(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送風装置は、前記第2吸気口と前記第2排出口との間に位置するように前記第2ケース内に配置されかつ前記第2吸気口から吸引された空気が通過する第2フィルタを備えている、請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
前記第1吸気口の前記主走査方向と直交する副走査方向の長さは、前記インクヘッドの前記副走査方向の長さよりも長い、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
前記第2排出口の前記主走査方向と直交する副走査方向の長さは、前記インクヘッドの前記副走査方向の長さよりも長い、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
前記第2排出口における空気の排出方向は、前記主走査方向において前記インクヘッドから離れる方向かつ下方である、請求項1から9のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
前記送風装置は、前記第2ケース内に配置され、前記第2排出口から排出される空気を加熱する加熱機構を備えている、請求項1から10のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの正面図である。
【
図4】一実施形態に係る本体ケースを取り外した状態のプリンタの平面図である。
【
図5】一実施形態に係るインクヘッドユニットの正面図である。
【
図6】一実施形態に係るインクヘッドユニットの平面図である。
【
図7】一実施形態に係るインクヘッドユニットの左側面図である。
【
図8】一実施形態に係るインクヘッドユニットの底面図である。
【
図10】他の一実施形態に係るインクヘッドユニットの正面図である。
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」という。)について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10の斜視図である。以下の説明では、プリンタ10を正面から見たときに、プリンタ10から遠ざかる方を前方、プリンタ10に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、プリンタ10を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。また、本実施形態では、主走査方向Yの左方から右方に向かう方向Y1は、後述するインクヘッド34(
図2参照)から記録媒体5にインクを吐出するときのインクヘッド34の移動方向(行き方向Y1)である。また、主走査方向Yの右方から左方に向かう方向Y2は、インクヘッド34から記録媒体5にインクを吐出しないときのインクヘッド34の移動方向(帰り方向Y2)である。符号Xは副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交している。符号Zは、上下方向を示している。また、プリンタ10の後側を上流側と称し、プリンタ10の前側を下流側と称する。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。プリンタ10は、家庭用のプリンタと比較すると主走査方向Yに長い、いわゆる大型のプリンタである。例えば、プリンタ10は、業務用のプリンタである。本実施形態では、プリンタ10は、記録媒体5上に画像を印刷する。
【0014】
記録媒体5は、例えば、記録紙である。ただし、記録媒体5は、記録紙に限定されない。例えば、記録媒体5には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシート、アルミや鉄等から形成された金属板、ガラス板、木材板等の比較的厚みを有するものが含まれる。
【0015】
図2に示すように、プリンタ10は、ベース部材60と、ベース部材60に取り付けられた本体ケース12(
図1参照)と、キャリッジ移動機構20と、テーブル移動機構38と、インクヘッドユニット30と、制御装置55とを備えている。プリンタ10は、キャリッジ移動機構20およびインクヘッドユニット30を支持する本体フレーム14を備えている。テーブル移動機構38は、後述するテーブルユニット40を副走査方向Xに移動可能に支持する第1スライドレール51(
図4参照)および第2スライドレール52(
図4参照)と、記録媒体5が載置されるテーブル48を有するテーブルユニット40と、テーブルユニット40を副走査方向Xに移動させる移動装置41(
図4参照)と、を備えている。テーブル48は、載置台の一例である。
【0016】
インクヘッドユニット30は、本体ケース12の内方に配置されている。
図2に示すように、インクヘッドユニット30は、テーブルユニット40より上方に配置されている。インクヘッドユニット30は、インクヘッド34と、インクヘッド34が搭載されるヘッドキャリッジ32と、インクヘッド34の上部に設けられたダンパー37(
図5参照)と、ヘッドキャリッジ32に取り付けられたケース31と、ヘッドキャリッジ32に搭載された送風装置80とを備えている。ヘッドキャリッジ32は、キャリッジの一例である。
【0017】
図1に示すように、本体ケース12の前部の中央には、フロントカバー13Cが設けられている。本体ケース12の前部の左方には、左カバー13Lが設けられている。本体ケース12の前部の右方には、右カバー13Rが設けられている。フロントカバー13C、左カバー13Lおよび右カバー13Rは、本体ケース12に対して開閉可能に構成されている。フロントカバー13Cには、窓13Wが設けられている。窓13Wは、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。作業者は、窓13Wから本体ケース12の内部を視認することができる。ベース部材60(
図2参照)は、本体ケース12の下部に取り付けられている。ベース部材60は、本体ケース12を支持する。
【0018】
図2に示すように、ベース部材60は、底面を構成する底壁61と、底壁61より左方かつ上方に位置する左壁62と、底壁61より右方かつ上方に位置する右壁63と、底壁61と左壁62とを接続し上下方向Zに延びる左側壁64と、底壁61と右壁63とを接続し上下方向Zに延びる右側壁65と、を含む。テーブルユニット40は、底壁61上を副走査方向Xに移動する。左壁62および右壁63は、後述する本体フレーム14を支持する。
【0019】
図3に示すように、本体フレーム14は、ベース部材60に設けられている。本体フレーム14は、ベース部材60の左壁62から上方に延びる左ベース壁15Lと、ベース部材60の右壁63から上方に延びる右ベース壁15Rと、左ベース壁15Lの上端と右ベース壁15Rの上端とを接続する支持壁16とを有する。左ベース壁15Lは、テーブルユニット40よりも左方に位置する。右ベース壁15Rは、テーブルユニット40よりも右方に位置する。支持壁16は、主走査方向Yに延びる。支持壁16は、ベース部材60より上方に配置されている。プリンタ10には、テーブルユニット40が通過可能に構成され、副走査方向Xに貫通する開口14Hが形成されている。開口14Hは、本体フレーム14とベース部材60とで囲まれて形成されている。
【0020】
図2に示すように、プリンタ10は、支持壁16に設けられたガイドレール18を備えている。ガイドレール18は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール18は、支持壁16の前面に沿って設けられている。ガイドレール18は、開口14Hより上方に配置されている。ガイドレール18は、テーブルユニット40より上方に配置されている。ガイドレール18には、インクヘッドユニット30のヘッドキャリッジ32が摺動自在に設けられている。ガイドレール18は、ヘッドキャリッジ32の主走査方向Yへの移動をガイドするものである。
【0021】
図2に示すように、キャリッジ移動機構20は、テーブルユニット40の後述するテーブル48に載置された記録媒体5に対してヘッドキャリッジ32を相対的に主走査方向Yに移動させる機構である。キャリッジ移動機構20は、ヘッドキャリッジ32を主走査方向Yに移動させる。なお、キャリッジ移動機構20の構成は特に限定されない。キャリッジ移動機構20は、左側のプーリ21と、右側のプーリ22と、無端状のベルト23と、ヘッドキャリッジモータ24とを備えている。左側のプーリ21は、ガイドレール18の左端より左方に設けられている。右側のプーリ22は、ガイドレール18の右端より右方に設けられている。左側のプーリ21および右側のプーリ22は、支持壁16に固定されている。ベルト23は、左側のプーリ21と右側のプーリ22とに巻き掛けられている。右側のプーリ22には、ヘッドキャリッジモータ24が接続されている。ただし、ヘッドキャリッジモータ24は、左側のプーリ21に接続されていてもよい。ここでは、ヘッドキャリッジモータ24が駆動して、右側のプーリ22が回転することで、左側のプーリ21と右側のプーリ22との間においてベルト23が走行する。
【0022】
ヘッドキャリッジ32は、ベルト23に取り付けられている。ヘッドキャリッジ32は、ガイドレール18に摺動自在に係合している。ヘッドキャリッジ32は、テーブル48より上方に配置されている。ヘッドキャリッジモータ24の駆動によってベルト23が走行して、ヘッドキャリッジ32が主走査方向Yに移動することに伴い、ヘッドキャリッジ32に搭載されたインクヘッド34および送風装置80は主走査方向Yに移動する。
【0023】
図8に示すように、インクヘッド34は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長い形状に形成されている。インクヘッド34は、それぞれ、同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。インクヘッド34は、副走査方向Xに並ぶ複数のノズル35と、複数のノズル35が形成されたノズル面36とを備えている。インクヘッド34には、複数のノズル35から構成されたノズル列が2つ設けられている。ノズル35は、テーブル48に載置された記録媒体5にインクを吐出可能に構成されている。ノズル35内は、負圧(大気圧より低い圧力)に設定されている。なお、ノズル35は微小であるため、
図8では複数のノズル35を直線で表している。本実施形態では、インクヘッドユニット30は、3つのインクヘッド34を備えているが、4以上のインクヘッド34を備えていてもよい。また、インクヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を備えているが、1つのノズル列または3つ以上のノズル列を備えていてもよい。インクヘッド34から吐出されるインクは、例えば、顔料および溶剤を含むソルベント系顔料インク等が挙げられる。
【0024】
図5に示すように、ダンパー37は、インクヘッド34の上部に設けられている。ダンパー37は、インクカートリッジ(図示せず)から供給されたインクを一時的に貯留する部材である。ダンパー37に貯留されたインクは、インクヘッド34に供給される。なお、ダンパー37は説明の便宜上
図5のみに記載している。
【0025】
テーブル移動機構38は、テーブルユニット40のテーブル48を副走査方向Xに移動させる機構である。
図3に示すように、テーブルユニット40は、テーブルキャリッジ47と、テーブルキャリッジ47の上部に設けられたテーブル48とを備えている。テーブルキャリッジ47は、箱型状に形成されている。テーブルキャリッジ47は、第1スライドレール51(
図4も参照)および第2スライドレール52(
図4も参照)に支持されている。なお、テーブルキャリッジ47は、図示しない機構によって上下方向Zに移動可能に構成されている。即ち、テーブルキャリッジ47は、テーブル48を上下方向に移動させることができる。
【0026】
図2に示すように、テーブル48には、記録媒体5が載置される。テーブル48は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも短い矩形状に形成されている。なお、テーブル48は、副走査方向Xの長さが主走査方向Yの長さよりも長くてもよく、副走査方向Xの長さと主走査方向Yの長さが同一であってもよい。
図3に示すように、テーブル48は、支持壁16より下方に配置されている。テーブル48は、インクヘッドユニット30より下方に配置されている。テーブル48は、移動装置41(
図4参照)によって副走査方向Xに移動可能に構成されている。
【0027】
図4に示すように、移動装置41は、ベース部材60上に配置されている。移動装置41は、前側のプーリ42と、後側のプーリ43と、無端状のベルト44と、駆動モータ45とを備えている。前側のプーリ42は、ベース部材60の底壁61の前側に設けられている。後側のプーリ43は、底壁61の後側に設けられている。ベルト44は、前側のプーリ42と後側のプーリ43とに巻き掛けられている。後側のプーリ43には、駆動モータ45が接続されている。ただし、駆動モータ45は、前側のプーリ42に接続されていてもよい。ここでは、駆動モータ45が駆動して、後側のプーリ43が回転することで、前側のプーリ42と後側のプーリ43との間においてベルト44が走行する。テーブルユニット40のテーブルキャリッジ47は、ベルト44に取り付けられている。このため、駆動モータ45の駆動によってベルト44が走行すると、テーブルユニット40は第1スライドレール51および第2スライドレール52に沿って、副走査方向Xに移動する。即ち、移動装置41は、テーブル48を副走査方向Xに移動させることができる。なお、
図4では、説明の便宜上キャリッジ移動機構20の図示を省略している。
【0028】
図4に示すように、プリンタ10は、インクカートリッジ(図示せず)が収容されるインクカートリッジ収容部19を備えている。インクカートリッジは、インクを貯留する。インクカートリッジは、ダンパー37(
図5参照)を介してインクヘッド34(
図5参照)に接続されている。インクカートリッジ収容部19は、ベース部材60の左壁62上に設けられている。本実施形態では、3つのインクカートリッジ収容部19が主走査方向Yに並んで設けられている。なお、インクカートリッジ収容部19の数は、3つに限定されない。
図3に示すように、インクカートリッジは、本体フレーム14の左ベース壁15Lに形成された開口19Hを介してインクカートリッジ収容部19に挿入されるように構成されている。
【0029】
次に、送風装置80について説明する。送風装置80は、記録媒体5に向けて風を送る装置である。
図5に示すように、送風装置80は、インクヘッド34よりも左方に配置されている。即ち、送風装置80は、行き方向Y1においてインクヘッド34よりも後方に配置されている。送風装置80は、ヘッドキャリッジ32に取り付けられた第1ケース81と、第1ケース81に設けられた第1ファン87と、第1ケース81内に配置された第1フィルタ88(
図9参照)と、第1ケース81に取り付けられた第2ケース91と、第2ケース91に設けられた第2ファン97(
図9参照)と、第2ケース91内に配置された第2フィルタ98(
図9参照)とを備えている。
【0030】
図5に示すように、第1ケース81は、インクヘッド34よりも左方に配置されている。即ち、第1ケース81は、行き方向Y1においてインクヘッド34よりも後方に配置されている。
図9に示すように、第1ケース81は、第1空気流路82を有する箱型状に形成されている。第1ケース81は、記録媒体5周辺の空気を取り入れる第1吸気口83および第1吸気口83から取り入れられた空気を排出する第1排出口84を有する。第1空気流路82は、第1吸気口83と第1排出口84と連通している。
【0031】
図9に示すように、第1吸気口83は、記録媒体5(
図2も参照)に対向する。第1吸気口83は、第1ケース81の下部に形成されている。
図5に示すように、第1吸気口83は、インクヘッド34のノズル面36より上方に位置する。
図8に示すように、第1吸気口83の副走査方向Xの長さL1は、インクヘッド34の副走査方向Xの長さL2よりも長い。第1吸気口83の副走査方向Xの上流側の端部83Fは、インクヘッド34の上流側の端部34Fよりも上流側(ここでは前方)に位置する。第1吸気口83の副走査方向Xの下流側の端部83Bは、インクヘッド34の下流側の端部34Bよりも下流側(ここでは後方)に位置する。本実施形態では、
図9に示すように、第1吸気口83における空気の吸引方向FA1は、記録媒体5に対して垂直である。記録媒体5周辺の空気は、第1吸気口83から上方に向けて吸引される。
【0032】
図9に示すように、第1排出口84は、第1吸気口83より上方に位置する。第1排出口84は、第1吸気口83よりも左方(移動方向Y1においてインクヘッド34より後方)に位置する。第1排出口84は、第1ケース81の上部に形成されている。
図5に示すように、第1排出口84は、インクヘッド34よりも上方に位置する。ここでは、第1排出口84は、ダンパー37よりも上方に位置する。第1排出口84は、第2ケース91よりも上方に位置する。本実施形態では、
図9に示すように、第1排出口84における空気の排出方向FB1は、記録媒体5と平行(即ち水平方向)である。第1吸気口83から吸引された空気は、第1排出口84から左方(移動方向Y1においてインクヘッド34より後方)に向けて排出される。
【0033】
図5に示すように、第1ファン87は、第1排出口84を塞ぐように設けられている。
図7に示すように、第1ファン87は、第2ケース91よりも上方に配置されている。第1ファン87は、第1吸気口83から空気を吸引して第1排出口84から空気を排出する。第1ファン87は、第1ケース81の外側に設けられているが、第1ケース81内に設けられていてもよい。
図9に示すように、第1フィルタ88は、第1ケース81の第1空気流路82の途中に設けられている。即ち、第1フィルタ88は、第1吸気口83と第1排出口84との間に位置する。第1フィルタ88は、第2ケース91よりも上方に配置されている。第1フィルタ88は、第1ケース81に着脱自在に設けられている。第1吸気口83から吸引された空気は、第1フィルタ88を通過する。第1フィルタ88は、空気は通過させるがインクミストを捕捉することができる多孔質状に形成されている。
【0034】
図5に示すように、第2ケース91は、第1吸気口83よりも左方に配置されている。即ち、第2ケース91は、行き方向Y1において第1吸気口83よりも後方に配置されている。
図9に示すように、第2ケース91は、第2空気流路92を有する箱型状に形成されている。第2ケース91は、上方に向けて開口する第2吸気口93および第2吸気口93から取り入れられた空気を記録媒体5に向けて排出する第2排出口94を有する。第2空気流路92は、第2吸気口93と第2排出口94と連通している。第2ケース91は、第2ファン97から流れる空気を第2排出口94へと導くガイド板91Aを有する。ガイド板91Aは、水平方向に延びる第1部分91AAと、第1部分91AAの右端から右斜め上方に延びる第2部分91ABと、上下方向に延びる第3部分91ACと、第3部分91ACの上端から右斜め下方に延びる第4部分91ADとを有する。第1部分91AAと第3部分91ACとの間に第2排出口94が形成されている。第2部分91ABは、第2ファン97から流れる空気を第2排出口94へと導く機能を有する。第4部分91ADは、空気の対流を抑制する機能を有する。
【0035】
図9に示すように、第2吸気口93は、第2ケース91の上部に形成されている。第2吸気口93は、第1排出口84よりも下方に形成されている。第2吸気口93は、第1吸気口83よりも上方に形成されている。第2吸気口93は、移動方向Y1において第1排出口84より後方(ここでは左方)に位置する。
図6に示すように、第1排出口84の中心を通る直線Pは、平面視で第2吸気口93と重なる。第2吸気口93の副走査方向Xの上流側の端部93Fは、第1排出口84の上流側の端部84Fよりも上流側(ここでは前方)に位置する。第2吸気口93の副走査方向Xの下流側の端部93Bは、第1排出口84の下流側の端部84Bよりも下流側(ここでは後方)に位置する。第2吸気口93の端部93Fは、第1ファン87の上流側の端部87Fよりも上流側(ここでは前方)に位置する。第2吸気口93の端部93Bは、第1ファン87の下流側の端部87Bよりも下流側(ここでは後方)に位置する。第2吸気口93の開口面積は、第1吸気口83の開口面積より大きい。本実施形態では、
図9に示すように、第2吸気口93における空気の吸引方向FA2は、記録媒体5に対して垂直である。第2吸気口93の上方の空気は、第2吸気口93から下方に向けて吸引される。また、第1排出口84から排出された空気の少なくとも一部は、第2吸気口93から吸引され得る。
【0036】
図9に示すように、第2排出口94は、第2吸気口93より下方に位置する。第2排出口94は、記録媒体5に対向する。第2排出口94は、第2吸気口93の主走査方向Yの中心位置93Mよりも左方(移動方向Y1において中心位置93Mより後方)に位置する。第2排出口94は、第2ケース91の下部に形成されている。本実施形態では、第2排出口94における空気の排出方向FB2は、インクヘッド34から離れる方向(ここでは左方)かつ下方である。第2吸気口93から吸引された空気は、第2排出口94から左斜め下方(移動方向Y1においてインクヘッド34より後斜め下方)に向けて排出される。
図8に示すように、第2排出口94の副走査方向Xの長さL3は、インクヘッド34の副走査方向Xの長さL2よりも長い。第2排出口94の副走査方向Xの上流側の端部94Fは、ノズル35のうち最も上流側に位置するノズルよりも上流側(ここでは前方)に位置する。第2排出口94の副走査方向Xの下流側の端部94Bは、ノズル35のうち最も下流側に位置するノズルよりも下流側(ここでは後方)に位置する。第2排出口94の副走査方向Xの長さL3は、第1吸気口83の副走査方向Xの長さL1よりも短い。第2排出口94の開口幅Q1(即ち主走査方向Yの長さ)は、第1吸気口83の開口幅Q2(即ち主走査方向Yの長さ)よりも短い。第2排出口94の端部94Fは、第1吸気口83の上流側の端部83Fよりも下流側(ここでは後方)に位置する。第2排出口94の端部94Bは、第1吸気口83の下流側の端部83Bよりも上流側(ここでは前方)に位置する。
【0037】
図9に示すように、第2ファン97は、第2ケース91内に配置されている。第2ファン97は、第2吸気口93よりも下方に配置されている。第2ファン97は、第2吸気口93から空気を吸引して第2排出口94から記録媒体5に向けて空気を排出する。即ち、第2ファン97は、第2排出口94から記録媒体5に向けて風を送る。第2ファン97は、第2ケース91内に設けられているが、第2吸気口93を塞ぐように第2ケース91の外側に設けられていてもよい。第1ファン87の風量は、第2ファン97の風量よりも小さい。第2ファン97の風量は、第1ファン87の風量の例えば、1.5倍〜5倍程度である。第2フィルタ98は、第2ケース91の第2空気流路92の途中に設けられている。即ち、第2フィルタ98は、第2吸気口93と第2排出口94との間に位置する。第2フィルタ98は、第2ファン97よりも上方に配置されている。第2フィルタ98は、第2ケース91に着脱自在に設けられている。第2吸気口93から吸引された空気は、第2フィルタ98を通過する。第2フィルタ98は、第1フィルタ88と同様である。
【0038】
制御装置55は、記録媒体5への印刷を制御する装置である。制御装置55の構成は特に限定されない。制御装置55は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、I/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。
図2に示すように、制御装置55は、本体フレーム14に設けられている。制御装置55は、ヘッドキャリッジモータ24と、インクヘッド34と、駆動モータ45と、送風装置80の第1ファン87および第2ファン97と通信可能に接続され、これらを制御する。制御装置55は、第1ファン87および第2ファン97の風量や駆動のタイミング等を制御する。
【0039】
次に、記録媒体5に印刷を行う際の送風装置80の動作について説明する。ヘッドキャリッジ32が行き方向Y1に移動してインクヘッド34のノズル35から記録媒体5にインクを吐出する際には、送風装置80の第1ファン87および第2ファン97が駆動される。インクヘッド34から記録媒体5にインクが吐出されるときには、記録媒体5周辺にはインクミストが発生することがある。第1ファン87が駆動されることによって、記録媒体5周辺のインクミストは第1吸気口83から吸引されて第1フィルタ88に捕捉される。また、第2ファン97が駆動されることによって、第2ケース91の上方に存在するインクミストがほとんど含まれない空気が第2吸気口93から吸引されて第2排出口94から記録媒体5に向けて送られる。これにより、記録媒体5に吐出されたインクの乾燥が促進される。一方、ヘッドキャリッジ32が帰り方向Y2に移動する際には、インクヘッド34のノズル35から記録媒体5にインクが吐出されないため、送風装置80の第1ファン87および第2ファン97は駆動されない。なお、ヘッドキャリッジ32が帰り方向Y2に移動する際にも、送風装置80の第1ファン87および第2ファン97を駆動してもよい。これにより、記録媒体5にさらに風を送ることができるため、記録媒体5に吐出されたインクの乾燥がより確実に行われる。
【0040】
以上のように、本実施形態のプリンタ10によると、記録媒体5周辺の空気は、第1ファン87によって第1吸気口83に取り入れられる。ここで、インクヘッド34から記録媒体5にインクが吐出された後には記録媒体5周辺にインクミストが生じ得るが、インクミストは第1吸気口83から吸引される。そして、第1吸気口83から吸引された空気が第1フィルタ88を通過する際に、空気中のインクミストは第1フィルタ88に捕捉される。このため、第1フィルタ88を通過した空気が第1排出口84から排出されるときには、空気中のインクミストは低減されてきれいな空気となる。また、第2吸気口93は上方に向けて開口しているため、第2ファン97によって第2吸気口93の上方の空気が第2吸気口93に吸引される。即ち、記録媒体5周辺から離れた位置の空気が第2吸気口93から取り入れられる。そして、第2吸気口93から取り入れられた空気は、第2ファン97によって第2排出口94から記録媒体5に向けて排出される。即ち、記録媒体5に向けて流れる風にはインクミストはほぼ存在していないため、インクミストの影響がほとんどないきれいな空気によって記録媒体5に吐出されたインクを乾燥させることができる。さらに、第1ファン87と第2ファン97とが別個独立して設けられているため、第1ファン87および第2ファン97の風量をそれぞれ設定することができる。ここでは、第1ファン87の風量は、第2ファン97の風量よりも小さくなるように設定されている。即ち、インクミストを吸引する第1ファン87の風量を比較的小さくすることで、インクヘッド34から吐出されるインクの吐出方向に対する影響を抑制しつつインクミストを適切に吸引することができる。また、記録媒体5に風を送る第2ファン97の風量を比較的大きくすることで、記録媒体5に吐出されたインクの乾燥を促進することができる。
【0041】
本実施形態のプリンタ10では、送風装置80は、第2吸気口93と第2排出口94との間に位置するように第2ケース91内に配置されかつ第2吸気口93から吸引された空気が通過する第2フィルタ98を備えている。これにより、第2排出口94にはよりきれいな空気が流れるため、インクミストの影響のないきれいな空気によって記録媒体5に吐出されたインクを乾燥させることができる。
【0042】
本実施形態のプリンタ10では、第1排出口84は、インクヘッド34よりも上方に位置する。これにより、第1排出口84から排出された空気が、インクヘッド34から吐出されたインクに向けて流れることを抑制することができる。
【0043】
本実施形態のプリンタ10は、インクヘッド34の上部に設けられ、インクを一時的に貯留するダンパー37を備えている。第1排出口84は、ダンパー37よりも上方に位置する。これにより、第1排出口84から排出された空気が、インクヘッド34から吐出されたインクに向けて流れることをより抑制することができる。
【0044】
本実施形態のプリンタ10では、第1吸気口83の副走査方向Xの長さL1は、インクヘッド34の副走査方向Xの長さL2よりも長い。これにより、インクヘッド34から記録媒体5にインクが吐出された後に生じた記録媒体5周辺のインクミストを第1吸気口83からより確実に吸引することができる。
【0045】
本実施形態のプリンタ10では、第2排出口94の副走査方向Xの長さL3は、インクヘッド34の副走査方向Xの長さL2よりも長い。これにより、記録媒体5に吐出されたインクのより広範囲に亘って風を送ることができる。
【0046】
本実施形態のプリンタ10では、第2吸気口93は、第1排出口84より下方かつ移動方向Y1において第1排出口84より後方に位置する。第1排出口84の中心を通る直線Pは、平面視で第2吸気口93と重なる。これにより、第1フィルタ88を通過して第1排出口84から排出された空気の少なくとも一部は第2吸気口93から吸引される。第2吸気口93には第1フィルタ88を通過した空気が取り入れられるため、第2排出口94からきれいな空気を排出することができる。
【0047】
本実施形態のプリンタ10では、第2吸気口93の副走査方向Xの上流側の端部93Fは、第1排出口84の副走査方向Xの上流側の端部84Fよりも副走査方向Xの上流側に位置し、第2吸気口93の副走査方向Xの下流側の端部93Bは、第1排出口84の副走査方向Xの下流側の端部84Bよりも副走査方向Xの下流側に位置する。これにより、第1フィルタ88を通過して第1排出口84から排出された空気の大部分が第2吸気口93から吸引されることになる。
【0048】
本実施形態のプリンタ10では、第1吸気口83における空気の吸引方向FA1は、記録媒体5に対して垂直である。これにより、第1吸気口83から空気を吸引する際に発生する空気の流れによってインクの着弾位置がずれることをより抑制することができる。
【0049】
本実施形態のプリンタ10では、第2排出口94における空気の排出方向FB2は、主走査方向Yにおいてインクヘッド34から離れる方向(ここでは左方)かつ下方である。これにより、記録媒体5に向けて風を送りつつ、第2排出口94から排出される空気の流れによってインクの着弾位置がずれることをより抑制することができる。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0051】
上述したプリンタ10において、送風装置80は、第2ケース91内に配置され、第2排出口94から排出される空気を加熱する加熱機構を備えていてもよい。加熱機構は、例えば、第2ファン97の上流側(ここでは上方)または下流側(ここでは下方)に設けられ得る。加熱機構の熱量等は制御装置55によって制御される。加熱機構としては、例えば、ニクロム線ヒーター等が挙げられる。これにより、記録媒体5に加熱された風を送ることができるため、記録媒体5に吐出されたインクの乾燥をより促進することができる。
【0052】
上述した実施形態では、第1吸気口83における空気の吸引方向FA1は、記録媒体5に対して垂直であるが、これに限定されない。吸引方向FA1は、インクヘッド34から離れる方向かつ下方(ここでは左斜め下方)であってもよいし、インクヘッド34に近づく方向かつ下方(ここでは右斜め下方)であってもよい。また、第2排出口94における空気の排出方向FB2は、インクヘッド34から離れる方向かつ下方(ここでは左斜め下方)であるが、これに限定されない。排出方向FB2は、記録媒体5に対して垂直であってもよいし、インクヘッド34に近づく方向かつ下方(ここでは右斜め下方)であってもよい。
【0053】
上述した実施形態では、行き方向Y1においてのみインクヘッド34から記録媒体5にインクが吐出されるように構成されていたが、これに限定されない。即ち、行き方向Y1および帰り方向Y2において、インクヘッド34から記録媒体5にインクが吐出されるように構成されていてもよい。この場合、
図10に示すように、インクヘッドユニット130は、インクヘッド34よりも左方に配置された左側送風装置80Lと、インクヘッド34よりも右方に配置された右側送風装置80Rとを備えている。左側送風装置80Lは、行き方向Y1においてインクヘッド34よりも後方に配置されている。右側送風装置80Rは、帰り方向Y2においてインクヘッド34よりも後方に配置されている。左側送風装置80Lの構成は上述した送風装置80と同じである。また、右側送風装置80Rの構成は、ヘッドキャリッジ32に対して左側送風装置80Lと左右対称に配置されている点を除き、左側送風装置80Lと同じである。ここで、ヘッドキャリッジ32が行き方向Y1に移動してインクヘッド34のノズル35から記録媒体5にインクを吐出する際には、左側送風装置80Lの第1ファン87および第2ファン97が駆動される。一方、ヘッドキャリッジ32が帰り方向Y2に移動してインクヘッド34のノズル35から記録媒体5にインクを吐出する際には、右側送風装置80Rの第1ファン87および第2ファン97が駆動される。
【0054】
ここで開示される技術は様々なタイプのプリンタに適用することができる。上述した実施形態で示したフラットベッドタイプのプリンタ10の他、例えば、ロール状の記録媒体5を副走査方向Xに搬送する、所謂、Roll-to-Rollタイプのプリンタ10にも同様に適用することができる。
【解決手段】プリンタは、記録媒体5にインクを吐出するインクヘッドと、記録媒体に向けて風を送る送風装置80と、を備えている。送風装置は、記録媒体周辺の空気を取り入れる第1吸気口83を有し、移動方向Y1においてインクヘッドよりも後方に配置された第1ケース81と、第1吸気口から空気を吸引して第1排出口84から空気を排出する第1ファン87と、上方に向けて開口する第2吸気口93を有し、移動方向Y1において第1吸気口よりも後方に位置する第2ケース91と、第2吸気口から空気を吸引して第2排出口94から記録媒体に空気を排出する第2ファン97と、を備えている。第1ファンの風量は、第2ファンの風量よりも小さい。