特許第6662944号(P6662944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662944
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】電圧生成装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/00 20060101AFI20200227BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   H01L25/00 B
   H01L23/12 501P
   H01L23/12 B
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-88858(P2018-88858)
(22)【出願日】2018年5月2日
(62)【分割の表示】特願2014-32003(P2014-32003)の分割
【原出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2018-137479(P2018-137479A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年5月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅本 清貴
【審査官】 ▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−196542(JP,A)
【文献】 特開2007−194669(JP,A)
【文献】 特開2006−041401(JP,A)
【文献】 特開2013−077850(JP,A)
【文献】 特開2000−156455(JP,A)
【文献】 実開昭60−136156(JP,U)
【文献】 特開2002−184933(JP,A)
【文献】 特開2002−057037(JP,A)
【文献】 特開2001−185685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧から所望の出力電圧を生成する電圧生成装置であって、
半導体基板と、前記半導体基板の表面の素子形成領域に作り込まれた素子とを有する半導体チップと、
前記半導体チップの前記表面の側である第1面側に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に実装された回路部品と、
前記半導体基板の前記第1面と反対側の第2面側に設けられた外部接続部材とを含み、
前記外部接続部材が、入力電圧が入力される入力電圧端子と、グランド電位に接続されるグランド端子と、出力電圧が出力される出力端子とを含み、
前記素子が、前記入力電圧端子と前記グランド端子との間に直列に接続された第1トランジスタおよび第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを制御する制御回路を含む集積回路を形成する素子とを含み、
前記回路部品が、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの接続点と前記出力端子との間に接続されるインダクタチップを含み、前記第1トランジスタまたは前記第2トランジスタの直上に前記インダクタチップが配置されており、
前記集積回路が、前記出力電圧を前記制御回路にフィードバックするためのフィードバック端子を含み、
前記半導体チップが、前記半導体基板の前記素子形成領域を回避して当該半導体基板の表面と裏面との間を貫通し、前記表面および裏面の間に導電路を形成する貫通ビアをさらに有し、
前記回路部品の電極が、前記貫通ビアの直上に配置されて当該貫通ビアに接続されている、電圧生成装置。
【請求項2】
前記外部接続部材が、前記電圧生成装置の動作モードを、PWM(パルス幅変調)モードとPFM(パルス周波数変調)モードとの間で切り換えるモード切換え制御信号を受ける端子をさらに含む、請求項1に記載の電圧生成装置。
【請求項3】
前記外部接続部材が、出力電圧の出力をオン/オフするためのオン/オフ制御信号を受ける端子をさらに含む、請求項1または2に記載の電圧生成装置。
【請求項4】
前記入力電圧端子と前記オン/オフ制御信号を受ける端子とが隣り合っている、請求項3に記載の電圧生成装置。
【請求項5】
前記第1トランジスタが、p型MOSFETである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電圧生成装置。
【請求項6】
前記第2トランジスタが、n型MOSFETである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電圧生成装置。
【請求項7】
前記絶縁層が、ポリイミド膜、酸化膜またはソルダーレジスト膜である、請求項1〜のいずれか一項に記載の電圧生成装置。
【請求項8】
前記絶縁層の厚さが10μm以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の電圧生成装置。
【請求項9】
平面視において、前記回路部品の電極が、前記素子形成領域を回避して配置されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の電圧生成装置。
【請求項10】
前記回路部品が、前記入力電圧端子と前記グランド端子との間に接続された第1キャパシタチップを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の電圧生成装置。
【請求項11】
前記回路部品が、前記出力端子と前記グランド端子との間に接続された第2キャパシタチップを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電圧生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板の表面の素子形成領域に素子が作り込まれた半導体チップを備えた電圧生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体ダイと、半導体ダイの裏面に配置されたパッシブ部品と、半導体ダイを貫通するシリコンビア(TSV:through-silicon via)とを含む集積システムを開示している。シリコンビアは、パッシブ部品を半導体ダイのアクティブ面に接続するための電気経路を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−164970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の先行技術では、半導体ダイのアクティブ面とパッシブ部品とがシリコンビアを介して接続されている。そのため、シリコンビアが有する電気抵抗のために、アクティブ面とパッシブ部品との間のインピーダンスが大きく、それらの間の電気経路での損失が大きい。これにより、動作速度が制限を受けるため、高周波化が難しく、電気経路を介して伝送される信号にノイズが入りやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一実施形態は、入力電圧から所望の出力電圧を生成する電圧生成装置を提供する。この電圧生成装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表面の素子形成領域に作り込まれた素子とを有する半導体チップと、前記半導体チップの第1面側に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に実装された回路部品と、前記半導体基板の前記第1面と反対側の第2面側に設けられた外部接続部材とを含み、前記外部接続部材が、入力電圧が入力される入力電圧端子と、グランド電位に接続されるグランド端子と、出力電圧が出力される出力端子とを含む。
この発明の一実施形態では、前記素子が、前記入力電圧端子と前記グランド端子との間に直列に接続された第1トランジスタおよび第2トランジスタと、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを制御する制御回路を含む集積回路を形成する素子とを含む。
また、この発明の一実施形態では、前記回路部品が、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの接続点と前記出力端子との間に接続されるインダクタチップを含み、前記第1トランジスタまたは前記第2トランジスタの直上に前記インダクタチップが配置されている。
また、この発明の一実施形態では、前記集積回路が、前記出力電圧を前記制御回路にフィードバックするためのフィードバック端子を含む。
この発明の一実施形態では、前記外部接続部材が、前記電圧生成装置の動作モードを、PWM(パルス幅変調)モードとPFM(パルス周波数変調)モードとの間で切り換えるモード切換え制御信号を受ける端子をさらに含む。
この発明の一実施形態では、前記外部接続部材が、出力電圧の出力をオン/オフするためのオン/オフ制御信号を受ける端子をさらに含む。
この発明の一実施形態では、前記入力電圧端子と前記オン/オフ制御信号を受ける端子とが隣り合っている。
この発明の一実施形態では、前記第1トランジスタが、p型MOSFETである。
この発明の一実施形態では、前記第2トランジスタが、n型MOSFETである。
この発明の一実施形態は、入力電圧から所望の出力電圧を生成する電圧生成装置を提供する。この電圧生成装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表面の素子形成領域に作り込まれた素子とを有する半導体チップと、前記半導体チップの前記半導体基板の表面と同じ側の表面である回路部品接続面に実装された回路部品と、前記半導体基板の前記裏面側に設けられた外部接続部材とを含む。
【0006】
この発明の一実施形態では、前記外部接続部材は、入力電圧が入力される入力電圧端子と、グランド電位に接続されるグランド端子と、出力電圧が出力される出力端子とを含む。前記素子は、前記入力電圧端子と前記グランド端子との間に直列に接続された第1トランジスタおよび第2トランジスタを含む。前記回路部品は、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの接続点と前記出力端子との間に接続されるインダクタチップを含む。この発明の一実施形態では、前記第1トランジスタまたは前記第2トランジスタの直上に前記インダクタチップが配置されている。
【0007】
この発明の一実施形態では、前記半導体チップが、前記半導体基板の前記素子形成領域を回避して当該半導体基板の表面と裏面との間を貫通し、前記表面および裏面の間に導電路を形成する貫通ビアをさらに有する。
この発明の一実施形態では、前記半導体チップが、さらに、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタを制御する制御回路を有する。
【0008】
この発明の一実施形態では、前記半導体チップの回路部品接続面に形成され、前記素子形成領域に形成された回路を前記貫通ビアに接続する第1表面配線層をさらに含む。
この発明の一実施形態では、前記半導体チップの回路部品接続面に形成され、前記素子形成領域に形成された回路を前記回路部品の電極に接続する第2表面配線層をさらに含む。
【0009】
この発明の一実施形態では、前記半導体チップの回路部品接続面に形成され、前記回路部品の電極を前記貫通ビアに接続する第3表面配線層をさらに含む。
この発明の一実施形態では、前記半導体チップの回路部品接続面に形成され、前記回路部品の電極を前記半導体チップの回路部品接続面に実装された他の回路部品に接続する第4表面配線層をさらに含む。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記回路部品の電極が前記貫通ビアの直上に配置されている。
この発明の一実施形態では、前記外部接続部材が前記貫通ビアの直下に配置されている。
この発明の一実施形態では、前記半導体チップの回路部品接続面を覆う絶縁層をさらに含む。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記絶縁層の表面と前記回路部品との間に空間が形成されている。
この発明の一実施形態では、前記絶縁層が、ポリイミド膜、酸化膜またはソルダーレジスト膜である。
この発明の一実施形態では、前記絶縁層の厚さが10μm以上である。
【0012】
この発明の一実施形態では、平面視において前記素子形成領域と少なくとも一部が重なり合うように前記回路部品が前記回路部品接続面に実装されている。
この発明の一実施形態では、平面視において、前記回路部品の電極が、前記素子形成領域を回避して配置されている。
この発明の一実施形態では、前記貫通ビアが、前記素子形成領域よりも前記半導体基板の周縁に近い領域に配置されている。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記貫通ビアが、前記素子形成領域に取り囲まれている。
この発明の一実施形態では、前記貫通ビアがTSV(貫通シリコンビア)である。
この発明の一実施形態では、前記回路部品が、キャパシタチップ、インダクタチップ、ICチップ、抵抗器チップ、ダイオードチップ、発光ダイオード素子、センサ素子、またはMEMS素子を含む。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記回路部品が、受動部品を含む。受動部品の例は、キャパシタチップ、インダクタチップ、抵抗器チップを含む。
この発明の一実施形態では、前記半導体基板がSOI(Silicon on Insulator)基板である。
この発明の一実施形態では、前記回路部品が、前記入力電圧端子と前記グランド端子との間に接続された第1キャパシタチップを含む。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記回路部品が、前記出力端子と前記グランド端子との間に接続された第2キャパシタチップを含む。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、半導体基板の表面の素子形成領域に素子が形成されており、当該表面と同側の半導体チップの表面が回路部品接続面とされ、この回路部品接続面に回路部品が配置されている。それにより、半導体基板に形成された素子と回路部品との間の距離を短くすることができるので、それに応じて、それらの間の電気経路の抵抗を低くすることができる。その結果、電気経路における損失を低減できるので、高周波化を図ることができ、かつ耐ノイズ性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る半導体装置の全体構成例を示す斜視図である。
図2図2は、前記半導体装置の底面図である。
図3図3は、前記半導体装置に備えられた半導体基板の表面の素子形成領域の配置例を示す平面図である。
図4図4は、回路部品と素子形成領域との電気的接続を説明するための平面図である。
図5A図5Aは、前記半導体装置の断面図であり、図4のVA-VA線での切断面を示す。
図5B図5Bはインダクタチップ付近の断面図であり、図4のVB-VB線での切断面を示す。
図5C図5Cはキャパシタチップ付近の断面図であり、図4のVC-VC線での切断面を示す。
図6図6は、前記半導体装置の電気的構成例を説明するための電気回路図である。
図7A図7Aは、この発明の他の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための図解的な断面図である。
図7B図7Bは、図7Aの半導体装置における貫通ビア領域の配置を説明するための平面図である。
図8図8は、この発明のさらに他の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための図解的な断面図である。
図9図9は、半導体チップの回路部品接続面に実装される回路部品が抵抗器チップを含む半導体装置の構成例を示す断面図である。
図10図10は、半導体チップの回路部品接続面に実装される回路部品が水晶振動子チップを含む半導体装置の構成例を示す断面図である。
図11図11は、半導体チップの回路部品接続面に実装される回路部品がMEMSチップを含む半導体装置の構成例を示す断面図である。
図12図12は、半導体チップの回路部品接続面に実装される回路部品がLSIチップを含む半導体装置の構成例を示す断面図である。
図13図13は、半導体チップの回路部品接続面に実装される回路部品がセンサチップを含む半導体装置の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る半導体装置の全体構成例を示す斜視図である。この半導体装置1は、半導体チップ2と、回路部品C1,C2,Lとを含む。半導体チップ2は、半導体基板3を含む。半導体基板3の表面3aには、多層配線層6が形成されている。半導体基板3の表面3aとは、素子が作り込まれた素子形成領域を有する側の表面である。多層配線層6は、保護用の絶縁膜20で覆われている。
【0019】
半導体基板3の表面3aと同側の半導体チップ2の表面は、回路部品接続面10とされている。回路部品接続面10は、この実施形態では、多層配線層6の表面である。この回路部品接続面10に回路部品C1,C2,Lが実装されている。すなわち、回路部品C1,C2,Lは、半導体基板3の素子が作り込まれた表面3aと同側の半導体チップ2の表面(回路部品接続面10)に実装されている。この実施形態では、キャパシタチップC1,C2およびインダクタチップLが、半導体チップ2外の回路部品として、半導体チップ2の表面に実装されている。これらの回路部品は、いずれも受動部品の例である。
【0020】
半導体チップ2は、この実施形態では、平面視矩形の形状を有している。この半導体チップ2の表面の長手方向に沿って、2つのキャパシタチップC1,C2および一つのインダクタチップLが配列されている。これらの回路部品C1,C2,Lは、いずれも平面視矩形の形状を有しており、それらの長手方向が半導体チップ2の短手方向に沿っている。この実施形態では、2つのキャパシタチップC1,C2の間に一つのインダクタチップLが配置されている。キャパシタチップC1,C2は、長手方向両端にそれぞれ電極11,12;13,14を備えている。インダクタチップLも同様に、長手方向両端にそれぞれ電極15,16を備えている。
【0021】
図2は、半導体装置1の底面図である。半導体基板3は、素子形成領域4が設けられた表面3aとは反対側の裏面3bを有している。この裏面3bに、外部接続部材8が配置されている。外部接続部材8は、半田ボールであってもよい。この実施形態では、複数(たとえば9個)の外部接続部材8が半導体基板3の裏面3bに設けられており、それらがアレイ状(行列状)に配列されている。外部接続部材8の一部は、当該半導体装置1が実装される配線基板に電気的に接続される外部接続端子P1〜P5であり、他の外部接続部材は、外部への電気的接続に寄与しないダミー端子D1〜D4であってもよい。ダミー端子D1〜D4は、外部接続端子P1〜P5が配置されていない領域に配置され、外部接続部材8全体の均等配置に寄与する。
【0022】
図3は、半導体基板3の表面の素子形成領域4の配置例を示す平面図である。素子形成領域4は、この例では、半導体基板3の長手方向に沿って帯状に延びた矩形領域である。素子形成領域4は、この配置例では、短手方向の幅が半導体基板3の短手方向の幅よりも小さく、長手方向の長さが半導体基板3の長手方向の長さよりも短くなっている。素子形成領域4には、p型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)78およびn型MOSFET79等の素子が形成されている。図3の例では、p型MOSFET78およびn型MOSFET79は、素子形成領域4の一つの長辺に沿って並んで形成されている。
【0023】
素子形成領域4の周囲には、貫通ビア領域7が設けられている。貫通ビア領域7は、この実施形態では、半導体基板3の長手方向に沿って延びた矩形環状の領域である。貫通ビア領域7には、半導体基板3の表面3aおよび裏面3bに渡って貫通する貫通ビア9が配置されている。これにより、貫通ビア9は、素子形成領域4を回避して形成されている。貫通ビア9は、この実施形態では、半導体チップ2の表面(回路部品接続面10)と半導体チップ2の裏面(半導体基板3の裏面3b)に渡って貫通している。
【0024】
図4は、半導体チップ2の回路部品接続面10を示す平面図であり、回路部品C1,C2,Lと素子形成領域4との電気的接続を示す。また、図5Aは、半導体装置1の断面図であり、図4のVA-VA線での切断面を示す。図5BはインダクタチップLの付近の半導体装置1の断面図であり、図4のVB-VB線での切断面を示す。さらに、図5CはキャパシタチップC1の付近の半導体装置1の断面図であり、図4のVC-VC線での切断面を示す。ただし、図5A図5Bおよび図5Cにおいて、回路部品C1,C2,Lの内部構造は省略してある。
【0025】
半導体チップ2は、半導体基板3の表面3aに形成された多層配線層6を有している。この多層配線層6の最表面は、回路部品接続面10であり、この回路部品接続面10は、保護用の絶縁膜20で覆われている。この絶縁膜20から露出するように、複数の表面電極21〜26が設けられている。これらの複数の表面電極21〜26は、回路部品C1,C2,Lと半導体基板3の素子形成領域4に形成された回路との電気的接続を担う。具体的には、インダクタチップLの一対の電極15,16は、半導体チップ2の表面電極25,26にそれぞれ半田等の導電性接合材35,36を介して機械的および電気的に接続されている。また、キャパシタチップC1の一対の電極11,12は、半導体チップ2の表面電極21,22にそれぞれ半田等の導電性接合材31,32を介して機械的および電気的に接続されている。同様に、キャパシタチップC2の一対の電極13,14は、半導体チップ2の表面電極23,24にそれぞれ半田等の導電性接合材33,34を介して機械的および電気的に接続されている。
【0026】
貫通ビア領域7には、半導体基板3の表面3aおよび裏面3bの間に渡って貫通する貫通ビア9が配置されている。貫通ビア9は、この実施形態では、半導体チップ2の表面および裏面に渡って貫通している。半導体基板3は、たとえばシリコン基板であり、貫通ビア9は、いわゆるスルー・シリコン・ビア(TSV)であってもよい。各貫通ビア9は、図5Aに示すように、半導体基板3に形成された貫通孔60と、この貫通孔60内に埋め込まれた導体61とを含み、半導体基板3の表面3aおよび裏面3bの間(この実施形態では半導体チップ2の表面および裏面の間)を電気的に接続する導電路を提供する。貫通孔60は、この実施形態では、表面3aから裏面3bに向かうに従って孔径が広がるテーパー状の側壁62を有している。したがって、裏面3b側の断面積が表面3a側の断面積よりも大きい。貫通孔60の側壁62には、絶縁膜63が形成されており、この絶縁膜63によって導体61が囲まれている。それにより、導体61と半導体基板3との間は電気的に絶縁されている。
【0027】
多層配線層6の表面(回路部品接続面10)には、貫通ビア9の頭部と接するように表面電極21,22,25,27,28が形成されている。貫通ビア9は、これらの表面電極21,22,25,27,28を介して回路部品C1,C2,Lまたは素子形成領域4内の素子に電気的に接続されている。表面電極21〜26は、回路部品C1,C2,Lの電極11〜16との接続のために絶縁膜20から露出しているのに対して、表面電極27,28は、絶縁膜20から露出していなくてもよい。
【0028】
貫通ビア9の底部に接するように、貫通ビア9の直下に外部接続部材8が配置されている。貫通ビア9の底部に接する外部接続部材8は、半導体装置1の外部への電気的接続を担う外部接続端子P1〜P5である。そして、貫通ビア9が配置されていない領域に配置された外部接続部材8は、外部への電気的接続を担わないダミー端子D1〜D4である。この実施形態では、外部接続部材8が全体として3行3列の行列状に配列されており、それらのうちの5つに対応する位置に貫通ビア9がそれぞれ配置されている。
【0029】
半導体基板3の表面3aの素子形成領域4には、素子101〜104が形成されている。これらの素子101〜104は、能動素子であってもよいし、受動素子であってもよい。能動素子の例は、トランジスタおよびダイオードを含む。これらの能動素子は、たとえば、半導体基板3の表層領域に形成された不純物拡散層を含む。受動素子の例は、キャパシタおよび抵抗を含む。
【0030】
多層配線層6内に形成された配線層6Wは、それらの素子101〜104と表面電極21〜28等との接続を担う。多層配線層6内にキャパシタやポリシリコン抵抗などの素子が設けられる場合もある。これらの多層配線層6内の素子間の接続、多層配線層6内の素子と素子形成領域4内の素子との接続、多層配線層6内の素子と表面電極21〜28等との接続も、多層配線層6内の配線層6Wを用いて達成されてもよい。
【0031】
多層配線層6は、配線層6Wの一部を露出させたパッド41〜47を有している。これらのパッド41〜47に接合するように、銅等の導電性材料からなる表面配線層50または表面電極21〜28が形成されている。表面配線層50および表面電極21〜28は、多層配線層6の表面である回路部品接続面10に形成されている。表面配線層50および表面電極27,28は保護用の絶縁膜20によって覆われている。表面電極21〜26は、絶縁膜20から露出している。
【0032】
絶縁膜20は、ポリイミド膜、酸化膜またはソルダーレジスト膜で構成することができる。絶縁膜20の膜厚は、10μm以上であることが好ましい。絶縁膜20の表面と回路部品C1,C2,Lの対向面との間には、空間19(図5Bおよび図5C参照)が形成されている。
表面配線層50は、素子形成領域4に形成された素子101等を含む回路と貫通ビア9に接続された表面電極27,28との間をそれぞれ接続する素子−貫通ビア間表面配線層51,52,55(第1表面配線層)を含む。また、表面配線層50は、インダクタチップLに接続された表面電極26と素子形成領域4内の素子102等を含む回路とを接続するためのインダクタ−素子間表面配線層53(第2表面配線層)を含む。また、表面配線層50は、キャパシタチップC1に接続された表面電極21と素子形成領域4内の素子104等を含む回路とを接続するためのキャパシタ−素子間表面配線層54(第2表面配線層)を含む。さらに、表面配線層50は、インダクタチップLに接続された表面電極25とキャパシタチップC2に接続された表面電極23とを接続するためのインダクタ−キャパシタ間表面配線層55(第4表面配線層)を含む。この表面配線層55は、素子−貫通ビア間表面配線層(第1表面配線層)としての機能と、インダクタ−キャパシタ間表面配線層(第4表面配線層)としての機能とを有している。さらに、表面配線層50は、キャパシタチップC1,C2にそれぞれ接続された表面電極22,24間を接続するためのキャパシタ−キャパシタ間表面配線層56(第4表面配線層)を含む。
【0033】
回路部品C1,C2,Lの電極11,12,15と貫通ビア9との間に形成された表面電極21,22,25は、回路部品C1,C2,Lと対応する貫通ビア9との間を接続する表面配線層(第3表面配線層)としての機能も有している。
図6は、半導体装置1の電気的構成例を説明するための電気回路図である。半導体装置1は、素子形成領域4に形成された素子101〜104を含む集積回路70と、集積回路70に接続されたインダクタチップLおよびキャパシタチップC1,C2を含み、たとえば電源電圧生成回路を構成している。
【0034】
集積回路70は、制御回路77と、p型MOSFET78と、n型MOSFET79と、端子T1〜T6とを含む。制御回路77に端子T1,T2が接続されている。端子T1は、電源電圧の出力をオン/オフするためのオン/オフ制御信号入力端子(イネーブル端子)であってもよい。端子T2は、動作モードをPWM(パルス幅変調)モードとPFM(パルス周波数変調)モードとの間で切り換えるモード切換え制御信号入力端子であってもよい。端子T3は、入力電圧Vinが与えられる入力端子であってもよい。端子T4は、インダクタチップLに電圧を供給するスイッチング端子であってもよい。端子T5は、接地電位(GND)に接続されるグランド端子であってもよい。端子T6は、出力電圧をフィードバック(FB)するフィードバック端子であってもよい。制御回路77は、端子T3からの給電を受けて動作する。p型MOSFET78およびn型MOSFET79は、電圧入力端子T3とグランド端子T5との間に直列に接続されている。p型MOSFET78およびn型MOSFET79との間にスイッチング端子T4が接続されている。フィードバック端子T6は、制御回路77に接続されている。制御回路77は、フィードバック端子T6に入力される電圧を監視しながら、p型MOSFET78およびn型MOSFET79のゲートにそれぞれ制御信号を入力する。
【0035】
集積回路70の制御信号入力端子T1,T2には、多層配線層6および表面配線層50ならびに貫通ビア9で形成された電気経路71,72を介して外部接続端子P1,P2が接続されている。
さらに、集積回路70の電圧入力端子T3には、多層配線層6および表面配線層50ならびに貫通ビア9で形成された電気経路73を介して外部接続端子P3が接続されている。また、集積回路70のスイッチング端子T4には、多層配線層6および表面配線層50を介してインダクタチップLの一方の端子(電極16)が接続されている。インダクタチップLの他方の端子(電極15)は、表面配線層50および貫通ビア9などで形成された電気経路74を介して外部接続端子P4に接続されている。そして、集積回路70のグランド端子T5には、多層配線層6および表面配線層50ならびに貫通ビア9で形成された電気経路75を介して外部接続端子P5が接続されている。集積回路70のフィードバック端子T6は、多層配線層6および表面配線層50などで形成された電気経路76を介して、インダクタチップLの前記他方の端子(電極15)に接続されている。
【0036】
電気経路73,75の間にキャパシタチップC1が接続されており、電気経路74,75の間にキャパシタチップC2が接続されている。端子P5はグランド電位に接続されるグランド端子であってもよい。この電源電圧生成回路は、たとえば、端子P3に入力される入力電圧(たとえば5V)を所定の電圧(たとえば1V)に変換して、端子P4に出力するように動作する。
【0037】
図4に示すように、表面配線層51は、直線状に形成されており、その一端は、オン/オフ制御信号入力端子T1に対応したパッド45に接続されており、その他端は、外部接続端子P1に対応した貫通ビア9に表面電極27を介して接続されている。また、表面配線層52は、直線状に形成されており、その一端は、モード切換え制御信号入力端子T2に対応したパッド47に接続されており、その他端は、外部接続端子P2に対応した貫通ビア9に表面電極28を介して接続されている。表面配線層53は、直線状に形成されており、その一端はスイッチング端子T4に対応したパッド46に接続されており、その他端は、インダクタチップLの電極16に対応した表面電極26に接続されている。表面配線層54は、クランク形状に形成されており、その一端は、入力端子T3に対応したパッド41に接続されており、その他端は、外部接続端子P3に対応する貫通ビア9に表面電極21を介して接続されている。表面配線層55は、直線状部と、その直線部の途中部から分岐した分岐部を有するT字形に形成されている。その直線状部の一端は、キャパシタチップC2の電極13に対応した表面電極23に接続されており、その他端は、外部接続端子P4に対応する貫通ビア9に表面電極25を介して接続されている。また、表面配線層55の分岐部の先端部は、フィードバック端子T6に対応したパッド43に接続されている。表面配線層56は、一端および他端がグランド端子T5に対応したパッド42,44にそれぞれ接続されており、インダクタチップLの領域を迂回して延びるほぼU字形パターンに延びて形成されている。そして、表面配線層56の一端寄りの途中部に、キャパシタチップC1の電極12に対応した表面電極22が介在している。また、表面配線層56は、パッド44の近傍において分岐した分岐部を有しており、その分岐部の先端部は、キャパシタチップC2の電極14に対応した表面電極24に接続されている。
【0038】
入力端子T3に接続された外部接続端子P3(電源電圧端子)、スイッチング端子T4にインダクタチップLを介して接続された外部接続端子P4(出力電圧Voutが導出される出力電圧端子)、およびグランド端子T5に接続された外部接続端子P5(グランド端子)には、受動部品(キャパシタチップC1,C2、インダクタチップL)が接続されている。これらの外部接続端子P3,P4,P5は、半導体チップ2の長辺側(長辺の近傍)に配置されている。それによって、受動部品を半導体チップ2の短辺方向に沿わせる配置が容易になっている。一方、制御信号入力端子T1,T2に接続された外部接続端子P1,P2(信号入力端子)は、半導体基板3の裏面3bに配列された外部接続部材8のうち当該半導体基板3の長辺側以外の外部接続部材8で構成することが好ましい。とくに、図4に表れているように、半導体基板3の一方の短辺の中央付近の外部接続部材8と、その他方の短辺の中央付近の外部接続部材8とで、信号入力端子としての外部接続端子P1,P2を構成することが好ましい。
【0039】
以上のようにこの実施形態によれば、半導体基板3の表面3aの素子形成領域4に素子が形成されており、当該表面3aと同側の半導体チップ2の表面が回路部品接続面10とされ、この回路部品接続面10に回路部品C1,C2,Lが配置されている。それにより、半導体基板3に形成された素子と回路部品C1,C2,Lとの間の距離を短くすることができるので、それらの間の電気経路の抵抗を低くすることができる。その結果、半導体基板3内の回路と回路部品C1,C2,Lとの間の電気経路における損失を低減できるので、高周波化を図ることができ、かつ耐ノイズ性を向上することができる。
【0040】
半導体装置1と外部との接続は、半導体基板3の裏面3b側に設けられた外部接続部材8によって達成される。この外部接続部材8は、半導体基板3の表面3aおよび裏面3bの間の導電路を形成する貫通ビア9を介して、半導体基板3に形成された素子および回路部品C1,C2,Lを含む電気回路に接続することができる。
貫通ビア9は素子形成領域4を回避して配置されるが、回路部品C1,C2,Lは貫通ビア9の一部または全部と重なり合うように配置することもできる。それにより、回路部品C1,C2,Lと貫通ビア9との間の距離が短くなるので、それらの間の電気経路の抵抗を低くできる。より具体的には、この実施形態では、回路部品C1,C2,Lの電極11,12,15が貫通ビア9の直上に配置されている。これにより、回路部品C1,C2,Lと貫通ビア9との間の電気経路長を最小化できる。
【0041】
また、この実施形態では、外部との電気的接続に寄与する外部接続端子P1〜P5を構成する外部接続部材8が貫通ビア9の直下に配置されている。これにより、貫通ビア9と外部接続部材8との間の電気経路長を最小化できる。
さらに、この実施形態では、半導体チップ2の回路部品接続面10が絶縁膜20によって覆われている。それにより、半導体チップ2を充分に保護することができる。それとともに、回路部品接続面10に設けられた表面配線層50を絶縁膜20で被覆することができるので、半導体装置1の信頼性を高めることができる。
【0042】
また、この実施形態では、絶縁膜20の表面と回路部品C1,C2,Lとの間に空間19が形成されている。それによって、回路部品C1,C2,Lと半導体チップ2との熱膨張係数の相違に起因する過大な応力が半導体チップ2および回路部品C1,C2,Lにそれぞれかかることを回避できるので、安定した特性を実現できる。
また、この実施形態では、平面視において素子形成領域4と少なくとも一部が重なり合うように回路部品C1,C2,Lが回路部品接続面10に実装されている。これにより、半導体装置1の平面視における大きさを小さくできるから、半導体装置1が実装される配線基板上における当該半導体装置1の占有面積を小さくできる。
【0043】
また、この実施形態では、平面視において、回路部品C1,C2,Lの端子(電極11〜16)が、素子形成領域4を回避して配置されている。これにより、回路部品C1,C2,Lからの応力が素子形成領域4に及ぶことを抑制できるので、安定した特性の半導体装置1を提供できる。
また、この実施形態では、貫通ビア9が、素子形成領域4よりも半導体基板3の周縁に近い領域に配置されている。これにより、半導体基板3の中央領域を素子形成領域4として確保する一方で、貫通ビア9を素子形成領域4から離して配置できる。それにより、貫通ビア9を形成する際に素子形成領域4を保護できるので、安定した特性の半導体装置1を提供できる。
【0044】
半導体装置1の製造工程の概要は、次のとおりである。
複数個の半導体装置1が、半導体ウエハの状態で一括して作製される。まず、半導体基板3に対応する半導体ウエハの表面の素子形成領域4に素子が形成され、さらに多層配線層6が形成される。その後、たとえばTSVからなる貫通ビア9が素子形成領域4を回避して形成される。次に、表面配線層50および表面電極21〜28が多層配線層6の表面(回路部品接続面10)に形成される。そして、回路部品C1,C2,Lを接続するための表面電極21〜26を露出させる開口を有する絶縁膜20が形成される。次いで、回路部品接続面10上に、回路部品C1,C2,Lが自動実装される。具体的には、電極位置に半田が印刷され、自動実装機によって回路部品C1,C2,Lが配置される。次いで、半導体ウエハの裏面に外部接続部材8(たとえば半田ボール)が形成される。その後、半導体ウエハがダイシングされ、複数個の半導体装置1に分割される。
【0045】
図7Aは、この発明の第2の実施形態に係る半導体装置1Aの構成を説明するための図解的な断面図であり、図5Aと同様な切断面が示されている。図7Aにおいて、図1図6に示された各部の対応部分に同一の参照符号を付す。
この実施形態では、半導体基板3に代えて用いられる半導体基板80がSOI基板で構成されている。SOI基板80は、シリコン基板81の表面に絶縁層82が形成され、その絶縁層82の上にエピタキシャル成長させた半導体層83を有する基板である。その半導体層83の表層部の素子形成領域84にトランジスタその他の素子が形成されている。貫通ビア9は、SOI基板80のシリコン基板81、絶縁層82および半導体層83を貫通して形成されている。
【0046】
また、図7Bに示すように、この実施形態では、各貫通ビア9の近傍の局部領域が貫通ビア領域85とされている。すなわち、複数の貫通ビア9に対応して離散的に配置された複数の貫通ビア領域85が設定されている。これらの貫通ビア領域85以外の領域は、半導体基板80の表層部に素子が作り込まれる素子形成領域84である。つまり、この実施形態では、貫通ビア9が、素子形成領域84に取り囲まれている。これにより、半導体基板80のより多くの面積を素子形成領域84として使用することができるので、多数の素子を素子形成領域84に作り込んで複雑な機能を実現したり、素子形成領域84を小さくして半導体基板の小型化を図ったりすることができる。
【0047】
なお、貫通ビア領域の離散配置に関する特徴は、SOI基板を用いない、前述の第1の実施形態の構成にも適用可能である。また、SOI基板を用いたこの実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、素子形成領域の周囲に貫通ビア領域を配置することもできる。
図8は、この発明の第3の実施形態に係る半導体装置1Bの構成を説明するための図解的な断面図であり、図5Aと同様な切断面が示されている。図8において、図1図6に示された各部の対応部分に同一参照符号を付す。
【0048】
この実施形態では、半導体チップ2と同様な構成の複数の半導体チップ91〜93が、回路部品接続面10を同方向に向けて積層されている。最上部の半導体チップ93は、本発明における「第1半導体チップ」に相当する。半導体チップ92,93は、本発明における「第2半導体チップ」に相当する。また、半導体チップ93が本発明における「第2半導体チップ」である場合、半導体チップ92は、半導体チップ91,93間の電気的接続に寄与する電気的接続手段を構成する第3半導体チップであり得る。
【0049】
各半導体チップ91〜93には、それぞれの半導体基板3の表面3aおよび裏面3bに渡って(より詳細には当該半導体チップの表面および裏面に渡って)貫通する貫通ビア9が形成されている。図8の構成では、上下方向(半導体チップの積層方向)に隣接する一対の半導体チップの互いに対向する位置にそれぞれ貫通ビア9が形成されている。これにより、隣接する半導体チップ間を、貫通ビア9を介する最短経路で接続できる。ただし、各半導体チップ91〜93は、隣接する他の半導体チップの貫通ビア9に対応する位置に貫通ビア9を有していなくてもよく、隣接する他の半導体チップの貫通ビア9の対応位置以外に貫通ビア9を有していてもよい。また、上下方向に対向する貫通ビア9同士は電気的に接続されていてもよいし、電気的に接続されていなくてもよい。
【0050】
最下方の半導体チップ91の下面(裏面3b)には外部接続部材8が配置されている。
この半導体チップ91の回路部品接続面10に別の半導体チップ92が実装されている。さらに、この半導体チップ92の回路部品接続面10にさらに別の半導体チップ93が接続されている。この最上方の半導体チップ93の上面である回路部品接続面10に回路部品C1,C2,Lが実装されている。隣接する半導体チップ91,92,93間の接続は、半田等の導電性接合材37,38によって達成されている。導電性接合材37,38は、直上の半導体チップの貫通ビア9の底部または半導体基板3の裏面3bに接している。また、導電性接合材37,38は、直下の半導体チップの表面電極29,30または絶縁膜20に接している。
【0051】
このような構成により、複数の半導体チップ91〜93が積層され、かつ互いに電気的に接続されているので、高機能な半導体装置1Bを提供することができる。なお、積層される半導体チップの個数は2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
図9図13は、第1の実施形態の半導体装置1において、半導体チップ2の回路部品接続面に様々な種類の回路部品を実装した構成例を示す。これらの図面において、図1図6に示された各部の対応部分に同一参照符号を付す。
【0052】
図9の半導体装置1は、半導体チップ2の回路部品接続面10に実装されたキャパシタチップC、インダクタチップLおよび抵抗器チップRを有している。
図10の半導体装置1は、半導体チップ2の回路部品接続面10に実装された一対のキャパシタチップC1,C2と、水晶振動子チップCRとを有している。
図11の半導体装置1は、半導体チップ2の回路部品接続面10に実装された一対のキャパシタチップC1,C2と、MEMSチップMとを有している。MEMSチップMは、加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ等のセンサ類であってもよいし、インクジェットヘッド、デジタル・マイクロミラー・デバイス等のアクチュエータ類であってもよい。
【0053】
図12の半導体装置1は、半導体チップ2の回路部品接続面10に実装された一対のキャパシタチップC1,C2と、LSIチップ(ICチップ)ICとを含む。これにより、より複雑な機能の半導体装置を提供できる。
図13の半導体装置1は、半導体チップ2の回路部品接続面10に実装された一対のキャパシタチップC1,C2と、センサチップSとを含む。センサチップSは、たとえば、温度センサ、圧力センサ等であってもよい。
【0054】
図7A等に示された半導体装置1Aおよび図8に示された半導体装置1Bの回路部品接続面10に搭載される回路部品についても、同様な組み合わせが可能である。
以上、この発明の一実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、キャパシタチップ、インダクタチップ、ICチップ、抵抗器チップ、ダイオードチップ、発光ダイオード素子、センサ素子、MEMS素子等の回路部品は、ただ一つが回路部品接続面に実装されてもよいし、同種の複数個が回路部品接続面に実装されてもよい。また、任意の組み合わせで複数種類の回路部品が回路部品接続面に実装されてもよい。回路部品接続面に実装される回路部品の数は前述の実施形態の例に限られず、実装可能な任意の数の回路部品が回路部品接続面に実装されてもよい。
【0055】
また、図4には、素子形成領域4を取り囲むように環状の貫通ビア領域7が設けられている例を示したが、たとえば、素子形成領域が半導体基板3の長手方向に長く延びた帯状に形成され、その両側に一対の帯状の貫通ビア領域が設けられてもよい。また、帯状の素子形成領域の一方の側方領域にのみ貫通ビア領域が設けられてもよい。
また、前述の実施形態では、半導体基板の材料がシリコンである例を示したが、半導体基板を構成する半導体材料には、シリコン以外にも、SiC、GaNに代表される化合物半導体を適用してもよい。
【0056】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書および添付図面の記載から導き出される特徴の例を以下に記す。
1.半導体基板と、前記半導体基板の表面の素子形成領域に作り込まれた素子とを有する半導体チップと、前記半導体チップの前記半導体基板の表面と同じ側の表面である回路部品接続面に実装された回路部品と、前記半導体基板の前記裏面側に設けられた外部接続部材とを含む、半導体装置。
【0057】
この構成によれば、半導体基板の表面の素子形成領域に素子が形成されており、当該表面と同側の半導体チップの表面が回路部品接続面とされ、この回路部品接続面に回路部品が配置されている。それにより、半導体基板に形成された素子と回路部品との間の距離を短くすることができるので、それに応じて、それらの間の電気経路の抵抗を低くすることができる。その結果、電気経路における損失を低減できるので、高周波化を図ることができ、かつ耐ノイズ性を向上することができる。
【0058】
2.前記半導体チップが、前記半導体基板の前記素子形成領域を回避して当該半導体基板の表面と裏面との間を貫通し、前記表面および裏面の間に導電路を形成する貫通ビアをさらに有する。
この構成によれば、半導体装置と外部との接続は、半導体基板の裏面側に設けられた外部接続部材によって達成される。この外部接続部材は、半導体基板の表面および裏面の間の導電路を形成する貫通ビアを介して、半導体基板に形成された素子および回路部品を含む電気回路に接続することができる。貫通ビアは素子形成領域を回避して配置されるが、回路部品は貫通ビアの一部または全部と重なり合うように配置することもできる。
【0059】
3.第1半導体基板と、前記第1半導体基板の表面の素子形成領域に作り込まれた素子と、前記第1半導体基板の前記素子形成領域を回避して当該第1半導体基板の表面と裏面との間を貫通し、前記表面および裏面の間に導電路を形成する第1貫通ビアと、を有する第1半導体チップと、第2半導体基板と、前記第2半導体基板の表面の素子形成領域に作り込まれた素子と、前記第2半導体基板の前記素子形成領域を回避して当該第2半導体基板の表面と裏面との間を貫通し、前記表面および裏面の間に導電路を形成する第2貫通ビアと、を有する第2半導体チップと、前記第1半導体チップの前記第1半導体基板の表面と同じ側の表面である回路部品接続面に実装された回路部品と、前記第1半導体基板の裏面と前記第2半導体基板の表面との間で前記第1貫通ビアと前記第2貫通ビアとを電気的に接続する電気的接続手段と、前記第2半導体基板の前記裏面側に設けられた外部接続部材とを含む、半導体装置。
【0060】
4.前記電気的接続手段は、第1貫通ビアおよび第2貫通ビアの間を接合する導電性接合材を含む。
5.前記電気的接続手段は、第2半導体チップの表面に形成され、第2貫通ビアに接続された表面電極を含む。
6.前記電気的接続手段は、第1半導体チップおよび第2半導体チップの間に介装された第3半導体チップを含む。
【符号の説明】
【0061】
C1 キャパシタチップ(回路部品)
C2 キャパシタチップ(回路部品)
L インダクタチップ(回路部品)
R 抵抗器チップ
CR 水晶振動子チップ
M MEMSチップ
IC LSIチップ
S センサチップ
1 半導体装置
1A 半導体装置
1B 半導体装置
2 半導体チップ
3 半導体基板
3a 表面
3b 裏面
4 素子形成領域
6 多層配線層
6W 配線層
7 貫通ビア領域
8 外部接続部材
P1〜P5 外部接続端子
D1〜D4 ダミー端子
9 貫通ビア
10 回路部品接続面
11〜16 電極
19 空間
20 絶縁膜
21〜30 表面電極
31〜38 導電性接合材
41〜47 パッド
50 表面配線層
51,52 素子−貫通ビア間表面配線層
53 インダクタ−素子間表面配線層
54 キャパシタ−素子間表面配線層
55 インダクタ−キャパシタ間表面配線層
56 キャパシタ−キャパシタ間表面配線層
60 貫通孔
61 導体
62 側壁
63 絶縁膜
70 集積回路
71〜75 電気経路
80 半導体基板(SOI基板)
81 シリコン基板
82 絶縁層
83 半導体層
84 素子形成領域
85 貫通ビア領域
91〜93 半導体チップ
101〜104 素子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13