特許第6663192号(P6663192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663192
(24)【登録日】2020年2月18日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】転写具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   B43L19/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-178619(P2015-178619)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2017-52205(P2017-52205A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(72)【発明者】
【氏名】平田 周孝
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−235256(JP,A)
【文献】 特開2002−104718(JP,A)
【文献】 特開平06−286927(JP,A)
【文献】 特開平08−310714(JP,A)
【文献】 特開2009−286046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
B43M 11/00 − 11/08
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2分割された開閉自在とされた筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出コア、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取コア、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備え、少なくとも、使用後の、基材が巻き取られた巻取コア及び送出コアを未使用のそれらと交換可能な構造とされた転写具であって、前記筐体を、主に対向面とこの対向面と直交して隣接する隣接面の2面で構成された、一方側と他方側とに分割すると共に、前記転写部が位置する側と反対側に該一方側と該他方側の開閉軸部を設けて扇状に開閉する構造とし、さらに、交換可能な部材を配置した基板を有し、一方側、他方側の少なくとも一方の筐体の内面と対向する前記基板に、該筐体の内面を外側へ付勢する付勢部材を設けたことを特徴とする転写具。
【請求項2】
交換可能な部材のうちの巻取コア又は送出コアの軸内に、筐体へ装入される前には巻取コア又は送出コアの自由回転を阻止し、該筐体へ装入されて該筐体が閉状態となったときには前記自由回転の阻止を解除する回転ロック部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の転写具。
【請求項3】
一方側と他方側の筐体の内側に、外圧に対抗する支承部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2分割されて開閉可能な筐体を有し、内部部材を詰め替え交換可能な転写具に係り、特に筐体を手指で把持したり使用時に操作のために押圧することで発声する歪みや軋み、及び異音を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
転写媒体を紙などの被転写体に転写する転写具は、主要構成として、筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出コア、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取コア、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備えている。なお、本願において、転写テープ、転写媒体、基材を個別に説明しない限り、送出側に巻装された転写テープ、巻取側に巻装された基材、を総称して「基材」と言うこととする。
【0003】
上記構成の転写具には、様々な形態、形状のものが存在するが、そのうち、使用済みとなった送出コアと基材を巻装した巻取コアを新たなものに詰め替える詰替タイプのものが、例えば特開平11−59076号公報(特許文献1)や、特開平9−156824号公報(特許文献2)を含め、多数提案されている。
【0004】
なお、詰替は、少なくとも、使用済みの送出コアと巻取コアを取り出して、これらに対応する新たな未使用の(転写テープを巻装した)送出コアと、未だ基材をリード部分以外は巻き取っていない巻取コアとを1セットとして交換する。以下、交換される部材を「交換部材」と総称する。
【0005】
詰替タイプの転写具は、使用済みの交換部材を筐体内から取り出し、また、未使用の交換部材を筐体内に装入する必要がある。よって、例えば特許文献1,2に示されるように、筐体は、基材幅方向において一方を本体、他方を蓋体に2分割し、これら分割された筐体の本体と蓋体とをヒンジを介して開閉する構成としている。
【0006】
特許文献1は、転写部を介して基材の送り出し側と巻き取り側の方向(以下、「垂直方向」)に開閉するように、ヒンジが筐体の垂直方向の送り出し側の面又は巻き取り側の面に設けられている。特許文献2は、転写部が位置する側とこの反対側の方向(以下、「水平方向」という)に開閉するように、ヒンジが筐体の水平方向の転写部が位置する側の反対側の面に設けられている。
【0007】
しかし、特許文献1,2のように、ヒンジを用いて2分割された筐体の本体に対して蓋体を開いて交換部材を詰め替える場合、基材幅方向の略中央で筐体が本体と蓋体とで分割部(以下、「セパレート部」)が現れるので、使用する際に、筐体を把持したり操作する手指でセパレート部が押圧されると、歪みや軋みが発生し、異音が発生するなどの不具合が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−59076号公報
【特許文献2】特開平9−156824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題は、特許文献1,2のように2分割した筐体を開閉して交換部材を交換する構造では「セパレート部」が手指で把持する力あるいは使用時に押圧する力がかかると、歪みや軋みが発生し、異音が発生するなどの不具合が生じる点、である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、2分割された開閉自在とされた筐体内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープが巻装された送出コア、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取コア、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部を備え、少なくとも、使用後の、基材が巻き取られた巻取コア及び送出コアを未使用のそれらと交換可能な構造とされた転写具であって、前記筐体を、主に対向面とこの対向面と直交して隣接する隣接面の2面で構成された、一方側と他方側とに分割すると共に、前記転写部が位置する側と反対側に該一方側と該他方側の開閉軸部を設けて扇状に開閉する構造とし、さらに、交換可能な部材を配置した基板を有し、一方側、他方側の少なくとも一方の筐体の内面と対向する前記基板に、該筐体の内面を外側へ付勢する付勢部材を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成のように、本発明は、対向面とこの対向面と直交して隣接する隣接面の2面で構成された一方側と他方側に筐体を分割しているので、手指で把持する力あるいは使用時に押圧する力がかかるセパレート部が筐体の幅方向の面の中央ではなく、基材幅方向の端部に現れるので、セパレート部に力がかかることによる歪みや軋み、これに伴う異音の発生を抑制できる。また、本発明は、一方側と他方側に分割した筐体を開閉軸部を中心に扇状に開閉するので、筐体の交換部材に対する装脱開口を広く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の転写具の外観を示す図である。
図2】(a)〜(c)は本発明の転写具における筐体と開閉の構造を示す図である。
図3】本発明の転写具における、(a)は交換部材を示す図、(b)は回止部を示す図、である。
図4】(a)は本発明の転写具における筐体閉時のロック構造を、(b)は本発明の転写具における開閉軸部の位置関係を、各々示す図である。
図5】本発明の転写具における筐体の剛性向上構造について、(a)は耐力点を、(b)は支承モデルを、各々示す図である。
図6】本発明の転写具における筐体の剛性向上構造について、(a)は耐力点を、(b)は支承モデルを、各々示す図である。
図7】本発明の転写具における筐体の剛性向上構造について、(a)は耐力点を、(b)は支承モデルを、各々示す図である。
図8】(a)(b)は本発明の転写具における筐体の閉動作性向上構造について各々示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の転写具は、基材の幅方向中央部に2分割された筐体の結合部位である「セパレート部」が位置する構造において生じていた該セパレート部を押圧することによる歪みや軋みといった異音の発生を抑制するという目的を、主に対向面とこの対向面と直交して隣接する隣接面の2面で構成された一方側と他方側とに筐体を2分割し、前記転写部が位置する側と反対側に該一方側と該他方側の開閉軸部を設けて扇状に開閉する構造とすることで達成した。
【0014】
また、本発明は、上記構成において、開閉軸部が、転写部が位置する側と反対側へ、該転写部から筐体内における転写部と反対側に位置する巻取コア又は送出コアまでの長さの1/2以上の長さ分突出した位置に設けることで、この突出した部分が操作者の手の親指と人差し指の間の部位に位置してこの部位で転写具全体が安定的に手に支持されることとなり操作がしやすくなる。
【0015】
さらに、本発明は、上記構成において、交換可能な部材を配置した基板を有し、一方側、他方側の少なくとも一方の筐体の内面と対向する前記基板に、該筐体の内面を外側へ付勢する付勢部材を設けることで、交換部材全体が筐体内でがたつくことなく、筐体内部の異音の発生を抑制することができる。
【0016】
また、本発明は、上記構成において、交換可能な部材のうちの巻取コア又は送出コアの軸内に、筐体へ装入される前には巻取コア又は送出コアの自由回転を阻止し、該筐体へ装入されて筐体が閉状態となったときには前記自由回転の阻止を解除する回転ロック部材を設けることで、筐体に装入前の交換部材の巻取コアと送出コアの不要な回転を阻止して、基材が弛んだり、不用意に送り出されることが防止できる。
【0017】
さらに、本発明は、上記構成において、一方側と他方側の筐体の内側に、外圧に対抗する支承部を設けることで、筐体の剛性を向上させることができる。
【実施例】
【0018】
以下、図1図8を参照して本発明の具体的実施形態について説明する。本発明の転写具1の基本構成は、筐体2内に、基材に転写媒体が塗布された転写テープ(不図示)が巻装された送出コア3、転写テープのうちの転写媒体が被転写体へ転写された後の基材を巻き取る巻取コア4、及び転写テープの転写媒体を被転写体へ転写する転写部5を備え、いわゆる詰替タイプ、すなわち、少なくとも、使用後の、基材が巻き取られた巻取コア4及び送出コア3を未使用のそれらと交換する構造とされている。
【0019】
筐体2は、一方側2Aと他方側2Bとに2分割とされており、以下、本例において一方側2Aは交換部材が配置される本体として、他方側2Bは本体の交換部材を含め内部を覆う蓋として、各々位置付けている。
【0020】
そして、2分割された一方側2Aと他方側2Bは、図2(a)(b)に示すように、後述する図2(c)に示す開閉軸部2Cを中心に他方側2B(蓋)が一方側2A(本体)に対して扇状に開閉可能に構成されている。
【0021】
一方側2Aは、主に、閉じた状態で他方側2Bの対向面2Baと対向する対向面2Aaとこの対向面2Aaと直交して隣接する隣接面2Abにより構成されている。また、他方側2Bは、主に、閉じた状態で一方側2Aの対向面2Aaと対向する対向面2Baとこの対向面2Baと直交して隣接する隣接面2Bbにより構成されている。
【0022】
本例の場合、一方側2A及び他方側2Bは、対向面2Aa,2Ba、隣接面2Ab,2Bbにより、閉じた状態で筐体2の4面を構成するが、6面の残りの2面のうち1面は転写部5の開口を形成する理由から存在せず、残りの2面のうちさらに1面は該筐体2の全体形状が転写部5が位置する側と反対側に向けて尖塔状(以下、この部分を尖塔状部2Dという)としているために存在しない。
【0023】
筐体2の、転写部5が位置する側と反対側(以下、反転写部側という)の尖塔状部2Dには、図2(c)に示すように、該尖塔状部2Dの端部に開閉軸部2Cが設けられている。開閉軸部2Cは、他方側2Bの尖塔状部2Dにおける対向面2Aa,2Ba方向両端に形成された軸部2Bcと、一方側2Aの尖塔状部2Dにおける対向する壁面に形成された枢支部2Acと、によってヒンジ構造とされている。
【0024】
したがって、筐体2は、他方側2Bが一方側2Aに対して開閉軸部2Cを中心に転写部5の部位が扇状に旋回して開閉することとなり、一方側2Aの内部をほぼ全面的に開放することができる。また、本例のように筐体2を構成することで、一方側2Aと他方側2Bとの結合部位のセパレート部が目立つことを防止でき、かつ開閉のための構造を筐体2の内部に突出させて内部空間を圧迫することを防止できる。
【0025】
また、本例においては、図4(b)に示すように、尖塔状部2Dは、反転写部側へ、該転写部5から筐体2内における反転写部側に位置する本例の場合は送出コア3までの長さの1/2以上の長さ分突出させている。こうすることで、他方側2Bを一方側2Aに対して比較的小さい角度の旋回により、内部を全面的に開放することができる。
【0026】
さらに、一方側2Aと他方側2Bの閉状態の維持に関しては、図4(a)に示すように、該他方側2Bの転写部5方向の先端部位で隣接面2Bbにおいて対向面2Baが隣接する側と反対側に形成された係合凸部2Bdと、該一方側2Aの転写部5方向の先端部位の対向面2Aaの内面側に形成された係合凹部2Adと、によってロックができるよう構成している。
【0027】
また、本例の転写具1は、筐体2の一方側2Aと他方側2Bを閉時に結合した状態において剛性の向上を図るために、図5図7に示す、筐体2の一方側2Aと他方側2Bの内側に外圧に対抗する支承構造を採用している。
【0028】
例えば、筐体2において、使用時に被転写体に対して直交する面(以下、「側面」という、ちなみに対向面2Aaは「左側面」、対向面2Baは「右側面」という)には、使用時に筐体2を把持するための力がかかることから、本例では図5及び図7の支承構造を採用している。
【0029】
さらに、筐体2において、使用時に被転写体に面する側と反対面(以下、「上面」という、ちなみに被転写体に面する側を「下面」という)には、使用時に被転写体へ押圧する力がかかることから、本例では図6の支承構造を採用している。
【0030】
図5(a)は、他方側2Bの隣接面2Bbと隣接する対向面2Baと反対面の耐力点Aにおける剛性向上のための支承面Aについて示している。支承面Aは、他方側2Bの係合凸部2Bdが形成された部位において該係合突部2Bdの先後方向両端側に設けられた面、尖塔状部2Dにおける他方側2Bの隣接面2Bbの端面と一方側2Aの対向面2Aa周縁内面とが当接する面と、により形成され、支承面Aが一方側2Aの対向面2Aaの内面と当接することで、左右方向からの荷重を支承する。なお、図5(b)は支承面Aによる支承モデルを示している。
【0031】
図6(a)は、他方側2Bの対向面2Baの耐力点Bにおける剛性向上のための支承リブBについて示している。支承リブBは、他方側2Bの対向面2Baの内面に上面−下面方向に複数本形成し、一方側2Aの隣接面2Abの内面と当接させることで、上方からの荷重を支承する。なお、図6(b)は支承リブBによる支承モデルを示している。
【0032】
図7(a)は、尖塔状部2Dの耐力点Cにおける剛性向上のための一方側2Aの支承リブCAと他方側2Bの支承リブCBについて示している。支承リブCBは、他方側2Bの尖塔状部2Dの内側において転写部5方向に例えば適当な間隔を有して2枚形延設されている(図8参照)。支承リブCAは、一方側2Aの尖塔状部2Dの内側において断面視L字状とされ、反転写部方向へ間隔を有して2箇所設けられている。そして、耐力点Cは、支承リブCAのL字の縦長辺部が支承リブCBの(支承リブCAのL字縦長辺側の)側面と当接する部位及び支承リブCBの下端と支承リブCAのL字の横辺部とが当接する部位を意味する。なお、図7(b)は耐力点Cによる支承モデルを示している。
【0033】
また、本例における転写具1の筐体2は一方側2Aと他方側2Bの閉動作をスムーズに行うために、例えば、図8(a)(b)に示すように、筐体2における一方側2Aの対向面2Aaに設けられた部材S1(例えば本例では支承リブCA),S2であって該部材の閉時に他方側2Bの隣接面2Bbに当接する部位、筐体2における他方側2Bの対向面2Baに設けられた部材S3であって該部材のに閉時と一方側2Aの隣接面2Abに当接する部位、に面取り加工を施している(面取部P)。こうすることで、一方側2Aに対する他方側2Bの閉動作がスムーズに行うことができ、当該部位S1〜S3などの摺動音を抑制することができる。
【0034】
次に、本例の転写具1において使用される交換部材について説明する。本例では、転写部5と、送出コア3と、巻取コア4、を交換部材とする。これらは、基板6に支持されている。基板6は、送出コア3及び巻取コア4の軸の一方端、例えば本例では筐体2の他方側2Bにおける対向面2Baに臨む側に取り付けられる。
【0035】
基板6は、その上記配置関係で言うと筐体2の一方側2Aにおける対向面2Aaに臨む側の面(以下、この面を内側という)に、送出コア3と巻取コア4の各々の軸支部6A,6Bが形成されている。また、基板6は、内側に形成された腕部6aに支持されて転写部5が設けられている。
【0036】
基板6において、外側における軸支部6Aと軸支部6Bとの間の位置には、該基板6の外側面からさらに外側へ湾曲して弾性を付与されたばね部6Cが形成されている。このばね部6Cは、交換部材を装入した状態の筐体2の閉時に、本例の場合、他方側2Bの対向面2Baを付勢し、交換部材のがたつきを抑制する。
【0037】
また、基板6における本例では送出コア3の軸支部6Aには、その外周面の一部に外径方向に湾曲して弾性を付与された回止部6Dが形成されている。この回止部6Dは、筐体2が開いているときは、軸支部6Aに軸支された送出コア3を送出コア3の軸内周を外径方向へ付勢している。
【0038】
他方側2Bの対向面2Baにおける上記回止部6Dと対応する位置には、回止解除部6Eが形成されている。この回止解除部6Eは、筐体2の開時に送出コア3の内周を付勢して不要な回転を阻止し、筐体2の閉時においては回止解除部6Eがその他方側2Bの旋回移動により回止部6Dを内径方向へ押圧して該回止部6Dによる送出コア3の内周に対する付勢状態を解除する(これにより該送出コア3が回転可能となる)。
【0039】
このように構成された本例の転写具1は、筐体2が一方側2Aと他方側2Bがそれぞれ対向面2Aa,2Baと隣接面2Ab,2Bbで構成されと共に筐体2の一方側2Aに対して他方側2Bが開閉軸部2Cを中心とした扇状に開閉する構造であるので、セパレート部が筐体2の幅方向中央に現れず、よって、セパレート部に手指がかかって把持力や被転写体に対する押圧力を受けないので、歪みや軋みが生じにくく、また、これらに起因した異音の発生が抑制される。
【0040】
さらに、本例の転写具1は、開閉軸部2Cを、転写部5が位置する側と反対側へ、該転写部5から筐体2内における転写部5と反対側に位置する送出コア3までの長さの1/2以上の長さ分突出した尖塔状部2Dに設けることで、他方側2Bの一方側2Aに対して小さい角度の回転で筐体2内を全面的に開放できる。
【0041】
また、本例の転写具1は、上記のように尖塔状部2を長く取ることで、該尖塔状部2を例えば人差指と親指との間にフィットさせて安定した把持状態で使用することが可能となる。
【0042】
さらには、本例の転写具1は、筐体2の一方側2Aと他方側2Bの内側に外圧に対抗する支承構造を採用することで、剛性が向上する。さらにこうした支承構造においては、一方側2Aと他方側2Bの対向面2Aa,2Ba又は隣接面2Ab,2Bbの相互に接触する部位の面取部Pを形成しているので、筐体2の閉動作を阻害することがないと共に摺動音を抑制することができる。
【0043】
また、本例の転写具1は、基板6にばね部6Cを形成することで、交換部材が筐体2の内部でがたつくことを抑制でき、また、軸支部6Aに回止部6Dを、他方側2Bの対向面2Baに回止解除部6Eを設けることで、筐体2の開時には送出コア3が不要に回転することを抑制でき、かつ閉時には送出コア3を円滑に回転させるようにできる。
【0044】
すなわち、本発明の転写具1は、上記構成とすることで、手指で把持する力あるいは使用時に押圧する力がかかるセパレート部が筐体の幅方向の面の中央ではなく、基材の幅方向端部に現れるので、セパレート部に力がかかることによる歪みや軋み、これに伴う異音の発生を抑制できるだけでなく、剛性の向上、筐体2内での交換部材のがたつきの抑制、送出コア3の不要な基材の送り出しの抑制といった、従来にはない格別の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 転写具
2 筐体
2A 一方側
2B 他方側
2C 開閉軸部
2D 尖塔状部
2Aa,2Ba 対向面
2Ab,2Bb 隣接面
3 送出コア
4 巻取コア
5 転写部
6 基板
6A 軸支部
6B 軸支部
6C ばね部
6D 回止部
6E 回止解除部
A 支承面
B 支承リブ
CA 支承リブ
CB 支承リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8