(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチング制御部は、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記基準電圧との差分値に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプを含み、前記誤差電圧に応じて前記出力トランジスタのオンデューティを決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源回路。
前記割込部は、周期的な負荷変動に応じて前記出力電圧または前記帰還電圧が前記閾値電圧を上回っている間には前記エラーアンプのゲインを通常値から引き下げることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源回路。
前記スイッチング制御部は、さらに、前記エラーアンプの出力端に接続されて前記誤差電圧の位相補償を行う位相補償部を含むことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載のスイッチング電源回路。
前記スイッチング制御部は、デジタルの基準電圧設定信号からアナログの前記基準電圧を生成するデジタル/アナログ変換部を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のスイッチング電源回路。
前記割込部は、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記閾値電圧とを比較して割込信号を生成し、前記割込信号を用いて前記出力トランジスタを強制的にオフさせることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のスイッチング電源回路。
前記基準電圧設定部は、前周期における負荷変動のタイミングから現周期における前記基準電圧の変化タイミングを決定することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のスイッチング電源回路。
前記スイッチング制御部は、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記基準電圧との差分値に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプを含み、前記誤差電圧に応じて前記出力トランジスタのオンデューティを決定することを特徴とする請求項9〜請求項13のいずれか一項に記載のスイッチング電源回路。
前記スイッチング制御部は、さらに、前記エラーアンプの出力端に接続されて前記誤差電圧の位相補償を行う位相補償部を含むことを特徴とする請求項14または請求項15に記載のスイッチング電源回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスイッチング電源回路では、周期的な負荷変動に対する応答性について、更なる改善の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記の問題点に鑑み、周期的な負荷変動に対する応答性の高いスイッチング電源回路、並びに、これを用いた液晶駆動装置及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されているスイッチング電源回路は、出力トランジスタを用いて入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力部と、前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧と所定の基準電圧とが一致するように前記出力トランジスタのオン/オフ制御を行うスイッチング制御部と、周期的な負荷変動に応じて前記出力電圧または前記帰還電圧が前記基準電圧よりも高い閾値電圧を上回っている間には前記出力トランジスタを強制的にオフさせる割込部と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1の構成から成るスイッチング電源回路において、前記閾値電圧は、前記基準電圧に基づいて設定される構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1または第2の構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記基準電圧との差分値に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプを含み、前記誤差電圧に応じて前記出力トランジスタのオンデューティを決定する構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第3の構成から成るスイッチング電源回路において、前記割込部は、周期的な負荷変動に応じて前記出力電圧または前記帰還電圧が前記閾値電圧を上回っている間には前記エラーアンプのゲインを通常値から引き下げる構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第3または第4の構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、さらに、所定周波数のクロック信号を生成するクロック信号生成部と、前記出力トランジスタのオン/オフ制御に同期したスロープ電圧を生成するスロープ電圧生成部と、前記誤差電圧と前記スロープ電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと、前記クロック信号と前記比較信号の入力を受け付けてパルス幅変調信号を出力するRSフリップフロップと、前記パルス幅変調信号の入力を受け付けて前記出力トランジスタのオン/オフ制御信号を出力するドライバとを含む構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第3〜第5いずれかの構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、さらに、前記エラーアンプの出力端に接続されて前記誤差電圧の位相補償を行う位相補償部を含む構成(第6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、デジタルの基準電圧設定信号からアナログの前記基準電圧を生成するデジタル/アナログ変換部を含む構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成るスイッチング電源回路において、前記割込部は、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記閾値電圧を比較して割込信号を生成し、前記割込信号を用いて前記出力トランジスタを強制的にオフさせる構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、本明細書中に開示されているスイッチング電源回路は、出力トランジスタを用いて入力電圧から出力電圧を生成するスイッチング出力部と、前記出力電圧またはこれに応じた帰還電圧と所定の基準電圧とが一致するように前記出力トランジスタのオン/オフ制御を行うスイッチング制御部と、周期的な負荷変動のタイミングに合わせて前記基準電圧を一時的に変化させる基準電圧設定部と、を有する構成(第9の構成)とされている。
【0016】
なお、第9の構成から成るスイッチング電源回路において、前記基準電圧設定部は、周期的な負荷増大のタイミングに合わせて前記基準電圧を一時的に引き上げる構成(第10の構成)にするとよい。
【0017】
また、第9または第10の構成から成るスイッチング電源回路において、前記基準電圧設定部は、前周期における負荷変動のタイミングから現周期における前記基準電圧の変化タイミングを決定する構成(第11の構成)にするとよい。
【0018】
また、第9〜第11いずれかの構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、デジタルの基準電圧設定信号からアナログの前記基準電圧を生成するデジタル/アナログ変換部を含み、前記基準電圧設定部は、周期的な負荷変動のタイミングに合わせて、前記基準電圧設定信号のデータ値を一時的に変化させる構成(第12の構成)にするとよい。
【0019】
また、第
12の構成から成るスイッチング電源回路において、前記基準電圧設定部は、周期的な負荷変動のタイミングに合わせてパルス信号を生成するパルス信号生成部と、前記パルス信号に応じてデータ信号のデータ値を切り替えるデータ信号生成部と、回路外部から入力される外部基準電圧設定信号に前記データ信号を足し合わせて前記基準電圧設定信号を生成する加算部と、を含む構成(第13の構成)にするとよい。
【0020】
また、第9〜第13いずれかの構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、前記出力電圧または前記帰還電圧と前記基準電圧との差分値に応じた誤差電圧を生成するエラーアンプを含み、前記誤差電圧に応じて前記出力トランジスタのオンデューティを決定する構成(第14の構成)にするとよい。
【0021】
また、第14の構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、さらに、所定周波数のクロック信号を生成するクロック信号生成部と、前記出力トランジスタのオン/オフ制御に同期したスロープ電圧を生成するスロープ電圧生成部と、前記誤差電圧と前記スロープ電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと、前記クロック信号と前記比較信号の入力を受け付けてパルス幅変調信号を出力するRSフリップフロップと、前記パルス幅変調信号の入力を受け付けて前記出力トランジスタのオン/オフ制御信号を出力するドライバと、を含む構成(第15の構成)にするとよい。
【0022】
また、第14または第15の構成から成るスイッチング電源回路において、前記スイッチング制御部は、さらに、前記エラーアンプの出力端に接続されて前記誤差電圧の位相補償を行う位相補償部を含む構成(第16の構成)にするとよい。
【0023】
また、本明細書中に開示されている液晶駆動装置は、装置各部への電力供給手段として第1〜第16いずれかの構成から成るスイッチング電源回路を有する構成(第17の構成)とされている。
【0024】
また、本明細書中に開示されている液晶表示装置は、第17の構成から成る液晶駆動装置と、前記液晶駆動装置によって駆動される液晶表示パネルと、を有する構成(第18の構成)とされている。
【発明の効果】
【0025】
本明細書中に開示されている発明によれば、周期的な負荷変動に対する応答性の高いスイッチング電源回路、並びに、これを用いた液晶駆動装置及び液晶表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<液晶表示装置>
図1は、液晶表示装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例の液晶表示装置1は、液晶駆動装置10と液晶表示パネル20を有する。液晶駆動装置10は、不図示のホスト装置(マイコン等)から入力される映像信号Sinや各種コマンドに基づいて液晶表示パネル20の駆動制御を行う。液晶表示パネル20は、液晶素子を画素として用いた映像出力手段である。
【0028】
<液晶駆動装置>
引き続き、
図1を参照しながら液晶駆動装置10について詳述する。本構成例の液晶駆動装置10は、システム電源部11と、タイミング制御部12と、レベルシフタ13と、ゲートドライバ14と、ソースドライバ15と、ガンマ電圧生成部16と、コモン電圧生成部17と、を含む。
【0029】
システム電源部11は、入力電圧VIN(例えば+12V)の供給を受けて動作し、アナログ系電源電圧AVDD(例えば+17V)、ロジック系電源電圧VDD(例えば+3.3V、+1.8V、+1.2V)、正電源電圧VON(例えば+28V)、及び、負電源電圧VOFF(例えば−12V)をそれぞれ生成して装置各部に供給する。
【0030】
タイミング制御部12は、ロジック系電源電圧VDDの供給を受けて動作し、ホスト装置から入力されるコマンドやデータに基づいて、液晶駆動装置10のタイミング制御(ゲートドライバ14の垂直同期制御やソースドライバ15の水平同期制御など)を行う。
【0031】
レベルシフタ13は、正電源電圧VONと負電源電圧VOFFの供給を受けて動作し、タイミング制御部12から入力されるタイミング制御信号(垂直同期信号)をレベルシフトした上でゲートドライバ14に伝達する。
【0032】
ゲートドライバ14は、レベルシフタ13から入力される垂直同期信号に基づいて、液晶表示パネル20のゲート信号G(1)〜G(y)を生成し、これらを液晶表示パネル20の液晶素子(液晶表示パネル20がアクティブマトリクス型である場合には、液晶素子にそれぞれ接続されたアクティブ素子のゲート端子)に供給する。
【0033】
ソースドライバ15は、アナログ系電源電圧AVDDの供給を受けて動作し、不図示のホスト装置から入力されるデジタル(mビット)の映像信号Sinをアナログのソース信号S(1)〜S(x)に変換して、液晶ディスプレイパネル20の液晶素子(液晶表示パネル20がアクティブマトリクス型である場合には、液晶素子にそれぞれ接続されたアクティブ素子のソース端子)に供給する。
【0034】
ガンマ電圧生成部16は、アナログ系電源電圧AVDDの供給を受けて動作し、2
m階調の階調電圧V(0)〜V(n)(ただしn=2
m−1)を生成してソースドライバ15に供給する。なお、階調電圧V(0)〜V(n)は、それぞれ、映像信号Sinのデータ値「0」〜「n」に一対一で対応している。
【0035】
コモン電圧生成部17は、所定のコモン電圧VCを生成して液晶表示パネル20の液晶素子(液晶表示パネル20がアクティブマトリクス型である場合には、液晶素子にそれぞれ接続されたアクティブ素子のドレイン端子)に供給する。
【0036】
<スイッチング電源回路(第1実施形態)>
図2は、システム電源部11に内蔵されるスイッチング電源回路の第1実施形態を示す回路図である。本実施形態のスイッチング電源回路100は、入力電圧VINから所望のアナログ系電源電圧AVDD(出力電圧に相当)を生成する回路部であり、スイッチング出力部110と、スイッチング制御部120と、割込部130と、を含む。
【0037】
スイッチング出力部110は、入力電圧VINからアナログ系電源電圧AVDDを生成する昇圧型スイッチング出力段であり、出力トランジスタN1(本図の例では、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタ)と、コイルL1と、ダイオードD1と、キャパシタC1と、を含む。
【0038】
コイルL1の第1端は、入力電圧VINの印加端に接続されている。コイルL1の第2端は、出力トランジスタN1のドレインとダイオードD1のアノードに接続されている。出力トランジスタN1のソースは、接地端に接続されている。出力トランジスタN1のゲートは、スイッチング制御部120の出力端(=ゲート信号Sdの出力端)に接続されている。ダイオードD1のカソードは、アナログ系電源電圧AVDDの出力端とキャパシタC1の第1端に接続されている。キャパシタC1の第2端は、接地端に接続されている。
【0039】
スイッチング制御部120は、アナログ系電源電圧AVDDに応じた帰還電圧Vfbと所定の基準電圧Vrefとが一致するように出力トランジスタN1のオン/オフ制御を行う出力帰還回路部であり、クロック信号生成部121と、デジタル/アナログ変換部122と、帰還電圧生成部123と、エラーアンプ124と、位相補償部125と、スロープ電圧生成部126と、コンパレータ127と、RSフリップフロップ128と、ドライバ129と、を含む。
【0040】
クロック信号生成部121は、所定のスイッチング周波数f(=1/T)でクロック信号を生成し、これをセット信号SaとしてRSフリップフロップ128に出力する。
【0041】
デジタル/アナログ変換部122は、デジタルの基準電圧設定信号REFからアナログの基準電圧Vrefを生成する。
【0042】
帰還電圧生成部123は、アナログ系電源電圧AVDDの印加端と接地端の間に直列に接続された抵抗R1及びR2を含み、抵抗R1と抵抗R2との接続ノードからアナログ系電源電圧AVDDを分圧した帰還電圧Vfb(={R2/(R1+R2)}×AVDD)を出力する。ただし、アナログ系電源電圧AVDDがスイッチング制御部120や割込部130の入力ダイナミックレンジに収まっている場合には、帰還電圧生成部123を省略し、帰還電圧Vfbとしてアナログ系電源電圧AVDDを直接受け付けても構わない。
【0043】
エラーアンプ124は、電流出力型のトランスコンダクタンスアンプ(いわゆるgmアンプ)である。エラーアンプ124は、反転入力端(−)に入力される帰還電圧Vfbと非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vrefとの差分値に応じて、位相補償部125を形成するキャパシタC2の充放電を行うことにより、誤差電圧Verrを生成する。なお、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いときには、エラーアンプ124からキャパシタC2に向けて電流が流し込まれるので、誤差電圧Verrが上昇する。逆に、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高いときには、キャパシタC2からエラーアンプ124に向けて電流が引き抜かれるので、誤差電圧Verrが低下する。
【0044】
位相補償部125は、エラーアンプ124の出力端と接地端との間に直列接続された抵抗R3とキャパシタC2を含む時定数回路であり、誤差電圧Verrの位相補償を行う。
【0045】
スロープ電圧生成部126は、出力トランジスタN1のオン/オフ制御(本図の例では反転パルス幅変調信号ScB)に同期したスロープ電圧Vslpを生成する。スロープ電圧Vslpは、出力トランジスタN1のオンタイミングで上昇を開始し、出力トランジスタN1のオフタイミングでゼロ値にリセットされる鋸波形状のアナログ電圧である。
【0046】
コンパレータ127は、反転入力端(−)に入力される誤差電圧Verrと非反転入力端(+)に入力されるスロープ電圧Vslpとを比較して比較信号CMPを生成する。比較信号CMPは、誤差電圧Verrがスロープ電圧Vslpよりも高いときにローレベルとなり、誤差電圧Verrがスロープ電圧Vslpよりも低いときにハイレベルとなる。
【0047】
RSフリップフロップ128は、セット端(S)に入力されるセット信号Saとリセット端(R)に入力されるリセット信号Sbに応じて出力端(Q)からパルス幅変調信号Scを出力する。パルス幅変調信号Scは、セット信号Saの立上りエッジでハイレベルにセットされ、リセット信号Sbの立上りエッジでローレベルにリセットされる。ただし、セット信号Saとリセット信号Sbが同時にハイレベルとなったときにはリセット信号Sbが優先される。なお、RSフリップフロップ128は、反転出力端(QB)から反転パルス幅変調信号ScB(=パルス幅変調信号Scの論理反転信号)も同時出力している。
【0048】
ドライバ129は、パルス幅変調信号Scの入力を受け付け、その電流能力を増強することにより出力トランジスタN1のゲート信号Sd(出力トランジスタN1のオン/オフ制御信号に相当)を生成し、これを出力トランジスタN1のゲートに出力する。出力トランジスタN1は、ゲート信号Sdがハイレベルであるときにオンし、ゲート信号Sdがローレベルであるときにオフする。
【0049】
割込部130は、周期的な負荷変動に応じて帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高い閾値電圧Vthを上回っている間、出力トランジスタN1を強制的にオフさせるための割り込み制御を行う回路部であり、オフセット電圧生成部131と、加算部132と、コンパレータ133と、ORゲート134と、を含む。
【0050】
オフセット電圧生成部131は、所定のオフセット電圧Vofsを生成する。なお、オフセット電圧Vofsは、基準電圧Vrefの1%程度(=Vref×0.01)に設定するとよい。
【0051】
加算部132は、基準電圧Vrefにオフセット電圧Vofsを足し合わせて閾値電圧Vth(=Vref+Vofs)を生成する。すなわち、閾値電圧Vthは、基準電圧Vrefに基づいて可変的に設定される。
【0052】
なお、基準電圧Vrefにオフセット電圧Vofsを足し合わせるのではなく、基準電圧Vrefに所定のオフセット係数α(例えば1.01)を掛け合わせて閾値電圧Vthを生成するようにしてもよい。
【0053】
コンパレータ133は、非反転入力端(+)に入力される帰還電圧Vfbと反転入力端(−)に入力される閾値電圧Vthとを比較して割込信号INTを生成する。割込信号INTは、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベルとなり、逆に、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vthよりも低いときにローレベルとなる。
【0054】
ORゲート134は、比較信号CMPと割込信号INTとの論理和演算を行い、その演算結果をリセット信号Sbとして出力する。従って、割込信号INTがローレベルであるときには、比較信号CMPがそのままリセット信号Sbとして出力される。一方、割込信号INTがハイレベルであるときには、比較信号CMPの論理レベルに依ることなく、リセット信号Sbがハイレベルに固定される。
【0055】
リセット信号Sbがハイレベルに固定されている間は、セット信号Saにパルスが生成されても、パルス幅変調信号Scがローレベルにリセットされたままとなり、延いては、出力トランジスタN1がオフされたままとなる。このように、割込部130は、割込信号INTを用いて出力トランジスタN1を強制的にオフさせる割り込み機能を具備しているが、その技術的意義については後ほど詳述する。
【0056】
<基本動作(昇圧動作)>
まず、スイッチング電源回路100の基本動作(昇圧動作)について説明する。出力トランジスタN1がオンされると、コイルL1には出力トランジスタN1を介して接地端に向けたスイッチ電流が流れ、その電気エネルギが蓄えられる。このとき、ダイオードD1のアノードに現れるスイッチ電圧Vswは、出力トランジスタN1を介してほぼ接地電圧まで低下する。従って、ダイオードD1が逆バイアス状態となり、キャパシタC1から出力トランジスタN1に向けて電流が流れ込むことはない。
【0057】
一方、出力トランジスタN1がオフされると、コイルL1に生じた逆起電力により、そこに蓄積されていた電気エネルギが電流として放出される。このとき、ダイオードD1は順バイアス状態となるため、ダイオードD1を介して流れる電流は、出力電流Ioutとしてアナログ系電源電圧AVDDの出力端から負荷(ソースドライバ15やガンマ電圧生成部16)に流れ込むとともに、キャパシタC1を介して接地端にも流れ込み、キャパシタC1を充電することになる。上記の動作が繰り返されることにより、負荷には、入力電圧VINを昇圧したアナログ系電源電圧AVDDが供給される。
【0058】
<スロープ電圧生成部>
図3は、スロープ電圧生成部126の一構成例を示す回路図である。本構成例のスロープ電圧生成部126は、電流源126xと、キャパシタ126yと、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ126zと、を含む。
【0059】
電流源126xは、電源端とキャパシタ126yの第1端(=スロープ電圧Vslpの出力端)との間に接続されており、所定の充電電流I1を生成する。
【0060】
キャパシタ126yの第1端は、スロープ電圧Vslpの出力端に接続されている。キャパシタ126yの第2端は、接地端に接続されている。トランジスタ126zがオフされているときには、キャパシタ126yが充電電流I1によって充電されるので、キャパシタ126yの第1端に現れるスロープ電圧Vslpが上昇していく。一方、トランジスタ126zがオンされているときには、キャパシタ126yがトランジスタ126zを介して放電されるので、スロープ電圧Vslpがゼロ値にリセットされる。
【0061】
トランジスタ126zは、出力トランジスタN1のオン/オフ制御に応じてキャパシタ126yの充放電を切り替える充放電スイッチである。トランジスタ126zのドレインは、キャパシタ126yの第1端に接続されている。トランジスタ126zのソースは、接地端に接続されている。トランジスタ126zのゲートは、反転パルス幅変調信号ScBの印加端に接続されている。従って、トランジスタ126zは、反転パルス幅変調信号ScBがハイレベルであるときにオンし、反転パルス幅変調信号ScBがローレベルであるときにオフする。
【0062】
<デューティ制御>
図4は、誤差電圧Verrに応じたデューティ制御の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、セット信号Sa、誤差電圧Verr及びスロープ電圧Vslp、比較信号CMP(割込信号INTのローレベル時にはリセット信号Sbと等価)、パルス幅変調信号Sc、並びに、反転パルス幅変調信号ScBが描写されている。
【0063】
セット信号Saがハイレベルに立ち上がると、パルス幅変調信号Scがハイレベルにセットされるので、出力トランジスタN1がオンとなる。このとき、トランジスタ126zは、反転パルス幅変調信号ScBのローレベル遷移に伴ってオフとなるので、充電電流I1によるキャパシタ126yの充電が開始される。従って、スロープ電圧Vslpは、所定の傾きを持って上昇し始める。
【0064】
その後、スロープ電圧Vslpが誤差電圧Verrよりも高くなると、比較信号CMPがハイレベルに立ち上がり、パルス幅変調信号Scがローレベルにリセットされるので、出力トランジスタN1がオフとなる。このとき、トランジスタ126zは、反転パルス幅変調信号ScBのハイレベル遷移に伴ってオンとなる。その結果、キャパシタ126yがトランジスタ126zを介して速やかに放電され、スロープ電圧Vslpがゼロ値にリセットされる。
【0065】
なお、誤差電圧Verrが高いほどスロープ電圧Vslpとの交差タイミングが遅くなる。従って、パルス幅変調信号Scのハイレベル期間(=出力トランジスタN1のオン期間Ton)が長くなり、延いては、出力トランジスタN1のオンデューティDon(=スイッチング周期Tに占めるオン期間Tonの割合、Don=Ton/T)が大きくなる。
【0066】
逆に、誤差電圧Verrが低いほどスロープ電圧Vslpとの交差タイミングが早くなる。従って、パルス幅変調信号Scのハイレベル期間が短くなり、延いては、出力トランジスタN1のオンデューティDonが小さくなる。
【0067】
このように、スイッチング電源回路100では、誤差電圧Verrに応じて出力トランジスタN1のオンデューティDonを決定することにより、入力電圧VINから所望のアナログ系電源電圧AVDDが生成される。
【0068】
<負荷応答挙動(第1実施形態)>
図5は、第1実施形態における負荷応答挙動の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、帰還電圧Vfb(延いてはアナログ系電源電圧AVDD)、スイッチ電圧Vsw、出力電流Iout、並びに、誤差電圧Verr及びスロープ電圧Vslpが描写されている。
【0069】
なお、帰還電圧Vfbと誤差電圧Verrについて、それぞれの実線は割込部130を実装している場合の挙動(第1実施形態の負荷応答挙動)が描写されており、それぞれの破線は割込部130を実装していない場合の挙動(従来の負荷応答挙動)が比較参照のために描写されている。
【0070】
スイッチング電源回路100の負荷であるソースドライバ15やガンマ電圧生成部16では、液晶表示パネル20が表示期間と非表示期間(いわゆるブランキング期間)を交互に繰り返すことに伴い、それぞれの消費電流が周期的に変動する。
【0071】
すなわち、スイッチング電源回路100の出力電流Ioutは、液晶表示パネル20の駆動状態に応じて周期的に変動する。具体的に述べると、液晶表示パネル20の表示期間には、所定の出力電流Ioutが流れる状態(重負荷状態)となる。一方、液晶表示パネル20の非表示期間には、出力電流Ioutがほぼ流れない状態(軽負荷状態)となる。
【0072】
液晶表示パネル20が表示期間から非表示期間に移行し、出力電流Ioutが重負荷状態から軽負荷状態に急変すると、アナログ系電源電圧AVDDが設定値から持ち上がり、延いては、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefから持ち上がる。
【0073】
割込部130を実装していない場合には、このような状況下でも出力トランジスタN1のオン/オフ動作が停止されず、帰還電圧Vfbを基準電圧Vrefと一致させるように負帰還制御が掛かる。従って、誤差電圧Verrは、その平衡値(=帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefが一致しているときに得られる誤差電圧Verrの電圧値)から大きく低下してしまう。
【0074】
ここで、液晶表示パネル20が非表示期間から再び表示期間に移行し、出力電流Ioutが軽負荷状態から再び重負荷状態に急変すると、大きく低下した誤差電圧Verrを平衡値まで戻すのに長時間を要する。その結果、出力トランジスタN1のオンデューティDonを十分に高めることができないので、アナログ系電源電圧AVDDが設定値から大きく低下してしまい、液晶表示パネル20の表示動作に支障を来たすおそれがある。
【0075】
一方、割込部130を実装している場合には、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vthよりも高くなった時点で、出力トランジスタN1が強制的にオフされる。その結果、帰還電圧Vfbが閾値電圧Vthまでしか上昇しないので、誤差電圧Verrが平衡値から大きく低下することはなくなる。
【0076】
従って、液晶表示パネル20が非表示期間から再び表示期間に移行し、出力電流Ioutが軽負荷状態から再び重負荷状態に急変しても、誤差電圧Verrを遅滞なく平衡値まで戻すことができる。その結果、出力トランジスタN1のオンデューティDonを必要なレベルまで迅速に高めることができるので、アナログ系電源電圧AVDDの低下を効果的に抑制し、液晶表示パネル20の表示動作を支障なく実施することが可能となる。
【0077】
<スイッチング電源回路(第2実施形態)>
図6は、スイッチング電源回路の第2実施形態を示す回路図である。本実施形態のスイッチング電源回路100は、先の第1実施形態(
図2)をベースとしつつ、さらに、割込信号INTを用いたエラーアンプ124のゲイン制御を行う点に特徴を有する。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、
図2と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0078】
本実施形態のスイッチング電源回路100において、割込信号INTは、ORゲート134だけでなくエラーアンプ124にも入力されている。エラーアンプ124は、割込信号INTがハイレベルであるときに、自身のゲイン(=トランスコンダクタンスgm)を通常値から引き下げる機能を備えている。
【0079】
すなわち、割込部130は、周期的な負荷変動に応じて帰還電圧Vfbが閾値電圧Vthを上回っている間、エラーアンプ124のゲインを通常値から引き下げるように動作する。以下では、その技術的意義について詳述する。
【0080】
<負荷応答挙動(第2実施形態)>
図7は、第2実施形態における負荷応答挙動の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、帰還電圧Vfb(延いてはアナログ系電源電圧AVDD)、スイッチ電圧Vsw、出力電流Iout、並びに、誤差電圧Verr及びスロープ電圧Vslpが描写されている。
【0081】
なお、帰還電圧Vfbと誤差電圧Verrについて、それぞれの実線はエラーアンプ124のゲイン引き下げ機能を導入している場合の挙動(第2実施形態の負荷応答挙動)が描写されており、それぞれの破線はエラーアンプ124のゲイン引き下げ機能を導入していない場合の挙動(第1実施形態の負荷応答挙動)が比較参照のために描写されている。
【0082】
割込部130の導入により、液晶表示パネル20の非表示期間には、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefを僅かに上回っている状態で出力トランジスタN1が強制的にオフされるので、エラーアンプ124がキャパシタC2を放電し続ける状態となる。従って、液晶表示パネル20の非表示期間が長くなるほど、誤差電圧Verrが平衡値から徐々に低下していくので、負荷応答性の向上効果が薄れてしまう。
【0083】
一方、第2実施形態のスイッチング電源回路100では、割込信号INTがハイレベルであるときにエラーアンプ124のゲインが通常値から引き下げられるので、液晶表示パネル20の非表示期間における誤差電圧Verrの低下速度が緩やかに抑えられる。従って、エラーアンプ124のゲインを固定していた第1実施形態と比べて、負荷応答性のさらなる向上を見込むことが可能となる。
【0084】
なお、液晶表示パネル20の非動作期間が長いほど、エラーアンプ124のゲイン引き下げによる負荷応答性の改善効果が大きくなることに鑑み、
図7では、先出の
図5と比べて、液晶表示パネル20の非動作期間が長めに描写されている。もちろん、液晶表示パネル20の非動作期間が短くても、エラーアンプ124のゲインを引き下げることにより、負荷応答性の向上が図られることについては、改めて言うまでもない。
【0085】
<スイッチング電源回路(第3実施形態)>
図8は、スイッチング電源回路の第3実施形態を示す回路図である。本実施形態のスイッチング電源回路100は、先の第1実施形態(
図2)または第2実施形態(
図6)から割込部130を省略し、基準電圧設定部140を含む点に特徴を有する。そこで、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成要素については、
図2または
図6と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、本実施形態の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0086】
コンパレータ127は、割込部130の省略に伴い、その比較信号をリセット信号SbとしてRSフリップフロップ128に直接出力する。
【0087】
基準電圧設定部140は、基準電圧設定信号REFを生成してスイッチング制御部120(より具体的にはデジタル/アナログ変換部122)に出力する。なお、基準電圧設定部140は、周期的な負荷変動のタイミングに合わせて基準電圧Vrefを一時的に変化させる機能(=基準電圧設定信号REFのデータ値を一時的に変化させる機能)を備えている。当該機能については後ほど詳述する。
【0088】
<基準電圧設定部>
図9は、基準電圧設定部140の一構成例を示すブロック図である。本構成例の基準電圧設定部140は、ブーストパルス信号生成部141と、ブーストデータ信号生成部142と、加算部143と、を含む。
【0089】
ブーストパルス信号生成部141は、ストローブ信号STV(=ゲートドライバ14に対してフレームの先頭タイミングを通知するための垂直同期開始信号)を監視し、周期的な負荷変動のタイミングに合わせてブーストパルス信号BPの論理レベルを切り替える。
【0090】
より具体的に述べると、ブーストパルス信号生成部141は、液晶表示パネル20のブランキング期間が終了して出力電流Ioutが増大し始める前にブーストパルス信号BPをローレベルからハイレベルに立ち上げ、その後、所定のブースト期間Tbstが経過した時点でブーストパルス信号BPをハイレベルからローレベルに立ち下げる。
【0091】
なお、ストローブ信号STVは、液晶表示パネル20の表示期間にハイレベルとなり、液晶表示パネル20の非表示期間にローレベルとなる論理信号である。従って、ブーストパルス信号生成部141では、ストローブ信号STVの立上りエッジを監視することにより、周期的な負荷変動のタイミング(=出力電流Ioutの増大タイミング)を知ることができる。ただし、ブーストパルス信号生成部141の監視対象は、ストローブ信号STVに限定されるものではなく、周期的な負荷変動のタイミングを知ることができるのであれば、いかなる信号を監視対象としてもよい。
【0092】
ブーストデータ信号生成部142は、ブーストパルス信号BPの論理レベルに応じて、ブーストデータ信号BDのデータ値を切り替える。より具体的に述べると、ブーストデータ信号生成部142は、ブーストパルス信号BPのハイレベル時にブーストデータ信号BDを所定のブースト値Dbstとし、ブーストパルス信号BPのローレベル時にブーストデータ信号BDをゼロ値とする。なお、ブースト値Dbstは、外部基準電圧設定信号REF0の1%程度(=REF0×0.01)に設定することが望ましい。
【0093】
加算部143は、回路外部から入力される外部基準電圧設定信号REF0にブーストデータ信号BDを足し合わせて基準電圧設定信号REFを生成する。従って、基準電圧設定信号REFのデータ値は、ブーストパルス信号BPのハイレベル時に「REF0+Dbst」となり、ブーストパルス信号BPのローレベル時に「REF0」となる。
【0094】
なお、外部基準電圧設定信号REF0にブーストデータ信号BDを足し合わせて基準電圧設定信号REFを生成するのではなく、外部基準電圧設定信号REF0に所定のブースト係数α(例えば1.01)を掛け合わせることにより基準電圧設定信号REFを生成するようにしてもよい。
【0095】
<ブースト動作>
図10は、基準電圧設定部140によるブースト動作の第1例を示すタイミングチャートであり、上から順に、ストローブ信号STV、出力電流Iout、ブーストパルス信号BP、基準電圧設定信号REF、基準電圧Vref、及び、アナログ系電源電圧AVDDが描写されている。
【0096】
なお、アナログ系電源電圧AVDDについて、実線は基準電圧設定部140を実装した場合の挙動(本構成例の負荷応答挙動)が描写されており、破線は基準電圧設定部140を実装しない場合の挙動(従来の負荷応答挙動)が比較参照のために描写されている。
【0097】
先にも述べたように、スイッチング電源回路100の負荷であるソースドライバ15やガンマ電圧生成部16では、液晶表示パネル20が表示期間と非表示期間(いわゆるブランキング期間)を交互に繰り返すことに伴い、それぞれの消費電流が周期的に変動する。
【0098】
すなわち、スイッチング電源回路100の出力電流Ioutは、液晶表示パネル20の駆動状態に応じて周期的に変動する。具体的に述べると、液晶表示パネル20の表示期間には、所定の出力電流Ioutが流れる状態(重負荷状態)となる。一方、液晶表示パネル20の非表示期間には、出力電流Ioutがほぼ流れない状態(軽負荷状態)となる。
【0099】
本図の例では、時刻t11において、ストローブ信号STVがハイレベルに立ち上げられた後、所定の第1遅延時間Td1が経過した時刻t13において、出力電流Ioutの増大が生じている。
【0100】
仮に、基準電圧設定部140が実装されておらず、基準電圧Vrefが固定値とされていた場合には、出力電流Ioutの増大に伴いアナログ系電源電圧AVDDが設定値を下回ったことを受けて初めて出力トランジスタN1のオンデューティDonが高められる。そのため、オンデューティDonの上昇が遅れてアナログ系電源電圧AVDDが設定値から大きく低下してしまい、液晶表示パネル20の表示動作に支障を来たすおそれがある。
【0101】
一方、基準電圧設定部140が実装されている場合には、出力電流Ioutの増大に先立ち基準電圧Vrefを一時的に引き上げておくためのブーストパルス信号BPがハイレベルに立ち上げられる。
【0102】
なお、ストローブ信号STVがハイレベルに立ち上げられてから出力電流Ioutが増大するまでにμsオーダーの遅延期間(=第1遅延期間Td1)がある場合には、現周期におけるストローブ信号STVの立上りエッジに基づいて、同周期におけるブーストパルス信号BPの立上りタイミングを設定することができる。
【0103】
より具体的に述べると、ブーストパルス信号BPは、時刻t11から所定の第2遅延時間Td2(ただしTd2<Td1)が経過した時刻t12において、ローレベルからハイレベルに立ち上げられ、その後、所定のブースト期間Tbstが経過した時刻t14において、ハイレベルからローレベルに立ち下げられる。なお、ブースト期間Tbstの長さについては、スイッチング制御部120の応答時間を考慮して適宜設定すればよい。
【0104】
時刻t13を跨ぐように設定されたブースト期間Tbstには、基準電圧設定信号REFのデータ値が「REF0」から「REF0+Dbst」に引き上げられる。すなわち、基準電圧Vrefが一時的に引き上げられた状態となるので、出力トランジスタN1のオンデューティDonが高くなり、アナログ系電源電圧AVDDが本来の設定値よりも高い電圧値まで上昇する。
【0105】
このように、負荷変動の発生前からアナログ系電源電圧AVDDを予め高めておくことにより、負荷変動に伴うアナログ系電源電圧AVDDの低下分を相殺することができる。従って、アナログ系電源電圧AVDDの低下を効果的に抑制し、液晶表示パネル20の表示動作を支障なく実施することが可能となる。
【0106】
また、アナログ系電源電圧AVDDが設定値よりも低下したことを受けて初めて出力トランジスタN1のオンデューティDonを高め始めるのではなく、アナログ系電源電圧AVDDを本来の設定値から意図的に引き上げるように出力トランジスタN1のオンデューティDonを高める方が応答速度の面でも有利である。
【0107】
図11は、基準電圧設定部140によるブースト動作の第2例を示すタイミングチャートであり、上から順に、ストローブ信号STV、出力電流Iout、ブーストパルス信号BP、基準電圧設定信号REF、基準電圧Vref、及び、アナログ系電源電圧AVDDが描写されている。
【0108】
本図の例では、時刻t21において、ストローブ信号STVがハイレベルに立ち上げられると、ほぼ同時に出力電流Ioutの増大が生じている。このように、ストローブ信号STVがハイレベルに立ち上げられてから出力電流Ioutが増大するまでに殆ど遅延期間がない場合には、現周期におけるストローブ信号STVの立上りエッジに基づいて、同周期におけるブーストパルス信号BPの立上りタイミングを設定することができない。
【0109】
このような場合には、ストローブ信号STVのパルス周期T1が常に一定であることに鑑み、前周期における負荷変動のタイミングから、現周期における基準電圧Vrefの変化タイミングを決定すればよい。
【0110】
例えば、時刻t21において、ストローブ信号STVがハイレベルに立ち上がった場合には、そこからパルス周期T1が経過した時刻t23において、ストローブ信号STVが再びハイレベルに立ち上がり、これとほぼ同時に出力電流Ioutの増大が生じると予見することができる。
【0111】
そこで、ブーストパルス信号BPは、時刻t21から所定のインターバル時間T2(ただしT2<T1)が経過した時刻t22において、ローレベルからハイレベルに立ち上げられ、その後、所定のブースト期間Tbstが経過した時刻t24において、ハイレベルからローレベルに立ち下げられる。なお、ブースト期間Tbstの長さについては、スイッチング制御部120の応答時間を考慮して適宜設定すればよい。
【0112】
時刻t23を跨ぐように設定されたブースト期間Tbstには、基準電圧設定信号REFのデータ値が「REF0」から「REF0+Dbst」に引き上げられる。すなわち、基準電圧Vrefが一時的に引き上げられた状態となるので、出力トランジスタN1のオンデューティDonが高くなり、アナログ系電源電圧AVDDが本来の設定値よりも高い電圧値まで上昇する。
【0113】
このように、負荷変動の発生前からアナログ系電源電圧AVDDを予め高めておくことにより、負荷変動に伴うアナログ系電源電圧AVDDの低下分が相殺される。従って、アナログ系電源電圧AVDDの低下を効果的に抑制し、液晶表示パネル20の表示動作を支障なく実施することが可能となる。この点については、先の第1動作例と同様である。
【0114】
<テレビへの適用>
図12は、テレビの外観図である。テレビXは、液晶表示装置1の一例であり、その電源手段として、先述のスイッチング電源回路100を好適に用いることが可能である。
【0115】
<その他の変形例>
なお、上記では、スイッチング電源回路100を液晶表示装置1(ないしは液晶駆動装置10)に搭載した例を挙げて説明を行ったが、スイッチング電源回路100は、周期的な負荷変動を生じるアプリケーションの電源手段として広く適用することが可能である。
【0116】
また、スイッチング出力部110の出力形式については、昇圧型に限らず、降圧型や昇降圧型に適宜変更することが可能である。
【0117】
また、スイッチング出力部110の整流方式についても、ダイオード整流方式に代えて同期整流方式を採用することが可能である。特に、軽負荷時の逆流遮断機能を備えた同期整流方式のスイッチング電源回路では、先述の割込機能(出力トランジスタの強制オフ機能やエラーアンプのゲイン引き下げ機能)を導入することにより、周期的な負荷変動に対して高い応答性を得ることが可能となる。
【0118】
このように、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。