(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストッパーは、床面と平行に伸びるピン部材であり、当該ピン部材の一端部は、当該ピン部材の伸びる方向に、前記扉を支持する位置と前記扉の支持を解除する位置との間を移動し、
前記第2支持解除部は、
前記ピン部材の他端部を、前記扉を支持する方向に付勢する付勢部と、落下した前記錘が衝突する衝突部と、を備え、前記衝突部に前記錘が衝突することにより、前記付勢部の付勢が解除され、前記ピン部材の一端部を前記扉の支持を解除させる位置に移動させる、
請求項1に記載の扉閉鎖装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
本発明の一実施形態の動物捕獲装置について、
図1〜14を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る動物捕獲装置1の全体斜視図である。動物捕獲装置1を説明するにあたり、動物捕獲装置1の入口と対向する背面を結ぶ方向を前後方向、一対の側面部材を結ぶ方向を左右方向、前後方向及び左右方向の双方に垂直な方向を上下方向として説明する。動物捕獲装置1は、載置される場所に応じて向きは異なり、上下・左右・前後の方向は、本実施の形態を説明するために任意に定められた方向である。
【0017】
(動物捕獲装置の構造)
動物捕獲装置1は、いわゆる箱罠と呼ばれる装置であり、入口から入った動物を感知して、入口の扉を落下させて、動物を内部に捕獲する装置である。動物捕獲装置1の全体構成を
図1〜6を参照して説明する。
【0018】
動物捕獲装置1は、
図1に示すように、箱状の罠本体10と、罠本体10の一つの側面に開口する入口11と、入口11を閉鎖する扉20と、扉20を案内して上下方向に移動させる扉ガイドレール30と、扉20を落下させて入口11を閉鎖する扉閉鎖装置40と、罠本体10を地面に固定する固定部材50と、内部に入った動物を限定された空間に閉じ込める仕切板60と、を備える。
【0019】
罠本体10は、床面を形成する床部材101と、天井を形成する天井部材102と、一対の側面を形成し、床部材101と天井部材102とを連結する一対の側面部材103、104と、入口11と対向して配置される背面部材105と、を連結して構成される。床部材101、天井部材102、一対の側面部材103、104、及び背面部材105は、同一構造のユニットフレームにより形成されている。
【0020】
ユニットフレーム12は、
図2(a)に示すように、4本の長板部材を連結して矩形状としたフレーム121と、フレーム121内を格子状に仕切る柱部材122と、により形成される。柱部材122は、図示の上下方向に伸びる第1柱部材122aと、第1柱部材122aと垂直に配置される第2柱部材122bにより構成される。
【0021】
第1柱部材122aは、
図2(b)に示すように、スチール製の長板を、長板の伸びる方向と平行な折曲線に沿って折曲げて形成され、断面がハット形状である、いわゆるハット鋼である。第2柱部材122bは、長尺なスチール製の平板である。第1柱部材122aと第2柱部材122bとは、それぞれが重なる位置を、スポット溶接により溶接して接続される。第1柱部材122aと第2柱部材122bとは、スポット溶接により溶接されるので、はんだ溶接又はアーク溶接と比較して、溶剤が不要であり、互いの金属を熔解して接続される。したがって、確実に接続でき、仕上がりもきれいである。また、スポット溶接機により、一度に複数個所の溶接が可能であるので、短時間で溶接が可能となり、量産に適する。
【0022】
床部材101、天井部材102、一対の側面部材103、104、及び背面部材105は、それぞれ同一の構造のユニットフレーム12により形成される。床部材101、天井部材102、側面部材103、104のそれぞれの端部を接続して組み立て、直方体を形成する。この直方体の床部材101をイノシシ等の動物を捕獲する場所の地面に配置して、動物捕獲装置1は設置される。この状態で、前後方向には開口形成される。前方の開口は、動物が入る入口11となり、後方の開口は、背面部材105で閉塞される。背面部材105は、床部材101、天井部材102、一対の側面部材103、104とは相違する寸法のユニットフレーム12を使用して形成される。
【0023】
床部材101、天井部材102、一対の側面部材103、104、及び背面部材105は、それぞれボルトとナットで連結され、罠本体10を構成する。罠本体10は、同一構造のユニットフレーム12を連結して組み立てるので、量産することが可能である。
【0024】
扉20は、
図1に示すように、床部材101、天井部材102、一対の側面部材103、104、及び背面部材105と、同一構造のユニットフレーム12を使用して形成される。扉20は、後述する扉ガイドレール30に案内されて、上下方向に移動する。
【0025】
扉ガイドレール30は、一対のレールユニット31と、一対のレールユニット31を連結する受入部32と、を備える。レールユニット31は、スチール製のみぞ形鋼である。一対のレールユニット31は、みぞ形鋼の互いの開口が向かい合わされて、入口11の左右に配置される。一対のレールユニット31は、入口11を形成する側面部材103、104のフレームに、複数のL型金具31aにより取り付けられる。一対のレールユニット31は、側面部材103、104のフレームの下端から上端に向けて伸び、さらに、上端から延出して立設される。受入部32は、一対のレールユニット31の下端部を連結し、落下した扉の下部を受け入れる。また、扉ガイドレール30の、扉20が落下したときの扉20の上端部の位置に、扉20を固定するための扉固定部材33が取り付けられる。
【0026】
なお、扉ガイドレール30は、一対のレールユニット31と、受入部32を備えると説明したが、一対のレールユニット31の各上端部を連結する柱部材を取り付けてもよい。このような柱部材を取り付ければ、扉ガイドレール30の歪みを防止し、強度を高めることができる。
【0027】
固定部材50は、罠本体10を地面に固定する部材であり、
図5に示すように、ガイド部材51と、杭52を備える。ガイド部材51は、
図4(b)に示すように、側面部材103、104の第1柱部材122aの伸びる方向に沿って取り付けられ、杭52を上下方向にガイドする。ガイド部材51は、長尺のスチール板を折曲げて断面形状が凹状に形成される。杭52は、ガイド部材51の凹部内を上下方向に移動するように案内される。杭52は、下端部が鋭角に形成された杭本体52aと、上端部に形成され、杭52を地面に打ち込むときにハンマー等で打撃される頂部52bを備える。
【0028】
このような固定部材50を使用して、罠本体10を地面に固定するには、
図6に示すように、罠本体10を地面に配置した後、頂部52bをハンマー等で打撃して、杭52の下端部を地面の中に打ち込む。本実施の形態では、固定部材50を、罠本体10に一体として固定した。したがって、従来のように罠の周りに、杭を打ち込み、その後、杭と罠の枠にロープ等を巻回して固定するという作業が不要となる。
【0029】
仕切板60は、罠本体10の内部を仕切り、内部に入った動物を、狭い空間に閉じ込めるための板である。仕切板60は、
図4(a)(b)に示すように、動物が罠本体10内部に入っていないとき、又は動物を狭い空間に閉じ込める必要がないときには、天井部材102に、天井部材102と平行な状態で保持される。仕切板60により動物を狭い空間に閉じ込めるときには、仕切板60の保持を解除して、罠本体10内部を仕切るように移動させて使用する。詳細は後述する。また、仕切板60は、仕切板停止部材600により、動きを停止される。
【0030】
(扉閉鎖装置の構造)
扉閉鎖装置40は、
図1、3、4に示すように、扉20を支持するストッパー41と、罠本体10の内部に動物が入ったことを感知する感知部42と、錘を支持する支持部43と、感知部42により罠本体10の内部に動物が入ったことが感知されると、支持部43の支持を解除して錘を落下させる第1支持解除部44と、錘が衝突することによりストッパー41の支持を解除して扉を落下させる第2支持解除部45と、を備える。なお、
図3(a)において、背面部材105は、点線で示した。
【0031】
扉閉鎖装置40は、
図1、
図4(a)(b)に示すように、天井部材102の上面の前端に配置される。扉閉鎖装置40は、
図7(a)(b)に示すように、隣り合う一対の第1柱部材122aの間を繋ぐように取り付けられた基板400上に配置される。この基板400の上面に、ストッパー41と、錘431を支持する支持部43と、錘431を落下させる第1支持解除部44と、ストッパー41の扉20の支持を解除する第2支持解除部45とが、配置される。
【0032】
ストッパー41は、
図1及び
図4(a)に示すように、天井部材102の前端に配置され、扉20が落下して入口を塞がないように扉20を支持する。ストッパー41は、
図7(a)(b)に示すように、扉20の下端部を支持するピン部材411と、ピン部材411を基板400に固定して、ピン部材411を前後方向に案内する、ピン案内部材412と、を備える。ピン部材411は、動物を捕獲する前は、天井部材102の上面の前端から前方向に突出するように、後述する付勢部材により付勢されている。ピン部材411は、突出した部分により、扉20の下端部を支持する。箱罠で使用される扉20は、約10キログラムの重さを有する。
【0033】
支持部43は、
図7(a)(b)に示すように、内部に錘431を収容し、錘431を上下方向に案内するウェイトガイドレール432と、錘431を所定の高さ位置に支持する支持板433と、を備える。ウェイトガイドレール432は、基板400の上面から上方に伸び、断面がU字状であるレールである。高さは、約50cmである。ウェイトガイドレール432には、罠本体10の高さ方向に基板400と平行に伸びる複数のスリット432aが形成されている。支持板433は、ウェイトガイドレール432のスリット432aに挿入される板状部材であり、
図8(b)に示すように、錘431が載せられる中央部433aと、中央部433aから外側に延出してスリット432aに差し込まれる端部433bとを備える。支持板433を差し込むスリット432aの位置を選択することで、錘431の落下速度を調整することができる。本実施の形態で使用される錘431の重さは、約50グラムである。
【0034】
支持部43の支持板433には、
図7(b)、
図8(a)に示すように、糸6の一端部が連結される。糸6は、
図4(a)(b)に示すように、支持部43から天井部材102の上部を後方に向けて張られている。天井部材102には、背面部材105から前方向に所定の間隔を開けた位置に、貫通孔を有する案内金具102aが取り付けられる。支持部43から出た糸6は、案内金具102aの貫通孔に通され、天井部材102から側面部材103に向けて方向が変換される。方向変換された糸6は、天井部材102のフレーム内に取り付けられた張力調整部材110の内部を通る。側面部材103の第2柱板部材122bには、その高さ方向に複数の案内孔122bbが形成される。張力調整部材110を通過した糸6は、複数の案内孔122bbの何れか1つの案内孔122bbを通る。このようにして、糸6は、側面部材103の上端から案内孔122bbまで、掛け渡される。案内孔122bbを通過した糸6は、側面部材103と対向する側面部材104に向けて、罠本体10の内部に掛け渡される。側面部材104には、側面部材103の第2柱部材122bと同じ位置に、複数の案内孔(図示せず)が設けられる。複数の案内孔のうち、側面部材103に設けられた案内孔122bbと同じ高さに設けられた案内孔に糸6を通して固定して、側面部材103と側面部材104の間に糸6を掛け渡す。このように、糸6は、支持部43から天井部材102の上面を経て、一方の側面部材103に達し、一方の側面部材103と他の側面部材104を繋ぐように張られる。
【0035】
糸6として、木綿又は合成樹脂により形成された紐、ピアノ線、ステンレスワイヤー等錆に強く伸縮性の無いものなら広く適用出来る。
【0036】
側面部材103と側面部材104との間に張られた糸6は、
図1、
図3(a)に示すように、感知部42として機能する。側面部材103と側面部材104の間に張られた糸6に、罠本体10に侵入した動物が引っかかることで、罠本体10に動物が入ったことが感知される。仕掛けが作動すると、糸6は扉閉鎖装置40から完全に切り離されるので、動物捕獲装置1の中に入った動物が暴れたとき、扉閉鎖装置40を損傷するリスクを軽減できる。
【0037】
案内孔122bbは、側面部材103、104の第2柱状部材122bの高さ方向に複数設けられているので、作業者は、罠本体10に入る動物の大きさに応じて、案内孔122bbの位置を選択する。
【0038】
糸6が感知部42として機能するためには、糸6は、適切な緊張状態に保持する必要がある。糸6の張力は、動物捕獲装置1を設置するときに、張力調整部材110により、調整される。また、動物捕獲装置1を設置した後、最初のうちは、糸6を動物捕獲装置1の上部に張り、動物が糸6に引っかからないようにし、動物を動物捕獲装置1に慣れさせるようにすることが好ましい。
【0039】
張力調整部材110は、
図4(a)に示すように、動物捕獲装置1の後方の、天井部材102のフレーム内に取り付けられる。張力調整部材110は、天井部材102のフレームに取り付けられた軸103aを中心に回動する。張力調整部材110は、
図10に示すように、本体部110aと、案内金具102aから導かれた糸6が導入される導入板110bと、導入された糸6を、案内孔122bbに導出する導出板110cとを備える。導入板110bと導出板110cには、各々孔が形成され、案内金具102aから導出された糸6は、導入板110bの穴を通り、そして、導出板110cの穴を通り、案内孔122bbへと達する。また本体部110aには、軸103aを通すための貫通孔110dが形成されている。
【0040】
糸6の張力を緩めたいときには、
図11(a)に示すように、矢印方向に張力調整部材110を回動させ、糸6の張力を強くしたときには、
図11(b)に示すように、矢印方向に張力調整部材110を回動させる。
【0041】
従来は、糸の長さを適切な長さにすることにより、張力を調整していたが、適切な長さに調整することは、熟練の感覚が必要であり、作業が難しかった。本実施の形態では、張力調整部材110を使用することにより、簡単に糸6の張力を調整することができる。
【0042】
第1支持解除部44は、
図7(a)(b)に示すように、糸6と、錘431を支持する支持板433から構成される。感知部42として機能する、側面部材103と側面部材104との間に掛け渡された糸6に、動物が接触して、糸6が、罠本体10の後方に引っ張られる力が働くと、支持板433はスリット432aから引き抜かれる。錘431を支持していた支持板433が、スリット432aから外れると、錘431の支持が解除され、錘431は下方に落下する。
【0043】
第2支持解除部45は、
図7(a)(b)に示すように、落下した錘431が衝突するレバー部材451と、レバー部材451と係合するとともに、ストッパー41に付勢力を与える係合部材452と、係合部材452に付勢力を与えるバネ部材453と、を備える。係合部材452とバネ部材453により、ストッパー41を、扉20を支持する方向に付勢力を与える付勢部として機能する。
【0044】
レバー部材451は、係合部材452と支持部43との間に配置され、基板400と平行に配置される軸451aを中心に回転する。レバー部材451は、錘431が衝突する衝突部451bと、係合部材452と係合する第1係合部451cとを備え、衝突部451bと第1係合部451cは、軸451aを挟んで配置される。軸451aと第1係合部451cまでの距離は、軸451aと衝突部451bの錘431が衝突する部分までの距離より短い。衝突部451bに錘431が衝突することで、衝突部451bは、軸451aを中心に下降し、第1係合部451cは、上昇する。
【0045】
衝突部451bは、基板400と平行である平面部451bbを有し、この平面部451bbに錘431が衝突する。第1係合部451cは、基板400と垂直である平面部451ccを有し、この平面部451ccが、係合部材452と係合する。
【0046】
係合部材452は、ストッパー41と、バネ部材453及びレバー部材451との間に配置される。係合部材452は、ストッパー41と対向する部分は、ピン案内部材412に接続され、レバー部材451と対向する部分には、レバー部材451の第1係合部451cと係合する第2係合部452cを有する。係合部材452のバネ部材453と対向する部分には、バネ部材453の一端部が接続される第1バネ接続部452aを備える。
【0047】
バネ部材453は、係合部材452を、前方向に付勢する部材である。バネ部材453は、引張りバネ453aと、引張りバネ453aの一端部を収容し、引張りバネ453aの張力を調整する調整部453bと、を備える。引張りバネ453aは、一方の端部を第1バネ接続部452aに固定する第1フック453cと、引張りバネ453aの他方の端部を調整部453bに設けられた軸に固定する第2フック453dと、を備える。調整部453bには、引張りバネ453aの引張り方向に、複数の調整孔453bbが形成される。この調整孔453bbに第2フック453dが固定される軸を通す。引張りバネ453aの張力を調整する場合には、調整孔453bbに挿入する軸の挿入位置を変更する。
【0048】
(扉閉鎖装置の動作)
このような構成を備える扉閉鎖装置40を使用する例を、
図1及び
図9を用いて説明する。
【0049】
扉閉鎖装置40を備える動物捕獲装置1を使用する場合、まず、イノシシ等の動物を捕獲する場所に、上述したように組み立てられた罠本体10を設置する。扉20は、作業員により持ち上げられ、ピン部材411は基板400の前端より突出した状態し、扉20の下端部をピン部材411の上に載せる。次に、糸6を、側面部材104の所定の高さに設けられた案内孔に固定し、固定された糸6を側面部材103の案内孔122bbに通す。そして、糸6を天井部材102のフレーム内に取り付けられた張力調整部材110と案内金具102aに通し、支持板433に糸6を固定する。そして、支持板433をスリット432aに挿入する。張力調整部材110を操作して、糸6の緊張を適切な緊張度合いに保って、動物捕獲装置1のセッティングが完了する。
【0050】
動物が、動物捕獲装置1に入っていない状態では、ピン部材411により扉20は支持され、動物捕獲装置1の入口11は開いている。この状態では、
図9(a)に示すように、錘431は、支持板433上に保持されている。ピン部材411は、一端部が基板400の前端部より突出し、突出した部分で、扉20を支持する。
【0051】
動物が、動物捕獲装置1に入り、感知部42として機能する糸6に接触し、糸6が罠本体10の後方に引っ張られると、
図9(b)に示すように、糸6が後方に引っ張られて、糸6が連結された支持板433が、スリット432aから抜ける。支持板433がスリット432aから抜けることで、支持板433により保持されていた錘431が、ウェイトガイドレール432内を落下する。
【0052】
ウェイトガイドレール432内を落下した錘431は、レバー部材451の衝突部451bに衝突する。錘431が衝突部451bに衝突することにより、レバー部材451は、軸451aを中心に回転して、第1係合部451cが上昇して、第1係合部451cと係合していた係合部材452の第2係合部452aとの係合が解除される。
【0053】
このとき、軸451aと第1係合部451cとの距離aは、軸451aと衝突部451bの錘431が衝突する部分との距離bより短い。したがって、レバー部材451は、軸451aを支点とする「てこ」として機能する。錘431が衝突部451bに衝突し、てこの原理により、50グラムの錘431により、第1係合部451cが上昇し、第1係合部451cと第2係合部452cとの係合が解除される。
【0054】
なお、第1係合部451cと第2係合部452cとの係合は、てこの作用を利用しなくても、解除できる。錘431が所定の高さから落下するので、落下による衝撃力により、解除することができる。
【0055】
第1係合部451cと第2係合部452cとの係合が解除されることで、引張りバネ453の付勢力が解除され、
図9(c)に示すように、ピン部材411が引張りバネ453に引っ張られ、後方に移動する。ピン部材411が後方に移動されることで、ピン部材411により支持されていた扉20の支持が解除されて、扉20は落下し、入口11が扉20により閉鎖される。このように、動物捕獲装置1に入った動物が、感知部42として機能する蹴り糸に軽く触れるだけで、扉20を閉めることができる。
【0056】
(仕切板の構造)
本実施の形態の動物捕獲装置1は、動物を捕獲したあとに、動物を狭い空間に閉じ込めるための、仕切板60を備える。仕切板60は、捕獲した動物を狭い空間に閉じ込め、動きを封じ込める保定という作業をするために使用される。保定された動物は、動きを停止させるために止め刺しが施される。止め刺しは、銃、電気等を使用して行われる。
【0057】
仕切板60は、天井部材102、側面部材103、104、及び背面部材105と同様に、ユニットフレーム12を用いて形成される。仕切板60は、
図1、3、4に示すように、罠本体10の内部の天井部材102の裏面に、天井部材102の板面と平行に取り付けられる。
【0058】
図12(a)(b)は、天井部材102に取り付けられた仕切板60を示す図であり、仕切板60を破線で示す。仕切板60のフレーム121は、前後方向に対向するフレーム121を備え、前側の前フレーム121aと後側の後フレーム102bとを備える。そして、天井部材102には、前フレーム121aを保持する仕切板保持部材605と、後側の後フレーム121bの左右両端部を、回転軸606aを中心に回動可能に保持する仕切板回動部材606と、が取り付けられている。
【0059】
仕切板保持部材605は、解除ハンドル605aと、解除ハンドル605aの下方に取り付けられたフック部605bとを備え、仕切板保持部材605は、軸605cを中心に回動する。
【0060】
(仕切板の動作)
動物を保定する場合には、作業員は、動物を罠本体10の後方に追い込み、
図12(b)に示すように、解除ハンドル605aを矢印方向に倒し、仕切板60を保持していたフック部605bを、仕切板60から外す。天井部材102に保持されていた仕切板60は、保持を解除され、仕切板回動部材606の回転軸606aを中心に回動する。仕切板60の前フレーム121aは、
図13に示すように、弧を描くように下方に移動して、床部材101まで移動し、仕切板停止部材600により動きを停止される。
【0061】
(仕切板の移動停止)
仕切板停止部材600は、
図1、
図4(b)に示すように、側面部材103の後方の下部に取り付けられる。仕切板停止部材600は、側面部材104の後方の下部にも、側面部材103と同じ位置に取り付けられるが、図示は省略する。
【0062】
仕切板停止部材600の要部とその動作を、
図14(a)(b)に示す。仕切板停止部材600は、停止部本体601と、停止部本体601を側面部材103、104の第2柱部材122b及び下部のフレーム121に取り付けるための取付部材602と、停止部本体601と第1柱部材122aとを連結する弾性部材603と、を備える。
【0063】
停止部本体601は、
図14(a)に示すように、上面視でL字状に形成され、第1平板601aと第2平板601bとを備える。L字状の角部には、軸601cを通す空間を形成する折曲部601dが形成される。軸601cは、折曲部601dにより形成された空間を通り、軸601cの両端部は、取付部材602により、側面部材103、104の第2柱部材122bと、床部材101のフレーム121に固定される。停止部本体601は、軸601cを中心に、
図14(a)に示すように、上面視で、第1平板601aが起立した状態から倒れた状態、またはその逆に回転する。また、停止部本体601には、
図14(b)に示すように、弾性部材603を固定するための係合孔601eが形成されている。
【0064】
弾性部材603は、ゴム製の線状部材であり、側面部材103、104の第1柱部材122aの外周に巻き付けられる。このゴムの一端部が、停止部本体601の係合孔601eに固定される。
【0065】
このような構造を備える仕切板停止部材600により、仕切板60の動きが停止される動作を、
図14(a)(b)を参照して説明する。
【0066】
仕切板保持部材605の保持が、解除ハンドル605aにより解除されることにより、仕切板60は、仕切板回動部材606の回転軸606aを中心に回動し、仕切板60の前フレーム121aは停止部本体601に近づく。このとき、停止部本体601の第1平板601aは、
図14(a)に示すように、第2柱部材122bから、上面視で垂直に起立する位置に配置されている。
【0067】
この状態で、仕切板60が第1平板601aにぶつかり、第1平板601aは、罠本体10の後方向に倒れ、仕切板60は、更に後退する。仕切板60は、第1平板601aにぶつかった後、重力により前方向に戻り始める。このとき、停止部本体601は、弾性部材603に連結されているので、弾性部材603の弾性力により、第1平板601aは、もとの位置である第2柱部材122bから起立した位置に戻る。第1平板601aが元の位置に戻ったところに仕切板60が戻り、この位置で仕切板60の動きが停止される。
【0068】
動物の処分をするため、罠に入った動物を別の狭い空間に導入するということは、これまでも行われていたが、本実施の形態では、動物捕獲装置1に、仕切板60をあらかじめ組み込むことにより、別の保定装置を設置する必要がなくなり、設置スペースを小さくすることができる。また、仕切板60を一枚のみ動物捕獲装置1に組み込めばよく、重量増加も最低限度となり、設置作業にも影響はしない。
【0069】
(仕切板の変形例)
仕切板60は、仕切板回動部材606の回転軸606aを中心に回動して内部を仕切る回動型の仕切板である。仕切板60は、回動型ではなく、仕切板を上方に配置して、垂直方向に落下させて内部を仕切る垂直型の仕切板を用いてもよい。
【0070】
図15(a)(b)は、垂直型の仕切板61が組み込まれた動物捕獲装置1を示す図である。図中、仕切板61は、斜線を引いて表示する。動物捕獲装置1は、扉20を閉鎖する扉を案内する扉ガイドレール30の他に、仕切板61を垂直方向に落下させるための仕切板ガイドレール610が設けられる。仕切板ガイドレール610は、動物捕獲装置1の後方の背面部材105から所定の距離が離れた位置に配置される。
【0071】
仕切板ガイドレール610は、扉ガイドレール30と同様に、一対のレールユニット611を備える。レールユニット611は、スチール製のみぞ形鋼である。一対のレールユニット611は、側面部材103、104の下部から上方に伸び、さらに、天井部材102の上面から延出して立設される。レールユニット611は、扉ガイドレール30のレールユニット31と相違して、レールユニット611の下端部は、床部材101に達していなくてもよい。レールユニット611は、一対の側面部材103、104の間に挟まれており、仕切板61が下方に案内されるように移動できればよく、床部材101に到達しなくても、安定して下方に案内される。仕切板ガイドレール610の、仕切板61が落下したときの仕切板61の上端部の位置に、仕切板61を固定するための仕切板固定部材616が取り付けられる。
【0072】
仕切板ガイドレール610には、仕切板61を天井部材102の上方に支持する仕切板支持部612が取り付けられる。
図16は、
図15(a)の破線で円形に示す部分を拡大した図である。
図15(a)は、仕切板61が既に落下した状態を示しており、仕切板支持部612は既にないが、
図16では、仕切板61が落下する前の仕切板ガイドレール610と仕切板支持部612を示している。
図16に示すように、仕切板ガイドレール610の天井部材102の上方位置に、仕切板ガイドレール610の伸びる方向と垂直方向に貫通孔610aが形成される。この貫通孔610aに仕切板支持部612が挿入される。仕切板支持部612は、所定の長さを有する棒部材であり、その一端部に、棒部材の伸びる方向と垂直にピン612aが挿入される。
【0073】
仕切板61を支持する場合には、
図15(b)に示すように、仕切板ガイドレール610の貫通孔610aに仕切板支持部612が挿入される。仕切板61の下部が、仕切板支持部612に支持されることにより、仕切板61は、天井部材102の上方に配置される。仕切板61を落下させるときには、作業者は、仕切板支持部612のピン612aを持って、仕切板支持部612を貫通孔610aから引き抜く。
【0074】
仕切板61を落下させて、捕獲した動物を狭い空間に閉じ込めるためには、作業員は、動物を動物捕獲装置1の後方に追い込んだのち、仕切板支持部612の支持を解除する。支持が解除されると、仕切板61は垂直に落下し、罠本体10の内部を仕切り、動物を罠本体10の後方に閉じ込めることができる。
【0075】
なお、仕切板61と扉20は、それぞれ落下したのち、固定部材により動きを規制される。
図17に、
図15(b)を矢印方向Yからみた要部拡大図を示す。扉20及び仕切板61は図示しない。
図17に示すように、仕切板ガイドレール610には、仕切板固定部材616が取り付けられ、扉ガイドレール30には、扉固定部材33が取り付けられる。仕切板固定部材616は、軸616bを中心に回転する固定板616aを備え、扉固定部材33は、軸33bを中心に回転する固定板33aを備える。固定板616aは、四角形の1つの角部を切り欠いた形状をしており、切り欠いた部分に落下する仕切板61が当たることにより、軸616bを中心に切り欠いた部分が外側に回転する。仕切板61が落下して、仕切板固定部材616が取り付けられた位置を通過した後、固定板616aは、軸616bを中心に内側に回転して、切り欠いた部分が仕切板61の上端部を上方から押さえる。このような動作により、仕切板61は、落下した後、動きを規制される。扉固定部材33も同様な動作により、扉20が落下した後の動きを規制する。
【0076】
本実施の形態によれば、動物が糸6に接触すると、錘431が落下して、扉20を支持していた支持部43の支持が解除され、扉20が閉まるので、簡単な構造で、小さな力で扉を閉めることができる。
【0077】
本実施の形態によれば、錘431が落下することにより生じる落下力により、ストッパー41の支持を解除できるので、ストッパー41の支持を簡単な構造で、解除することができる。
【0078】
本実施の形態によれば、動物を狭い空間に閉じ込める仕切板60、61を、動物捕獲装置1と一体化したので、別途に動物を保定するための設備を設ける必要がない。また、動物を狭い空間に容易に閉じ込めることができるので、保定した後の止め刺しの作業が行いやすくなる。
【0079】
本実施の形態によれば、張力調整部材110を設けたので、作業員の感覚に頼ることなく、簡単に糸の張力を調整することができ、作業時間も短縮することができる。
【0080】
本実施の形態によれば、動物捕獲装置1を地面に固定する固定部材50を、罠本体10に直接取り付けたので、別に固定部材を用意する必要がなく、動物捕獲装置1を地面に固定する作業も容易にできる。
【0081】
本実施の形態によれば、糸6に動物が接触したのち、錘431が落下してレバー部材451に衝突して、糸6が取り付けられた支持板433がスリット432aから外れる。糸6は扉閉鎖装置40から分離されるので、動物が動物捕獲装置1の内部で暴れて糸6に接触しても、糸6に加えられた力が扉閉鎖装置40に及ぶことはなく、扉閉鎖装置40を破損することはない。
【0082】
本実施の形態では、第2支持解除部材45は、レバー部材451を用いて、てこの原理により、ストッパー41の支持を解除すると説明したが、錘431の落下の力を利用する構成であれば、てこの原理を使用しなくてもよい。例えば、ピン部材411を弾性部材でピン部材411を突出する方向に押圧し、錘431が弾性部材を破壊して、押圧を解除する等の方法がある。
【0083】
本実施の形態では、仕切板60、61の説明をしたが、本発明は、仕切板60、61を備えなくてもよい。また、仕切板60、61は、動物捕獲装置1と脱着可能にして、使用者の好みに応じて使い分けることも可能である。
【0084】
本実施の形態では、ストッパー41として、天井部材102の前端部から突出するピン部材411を一本使用する例を説明した。本発明は、このような実施の形態に限定されず、複数のピン部材411を用いてもよい。
【0085】
本実施の形態では、感知部42として、蹴り糸を使用する例を説明したが、感知部42は、蹴り糸に限定されず、例えば、踏み板を用いて、踏み板を動物が踏んだことにより、動物が動物捕獲装置1に侵入したことを感知してもよい。
【0086】
本実施の形態では、錘431を一つ使用する例を説明したが、例えば、感知部42となる蹴り糸を複数本、動物捕獲装置1の内部に張り、複数の糸にそれぞれ接続された支持板に錘を保持させてもよい。複数の感知部とその感知部に対応する錘を備えることで、扉20を閉める機会を増やすことが可能となる。
【0087】
本実施の形態では、動物捕獲装置1として、箱罠を用いて説明したが、本発明は箱罠に限定されず、天井部材102のない、上部が開放された罠にも適用できる。その場合には、例えば、入口付近の上方に扉閉鎖装置を取り付ける基台を設けて、その上に扉閉鎖装置を設置してもよい。
【0088】
上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲とみなされる。
【課題】小さな力で扉が落下する構造とすることにより、捕獲する動物の大小にかかわらず使用でき、簡単に扉を開状態に設定できる、扉閉鎖装置及び扉閉鎖装置を備えた動物捕獲装置を提供する。
【解決手段】扉閉鎖装置40は、扉20を支持して入口11を開状態とし、扉20が落下することを阻止するストッパー41と、動物捕獲装置1の内部に動物が入ったことを感知する感知部42と、動物捕獲装置1の上部に配置される錘を支持する支持部と、動物が入ったことが感知されると、支持部の支持を解除して、錘を落下させる第1支持解除部と、落下した錘が衝突することにより、ストッパー41の支持を解除して、扉20を落下させる第2支持解除部と、を備える。