特許第6662980号(P6662980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6662980橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6662980
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20200227BHJP
   E01D 2/02 20060101ALI20200227BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20200227BHJP
   E01D 1/00 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   E01D21/00 Z
   E01D2/02
   E01D22/00 B
   E01D1/00 D
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-190810(P2018-190810)
(22)【出願日】2018年10月9日
(62)【分割の表示】特願2014-212328(P2014-212328)の分割
【原出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-49190(P2019-49190A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029012
【氏名又は名称】株式会社エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】木部 洋
(72)【発明者】
【氏名】中井 督介
(72)【発明者】
【氏名】松岡 勤
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−249665(JP,A)
【文献】 特開2014−070467(JP,A)
【文献】 特開平07−331618(JP,A)
【文献】 特開2014−059157(JP,A)
【文献】 特開2012−127053(JP,A)
【文献】 特開2001−262693(JP,A)
【文献】 実開平04−079109(JP,U)
【文献】 米国特許第06065257(US,A)
【文献】 米国特許第05425152(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
E04G 21/12
E04G 5/00−5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主桁が幅方向に並列し、幅方向に隣接する前記主桁間に空間が確保されている橋桁において、前記主桁の軸方向に沿い、前記主桁の断面外に架設される外ケーブルの端部を除く一部の区間にカプラーを介在させる方法であり、
前記外ケーブルを構成し、互いに連結されるべき一方のケーブル材と他方のケーブル材を前記主桁の幅方向に隣接する前記主桁間に配置し、前記一方のケーブル材と前記他方のケーブル材の内、少なくとも前記一方のケーブル材に、両ケーブル材を保持しながら、両ケーブル材に前記カプラーを接続するための、軸方向の片側にジャッキが設置された仮設のフレームを配置する工程と、
このフレームに前記一方のケーブル材を仮接続した状態で、この一方のケーブル材の端部に前記カプラーを仮接続すると共に、前記フレームの、前記他方のケーブル材の接続側に前記他方のケーブル材を仮接続する工程と、
前記フレームの前記他方のケーブル材側に設置されたジャッキを用いて前記他方のケーブル材に張力を付与し、前記他方のケーブル材を前記カプラーに接続する工程とを含み、
前記フレームは前記一方のケーブル材と前記他方のケーブル材との間に跨り、前記他方のケーブル材への張力の付与時にその張力の反力を引張力として負担する複数本のフレーム構成材と、このフレーム構成材の軸方向両側に固定され、各ケーブル材がそれぞれの張力の作用の向きに直接、もしくは間接的に係止し、各ケーブル材に導入される張力を受ける反力板と、前記フレーム構成材の前記他方のケーブル材の配置側に装着される前記ジャッキとを備え、
前記他方のケーブル材に張力を付与する工程において、前記ジャッキを前記他方のケーブル材側の前記反力板に係止させたまま、前記一方のケーブル材側へ伸長させることを特徴とする橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法。
【請求項2】
前記他方のケーブル材に張力を付与する工程において、前記ジャッキの伸長による前記他方のケーブル材の前記カプラーへの接続時に、前記他方のケーブル材に付与される張力を、前記ジャッキが係止している前記反力板と前記フレーム構成材を通じ、前記フレームの反対側の前記反力板に係止している前記一方のケーブル材に伝達することを特徴とする請求項1に記載の橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はI形断面やT形断面等の主桁の断面外に橋桁にプレストレスを導入するための外ケーブルを配置した場合に、外ケーブルの軸方向の中間部に一定の使用期間の経過後に交換可能なカプラーを接続する、橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
I形断面やT形断面等の主桁の断面外に主桁へのプレストレス導入のための外ケーブルを配置した場合、橋桁の使用状態での安全性を確保する上では、外ケーブルの使用状態が継続されたときにも外ケーブルに初期に与えられた張力が許容された範囲内の大きさを維持しているか、を定期的に、あるいは継続的に確認することが必要になる(特許文献1、2参照)。外ケーブルの張力の管理は外ケーブルの張力を直接、ロードセル等を用いて測定する方法が一般的である(特許文献1、2参照)。
【0003】
一方、外ケーブルは張力が主桁に上向きのプレストレスを与えるよう、主桁の軸方向に沿い、下に凸の多角形状に配置されることから、外ケーブルが主桁の断面外に架設される場合には、外ケーブルの端部は幅方向に隣接する主桁間に挟まれた空間に配置されなければならないことがある(特許文献3参照)。このような場合に、例えば外ケーブルの端部位置の隣接する主桁間に、外ケーブルに張力を導入するためのジャッキ、またはジャッキを支持する受け台を設置できるだけの十分な幅を確保することができない場合には、外ケーブルへの張力導入作業が困難になる。
【0004】
特許文献3では隣接する主桁間に外ケーブルの端部を定着するための構造体としての上部材を構築し、この上部材内に外ケーブルの端部を埋設し、定着させているため(図1)、外ケーブルへの張力導入作業は外ケーブルの延長線上の空間を利用して行われることになる。但し、緊張作業の遂行には主桁の下部のフランジを越えたウェブ間の空間にまでジャッキと受け台を搬入する必要が生じるため、上記した理由から緊張作業が行えない可能性がある。
【0005】
また特許文献3では外ケーブルの端部が上部材中に埋設されていることから、外ケーブルを一旦、架設し、上部材に定着した後には上部材を解体しない限り、外ケーブルの端部を露出させることができないため、ロードセルの交換時期が到来したときにも、外ケーブルの端部に新たなロードセルを設置することができない状態にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−207230号公報(段落0026〜0028、図1図5
【特許文献2】特開2012−117215号公報(段落0030〜0053、図1図7
【特許文献3】特開2014−70467号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2は外ケーブルの端部が定着される桁端部、または主塔等の構造体にロードセル等を設置する方法であるから、特許文献3のような状況下の主桁に適用された場合には、外ケーブルの架設時に外ケーブルの端部を隣接する主桁間に配置し、特許文献3における上部材に相当する部分に定着させることは可能であると考えられる。
【0008】
しかしながら、特許文献3における上部材が不在の状態で外ケーブルの端部を隣接する主桁間に配置することができるとしても、前記のように隣接する主桁間にジャッキとそれを支持するための受け台を設置することができなければ、ロードセル交換後の外ケーブルの再緊張作業をするための場所を確保することができないため、結局、ロードセルの交換が行えないことになる。
【0009】
詳しく言えば、外ケーブルの端部は張力が与えられた外ケーブルが描く多角形状の最も上方に位置することで、端部の定着部は隣接する主桁間の上方寄りに配置されるため、例えば桁がI形断面の場合、ウェブの区間に定着部が配置されることになる。この関係で、定着部を隣接する主桁のウェブ間に配置することができるとしても、定着部の周囲に外ケーブルに張力を付与するジャッキと受け台を下部のフランジを通じて設置することができない状況になる可能性が高い。
【0010】
また特許文献1、2のように外ケーブル端部の定着部にロードセルを設置した場合に、特許文献3のように外ケーブルの定着部が構造体に埋設された状態で定着される場合には、前記のようにロードセルの交換が困難な状態になる。加えて、定着部の表面と構造体(コンクリート)との間に摩擦力が生じるため、ロードセルが歪みゲージのように定着部の表面の歪みを検出する形式の場合、外ケーブル自体の緊張力を正確に表示することができない状況になる。
【0011】
特許文献1ではロードセルとしての歪みゲージがケーブルの定着部を定着具に定着するナットに設置されているため、定着部全体が構造体中に埋設される場合に直面する摩擦力検出の問題は生じない。ロードセルが特許文献2のようにケーブルが挿通するスリーブと定着具(ソケット)との間で圧縮力を負担した状態に置かれる油圧シリンダから構成される場合には、摩擦力の影響がロードセルの数値に影響することはないが、歪みゲージである場合には、構造体に接触した状態になるロードセル(歪みゲージ)が摩擦力を検出するため、ケーブルの緊張力を正確に表示することができないことが想定される。
【0012】
本発明は上記背景より、ロードセルとしての歪みゲージを外ケーブルの表面に設置した場合に直面する交換不能の問題と摩擦力を検出する問題を解消させる方法として、カプラーの接続方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明の橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法は、主桁が幅方向に並列し、幅方向に隣接する前記主桁間に空間が確保されている橋桁において、前記主桁の軸方向に沿い、前記主桁の断面外に架設される外ケーブルの端部を除く一部の区間にカプラーを介在させる方法であり、
前記外ケーブルを構成し、互いに連結されるべき一方のケーブル材と他方のケーブル材を前記主桁の幅方向に隣接する前記主桁間に配置し、前記一方のケーブル材と前記他方のケーブル材の内、少なくとも前記一方のケーブル材に、両ケーブル材を保持しながら、両ケーブル材に前記カプラーを接続するための、軸方向の片側にジャッキが設置された仮設のフレームを配置する工程と、
このフレームに前記一方のケーブル材を仮接続した状態で、この一方のケーブル材の端部に前記カプラーを仮接続すると共に、前記フレームの、前記他方のケーブル材の接続側に前記他方のケーブル材を仮接続する工程と、
前記フレームの前記他方のケーブル材側に設置されたジャッキを用いて前記他方のケーブル材に張力を付与し、前記他方のケーブル材を前記カプラーに接続する工程とを含み、
前記フレームは前記一方のケーブル材と前記他方のケーブル材との間に跨り、前記他方のケーブル材への張力の付与時にその張力の反力を引張力として負担する複数本のフレーム構成材と、このフレーム構成材の軸方向両側に固定され、各ケーブル材がそれぞれの張力の作用の向きに直接、もしくは間接的に係止し、各ケーブル材に導入される張力を受ける反力板と、前記フレーム構成材の前記他方のケーブル材の配置側に装着される前記ジャッキとを備え、
前記他方のケーブル材に張力を付与する工程において、前記ジャッキを前記他方のケーブル材側の前記反力板に係止させたまま、前記一方のケーブル材側へ伸長させることを構成要件とする。
請求項2に記載の発明の橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法は、請求項1に記載の方法の前記他方のケーブル材に張力を付与する工程において、前記ジャッキの伸長による前記他方のケーブル材の前記カプラーへの接続時に、前記他方のケーブル材に付与される張力を、前記ジャッキが係止している前記反力板と前記フレーム構成材を通じ、前記フレームの反対側の前記反力板に係止している前記一方のケーブル材に伝達することを構成要件とする。
【0014】
「外ケーブルの端部を除く一部の区間」は外ケーブル1が主桁10に定着される端部の定着部を除く区間を指す。外ケーブル1は端部(定着部)を除く一部区間において、互いに分離している一方のケーブル材2と他方のケーブル材3がカプラー4を介して連結されることで、外ケーブル1として一本化するが、カプラー4による連結時の両ケーブル材2、3への張力導入に伴い、図1に二点鎖線で示すように下に凸の多角形等を描く外ケーブル1のサグは小さくなり、カプラー4とそれによる連結のための、ジャッキ55を内蔵した仮設のフレーム5は上昇し、図3に示すように隣接する主桁10、10間に納まろうとする。
【0015】
この関係で、「端部を除く一部の区間」は互いにカプラー4で連結されるべき一方のケーブル材2と他方のケーブル材3を接続するためのフレーム5が橋桁11を構成する隣接する主桁10、10間の空間に納まることができる区間であれば、端部以外のいずれの区間であるかは問われない。
【0016】
但し、ケーブル材2、3への張力導入に伴うカプラー4の上昇時には、図1に示すように多角形等の最下点、または最下点を含む区間が主桁10に対して最も下方に位置することで、カプラー4とフレーム5が隣接する主桁10、10間の空間に納まらなくてもよい(主桁より下方に位置する)場合もあり得る。このことから、隣接する主桁10、10間距離がフレーム5の幅より小さく、フレーム5が主桁10、10間に挟まれた領域に納まらない場合にも、カプラー4等が主桁10、10間の中間に配置可能であることがあり得るため、多角形等の最下点を含む区間が「端部を除く一部の区間」であることが有利である。外ケーブル1は図1に示すようにケーブル材2、3への張力導入に伴い、主桁10の外周部に突設される偏向具12に接触することで、多角形状に架設される。
【0017】
前記のジャッキ55を装着したフレーム5は「外ケーブルの端部を除く一部の区間」に、一方のケーブル材2と他方のケーブル材3間に跨って配置される。図1における両ケーブル材2、3の連結部分の拡大図である図2−(a)に示すようにフレーム5の軸方向の片側にはその側に配置される(他方の)ケーブル材3に直接、張力を付与するジャッキ55が設置(内蔵)される。
【0018】
一方のケーブル材2はフレーム5の軸方向の一方側に仮接続(保持)され、そのケーブル材2の他方のケーブル材3側の端部にカプラー4が仮接続される。フレーム5の軸方向の他方側には他方のケーブル材3が仮接続(保持)される。一方のケーブル材2と他方のケーブル材3のフレーム5への仮接続時に、両ケーブル材2、3はフレーム5に保持される。
【0019】
フレーム5は一方のケーブル材2と他方のケーブル材3間に跨りながら、両ケーブル材2、3を保持することで、両ケーブル材2、3の軸線(軸心)を合致させた状態で、両ケーブル材2、3をカプラー4に連結させる役目を果たす。一方のケーブル材2と他方のケーブル材3がそれぞれカプラー4に接続されることで、両ケーブル材2、3が互いに連結されるが、各ケーブル材2、3は軸方向の端部の区間に雄ねじが形成されることによりカプラー4に螺合し、接続される。雄ねじはケーブル材2、3の端部の区間に圧着等の手段により一体化したスリーブの外周に形成される。
【0020】
請求項1における「少なくとも一方ケーブル材にフレームを配置する」とは、前記多角形状の上方に位置する一方の端部が主桁10に直接、もしくは間接的に定着されているケーブル材2、3の内、少なくともいずれか一方のケーブル材2(3)の他方の端部にフレーム5が配置され、フレーム5は両ケーブル材2、3間に跨って配置される場合もあることの意味である。一方のケーブル材2と他方のケーブル材3に構成上の差異はないが、予めカプラー4が接続される側のケーブル材が一方のケーブル材2であり、フレーム5内のジャッキ55が設置されている側の、カプラー4に後から接続される側のケーブル材が他方のケーブル材3である。
【0021】
フレーム5は少なくともカプラー4が接続される側のケーブル材(一方のケーブル材2)の端部に配置され、その配置時にその側のケーブル材(一方のケーブル材2)はフレーム5の軸方向の一方側に仮接続され、保持される。フレーム5が両側のケーブル材2、3間に跨った状態で配置される場合には、各ケーブル材2、3がフレーム5の軸方向両側にそれぞれ仮接続され、保持される。
【0022】
フレーム5は両ケーブル材2、3を保持し、互いに連結させる機能を果たす上で、軸方向がケーブル材2、3の軸線方向を向く多角柱状の稜線の位置に配置される複数本のフレーム構成材51を基本的な構成要素として持つ。両ケーブル材2、3の軸線を合致させることは、一方のケーブル材2に仮接続されているカプラー4をその軸回りの回転により一方のケーブル材2に接続したまま、他方のケーブル材3に接続し、両ケーブル材2、3に跨った状態に移行させる意味がある。
【0023】
図2−(a)に示すようにフレーム5の軸方向の一方側である、ジャッキ55の設置側の反対側に一方のケーブル材2が仮接続された状態でフレーム5に保持され、そのケーブル材2のジャッキ55側にカプラー4が仮接続される。フレーム5へのケーブル材2、3の保持方法は問われないが、ケーブル材2、3は例えばフレーム5に接合される反力負担用の板(反力板52、53)に張力が作用する向きに係止した状態で、その板等にボルトや結束等の手段により保持される。フレーム構成材51はジャッキ55が他方のケーブル材3に張力を導入するときの反力を軸方向引張力として負担し、ジャッキ55による両ケーブル材2、3への張力導入を可能にする役目を持つ。
【0024】
フレーム5への一方のケーブル材2の仮接続と、そのケーブル材2へのカプラー4の仮接続と共に、フレーム5の軸方向の他方側である他方のケーブル材3の接続側に他方のケーブル材3が仮接続され、保持される。他方のケーブル材3のフレーム5への仮接続(保持)により、他方のケーブル材3の軸線が一方のケーブル材2の軸線に暫定的に合致させられる。
【0025】
ジャッキ55の伸長による他方のケーブル材3への張力導入時には、張力の反力がジャッキ55側の反力板53とフレーム構成材51、及び一方のケーブル材2側の反力板52を通じて一方のケーブル材2に引張力として伝達されるため、ジャッキ55による他方のケーブル材3への張力導入と同時に一方のケーブル材2へも張力が導入され、両ケーブル材2、3に均等に張力が付与されることになる。
【0026】
少なくとも一方のケーブル材2にフレーム5を配置すると共に、フレーム5に一方のケーブル材2を保持させた後、もしくはその前に、または保持させる作業と並行して他方のケーブル材3の接続側に他方のケーブル材3をフレーム5に仮接続し、保持させることが行われる。他方のケーブル材3もフレーム5の反力板53に張力が作用する向きに係止した状態でフレーム5に保持される。このとき、他方のケーブル材3はジャッキ55側からフレーム5を軸方向に挿通した形になり、軸線が一方のケーブル材2の軸線に合致させられ、端面が一方のケーブル材2の端面との間に距離を置き、対向した状態で保持される。
【0027】
図2−(a)、(b)ではフレーム5に軸方向の両側から一方のケーブル材2と他方のケーブル材3が挿通し、保持された状態になっている。但し、フレーム5は両ケーブル材2、3間に跨設されているカプラー4の交換時にも使用されるため、図3に示すように反力板52、53を含むフレーム5が架設状態にある両ケーブル材2、3に下方側から差し込まれ、相対的に両ケーブル材2、3がフレーム5に上方から落とし込まれることにより両ケーブル材2、3が軸方向に挿通する形になっている。
【0028】
少なくとも一方のケーブル材2にフレーム5を配置する工程と、一方のケーブル材2にカプラー4を仮接続すると共に、フレーム5に他方のケーブル材3を仮接続する工程は独立することもあるが、上記のように各工程が同時に、もしくは並行して、または相前後して行われることもある。一方のケーブル材2にフレーム5を配置し、両ケーブル材2、3を連結する際には、各ケーブル材2、3の連結側の反対側の端部は図1に示すように例えば隣接する主桁10、10間に設置、もしくは構築されて両主桁10、10に一体化した被定着体10a(特許文献3の上部材に相当)に定着されている。
【0029】
図4−(d)に示すようにフレーム5の軸方向両側から両ケーブル材2、3が仮接続された後には、(e)に示すようにフレーム5の他方のケーブル材3側に設置されているジャッキ55に他方のケーブル材3を保持させた状態で、図5−(a)に示すようにジャッキ55を伸長させることで、他方のケーブル材3を伸長させ、一方のケーブル材2に接続されているカプラー4に接近させ、カプラー4に接続することが行われる。ジャッキ55の伸長による他方のケーブル材3の伸長は前記のように両ケーブル材2、3間に跨るフレーム5を介し、対になる一方のケーブル材2に反力を負担させる形で行われる。
【0030】
ジャッキ55の伸長による他方のケーブル材3への張力の付与時には、前記のように他方のケーブル材3に付与される張力が、ジャッキ55が係止している反力板53とフレーム構成材51を通じ、フレーム5の反対側の反力板52に係止している一方のケーブル材2に伝達され、一方のケーブル材2が負担することになるため、他方のケーブル材3に張力を付与することは一方のケーブル材2にも張力を付与することであり、両ケーブル材2、3に均等に張力を付与することでもある。
【0031】
他方のケーブル材3の伸長により他方のケーブル材3は一方のケーブル材2に接続されているカプラー4に挿通させられ、端部の雄ねじの区間がカプラー4に螺合することによりカプラー4に接続される。他方のケーブル材3はカプラー4の軸回りの回転により、または他方のケーブル材3に端部に螺合しているナット等(接続リング3d)が回転し、カプラー4に螺合することによりカプラー4に接続される。
【0032】
ここで、他方のケーブル材3の端部に、例えば図8図10図11に示すようにカプラー4の雌ねじが切られた、他方のケーブル材3側の挿通孔4aに内接し得る丸ナット3cと、カプラー4の挿通孔4aに螺合する接続リング3dをカプラー4側から直列に接続しておくことで、他方のケーブル材3をカプラー4に接続する工程において、丸ナット3cを他方のケーブル材3のカプラー4へ誘導させるための案内材として使用し、接続リング3dをカプラー4の挿通孔4aに容易に螺合させることが可能になる。
【0033】
具体的には、例えば丸ナット3cの外径をカプラー4の挿通孔4aの雌ねじの内径に揃え(ほぼ等しくし)、雌ねじの山に内接可能にすると共に、接続リング3dの雄ねじの外径を、カプラー4の挿通孔4aの雌ねじの谷の径に揃えておく(ほぼ等しくする)ことで、ジャッキ55による他方のケーブル材3の伸長時に丸ナット3cをカプラー4の挿通孔4aに内接させることができれば、そのまま他方のケーブル材3の伸長を継続するだけで、挿通孔4aに接続リング3dを内接させ、螺合させることができるため、丸ナット3cに接続リング3dの案内材としての役割を果たせることが可能になる。丸ナット3cがカプラー4の挿通孔4aに内接することは、他方のケーブル材3の軸心をカプラー4の軸心に完全に合致させ、接続リング3dをカプラー4の挿通孔4aに対して位置決めする意味がある。
【0034】
他方のケーブル材3は図4−(d)〜図5−(a)に示すようにフレーム5のジャッキ55内(複数本のジャッキ55間)に挿通させられた後、フレーム5を介して一方のケーブル2に反力を取るジャッキ55の伸長によりカプラー4側へ押し出されることにより張力が付与される。他方のケーブル材3への張力の付与により対向する両ケーブル材2、3の端面間距離が小さくなり、図1に示すように両ケーブル材2、3が主桁10の側面に描く多角形のサグが小さくなるため、カプラー4は主桁10を側面で見たときに主桁10の下面から突出した状態から、ケーブル材2、3に付与される張力の程度に応じ、主桁10の側面に重なり、更には図3に示すように隣接する主桁10、10間の空間に収納されていく。図3−(a)、(b)はカプラー4とフレーム5が最終的に隣接する主桁10、10間に納まった状態を示している。
【0035】
フレーム5は後述のようにカプラー4に接続される両ケーブル材2、3への必要な張力の付与後に回収され、対向する両ケーブル材2、3間にはカプラー4が接続した状態で外ケーブル1の使用状態になる。従って仮にカプラー4が最終的に隣接する主桁10、10間の空間に入り込む状況に至る場合にも、カプラー4の接続位置が外ケーブル1の端部を除く一部の区間であることで、カプラー4が主桁10に定着されることはないため、ケーブル材2、3の定着部側の端部のように主桁10、10間に構築、もしくは設置される被定着体10a内に埋設されることはなく、カプラー4の表面(周面)が主桁10や被定着体10a等のコンクリート等に接触することはない。
【0036】
カプラー4は両ケーブル材2、3に跨り、両ケーブル材2、3から張力を受けることで、軸方向引張力を負担した状態に置かれ、引張力の程度に応じた伸び変形を生じるが、外周等に歪みゲージが設置(貼着)されている場合には、歪みゲージが伸び変形量に応じた歪み量を生じ、歪み量に応じた電圧を発生するため、出力電圧の大きさの変動からケーブル材2、3の張力の変化を把握することが可能になる。ここで、前記のようにカプラー4の外周面は主桁10等のコンクリート等に接触しない状態に置かれていることで、歪みゲージが摩擦力を検出することがないため、外ケーブル1の張力を正確に表示することが可能になる。
【0037】
またカプラー4が外ケーブル1の端部を除く区間に配置されることで、外ケーブル1が描く多角形の最下点を含む区間か、その付近にカプラー4を配置することができる結果、最終的(外ケーブル1への張力導入後)にカプラー4が隣接する主桁10、10間に配置されるとしても、図3−(b)に示すように例えばI形断面の主桁10の下端部寄りの下部のフランジ間には納められるため、下部のフランジ間にジャッキ55を含むフレーム5を設置することができればよい。併せてカプラー4は特許文献3のように隣接する主桁間の上部材内に埋設されることがないため、カプラー4の交換のためにカプラー4周辺の構造体を解体する必要は生じない。
【0038】
外ケーブル1に張力を付与するためのジャッキ55(フレーム5)を下部のフランジ間のカプラー4の周囲に設置することができれば、下部のフランジ間の下には幅に制約のない空間が形成されているため、ジャッキ55(フレーム5)の下に図12に示す受け台6を設置することが可能であり、従来のようにカプラー4の周囲にジャッキ55と受け台6を設置することができない状況は回避される。
【0039】
図5−(b)に示すように他方のケーブル材3のカプラー4側の先端がカプラー4の端部に到達した時点で、(c)に示すようにカプラー4が軸回りの回転により他方のケーブル材3側へ移動させられ、他方のケーブル材3がカプラー4に接続される。前記のように他方のケーブル材3の端部に丸ナット3cと接続リング3dをカプラー4側から直列に接続しておく場合には、(c)に示すように他方のケーブル材3に端部に接続されている丸ナット3cがカプラー4の挿通孔4a内に挿通させられる。
【0040】
この場合、丸ナット3cの挿通孔4a内への挿通により、前記のように他方のケーブル材3の軸線と一方のケーブル材2の軸線が完全に合致し、他方のケーブル材3のカプラー4に対する位置決めがされる。このとき、丸ナット3cに続く接続リング3dが挿通孔4aに内接可能な状態になるため、そのまま(d)に示すように接続リング3dを軸回りに回転させることで、カプラー4の挿通孔4aの雌ねじに螺合させることができ、他方のケーブル材3をカプラー4に接続し、両ケーブル材2、3を互いに連結した状態にすることが可能になる。同時に、カプラー4の両ケーブル材2、3に対する軸方向の位置が定まる。カプラー4の他方のケーブル材3への移動時、一方のケーブル材2はフレーム5に緊結され、フレーム5に対して軸方向に移動しない状態に保持される。
【0041】
接続リング3dのカプラー4への螺合により他方のケーブル材3のカプラー4への接続が終了し、外ケーブル1の端部を除く一部の区間にカプラー4を介在させる作業が終了する。フレーム5は両ケーブル材2、3をカプラー4に接続することの役目を終えるため、図5−(e)に示すように両ケーブル材2、3から分離させられ、回収される。他方のケーブル材3のカプラー4への接続後、カプラー4の軸方向両側に両ケーブル材2、3のカプラー4からの抜け出しを防止するために、反力ナット2a、3aがカプラー4に緊結される。
【0042】
設置状態にある、回収期限の到来したカプラー4を交換するときには、分離している両ケーブル材2、3間にカプラー4と共にフレーム5を設置し、フレーム5に両ケーブル材2、3の張力を負担させた状態で、両ケーブル材2、3をカプラー4に接続する作業と逆の作業をすることによりカプラー4の交換が行われる。
【0043】
フレーム5は具体的には一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間に跨り、他方のケーブル材3への張力の付与時にその張力の反力を引張力として負担する、前記した複数本のフレーム構成材51と、フレーム構成材51の軸方向両側に固定され、各ケーブル材2、3がそれぞれの張力の作用の向きに直接、もしくは間接的に係止し、各ケーブル材2、3に導入される張力を受ける反力板52、53と、フレーム構成材51の軸方向のいずれかのケーブル材3の配置側に装着される前記のジャッキ55と、ジャッキ55を軸方向に挟み、反力板53と対になり、その側に配置されたケーブル材3への張力導入時にそのケーブル材3に係止する緊張板54を基本的な構成要素として備える。
【0044】
一方のケーブル材2と他方のケーブル材3は図2−(a)に示すようにフレーム5の軸方向両側からそれぞれの側の反力板52、53を挿通し、(b)に示すように両ケーブル材2、3の端部間に跨るカプラー4によって互いに連結される。ジャッキ55は他方のケーブル材3の周囲に配置され、反力板53においてフレーム構成材51に軸方向の外側へ係止し、緊張板54において他方のケーブル材3に軸方向の内側へ係止する。緊張板54には他方のケーブル材3の端部がフレーム5の軸方向外側へ係止し、ジャッキ55は反力板53に反力を取りながら、緊張板54を一方のケーブル材2側へ押し出すことにより他方のケーブル材3に張力を付与する。
【0045】
上記の「ケーブル材2、3が反力板52、53に間接的に係止する」とは、ケーブル材2、3のカプラー4による連結側の端部と各ケーブル材2、3側の反力板52、53との間にケーブル材2、3以外の他の要素が介在することを言う。図2等に示す例では一方のケーブル材2がその側の反力板52に直接、係止しているが、他方のケーブル材3はジャッキ55を介して間接的に反力板53に係止している。図2等では一方のケーブル材2の端部がその回りに装着される場合の支圧リング2bにおいて反力板52に係止しているが、ケーブル材2は反力板52に直接、係止している状態にある。
【0046】
ジャッキ55の伸長時には他方のケーブル材3側に固定された反力板53と緊張板54との間の距離が拡大することで、他方のケーブル材3に張力が付与され、前記のようにジャッキ55からの反力が一方のケーブル材2に伝達されることで、一方のケーブル材2にも張力が付与され、両ケーブル材2、3に均等に張力が付与される。
【0047】
ジャッキ55の後方側であるフレーム5の軸方向外側寄りに位置する反力板53が受けたジャッキ55の緊張力の反力はフレーム構成材51を通じて一方のケーブル材2側の反力板52に伝達され、その反力板52が一方のケーブル材2を他方のケーブル材3側へ引き寄せる結果、一方のケーブル材2に他方のケーブル材3に付与される張力と同一の張力が付与される。結局、ジャッキ55は一方のケーブル材2に反力を取りながら、他方のケーブル材3に張力を付与することで両ケーブル材2、3に張力を付与する。
【0048】
以上のように請求項1では直接には他方のケーブル材3に張力を付与する結果として両ケーブル材2、3に均等に張力を付与するジャッキ55がフレーム5に内蔵されているため、フレーム5内で両ケーブル材2、3に張力を付与した状態で両ケーブル材2、3間にカプラー4を跨設することができる。この結果、フレーム5がその幅方向に例えば隣接する主桁10、10間の空間、例えば主桁10の下部のフランジ間に納まることができれば、分離しているケーブル材2、3に張力を付与しながら両ケーブル材2、3間にカプラー4を設置する作業と、回収期限の到来したカプラー4を交換する作業を遂行することが可能である。
【発明の効果】
【0049】
カプラーを外ケーブルの端部を除く区間に配置することで、外ケーブルが描く多角形の最下点を含む区間か、その付近にカプラーを配置することができるため、外ケーブルへの張力導入後にカプラーが隣接する主桁間に配置されることになった場合にも、主桁の下端部寄りの例えば下部のフランジ間等にカプラーを納めることができる。従って下部のフランジ間等には外ケーブルに張力を付与するためのジャッキを装着したフレームを設置することができればよく、主桁より下方であるフレームの下には幅に制約のない空間が確保されるため、フレームの下にジャッキ(フレーム)を支持する受け台を設置することができ、カプラーの周囲にジャッキ(フレーム)と受け台を設置することができない状況を回避することができる。
【0050】
またカプラーの接続位置が外ケーブルの端部を除く一部の区間であることから、カプラーが主桁に定着されることがなく、カプラーの表面(周面)が主桁や被定着体等のコンクリート等に接触することがないため、カプラーの外周面等に設置された場合の歪みゲージが摩擦力を検出することがなく、外ケーブルの張力を正確に表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】外ケーブルの端部を除く中間部において分離したケーブル材間にカプラーを接続するためのフレームを設置した様子を示した立面図である。
図2】(a)は図1のフレーム部分の一部拡大図であり、対向するケーブル材の内、一方のケーブル材にカプラーを接続したときの様子を示した立面図、(b)は(a)のカプラーを他方のケーブル材側へ移動させ、他方のケーブル材に接続したときの様子を示した立面図である。
図3】(a)は図2−(a)のx−x線断面図、(b)はy−y線断面図、(c)はフレームに装着されたジャッキの一部を構成し、他方のケーブル材の端部に係止し、他方のケーブル材に張力を付与するための緊張板を示した端面図、(d)はジャッキの一部を構成し、ジャッキ本体部を緊張板と共に一方のケーブル材側へ移動させるための固定板を示した端面図、(e)は他方のケーブル材に張力を付与するときのジャッキの反力をフレームに伝達するための反力板を示した端面図、(f)はカプラーによる一方のケーブル材への他方のケーブル材の接続時に一方のケーブル材の反力をフレームに伝達するための反力板を示した端面図である。
図4】(a)〜(e)はフレームへの一方のケーブル材の接続から、他方のケーブル材の接続までの手順を示した立面図である。
図5】(a)〜(f)は一方のケーブル材に接続されたカプラー側への他方のケーブル材の接続から、カプラーによる両ケーブル材の連結と仕上げまでの手順を示した立面図である。
図6】(a)〜(e)はカプラー交換時の図5−(f)の状態から、他方のケーブル材の伸長までの手順を示した立面図である。
図7】(a)〜(e)はカプラーの一方のケーブル材側への移動から、一方のケーブル材への新規のカプラーの接続の準備までの手順を示した立面図である。
図8図5−(e)の詳細を示した一部断面立面図である。
図9】(a)は図8に示すカプラーを示した軸を通る断面図、(b)は(a)のx−x線の矢視図である。
図10】(a)は図8に示す丸ナットを示した軸を通る断面図、(b)は(a)のy−y線の矢視図である。
図11】(a)は図8に示す接続リングを示した軸を通る断面図、(b)は(a)のz−z線の矢視図である。
図12】(a)はカプラーの交換時のフレームを受け台に支持させたときの様子を示した立面図、(b)は(a)のx−x線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1図3−(a)、(b)に示すように主桁10、10が幅方向に並列する橋桁11において、主桁10の軸方向に沿い、主桁10の断面外に架設される外ケーブル1の端部を除く一部の区間にカプラー4を介在させる方法の要領を示す。カプラー4は歪みゲージ付きの場合もあるが、図面ではカプラー4の外周面、もしくは内周面に貼着される歪みゲージは省略されている。
【0053】
外ケーブル1は互いに連結されるべき一方のケーブル材2と他方のケーブル材3から構成され、「外ケーブル1にカプラー4を介在させる」とは、図2−(b)に示すように一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間にカプラー4を跨った状態で設置することを言う。一方のケーブル材2と他方のケーブル材3に構成上の差異はないが、予めカプラー4が接続される側のケーブル材が一方のケーブル材2であり、そのカプラー4に後から接続される側のケーブル材が他方のケーブル材3である。
【0054】
外ケーブル1の端部(定着部)を除く区間である軸方向の中間部にカプラー4を介在させることは、一方のケーブル材2に、または一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間に跨って仮設のフレーム5を配置する工程と、フレーム5に一方のケーブル材2を仮接続し、保持させたまま、一方のケーブル材2にカプラー4を接続すると共に、フレーム5に他方のケーブル材3を仮接続し、保持させる工程と、他方のケーブル材3に張力を付与し、他方のケーブル材3をカプラー4に接続する工程を経ることにより行われる。
【0055】
フレーム5は図2−(a)に示すように一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間に跨り、他方のケーブル材3への張力の付与時にその反力を負担する複数本のフレーム構成材51と、フレーム構成材51の軸方向両側に固定され、各ケーブル材2、3がそれぞれの張力の作用の向きに係止し、各ケーブル材2、3に導入される張力を受ける反力板52、53と、フレーム構成材51の他方のケーブル材3の配置側に装着され、他方のケーブル材3に張力を付与するジャッキ55から基本的に構成される。
【0056】
ジャッキ55の一方のケーブル材2側には、ジャッキ55を軸方向に挟んで反力板53と対になり、他方のケーブル材3が張力の作用の向きに直接、係止する緊張板54が配置される。ジャッキ55の伸長時の他方のケーブル材3への張力導入時には緊張板54からジャッキ55の軸力が付与される。図2−(a)ではフレーム5の下側のフレーム構成材51に図12に示す、フレーム5を支持するための受け台6への固定のための固定具57が接合されている様子を示している。
【0057】
複数本のフレーム構成材51はその軸方向両側に配置される反力板52、53を挿通して両反力板52、53にナット等により接合されることによりフレーム5として枠体の形態を維持する。図3−(e)、(f)に示すように反力板52、53の、フレーム構成材51の挿通位置には挿通孔5aが形成される。
【0058】
一方のケーブル材2側の反力板52と他方のケーブル材3側の反力板53の中心部を通る位置にはそれぞれ一方のケーブル材2と他方のケーブル材3が挿通する挿通孔5bが形成され、両ケーブル材2、3は各挿通孔5bを挿通してフレーム5内で対向する。挿通孔5bは図3−(e)、(f)に示すように架設状態にあるケーブル材2、3に対し、フレーム5が下方側から両ケーブル材2、3間に跨って設置可能なように、すなわち下方から上昇させられるフレーム5の挿通孔5b内にケーブル材2、3が差し込まれるよう、上方が開放した形状に形成されている。
【0059】
フレーム5の他方のケーブル材3側には図2に示すようにジャッキ55の伸長時にそのケーブル材3に伸長側に係止し、ケーブル材3に張力を付与するための緊張板54が複数本のフレーム構成材51に内接した状態で配置される。ジャッキ55の本体部55aを挟んで緊張板54と対になる位置には、ジャッキ55の本体部55aに一体的に接合され、ジャッキ55の本体部55aが反力板53側に係止する固定板56がフレーム構成材51に内接した状態で配置される。図3−(c)、(d)に示すように緊張板54と固定板56にも他方のケーブル材3が挿通するための上方が開放した挿通孔5bが形成され、固定板56にはジャッキ55の、本体部55aに対して軸方向に伸縮する軸部55bが挿通するための挿通孔5cが形成される。
【0060】
一方のケーブル材2と他方のケーブル材3の端部がそれぞれ張力作用の向きに係止する反力板52と緊張板54のフレーム5の軸方向内側寄りの端面には図3−(f)、(c)に示すようにケーブル材2、3の端部に螺合した反力ナット2a、3a、または反力ナット2a、3aに係止した状態でケーブル材2、3に装着される支圧リング2b、3bの軸方向の端面が納まり、ケーブル材2、3を係止状態で安定させる溝5dが形成されている。他方のケーブル材3側の反力板53のジャッキ55側には図3−(e)に示すようにジャッキ55の軸部55bの端面が納まり、ジャッキ55を安定させる溝5eが形成されている。図2に示すようにケーブル材2、3の端部には雄ねじの切られたスリーブが一体化しており、以下、ケーブル材2、3の端部とは、主にこのスリーブを指す。
【0061】
反力板52と緊張板54の各溝5dには反力ナット2a、3aを納めることも可能であるが、図面では溝5dの加工の便宜から、または反力ナット2a、3aの軸回りの回転を生じさせ易くするために、反力ナット2a、3aの反力板52と緊張板54側に円柱断面形の支圧リング2b、3bを配置し、支圧リング2b、3bを溝5d内に納めている。支圧リング2b、3bはケーブル材2、3の端部が軸方向に自由に挿通可能な挿通孔を持ち、反力板52と緊張板54の溝5dに納まった状態は、反力ナット2a、3aがケーブル材2、3の端部に螺合し、ケーブル材2、3の張力が反力ナット2a、3aから反力板52と緊張板54に作用することにより維持される。
【0062】
一方のケーブル材2はその側の反力板52の挿通孔5bを挿通し、反力ナット2a、もしくは図2に示すように支圧リング2bにおいて反力板52の溝5dに納まった状態で、ケーブル材2の端部においてフレーム構成材51、または反力板52に保持される。ケーブル材2のフレーム5への保持方法は問われないが、図面では反力板52の、フレーム5の軸方向外側に固定されたL形断面の保持具521にUボルト522で拘束している。ケーブル材2のフレーム5への保持とは、ケーブル材2が軸方向以外の方向(径方向)に移動しない程度にフレーム5に拘束されていればよいことを言う。
【0063】
一方のケーブル材2の端部の、フレーム5の軸方向内側寄りの部分には他方のケーブル材3との連結のためのカプラー4が予め接続される。この状態では一方のケーブル材2の端部がカプラー4の軸方向中央を越えた位置に達するまでカプラー4が一方のケーブル材2の端部に螺合する。
【0064】
他方のケーブル材3はその側の反力板53の挿通孔5bと緊張板54の挿通孔5bを挿通し、反力ナット2aや支圧リング2bにおいて緊張板54の溝5dに納まった状態で、ケーブル材2の端部、または図示するように端部を除いた区間においてフレーム構成材51、または反力板53に保持される。図2では一方のケーブル材2の保持と同じく、反力板53に保持具521にUボルト522で拘束しているが、フレーム5への保持方法はこれには限定されない。
【0065】
ジャッキ55は本体部55aが緊張板54と固定板56に軸方向に挟まれ、軸部55bの端面が反力板53の溝5dに納まった状態でフレーム5に装着され、軸部55bの伸長に伴い、本体部55aが一方のケーブル材2側へ移動し、他方のケーブル材3を伸長させ、これに張力を付与する状態にある。
【0066】
図2に示す一方のケーブル材2と他方のケーブル材3間にフレーム5を跨設した状態では、図1に実線で示すように外ケーブル1は懸垂曲線状を描き、フレーム5は懸垂曲線の最下部かその付近に位置している。図1図2−(a)は一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間に跨ってフレーム5を配置する工程と、フレーム5に一方のケーブル材2を仮接続したまま、一方のケーブル材2にカプラー4を仮接続すると共に、フレーム5に他方のケーブル材3を仮接続する工程が完了した状態を示している。フレーム5に他方のケーブル材3を仮接続した時点では、その軸線が一方のケーブル材2の軸線に暫定的に合致させられている。
【0067】
以下、図4図5に基づいて一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間に跨ってフレーム5を配置し、カプラー4に両ケーブル材2、3を接続し、両ケーブル材2、3を互いに連結するまでの手順を説明する。
【0068】
ジャッキ55を内蔵したフレーム5は図12に示す受け台6上に設置され、固定(保持)された状態で一方と他方のケーブル材2、3間に跨るように設置されるが、フレーム5自体は地上で、または工場等において予め組み立てられ、図4−(a)に示すように他方のケーブル材3側の反力板53とそれに対向する緊張板54との間に1本、もしくは複数本のジャッキ55が配置される。図面ではケーブル材3(外ケーブル1)に導入すべき張力とフレーム5の寸法の関係から、図3−(b)に示すようにフレーム5の軸に直交する断面上、ケーブル材3の周囲に均等に4本のジャッキ55を配置しているが、ジャッキ55の本数はこれには限定されない。
【0069】
図4−(a)に示すジャッキ55内蔵のフレーム5を、受け台6を利用してケーブル材2、3の端部間まで上昇させ、(b)に示すようにジャッキ55の反対側の反力板52の挿通孔5bに一方のケーブル材2の端部を挿通させ、反力板52等に保持させる。受け台6は図12に示すように地上に構築される支保工7上に設置され、主に両ケーブル材2、3を正確に突き合わせる(軸線を合致させる)ために使用される。フレーム5を一方のケーブル材2に、または一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間に跨って設置したところで、仮設のフレーム5を配置する工程が終了する。
【0070】
一方のケーブル材2を反力板52等に保持させた状態で、(c)に示すように一方のケーブル材2の端部にフレーム5の軸方向内側から支圧リング2bと反力ナット2a、及びカプラー4を装着する。支圧リング2bはケーブル材2の端部に差し込まれ、そのジャッキ55側から反力ナット2aとカプラー4が順次、ケーブル材2の端部に螺合し、カプラー4が接続される。カプラー4は仮接続の状態にある。
【0071】
ケーブル材2へのカプラー4の接続後、または接続と並行して(d)に示すようにジャッキ55側の反力板53と緊張板54の両挿通孔5b、5bに他方のケーブル材3の端部を挿通させて反力板53等に保持させ、(e)に示すように緊張板54から一方のケーブル材2側へ突出した区間に支圧リング3bと反力ナット3aを装着する。支圧リング3bはケーブル材3の端部に差し込まれ、そのカプラー4側から反力ナット3aがケーブル材3の端部に螺合する。フレーム5への一方のケーブル材2の接続とこのケーブル材2へのカプラー4の接続、及びフレーム5への他方のケーブル材3の接続によりフレーム5に両ケーブル材2、3を接続する工程が終了する。
【0072】
一方のケーブル材2が保持される反力板52の挿通孔5bと、他方のケーブル材3が保持される反力板53の挿通孔5b、及び緊張板54の挿通孔5bの中心が軸方向に揃えられていれば、他方のケーブル材3を緊張板54と反力板53の各挿通孔5bを挿通させ、反力板53に保持させた時点で、一方のケーブル材2の軸線と他方のケーブル材3の軸線を合致させた状態を得ることができる。
【0073】
他方のケーブル材3のフレーム5への接続時、ケーブル材3の端部が反力ナット3aから一方のケーブル材2側へ突出した区間に接続リング3dと丸ナット3cが装着される。接続リング3dは他方のケーブル材3をカプラー4に接続するためにケーブル材3の端部の回りに差し込まれる。丸ナット3cは接続リング3dをカプラー4の雌ねじの切られた挿通孔4aまで誘導し、挿通孔4aに螺合させるために、ケーブル材3端部の接続リング3dのカプラー4側に螺合させられる。接続リング3dはケーブル材3の端部に螺合せず、ケーブル材3は接続リング3dに挿通する。接続リング3dと丸ナット3cはカプラー4に対して後から接続される他方のケーブル材3をカプラー4に接続する目的でケーブル材3に接続されるため、一方のケーブル材2には接続されない。
【0074】
丸ナット3cの内周面には図10に示すようにケーブル材3の端部に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが形成され、外周面には雄ねじは形成されず、外周面がカプラー4の挿通孔4aの雌ねじの山に内接し得る程度の径を持つ。接続リング3dの内周面には図11に示すように雌ねじは形成されず、外周面の軸方向の少なくとも一部の区間にカプラー4の挿通孔4aの雌ねじに螺合する雄ねじが形成される。この接続リング3dの雄ねじの外径は挿通孔4aの雌ねじの谷の径に揃えられている。カプラー4の一方のケーブル材2側の挿通孔4bには一方のケーブル材2の端部に形成された雄ねじが螺合する雌ねじが形成される。上記のように一方のケーブル材2の端部には接続リング3dと丸ナット3cは接続されないことから、挿通孔4bには丸ナット3cが挿通せず、接続リング3dが螺合しないため、挿通孔4bの内径は他方のケーブル材3側の挿通孔4aの内径より小さく、ケーブル材2の端部の径に対応した大きさになっている。
【0075】
上記のように他方のケーブル材3を反力板53に保持させた時点で、他方のケーブル材3の軸線と一方のケーブル材2の軸線が暫定的に合致した状態になり、受け台6の役目が終了するため、他方のケーブル材3の反力板53への保持の時点で、または他方のケーブル材3への丸ナット3cと接続リング3dの接続の時点で受け台6は撤去される。
【0076】
他方のケーブル材3への丸ナット3cと接続リング3dの接続後、図5−(a)に示すようにジャッキ55を伸長させて緊張板54を一方のケーブル材2側へ押し出し、緊張板54に係止している他方のケーブル材3を伸長させる。他方のケーブル材3の伸長時の反力は反力板53からフレーム構成材51を通じて一方のケーブル材2に伝達され、ケーブル材2に引張力として負担されるため、他方のケーブル材3の伸長により、両ケーブル材2、3に均等に張力が導入される。
【0077】
(b)に示すように他方のケーブル材3端部の内、一方のケーブル材2寄りの一部がカプラー4の挿通孔4aを挿通し始めたところで、丸ナット3cを回転させてカプラー4側へ接近させ、カプラー4の軸回りの回転による丸ナット3cの挿通孔4a内への移動をし易くしておく。この状態で(c)に示すようにカプラー4を回転させて他方のケーブル材3側へ移動させ、丸ナット3cを挿通孔4a内に挿通させる。
【0078】
丸ナット3cが挿通孔4a内に挿通することで、丸ナット3cのジャッキ55側に位置する接続リング3dが挿通孔4aに内接し得る状態にあるため、(d)に示すように接続リング3dを挿通孔4a内で回転させるだけで、接続リング3dの雄ねじが挿通孔4aの雌ねじに螺合し、カプラー4に一方のケーブル材2と他方のケーブル材3が接続し、互いに連結された状態になる。両ケーブル材2、3がカプラー4に接続されることで、両ケーブル材2、3に付与されていた張力がカプラー4に引張力として伝達され、負担される。
【0079】
カプラー4による両ケーブル材2、3の連結によりフレーム5は役目を終えるため、(e)に示すように両ケーブル材2、3から分離させられ、撤去(回収)される。フレーム5の撤去後、カプラー4に接続された両ケーブル材2、3の緩みを防止するために、各ケーブル材2、3の反力ナット2a、3aがカプラー4の軸方向両側から緊結される。各反力ナット2a、3aに付属し、カプラー4の反対側に位置する支圧リング2b、3bはカプラー4の交換時にそれぞれ反力板52と緊張板54に張力の反力を伝達させるために必要であるため、反力ナット2a、3aのカプラー4への緊結時に各反力ナット2a、3aの座面に密着させられた状態に置かれる。
【0080】
その後、(f)に示すようにカプラー4と反力ナット2a、3a、及び支圧リング2b、3bを含む両ケーブル材2、3の端部の外周に防錆のための防錆テープ8等が巻き付けられ、カプラー4の両ケーブル材2、3間への設置作業が終了する。
【0081】
次に図6図7に基づいて設置済みのカプラー4の交換の手順を説明する。カプラー4の交換時の手順は図4図5とは逆の流れになる。カプラー4の交換に当たり、図6−(a)に示すように既存のカプラー4の回りに巻き付けられている防錆テープ8等が撤去(回収)される。一方、(b)に示すように支保工7上の受け台6にジャッキ55を装着したフレーム5を設置し、固定する。ジャッキ55はケーブル材2、3の張力を負担し得るよう、フレーム5内で予め圧力を発生し、伸長した状態にある。
【0082】
その後、(c)に示すように受け台6の上昇によりフレーム5をカプラー4の位置まで上昇させ、両ケーブル材2、3をフレーム5の反力板52、53の挿通孔5bに挿通させ、反力板52、53に保持させる。この状態で(d)に示すように各ケーブル材2、3の反力ナット2a及び支圧リング2bと反力ナット3a及び支圧リング3bをそれぞれ反力板52と緊張板54側へ移動させ、支圧リング2b、3bを反力板52と緊張板54に密着させる。このとき、各ケーブル材2、3の張力が支圧リング2b、3bを通じて反力板52と緊張板54に伝達されるため、ジャッキ55がケーブル材2、3の張力を圧縮力として負担した状態になる。
【0083】
ここで、(e)に示すようにジャッキ55の圧力を増加させ、両ケーブル材2、3の張力を支圧リング2b、3bから反力板52と緊張板54に負担させた状態で、他方のケーブル材3の接続リング3dをカプラー4の挿通孔4aから離脱させ、反力ナット3aに接触するまで移動させる。
【0084】
続けて図7−(a)に示すようにカプラー4を一方のケーブル材2の反力ナット2aに接触するまで移動させて他方のケーブル材3を丸ナット3cの回転によりカプラー4から離脱し得る状態にさせ、(b)に示すようにジャッキ55の圧力を解放してジャッキ55を収縮させ、他方のケーブル材3をジャッキ55側へ引き込ませ、カプラー4から離脱させる。このとき、両ケーブル材2、3は弛緩した状態にある。
【0085】
その後、(c)に示すように他方のケーブル材3から丸ナット3cと接続リング3dを外し、反力ナット3aと支圧リング3bをケーブル材3の先端まで移動させることによりケーブル材3をフレーム5の軸方向外側へ抜き出し、カプラー4と他方のケーブル材3との間に、カプラー4の交換作業のための空間を確保する。支圧リング3bはケーブル材3の端部には螺合していないため、反力ナット3aの回転による移動に追従して緊張板54側へ移動する。
【0086】
この状態で(d)に示すように使用済みのカプラー4を新規のカプラー40に交換した後、反力ナット3aの回転により支圧リング3bを緊張板54のカプラー40側の面に密着させたまま、(e)に示すように他方のケーブル材3の端部をフレーム5の軸方向内側(カプラー4側)へ引き寄せ、ケーブル材3端部の、反力ナット3aからカプラー40側へ突出した区間に接続リング3dと丸ナット3cを装着する。この状態は図4−(e)に示す状態と同じであるため、この後は図5−(a)〜(f)に示す手順でケーブル材2、3への張力の導入とフレーム5の回収が行われる。
【符号の説明】
【0087】
1……外ケーブル、
2……一方のケーブル材、2a……反力ナット、2b……支圧リング、
3……他方のケーブル材、3a……反力ナット、3b……支圧リング、3c……丸ナット、3d……接続リング、
4……カプラー、4a……挿通孔、4b……挿通孔、40……新規のカプラー、
5……フレーム、51……フレーム構成材、52……反力板(一方のケーブル材側)、53……反力板(他方のケーブル材側)、54……緊張板、5a……挿通孔(フレーム構成材用)、5b……挿通孔(ケーブル材用)、5c……挿通孔(ジャッキの軸部用)、5d……溝(支圧リング用)、5e……溝(ジャッキの軸部用)、521……保持具、522……Uボルト、
55……ジャッキ、55a……本体部、55b……軸部、
56……固定板、57……固定具、
6……受け台、7……支保工、8……防錆テープ、
10……主桁、10a……被定着体、11……橋桁、12……偏向具。
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