(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663325
(24)【登録日】2020年2月18日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】マイクロホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/04 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
H04R1/04 B
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-161334(P2016-161334)
(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公開番号】特開2018-29307(P2018-29307A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 文靖
【審査官】
柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−307989(JP,A)
【文献】
特開平09−247039(JP,A)
【文献】
特開平04−373265(JP,A)
【文献】
特開平07−294662(JP,A)
【文献】
特開平05−181407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の柄部と、
前記柄部の一端に接続された略球状、又は軸が前記柄部の長手方向と一致する略円柱状の収音部と、
前記収音部の外周の周囲における第1の位置に配置された第1の発光素子と、
前記収音部の外周の周囲における前記第1の位置と対向する第2の位置に配置された第2の発光素子と、
前記収音部の外周の周囲における前記第1の位置と前記第2の位置との2つの中間点の一方である第3の位置に配置された第1の受光素子と、
前記2つの中間点の他方である第4の位置に配置された第2の受光素子とを備え、
前記第1及び第2の発光素子の発光面と前記第1及び第2の受光素子の受光面は、前記柄部の前記収音部からの延出方向と反対の方向を向いており、
前記第1及び/又は第2の受光素子が前記第1及び/又は前記第2の発光素子の発光による反射光を受光したことに基づいて電源がオンになること特徴とするマイクロホン。
【請求項2】
前記第1及び第2の発光素子が間欠的に発光し、
前記第1及び/又は第2の受光素子による前記反射光の受光の回数が所定回数に達したとき、電源がオンになることを特徴とする請求項1に記載のマイクロホン。
【請求項3】
前記収音部の外周の周囲に、前記マイクロホンを横にして置いたときに前記収音部を保護する保護リングをさらに備え、
前記第1及び第2の発光素子と前記第1及び第2の受光素子は、前記保護リング上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の声等を収音するマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のマイクロホン300の概略図である。
図4に示すように、従来のマイクロホン300は、棒状の柄部305の一端に接続された球状の収音部301と、マイクロホン300の先端部に設置した焦電センサ310とを有して構成されている。かかる構成により、人の顔等の音源が近づいたことを焦電センサ301で検出し、これにより電源をオンにすることを可能としている(特許文献1の
図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−72559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のマイクロホン300では、焦電センサ310が人の顔等から発生する赤外線量の変化を電圧変化として出力し、この出力した電圧変化により人の顔等が近くにあることを検出するものであることから、以下のような課題が生じる。
【0005】
すなわち、焦電センサ310の近くに人がいても、その人が動かない場合は、焦電センサ310に入射される赤外線量が変化しないため、焦電センサ310は電圧変化を出力せず、その人を検出することができない。つまり、従来のマイクロホン300は、人が近づく動作を検出して電源がオンするが、その後、その近づいた人が動かない場合は、電源がオフになってしまうこととなる。
【0006】
また、焦電センサ310がマイクロホン300の先端に設けられているため、焦電センサ310が収音の邪魔になり、収音能力が低下するという課題もある。
【0007】
したがって、本発明は、収音能力を低下させることなく、人の顔等が近づいたことを検出して電源がオンし、その後その人の顔等が近づいた位置で動かない場合でも、電源のオン状態を維持することが可能なマイクロホンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロホンは、棒状の柄部と、前記柄部の一端に接続された略球状、又は軸が前記柄部の長手方向と一致する略円柱状の収音部と、前記収音部の外周の周囲における第1の位置に配置された第1の発光素子と、前記収音部の外周の周囲における前記第1の位置と対向する第2の位置に配置された第2の発光素子と、前記収音部の外周の周囲における前記第1の位置と前記第2の位置との2つの中間点の一方である第3の位置に配置された第1の受光素子と、前記2つの中間点の他方である第4の位置に配置された第2の受光素子とを備え、前記第1及び第2の発光素子の発光面と前記第1及び第2の受光素子の受光面は、前記柄部の前記収音部からの延出方向と反対の方向を向いており、前記第1及び/又は第2の受光素子が前記第1及び/又は前記第2の発光素子の発光による反射光を受光したことに基づいて電源がオンになること特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマイクロホンは、上記のとおり、第1及び/又は第2の発光素子から発光された光が近くにある物に当たり、そこから反射した反射光を第1及び/又は第2の受光素子が受光し、これに基づいて電源がオンされる構成となっている。したがって、マイクロホンに人の顔等が近づいたときに電源がオンするだけでなく、その近づいた人の顔等が動かない場合でも、発光素子からの発光による反射光を受光素子が受光する状態が継続されるため、電源のオン状態を維持することができる。
【0010】
また、第1及び第2の発光素子と第1及び第2の受光素子は、収音部の外周の周囲に配置されることから、収音能力を低下させることなく、上記効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態のマイクロホンの概略構造を示す図である。
【
図2】
図1のマイクロホンを矢印Aの方向から見た概略正面図である。
【
図3】本発明の実施形態のマイクロホンの別の例の概略構造を示す図である。
【
図4】従来のマイクロホンのの概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のマイクロホン100の概略構造を示す図である。
マイクロホン100は、棒状の柄部105と、柄部105の一端に接続された略球状の収音部101と、マイクロホン100を先端から見た収音部101の外周の周囲に設けられ、近接センサとして機能する発光素子102及び受光素子103とを備えている。
【0013】
マイクロホン100は、収音部101の外周の周囲に、マイクロホン100を横にして置いたときに収音部101を保護する保護リング104をさらに備えている。発光素子102及び受光素子103は、保護リング104のマイクロホン100の先端方向に向いた面104S上に配置されている。
以下、発光素子102及び受光素子103の配置等につき、さらに
図2を参照して説明する。
【0014】
図2は、
図1のマイクロホンを矢印Aの方向から見た概略正面図である。
発光素子102と受光素子103は、保護リング104の上面104S上にそれぞれ2つずつ設けられており、
図2の紙面上、上部と下部に発光素子102(102
1、102
2)がそれぞれ配置され、左部と右部に受光素子103(103
1、103
2)がそれぞれ配置されている。
【0015】
すなわち、収音部101の外周の周囲における第1の位置に第1の発光素子102
1が配置され、収音部101の外周の周囲における第1の位置と対向する第2の位置に第2の発光素子102
2が配置され、収音部101の外周の周囲における第1の位置と第2の位置との2つの中間点の一方である第3の位置に第1の受光素子103
1が配置され、2つの中間点の他方である第4の位置に第2の受光素子103
2が配置されている。
【0016】
また、発光素子102(102
1、102
2)の発光面20と受光素子103(103
1、103
2)の受光面30は、マイクロホン100の先端方向、すなわち、
図1に示す柄部105が収音部101から延出する方向と反対の方向を向いている。
【0017】
上記のような発光素子102及び受光素子103を備えたマイクロホン100は、マイクロホン100に人の顔等が近づくと、発光素子102から発光された光が人の顔等に反射して、それが受光素子103に入射されると、電源がオンになるよう構成されている。
【0018】
かかる構成の本実施形態のマイクロホン100によれば、人の顔等が近づいたこと及び人の顔等が近くにあることを発光素子102(102
1、102
2)の発光による人の顔等からの反射光を受光素子103(103
1、103
2)が受光したことで検出し、これに基づき電源をオンさせることができる。
したがって、人の顔等が近づいてきたときに電源がオンするだけでなく、人の顔等が近くにあって動かない場合であっても、電源のオン状態を維持することができる。
【0019】
また、近接センサである発光素子102と受光素子103は、収音部105の外周の周囲に設けられた保護リング104上に設置されるため、近接センサによって収音が遮られることはない。このため、近接センサを設けることによる収音能力の低下を防ぐことができる。
【0020】
また、本実施形態のマイクロホン100によれば、発光素子102の発光面20と受光素子103の受光面30をいずれもマイクロホン100の先端方向に向けていることにより、発光素子102からの光がマイクロホンの構造部に当たって反射した反射光が受光素子103に入射されることを防止できる。さらに、上記に加え、発光素子102及び受光素子103を
図2のような位置関係に配置していることにより、発光素子102からの光が収音部101に当たって反射した反射光が受光素子103に入射されることも防止できる。
したがって、マイクロホン100自身からの反射光により、誤って電源がオンしてしまうことを防止でき、顔等が近づいた時のみ、電源をオンすることが可能となる。
【0021】
本実施形態において、近接センサとしては、例えば、発光素子102に赤外光を発光する素子を用い、受光素子103に赤外光を検出可能な素子を用いることができる。この場合、発光素子102が赤外光を常時発光し、受光素子103が発光素子102の赤外光の発光による反射光を受光している間、マイクロホン100がオンするように構成する。
【0022】
近接センサの別の例として、発光素子102に可視光を発光する素子(例えば、LED素子)を用いることもできる。この場合、発光素子102の発光による反射光以外の光によって、誤ってマイクロホン100がオンしてしまうことのないように、例えば、以下のように構成することが好ましい。
【0023】
発光素子102は、可視光をパルス発光(間欠的に発光)させる。そして、この発光素子102のパルス発光によって受光素子103における受光強度が増加した回数、すなわち、受光素子103が発光素子102の発光による反射光を受光した回数が所定回数に達したときに、マイクロホン100をオンさせるよう構成する。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においては、収音部101が略球状である例を示したが、収音部101は、例えば、
図3に示すように、軸が柄部105の長手方向と一致する向きで柄部105に接続された円柱状であってもよい。この場合、完全な円柱状でなくてもよく、例えば、円錐台状でも構わない。
【0025】
また、上記実施形態では、発光素子102及び受光素子103を保護リング104の上面上に配置しているが、保護リング104は必須ではなく、発光素子102及び受光素子103が収音部の外周の周囲に、
図2に示すような位置関係及び発光面20と受光面30の向きで設置されていればよい。
【符号の説明】
【0026】
100、300 マイクロホン
101、301 収音部
102 発光素子
103 受光素子
104 保護リング
104S 保護リングの上面
105、305 柄部
20 受光面
30 発光面
301 焦電センサ