特許第6662938号(P6662938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662938
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】取付構造及び取付方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/10 20060101AFI20200227BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   F16B5/10 G
   B60Q1/26 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-66620(P2018-66620)
(22)【出願日】2018年3月30日
(65)【公開番号】特開2019-178688(P2019-178688A)
(43)【公開日】2019年10月17日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】塩貝 僚
(72)【発明者】
【氏名】飛河 和樹
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和則
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−135966(JP,A)
【文献】 実開昭61−023107(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/10
B60Q 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の板状部材と、この板状部材の端面に固定される取付部材とを備え、
前記取付部材は嵌合受け部を有し、前記嵌合受け部に前記板状部材を嵌めて取り付ける取付構造であって、
前記板状部材の端面側に、該板状部材の内外面の少なくとも一方に切削加工面を設けることにより該板状部材を薄肉にした薄肉部が設けられ、
前記切削加工面は、前記薄肉部の厚さを一定に形成する平面部と、この平面部と非切削加工面とを連結する傾斜面部を有し、
前記薄肉部には、前記板状部材と板状調整部材との間の接着層により該板状調整部材が取り付けられており、
前記嵌合受け部を前記薄肉部と前記板状調整部材に外嵌したことを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記板状調整部材は前記薄肉部の板厚に合わせて複数の厚さのものが用いられることを特徴とする請求項1記載の取付構造。
【請求項3】
樹脂製の板状部材の端面に取付部材を取り付ける取付方法であって、
前記板状部材の端面側に機械加工による切削によって切削加工面を形成して該板状部材を薄肉にした薄肉部を形成すると共に、前記薄肉部の厚さを一定に形成する平面部と、この平面部と非切削加工面とを連結する傾斜面部を形成する工程と、
前記切削加工面に接着層により板状調整部材を取り付ける工程と、
前記板状部材の前記切削加工面と前記板状調整部材の重ね合わせ部分を、前記取付部材の嵌合受け部に嵌める工程を有することを特徴とする取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材に取付部材を取り付ける取付構造及び取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、第1部材のリブに第2部材の被支持部材を重ね合わせ、この重ね合わせ部分を鉄クリップにより挟持して固定する固定構造(例えば特許文献1)があり、この固定構造では、製造時の寸法誤差により第1部材のリブと第2部材の被支持部材との重ね合わせ寸法にばらつきがあっても、鉄クリップの弾性により挟持して両者を固定することができる。
【0003】
一方、本体金具にL字形の固定金具を取り付け、この固定金具の抜け止め板部と前記本体金具の間に形成された嵌合受け部に、板状部材に対応するミラーを取り付け、前記抜け止め板部に支持部材を設け、この支持部材の押圧部により前記本体金具にミラーを押圧して取り付ける取り付け構造(例えば特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4132596号公報
【特許文献2】特開2001−350200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2の取り付け構造では、嵌合受け部の幅とミラーの厚さに差があっても、弾性を有する支持部材がミラーを押圧することにより取り付けることができるが、支持部材の弾性が低下したり、振動条件で使用したりすると、がたつきを生じ、取付構造が不安定になる問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、嵌合受け部に板状部材を嵌合して取り付ける際、前記嵌合受け部に嵌る部分の板厚を一定に保つことができる取付構造及び取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、樹脂製の板状部材と、この板状部材の端面に固定される取付部材とを備え、前記取付部材は嵌合受け部を有し、前記嵌合受け部に前記板状部材を嵌めて取り付ける取付構造であって、前記板状部材の端面側に、該板状部材の内外面の少なくとも一方に切削加工面を設けることにより該板状部材を薄肉にした薄肉部が設けられ、前記切削加工面は、前記薄肉部の厚さを一定に形成する平面部と、この平面部と非切削加工面とを連結する傾斜面部を有し、前記薄肉部には、前記板状部材と板状調整部材との間の接着層により該板状調整部材が取り付けられており、
前記嵌合受け部を前記薄肉部と前記板状調整部材に外嵌したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項に係る発明は、前記板状調整部材は前記薄肉部の板厚に合わせて複数の厚さのものが用いられることを特徴とする。
【0009】
また、請求項に係る発明は、樹脂製の板状部材の端面に取付部材を取り付ける取付方法であって、前記板状部材の端面側に機械加工による切削によって切削加工面を形成して該板状部材を薄肉にした薄肉部を形成すると共に、前記薄肉部の厚さを一定に形成する平面部と、この平面部と非切削加工面とを連結する傾斜面部を形成する工程と、前記切削加工面に接着層により板状調整部材を取り付ける工程と、前記板状部材の前記切削加工面と前記板状調整部材の重ね合わせ部分を、前記取付部材の嵌合受け部に嵌める工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び3の構成によれば、板状部材全体の板厚を一定に保つことができ、樹脂製の板状部材の板厚管理が難しい場合であっても、嵌合受け部に合わせた板厚とすることができる。
【0011】
請求項1及び3の構成によれば、板状部材を切削することにより、所定の精度の板厚を有する薄肉部が得られる。
【0012】
請求項1及び3の構成によれば、接着により板状部材に板状調整部材を簡便に取り付けることができると共に、接着層の膜厚を使って全体の板厚を調整することができる。
【0013】
請求項の構成によれば、成形された板状部材の厚さに変動があっても対応することができる。
【0014】
請求項の構成によれば、樹脂製の板状部材の板厚管理が難しい場合であっても、嵌合受け部に合わせた板厚とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1を示す取付構造の断面図である。
図2】同上、取付構造の要部の拡大断面図である。
図3】同上、取付構造の要部の拡大断面図である。
図4】同上、板状部材の加工方法を説明する断面図である。
図5】本発明の実施例2を示す板状部材の重ね合わせ部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の取付構造及び取付方法の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
図1図4は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、自走式の車両1の左右のフェンダ2には合成樹脂製の板状部材3が設けられ、この板状部材3により車両1の側部外面を構成し、その板状部材3に取付孔4を穿設し、この取付孔4に車両用灯火器たる方向指示器5が取り付けられている。尚、板状部材3が被取付部材、方向指示器5が取付部材である。
【0018】
前記板状部材3の樹脂としては繊維強化プラスチック(FRP)が例示され、繊維強化プラスチックや合成樹脂は、金属板材に比べて製造時の厚さにバラつきを生じ易いが、軽量化や防錆性に優れるなどの利点がある。
【0019】
前記方向指示器5は、前記板状部材3の内面3N側に配置するハウジング11と、前記板状部材3の外面3G側に配置するアウタレンズ12と、内部に配置する灯体13とを備える。それらハウジング11とアウタレンズ12は合成樹脂製であり、そのアウタレンズ12は透光性を有する。また、灯体13は、バルブなどからなり、後側(基端側)のソケット14と前側(先端側)の発光部15とを備える。また、ハウジング11の内面には発光部15の光を反射する反射面が形成され、この反射面により発光部15の光をアウタレンズ12側に反射する。
【0020】
前記ハウジング11の後側の底部21には、灯体13のソケット14を取付ける灯体取付孔22が穿設されており、前記ソケット14の後側に鍔部14Aが周設され、前記ソケット14の後側を前記灯体取付孔22に挿通すると共に、前記鍔部14Aの後面を前記底部21の外面に当接している。
【0021】
また、前記ソケット14には、前記灯体取付孔22の後側にシール部材23が外装され、このシール部材23により、前記灯体取付孔22における止水性を確保している。さらに、ソケット14の後側を、車両1側に設けられた灯体取付部24に着脱可能に取り付けると共に、この灯体取付部24にソケット14が電気的に接続され、灯体取付部24に設けた電源コード(図示せず)により灯体13が点灯する。また、前記底部21の車両前後方向の他側(図1中で左側)から後方に向って当接部25が突設され、この当接部25が、前記灯体取付部24の拡大した先端部26の側部に当接している。
【0022】
前記ハウジング11は、前記底部21から前側(車幅方向外側)に向かって広がるように形成された側面部31を備え、この側面部31は、その前端に開口部32を有する。前記側面部31は、車両前後方向の一側及び他側の側面部33,34を有し、これら一側及び他側の側面部33,34は周方向に連続する。尚、方向指示器5において、底部21側が後側、アウタレンズ12側が前側、一側の側面部33側が左右方向の一側、他側の側面部34側が左右方向の他側である。
【0023】
それら一側及び他側の側面部33,34の間隔は前側に向かって広がるように形成され、一側の側面部33は車幅方向に対して45〜75度程度の角度で傾斜し、他側の側面部34と前記底部21との間に湾曲部35が形成され、他側の側面部34の車幅方向に対する角度は、前記一側の側面部33より小さい。尚、この例では、車両前後方向の一側が車両1の前側であり、他側が車両1の後側であるが、逆でもよい。
【0024】
尚、図1に示すように、板状部材3の内面3N側で他側には、車両1側に設けられた支持部材41が配置され、この支持部材41の外面に接着剤42により板状部材3の内面3Nが接着されている。
【0025】
前記側面部31の開口部32には、前記一側の側面部33に一側嵌合受け部51が設けられると共に、前記他側の側面部34に他側嵌合受け部61が設けられている。
【0026】
これら一側及び他側嵌合受け部51,61は、前記板状部材3の前記取付孔4の端面81周囲の内外面3N,3Gに外嵌し、その端面81は前記取付孔4の内周面である。そして、それら一側及び他側嵌合受け部51,61内に、板状部材3の端面81側を嵌め入れることにより、板状部材3に方向指示器5が取付固定される。尚、それら一側及び他側嵌合受け部51,61内に前記端面81を嵌めた状態で、別途の取付固定手段(図示せず)により固定してもよい。
【0027】
図2などに示すように、前記一側嵌合受け部51は、前記一側の側面部33の開口縁の外周側に設けられ、前記端面81に対向する縦壁52と、この縦壁52の前端外周側に設けられ、板状部材3の外面3Gに係止する外面係止部53と、板状部材3の内面3Nに係止する内面係止部54とを備え、前記縦壁52は、前記端面81に対応する受け部底面52Mを有する。
【0028】
前記外面係止部53の受け部内面53Nは、前記板状部材3の外面3Gと略平行に形成され、前記内面係止部54の受け部内面54Nは、外周側に向かって前記板状部材3の内面3Nから離れるように斜めに形成され、この受け部内面54Nと一側の側面部33の外周面33Gとの間には、凸状湾曲面55が形成され、前記内面係止部54の断面形状は略三角形に形成されている。そして、受け部内面53Nと受け部底面52Mと受け部内面54Nにより、一側嵌合受け部51の凹部51Aを構成している。
【0029】
図3などに示すように、前記他側嵌合受け部61は、前記他側の側面部34の開口縁の外周側に、板状部材3の内面3Nに係止する内面係止部たる先端面62を備え、この先端面62は、板状部材3の内面3Nと略平行な先端受け面62Aと、この先端受け面62Aの側面部外周側に設けられた先端案内面62Bとを備え、前記先端受け面62Aと先端案内面62Bとの間には段部62Cが設けられており、前記先端案内面62Bは前記板状部材3の内面3Nと離れるように傾斜している。
【0030】
また、前記ハウジング11内には、前記他側の側面部34の内周面と間隔をおいて、内壁部65が設けられ、この内壁部65は前記底部21から前側に向かって突設されており、この内壁部65の前端に外面係止部66を周設し、この外面係止部66の内面66Nは外周側に向かって斜め後向きに形成され、即ち、前記内面66Nは外周側から中央側の内壁部65の前端に向かって外面3Gから離れるように斜めに形成されており、その内面66Nの外端側が受け部内面67であり、この受け部内面67が前記板状部材3の外面3Gに係止する。そして、前記先端受け面62Aと外面係止部66により、前記他側嵌合受け部61を構成している。
【0031】
また、前記内面66Nの内側で、前記先端受け面62Aの位置より外側に、前記端面81を挿入可能な挿入空間68が設けられ、この挿入空間68により、端面81が内壁部65の外面に当接するまで板状部材3をハウジング11内に挿入することができる。
【0032】
前記アウタレンズ12は、車幅方向外側に一側傾斜面部71と、他側傾斜面部72と、これら一側及び他側傾斜面部71,72との間に設けた屈曲部73とを備え、これらの上,下面を塞ぐ上,下面部74J,74Sを有し、前記傾斜面部71,72の内面に灯体13の光を拡散する複数の凹凸部75が設けられている。
【0033】
また、アウタレンズ12の周縁部76はアウタレンズ12の後向きに突設され、その周縁部76の内側に取付段部77が形成され、この取付段部77がハウジング11の開口縁部に外嵌した状態で、ハウジング11にアウタレンズ12が取り付けられる。
【0034】
次に、板状部材3への方向指示器5の取付方法について説明する。図4(A)に示す板状部材3の端面81側の内外面3N,3Gの一方である内面3Nに、機械加工による切削によって、図4(B)に示すように、切削加工面82を形成し、端面81側に薄肉部83を形成する。
【0035】
図4(B)に示すように、切削加工面82は薄肉部83の厚さを一定に形成する平面部82Aと、この平面部82Aと非切削加工面とを連結する傾斜面部82Bとを有し、前記平面部82Aにより板状部材3の非切削加工部に比べて薄い薄肉部83が形成され、前記傾斜面部82Bを形成した部分が板状部材3の傾斜板部84である。尚、図4(B)において、符号LSは薄肉部83の長さ、符号LTは傾斜板部84の長さである。
【0036】
このように機械加工の切削により薄肉部83を形成することにより、樹脂製の板状部材3の厚さtと設計厚さ寸法とに誤差があっても、薄肉部83を設計厚さ寸法より薄く且つ所望の厚さに形成することができる。
【0037】
図4(C)に示すように、薄肉部83の切削加工面82の平面部82Aに接着剤を塗布して接着層86を形成し、この接着層86により板状調整部材87を薄肉部83に接着する。この板状調整部材87は金属板などの厚さが一定のものが用いられ、取付孔4の全周に設けられる。
【0038】
このように板状調整部材87を金属板により構成することにより、厚さ寸法精度の高い板状調整部材87が得られ、薄肉部83と接着層86と板状調整部材87との重ね合わせ部分88により、端面81側を設計厚さ寸法の許容範囲に形成することができる。即ち、薄肉部83と接着層86と板状調整部材87との重ね合わせ部分88の厚さTを、嵌合受け部51,61に対応する厚さに形成できる。
【0039】
尚、板状調整部材87の厚さは、厚さtより薄く、好ましくは、厚さtと薄肉部83の厚さの差よりも厚い。また、各種の厚さの薄肉部83に対応できるように、板状調整部材87も厚さの異なるものを用意する。尚、厚さT,tは重ね合わせ部分88と板状部材3の板厚である。
【0040】
板状部材3に方向指示器5を取り付ける際には、板状部材3の外面側から取付孔4にハウジング11の底部21を挿入する。まず、他側嵌合受け部61が内側、これより一側嵌合受け部51が外側になるようにハウジング11を斜めにし、端面81に他側嵌合受け部61を外嵌し、さらに、端面81が挿入空間68に入るようにハウジング11を他側に移動する。こうすると、一側嵌合受け部51の内面係止部54を取付孔4に通すことができ、この際、端面81の外角部に内面係止部54側の斜めの外周面33Gを当てて押し込むことにより、一側嵌合受け部51内に端面81をスムーズにはめ込むことができる。また、挿入空間68への端面81側の挿入量により、端面81の外角部に内面係止部54側の斜めの外周面33Gが当たらない場合は、受け部底面52Mを端面81に位置合わせし、ハウジング11を一側に移動することにより、端面81周囲の内外面3N,3Gに一側及び他側嵌合受け部51,61を外嵌することができる。尚、逆に板状部材3の内面側から取付孔4にハウジング11を取り付けるようにしてもよい。
【0041】
このように取付孔4にハウジング11を取り付け、必要に応じて別途の固定手段により固定し、そのハウジング11にアウタレンズ12を取り付ける。
【0042】
このように本実施例では、請求項1に対応して、樹脂製の板状部材3と、この板状部材3の端面81に固定される取付部材たる方向指示器5とを備え、方向指示器5は嵌合受け部51を有し、前記嵌合受け部51に板状部材3を嵌めて取り付ける取付構造であって、板状部材3の端面81側に、該板状部材3の内外面3N,3Gの少なくとも一方である内面3Nに切削加工面82を設けることにより該板状部材3を薄肉にした薄肉部83が設けられ、切削加工面82は、薄肉部83の厚さを一定に形成する平面部82Aと、この平面部82Aと非切削加工面とを連結する傾斜面部82Bを有し、薄肉部83には、板状部材3と板状調整部材87との間の接着層86により該板状調整部材87が取り付けられており、嵌合受け部51を薄肉部83と板状調整部材87に外嵌したから、板状部材3の全体の板厚を一定に保つことができ、樹脂製の板状部材3の板厚管理が難しい場合であっても、嵌合受け部51に合わせた板厚とすることができる。また、薄肉部83には傾斜面部82Bを設けたから、段差と異なり応力が集中することが無い。
【0043】
このように本実施例では、請求項1及び3に対応して、内面3Nには切削加工面82が形成されているから、板状部材3を切削することにより、所定の精度の板厚を有する薄肉部83が得られる。
【0044】
このように本実施例では、請求項1及び3に対応して、板状部材3と板状調整部材87との間に接着層86を設けたから、接着により板状部材3に板状調整部材87を簡便に取り付けることができると共に、接着層86の膜厚を使って全体の板厚を調整することができる。
【0045】
このように本実施例では、請求項に対応して、樹脂製の板状部材3の端面81に取付部材たる方向指示器5を取り付ける取付方法であって、板状部材3の端面81側に機械加工による切削によって切削加工面82を形成して該板状部材3を薄肉にした薄肉部83を形成すると共に、薄肉部83の厚さを一定に形成する平面部83Aと、この平面部83Aと非切削加工面とを連結する傾斜面部83Bを形成する工程と、切削加工面82に接着層86により板状調整部材87を取り付ける工程と、板状部材3の切削加工面82と板状調整部材87の重ね合わせ部分88を方向指示器5の嵌合受け部51に嵌める工程を有するから、樹脂製の板状部材3の板厚管理が難しい場合であっても、嵌合受け部51に合わせた板厚とすることができる。
【0046】
以下、実施例上の効果として、板状調整部材87は金属製であるから、樹脂製に比べて、板厚を正確に管理することができる。また、板状部材3の内面3Nに切削加工面82を形成し、この切削加工面82に板状調整部材87を取り付けたから、切削加工面82及び板状調整部材87が外部に露出せず、外観意匠性に優れた取付構造となる。また、薄肉部83には傾斜板部84を設けたから、段差と異なり応力が集中することが無い。さらに、一側嵌合受け部51の前記内面係止部54の断面形状は略三角形に形成されているから、組立時に端面81を一側嵌合受け部51にスムーズに嵌め入れることができる。また、他側嵌合受け部61には、内面66Nの内側で、先端受け面62Aの位置より外側に、前記端面81を挿入可能な挿入空間68が設けられているから、取付孔4の他側の端面81側を挿入空間68に挿入することにより、一側嵌合受け部51に取付孔4の一側の端面81側を嵌め入れ易くなる。さらに、板状調整部材87の端面を、薄肉部83の端面81より突出するように取り付けたから、端面81の角部を板状調整部材87により覆うことができ、端面81の角部が露出することがなく、重ね合わせ部88を一定厚さに保つことができる。
【実施例2】
【0047】
図5は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図に示すように、この例では、前記板状部材3の板厚である厚さtに合わせて複数の厚さの板状調整部材を用いる例を示している。
【0048】
図5(A)は、実施例1の図4(D)と同一であり、厚さtの板状部材3の重ね合わせ部分88を示している。これに対して、図5(B)のように製造誤差などにより板状部材3の厚さt´が厚さtより大きい場合は、実施例1の板状調整部材87に比べて、その差(t´−t)だけ厚さの薄い板状調整部材87Aを用いる。
【0049】
こうすると、実施例1と同じ厚さだけ板状部材3を切削すればよく、切削加工も容易で、板状部材3の厚さに製造誤差などがあっても、複数の厚さの板状調整部材87,87Aの中から選択して使用することにより対応することができる。
【0050】
このように本実施例は、上記実施例1と同様な作用・効果を奏し、また、本実施例では、請求項に対応して、板状調整部材87,87Aは薄肉部83の板厚に合わせて複数の厚さのものが用いられるから、成形された板状部材3の厚さに変動があっても対応することができる。
【0051】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、樹脂は、炭素繊維強化プラスチックや繊維を用いないプラスチックでもよい。また、実施例では、端面として周方向に連続した取付孔の内周面を例示したが、周方向に連続しない端面にも適用可能である。さらに、実施例では、板状部材の内面に切削加工面を設け、この内面側の切削加工面に板状調整部材を取り付けたが、板状部材の薄肉部の外面に板状調整部材を取り付けてもよい。さらに、板状部材の外面に切削加工面を設け、この板状部材の外面側の切削加工面に板状調整部材を取り付けたり、その外面を切削加工した板状部材の薄肉部の内面に、板状調整部材を取り付けたりしてもよい。また、板状部材の内外面にそれぞれ切削加工面を設け、内外面の一方又は両方に板状調整部材を設けてもよい。このように板状部材の内外面の少なくとも一方に切削加工面を設けると共に、板状部材の薄肉部の内外面の少なくとも一方に板状調整部材を取り付ければよい。
【符号の説明】
【0052】
3 板状部材
3G 外面
3N 内面
4 取付孔
5 方向指示器(取付部材)
51 一側嵌合受け部
61 他側嵌合受け部
81 端面
82 切削加工面
83 薄肉部
83A 平面部
83B 傾斜面部
86 接着層
87,87A 板状調整部材
88 重ね合わせ部分
図1
図2
図3
図4
図5