特許第6663061号(P6663061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663061
(24)【登録日】2020年2月17日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/18 20060101AFI20200227BHJP
   A47L 15/08 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   A47L15/18
   A47L15/08
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-61471(P2019-61471)
(22)【出願日】2019年3月27日
(62)【分割の表示】特願2014-149948(P2014-149948)の分割
【原出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2019-122810(P2019-122810A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】府川 武
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−325283(JP,A)
【文献】 実開昭63−071863(JP,U)
【文献】 実公昭41−018929(JP,Y1)
【文献】 実開昭51−022873(JP,U)
【文献】 特開2013−255645(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0136189(US,A1)
【文献】 特開平08−056884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00−15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物の上方に位置し下方に向けて洗浄液を噴射する上側洗浄シャワーアームと、
被洗浄物の下方に位置し上方に向けて洗浄液を噴射する下側洗浄シャワーアームと、
前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームに洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、
前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームを水平方向に往復動させる洗浄駆動機構と、を備え、
被洗浄物を収容した正面視矩形状の角型ラックを前記正面側を上方とする姿勢で洗浄室内に収納し、水平方向に前記往復動させた前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームから前記角型ラックに向けて洗浄液を噴射して洗浄する洗浄機であって、
前記上側洗浄シャワーアームは、前記角型ラックの上方において前記角型ラックの正面視矩形状の一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、
前記下側洗浄シャワーアームは、前記角型ラックの下方において前記一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、
前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームは、前記洗浄駆動機構により、前記一辺に直交する水平方向に前記往復動させられるものであり、前記往復動の開始前において、上面視で前記角型ラックの外側に位置する洗浄ホームポジションに配置されることを特徴とする洗浄機。
【請求項2】
上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームは、被洗浄物の洗浄処理が終了すると最終的に洗浄ホームポジションに停止した状態となることを特徴とする請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
被洗浄物の上方に位置し下方に向けてすすぎ湯を噴射する上側すすぎシャワーアームと、
被洗浄物の下方に位置し上方に向けてすすぎ湯を噴射する下側すすぎシャワーアームと、
前記上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームにすすぎ湯を供給するすすぎ湯供給機構と、
前記上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームを水平方向に往復動させるすすぎ駆動機構と、をさらに備え、
前記上側すすぎシャワーアームは、角型ラックの上方において前記角型ラックの正面視矩形状の一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、
前記下側すすぎシャワーアームは、前記角型ラックの下方において前記一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、
前記上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームは、前記すすぎ駆動機構により、前記一辺に直交する水平方向に前記往復動させられるものであり、前記往復動の開始前において、上面視で前記角型ラックの外側に位置するすすぎホームポジションに配置されることを特徴とする請求項1または2記載の洗浄機。
【請求項4】
上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームは、被洗浄物のすすぎ処理が終了すると最終的にすすぎホームポジションに停止した状態となることを特徴とする請求項3記載の洗浄機。
【請求項5】
上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームと、上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームとは、水平方向において互いに対向して配置されていることを特徴とする請求項3または4記載の洗浄機。
【請求項6】
上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームと、上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームとは、上面視で角型ラックの全領域に亘って移動することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の洗浄機。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物を洗浄する洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、食器(被洗浄物)を収容するラックの上方及び下方に回転自在に設けられた洗浄シャワーアームから被洗浄物に向けて洗浄液を噴射することにより被洗浄物を洗浄し、さらに上記洗浄シャワーアームと同軸状かつ回転自在に設けられたとすすぎシャワーアームから被洗浄物に向けてすすぎ湯を噴射することにより被洗浄物に付着した洗浄液を洗い流す食器洗浄機が開示されている。
【0003】
一方、下記特許文献2にも、上記特許文献1と同様に、食器等の被洗浄物を洗浄処理する洗浄機が開示されている。この洗浄機は、被洗浄物を収容する角型ラックを内部に収納し、当該角型ラックの上方及び下方に回転自在に設けられたシャワーアームから被洗浄物に向けてすすぎ湯を噴射することにより、被洗浄物に付着した洗浄液を洗い流す。なお、特許文献1には十分に説明されていないが、特許文献2の洗浄機も特許文献1の食器洗浄機と同様に、シャワーアーム(洗浄シャワーアーム)を回転させて洗浄液を被洗浄物に噴射するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−204914号公報
【特許文献2】特開2005−245754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の洗浄シャワーアームによって特許文献2の角型ラックに収容された被洗浄物の洗浄を行う場合、洗浄シャワーアームは回転することによって円形の領域(洗浄領域)に洗浄液を噴射するものなので、角型ラックの全領域に亘って洗浄液を噴射しようとすると、被洗浄物の洗浄に寄与しない洗浄液の無駄が発生する。このような洗浄液の無駄については、角型ラックの形状(矩形)が洗浄領域の形状(円形)と相違することに本質的な原因がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであり、洗浄液の無駄を解消あるいは軽減することが可能な洗浄機の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、第1の解決手段として、被洗浄物の上方に位置し下方に向けて洗浄液を噴射する上側洗浄シャワーアームと、被洗浄物の下方に位置し上方に向けて洗浄液を噴射する下側洗浄シャワーアームと、前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームに洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームを水平方向に往復動させる洗浄駆動機構と、を備え、被洗浄物を収容した正面視矩形状の角型ラックを前記正面側を上方とする姿勢で洗浄室内に収納し、水平方向に前記往復動させた前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームから前記角型ラックに向けて洗浄液を噴射して洗浄する洗浄機であって、前記上側洗浄シャワーアームは、前記角型ラックの上方において前記角型ラックの正面視矩形状の一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、前記下側洗浄シャワーアームは、前記角型ラックの下方において前記一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、前記上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームは、前記洗浄駆動機構により、前記一辺に直交する水平方向に前記往復動させられるものであり、前記往復動の開始前において、上面視で前記角型ラックの外側に位置する洗浄ホームポジションに配置される、という手段を採用する。
【0008】
第2の解決手段として、上記第1の手段において、上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームは、被洗浄物の洗浄処理が終了すると最終的に洗浄ホームポジションに停止した状態となる、という手段を採用する。
【0009】
第3の解決手段として、上記第1または第2の手段において、被洗浄物の上方に位置し下方に向けてすすぎ湯を噴射する上側すすぎシャワーアームと、被洗浄物の下方に位置し上方に向けてすすぎ湯を噴射する下側すすぎシャワーアームと、前記上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームにすすぎ湯を供給するすすぎ湯供給機構と、前記上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームを水平方向に往復動させるすすぎ駆動機構と、をさらに備え、前記上側すすぎシャワーアームは、角型ラックの上方において前記角型ラックの正面視矩形状の一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、前記下側すすぎシャワーアームは、前記角型ラックの下方において前記一辺に平行に設けられると共に前記一辺に直交する方向の前記角型ラックの二辺に差し渡すように設けられ、前記上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームは、前記すすぎ駆動機構により、前記一辺に直交する水平方向に前記往復動させられるものであり、前記往復動の開始前において、上面視で前記角型ラックの外側に位置するすすぎホームポジションに配置される、という手段を採用する。
【0010】
第4の解決手段として、上記第3の手段において、上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームは、被洗浄物のすすぎ処理が終了すると最終的にすすぎホームポジションに停止した状態となる、という手段を採用する。
【0011】
第5の解決手段として、上記第3または第4の手段において、上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームと、上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームとは、水平方向において互いに対向して配置されている、という手段を採用する。
【0012】
第6の解決手段として、上記第3〜第5のいずれか一つの手段において、上側洗浄シャワーアーム及び下側洗浄シャワーアームと、上側すすぎシャワーアーム及び下側すすぎシャワーアームとは、上面視で角型ラックの全領域に亘って移動する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗浄機によれば、洗浄液の無駄を解消あるいは軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る洗浄機の全体構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る洗浄機において、前側から見た洗浄シャワーアームと角型ラックの位置関係を示す模式図(a)と、上方から見た洗浄シャワーアームと角型ラックの位置関係を示す模式図(b)とである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る洗浄機は、食器Sを洗浄対象(被洗浄物)とする食器洗浄機である。この洗浄機は、図1に示すように縦長かつ箱型の外形を備え、内部の上側空間が洗浄室As、また内部の下側空間が機械室Akに区分けされている。
【0016】
このような洗浄室As及び機械室Akは、何れも略箱型(立方体)形状である。図示していないが、洗浄室Asの前側には跳ね上げ式の開閉扉が設けられている。この開閉扉が上方に移動することにより洗浄室As内が外部に対して開状態となり、この開状態において食器Sを収容した角型ラックRの洗浄室Asへの出し入れが可能となる。
【0017】
角型ラックRは、正面視矩形状の樹脂製あるいは金属製の容器であり、正面側を上方とする姿勢で洗浄室As内に収納される。この角型ラックRは、図2にも示すように、高さが比較的低い箱型(立方体)形状であり、図2(a)に示すように正面側から複数の食器Sを収容するものである。すなわち、この角型ラックRは、図2(b)に示すように正面視した場合(上方側から見た場合)に、互いに平行な奥端辺r1及び前端辺r2並びに奥端辺r1及び前端辺r2に直交する左端辺r3及び右端辺r4を備える。なお、このような角型ラックRは、図示していないが、洗浄室As内に設けられた支持具によって図1及び図2に示す状態に保持される。
【0018】
このような角型ラックRが収納された洗浄室As内には、洗浄シャワーアーム1、すすぎシャワーアーム2、一対の駆動機構3,3が設けられている。洗浄シャワーアーム1は、図2(a)に示すように、前側(開閉扉側)から洗浄室As内を見た場合に角型ラックR及び食器Sを内包し得る大きさの口型の管路である。
【0019】
すなわち、この洗浄シャワーアーム1は、角型ラックRの横幅よりも若干広い間隔で平行対峙すると共に鉛直方向に所定長さで直線状に延在する一対の縦管路部1a,1aと、当該一対の縦管路部1a,1aの上端に差し渡すように設けられると共に水平方向に延在する上管路部1bと、上記一対の縦管路部1a,1aの下端に差し渡すように設けられると共に水平方向に延在する下管路部1cとを備える。
【0020】
上記一対の縦管路部1a,1aは、前側から洗浄室As内を見た場合に、角型ラックR及び食器Sの左右に位置し、また上管路部1bは角型ラックR及び食器Sの上方に位置し、さらに下管路部1cは角型ラックR及び食器Sの下方に位置する。上記上管路部1b及び上記下管路部1cは、図2(b)に示すように、角型ラックRの奥端辺r1及び前端辺r2に対して平行に設けられている。
【0021】
また、上記上管路部1b及び下管路部1cには、所定間隔でノズル孔が設けられている。すなわち、角型ラックR及び食器Sの上方に位置する上管路部1bには、角型ラックR及び食器Sが位置する下方に向けて洗浄液を噴射する複数のノズル孔が形成されている。一方、角型ラックR及び食器Sの下方に位置する下管路部1cには、角型ラックR及び食器Sが位置する上方に向けて洗浄液を噴射する複数のノズル孔が形成されている。このような上管路部1bは、本実施形態における上側洗浄シャワーアームであり、また上記下管路部1cは、本実施形態における下側洗浄シャワーアームである。
【0022】
すすぎシャワーアーム2は、上記洗浄シャワーアーム1と同形状に形成されており、図2(a)に示すように、前側から洗浄室As内を見た場合に角型ラックR及び食器Sを内包し得る大きさの口型の管路である。
【0023】
すなわち、すすぎシャワーアーム2は、角型ラックRの横幅よりも若干広い間隔で平行対峙すると共に鉛直方向に所定長さで直線状に延在する一対の縦管路部2a,2aと、当該一対の縦管路部2a,2aの上端に差し渡すように設けられると共に水平方向に延在する上管路部2bと、上記一対の縦管路部2a,2aの下端に差し渡すように設けられると共に水平方向に延在する下管路部2cとを備える。
【0024】
上記一対の縦管路部2a,2aは、前側から洗浄室As内を見た場合に、角型ラックR及び食器Sの左右に位置し、また上管路部2bは角型ラックR及び食器Sの上方に位置し、さらに下管路部2cは角型ラックR及び食器Sの下方に位置する。上記上管路部2b及び上記下管路部2cは、図2(b)に示すように、角型ラックRの奥端辺r1及び前端辺r2に対して平行に設けられている。
【0025】
また、上記上管路部2b及び下管路部2cには、所定間隔でノズル孔が設けられている。すなわち、角型ラックR及び食器Sの上方に位置する上管路部2bには、角型ラックR及び食器Sが位置する下方に向けてすすぎ湯を噴射する複数のノズル孔が形成されている。一方、角型ラックR及び食器Sの下方に位置する下管路部2cには、角型ラックR及び食器Sが位置する上方に向けてすすぎ湯を噴射する複数のノズル孔が形成されている。このような上管路部2bは、本実施形態における上側すすぎシャワーアームである。また、下管路部2cは、本実施形態における下側すすぎシャワーアームである。
【0026】
一対の駆動機構3,3は、洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2を上述した位置及び姿勢状態に支持すると共に当該状態を保持したまま往復動させる。すなわち、一対の駆動機構3,3は、図2(a)に示すように、洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2の右側と右側とに設けられ、当該右側と右側とを支持し、また図2(b)に示すように、洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2を前後方向に往復動させる。
【0027】
このような一対の駆動機構3,3は、例えばボールねじ機構である。また、このような一対の駆動機構3,3は、本実施形態における洗浄駆動機構であり、かつ、すすぎ駆動機構である。
【0028】
上記機械室Akには、洗浄槽4、洗浄液ポンプ5、すすぎ湯槽6、すすぎ湯ポンプ7等が設けられている。洗浄槽4は、洗浄室Asの下部に位置し、洗浄室Asから回収した洗浄液を貯留する。この洗浄槽4の洗浄液の入口には、食器Sに付着していた食物残渣をろ過するフィルタが設けられている。すなわち、洗浄槽4内に貯留される洗浄液は、フィルタによって食物残渣がほぼ除去されたものである。
【0029】
洗浄液ポンプ5は、上記洗浄槽4に貯留された洗浄液を洗浄槽4から汲み上げて洗浄シャワーアーム1に供給するポンプである。すなわち、洗浄シャワーアーム1から食器Sに向けて噴射される洗浄液の量は、洗浄液ポンプ5の回転数によって規定される。上記洗浄槽4及び上記洗浄液ポンプ5は、本実施形態における洗浄液供給機構である。
【0030】
すすぎ湯槽6は、外部から供給された水道水(常温水)を加温してすすぎ湯とすると共に当該すすぎ湯を所定量だけ貯留するものである。すすぎ湯ポンプ7は、このようなすすぎ湯槽6からすすぎ湯を汲み上げてすすぎシャワーアーム2に供給するポンプである。すなわち、すすぎシャワーアーム2から食器Sに向けて噴射されるすすぎ湯の量は、すすぎ湯ポンプ7の回転数によって規定される。
【0031】
なお、図示していないが、本実施形態に係る洗浄機は、ユーザの操作指示を受け付ける操作部と、当該操作部に入力された操作指示に基づいて一対の駆動機構3,3、洗浄液ポンプ5及びすすぎ湯ポンプ7等を制御する制御部と、を備えている。本実施形態に係る洗浄機は、制御部がユーザの操作指示に基づいて作動することによって、食器Sに洗浄処理を施すと共に、洗浄後の食器Sにすすぎ処理を施する。なお、上記制御部は、所定の制御プログラムに従って作動するソフトウエア制御部である。
【0032】
以上が本実施形態に係る洗浄機の概要構成であるが、以下に当該洗浄機の動作、つまり洗浄動作及びすすぎ動作について説明する。
【0033】
ユーザは、洗浄機で食器Sを洗浄処理するに際して、開閉扉を開状態とすることにより、食器Sが収容された角型ラックRを図1に示す状態で洗浄室As内に収納させる。そして、ユーザは、開閉扉を閉状態に移行させると、操作部を操作することにより洗浄開始指示を洗浄機に入力する。
【0034】
この結果、洗浄機は、一対の駆動機構3,3及び洗浄液ポンプ5を作動させて角型ラックR内の食器Sを洗浄する。すなわち、洗浄機の制御部は、操作部から洗浄開始指示が入力されると、最初に洗浄液ポンプ5を作動させることによって洗浄シャワーアーム1に洗浄液を供給させる。そして、制御部は、洗浄液ポンプ5の作動開始から所定時間経過した時点で一対の駆動機構3,3を作動させる。
【0035】
このような洗浄液ポンプ5の作動開始と一対の駆動機構3,3の作動開始の時間的なずれ(遅延)は、洗浄液ポンプ5が作動開始してから洗浄液が洗浄シャワーアーム1から実際に噴射されるまでに時間的な遅れがあるためである。すなわち、洗浄機では、洗浄液が洗浄シャワーアーム1から噴射される状態になった後に、洗浄シャワーアーム1の往復動が開始される。
【0036】
ここで、往復動の開始前の洗浄シャワーアーム1の位置(洗浄ホームポジション)は、図1の実線及び図2(b)の二点鎖線で示すように、洗浄室As内における最後方である。一対の駆動機構3,3が作動を開始すると、洗浄シャワーアーム1は、上記洗浄ホームポジションから前方側に所定速度で移動を開始し、図2(b)の二点鎖線で示すように、すすぎシャワーアーム2の若干手前で移動を停止し、洗浄ホームポジションに向かって折り返す。
【0037】
すなわち、洗浄シャワーアーム1は、図2(b)に示すように、角型ラックRの奥端辺r1から前端辺r2に至る全領域に亘って移動する。この結果、角型ラックR内の食器Sには余すところなく洗浄液が噴き付けられる。また、洗浄シャワーアーム1は、正面視矩形状の角型ラックRの奥端辺r1及び前端辺r2に平行に移動するので、角型ラックR内の食器Sに無駄なく洗浄液を噴き付けることができる。したがって、本実施形態に係る洗浄機によれば、洗浄液の無駄を解消あるいは軽減することが可能である。
【0038】
なお、洗浄シャワーアーム1は、食器Sの洗浄処理が終了すると、最終的に洗浄ホームポジションに移動して停止する。洗浄シャワーアーム1の移動開始から移動終了までの間、洗浄シャワーアーム1は、複数回に亘って往復動を繰り返すが、この往復動の回数は、操作部によって適宜設定可能である。すなわち、上記往復動の回数は、ユーザの洗浄品質に対する要求度合いに応じて適宜設定される。
【0039】
このようにして食器Sの洗浄処理が終了すると、洗浄機は、一対の駆動機構3,3及びすすぎ湯ポンプ7を作動させて角型ラックR内の食器Sにすすぎ処理を施す。すなわち、洗浄機の制御部は、最初にすすぎ湯ポンプ7を作動させることによってすすぎシャワーアーム2にすすぎ湯を供給させる。そして、制御部は、すすぎ湯ポンプ7の作動開始から所定時間経過した時点で一対の駆動機構3,3を作動させる。
【0040】
このようなすすぎ湯ポンプ7の作動開始と一対の駆動機構3,3の作動開始の時間的なずれ(遅延)は、すすぎ湯ポンプ7が作動開始してからすすぎ湯がすすぎシャワーアーム2から実際に噴射されるまでに時間的な遅れがあるためである。すなわち、洗浄機では、すすぎ湯がすすぎシャワーアーム2から噴射される状態になった後に、すすぎシャワーアーム2の往復動が開始される。
【0041】
ここで、往復動の開始前のすすぎシャワーアーム2の位置(すすぎホームポジション)は、図1及び図2(b)の実線で示すように、洗浄室As内における最前方である。一対の駆動機構3,3が作動を開始すると、すすぎシャワーアーム2は、上記すすぎホームポジションから後方側に所定速度で移動を開始し、洗浄シャワーアーム1の若干手前で移動を停止し、すすぎホームポジションに向かって折り返す。
【0042】
すなわち、すすぎシャワーアーム2は、角型ラックRの奥側端辺から手前側端辺に至る全領域に亘って移動する。この結果、角型ラックR及び食器Sには余すところなくすすぎ湯が噴き付けられる。また、すすぎシャワーアーム2は、正面視矩形状の角型ラックRの奥端辺r1及び前端辺r2に平行に移動するので、角型ラックR内の食器Sに無駄なくすすぎ湯を噴き付けることができる。したがって、本実施形態に係る洗浄機によれば、すすぎ湯の無駄を解消あるいは軽減することが可能である。
【0043】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2を口型の管路として構成したが、本発明はこれに限定されない。上管路部1b及び上記下管路部1c並びに上管路部2b及び上記下管路部2cを各々個別の管路としてもよい。また、これ以外にも、洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2の形態には種々の形態が考えられる。
【0044】
(2)上記実施形態では、一対の駆動機構3,3を洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2の左右に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の駆動機構3,3を洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2の上下に、あるいは上側に2つとも設けてもよい。
【0045】
(3)上記実施形態では、一対の駆動機構3,3としてボールねじ機構を用いたが、上述したように食器Sには食物残渣が付着しており、この食物残渣は洗浄液の噴き付けによって洗浄室As内に飛散する可能性がある。この結果として、洗浄過程で食物残渣がボールねじ機構の内部に浸入して、ボールねじ機構が正常に作動しない場合が考えられる。このような事態を回避するために、ボールねじ機構に所定のシール機構を設けて食物残渣の浸入を防止することが好ましい。このシール機構は、ボールねじ機構内の潤滑油が洗浄室As内に漏れ出さないようにするためにも有用である。
【0046】
(4)上記実施形態では、洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2が往復動する際の振動発生が考えられるが、この振動発生を抑制するためには、洗浄シャワーアーム1及びすすぎシャワーアーム2の移動速度を極力遅くするか、あるいは折り返す前後の移動速度を他の移動速度よりも遅くすることが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
As…洗浄室、Ak…機械室、S…食器、R…角型ラック、1…洗浄シャワーアーム(洗浄液噴射手段)、2…すすぎシャワーアーム、3…駆動機構、4…洗浄槽、5…洗浄液ポンプ、6…すすぎ湯槽、7…すすぎ湯ポンプ
図1
図2