【実施例】
【0095】
以下に実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。なお全体的な遺伝子操作は、Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))に記載されているように行うことができる。また、遺伝子操作に使用する酵素、クローニング宿主等は、市場の供給者から購入し、その説明に従い使用することができる。なお、酵素としては、遺伝子操作に使用できるものであれば特に限定されない。
【0096】
[製造例1]KNK005ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、遺伝子破壊用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0097】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号1及び配列番号2で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で2分を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−(東洋紡社製)を用いた。また同様に、配列番号3及び配列番号4で示されるプライマーを用いて、PCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号1及び4で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaZ6構造遺伝子より上流及び下流の塩基配列を有する遺伝子破壊用プラスミドベクターpNS2X−phaZ6(−+)を作製した。
【0098】
さらに、C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号5及び配列番号6で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号7及び配列番号8で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号5及び8で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaZ1構造遺伝子より上流及び下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドベクターpNS2X−phaZ1(−+)を作製した。
【0099】
さらに、C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号9及び配列番号10で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号11及び配列番号12で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、上記PCRで得られた2種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号9及び12で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaZ2構造遺伝子より上流及び下流のDNA配列を有する遺伝子破壊用プラスミドベクターpNS2X−phaZ2(−+)を作製した。
【0100】
次に、遺伝子破壊株の作製を行った。
【0101】
遺伝子破壊用プラスミドベクターpNS2X−phaZ6(−+)で大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、KNK005株(US7384766号参照)とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。KNK005株は配列表の配列番号46に記載のアミノ酸配列を有するPHA合成酵素をコードする遺伝子を導入したC. necator H16株である。
【0102】
培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaZ6遺伝子の開始コドンから終止コドンまでを欠失した菌株1株を単離した。この遺伝子破壊株をKNK005ΔphaZ6株と命名した。得られたKNK005ΔphaZ6株はC. necator H16株の染色体上のphaZ6遺伝子の開始コドンから終止コドンまでを欠失し、染色体上に配列表の配列番号46に記載のアミノ酸配列を有するPHA合成酵素をコードする遺伝子が導入された株である。
【0103】
さらに、同様の方法で、KNK005ΔphaZ6株を親株としてpNS2X−phaZ2(−+)を用いて、染色体上のphaZ6遺伝子の開始コドンから終止コドンまでを欠失し、さらにphaZ2遺伝子の16番目のコドンから終止コドンまでを欠失した染色体遺伝子破壊株KNK005ΔphaZ2,6株を作製した。さらに、同様の方法で、KNK005ΔphaZ2,6株を親株としてpNS2X−phaZ1(−+)を用いて、染色体上のphaZ6遺伝子及びphaZ1遺伝子の開始コドンから終止コドンまでを欠失し、さらにphaZ2遺伝子の16番目のコドンから終止コドンまでを欠失した染色体遺伝子破壊株KNK005ΔphaZ1,2,6株を作製した。得られたKNK005ΔphaZ1,2,6株はC. necator H16株の染色体上のphaZ6遺伝子及びphaZ1遺伝子の開始コドンから終止コドンまでを欠失し、さらにphaZ2遺伝子の16番目のコドンから終止コドンまでを欠失し、染色体上に配列表の配列番号46に記載のアミノ酸配列を有するPHA合成酵素をコードする遺伝子が導入された株である。
【0104】
[製造例2]KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0105】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号13及び配列番号14で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号15及び配列番号16で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、プラスミドpKK388−1(CLONTECH社製)をテンプレートとして配列番号17及び配列番号18で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号13及び配列番号16で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4b構造遺伝子より上流の塩基配列、trcプロモーター、phaC1SD配列、及びphaJ4b構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−trc−phaJ4bを作製した。
【0106】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0107】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−trc−phaJ4bで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4b構造遺伝子の上流に、配列番号38で示される、trcプロモーター及びphaC1SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0108】
[製造例3]KNK005 lacUV5−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株の作製
先ず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0109】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号13及び配列番号14で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号15及び配列番号16で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、E. coli HB101株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号19及び配列番号20で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号13及び配列番号16で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4b構造遺伝子より上流の塩基配列、lacUV5プロモーター、phaC1SD配列、及びphaJ4b構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−lacUV5−phaJ4bを作製した。
【0110】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0111】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU− lacUV5−phaJ4bで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4b構造遺伝子の上流に、配列番号39で示される、lacUV5プロモーター及びphaC1SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0112】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 lacUV5−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0113】
[製造例4]KNK005 trp−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0114】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号13及び配列番号14で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号15及び配列番号16で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、プラスミドpKK388−1(CLONTECH社製)をテンプレートとして配列番号17及び配列番号21で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。
【0115】
上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号13及び配列番号16で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4b構造遺伝子より上流の塩基配列、trpプロモーター、phaC1SD配列、及びphaJ4b構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−trp−phaJ4bを作製した。
【0116】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0117】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−trp−phaJ4bで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4b構造遺伝子の上流に、配列番号40で示される、trpプロモーター及びphaC1SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0118】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 trp−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0119】
[製造例5]KNK005 REP−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0120】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号13及び配列番号14で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号15及び配列番号16で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号22及び配列番号23で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号13及び配列番号16を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4b構造遺伝子より上流の塩基配列、phaC1プロモーター、phaC1SD配列、及びphaJ4b構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−REP−phaJ4bを作製した。
【0121】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−REP−phaJ4bで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4b構造遺伝子の上流に、配列番号37で示される、phaC1プロモーター及びphaC1SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0122】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 REP−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0123】
[製造例6]KNK005 REPSDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0124】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号13及び配列番号14で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号24及び配列番号16で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号22及び配列番号25で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。
【0125】
上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号13及び配列番号16を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4b構造遺伝子より上流の塩基配列、phaC1プロモーター、phaC1SD配列改変体、及びphaJ4b構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−REPSDM11−phaJ4bを作製した。
【0126】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−REPSDM11−phaJ4bで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4b構造遺伝子の上流に、配列番号41で示される、phaC1プロモーター及びphaC1SD配列改変体を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0127】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 REPSDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0128】
[製造例7]KNK005 REPN17SDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株の作製
先ず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0129】
製造例6で作製したプラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−REPSDM11−phaJ4bをテンプレートとして配列番号13及び配列番号26で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号27及び配列番号16で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた2種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号13及び配列番号16を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4b構造遺伝子より上流の塩基配列、phaC1プロモーター改変体、phaC1SD配列改変体、及びphaJ4b構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−REPN17SDM11−phaJ4bを作製した。
【0130】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0131】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4bU−REPN17SDM11−phaJ4bで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4b構造遺伝子の上流に、配列番号42で示される、phaC1プロモーター改変体及びphaC1SD配列改変体を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0132】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 REPN17SDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0133】
[製造例8]KNK005 trcSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0134】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号28及び配列番号29で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号30及び配列番号31で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、プラスミドpKK388−1(CLONTECH社製)をテンプレートとして、配列番号32及び配列番号33で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。
【0135】
上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号28及び配列番号31を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4a構造遺伝子より上流の塩基配列、trcプロモーター、phaC1SD配列改変体、及びphaJ4a構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−trcSDM11−phaJ4aを作製した。
【0136】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0137】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−trcSDM11−phaJ4aで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4a構造遺伝子の上流に、配列番号43で示される、trcプロモーター及びphaC1SD配列改変体を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0138】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 trcSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0139】
[製造例9]KNK005 lacUV5−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0140】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号28及び配列番号29で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号34及び配列番号31で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、E. coli HB101株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号35及び配列番号20で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号28及び配列番号31を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4a構造遺伝子より上流の塩基配列、lacUV5プロモーター、phaC1SD配列、及びphaJ4a構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−lacUV5−phaJ4aを作製した。
【0141】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0142】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−lacUV5−phaJ4aで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4a構造遺伝子の上流に、配列番号39で示される、lacUV5プロモーター及びphaC1SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0143】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 lacUV5−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0144】
[製造例10]KNK005 lacUV5SDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0145】
製造例9で作製したプラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−lacUV5−phaJ4aをテンプレートとして配列番号28及び配列番号33で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号30及び配列番号31で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた2種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号28及び配列番号31を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4a構造遺伝子より上流の塩基配列、lacUV5プロモーター、phaC1SD配列改変体、及びphaJ4a構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−lacUV5SDM11−phaJ4aを作製した。
【0146】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0147】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−lacUV5SDM11−phaJ4aで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4a構造遺伝子の上流に、配列番号44で示される、lacUV5プロモーター及びphaC1SD配列改変体を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0148】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 lacUV5SDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0149】
[製造例11]KNK005 trp−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株の作製
先ず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0150】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号28及び配列番号29で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号34及び配列番号31で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。さらに、プラスミドpKK388−1(CLONTECH社製)をテンプレートとして、配列番号32及び配列番号21で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号28及び配列番号31を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4a構造遺伝子より上流の塩基配列、trpプロモーター、phaC1SD配列、及びphaJ4a構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−trp−phaJ4aを作製した。
【0151】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0152】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−trp−phaJ4aで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4a構造遺伝子の上流に、配列番号40で示される、trpプロモーター及びphaC1SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0153】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 trp−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0154】
[製造例12]KNK005 trpSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0155】
製造例11で作製したプラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−trp−phaJ4aをテンプレートとして配列番号28及び配列番号33で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号30及び配列番号31で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた2種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号28及び配列番号31を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4a構造遺伝子より上流の塩基配列、trpプロモーター、phaC1SD配列改変体、及びphaJ4a構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−trpSDM11−phaJ4aを作製した。
【0156】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0157】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−trp SDM11−phaJ4aで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4a構造遺伝子の上流に、配列番号45で示される、trpプロモーター及びphaC1SD配列改変体を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0158】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 trpSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0159】
[製造例13]KNK005 REP−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株の作製
まず、プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
【0160】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号28及び配列番号29で示されるプライマーを用いて、製造例1と同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号34及び配列番号31で示されるプライマーを用いて、同様の条件でPCRを行った。また同様に、配列番号36及び配列番号23で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。上記PCRで得られた3種類のDNA断片をテンプレートとして、配列番号28及び配列番号31を用いて同様の条件でPCRを行い、得られたDNA断片を制限酵素SwaIで消化した。このDNA断片を、SwaI消化した特開2007−259708号明細書に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、phaJ4a構造遺伝子より上流の塩基配列、phaC1プロモーター、phaC1SD配列、及びphaJ4a構造遺伝子配列を有するDNA挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−REP−phaJ4aを作製した。
【0161】
次に、プロモーター及びSD配列挿入株の作製を行った。
【0162】
プロモーター及びSD配列挿入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+phaJ4aU−REP−phaJ4aで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。培養液を250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、リン酸二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK005ΔphaZ1,2,6株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRによる解析により染色体上のphaJ4a構造遺伝子の上流に、配列番号37で示される、phaC1プロモーター及びphaC1SD配列を有するDNA断片が挿入された菌株1株を単離した。
【0163】
このプロモーター、及びSD配列挿入株をKNK005 REP−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株と命名した。
【0164】
[実施例1]KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
種母培地の組成は1w/v%Meat−extract、1w/v%Bacto−Trypton、0.2w/v%Yeast−extract、0.9w/v%Na
2HPO
4・12H
2O、0.15w/v%KH
2PO
4とした。
【0165】
PHA生産培地の組成は1.1w/v%Na
2HPO
4・12H
2O、0.19w/v%KH
2PO
4、0.13w/v%(NH
4)
2SO
4、0.1w/v%MgSO
4・7H
2O、0.1v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v%FeCl
3・6H
2O、1w/v%CaCl
2・2H
2O、0.02w/v%CoCl
2・6H
2O、0.016w/v%CuSO
4・5H
2O、0.012w/v%NiCl
2・6H
2Oを溶かした溶液。)とした。炭素源はパーム核油を分別した低融点画分であるパーム核油オレインを単一炭素源として用いた。
【0166】
製造例2で作製したKNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し、培養液を種母とした。PHA生産培養は50mLの生産培地を入れた坂口フラスコに前培養種母を1.0v/v%接種した。培養温度30℃で72時間振とう培養を行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
【0167】
得られた乾燥菌体1gに100mLのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mLになるまで濃縮後、90mLのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、PHA生産量を算出した。結果を表1に示した。
【0168】
【表1】
【0169】
生産されたポリエステルの3HH組成比率は以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定した。乾燥ポリエステルの約20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱することでポリエステル分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のポリエステル分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初発温度100〜200℃まで8℃/分の速度で昇温、さらに200〜290℃まで30℃/分の速度で昇温した。
【0170】
上記条件にて分析した結果、得られたポリエステルは共重合体ポリエステルP(3HB−co−3HH)であり、3HH組成比率は上記の表1に示す通りであった。
【0171】
[実施例2]KNK005 lacUV5−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例3で作製したKNK005 lacUV5−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0172】
[実施例3]KNK005 trp−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例4で作製したKNK005 trp−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0173】
[実施例4]KNK005 REP−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例5で作製したKNK005 REP−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0174】
[実施例5]KNK005 REPSDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例6で作製したKNK005 REPSDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0175】
[実施例6]KNK005 REPN17SDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例7で作製したKNK005 REPN17SDM11−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0176】
[実施例7]KNK005 trcSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例8で作製したKNK005 trcSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0177】
[実施例8]KNK005 lacUV5−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例9で作製したKNK005 lacUV5−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0178】
[実施例9]KNK005 lacUV5SDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例10で作製したKNK005 lacUV5SDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0179】
[実施例10]KNK005 trp−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例11で作製したKNK005 trp−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0180】
[実施例11]KNK005 trpSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例12で作製したKNK005 trpSDM11−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0181】
[実施例12]KNK005 REP−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例13で作製したKNK005 REP−phaJ4a/ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。
【0182】
[比較例1]KNK005ΔphaZ1,2,6株によるPHAの生産
KNK005 trc−phaJ4b/ΔphaZ1,2,6株に代えて製造例1で作製したKNK005ΔphaZ1,2,6株を用いて、実施例1と同様の方法でPHAを生産し、得られたPHAの生産量、及び3HH組成比率を測定した。結果を上記の表1に示した。
【0183】
[実施例13]他の発現調節配列が微生物株によるPHAの生産及び3HH組成比率に及ぼす影響を調べるための試験及び結果
(13−1)プラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bの作製
C. necator H16株のphaC1の野生型のプロモーター(REP)及びSD配列と、phaJ4b遺伝子を含む塩基配列からなるDNAを挿入したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bを次のように作製した。 C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号72及び配列番号23で示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD−plus−(TOYOBO製)を用いた。PCRで得たDNA断片をREPとした。次に、C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号70及び配列番号71で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片を(ReSD)−phaJ4bとした。次に、REP及び(ReSD)−phaJ4bをテンプレートとして配列番号72及び配列番号71で示されるプライマーを用いて同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をEcoRIで消化した。このDNA断片をREP−phaJ4b(EcoRI)とした。このREP−phaJ4b(EcoRI)を、国際公開公報WO/2007/049716号公報に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunIで切断したものと連結した。REP−phaJ4b(EcoRI)とpCUP2をMunIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、APPLIED BIOSYSTEMS社製のDNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用いて塩基配列を決定し、鋳型としたDNAの塩基配列と同一であることを確認するとともに、phaJ4b遺伝子がpCUP2上のparP遺伝子とは逆向きに挿入されたものを取得した。取得したプラスミドベクターをpCUP2−REP−phaJ4bとした。
【0184】
(13−2)プロモーター改変プラスミドベクターpCUP2−REPP3M14−phaJ4bの作製
上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1Cのプロモーターに配列番号73で示した変異を導入したpCUP2−REPP3M14−phaJ4bを次のように作製した。
【0185】
上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bをテンプレートとして配列番号72及び配列番号74で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をREP−PUとした。次に、上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bをテンプレートとして配列番号71及び配列番号75で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片を(REPP3M)−phaJ4bとした。次に、REP−PU及び(REPP3M)−phaJ4bをテンプレートとして配列番号72及び配列番号71で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をEcoRIで消化した。このDNA断片をREPP3M−phaJ4b(EcoRI)とした。このREPP3M−phaJ4b(EcoRI)を、国際公開公報WO/2007/049716号公報に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunIで切断したものと連結した。REPP3M−phaJ4b(EcoRI)とpCUP2をMunIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaC1のプロモーター部分の塩基配列が配列番号73で示したように変異が導入されたものを取得し、pCUP2−REPP3M14−phaJ4bとした。
【0186】
(13−3)プロモーター改変プラスミドベクターpCUP2−REPN17−phaJ4bの作製
上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のプロモーターに配列番号76で示した変異を導入したpCUP2−REPN17−phaJ4bを次のように作製した。
【0187】
上記(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bをテンプレートとして配列番号71及び配列番号77で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片を(REPN17)−phaJ4bとした。次に、上記(13−2)で作製したREP−PU及び(REPN17)−phaJ4bをテンプレートとして配列番号72及び配列番号71で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をEcoRIで消化した。このDNA断片をREPN17−phaJ4b(EcoRI)とした。このREPN17−phaJ4b(EcoRI)を、国際公開公報WO/2007/049716号公報に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunIで切断したものと連結した。REPN17−phaJ4b(EcoRI)とpCUP2をMunIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaC1のプロモーター部分の塩基配列が配列番号76で示したように変異が導入されたものを取得し、pCUP2−REPN17−phaJ4bとした。
【0188】
(13−4)SD配列改変プラスミドベクターpCUP2−REPSDM4−phaJ4bの作製
上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列TGTGTGA(配列番号63)に改変したpCUP2−REPSDM4−phaJ4bを次のように作製した。
【0189】
上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bをテンプレートとして配列番号71及び配列番号78で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片を(REP)SDM4−phaJ4bとした。次に、上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bをテンプレートとして配列番号72及び配列番号79で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をREP−SDUとした。次に、(REP)SDM4−phaJ4b及びREP−SDUをテンプレートとして配列番号72及び配列番号71で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をEcoRIで消化した。このDNA断片をREPSDM4−phaJ4b(EcoRI)とした。このREPSDM4−phaJ4b(EcoRI)を、国際公開公報WO/2007/049716号公報に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunIで切断したものと連結した。REPSDM4−phaJ4b(EcoRI)とpCUP2をMunIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaC1のSD配列部分の塩基配列がTGTGTGA(配列番号63)に改変されたものを取得し、pCUP2−REPSDM4−phaJ4bとした。
【0190】
(13−5)SD配列改変プラスミドベクターpCUP2−REPSDM11−phaJ4bの作製
上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列TCTCTCT(配列番号52)に改変したpCUP2−REPSDM11−phaJ4bを次のように作製した。
【0191】
上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bをテンプレートとして配列番号71及び配列番号80で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片を(REP)SDM11−phaJ4bとした。
【0192】
次に、(REP)SDM11−phaJ4b及び上記(13−4)で作製したREP−SDUをテンプレートとして配列番号72及び配列番号71で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をEcoRIで消化した。このDNA断片をREPSDM11−phaJ4b(EcoRI)とした。このREPSDM11−phaJ4b(EcoRI)を、国際公開公報WO/2007/049716号公報に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunIで切断したものと連結した。
【0193】
REPSDM11−phaJ4b(EcoRI)とpCUP2をMunIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−REP−phaJ4bに対して、phaC1のSD配列部分の塩基配列がTCTCTCT(配列番号52)に改変されたものを取得し、pCUP2−REPSDM11−phaJ4bとした。
【0194】
(13−6)プラスミドベクターpCUP2−trcSDM1−phaJ4bの作製
(1)配列番号47で示されるtrcプロモーターと、C. necator H16株のphaC1のSD配列、phaJ4b遺伝子を含む塩基配列からなるDNAを挿入したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bを次のように作製した。
【0195】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号81及び配列番号82で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をMunI及びSpeIで消化した。このDNA断片を(ReSD)−phaJ4b(MunI,SpeI)とした。この(ReSD)−phaJ4b(MunI,SpeI)を国際公開公報WO/2007/049716号公報に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunI及びSpeIで切断したものと連結した。(ReSD)−phaJ4b(MunI,SpeI)とpCUP2をMunI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、鋳型としたDNAの塩基配列と同一であることを確認した。得られたプラスミドをpCUP2−ReSD−phaJ4bとした。次に、プラスミドpKK388−1(CLONTECH社製)をテンプレートとして配列番号83及び配列番号85で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をMunIで消化した。このDNA断片をtrc(MunI)とした。次にtrc(MunI)を上記のプラスミドpCUP2−ReSD−phaJ4bをMunIで切断したものと連結した。trc(MunI)とpCUP2−ReSD−phaJ4bをMunIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、鋳型としたDNAの塩基配列と同一であることを確認するとともに、プラスミドベクターをテンプレートとして配列番号81及び配列番号83で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った際に、trcプロモーター及びphaJ4b遺伝子を含む塩基配列からなる増幅断片が得られる向きにtrc(MunI)断片が挿入されたプラスミドを取得した。得られたプラスミドpCUP2−trc−phaJ4bとした。
【0196】
(2)上で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列TGTGAGA(配列番号60)に改変したpCUP2−trcSDM1−phaJ4bを次のように作製した。
【0197】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号81及び配列番号84で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をSpeIで消化し、T4ポリヌクレオチドキナーゼで5’末端をリン酸化した。このDNA断片をSDMA−phaJ4b(SpeI)とした。
【0198】
次にSDMA−phaJ4b(SpeI)を、上記(13−6)の(1)のプラスミドpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものと連結した。SDMA−phaJ4b(SpeI)とpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaC1のSD配列部分の塩基配列がTGTGAGA(配列番号60)に改変されたものを取得し、pCUP2−trcSDM1−phaJ4bとした。
【0199】
(13−7)プラスミドベクターpCUP2−trcSDM3−phaJ4bの作製
上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列AGTGAGA(配列番号62)に改変したpCUP2−trcSDM3−phaJ4bを次のように作製した。
【0200】
上記(13−6)の(2)に記載の方法で得た、SDMA−phaJ4b(SpeI)とpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaC1のSD配列部分の塩基配列がAGTGAGA(配列番号62)に改変されたものを取得し、pCUP2−trcSDM3−phaJ4bとした。
【0201】
(13−8)プラスミドベクターpCUP2−trcSDM4−phaJ4bの作製
上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列TGTGTGA(配列番号63)に改変したpCUP2−trcSDM4−phaJ4bを次のように作製した。
【0202】
上記(13−6)の(2)に記載の方法で得た、SDMA−phaJ4b(SpeI)とpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaC1のSD配列部分の塩基配列がTGTGTGA(配列番号63)に改変されたものを取得し、pCUP2−trcSDM4−phaJ4bとした。
【0203】
(13−9)プラスミドベクターpCUP2−trcSDM5−phaJ4bの作製
上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列TGAGTGA(配列番号64)に改変したpCUP2−trcSDM5−phaJ4bを次のように作製した。
【0204】
上記(13−6)の(2)に記載の方法で得た、SDMA−phaJ4b(SpeI)とpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaCのSD配列部分の塩基配列がTGAGTGA(配列番号64)に改変されたものを取得し、pCUP2−trcSDM5−phaJ4bとした。
【0205】
(13−10)プラスミドベクターpCUP2−trcSDM2−phaJ4bの作製
上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列ATATAGA(配列番号61)に改変したpCUP2−trcSDM2−phaJ4bを次のように作製した。
【0206】
C. necator H16株の染色体DNAをテンプレートとして配列番号86及び配列番号81で示されるプライマーを用いて上記(13−1)と同様の条件でPCRを行った。PCRで得られたDNA断片をSpeIで消化し、T4ポリヌクレオチドキナーゼで5'末端をリン酸化した。このDNA断片をSDMG−phaJ4b(SpeI)とした。
【0207】
次にSDMG−phaJ4b(SpeI)を、上記(13−6)の(1)のプラスミドpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものと連結した。
【0208】
SDMG−phaJ4b(SpeI)とpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaC1のSD配列部分の塩基配列がATATAGA(配列番号61)に改変されたものを取得し、pCUP2−trcSDM2−phaJ4bとした。
【0209】
(13−11)プラスミドベクターpCUP2−trcSDM6−phaJ4bの作製
上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列AGAGATA(配列番号65)に改変したpCUP2−trcSDM6−phaJ4bを次のように作製した。
【0210】
上記(13−9)に記載の方法で得た、SDMG−phaJ4b(SpeI)とpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaC1のSD配列部分の塩基配列がAGAGATA(配列番号65)に改変されたものを取得し、pCUP2−trcSDM6−phaJ4bとした。
【0211】
(13−12)プラスミドベクターpCUP2−trcSDM7−phaJ4bの作製
上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaJ4bの発現調節を行うC. necator H16株のphaC1のSD配列を塩基配列AGATAGA(配列番号66)に改変したpCUP2−trcSDM7−phaJ4bを次のように作製した。
【0212】
上記(13−9)に記載の方法で得た、SDMG−phaJ4b(SpeI)とpCUP2−trc−phaJ4bをPmaCI及びSpeIで切断したものを連結したプラスミドベクターについて、上記(13−1)と同様の方法で塩基配列を決定し、上記(13−6)の(1)で作製したプラスミドベクターpCUP2−trc−phaJ4bに対して、phaCのSD配列部分の塩基配列がAGATAGA(配列番号66)に改変されたものを取得し、pCUP2−trcSDM7−phaJ4bとした。
【0213】
(13−13)PHAの生産量、及び3HH組成比率分析
種母培地の組成は1w/v%Meat−extract、1w/v%Bacto−Trypton、0.2w/v%Yeast−extract、0.9w/v%Na
2HPO
4・12H
2O、0.15w/v%KH
2PO
4とした。
【0214】
種母培地を用いてプラスミドベクター導入株を培養する場合には、カナマイシンを最終濃度100μg/mlとなるように添加した。
【0215】
PHA生産培地の組成は1.1w/v%Na
2HPO
4・12H
2O、0.19w/v%KH
2PO
4、0.13w/v%(NH
4)
2SO
4、0.1w/v%MgSO
4・7H
2O、0.1v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v%FeCl
3・6H
2O、1w/v%CaCl
2・2H
2O、0.02w/v%CoCl
2・6H
2O、0.016w/v%CuSO
4・5H
2O、0.012w/v%NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの。)とした。炭素源はパーム核油を分別した低融点画分であるパーム核油オレインを単一炭素源として用いた。
【0216】
上で作製した各プラスミドベクターによって上記KNK005ΔphaZ1,2,6株を形質転換して得られたプラスミドベクター導入株、すなわち、pCUP2−REPN17−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−REPSDM4−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−REPSDM11−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−trcSDM1−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−trcSDM3−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−trcSDM4−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−trcSDM5−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−trcSDM2−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−trcSDM6−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株、pCUP2−trcSDM7−phaJ4b in KNK005ΔphaZ1,2,6株の10株について、グリセロールストック(50μL)をそれぞれ種母培地(10mL)に接種して培養温度30℃で24時間振とう培養し、培養液を種母とした。
【0217】
PHA生産培養は50mLの生産培地を入れた坂口フラスコに前培養種母を1.0v/v%接種した。培養温度30℃で72時間振とう培養を行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
【0218】
得られた乾燥菌体1gに100mLのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mLになるまで濃縮後、90mLのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、PHA生産量を算出した。結果を表2に示した。
【0219】
生産されたポリエステルの3HH組成比率は以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定した。乾燥ポリエステルの約20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱することでポリエステル分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のポリエステル分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。
【0220】
ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初発温度100〜200℃まで8℃/分の速度で昇温、さらに200〜290℃まで30℃/分の速度で昇温した。
【0221】
上記条件にて分析した結果、得られたポリエステルは共重合体ポリエステルP(3HB−co−3HH)であり、3HH組成比率は表2に示す通りであった。
【0222】
【表2】