(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662859
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】多変数導波レーダプローブ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/284 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
G01F23/284
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-514498(P2017-514498)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公表番号】特表2017-531180(P2017-531180A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】US2015053211
(87)【国際公開番号】WO2016054201
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年7月19日
(31)【優先権主張番号】14/501,954
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ヘドケ, ロバート, シー.
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第1524506(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第1795875(EP,A1)
【文献】
特開2005−239787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/14−23/296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の導波レーダプローブと、
前記プローブと一体化され、第1検出パラメータとして機能する第1センサ信号を発生する第1センサと、
前記プローブを導波されて降下するマイクロ波パルスを送信する送信器と、
反射されたマイクロ波パルスを受け取る受信器と、
パルスの送信と反射パルスの受信との間の時間差及び第1検出パラメータに基づき、流体レベルを測定するプロセッサと、を具備し、
前記第1センサは、流体に起因する前記プローブの動きを検出できるフォースセンサを含み、
前記第1検出パラメータは、前記プローブに働く力叉は加速である、
多変数流体レベル検出システム。
【請求項2】
圧力センサ、温度センサ又は加速度計を更に具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プローブと一体化され、第2検出パラメータとして機能する第2センサ信号を発生する第2センサを更に具備し、
前記プロセッサは、パルスの送信と反射パルスの受信との間の時間差、第1検出パラメータ及び第2検出パラメータに基づいて流体レベルを測定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2センサは圧力センサを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2センサは温度センサを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2センサは加速度センサを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記フォースセンサは3軸の加速度計を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
可撓性の導波レーダプローブと、
前記プローブを導波されて降下するマイクロ波パルスを送信する送信器と、
反射されたマイクロ波パルスを受け取る受信器と、
前記プローブに一体化され、検出パラメータとして機能する複数のセンサ信号を発生する複数のセンサと、
導波されるマイクロ波パルスの送信から反射したマイクロ波パルスの受信までの時間及び複数のセンサ信号に基づき、測定結果を発生するプロセッサと、を具備し、
前記複数のセンサは、流体に起因する前記プローブの動きを検出できるフォースセンサを含み、
前記フォースセンサにより発生する前記センサ信号は、前記プローブに働く力叉は加速で示される、
多変数流体レベル検出システム。
【請求項9】
前記複数のセンサは1つ以上の圧力センサを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のセンサは1つ以上の温度センサを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記フォースセンサは3軸加速度計である、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のセンサは1つ以上の温度センサを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のセンサは1つの加速度センサを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記加速度センサは3軸加速度計である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
可撓性のプローブアセンブリを降下する導波パルスを該導波パルスが反射する第1液体内に送信し、
前記第1液体での反射波パルスを検出し、
前記プローブアセンブリと一体化された第1センサによって第1検出パラメータとして機能する第1信号を発生し、
導波パルスの送信から反射パルスの受信までの時間及び第1検出パラメータに基づき、測定結果を発生し、
前記第1検出パラメータは流体に起因する前記プローブアセンブリの力叉は加速である、
タンク内の流体レベルを決定する方法。
【請求項16】
更に、第2検出パラメータとして機能し且つ前記プローブアセンブリと一体化された第2センサによって第2信号を発生し、
導波されるマイクロ波の送信から反射したマイクロ波の受信までの時間、第1検出パラメータ及び第2検出パラメータに基づき、測定結果を発生する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2信号は、圧力信号、温度信号又はフォース信号である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉じたタンク内の流体レベル検出に使用される導波レーダ測定に関する。
【背景技術】
【0002】
導波レーダタンクプローブはタンク内にその頂部から挿入されてプロセス流体内に沈められる。この後、プローブは、タンク内に収容された1つ又は複数の流体内に導波される電磁波の送信に使用される。電磁波は送信器によりプローブを通じて送信される。電磁波が異なる絶縁定数の流体に出会うときに反射が生じる。この時点で、エネルギの一部分が反射波の形態で反射される。電磁波の非反射部分は異なる絶縁定数の他の流体やタンクの底又はプローブの端に達するまで、その流体内を通過し続ける。反射の全ては受信器に受け取られる。
【0003】
反射の受け取りは、電磁波がタンク内の流体の表面によって反射された後に生じる。電磁波の速度及び反射波の強度は電磁波が通過する流体の絶縁定数に依存する。反射波の受け取り後、1つ又は複数の反射は時間差に関して処理される。これら時間差は距離に変換され、この後、タンク内に収容された流体のレベルが演算される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁波の誤った送信又は受信、電線又は接続パイプの不適切な設置、タンクにおける圧力又は温度の変化、タンク内の流体における流速の変化、流体濃度の変化、流体密度の変化又は非常に低い絶縁定数の流体(水よりも約8倍低い絶縁定数を有する油等)におけるレベル測定等の幾つかの要因は、レベル演算の正確さに影響する。不正確な演算はタンク内における流体レベルの不正確な報告を引き起こし、該報告は誤った警報及びタンクが使用されているプロセスの停止を導く。
【0005】
レベルの不正確さを解消する試みがなされている。1つ以上のトランシーバを通じて多重レーダ信号を送信するレーダシステムが多数のタンクレベルを演算して比較するために使用されている。しかしながら、このようなシステムは、1つのレーダ構成部品の故障検出には良いが、上述したシステムの他の歪みを引き起こす要因に影響され易い。
【0006】
レーダの不正確さを解消する更なる試みが非一体型の圧力センサを固定位置に個々に付加することでなされている。しかしながら、これらセンサは、タンク内の配置によっては正確さ及び有用性が制限される。また、該解法は、センサがプローブアセンブリの外にあって付加的なタンクの改良を要求するため、その設置が困難且つ高価になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、多変数流体レベル検出システムは、第1検出パラメータとして機能する第1センサ信号を発生する第1センサを一体的に備えた導波レーダプローブと、該プローブを導波された降下するマイクロ波パルスを送信する送信器と、反射したマイクロ波パルスを受け取る受信器と、パルスの送信と反射パルスの受信との間の時間差及び第1センサ信号に基づき、流体レベルを測定するプロセッサとを含む。
【0008】
他の実施形態において、多変数流体レベル検出システムは導波レーダプローブを含む。該プローブはプローブを導波されて降下するマイクロ波パルスを送信する送信器と、反射したマイクロ波パルスを受け取る受信器と、プローブと一体化され、検出パラメータとして機能する複数のセンサ信号を発生する複数のセンサと、導波されるマイクロ波パルスの送信から反射したマイクロ波パルスの受信までの時間及び複数のセンサ信号に基づき、測定結果を発生するプロセッサとを含む。
【0009】
他の実施形態は、プローブアセンブリを降下する導波バルスを第1流体内に送信する方法を含む。導波は第1流体で反射され、この後、検出される。更に、方法は第1検出パラメータとして機能する第1信号の発生を含む。第1信号は第1センサによって発生され、該第1センサはプローブアセンブリに一体化されている。そして、導波パルスの送信から反射波パルスの受信までの時間及び第1検出パラメータに基づき、測定結果が発生される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る多変数レベル検出システムの一実施形態を示す図である。
【
図2】本発明に係る多変数レベル検出システムを説明するブロック図である。
【
図3】導波レーダレベル検出システムにて検出されたレベル測定を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の技術によれば、流体レベルの検出は、導波レーダプローブ内に1つ以上のセンサを組み込むことで、より正確に成し遂げられる。単一又は多重の導波の送信に加えて、導波が検出され、導波の方向及び1つ以上のセンサによって検出されたタンク内の付加的な複数のパラメータに基づいてレベルが演算される。これらのセンサは付加的なパラメータを提供し、これらパラメータは導波レーダ測定に関連して、より正確で且つ信頼性の高いタンク内のレベル測定を提供する。更に、プローブシステムへの付加的なセンサの一体化は、システムの構成や設置のコスト及びタンクの保守点検のコストを低下させる。
【0012】
図1は一実施形態の断面図であり、該実施形態は多変数を使用して、タンク12内の流体のレベルFLを検出する多変数レベル検出システム(MLD)10を表す。タンク12は第1流体L1、第2流体L2及び第3流体G1を収容している。流体レベルFLは第3流体G1(ガス)と第1流体L1(タンク12内の上側の液体)との間の境界を表す。タンク12はタンク取り付けインタフェース16を含み、該タンク取り付けインタフェース16にMLD10が取り付けられている。
【0013】
MLD10は、装置ヘッド18、プローブアセンブリ20及びMLD取り付けインタフェース22を含む。プローブアセンブリ20はセンサ24a〜24n及び錘26を含む。また、装置ヘッド18は導波レーダ(GWR)システム、センサシステム及び他の内部回路(
図2参照)を含む。
【0014】
MLD10は、タンク12にMLD取り付けインタフェース22を介して取り付けられ、ここで、MLD取り付けインタフェース22はタンク取り付けインタフェース16に接続している。プローブアセンブリ20はタンク12内に挿入され、ガスG1、第1液体L1及び第2液体L2中に沈められている。センサ24a〜24nはプローブアセンブリ20に取り付けられ、ガスG1、第1液体L1及び第2液体L2に晒されている。錘26はプローブアセンブリ20の端の近傍に取り付けられている。装置ヘッド18はプローブアセンブリ20に物理的に接続されている。代替の実施形態では、堅固なプローブアセンブリもまた使用でき、この場合、錘26は要求されない。
【0015】
MLD10はタンク12内の流体レベルFLを演算、測定、監視、そして、報告する。より詳しくは、タンク12内の第1液体L1(油等)のレベルはプローブアセンブリ20を介して測定される。また、タンク12は第2液体L2(水等)及びガスG1(空気等)を収容し、ガスG1は液体L1,L2の上方にある。プローブアセンブリ20は第1液体L1におけるレベルFLの正確な測定を提供するために、複数のパラメータを検出する多重手段を有する。測定は、GWRシステムに伝送するプローブアセンブリ20及び装置ヘッド18内のセンサシステムによって行われる。演算及び監視は装置ヘッド18内で行われ、種々の手段を通じてユーザに最終的に出力される。
【0016】
図2は、本開示の多変数レベル検出システムの一実施形態を説明するブロック図である。MLD10はプローブアセンブリ20及び装置ヘッド18を含む。プローブアセンブリ20は、センサ24a〜24n、プローブケーシング28、プローブディバイダ30、センサ部32及びGWR部34を含む。装置ヘッド18はGWRシステム36及びセンサシステム38を含む。GWRシステム36はGWRトランシーバ40及びGWR信号プロセッサ42を含む。GWRトランシーバ40はGWR送信器44及びGWR受信器46を含む。
【0017】
また、装置ヘッド18はセンサシステム38を含む。該センサシステム38はセンサ24a〜24n、センサ信号プロセッサ48及び複数のセンサ信号線50を含む。また、センサシステム38は該システムの管理に要求される他の電気的な構成部品も含む。更に、装置ヘッド18はシステムプロセッサ52、メモリ54、現場オペレータインタフェース(LOI)56及び通信インタフェース58を含む。装置ヘッド1内の全ての構成部品は装置ヘッド囲繞体60によって囲まれている。
【0018】
MLD10は(
図1に示されるように)タンク12に設けられている。ここで、プローブアセンブリ20は装置ヘッド18に取り付けられてタンク12内に挿入され、
図1に示されるようにガスG1、第1液体L1及び第2液体L2内を通じて下方に延びている。プローブアセンブリ20にはセンサ24a〜24nが取り付けられている。センサシステム38のセンサ24a〜24nはセンサ信号線50を介してセンサ信号プロセッサ48に接続している。
【0019】
また、プローブアセンブリ20はGWRシステム36に接続されている。GWRシステム36内のGWRトランシーバ40はGWR送信器44及びGWR受信器46を含む。GWR送信器44及びGWR受信器46はGWR信号プロセッサ42に接続されている。センサ信号プロセッサ48及びGWR受信器46はシステムプロセッサ52に個々の線渠(conduits)を介して電気的に接続されている。また、システムプロセッサ52はメモリ54、通信インタフェース58及びLOI56に電気的に接続されている。そして、通信インタフェース58は外部の通信装置に物理的な電気接続又は無線接続を介して接続されている。MLD10内の種々の電気的構成部品を接続する導体は、電気的又は電磁的な信号を伝送するワイヤ、ケーブル、印刷回路又は他の導体である。
【0020】
MLD10はタンク12内の流体レベル測定を演算、測定、監視及び報告する(
図1参照)。タンク12内における第1液体L1のレベルはプローブアセンブリ20を介して測定される。プローブアセンブリ20はタンク12内における第1液体L1の流体レベルFLを正確に測定するために、複数のパラメータを検出する多重手段を有する。パラメータを検出する第1手段にはGWRシステム36が介在する。
【0021】
主要なパラメータは、GWRトランシーバ40内のGWR送信器44及びGWR受信器46それぞれのマイクロ波パルスの送信及び受信を介してGWRシステム36によって得られる。これらのパルスはGWR信号プロセッサ42がGWR送信器44に送信を指示するとき、GWR送信器44によって送信される。パルスはGWR送信器44から送信されてプローブアセンブリ20のGWR部34を降下し、タンク12内のガスG1、第1液体L1及び第2液体L2内に案内される。マイクロ波は、タンク12内にて、隣接する流体間で絶縁定数が変化する境界で反射される。反射されたパルスはGWR受信器46によって検出される。GWRトランシーバ40は反射されたバルスをGWR信号プロセッサ42に送信する。送信パルスと受信パルスとの間の時間差がGWR信号プロセッサ42によって演算される。GWR信号プロセッサ42はGWR受信器46によって検出された多重のパルス反射を補正する。多重のパルス反射はタンク12内で絶縁定数が異なった隣接する流体の境界で生起される。
【0022】
付加的なパラメータ(又は複数の付加的なパラメータ)はセンサシステム38を介して検出される。該センサシステム38において、センサ24a〜24nは温度センサ、圧力センサ、流量センサ、振動センサ、加速度センサ、種々の他のセンサ又はこれらセンサの幾つか又は全ての組み合わせを含む。付加的なパラメータはセンサ24a〜24nによって検出され、センサ信号プロセッサ48に送信される。センサ信号プロセッサ48は受け取ったセンサ信号(又は複数)に関し、幾つかの機能を実行する。信号は必要ならフィルタ処理され且つ増幅される。そして、センサ信号はアナログからデジタルの形態に変換される。
【0023】
センサ信号プロセッサ48及びGWR信号プロセッサ42によって処理された後、パラメータはシステムプロセッサ52に送信される。システムプロセッサ52は受け取ったパラメータを解析し、レベル測定値を決定する演算を実行する。演算された値はメモリ54に格納されて、システムプロセッサ52にて、メモリ54に以前格納された値と比較される。演算及び比較の結果は、LOI56又は通信インタフェース58を経た外部の通信システムを介してアクセスすることで、ユーザによって入手可能である。
【0024】
MLD10は有益な幾つかの特徴を提供する。先ず、MLD10は、非常に僅かなタンクの改良を要求する。MLD10内の種々のセンサがプローブアセンブリ20と一体化しているため、プローブアセンブリ20及びMLD10を受け入れ可能なタンクにするには非常に僅かな改良のみがタンクに要求される。
図1に示された実施形態において、タンクにはMLD10を受け入れるために単一のタンク貫通のみが要求される。
【0025】
タンクにおける改良の最小化は、エンドユーザに対するタンクの初期コストを低下させ且つタンクのリードタイムを短縮する等、ユーザにとって幾つかの利点を有する。或る適用のために、標準のタンク又は通常のタンクのカスタマイズが要求されるとき、タンクを製造する製造業者に要求される時間は典型的に増加する。貫通が僅かであれば、要求されるカスタム化が少なくなり、これにより、ユーザにとって、製造時間及びタンクのリードタイムが短縮する。これは、製造スケジュールの短縮、時間及び費用の節約を可能にする。また、タンクにおける改良の最小化はタンク及びプローブに対する保守点検の複雑さも低減する。貫通が僅かであれば、要求される交換部品やノウハウ的な保守点検も僅かとなる。
【0026】
更に、貫通が少ないことはタンクの故障機会が少ないことを意味する。タンクの貫通は典型的にタンクに溶接を要求し、タンクからの内容物の漏れを防止するシールを有することになる。これらは一般的にタンクの弱点となり、それ故、その弱点にて故障し易くなる。貫通が少なければ、タンクの弱点も少なく、それ故、コスト高となるタンクの故障傾向も少ない。MLD10の更なる利点は、
図3に示されたグラフを介して最も良く説明されている。
【0027】
図3は、導波レーダレベル検出システムで検出されたレベル測定を説明するグラフである。該グラフのx軸線で時間(t)が表され、グラフのy軸線でレベル(l)が表されている。ここではy軸線の原点(0)が空のレベル(l)を表し、y軸線の頂点が満杯のレベル(l)を表している。時間(t)はx軸線の左から右に経過する。
【0028】
ライン62は、タンク12内の第1液体L1に関して経時的な波の反射を表したグラフであり、ライン64はタンク12内の第2液体L2に関して経時的な波の反射を表したグラフである。両方の波はGWRシステム36によって検出される。領域66,68は、タンク12内のレベルが緩やかに増減する通常の作動中、経時的な波の向きである。スパイク70,72は第1液体L1及び第2液体L2のレベル検出において、急激な増減をそれぞれ表す。領域74,76は、通常の作動中であるものの、急減なレベル増加間での波の向きである。
【0029】
スパイク70,72はGWRシステムにおいて問題となる。スパイク70,72には領域66,68が先導し、これら領域66,68は期待通りに緩やかに上昇且つ降下する非満杯レベルを示す。スパイク70,72の直後には領域74,76が追従し、これら領域74,76は期待通りに作動する非満杯レベルを示す。領域74,76の直前のスパイク70,72はGWRシステムによる誤ったレベルの演算又は測定である。
【0030】
MLD10の利点は、該MLD10がレベル測定の正確さを改善することにある。レーダ波の誤った送信又は受信、タンクの圧力又は温度の変化、タンク内で流体の流速変化、流体の濃度変化、又は、流体密度変化等の幾つかの要因はGWRシステムによる波の正確な検出に影響する。このような影響は
図3のスパイク70,72のような不正確さの結果となる。これらのスパイクはその誤りが訂正されなければ、不正確なレベル演算を導き、延いてはタンク内の流体レベルの不正確な報告を導く。これは、タンク内の誤った満杯状態の報告が、誤った警報やタンクが使用されているプロセスの不必要な停止のために、問題となる。これら停止はコスト高となる。
【0031】
MLD10は多重パラメータを検出することでレベル測定の正確さを改善する。タンク12内における温度、圧力、流れ、振動、力、又は、種々の他の条件と波のレーダ検出との組み合わせは、タンク内のレベルをより正確に決定するためにより複雑な演算の原因となる。例えば、フォースセンサはプローブアセンブリ20の動きを検出するためにセンサ24aとして使用でき、
図1に表した実施形態では該プローブアセンブリ20は堅固ではない。プローブアセンブリ20の動きは、
図3のスパイク70,72のように、GWRによる不適切なレベル測定を引き起こす。
【0032】
本実施形態において、フォースセンサはプローブアセンブリ20の力又は加速を1つ以上の方向で検出できる。この種のプローブアセンブリ20の動きは、タンク内に流入する異常に高い量的な流速又は異常に高い流体圧力から働く力に起因する。その動きが検出されたなら、検出されたレベル変動が流体レベルの真の変動であるか、又は、
図3のスパイク70,72のようにシステムの流動効果に起因したプローブへの力の結果であるかを決定するために、演算で考慮され、そして、直前に格納された流体レベルの値と比較される。これは、可撓性のプローブが上述の力に起因した曲げをより受け易いので、本実施形態において特に有益となる。この結果、高い流体レベルとなる有害な変動が少なくなり、不所望なプロセスの停止も少なくなり、時間及び費用の節約となる。
【0033】
他の実施形態において、圧力変換器がセンサ24a〜24nの1つのセンサとして使用可能である。そして、センサプロセッサ52は、メモリ54に以前格納されたタンク圧力の値と比較することで、タンクのシステム圧力の変動を考慮する。この後、システム圧力の変化は、タンク12内の流体の密度値を更新するのに使用でき、該密度値はマイクロ波の検出された反射時間に基づきレベルの演算に使用され、これにより、レベル測定の正確さが増加する。該測定は、温度センサが使用されても同様に改善可能である。
【0034】
MLD10は、他のやり方でも従来技術を超えた付加的な正確さを同様に提供する。上述したようにタンク12内の温度、圧力、流れ、振動、加速度、又は、他の条件と波レーダ検出との組み合わせはタンク12内のレベルをより正確に決定するために、複雑な演算を許容する。更に、タンク内における上述条件の多重パラメータ(多数位置での同一パラメータ)の測定と波レーダ検出との組み合わせは更なる正確さを提供する。
【0035】
例えば、圧力変換器がセンサ24aとして使用され、且つ、温度センサがセンサ24bとして使用されたとき、システムプロセッサ52は、メモリ54に以前に格納された第1液体L1の圧力温度の値で比較することで、タンク内における第1液体L1のシステム圧力及び温度の変動を考慮できる。システム圧力及び温度の変化は第1液体L1の密度値を更新するために使用され、該密度値はマイクロ波の検出された反射時間に基づいてレベル演算に使用される。更新された正確な密度値はレベル測定の正確さを増加する。圧力センサ又は温度センサの1つのみが使用されるよりも、タンク内の流体の温度及び圧力の両方が使用されれば、流体密度はより正確に決定される。
【0036】
他の実施形態において、フォースセンサはセンサ24aとして使用でき、圧力センサはセンサ24bとして使用できる。これは、センサ24aを介してプローブアセンブリ20の動きの検出を可能にし、そして、センサ24bから受け取った圧力の示度に基づいて密度の変化が演算された後、システムプロセッサ52内での第1液体L1の密度値の更新が可能となる。上述したように、これは、増大するレベル測定の正確さ、高い流体レベルでの有害な変動の検出やその回避を意味し、システム全体の正確さや冗長性の増大を提供する。
【0037】
他の実施形態において、圧力センサ(又は組み合わされた圧力及び温度センサ)は、プローブアセンブリ20に沿い鉛直方向に離間されたセンサ24a〜25nの各々として使用できる。ここで、MLD10は、以前格納された流体の密度及び演算されたパルス時間の差に基づいて、予備的なレベル検出をなすことができる。この後又は同時に、システムプロセッサ52はプローブアセンブリ20の異なる高さにある圧力センサ全ての示度を読み出すことができる。全ての圧力センサの高さを知ることで、システムプロセッサ52はタンク内における全ての流体の密度勾配を演算できる。密度値はメモリ54に直前に格納された密度勾配と比較されて、その誤差が補正され、この後、レベル演算にて更新される。レベル演算はより正確にして実行される。同様な演算は、温度センサへの置換又は温度センサを付加しても実行可能である。上述したように、加速度センサの付加は更なる正確さ及び冗長性を提供する。更に、本実施形態では、伝導度センサ等の流体レベルを検出する能力を備えたセンサも使用可能である。
【0038】
本発明は例示的な実施形態を参照して記述されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変形や構成要素に対する等価物への置換が可能であることは当業者に理解されるところである。付け加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特定の状況又は材料に適合させる数多くの改良をなすこともできる。それ故、本発明は開示された特定の実施形態に制約されるものでなく、添付の特許請求の範囲の包含される全ての実施形態を含む。
【0039】
本発明は好適な実施形態を参照して記述されているが、当業者は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変形が可能であることを認識可能である。