(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の係止部材に備えられた第1の連結部は該一方の係止部材を貫通する挿通孔であり、前記一方の保持部材に備えられた第2の連結部は、前記一方の保持部材の外面側から前記係合柱の中心軸方向と一致するように備えられた、内周の全て若しくは一部に雌ねじを設けたねじ穴であり、前記固定手段は該ねじ穴に螺合するねじ体であり、
前記係止部と前記係合部とが組み合わされた状態において、前記挿通孔を介して前記ねじ体を前記ねじ穴に螺合することにより前記一方の係止部材と前記一方の保持部材とは連結され、
前記係止部と前記係合部とは前記ねじ体の締緩操作により回動可能に固着できることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来技術では、ラベル連続体を切断する固定刃と可動刃の内の、最もメンテナンスが必要とされる可動刃の前記固定刃摺接面側に対応するよう、カッタフレーム部材に前記固定刃摺接面の清掃を容易とする切欠部を設けることでメンテナンス性をよくしたので、利便性の良いラベルプリンタが提供できる利点を有する。
しかし、上述のように定期的なメンテナンスを行う場合などにおいて優れた利点を有するものの、一方で前記固定刃や可動刃の切れ味が悪くなったり、カッタユニット自体に故障が発生したりした場合のように、カッタユニット全体を取り外してメンテナンスしたり、新しいカッタユニット交換したりするには、該カッタユニットがラベルプリンタの筐体の内部に収容された状態で確りと固着された構造であることから、修理や交換作業を行うことが簡単にはできない、といった問題が有った。
【0005】
本願発明は、上述したラベルプリンタの問題を解決することにより、カッタユニットに対する定期的なメンテナンス作業が良好にできるだけでなく、該カッタユニットの交換或いは取り外してのメンテナンス作業を極めて容易にし得るプリンタを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、長尺状の印刷媒体に情報を印刷する機構を収容する本体と、前記長尺状の印刷媒体を切断するカッタユニットとを備えるプリンタにおいて、前記カッタユニットは、該カッタユニットが備える係止部(又は係合部)と、前記本体が備える係合部(又は係止部)との組み合わせにより前記本体に取り付けられるものであり、前記係止部は、前記長尺状の印刷媒体の幅方向に対向配置される、第1の連結部を備えた一方の係止部材と、該第1の連結部と中心軸を一致させるように貫通する保持孔および該保持孔に連通するように設けられ該保持孔の周方向に向かって開口する開口部を備えた他方の係止部材とからなり、前記係合部は、前記長尺の印刷媒体の幅方向に対向配置される一対の保持部材と、該一対の保持部材の間に保持され、一方の保持部材側から他方の保持部材側にかけて、中心軸を一致させて拡径する柱状の係合柱と、前記一方の保持部材の外面側から、前記係合柱の中心軸方向と一致するように備えられた第2の連結部とからなり、前記他方の係止部材に備えられた開口部の開口寸法は、前記係合柱における外径が細い部分である細径部の外径寸法より僅かに大きな寸法であり、且つ、該開口部と連通する前記保持孔の内径寸法は、前記係合柱における外径が太い部分である太径部の外径寸法より僅かに大きな寸法であり、前記係止部と前記係合部とは、前記他方の係止部材に備えられた開口部を介して、前記係合柱の細径部を該開口部と連通する前記保持孔に挿通した状態で、該他方の係止部材を前記係合柱に沿うようにスライドさせて、前記保持孔に前記係合柱の太径部を挿通させると、前記一方の係止部材に備えられた第1の連結部と前記一方の保持部材に備えられた第2の連結部とが固定手段を介して連結可能となることで組み合わされるものであって、前記係止部と前記係合部とが組み合わされた状態において、前記第1の連結部の中心軸と、前記第2の連結部の中心軸と、前記他方の係止部材に備えられた保持孔の中心軸とが略一致するように構成されていることを特徴とするプリンタである。
【0007】
ここで、前記係止部と前記係合部は、相互に組み合わせる構造であることから、カッタユニット側に前記係止部を備えさせ、本体側に前記係合部を備えさせる構成でも良いし、カッタユニット側に前記係合部を備えさせ、本体側に前記係止部を備えさせる構成でも良く、その何れでも実現できる。
また、本体とは、少なくとも印刷機構、より詳しくは前記長尺状の印刷媒体を搬送するプラテンローラと、該プラテンローラとの間に前記印刷媒体を挟んだ状態で、該印刷媒体のそれぞれに印刷を行う印刷ヘッドを備えた印刷ユニットと、が配置された側のことである。そして、カッタユニットを取り付けるための被取付対象物として、例えば本体を構成する筐体が好適であるが、この実施例に限定されるものではない。
【0008】
かかる構成にあっては、前記係止部を構成する前記他方の係止部材に備えられた開口部を介して、前記係合柱の一方側における外径が細い部分である細径部を、前記開口部と連通する前記保持孔に挿通した状態で、前記他方の係止部材(より詳しくは、カッタユニット)を前記係合柱に沿うようにスライドさせて、該保持孔に前記係合柱の他方側における外径が太い部分である太径部を挿通させれば、前記一方の係止部材に備えられた第1の連結部と、前記一方の保持部材に備えられた第2の連結部とが固定手段を介して連結できるので、前記係止部と前記係合部(換言すればカッタユニットと本体)とは、前記第1の連結部の中心軸と、前記第2の連結部の中心軸と、前記他方の係止部材に備えられた保持孔の中心軸とが略一致した状態で、簡単且つ容易に取り付けることができる。
【0009】
上述した本願発明のプリンタにあって、前記一方の係止部材に備えられた第1の連結部は該一方の係止部材を貫通する挿通孔であり、前記一方の保持部材に備えられた第2の連結部は、前記一方の保持部材の外面側から前記係合柱の中心軸方向と一致するように備えられた、内周の全て若しくは一部に雌ねじを設けたねじ穴であり、前記固定手段は該ねじ穴に螺合するねじ体であり、前記係止部と前記係合部とが組み合わされた状態において、前記一方の係止部材の挿通孔を介して前記ねじ体を前記一方の保持部材のねじ穴に
螺合することにより前記一方の係止部材と前記一方の保持部材とは連結され、前記係止部と前記係合部とは前記ねじ体の
締緩操作により回動可能に固着できる構成が提案される。
【0010】
かかる構成にあっては、前記第1の連結部は挿通孔であり、前記第2の連結部はねじ穴であることから、前記第1の連結部と前記第2の連結部の連結は、前記固定手段としてのねじ体を使って行えるため、連結構造が簡単且つ安価に構成できる。また、該ねじ体の緊諦操作により前記カッタユニットを確りと取り付けできるとともに、該ねじ体を取り外せば、カッタユニットを組み合わせるときとは反対側にスライドさせるだけで、前記係止部と前記係合部との組み合わせを解くことができるので、簡単且つ素早く前記カッタユニットを取り外すことが可能となり、カッタユニットの交換作業等のメンテナンス性を良好にすることができる。また、前記係止部と前記係合部(換言すればカッタユニットと本体)とは、前記第1の連結部の中心軸と、前記第2の連結部の中心軸と、前記他方の係止部材に備えられた保持孔の中心軸とが略一致した状態で取り付けられているので、前記ねじ体を緩めれば前記カッタユニットは回動可能となることから、カッタユニットを取り外すことなくゴミ掃除などの定期的なメンテナンスが行えるようになる。
【発明の効果】
【0011】
前記係止部と前記係合部の簡単な組み合わせ操作により、カッタユニットは本体に対して取り付けたり取り外したりすることができるので、カッタユニットの交換作業などのメンテナンス性を一層良好なものにすることができる。また、カッタユニットは本体に対して回動可能に取り付けられているので、ゴミ掃除などの定期的なメンテナンス性も良好なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明にかかる実施形態を、以下に示す実施例に従って説明する。ここで本実施例のカッタユニット10に備えられた係止部20側を正面(前)とし、本体5を構成する筐体3に備えられた係合部30の前記係止部20と対向する側を筐体3の正面(前)として説明する。即ち、前記係止部20と前記係合部30は正面(前)同士を対向させるようにして取り付けるものとする。その他の方向に関しては明細書中に記載された通りとする。
【0014】
図1は本願発明の実施例としてのラベルプリンタ1を説明するための図である。このラベルプリンタ1は、
図7に示す採血管準備装置100(後に詳述する)の装置本体101の側面部に備えられた保護カバー110により、全体、若しくは一部を覆われるように設けられたものであり、
図1は前記保護カバー110を外した状態でラベルプリンタ1を側面から見た模式図である。尚、以下に示す実施例ではラベルプリンタ1を用いた例を示すが、この実施例に限定されるものではなくプリンタ全般に適用できる。
【0015】
ラベルプリンタ1は、
図1に示すようにロール状に巻き回された印刷媒体8(以下、ラベル連続体と記載する)を、ガイドローラ6等からなる搬送路を介して、プラテンローラ7と、印刷ユニット2に備えた印刷ヘッド2aとの間に搬送し、前記ラベル連続体8を挟んだ状態で、該ラベル連続体8に仮着されたラベル用紙9aのそれぞれに所望の情報等の印刷を行う。
図8(b)にラベル用紙9aに印刷する情報の例を示す。
そして、ラベル用紙9aに所望の情報が印刷されたラベル連続体8は、カッタユニット10のラベル挿入口11aからカッタユニット10内に搬送挿入され、該カッタユニット10に内装された図には示されていない切刃で所定ピッチの長さに切り離されることにより、個々に切り離されたラベル9を得ることができるように構成されている。本実施例では、所望の情報が印刷されたラベル9は、該所望の情報と対応する採血管108が収容された採血管収容トレイ106に一緒に収容されることで、ラベル9と採血管108は前記採血管収容トレイ106において一つにまとめられて搬送されるように構成されている。
尚、本体5におけるラベル連続体8の搬送ピッチの制御、プラテンローラ等を駆動するための駆動部、電源装置、及びカッタユニット10におけるラベル連続体8のカットのタイミング制御、などは一般的な構成を適用できることから、その詳細については省く。
【0016】
次に
図2、3を用いてカッタユニット10について説明する。カッタユニット10は、搬送されてきた印刷済みのラベル連続体8をラベル挿入口11aにおいて受け入れ、カッタ本体11に内装された図には示されていない切刃により該ラベル連続体8を所定ピッチで切り離すものであり、このカッタユニット10により個々に切り離されたラベル9を得ることができる。
【0017】
本実施例におけるカッタユニット10は、図には示されていない切刃や、該切刃を作動させる駆動部などを筐体内部に収納したカッタ本体11と、該カッタ本体11を保持するための保持具12とから構成される。カッタ本体11には前記ラベル連続体8の搬送方向に直交する幅方向に配置されたラベル挿入口11aが備えられており、該ラベル挿入口11aから印刷済みのラベル連続体8がカッタ本体10内部に挿入される。
【0018】
保持具12は、前記カッタ本体11を周知のねじ部材などにより固定保持するものであり、例えば金属材料などからなる板体をプレス加工などにより成形したものである。この保持具12における正面側、即ち前記カッタ本体11に設けられたラベル挿入口11aとは反対側の位置には、本実施例のカッタユニット10の組み合わせ構造を成す係止部と係合部(後に詳述する)の内の該係止部20が備えられている。
尚、前記カッタユニット10の実施例として、該カッタユニット10はカッタ本体11と該カッタ本体11を保持する保持具12とから構成された例を示したが、カッタ本体11を構成する筐体と保持具12とは一体的に構成しても良く、実施例の構成に限定されるものではない。また、保持具12の材質も金属材料に限定されるものではない。
【0019】
係止部20は、少なくとも前記ラベル連続体8の搬送方向に直交する幅方向に(換言すれば、前記ラベル挿入口11aに沿うように)対向配置される一対の係止部材21、22から構成されており、本実施例では、前記保持具12をなす金属材料からなる板体12aと一体的に連接されるように構成されている。
尚、本実施例の係止部20は保持具12と一体的に備えられた例を示したが、係止部20と保持具12とは別体で構成してもよく、また、カッタ本体11を構成する筐体と一体的に構成してもよく、実施例の構成に限定されるものではない。
【0020】
一方の係止部材21は、保持具12を構成する金属材料からなる板体12aを折り曲げ加工することにより、該板体12aと直交する方向に立設させた折曲片21aからなる。該折曲片21aの略中央部には、折曲片21aを板厚方向に貫通する挿通孔21bが備えられている。
図3(b)に良く示されているように、折曲片21aに備えられた挿通孔21bの内径はM3である。尚、この挿通孔21bが請求項1に記載の第1の連結部24の一つの実施例である。
【0021】
他方の係止部材22は、前記一方の係止部材21と同様に、保持具12を構成する金属材料からなる板体12aを折り曲げ加工することにより、該板体12aと直交する方向に立設させた折曲片22aからなる。該折曲片22aの略中央部には、前記一方の係止部材21に備えられた前記挿通孔21bと中心軸を一致させるように設けられた保持孔22bと、該保持孔22bに連通するように設けられた該保持孔22aの周方向に向かって開口する開口部22cが備えられている。
図3(a)に良く示されているように、折曲片22aに備えられた保持孔22bの内径はM2であり、該保持孔22bと連通する開口部22cの間隔はM1である。
【0022】
次に
図4を用いて係合部30について説明する。該係合部30は前記係止部20と合わせて本実施例のカッタユニット10の組み合わせ構造を成す。係合部30は、少なくとも前記ラベル連続体8の搬送方向に直交する幅方向に(換言すれば、前記ラベル挿入口11aに沿うように)対向配置される一対の保持部材31、32と、該一対の保持部材31、32の間に保持され、一方の保持部材31側から他方の保持部材32側にかけて、中心軸を一致させて順次拡径する柱状の係合柱33と、前記一方の保持部材31の外面側(保持部材の対向面とは反対側の面)から、前記一対の保持部材31、32の間に保持された前記係合柱33の中心軸方向と一致するように備えられたねじ穴34と、から構成されている。そしてこの係合部30は、本体5の一部を構成する金属材料などからなるハウジングであって、印刷機構や印刷機構の制御部やラベル連続体を搬送する搬送路等を収容するための筐体3における前記カッタユニット10の取付け面側(実施例では筐体3の底面)に設けられている。尚、この係合部30を構成する一対の保持部材31、32は前記筐体3と一体的に構成しても良いし、筐体3とは別体で作成し筐体と連設するように備えさせても良い。また、筐体3とは異なる位置に備えさせても良く、実施例の構成に限定されるものではない。
【0023】
前記一方の保持部材31の外面側から備えられたねじ穴34は、
図4に良く示されているように、前記一方の保持部材31の外面側から、前記一対の保持部材の間に保持された前記係合柱33の中心軸方向と一致するように構成されており、本実施例におけるねじ穴34は、前記一方の保持部材31に備えられたねじ穴31bから前記係合柱33に備えられたねじ穴33bにかけて連通するように設けられている。尚、このねじ穴34は実施例に限定されるものではなく、少なくとも前記一方の保持部材31に備えられておれば良く、後に詳述する固定手段としてのねじ体が螺合可能であれば該ねじ穴34の深さは問わない。また、一方の保持部材31から係合柱33にかけてねじ穴34を設ける場合は、少なくとも前記係合柱33に備えられたねじ穴33bの内周面に雌ねじが設けてあればよく、一方の保持部材31に備えられた孔は、前記ねじ穴33bの内径N3より僅かに大きい内径M3を有した貫通孔としても良い。尚、このねじ穴34が請求項に記載の第2の連結部の一つの実施例である。
【0024】
係合柱33は、
図4(c)、(d)に良く示されているように、一方の保持部材31に保持された一方側は、係合柱33における外径の細い部分である細径部33rであり、その外径寸法はN1である。また、他方の保持部材32に保持された他方側は、前記細径部33rの外形寸法より太い外径を有した太径部33Rであり、その外径寸法はN2である。尚、本実施例における係合柱33は一方の保持部材31側から他方の保持部材32側にかけて順次拡径するように構成されているが、この実施例に限定されるものではなく、例えば
図4(e)に良く示されているように、径の異なる複数の部分を段階的、且つ連続的に拡径するように構成されていてもよいなど、一方側が細く、他方側は一方側の外径寸法より太く、且つ連続的になるように構成されていれば良い。また、この実施例に示されるように、前記係合柱の断面は円形であるのが好ましいが、正多角形(例えば六角形)でもよく実施例に限定されない。また、本実施例では係合柱30は金属材料から構成されているが、硬質の樹脂材料で構成しても良く、その材料は問わない。
【0025】
尚、係合部30を備えさせる前記本体5とは、少なくとも印刷機構、即ち、前記ラベル連続体8を搬送するプラテンローラ7と、該ラベル連続体8に仮着されたラベル用紙9aのそれぞれに印刷を行う印刷ヘッド2aを備えた印刷ユニット2とが配置された側のことであり、より詳しくは、カッタユニット10を取り付けるための被取付対象物を設けた側のことである。本実施例では、この被取付対象物として本体5を構成する筐体3を用い、該筐体3に前記係合部30を備えさせている。この実施例のように本体5を構成する筐体3に係合部30備えるのが好ましいが、カッタユニット10のラベル挿入口11aにラベル連続体8を適正に挿入できるなら、この実施例に限定されるものではない。
【0026】
次に本実施例のカッタユニット10の組み合わせ構造を、
図5、6を用いて説明する。既に詳述したように本実施例におけるカッタユニット10の組み合わせ構造は、カッタユニット10側に備えさせた係止部20と、本体5の筐体3に備えさせた係合部30とから構成される。尚、本実施例にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本願発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。例えば、カッタユニット10側に前記係合部30を備えさせ、本体5に前記係止部20を備えさせる構成とすることもできる。
これらの構成において、係止部20を構成する一対の係止部材21、22の間隔、より詳しくは、一方の係止部材21の折曲片21aの内面側(一対の係止部材21、22の対向面)と他方の係止部材22の折曲片22aの外面側(一対の係止部材21、22の対向面とは反対の面)とがなす幅寸法W20は、係合部30を構成する一対の保持部材31、32の間隔、より詳しくは、一方の保持部材31の外面側と他方の保持部材32の内面側とがなす幅寸法W30より僅かに短い寸法(W20<W30)となるように構成されている。
【0027】
このように構成された前記係止部20と前記係合部30との組み合わせ手順は、先ず
図5に示されるように、カッタユニット10に設けられた係止部20の正面側と、本体5の筐体3に設けられた係合部30の正面側とが向き合うように配置することから始める。尚、
図5(a)中に示す係合部30は、説明を分かり易くするために
図5(b)中のC−C線から見た断面図であり、図では示されていない筐体3(図の手前)側から見た上面図である。係合部20はカッタユニット10の上面から見た図を示している。また、
図5(b)は、係合部30は筐体3の背面から見た図であり、係止部20はカッタユニットの正面から見た図である。
【0028】
次に、
図6(b)中の矢印1に良く示されるように、係止部20を構成する他方の係止部材22の折曲片22aに備えられた前記開口部22cと、前記係合部30を構成する係合柱33における細径部33rを対向させながら、前記開口部22cから該開口部22cに連通する保持孔22b内に、前記係合柱33の細径部33rを挿通する。尚、
図6(a)、(c)に示される係合部30は、
図5(b)中のC−C線から見た断面図であり、図では示されていない筐体3(図の手前)側から見た係合部30の上面図である。
【0029】
前記保持孔22bに前記係合柱33を挿入した状態で、
図6(a)中の矢印2に示すように前記他方の係止部材22(より詳しくは、カッタユニット10)を前記係合柱33に沿うようにスライドさせることで、
図6(d)に示すように前記他方の係止部材22に備えられた保持孔22bに、前記係合柱33の太径部33Rを挿通させる。すると
図6(e)に良く示されるように、前記一方の係止部材21に備えられた前記挿通孔21b(第1の連結部24)と、前記一方の保持部材31に備えられたねじ穴34(第2の連結部)とを対向配置させることができるので、
図6(c)中の矢印3に示すように前記一方の係止部材21の外側から前記挿通孔21bを介して、固定手段であるねじ体15を前記ねじ穴34に螺合することにより第1の連結部24と第2の連結部が連結し、前記係止部20と前記係合部30とは組み合わせることができる。
【0030】
このとき、前記係止部20は前記係合部30に対して、該一方の係止部材21に備えられた挿通孔21b(第1の連結部24)の中心軸と、該一方の保持部材31に備えられた前記ねじ穴34(前記第2の連結部)の中心軸と、前記他方の係止部材22に備えられた保持孔22bの中心軸とが略一致した状態で組み合わせられるので、該ねじ体15の
締緩操作により前記カッタユニット10を本体5の筐体3に確りと取り付けたり回動可能に取り付けたりすることができる。また、該ねじ体15を取り外せば、組み合わせ時とは反対方向に前記他方の係止部材22(より詳しくは、カッタユニット10)をスライドさせるだけで、前記カッタユニット10を本体5の筐体3からを取り外すことができる。
【0031】
この組み合わせ手順において、前記係止部20を構成する他方の係止部材21に備えられた前記開口部21Cの開口寸法M1は、前記係合部30を構成する係合柱33の細径部33rの外径寸法N1より僅かに大きな寸法(M1>N1)を有するので、前記開口部21cは前記係合柱33の挿通を邪魔しない。また、前記開口部21cに連通する前記保持孔22bの内径寸法M2は、前記係合部30を構成する係合柱33の太径部33Rの外形寸法N2より僅かに大きな寸法(M2>N2)を有しており、しかも前記係合柱33は一方側から他方側にかけて連続的に拡径するように構成されていることから、他方の係止部材22(より詳しくはカッタユニット10)のスライドを邪魔しないし、係合柱30の太径部33Rが保持孔22bに挿入された状態では、他方の係止部材22は係合柱30と保持孔22bとの中心軸を略一致させた状態で回動可能にゆるく組み合わされ、係合柱30から外れることは無い。
【0032】
更に、
図5に良く示されているように、係止部20における一方の係止部材21の内面と他方の係止部材22の外面とがなす間隔W20は、係合部30における一方の保持部材31の外面と他方の保持部材32の内面とがなす間隔W30より僅かに短い間隔(W20<W30)となるように構成されていることにより、前記他方の係止部材22(より詳しくは、カッタユニット10)を前記係合柱33に沿うようにスライドさせ、前記一方の係止部材21の内面と、前記一方の保持部材31の外面とを当接させたとしても、他方の係止部材22の外面は、他方の保持部材32の内面には僅かに届かない、或いは摺接可能な程度に取り付けられるので、係止部20と係合部30の組み合わせを邪魔しない。これにより、前記固定手段であるねじ体15を緊締操作すれば、少なくとも一方の係止部材21内面と他方の係止部材31とを圧設した状態に固定できるので、係止部と係合部との組み合わせ状態を確りと維持することができる。
【0033】
次に、上述したカッタユニット10の組み合わせ構造を備えたラベルプリンタ1の使用方法について
図1、
図7、
図8を用いて説明する。
図7は本実施例のカッタユニット10の組み合わせ構造を備えたラベルプリンタ1を、採血管準備装置100に適用した例を示す。この採血管準備装置100は、図示されない端末装置に入力された検査対象者毎に対する採血指示に基づいて、検査を必要とする項目(例えば、生化学、血算、血糖、凝固など)に対応する採血管108a、108b…を準備するものであり、該採血管108a、108b…には、検査対象者の氏名などの情報、検査項目、所定の情報と紐付けされた情報コード(一次元コード、二次元コード)等の各種情報を印刷した採血管ラベル109a、109b…が貼られるとともに、該採血管ラベル109a、109b…が貼着された採血管108a、108b…を検査対象者毎に一つにまとめて供給する装置である。
【0034】
採血管準備装置100は、複数種類の検査項目のそれぞれに対応する採血管が納められた、それぞれ内部に複数の収容部を備えた採血管収容部102、103と、図示されない端末装置に入力された検査対象者毎に対する採血指示に基づいて、各採血管収容部102、103から選択された採血管108a、108b…を所定位置まで搬送する図示されていない搬送部と、選択された採血管108a、108b…のそれぞれに貼着する情報表示用の採血管ラベル109a、109b…に、該採血管108a、108b…のそれぞれに応じた情報を印刷するための複数のプリンタ部104と、該印刷済みの採血管ラベル109a、109b…を、それぞれ対応する採血管108a、108b…に貼着する図示されていないラベル貼着部と、採血管ラベル109a、109b…の貼着が完了した採血管108a、108b…を、検査対象者毎に準備された採血管トレイ106に供給する採血管供給部105と、各種採血管108a、108b…が一つにまとめられた採血管トレイ106を、本願発明のラベルプリンタ1を経て所定位置まで順次搬送する搬送部107と、から構成されている。
【0035】
本願発明のラベルプリンタ1は、
図7における保護カバー110により、全体、若しくは一部を覆われるように設けられている。
図1は前記保護カバー110を外した状態を側面から見たラベルプリンタ1を模式的に示した図である。
この採血管準備装置100によると、検査対象者毎に対する採血指示に基づいて準備された採血管ラベル109a、109b…が貼着された採血管108a、108b…は、採血管供給部105から採血管トレイ106に順次供給され一まとめにされると、該採血管トレイ106は搬送部107によりラベルプリンタ1に対応する位置に搬送される。
【0036】
搬送されてきた採血管トレイ106には、
図1に示すように本願発明のラベルプリンタ1により作成されたラベル9が収容される。本実施例におけるラベル9は、採血管トレイ106に収容された採血管108a、108b…が、検査対象者毎に対する採血指示の通りであるかどうかが判断できるように、氏名などの検査対象者の情報や、検査項目、それに伴う採血管の本数、各種情報と紐付けされた情報コード(一次元コード、二次元コード)等が印刷された採血指示ラベルであり、前記図示されない端末装置等と連携して、検査対象者毎の採血指示に応じて作成される。
図8(b)にラベル9の実施例を示す。この実施例では、ある一人の検査対象者(○○ ○○)に対して4つの検査項目(生化学、血算、血糖、凝固)が指示され、それに伴いそれぞれの検査項目に対応する採血管が全部で4本準備されていることが表示されている。このような採血指示に基づく情報が印刷されたラベル9と採血管108a、108b…とを収容した採血管トレイ106は、前記搬送部107により更に所定位置まで搬送される。そして、搬送されてきた採血管トレイ106を受け取った検査技師は、前記ラベル9に印刷された採血指示に基づく情報と、採血管トレイ106に収容された採血管の本数、前記採血管のそれぞれに貼着された採血管ラベルに印刷された情報などとを照らし合わすことで、採血管の欠品や、間違いなどを確認することができる。
【0037】
上述した本実施例のカッタユニット10の組み合わせ構造を備えたラベルプリンタ1は、以下のような作用効果を奏する。
(1)
図6に良く示されているように、前記係止部20を構成する前記他方の係止部材22に備えられた開口部22cを介して、前記係合部30を構成する前記係合柱33の細径部33rを、前記開口部22cと連通する前記保持孔22bに挿通した状態で、前記他方の係止部材22(即ち、前記係止部20が備えられたカッタユニット10)を前記係合柱33に沿うようにスライドさせて、該保持孔22bに前記係合柱33の太径部33Rを挿通するとともに、前記一方の係止部材21に備えられた第1の連結部24と前記一方の保持部材31側に備えられた第2の連結部34とを固定手段15を介して連結すれば、係止部20と係合部30との組み合わせが完了するので、カッタユニット10を本体5の筐体3に簡単且つ素早く取り付けることができる。
(2)かかる構成にあっては、前記第1の連結部24は挿通孔21bであり、前記第2の連結部34はねじ穴であるように構成することによって、前記挿通孔21bと前記ねじ穴34の連結は、前記固定手段としてのねじ体15を使って行えるため、連結構造、延いては係止部20と係合部30との組み合わせ構造が簡単且つ安価に構成できる。
(3)前記第1の連結部24と第2の連結部34との前記のねじ体15を使った連結により、前記第1の連結部24の中心軸と、前記第2の連結部34の中心軸と、前記他方の係止部材22に備えられた保持孔22bの中心軸とを略一致させた状態で取り付けることができるので、前記ねじ体15の
締緩操作により前記カッタユニット10を係合部30に固着したり回動可能に装着できるので、カッタユニット10を取り外すことなくゴミ掃除などの定期メンテナンスが行えるようになり利便性が高い。また、該ねじ体15を取り外せば、カッタユニット10を組み合わせるときとは反対側にスライドさせるだけで、前記係止部20と前記係合部30の組み合わせを解除できることから、専門知識や特別な工具が無くても簡単且つ素早く前記カッタユニットを取り外すことが可能となることから、緊急時におけるメンテナンス性を良好にすることができる。
(4)本願発明のラベルプリンタ1を、例えば上述の採血管準備装置100に適応すれば、カッタユニット10のメンテナンスが突然必要となった場合であっても、簡単且つ素早くカッタユニット10を回動させたり取り外したりできるので、メンテナンスを素早く行うことができる。また、カッタユニット10が故障して使用不可となった場合でも、カッタユニット10の代替品を予め準備しておけば簡単且つ素早く交換することができるので、患者さんを大きく待たせることなく採血管の準備ができ、延いては血液検査、および検査結果に基づいて行われる診察業務等を滞りなく行える。
【0038】
本願発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本願発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。例えば、本願発明の実施例としてラベルプリンタを用いた例を示したが、ラベルプリンタに限定されるものではなくプリンタ全般に適用できる。また、上記実施例の組み合わせ構造は、プリンタ以外の装置にも適用可能であることは言うまでもない。