(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662910
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】物品のパッケージにマーキングするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/26 20060101AFI20200227BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20200227BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20200227BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20200227BHJP
【FI】
B65B61/26
B65D5/42 C
B65D25/20 P
B65D25/20 Q
B23K26/00 B
B23K26/00 N
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-559766(P2017-559766)
(86)(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公表番号】特表2018-507826(P2018-507826A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】EP2016052264
(87)【国際公開番号】WO2016128272
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2018年2月8日
(31)【優先権主張番号】15154536.5
(32)【優先日】2015年2月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】イェンス フランツェン
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−000734(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01459988(EP,A1)
【文献】
特開2009−277834(JP,A)
【文献】
米国特許第03392501(US,A)
【文献】
特開2015−006927(JP,A)
【文献】
特開平05−004636(JP,A)
【文献】
特表2004−500288(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02565124(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/26
B23K 26/00
B65D 5/42
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品のパッケージ(P)にマーキングする方法であって、
1つまたは複数の物品を収容する密閉箱(2)を備える1つまたは複数の物品の複数のパッケージ(P)を用意するステップと、
第1の包装材料(4)を用意し、前記パッケージ(P)を個別にまたは別々に前記第1の包装材料(4)で包装するステップと、
前記複数の包装されたパッケージ(P)を1つのグループに集積および/または配置するステップと、
前記パッケージ(P)を前記第1の包装材料(4)で包装した後に、前記密閉箱(2)の領域(R)上にマーキング(M)を提供するステップと、
少なくとも1つの包装されたパッケージ(P)の前記密閉箱(2)の領域(R)上にマーキング(M)を提供する前記ステップの前に、第2の包装材料(7)を用意して包装されたパッケージ(P)の前記グループを前記第2の包装材料(7)で包装するステップと、を含み、
前記密閉箱(2)の前記領域(R)上にマーキング(M)を提供する前記ステップが、前記包装されたパッケージ(P)をレーザビーム(B)で照射するステップを含み、
前記第1の包装材料(4)が、少なくともマーキングされる前記領域(R)において、前記レーザビーム(B)に対して透明であり、
前記第2の包装材料(7)が、少なくともそれぞれの領域(R)において、前記レーザビーム(B)に対して透明であり、
前記第1の包装材料(4)および前記第2の包装材料(7)の両方が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ならびにポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース、およびセロハンなどのバイオプラスチックから成るグループから選択される、方法。
【請求項2】
前記密閉箱(2)の前記領域(R)が、前記レーザビーム(B)が前記領域(R)にマーキングするように前記レーザビーム(B)による照射に対し感受性を有する表面またはコーティング(C)を含み、
前記領域(R)の前記表面またはコーティング(C)が、前記レーザビーム(B)に対し感受性を有するインキ層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の包装材料(4)が、前記レーザビーム(B)によって影響されず、特に、前記第1の包装材料(4)が、前記レーザビーム(B)によって焼損も破損もされず、および/または、
前記第2の包装材料(7)が、前記レーザビーム(B)によって影響されず、特に、前記第2の包装材料(7)が、前記レーザビーム(B)によって焼損も破損もされない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記パッケージ(P)の前記密閉箱(2)が紙、厚紙、ボール紙、およびプラスチックのグループから選択された材料を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザビーム(B)が1000μm〜1100μmの範囲の波長を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザビーム(B)が、1W〜100Wの範囲のパワーを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記レーザビーム(B)が1つまたは複数の導波路、特に、1つまたは複数の光ファイバ(F)を介して前記包装されたパッケージ(P)上に照射され、
前記レーザがファイバレーザであり、および/または
前記レーザビーム(B)が、好ましくはステンシル、ダイアフラム、もしくはスクリーンを介して画像として前記包装されたパッケージ(P)上に照射される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザビーム(B)によって提供される前記マーキング(M)が前記梱包された物品に特有のコードおよび/またはデータを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザビーム(B)が、1062μmの波長を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザビーム(B)が、20W〜50Wの範囲のパワーを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記レーザビーム(B)が、30Wのパワーを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法によって得られるレーザマーキング(M)を備え、
前記物品が、たばこを含む喫煙品である、1つまたは複数の物品の包装されたパッケージ(P)。
【請求項13】
物品のパッケージ(P)にマーキングするための装置(1)であって、
前記パッケージ(P)が、前記物品を収容する密閉箱(2)を備え、
複数の前記パッケージ(P)が前記密閉箱(2)を包囲する第1の包装材料(4)で包装され、
前記装置が、
前記密閉箱(2)の領域(R)上にマーキング(M)するレーザビーム(B)によって前記包装されたパッケージ(P)を照射するためのレーザ(L)を備えるマーキングユニット(5)を備え、
前記第1の包装材料(4)が、少なくともマーキングされる前記領域(R)において、前記レーザビーム(B)に対して透明であり、
複数のパッケージ(P)を1つのグループに集積および/または配置し、それらをマーキングする前に、パッケージ(P)の前記グループを第2の包装材料(7)で包装する前記包装ユニット(3)に含まれる結束ユニット(6)を備え、
前記第2の包装材料(7)が、少なくともそれぞれの領域(R)において、前記レーザビーム(B)に対して透明であり、
前記第1の包装材料(4)および前記第2の包装材料(7)の両方が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ならびにポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース、およびセロハンなどのバイオプラスチックから成るグループから選択される、装置(1)。
【請求項14】
前記レーザ(L)が1000μm〜1100μmの範囲の波長を有するレーザビーム(B)を生成し、および/または
前記レーザ(L)が1W〜100Wの範囲のパワーを有する、請求項13に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記レーザ(L)が、1062μmの波長を有するレーザビーム(B)を生成し、および/または
前記レーザ(L)が、20W〜50Wの範囲のパワーを有する、請求項13に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記包装材料(4、7)が前記密閉箱(2)をカバーまたは包囲するように、前記パッケージ(P)を前記包装材料(4、7)で包装するように構成された包装ユニット(3)を備える、請求項13または請求項14に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品、特に、たばこなどを含む喫煙品または他の消耗品などの消費者物品のパッケージにマーキングするための方法および装置に関する。また、本発明は、そのような方法および/または装置によって得られるマーキングされた物品のパッケージを提供する。
【背景技術】
【0002】
本発明の方法および装置は、例えば、たばこパックなどの喫煙品パックの処理およびマーキング、具体的には、梱包された物品に特有のバッチ番号もしくは有効期限データなどの、製品コードおよび/または製品データを提供するのに特に適する。パッケージそれ自体は、典型的には、好ましくは、紙または厚紙で作られたカートン、容器、または箱の形態をとるが、他の材料も考慮される。しかしながら、重要なことには、本発明の方法および装置は、このパッケージング用途には限定されず、さまざまな他の物品、特に、消費者物品のパッケージをマーキングするのに適し、そのようなマーキングに用いられてもよい。
【0003】
従来、たばこパックは、湿気およびほこりなどの外部の影響からパックを密閉して保護し、パック内の製品の鮮度を維持するために、透明なプラスチックまたはポリマーフィルムにより別々にまたは個別に包装されている。さらに、個別のたばこパックは、典型的には、さらにグループ化され(例えば、10のグループに)、再びグループとしてより大きなカートンまたは箱に梱包される前に、透明なプラスチックまたはポリマーフィルムにグループとして包装される。個別のたばこパックだけでなく、これらのパックを集積または束ねたグループにも同様にマーキングすることが有用であり望ましいので、本発明は、喫煙品のパックに特に適した、パッケージにマーキングする方法および装置のための新規で改善された概念を提供する業務を対象とする。マーキングの概念は、望ましくは、便利で、ユーザ・フレンドリーであり、個別のパック、および集積または束ねられたパックのグループの両方に適応可能である。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、請求項1に詳述するような特徴を有する1つまたは複数の物品のパッケージにマーキングする方法が提供される。さらに、本発明は、請求項13に詳述するような特徴を有する1つまたは複数の物品のパッケージにマーキングするための装置を提供する。本発明のいくつかの好ましいまたは有利な特徴は、従属クレームで詳述される。
【0005】
したがって、一態様によれば、本発明は、物品、特に、たばこなどの消費者物品のパッケージにマーキングする方法を提供し、本方法は、1つまたは複数の物品を収容する密閉箱、特に、容器を備える1つまたは複数の物品のパッケージ(P)を用意するステップと、第1の包装材料を用意し、パッケージを第1の包装材料で包装するステップと、パッケージを第1の包装材料で包装した後に、密閉箱の領域上にマーキングを提供するステップと、を含み、密閉箱の領域上にマーキングを提供するステップが、包装されたパッケージをレーザビームで照射するステップを含み、第1の包装材料が、少なくともマーキングされる領域において、レーザビームに対して実質的に透明である。
【0006】
このように、本発明は、パッケージが第1の包装材料で包装された後に、パッケージ、特に、パッケージの密閉箱または容器の所望のマーキングを行うことが可能な方法を提供する。この点に関して、パッケージを第1の包装材料で包装するステップは、マーキングされるパッケージの領域を第1の包装材料で少なくともカバーする、典型的には、パッケージを第1の包装材料で実質的に完全にカバーおよび/または密閉するステップを含むこととしてもよい。したがって、パッケージ密閉箱のマーキングが、第1の包装材料を通して、特に、レーザビームを介して行われる。また、本発明は、包装の品質が不十分であることにより包装後に一部のパッケージが不合格になることがあるため、包装ステップの後にパッケージのマーキングを行うことができる点で有利である。したがって、マーキングが、たばこパックなどのパッケージを生産または製造サイトから最終消費者まで追跡するためのコードを含む場合、本発明の方法によって、不完全に包装されたパッケージをマーキングする前に除去することが可能となる。これは、コードで事前マーキングされたパッケージまたはパックをその後不合格にしたという事実を記録するために、追跡コードのデータベースを修正または更新する必要がないため重要である。
【0007】
好ましい実施形態では、マーキングされる密閉箱の領域は、レーザビームの光がこの領域にマーキングするように、レーザビームによる照射に感受性を有する表面またはコーティングを含むこととしてもよい。したがって、領域上にマーキングを提供するステップは、典型的には、マーキングに所望の情報を刻印、印刷、または提供するために、マーキングされる領域を特定のパターンまたはデザインで照射するステップを含む。この点に関して、マーキングの所望の情報を追跡または刻印するために、この領域上でレーザビームを移動させることができる。代わりに、レーザビームは、例えば、所望のマーキングを含むステンシル、ダイアフラム、もしくはスクリーンを介して、画像として照射され、または投影されてもよい。この目的のために、マーキングされる領域の表面は、好ましくは、レーザビームに対して感受性を有するインキ層などのコーティングを含んでもよい。すなわち、コーティングまたは表面は、レーザビームで照射された光に反応して、パッケージの表面上にマークを形成することができる。例えば、レーザビームは、マーキングされる領域のインキ層を除去して、インクの色と基板の色との間のコントラストが容易に目に見えるマーキングを提供するように、インクの下の異なる色の基板を露出させるように作用することができる。レーザビームによって行われるか、または形成されるマーキングは、好ましくは、梱包された物品に特有の、製品バッチ番号および/または有効期限データなどの、コードおよび/またはデータを備えることができる。
【0008】
好ましい実施形態では、第1の包装材料は、レーザビームによって実質的に影響されない、すなわち、好ましくは、レーザビームによって焼損も破損もされない。言い換えると、レーザビームは、望ましくは、第1の包装材料に実質的に影響を与えないように、例えば、第1の包装材料を穿孔、焼損、または切断することがないように選択される。この点に関して、第1の包装材料は、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ならびにポリ乳酸、酢酸セルロースおよびセロハンなどのバイオプラスチックから成るグループから選択された材料を含むポリマーフィルムである。この点に関して、第1の包装材料は、好ましくは、上記の材料の1つまたは複数が存在および/または優位を占めるフィルム・ラミネートまたは積層フィルムであることとしてもよい。特に、好ましい形態では、第1の包装材料は、1つまたは複数のアクリル層(アクリルの内側層もしくはコーティングおよび/または外側層もしくはコーティングなど)を有するポリプロピレン(配向ポリプロピレンなど)を含むフィルム・ラミネートである。第1の包装材料は、望ましくは、少なくとも1つのパッケージを包装するためにシートまたはウェブで提供される。
【0009】
好ましい実施形態では、パッケージ、特に、パッケージの密閉箱または容器は、紙、厚紙、およびボール紙から成るグループから選択された材料を含む。したがって、レーザビームは、好ましくは、第1の包装材料を通してパッケージの紙、厚紙、またはボール紙にマーキングするように構成される。代替の実施形態では、プラスチック材料がパッケージに対して考慮されてもよい。
【0010】
好ましい実施形態では、密閉箱の領域上にマーキングを提供するために、包装されたパッケージに照射されるレーザビームは、1000〜1100マイクロメートル(μm)の範囲、特に、好ましくは、約1062マイクロメートル(μm)の波長を有する。さらに、レーザビームは、望ましくは、約1ワット〜約100ワットの範囲、より好ましくは、約20ワット〜約50ワットの範囲、最も好ましくは、約30ワットのパワーを有する。レーザビームは、好ましくは、1つまたは複数の導波路、特に、1つまたは複数の光ファイバを介して、包装されたパッケージ上に照射される。この点に関して、レーザは、好ましくは、ファイバレーザである。
【0011】
特に、好ましい実施形態では、複数のパッケージが用意され、第1の包装材料で包装され、特に、個別にまたは別々に第1の包装材料で包装される。本方法は、複数の包装されたパッケージを1つのグループに集積、または配置するステップと、少なくとも1つの、好ましくはそれぞれの包装されたパッケージの密閉箱の領域上にマーキングを提供するステップの前に、第2の包装材料を用意し、包装されたパッケージのグループを第2の包装材料で包装するステップと、をさらに含む。第2の包装材料が、少なくともマーキングされるそれぞれの領域において、レーザビームに対して実質的に透明である。したがって、本実施形態では、個別のパッケージの密閉箱のマーキングは、第1の包装材料、およびグループを包装する第2の包装材料の両方を通して、特に、レーザビームを介して行われる。本実施形態は、マーキングが、たばこパックなどのパッケージを生産から小売りまで追跡するための追跡コードを含んでいる場合、本方法によって、複数の包装されたパッケージを1つのグループに集積、または配置して、第2の包装材料マーキングで包装するステップの前に、第1の包装材料で不完全に包装されたパッケージを生産経路から除去することが可能となるため有利である。グループが包装され後に追跡コードを付けさえすればよく、第1の包装ステップ後に不合格となる不完全に包装された個別のパックによってコードが失われないため重要である。その結果、コードで事前マーキングされたパックが不合格となった後に、追跡コードのデータベースを更新する必要がない。マーキングは、品質要求を満たした包装されたパッケージにのみ付けられる。
【0012】
しかしながら、代替の実施形態では、本方法は、複数の包装されたパッケージを1つのグループに集積、または配置するステップと、それぞれの包装されたパッケージの密閉箱の領域上にマーキングを提供したステップの後に、第2の包装材料を用意し、包装されたパッケージのグループを第2の包装材料で包装するステップと、をさらに含む。したがって、本実施形態では、それぞれの個別のパッケージのマーキングは、第1の包装材料を通して行われ、その後、複数の包装されたパッケージが、第2の包装材料を使用して、1つのグループに集積されまたは束ねられる。第2の包装材料は、好ましくは、レーザビームに実質的に透明である。このように、包装されたパッケージのグループを第2の包装材料で包装した後に、包装されたパッケージのグループまたは束に対してレーザビームを介してマーキングを提供することができる。したがって、そのような場合、マーキングは、第1の包装材料、およびグループを包装した第2の包装材料の両方を通して行われる。
【0013】
第1の包装材料に関して上で論じたように、第2の包装材料も、好ましくはレーザビームによって実質的に影響されない。特に、第2の包装材料は、レーザビームによって焼損も破損もされないこととしてもよい。この点に関して、第2の包装材料は、好ましくは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ならびにポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロースおよびセロハンなどのバイオプラスチックのグループから選択された材料を含むポリマーフィルムである。この点に関して、第2の包装材料は、好ましくは、上記の材料の1つまたは複数が存在もしくは優位を占める積層フィルムまたはフィルム・ラミネートであることとしてもよい。特に、好ましい実施形態では、第2の包装材料は、ポリプロピレン(例えば、配向ポリプロピレン)の層、ならびに1つまたは複数のアクリル層(例えば、アクリルの内側層もしくはコーティングおよび/またはアクリルの外側層もしくはコーティング)を含むラミネート・フィルムである。したがって、第2の包装材料は、任意で第1の包装材料と同じ材料を含んでもよい。第1の包装材料および第2の包装材料は、典型的には、消費者が包装材料を通してマーキングを見て読むことができるように可視光スペクトルにおいて透明である。
【0014】
別の態様による本発明は、1つまたは複数の物品の包装されたパッケージを提供し、パッケージが上述の実施形態のいずれか一項に記載の方法によって得られるレーザマーキングを備え、物品が、好ましくは、例えば、たばこなどの喫煙品を含む。好ましい実施形態では、本発明は、ともにグループ化され、グループとして包装された複数の包装されたパッケージを提供し、それぞれのパッケージが上述の本発明の方法によって得られるレーザマーキングを備える。
【0015】
さらなる態様によれば、本発明は、物品、特に、たばこなどの消費者物品のパッケージにマーキングするための装置を提供する。本装置は、1つまたは複数の物品の少なくとも1つのパッケージを包装材料で包装するように構成され、それぞれのパッケージが1つまたは複数の物品を収容する密閉箱、特に、容器を備える包装ユニットを備える。包装ユニットは、包装材料が密閉箱を実質的にカバーまたは包囲する。本装置はまた、密閉箱の領域上にマーキングを提供するために、包装されたパッケージをレーザビームによって照射するためのレーザを備えるマーキングユニットを備える。包装材料が、少なくともマーキングされる領域において、レーザビームに対して実質的に透明である。
【0016】
好ましい実施形態では、本装置は、上で論じたように、複数のパッケージを1つのグループに集積および/または配置し、パッケージのグループを包装材料で包装する結束ユニットを備える。結束ユニットは、任意選択で包装ユニットに含まれている。好ましくは、複数のパッケージのそれぞれは、少なくともマーキングされる領域においてレーザビームに対して実質的に透明な第1の包装材料で事前に包装され、すなわち、それぞれのパッケージは、個別にまたは別々に第1の包装材料で事前に包装されてもよい。したがって、結束ユニットは、好ましくは、少なくともマーキングされる領域においてレーザビームに対して実質的に透明な第2の包装材料でパッケージのグループを包装するように構成される。上で論じたように、第1および第2の包装材料は、好ましくは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ならびにポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロースおよびセロハンなどのバイオプラスチックから成るグループから選択された材料を含むポリマーフィルムである。したがって、第2の包装材料は、任意に第1の包装材料と同じ材料を含んでもよい。
【0017】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、物品のパッケージ、特に、消費者物品、例えば、たばこなどのパックにマーキングするための装置を提供する。本装置は、1つまたは複数の物品のパッケージを包装材料で包装するように構成された包装ユニットである。それぞれのパッケージが1つまたは複数の物品を収容する密閉箱、特に、容器を備える。本装置は、パッケージのグループを包装材料で包装する前に、複数のパッケージを1つのグループに集積および/または配置するための結束ユニットを含む包装ユニットと、それぞれの密閉箱の領域上にマーキングを提供するために、包装されたパッケージの少なくとも1つ、好ましくはすべてをレーザビームによって照射するためのレーザを備えるマーキングユニットを備える。包装材料が、少なくともマーキングされるそれぞれの領域において、レーザビームに対して実質的に透明である。
【0018】
既に上で言及したように、レーザは、好ましくは、1000〜1100マイクロメートルの範囲、特に、好ましくは、約1062マイクロメートルの波長を有するレーザビームを生成する。さらに、レーザは、好ましくは、約1ワット〜約100ワットの範囲、より好ましくは、約20ワット〜約50ワットの範囲、より好ましくは、約30ワットのパワーを有する。
【0019】
本発明、および本発明の利点についてのより完全な理解のために、本発明の例示的な実施形態が、同様の参照符号が同様の部分を指定する添付図面を参照して以下の記載においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態による物品のパッケージにマーキングするための装置の一部の部分的な概略側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による物品のパッケージにマーキングするための装置の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による物品のパッケージにマーキングする方法を表わす流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面は、本発明についてのさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の特定の実施形態を示し、記載と共に本発明の原理について説明する役目をする。本発明の他の実施形態、および本発明に伴う利点の多くは、それらが以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されるので、容易に理解されるであろう。
【0022】
商業的に実現可能な実施形態において有用または必須であり得る一般的で、十分に理解された要素は、実施形態をより抽象化して見ることを容易にするために必ずしも描かれていない。図面の要素は、互いに対して必ずしも原寸に比例して示されていない。方法の実施形態におけるある特定の行為および/またはステップは、発生の特定の順番で記載され、描かれている場合があるが、当業者は、順序に関するそうした特殊性が実際には必須ではないことを理解されよう。また、本明細書で使用される用語および表現は、本明細書において特定の意味が他の方法で述べられる場合を除いて、それらの対応するそれぞれの探究および研究領域に関するそうした用語および表現に一致するような、通常の意味を有することが理解される。
【0023】
図1および
図2を参照すると、本発明の実施形態による、たばこ(図示せず)のパックPなどの物品のパッケージにマーキングするための装置1が示されている。パックPは、典型的には紙、ボール紙、または厚紙から構成されたたばこを収容する密閉箱2、特に、箱状の容器を備える。装置1は、第1の包装材料4が箱状の容器または密閉箱2を実質的に完全にカバーまたは包囲するように、第1の包装材料4でたばこのパックPを包装するように構成された包装ユニット3を備える。さらに、装置1は、マーキングされる密閉箱2の領域R上にマーキングMを提供するために、包装されたパックPをレーザビームBで照射するためのレーザLを備えるマーキングユニット5を含む。本実施形態では、マーキングMは、例えば、梱包されたたばこに特有のバッチ・コードおよび/または有効期限データを含むことができる。さらに、本実施形態では、第1の包装材料4は、ポリプロピレンフィルムなどのポリマーフィルムを含み、フィルム4がレーザビームBによってほとんど影響されないように、レーザビームBに対して実質的に透明である。
【0024】
図1で見て分かるように、レーザLによって生成されるレーザビームBは、導波路を介して、特に、レーザLがファイバレーザである光ファイバFを介して、包装されたパッケージP上に照射される。レーザLによって生成されるレーザビームBは、典型的には、約1000μm〜1100μmの範囲にあってもよい、好ましくは、約1062μmの離散的なまたは特定の波長を有する。さらに、レーザLは、好ましくは、約20〜50Wの範囲、例えば、約30Wのパワーを有する。たばこのパックPの外表面は、レーザビームBによる照射に対して感受性を有するインキ層などのコーティングCを少なくともマーキングされる領域Rに含むため、マーキングユニット5のレーザLは、ポリプロピレン包装材料4のフィルムを通してこの領域R上に投射または照射されるときに、たばこパックPの箱状の容器2のこの領域Rにマーキングまたは刻印するように構成されている。マーキングは、例えば、レーザビームBによるコーティングCの除去によって行われてもよく、この除去がコーティングCの下の基板を露出させることによってコントラストを生成する。
【0025】
図2を参照すると、装置1が、包装ユニット3からの複数の別々にまたは個別に包装されたパックPを1つのグループに集積して配置し、パックPのこのグループを第2の包装材料7で包装するための結束ユニット6をさらに含むことがわかる。この点に関して、結束ユニット6は、複数のパックPが、これらのパックPがグループとして包装された後に、マーキングユニット5のレーザLによって即座にマーキングされるように、任意に包装ユニット3の一部を構成する。したがって、第2の包装材料7も、典型的には、レーザビームBに対して実質的に透明であり、第1の包装材料4と実質的に同じポリプロピレンフィルムを含む。第1の材料および第2の材料の厚さは、好ましくは、約5μm〜約75μmの範囲、より好ましくは、約18μm〜約25μmの範囲にある。一実施形態において、第2の材料7で包装されたパックPのグループをマーキングユニット5に移送、または輸送する必要がある場合がある。
【0026】
最後に、
図3を参照すると、
図1および
図2に関して上述したような、本発明の好ましい実施形態による、喫煙品のパックPにマーキングする方法のステップを概略的に示す流れ図が示されている。この点に関して、
図3の第1の箱iは、たばこなどの喫煙品のパックPを用意するステップを表し、パックPがたばこを収容する密閉箱2、特に、容器を備える。第2の箱iiは、マーキングされるパックの少なくとも領域Rをカバーするように、好ましくはパックPを完全にカバーするように、第1の包装フィルム4を用意し、第1の包装フィルム4でパックPを包装するステップを表す。第3の箱iiiは、複数の包装されたパックPを1つのグループに集積および/または配置し、第2の包装材料7が、パックPのグループ全体を実質的に全てカバーまたは包囲するように、事前包装されたパックPのこのグループを第2の包装材料7で包装するステップを表す。
図3の最後の箱ivは、第2の包装フィルム7でパックPのグループを包装した後に、それぞれのパックPの密閉箱2の領域R上にマーキングMを提供するステップを表す。それぞれのパックPの密閉箱2の領域Rにマーキングするこのステップは、マーキングMを生成するためにレーザビームBでそれぞれの包装されたパックPを照射するステップを含み、それによって第1および第2の包装材料4、7の両方が、レーザビームに対して実質的に透明であり、および/またはレーザビームによって影響を受けない。本方法は、マーキングされたパックPのグループを、顧客に発送するための出荷用カートンで最終梱包するために発送ステーションに移送または輸送するステップをさらに含むことができる。
【0027】
本発明の特定の実施形態が本明細書に示され、記載されたが、様々な代替のおよび/または等価な実施態様が存在することを当業者には理解されるであろう。例示的な実施形態は、単なる例に過ぎず、範囲、適用可能性、または構成を限定することは決して意図されていない。むしろ、前述の概要および詳細な説明は、少なくとも1つの例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供し、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的な均等物において述べられているような範囲から逸脱せずに、例示的な実施形態に記載された要素の機能および配置において様々な変更がなされてもよい。全体に、本出願は、本明細書で論じた特定の実施形態の任意の適応形態または変形形態をカバーすることが意図されている。
【0028】
本明細書において、用語「comprise(備える、含む)」、「comprising(備える、含む)」、「include(含む)」、「including(含む)」、「contain(含む)」、「containing(含む)」、「have(有する)」、「having(有する)」、およびそれらの任意の変形形態は、本明細書に記載されたプロセス、方法、デバイス、装置、もしくはシステムが、列挙されたそれらの特徴または部分または要素またはステップに限定されず、明白に列記されていない、あるいはそうしたプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素、特徴、部分、もしくはステップを含むことができるように、包括的な(すなわち、非排他的な)意味において理解されることが意図されている。さらに、本明細書で使用される用語「a」および「an」は、明示的に別段の定めがない限り、1つまたは複数を意味するものとして理解されることが意図されている。さらに、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」などは、単にラベルとして使用されており、それらの対象物の重要性に数値的な要求を課すこと、またはそれらの対象物の重要性のある特定のランク付けを確立することは意図されていない。
【符号の説明】
【0029】
1 装置
2 密閉箱または容器
3 包装ユニット
4 第1の包装材料
5 マーキングユニット
6 結束ユニット
7 第2の包装材料
P パッケージまたはパック
L レーザ
B レーザビーム
R マーキングされる領域
M マーキング
C コーティング