向きを判定し、次いで、傾きを回復して鉛直軸及び水平2次元面における加速度計示度を判定する。一例の実施形態において、傾き推定モジュール335は、傾き回復モジュール340にAccX、AccY、AccZに対応する傾き測定(ピッチ(Φ)及びロール(θ)出力)を提供する。傾き回復モジュール340は、歩行者パーソナル座標系(X’、Y’、V’)の傾き回復軸を判定するために、これらの入力(AccX、AccY、AccZ、Φ、及びθ)をすべて用いる。この説明では、歩行者のパーソナル座標系の座標(軸)である傾き回復座標(X’、Y’、V’)を参照し、ここで、座標X’は第1の水平軸に対応し、座標Y’は第2の水平軸に対応し、座標V’は鉛直軸に対応する。
【0028】
様々な使用状況において、ユーザの歩行の特質によってはユーザの有意の側方揺れにより、加速度計測定における横方向加速度成分(図2の204によって示す)が増加する(ずれる)。横方向加速度成分204のこのような望ましくないずれは、姿勢の推定(推定姿勢の判定)を異なる様式で偏らせ得る。このように、側方の揺れは、ストライド周波数(ステップ周波数の半分)で周期的であり、ストライドは2つの連続ステップ(左ステップ及び右ステップ)からなる。一例の実施形態において、ステップ周波数フィルタリングモジュール350は、傾き回復加速度成分からのストライド周波数成分を遮断することによってフィルタリングされた加速度成分を生成するように構成される。例えば、ステップ周波数フィルタリングモジュール350は、ストライド周波数成分をフィルタリングし、傾き回復加速度成分のステップ周波数成分のみを通過させるように構成される。処理モジュール325は、傾き回復加速度成分のステップ周波数成分の処理に基づいて、デバイスの動きに関連する推定姿勢を判定するように構成される。このように、推定姿勢は他の測定及び推定と結びつけられ、群遅延をもたらすいかなるフィルタリングでも、姿勢の推定が複雑となる。一般性を失うことなく、ステップ周波数フィルタリングモジュール350の一例は、高速フーリエ変換(FFT)ベースの遮断フィルタである。ストライド(2ステップ)が既に検出されている場合、1ストライド相当データをFFTベースの遮断フィルタを通過させることによって、変換成分は、F(0)(直流成分)、F(1)(ストライド周波数)、及びF(2)(ステップ周波数)となる。FFTベースの遮断フィルタは、姿勢の推定のさらなる処理のため、F(1)を遮断し、成分F(2)(ステップ周波数成分)のみを通過させるように構成される。他の例示実施形態において、ステップ周波数成分はまた、Goertzelアルゴリズム又は任意の他の適切な手段を用いて演算され得る。
【0029】
説明のため、フィルタリングされた加速度成分を、第1の水平軸に沿う第1の水平加速度成分(AccX’)、第2の水平軸に沿う第2の水平加速度成分(AccY’)、及び鉛直軸に沿う鉛直方向加速度成分(AccV)と称する。フィルタリングされた加速度成分(AccX’、AccY’、及びAccV)は、続いて、デバイスの動きに関連する推定姿勢を判定するため処理される。例えば、ステップ周波数フィルタリングモジュール350の出力(AccX’、AccY’、及びAccV)は、事前姿勢推定モジュール355及び回転回復(de-rotate)モジュール360に提供される。一例の実施形態において、事前姿勢推定モジュール355は、事前姿勢推定出力を入力として回転回復モジュール360に提供する。事前姿勢推定モジュール355は、加速度の変動が、デバイスの動きの横方向に沿って最小であり、鉛直軸AccVに沿って最大であるという仮定に基づいて事前姿勢を計算するように動作する。また、水平面において、この変動が、前方向に沿って最大であり、デバイスの動きの横方向に沿って最小であると仮定する。したがって、事前姿勢推定モジュール355は、AccX’及びAccY’の値に基づいて、パーソナルナビゲーション座標の水平面において最大変動(前方向の推定)の軸を見つけることによって事前姿勢を計算するように構成される。事前姿勢は、加速度計方向に対するデバイスの動きの前方向の事前推定のみを提供するが、事前姿勢は、依然として、(デバイスの動きの方向が前方向であるか又は後ろ方向であるかについて)0−π曖昧さを有する。
【0030】
一般性を失うことなく、一例の実施形態において、事前姿勢は、下記の式に基づいて事前姿勢推定モジュール355によって判定され得る。
【数1】
ここで、RxxはAccX’の自己共分散であり、RyyはAccY’の自己共分散であり、RxyはAccX’とAccY’の相互共分散である。AccX’及びAccY’は、ステップ周波数フィルタリングモジュール350から受け取られる(パーソナルナビゲーション軸の)第1の水平軸及び第2の水平軸におけるフィルタリングされた加速度成分を表す。
【0031】
一例の実施形態において、回転回復モジュール360は、AccX’、 AccY’、及び事前姿勢に基づいて、(水平面における最大変動の軸における)AccF’など、事前前方向加速度成分を生成するように構成される。例えば、AccX’及びAccY’を事前姿勢に対応する角度、回転することによって、事前前方向加速度成分AccF’(水平面における最大変動の方向における加速度)が事前推定され得る。一例の実施形態において、回転回復モジュール360はまた、AccX’、 AccY’、及び事前姿勢に基づいて事前横方向加速度成分(AccL’など)を提供するように構成される。例えば、AccX’及びAccY’を事前姿勢に対応する角度、回転することによって、事前横方向加速度成分(AccL’)が事前推定され得る。事前姿勢は、加速度計センサ方向に対するデバイスの動きの前方向の事前推定のみ提供するが、事前姿勢は、依然として、(デバイスの動きの方向が前方向であるか又は後ろ方向であるかについて)0−π曖昧さを有する。
【0032】
一例示実施形態において、0−π曖昧さ推定モジュール365が、(推定事前姿勢に基づいて得られる)回転回復モジュール360から受け取られる入力の0−π曖昧さを解決するように構成される。一例示実施形態において、0−π曖昧さ推定モジュール365は、事前前方向加速度成分(AccF’)と、90度位相回転された鉛直方向加速度成分(AccV)との相互共分散に基づいて、事前前方向加速度成分(AccF’)と鉛直方向加速度成分(AccV)の進み関係又は遅れ関係の感知を検出するように構成される。この例示実施形態では、0−π曖昧さ推定モジュール365は、関係(AccF’とAccVの進み関係又は遅れ関係)の感知の検出結果に基づいて、デバイスの動きの方向が前方向であるか又は後ろ方向であるかを判定するように構成される。
【0033】
一例示実施形態において、0−π曖昧さ推定モジュール365は、下記の式に基づいて推定姿勢を判定する。
fv<0である場合、推定姿勢=事前姿勢+π
fv>0である場合、推定姿勢=事前姿勢 式(2)
ここで、RfvはAccF’と90°(90度)位相回転された、又は、ステップ継続時間の1/4等価に遅れたAccVの相互共分散である。式(2)から、推定ユーザ方向は、AccF’と90°位相回転されたAccVとの間の相互共分散(Rfv)が正である場合、前方向であり、AccF’と90°位相回転されたAccVとの間の相互共分散(Rfv)が負である場合、後ろ方向である。したがって、一例示実施形態において、デバイスの動きの前方向加速度(AccFで表される)が、事前前方向加速度成分AccF’、及びAccF’とAccVとの間の関係の検出された感知に基づいて計算される。同様に、デバイスの動きの横方向加速度(AccLで表される)が、事前横方向加速度成分AccL’、及びAccF’とAccVとの間の関係の検出された感知に基づいて計算される。
【0034】
別の例示実施形態において、処理モジュール325などの処理モジュールが、0−π曖昧さ推定モジュール365を含まず、この処理モジュールは、下記の式に基づいて姿勢を判定するように構成され得る。
姿勢=tan−1(Rxv/Ryv)+π/2 式(3)
ここで、Rxvは、AccX’のAccVとの相互共分散であり、Ryvは、AccY’のAccVとの相互共分散である。
【0035】
或る例示実施形態では、処理モジュール325は、式(2)又は式(3)によって得られた推定姿勢を再調整して、一連の高品質の姿勢推定を提供するように構成される。例えば、0−π曖昧さ推定モジュール365は、下記の式に基づく姿勢推定のための品質メトリック因子(quality metric factor)(YawQM)を提供するように構成される。
【数2】
ここで、Rfvは、AccF(前方向加速度成分)とAccV(鉛直方向加速度成分)の相互共分散であり、Rff及びRvvは、それぞれ、AccF及びAccVの自己共分散である。YawQMの値が±1に近い場合、姿勢推定は正確になる。YawQMの値がゼロに近い場合、小さなレベルの「ノイズ」でも符号の反転が生じる恐れがあり、それによって、姿勢の誤った推定が起こり得る。したがって、再調整された推定姿勢(「品質フィルタリングされた姿勢」又は「推定姿勢」とも称する)を生成するため、YawQMの大きさに基づいて、推定姿勢がさらに再調整される。
【0036】
一例示実施形態において、処理モジュール325は、品質メトリックフィルタ370を含み、品質メトリックフィルタ370は、(事前姿勢推定モジュール355から受け取られる)事前姿勢、(0−π曖昧さ推定モジュール365から受け取られる)AccF’とAccVとの間の進み関係又は遅れ関係の感知、及びYawQMに基づいて、再調整された推定姿勢(「推定姿勢」とも称する)を判定するように構成される。一例示実施形態において、処理モジュール325はユーザ進行方向推定モジュール375を含み、ユーザ進行方向推定モジュール375は、入力、即ち、(デバイス進行方向センサ320から受け取られる)デバイス進行方向推定、及び(品質メトリックフィルタ370から受け取られる)推定姿勢を受け取る。ユーザ進行方向推定モジュール375は、推定姿勢をデバイス進行方向推定と電子的に組み合わせて、全地球的基準方向(北など)に対するユーザ進行方向を提供するユーザ進行方向推定を生成するように構成される。一例示実施形態において、デバイス300は品質メトリックフィルタ370を含まず、0−π曖昧さ推定モジュール365が、回転回復モジュール360から受け取られる入力の0−π曖昧さを解決し、推定姿勢を提供する。この実施形態では、ユーザ進行方向推定モジュール375は、(0−π曖昧さ推定モジュール365から受け取られる)推定姿勢をデバイス進行方向推定と組み合わせてユーザ進行方向推定を生成し得る。
【0037】
品質メトリックフィルタリングに関連するプロットの例示表現を図4に示す。図4を参照すると、(例えば、式(2)から判定される)推定姿勢の大きさ(角度)、(式(4)から判定される)YawQM、及び再調整された推定姿勢(又は品質フィルタリングされた姿勢)の時間に対するグラフが示されている。例えば、プロット410は、YawQMを表し、プロット420は、(事前姿勢推定モジュール355及び0−π曖昧さ推定モジュール365から得られる)入力推定姿勢を表し、プロット430は再調整された推定姿勢を表す。
【0038】
図4では、(430で示される)再調整された推定姿勢は、YawQM(410で示される)の大きさに基づいて(420で示される)入力推定姿勢をフィルタリングすることに基づいて得られるフィルタリングされた推定姿勢である。例えば、(420で示される)入力推定姿勢の(部分412に対応する)部分422、(部分414に対応する)部分424、及び(部分416に対応する)部分426は、(430で示される)再調整された推定姿勢では遮断されている。
【0039】
再調整された推定姿勢を生成するための品質メトリックフィルタリングの実装の幾つかの例示実施形態が図5A及び図5Bに示されている。図5Aに示すように、事前姿勢推定モジュール355によって受け取られる事前姿勢(502参照)は、0−π曖昧さ推定モジュール365によって受け取られる0/π信号(又は入力)(AccF’とAccVとの間の進み/遅れ関係を表す504参照)によって補正されて、0−π補正姿勢(506参照)が生成される。また、品質メトリックフィルタ370は、0−π補正姿勢506及びYawQM(508参照)を入力として受け取り、再調整された推定姿勢である推定姿勢(510参照)を生成するように構成される。
【0040】
図5Aのこの例示実施形態では、品質メトリックフィルタ370は、下記の式に基づいて、再調整された推定姿勢Yawを生成し得る。
YawFiltn=Yaw×abs(YawQM)+YawFiltn-1×(1-abs(YawQM)) 式(5)
ここで、YawFiltは、時間tにおける推定姿勢であり、YawFiltn−1は、時間tn−1における推定姿勢であり、Yawは、時間tにおける事前姿勢とデバイスの動きの方向とに基づいて推定される姿勢である。上記の式(5)から、YawQMがゼロに近づくと、YawFiltは、YawFiltn−1に等しいなど、先行する再調整された推定姿勢にほぼ等しくなる。また、YawQMが1に近づくと、YawFiltは、Yawなどの推定姿勢の現在の値に等しくなる。
【0041】
再調整された推定姿勢を判定する別の実施形態が図5Bに示されている。図5Bに示すように、事前姿勢(522参照)は、YawQM(554参照、0−π曖昧さ推定モジュール365から受け取られる)に基づいて、品質メトリックフィルタ370によってフィルタリングされて、フィルタリングされた姿勢信号(556参照)が生成される。この実施形態では、事前姿勢552は、YawQMの飽和値に基づいてフィルタリングされる。例えば、YawQMが実質的に1に等しいとき、フィルタリングされた姿勢信号(556参照)が生成される。
【0042】
この実施形態では、0−πを表す信号(0/π信号558参照)が、別個の0−πフィルタ560によって生成され、再調整された推定姿勢(570)が、フィルタリングされた姿勢信号556及び信号558に基づいて生成される。
【0043】
本明細書で説明する特徴の幾つかは、モジュール(例えば、傾き推定モジュール335、事前姿勢推定モジュール355など)として説明した。これは、これらのモジュールの実装の独立性をより特別に強調するためである。モジュールは、カスタムの超大規模集積(VLSI)回路又はゲートアレイや、論理チップ、トランジスタ、又は他の個別構成要素などの汎用の半導体を含む、ハードウェア回路として実装され得る。また、モジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理、プログラマブル論理デバイス、及びグラフィック処理ユニットなどのプログラマブルハードウェアデバイスとして実装され得る。
【0044】
本明細書に記載のモジュールはまた、少なくとも部分的に、様々なタイプのプロセッサによって実行されるソフトウェアにおいて実装され得る。例えば、実行可能なコードの識別されたユニットが、オブジェクト、プロシージャ、又は関数として構成され得るコンピュータ命令の1つ又は複数の物理又は論理ブロックを含み得る。そうではあるが、識別されたモジュールの実行可能ファイルは物理的に一緒に配置される必要はなく、異なる場所に記憶される異種命令を含み得る。これらの命令は、論理的に結合されると、モジュールを含み、モジュールの規定された目的を達成する。また、モジュールは、ハードディスクドライブ、フラッシュデバイス、ランダムアクセスメモリ(RAM)、テープ、又は任意の他のこのようなデータ記憶用媒体などとし得るコンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0045】
実際、実行可能なコードのモジュールが、単一の命令又は複数の命令とされ得、さらには、幾つかの異なるコードセグメントにわたって、異なるプログラム間で、及び、幾つかのメモリデバイス全体にわたって、分配され得る。同様に、動作データが、モジュール内で識別及び示され得、任意の適切な形式で具現化され得、任意の適切なタイプのデータ構造内で構成され得る。動作データは、単一のデータ集合として収集され得、又は、異なる記憶デバイスにわたることを含めて異なる場所にわたって分配され得、また、少なくとも部分的に単にシステム又はネットワーク上の電子信号として存在し得る。
【0046】
姿勢推定の方法及びユーザ進行方向推定の判定の方法の様々な例示実施形態を、図3図5Bを参照して暗示的に説明する。この方法/プロセスの幾つかの例示実施形態が、図6及び図7を参照してさらに提供される。
【0047】
ここで図6を参照すると、実施形態に従って方法600が示されている。方法600は、図1及び図3を参照して説明したようなデバイス100又は300などのナビゲーションデバイスにおいて実装され得る。
【0048】
方法600は、605で、全地球的基準方向に対する歩行者ナビゲーションのためのデバイスの加速度計センサの方向を判定することを含む。説明のために、全地球的基準方向に対するデバイスの加速度計センサの方向を「デバイス進行方向」とも称する。例えば、デバイス進行方向は、磁北などの全地球的基準方向に対するデバイスセンサ(加速度計センサ310など)の方向である。デバイス進行方向は、適切なデバイス進行方向センサによって判定され得る。適切なデバイス進行方向センサには、全地球的基準方向に対する加速度計センサの方向の情報を提供するジャイロスコープ及びeコンパスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
方法600は、610で、加速度計センサの複数の軸におけるデバイスの動きに関連する加速度成分を感知することを含む。或る例示実施形態では、加速度計センサ310(3軸加速度計など)などの加速度計センサは、3つの軸における加速度成分の測定を提供する。加速度成分は、デバイスの或る面に対するものであり、測定の方向はデバイスの向きに関わらず一定である。或る例では、加速度成分の測定は、例えば、図3を参照して説明したようなAccX、AccY、及びAccZなど、X、Y、及びZの3つの軸に沿い得る。一般性を失うことなく、AccXは、デバイスの面におけるデバイスのディスプレイから外向きに発する加速度成分であり、AccYは、AccXに直交してデバイスの面において横方向に発する加速度成分であり、AccZは、AccX及びAccYに直交してデバイスの面においてディスプレイを超えて発する加速度成分である。例えば、デバイスが水平面内に置かれる場合、AccX及びAccYは水平面における加速度測定であり、AccZは鉛直面における加速度測定である。
【0050】
方法600は、615で、加速度計センサに対するデバイスの動きに関連する推定姿勢を判定するために、加速度成分の少なくとも一部を電子的に処理することを含む。ブロック615の動作は、ブロック620及び625によって実施される少なくとも2つの動作を含む。方法600は、620で、加速度成分のストライド周波数成分を遮断することによって加速度成分のステップ周波数成分をフィルタ出力することを含む。さらに、方法600は、625で、加速度成分のステップ周波数成分に基づいて、デバイスの動きに関連する推定姿勢を判定することを含み、それによって、デバイスの動きの横方向揺れに関連する推定姿勢における偏りを軽減する。
【0051】
方法600は、630で、ユーザ進行方向推定を生成するため、推定姿勢を(605で判定された)全地球的基準方向に対するデバイスの加速度計センサの方向と電子的に組み合わせることを含む。
【0052】
一例示実施形態において、ブロック605及び630の動作は任意選択であり得、方法600は、推定姿勢を判定するためブロック610及び615(620及び625を含む)の動作のみを含み得る。図6において提供される幾つかの動作は、或る順で実施される個別の構成ステップとして説明されている。このような実装は単なる例であり、範囲を限定するものではない。或る動作がまとめてグループ化され単一の動作で実施され得、幾つかの動作が、本明細書に記載される例で用いられる順とは異なる順で実施され得る。例えば、デバイス進行方向を判定する動作(605で示される)は、ブロック630で実施される動作とともに、又は、ブロック630で実施される動作の直前の動作で、実施され得る。また、方法600の或る動作が自動で実施される。こういった動作は実質的にユーザとの相互作用に関与しない。方法600の他の動作が、手作業又は半自動で実施され得る。こういった動作は、1つ又は複数のユーザインターフェースの提示を介したユーザとの相互作用に関与する。
【0053】
ここで図7を参照して、姿勢推定及びその後のユーザ進行方向推定のための方法700の例示実施形態を示す。方法700は、705で、全地球的基準方向に対するデバイスの加速度計センサの方向を判定することを含む。動作705の一例は、図6を参照して説明した動作605である。
【0054】
方法700は、710で、複数軸におけるデバイスの動き(ユーザがデバイスを携帯するので「ユーザの動き」とも称する)に関連する加速度成分を感知することを含む。動作710の一例は、図6を参照して説明した動作610である。加速度成分の例は、図3を参照して説明したAccX、AccY、及びAccZである。
【0055】
方法700は、715で、加速度成分のステップ周波数成分を判定することを含む。方法700は、720で、加速度成分(AccX、AccY、及びAccZ)に関連する傾き測定(ピッチ(Φ)及びロール(θ)など)を計算することを含む。方法700は、725で、傾き測定に基づいて、複数のパーソナルナビゲーション軸に沿う傾き回復加速度成分を生成することを含む。一例示実施形態において、パーソナルナビゲーション軸は、少なくとも、鉛直軸、第1の水平軸、及び第2の水平軸を含む。
【0056】
方法700は、730で、傾き回復加速度成分をフィルタリングして、傾き回復加速度成分のストライド周波数成分を遮断することによってステップ周波数成分のみを保持して、フィルタリングされた加速度成分を生成することを含む。この説明のために、フィルタリングされた加速度成分は、第1の水平加速度成分(AccX’)、第2の水平加速度成分(AccY’)、及び鉛直加速度成分(AccZ)と称する3つの測定を含む。
【0057】
方法700は、735で、下記の式に基づいて事前姿勢を判定することを含む。
ここで、Rxxは第1の水平加速度成分の自己共分散であり、Ryyは第2の水平加速度成分の自己共分散であり、Rxyは第1の水平加速度成分と第2の水平加速度成分の相互共分散である。事前姿勢は、水平面における最大変動の方向を提供する。
【0058】
方法700は、740で、事前前方向加速度成分(AccF’)生成するため、事前姿勢に応答して第1の水平加速度成分(AccX’)を回転回復することを含む。例えば、AccX’を事前姿勢に対応する角度回転することによって、事前前方向加速度成分(水平面における最大変動の方向の加速度)が事前推定され得る。一例示実施形態において、方法700は更に、740で、事前横方向加速度成分(AccL’)を生成するため、事前姿勢に応答して第2の水平加速度成分(AccY’)を回転回復することを含む。
【0059】
方法700は、745で、事前前方向加速度成分(AccF’)と鉛直加速度成分(AccV)の間の進み関係又は遅れ関係の一方を、AccF’と90度位相回転された鉛直加速度成分AccVとの相互共分散に基づいて検出することを含む。例えば、或る関係(AccF’とAccVの間の進み関係又は遅れ関係のいずれか)が、AccF’と90度位相回転されたAccVとの相互共分散に基づいて判定される。方法700は、750で、AccF’とAccVの間の検出された関係に基づいて、デバイスの動きの方向を前方向又は後ろ方向のいずれかとして判定することを含む。デバイスの動きの判定された方向は、デバイスの動きが前方向であるか又は後ろ方向であるかを表す。一例示実施形態において、デバイスの動きの方向を判定することによって、0−π曖昧さが解決される。
【0060】
一例示実施形態において、方法700は、事前姿勢とデバイスの動きの方向とに基づいてデバイスの動きに関連する推定姿勢を判定するための動作を含み得る。幾つかの他の例示実施形態において、方法700はさらに、ユーザの動きにおける偽の回転によって生じる姿勢推定におけるまれな90°/180°誤差を除去するために品質メトリックフィルタリングによって推定姿勢を再調整する。
【0061】
一例示実施形態において、方法700は、ステップ755で、任意選択で、一連の高品質の姿勢推定を提供するために、式(2)及び式(3)によって得られた推定姿勢を再調整することを含む。例えば、下記の式に基づいて品質メトリック因子が判定される。
ここで、Rfvは、AccF(前方向加速度成分)とAccV(鉛直加速度成分)の相互共分散であり、Rff及びRvvは、それぞれ、AccF及びAccVの自己共分散である。YawQMの値が±1に近い場合、姿勢推定はより良好になる。YawQMの値がゼロに近い場合、小さなレベルの「ノイズ」でも符号の反転が生じる恐れがあり、それによって、姿勢の誤った推定が起こり得る。したがって、YawQMの大きさに基づいて、再調整された推定姿勢(「品質フィルタリングされた姿勢」又は「推定姿勢」とも称する)を生成するため、推定姿勢をさらに再調整する。
【0062】
方法700は、760で、事前姿勢(ブロック735で判定される)、デバイスの動きの方向(ブロック750で判定される)、及びYawQM(ブロック755で判定される)に基づいて、推定姿勢を計算することを含む。
【0063】
方法700は、ブロック765で、ユーザ進行方向推定を生成するため、推定姿勢を(ブロック705で判定される)全地球的基準方向に対する加速度計センサの方向と電子的に組み合わせることを含む。ユーザ進行方向推定は、北などの全地球的基準方向に対するユーザ進行方向を提供する。
【0064】
図7において提供される幾つかの動作は、或る順で実施される個別の構成ステップとして説明される。このような実装は単なる例であり、範囲を限定的するものではない。或る動作がまとめてグループ化され単一の動作で実施され得、幾つかの動作が、本明細書に記載される例で用いられる順とは異なる順で実施され得る。例えば、加速度計センサの方向を判定する動作(705で示される)は、ブロック765で実施される動作とともに、又は、ブロック765で実施される動作の直前の動作として、実施され得る。また、方法700の或る動作が自動で実施される。こういった動作は実質的にユーザとの相互作用に関与しない。方法700の他の動作が手作業又は半自動で実施され得る。こういった動作は、1つ又は複数のユーザインターフェースの提示を介したユーザとの相互作用に関与する。
【0065】
これらの例示実施形態は、デバイスの動き(又はユーザの動き)に関連する横方向揺れによって生じる誤った測定を排除する姿勢推定を提供する。様々な実施形態が姿勢の閉形式推定を提供する。例えば、姿勢の推定は、正確な姿勢推定を提供し、演算上効果的な、数学的表現の組に基づいて実施される。また、推定姿勢は、ユーザ進行方向を判定する際のまれな90°/180°誤差を除去する品質メトリックフィルタリングによって再調整される。品質メトリックの演算は姿勢の各瞬時的推定に対して実施されるので、品質メトリックを用いる時間にわたる推定姿勢のフィルタリングが、より正確な姿勢推定を提供する。さらに、様々な実施形態により、携帯電話などのモバイルアプリケーションにおいて集積化され得る低コストの微小電子機械システム(MEMS)センサを用いることによって歩行者ナビゲーションのための費用対効果が高く効果的な解決策が提供される。
【0066】
記載の例において、ハードウェア回路要素(例えば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)ベースの論理回路要素)、及び/又はハードウェアとソフトウェアの任意の組合せ(例えば、機械可読媒体において具現化される)を用いて、様々なデバイス、モジュール、アナライザ、及びジェネレータがイネーブルされ、動作される。例えば、様々な電気構造が、トランジスタ、論理ゲート、及び電気回路(例えば、ASIC回路要素及び/又はデジタル信号プロセッサ(DSP)回路要素)を用いて具現化され得、図面は限定的な意味でなく例示として見なされたい。
【0067】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態において改変が可能であり、他の実施形態が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7