(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一実施形態に係る踏切非常通知システムの機能構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、踏切非常通知システム1は、端末装置100と、アクセスポイント装置210と、ルータ装置220と、踏切情報サーバ装置300と、踏切制御器400と、特殊信号発光機500とを備える。踏切制御器400は、リレー(PBR)410と、リレー(ERPR)420とを備える。
【0015】
踏切非常通知システム1は、踏切内の異常を通知するシステムである。特に、踏切非常通知システム1は、端末装置100へのユーザ操作に基づいて踏切内の異常を検知し、鉄道車両の運転士に異常を通知する。ここでの鉄道車両は列車であってもよいし、1両編成の車両であってもよい。以下では、鉄道車両の運転士を単に運転士と称する。
【0016】
端末装置100は、持ち運び可能な端末装置である。端末装置100は、非常通知操作を受けた場合、非常通知信号を送信する。ここで、非常通知操作とは、踏切内の異常を通知するユーザ操作である。また、非常通知信号とは、踏切内の異常を通知する信号である。
以下では、小型タブレット端末装置がアプリケーションプログラム(Application Program)のインストールを受けて踏切非常通知システム1専用の端末装置100として動作する場合を例に説明する。端末装置100が、踏切非常通知システム1専用の端末として動作することで、小型タブレット端末装置が有するリソースを踏切非常通知システム1の端末としての機能専用に確保することができる。この点において、端末装置100は、非常通知操作を受けた場合に、非常通知信号を速やかに送信することができる。
【0017】
また、端末装置100が踏切非常通知システム1専用の装置として構成されることで、端末装置100の管理が比較的容易になる。例えば、後述するように、端末装置100を使用したい希望者が公的機関で氏名等を登録して端末装置100を受取るようにすることで、端末装置100の使用者を特定可能になる。端末装置100の使用者を特定可能であることが、端末装置100の悪用に対する抑止力になると期待される。
端末装置100の使用開始時と同様、端末装置100の使用を終了する場合も、使用者が公的機関等に届け出て端末装置100を返却するなどにより、端末装置100の使用終了を登録するようにする。これにより、使用者の登録情報の整合性を保つことができる。
【0018】
また、端末装置100の使用者の住所または氏名など使用者に関する情報に変更が生じた場合も、使用者が公的機関に届け出るなどにより、変更を登録するようにする。これにより、使用者の登録情報の整合性を保つことができる。端末装置100の使用者が、使用者に関する情報の変更を届け出るよう促す契機として、端末装置100の有効期限を用いることができる。
一方、端末装置100に記憶させる情報の更新や、端末装置100に設ける有効期限の延長などの処理は、例えばインターネットを利用して行うようにしてもよい。利用開始時に使用者が登録されており、引き続き使用者の特定が可能だからである。
例えば、踏切非常通知システム1が適用される踏切の追加、変更又は削除(適用の終了)があった場合、その踏切の位置情報など踏切に関する情報をインターネットで配信して、端末装置100の各々の情報を更新させるようにしてもよい。
【0019】
また、端末装置100は、非常通知信号に正当性情報を含めて送信する。ここでいう正当性情報は、端末装置100の正当性を示す情報である。端末装置100が、非常通知信号に正当性情報を含めて送信することで、正当性情報が含まれていない非常通知信号は、偽の端末装置からの信号など、不正な信号と判断することができる。そこで、踏切非常通知システム1が、非常通知信号に正当性情報が含まれていない場合は警報の出力を抑制することで、いたずら等によって警報装置が動作する可能性を低減させることができる。
なお、端末装置100がASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んで構成されるなど、端末装置100としての機能がハードウェアにて構成されていてもよい。
【0020】
アクセスポイント装置210は、端末装置100と踏切情報サーバ装置300との通信を中継する。特に、アクセスポイント装置210は、端末装置100と無線通信を行う。非常通知信号を端末装置100から受信した場合、アクセスポイント装置210は、受信した非常通知信号を踏切情報サーバ装置300へ送信(転送)する。
踏切非常通知システム1が備えるアクセスポイント装置210の数は
図1に示す4つに限らず、端末装置100が端末装置100自らの位置を特定可能であればよい。例えば、端末装置100がアクセスポイント装置210との通信以外の方法のみで端末装置100自らの位置及び踏切との位置関係を特定する場合、アクセスポイント装置210は、端末装置100と通信可能であればよい。この場合、踏切非常通知システム1が備えるアクセスポイント装置210の数は1つ以上であればよい。
【0021】
ルータ装置220は、アクセスポイント装置210と踏切情報サーバ装置300との通信を中継する。これにより、ルータ装置220は、端末装置100とアクセスポイント装置210との通信経路と、アクセスポイント装置210と踏切情報サーバ装置300との通信経路とを接続する。ルータ装置220は、アクセスポイント装置210のいずれかと一体に構成されていてもよい。すなわち、アクセスポイント装置210のいずれかがルータ機能付きアクセスポイント装置として構成されていてもよい。あるいは、ルータ装置220がアクセスポイント装置210とは別の装置として構成されていてもよい。
【0022】
踏切情報サーバ装置300は、端末装置100からの非常通知信号を受信した場合、受信した非常通知信号に基づいて特殊信号発光機500を動作(発光)させる。特殊信号発光機500を動作させることで、踏切非常通知システム1は、踏切内の異常を運転士に通知する。踏切情報サーバ装置300は、コンピュータを用いて構成される。
また、踏切情報サーバ装置300は、正当性判定装置の例に該当し、端末装置100から送信された非常通知信号に正当性情報が含まれているか否かを判定する。正当性情報が含まれていないと判定した場合、踏切情報サーバ装置300は、この非常通知信号を破棄する(すなわち、以後の処理を行わない)。これにより、非常通知信号に正当性情報が含まれていない場合に警報の出力を抑制することができ、上述したように、いたずら等によって警報装置が動作する可能性を低減させることができる。
【0023】
踏切制御器400は、特殊信号発光機500など踏切に関連して設けられた各機器を制御する。
リレー(ERPR)420は、特殊信号発光機500の動作の有無を切り替える。具体的には、リレー(ERPR)420は、特殊信号発光機500の発光の有無を切り替えるスイッチとして機能する。リレー(ERPR)420はフェイルセーフ(Fail Safe)に設けられており、落下時に特殊信号発光機500を発光させ、扛上時には特殊信号発光機500の発光を停止させる。
リレー(PBR)410は、リレー(ERPR)420を動作させるリレーである。リレー(PBR)410は、リレー(PBR)410自らが落下するとリレー(ERPR)420を落下させるように設けられている。
【0024】
特殊信号発光機500は、踏切内の異常を通知する非常通知信号をアクセスポイント装置210が端末装置100から受信した場合、踏切内の異常を示す警報を出力する。特殊信号発光機500が発光することで踏切内の異常を運転士に通知する。
但し、踏切非常通知システム1が踏切内の異常を運転士に通知する方法として、特殊信号発光機500が発光する方法に限らずいろいろな方法を用いることができる。例えば、踏切非常通知システム1が、運転席又は線路脇に設けられた表示装置に、異常を通知するメッセージを表示させるようにしてもよい。あるいは、踏切非常通知システム1が運転席に設けられたスピーカに警報音を出力させるようにしてもよい。
以下では、踏切の領域を踏切道とも称する。従って、踏切内を踏切道内とも称し、踏切外を踏切道外とも称する。
【0025】
図2は、アクセスポイント装置210の配置例を示す説明図である。同図に示すX座標は線路の方向を示し、Y座標は線路の方向に対する直交方向を示す。
図2の例では、1つの踏切に4つのアクセスポイント装置210が設けられている。アクセスポイント装置210は、踏切の四隅にそれぞれ1つずつ設けられている。
非常通知領域A11は、端末装置100が非常通知操作を受け付ける領域である。
【0026】
非常通知領域A11は、踏切の位置に応じて定められている。以下では、踏切道内の領域が非常通知領域A11として設定されている場合を例に説明する。但し、非常通知領域A11の設定は、踏切道内の領域と一致する設定に限らない。例えば、非常通知領域A11が踏切道内の領域に限らずその周囲の領域を含んでいてもよい。この場合、踏切の近くで踏切内の異常を目撃したユーザが、端末装置100を操作して踏切内の異常を通知することができる。ここでいうユーザは、端末装置100のユーザである。
周囲領域A12は、非常通知領域A11の周囲に設けられた領域である。周囲領域A12は、端末装置100が踏切の近くに位置していることを端末装置100自らが検出する領域として設定されている。
【0027】
次に、
図3を参照して、端末装置100を使用するための手続の流れについて説明する。
図3は、端末装置100を使用するための手続の流れの一例を示す説明図である。同図では、手続の流れをフローチャート風に示している。
端末装置100を使用したい希望者は、公的機関等で住所及び氏名等の情報を登録し(ステップS1)、その後、端末装置100を受け取る(ステップS2)。ここでいう公的機関等は、鉄道事業者であってもよいし、市町村又は都道府県等の行政機関であってもよいし、鉄道事業者又は行政機関から委託を受けた受託者であってもよい。
なお、端末装置100の配布方法として、公的機関等による方法に限らず、いろいろな方法を用いることができるが、いたずら等の不正使用防止の観点から、端末装置100の使用者を特定可能な方法で配布するものとする。特に、端末装置100を使用したい希望者が、住所及び氏名等の情報を登録して端末装置100を受取る方法で配布を行う。
【0028】
端末装置100には、端末装置100を識別する端末ID(Identifier)が付与されている。端末装置100は、非常通知信号を送信する際、非常通知信号に端末IDを含めて送信する。これにより、踏切非常通知システム1の管理者は、端末IDに基づいて送信元の端末装置100を特定することができる。さらに、踏切非常通知システム1の管理者はステップS1で登録された情報に基づいて、端末装置100の所持者を特定することができる。このように、非常通知信号を送信した端末装置100の所持者を特定できることで、端末装置100の悪用に対する抑止的効果が期待される。
【0029】
また、端末装置100は、踏切の情報を予め記憶している。ここで、踏切の情報として、例えば踏切に設置しているアクセスポイント装置210の位置、踏切の全長、踏切の全幅、踏切の位置推定のための推定式など、端末装置100と踏切との位置関係の推定に用いられる情報を端末装置100に予め記憶させておく。さらに、踏切名など、端末装置100が表示するための情報を端末装置100に予め記憶させておく。但し、端末装置100が表示するための情報は、必須ではない。
【0030】
踏切非常通知システム1が対象とする踏切に変更があった場合(ステップS3:YES)、端末装置100の所持者は、端末装置100に登録されている踏切の情報の更新を受ける(ステップS4)。踏切非常通知システム1が対象とする踏切に変更がある場合の例として、新たに踏切が開設された場合、既存の踏切が新たに踏切非常通知システム1の対象となった場合、及び、踏切非常通知システム1が対象としていた踏切が廃止された場合が挙げられる。
【0031】
なお、踏切非常通知システム1が適用される踏切が増加する場合、踏切情報サーバ装置300等の装置の設置を行い、信号受信強度(RSSI;Received Signal Strength Indicator)の確認、アクセスポイント装置210の位置情報の調査及び設定などの調整作業を行う。また、後述するように、正当性情報を一括管理する装置を設ける場合は、正当性情報を一括管理する装置と踏切情報サーバ装置300とを通信接続する。
また、踏切非常通知システム1が適用されている踏切が廃止される場合は、通常の踏切廃止時に作業、及び、踏切情報サーバ装置300等の機器の撤去を行う。
【0032】
端末装置100の所持者は、例えば公的機関からハガキ又は電子メールで更新の通知を受ける。端末装置100の所持者(ユーザ)が、端末装置100に登録されている踏切の情報の更新を受ける方法として、いろいろな方法を用いることができる。例えば、端末装置100の所持者が、更新用のプログラムをインターネットからダウンロードするなど、インターネットを通じて更新を行うようにしてもよい。あるいは、端末装置100の所持者が、公的機関等に端末装置100を持ち込むようにしてもよい。あるいは、端末装置100がアクセスポイント装置210との通信にて情報を更新するようにしてもよい。
【0033】
また、本アプリケーションには、端末装置100の悪用又は誤動作の可能性を低減させるために有効期限が設定されている。有効期限が近づいた場合(ステップS5:YES)、端末装置100の所持者は、期限延長を受けて(ステップS6)引き続き端末装置100を使用することができる。以下、本アプリケーションの有効期限を端末装置100の有効期限とも称する。
【0034】
ここで、端末装置100が盗難された場合、この端末装置100で非常通知操作を行っても操作者の特定が困難であり、いたずら等の悪用に対する抑止力が働かない。この点で、盗難された端末装置100が悪用される可能性が比較的高い。端末装置100の所持者が端末装置100を不要になって放置した場合も、放置された端末装置100が悪用される可能性がある。
そこで、端末装置100が非常通知信号を送信する機能に有効期限を設けることで、期限経過後の悪用を避けることができる。正当な所持者が端末装置100を使用している場合は、上記のステップS6のように有効期限の延長を受けて引き続き端末装置100を使用することができる。
【0035】
また、踏切非常通知システム1が対象とする踏切に変更があった場合に、端末装置100に登録されている踏切の情報が更新されていないと、端末装置100が正しく動作しない可能性がある。例えば、既存の踏切が新たに踏切非常通知システム1の対象となった場合、この踏切の情報が端末装置100に登録されていないと、端末装置100は、この踏切の非常通知領域を検出できない。これにより、端末装置100は、非常通知操作を受けて非常通知信号を送信する機能を実行しない。
そこで、端末装置100の有効期限を延長する処理と併せて、端末装置100に登録されている踏切の情報を最新のものにする処理を行う。これにより、新たに踏切非常通知システム1の対象となった踏切でも端末装置100が正しく動作するようになる。
【0036】
上述したように、端末装置100の使用を終了する場合は、使用者が公的機関等に届け出て端末装置100を返却するなどにより、端末装置100の使用終了を登録するようにする。これにより、使用者の登録情報の整合性を保つことができる。
また、端末装置100の使用者の住所または氏名など使用者に関する情報に変更が生じた場合も、使用者が公的機関に届け出るなどにより、変更を登録するようにする。これにより、使用者の登録情報の整合性を保つことができる。端末装置100の使用者が、使用者に関する情報の変更を届け出るよう促す契機として、端末装置100の有効期限を用いることができる。例えば、端末装置100の有効期限を使用者に通知する際に、住所等の変更が有った場合は届け出るよう促すメッセージを併せて通知するようにしてもよい。
【0037】
次に、
図4及び
図5を参照して、端末装置100及び踏切情報サーバ装置300の機能構成について説明する。
図4は、端末装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、端末装置100は、第一通信部110と、表示部120と、操作入力部130と、第一記憶部180と、第一制御部190とを備える。第一記憶部180は、端末側正当性情報記憶部を備える。第一制御部190は、有効期限処理部191と、端末位置判定部192と、非常通知処理部193とを備える。非常通知処理部193は、送信処理部194と、送信後期間処理部195とを備える。
【0038】
第一通信部110は、アクセスポイント装置210と無線にて通信する。第一通信部110は非常通知信号送信部の例に該当し、表示部120が非常通知操作画面を表示しており、かつ、操作入力部130にて非常通知操作が行われた場合、非常通知信号を送信する。
ここで、非常通知操作画面とは、端末装置100が非常通知操作を受ける状態にあることを示す画面である。上述したように、非常通知操作とは、踏切内の異常を通知するユーザ操作である。以下では、非常通知操作が、非常通知操作画面を表示している表示画面を長押しする操作である場合を例に説明する。但し、非常通知操作はこれに限らない。なお、誤動作防止の観点からは、画面の長押し、所定回数以上のタップ、あるいは、フリック操作など、偶然検出される可能性が比較的低い操作を非常通知操作とすることが好ましい。
あるいは、端末装置100が非常通知操作用の押釦を備え、この押釦の押下により非常通知操作を受けるようにしてもよい。この場合、押釦の誤操作の可能性を低減させるため、この押釦に開閉式のカバーを設けるようにしてもよい。あるいは、押釦を3秒以上押下し続ける操作を非常通知操作とするなど、押釦の押下方法によって誤操作の低減を図るようにしてもよい。
あるいは、端末装置100が紐を備え、防犯ブザーの操作のように紐を引く操作を非常通知操作として検出するようにしてもよい。
【0039】
表示部120は、例えば液晶パネルなどの表示画面を備え、各種画像を表示する。特に、表示部120は、端末装置100の状態に応じた画像を表示する。例えば、端末装置100が非常通知領域A11(
図2)内に位置すると端末位置判定部192が判定した場合、表示部120は非常通知操作画面を表示する。表示部120は、通知部の例に該当する。表示部120が表示する非常通知操作画面は、端末装置100が非常通知操作を受ける状態にあることの通知の例に該当する。
【0040】
但し、端末装置100が、非常通知操作を受ける状態にあることをユーザに通知する方法は、非常通知操作画面を表示する方法に限らない。例えば、端末装置100が、端末装置100自らの状態に応じて異なる色のライト等を点灯させるなど、非常通知操作を受ける状態にあるか否かを光で通知するようにしてもよい。
あるいは、端末装置100が、端末装置100自らの状態に応じて異なる振動パターンで端末装置100自らを振動させるなど、非常通知操作を受ける状態にあるか否かを振動パターンで通知するようにしてもよい。
【0041】
操作入力部130は、例えば表示部120の表示画面に設けられてタッチパネルを構成するタッチセンサなどの入力デバイスを備え、ユーザ操作を受ける。特に、表示部120が非常通知操作画面を表示している状態で、操作入力部130は、非常通知操作を受け付ける。但し、操作入力部130の構成は、タッチセンサを備える構成に限らず、非常通知操作を受けることができる構成であればよい。例えば、上記のように、操作入力部130が非常通知操作用の押釦を備え、この押釦の押下により非常通知操作を受けるようにしてもよい。あるいは、操作入力部130が紐を備え、この紐を引っ張る操作により非常通知操作を受けるようにしてもよい。
【0042】
第一記憶部180は、端末装置100が備える記憶デバイスを含んで構成され、各種情報を記憶する。
端末側正当性情報記憶部181は、正当性情報を記憶する。上述したように、正当性情報は、端末装置の正当性を示す情報である。正当性情報として、例えば暗号化された定数の文字列など、固定値を用いることができる。これにより、端末装置100及び踏切情報サーバ装置300が正当性情報を記憶するために複雑な仕組みを必要とせず、装置構成を簡単にすることができる。正当性情報のデータ形式は特定のデータ形式に依存せず、例えば、文字列であってもよいしビット列であってもよい。
【0043】
また、各端末装置100に共通の正当性情報を用いるようにしてもよいし、端末装置100毎に異なる正当性情報を用いるようにしてもよい。
各端末装置100に共通の正当性情報を用いる場合、正当性情報の管理が比較的容易であり、正当性情報のための装置を別途設ける必要が無い。この点で、踏切非常通知システム1のコストの増加を抑制することができる。
一方、端末装置100毎に異なる正当性情報を用いる場合、正当性情報が不正にコピーまたは解読されるなど、正当性情報が不正利用される可能性を低減させることができる。この場合、後述するように複数の端末装置100の正当性情報を一括管理する装置を設けることで、複数の正当性情報を比較的容易に管理することができる。
【0044】
第一制御部190は、端末装置100の各部を制御して各種機能を実行する。第一制御部190は、例えば端末装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、第一記憶部180からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0045】
有効期限処理部191は、端末装置100が非常通知信号を送信する機能が有効期限内か否かを判定する。具体的には、有効期限処理部191は、本アプリケーションの有効期限内か否かを判定する。有効期限を過ぎていると判定した場合、有効期限処理部191は、第一通信部110による非常通知信号の送信を抑制する。具体的には、有効期限処理部191は、端末装置100の動作を停止させることで、第一通信部110による非常通知信号の送信を抑制する。
【0046】
端末位置判定部192は、踏切と端末装置100との位置関係を判定する。特に、端末位置判定部192は、端末装置100が非常通知領域A11内に位置するか否か、及び周囲領域A12内に位置するか否かを判定する。端末位置判定部192は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)による端末装置100の位置の測位結果、及び、アクセスポイント装置210からの電波強度に基づいて、踏切と端末装置100との位置関係を判定する。
【0047】
非常通知処理部193は、非常通知信号の送信に関する処理を行う。
送信処理部194は、非常通知信号を送信する処理を行う。特に、送信処理部194は、非常通知操作画面を表示部120に表示させ、操作入力部130が非常通知操作を受けると、第一通信部110に非常通知信号を送信させる。
【0048】
送信後期間処理部195は、第一通信部110が非常通知信号を送信した場合、非常通知信号の送信に関する所定の事象の発生から所定期間の間、新たな非常通知信号の送信を抑制する。これにより、端末装置100を悪用する者が、近接する複数の踏切で非常通知信号を送信してまわるなど、端末装置100を連続的に悪用することを抑制できる。
【0049】
以下では、送信後期間処理部195が、リレー(ERPR)420の落下確認後一定時間の間、新たな非常通知信号の送信を抑制する場合を例に説明する。但し、送信後期間処理部195が、非常通知信号の送信開始後一定時間の間、新たな非常通知信号の送信を抑制するなど、リレー(ERPR)420の落下確認以外の事象に基づいて非常通知信号の送信を抑制するようにしてもよい。
【0050】
図5は、踏切情報サーバ装置300の機能構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、踏切情報サーバ装置300は、第二通信部310と、第二記憶部380と、第二制御部390とを備える。第二制御部390は、端末処理部391と、通知処理部392とを備える。
第二通信部310は、アクセスポイント装置210及びルータ装置220を介して端末装置100と通信を行う。特に第二通信部310は、端末装置100が送信した非常通知信号を受信する。また、第二通信部310は、踏切制御器400と通信を行う。特に、第二通信部310は、リレー(PBR)410に対するリレー制御信号を送信する。第二通信部310による非常通知信号の受信とリレー制御信号の送信とは、別々の回路を用いて行われていてもよいし、同一の回路を用いて行われていてもよい。
【0051】
第二記憶部380は、踏切情報サーバ装置300が備える記憶デバイスを含んで構成され、各種情報を記憶する。
第二制御部390は、踏切情報サーバ装置300の各部を制御して各種機能を実行する。第二制御部390は、例えば踏切情報サーバ装置300が備えるCPUが、第二記憶部380からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0052】
端末処理部391は、端末装置100との通信に関する処理を行う。特に端末処理部391は、端末装置100からデータを受信し、また、端末装置100との通信に関するログを記録する。
通知処理部392は、第二通信部310が非常通知信号を受信した場合の処理を行う。特に、第二通信部310が非常通知信号を受信すると、通知処理部392はリレー(PBR)410を落下させる制御を行う。
【0053】
次に、
図6〜
図11を参照して、端末装置100の状態遷移について説明する。
図6は、端末装置100の状態遷移を示す状態遷移図である。同図に示すように、端末装置100の状態には、停止状態S11、踏切探索中状態S12、踏切接近中状態S13、踏切道内状態S14、非常通知状態S15、及び、非常通知完了状態S16がある。
【0054】
停止状態S11は、本アプリケーションが起動していない状態である。停止状態S11で、本アプリケーションを起動させると踏切探索中状態S12へ遷移する。
なお、端末装置100の電源接続(ON)時に本アプリケーションが自動的に起動するようにしてもよい。あるいは、本アプリケーションの起動を指示するユーザ操作に基づいて、本アプリケーションが起動するようにしてもよい。
【0055】
踏切探索中状態S12は、端末位置判定部192が、踏切を検出していない状態である。具体的には、踏切探索中状態S12は、第一通信部110がアクセスポイント装置210からの無線信号を受信していないと端末位置判定部192が判定している状態である。
踏切探索中状態S12で、端末装置100が周囲領域A12内に位置すると端末位置判定部192が判定した場合、踏切接近中状態S13へ遷移する。また、踏切探索中状態S12で、端末装置100が非常通知領域A11内に位置すると端末位置判定部192が判定した場合、踏切道内状態S14へ遷移する。
【0056】
踏切接近中状態S13は、端末装置100が、踏切外かつ踏切の近くに位置している状態である。具体的には、踏切接近中状態S13は、端末装置100が周囲領域A12内に位置すると端末位置判定部192が判定している状態である。
踏切接近中状態S13で、第一通信部110がアクセスポイント装置210からの無線信号を受信していないと端末位置判定部192が判定した場合、踏切探索中状態S12へ遷移する。また、踏切接近中状態S13で、端末装置100が非常通知領域A11内に位置すると端末位置判定部192が判定した場合、踏切道内状態S14へ遷移する。
【0057】
踏切道内状態S14は、端末装置100が踏切内に進入しており、非常通知機能が作動可能な状態である。具体的には、踏切道内状態S14は、端末装置100が非常通知領域A11内に位置すると端末位置判定部192が判定している状態である。
踏切道内状態S14で、第一通信部110がアクセスポイント装置210からの無線信号を受信していないと端末位置判定部192が判定した場合、踏切探索中状態S12へ遷移する。また、踏切道内状態S14で、端末装置100が周囲領域A12内に位置すると端末位置判定部192が判定した場合、踏切接近中状態S13へ遷移する。また、踏切道内状態S14で、非常通知操作を操作入力部130が検出した場合、非常通知状態S15へ遷移する。
なお、端末装置100の電源断によっても、停止状態S11になる。端末装置100の電源断の例として、電池切れや、端末装置100がタブレット端末装置またはスマートフォン等であり電源断操作が行われた場合を挙げられる。また、端末装置100の有効期限切れによっても、停止状態S11になる。
【0058】
非常通知状態S15は、リレー(PBR)410を落下させる信号を第一通信部110が送信している状態である。
非常通知状態S15で、リレー(ERPR)420の落下を示す信号を第一通信部110が受信した場合、非常通知完了状態S16へ遷移する。
【0059】
非常通知完了状態S16は、非常通知が完了した状態である。より具体的には、非常通知完了状態S16は、非常通知状態S15にてリレー(ERPR)420の落下を確認した状態である。
非常通知完了状態へ遷移後一定時間が経過すると、踏切探索中状態S12へ遷移する。
【0060】
図7は、踏切探索中状態S12における表示部120の表示例を示す説明図である。踏切探索中状態S12では、表示部120は、近くに踏切が無い旨を表示する。
図8は、踏切接近中状態S13における表示部120の表示例を示す説明図である。踏切接近中状態S13では、表示部120は、近くに踏切が有る旨を表示する。さらに、表示部120は、検出した踏切の名称を表示する。
【0061】
図9は、踏切道内状態S14における表示部120の表示例を示す説明図である。踏切道内状態S14では、表示部120は、非常ボタン画面を表示する。表示部120が非常ボタン画面を表示している状態で、操作入力部130は、画面の長押し操作による非常通知操作を受け付ける。非常ボタン画面は非常通知操作画面の例に該当する。
図10は、非常通知状態S15における表示部120の表示例を示す説明図である。非常通知状態S15では、表示部120は、非常通知を行っている旨を表示する。加えて、表示部120は、「踏切から離れて下さい」など、ユーザの安全を促すメッセージを表示する。
【0062】
図11は、非常通知状態S15で通信エラーが発生した場合の表示部120の表示例を示す説明図である。非常通知状態S15で通信エラーが発生した場合、ユーザに再操作を促すメッセージを表示する。また、ユーザが通信エラーを認識したことを確認するため、確認用の押ボタンを表示する。
【0063】
次に、
図12〜
図14を参照して、踏切非常通知システム1の動作について説明する。
図12〜
図13は、端末装置100の動作手順の例を示す説明図である。
図12〜
図13の処理にて、有効期限処理部191は、有効期限判定処理を行う(ステップS101)。具体的には、有効期限処理部191は、本アプリケーションに設定された有効期限内か否かを判定する。なお、有効期限処理部191が有効期限の判定を行ってから一定期間は、次の有効期限の判定を省略するようにしてもよい。例えば、同日に2回以上ステップS101の有効期限判定処理を実行する場合、2回目以降の有効期限判定処理では、有効期限処理部191が、無条件に有効期限内と判定するようにしてもよい。
【0064】
有効期限を過ぎていると判定した場合(ステップS101:有効期限切れ)、有効期限処理部191は、本アプリケーションを使用不可にする(ステップS111)。例えば、有効期限処理部191は、有効期限延長のための登録を促す旨を表示させて端末装置100をロックする。ここでいう端末装置100のロックとは、本アプリケーションを起動できなくすることである。
ステップS111の後、
図12〜
図13の処理を終了する。
図12〜
図13の処理を終了した状態は、停止状態S11に該当する。
【0065】
一方、ステップS101で有効期限内と判定した場合(ステップS101:有効期限内)、第一制御部190は、非常通知状態判定処理を行う(ステップS121)。具体的には、第一制御部190は、端末装置100の状態が非常通知完了状態以外、非常通知完了状態かつ一定時間経過前、非常通知完了状態かつ一定時間経過後のいずれに該当するかを判定する。ここでの経過時間は、非常通知完了からの経過時間である。
【0066】
非常通知完了状態かつ一定時間経過前と判定した場合(ステップS121:非常通知完了状態かつ時間経過前)、送信後期間処理部195は、表示部120を制御して非常通知完了画面を表示させるとともに送信を停止する(ステップS131)。既に送信を停止している場合は、送信後期間処理部195は送信停止を継続する。
ここでいう非常通知完了画面は、
図10の表示画面で示していた非常通知を完了したことを示す画面である。なお、表示部120が非常通知完了画面を表示せずに、そのまま踏切探索中画面(
図7の画面)、踏切接近中画面(
図8の画面)、又は、非常通知操作画面を表示するようにしてもよい。
送信後期間処理部195が、非常通知完了から一定時間送信を停止することで、近接する複数の踏切で非常通知信号を送信してまわるなど端末装置100を連続的に悪用することを抑制することができる。
ステップS131の後、ステップS121へ戻る。
【0067】
一方、ステップS121で非常通知完了状態以外であると判定した場合(ステップS121:非常通知完了状態以外)、後述するステップS142へ遷移する。
一方、ステップS121で非常通知完了状態かつ一定時間経過後と判定した場合(ステップS121:非常通知完了状態かつ時間経過後)、送信後期間処理部195は、非常ボタン非動作を解除する(ステップS141)。具体的には、ステップS121:非常通知完了状態かつ時間経過前のループを終了することで、非常通知領域A11内で非常通知操作画面を表示するステップS171へ遷移可能となる。
【0068】
ステップS141の後、端末位置判定部192は、端末装置100の位置判定(位置の推定)を行う(ステップS142)。
そして、端末位置判定部192は、ステップS142で判定した位置に基づいて踏切道内外判定処理を行う(ステップS143)。踏切道内外判定処理では、端末位置判定部192は、端末装置100の位置が、周囲領域A12外、周囲領域A12内かつ非常通知領域A11外、非常通知領域A11内のいずれに位置するかを判定する。
なお、端末位置判定部192は、端末装置100が一定時間以上継続して周囲領域A12内に位置している場合に、端末装置100の位置を周囲領域A12内と判定する。一方、端末装置100が周囲領域A12内に位置し始めてから一定時間経過する前は、端末位置判定部192は、端末装置100の位置を周囲領域A12外と判定する。
【0069】
端末装置100が周囲領域A12外に位置すると判定した場合(ステップS143:A12外)、端末位置判定部192は、踏切探索中画面(
図7の画面)を表示部120に表示させる(ステップS151)。
ステップS151の後、ステップS101へ遷移する。
【0070】
一方、端末装置100が周囲領域A12内かつ非常通知領域A11外に位置すると判定した場合(ステップS143:A12内かつA11外)、端末位置判定部192は、踏切接近中画面(
図8の画面)を表示部120に表示させる(ステップS161)。
ステップS161の後、ステップS101へ遷移する。
【0071】
一方、ステップS143で端末装置100が非常通知領域A11内に位置していると判定した場合(ステップS143:A11内)、送信処理部194は、非常ボタン画面(
図9の画面)を表示部120に表示させる(ステップS171)。
図12〜
図13の例では、端末位置判定部192が、端末装置100が踏切道内に位置すると1回判定した場合に踏切道内状態S14に遷移している。これに対して、端末位置判定部192が、端末装置100が踏切道内に位置すると複数回判定した場合に踏切道内状態S14に遷移するようにしてもよい。また、端末位置判定部192が、端末装置100が踏切道内に位置すると判定してから一定時間以内のみ踏切道内状態S14となるようにしてもよい。
【0072】
ステップS171の後、送信処理部194は、非常通知処理を行う(ステップS201)。非常通知処理では、送信処理部194は、操作入力部130が非常ボタン画面の長押しを受けたか否かを判定し、長押しを受けたと判定した場合は、第一通信部110を制御して非常通知信号を踏切情報サーバ装置300へ送信させる。第一通信部110を制御して非常通知信号を踏切情報サーバ装置300へ送信させた場合、送信処理部194は、非常通知を完了したか否かを踏切情報サーバ装置300からの応答に基づいて判定する。具体的には、送信処理部194は、非常通知完了信号を踏切情報サーバ装置300から受信したか否かを判定する。
【0073】
ステップS201で、非常ボタン画面の長押しを受けていないと判定した場合(ステップS201:長押しせず)、ステップS101へ戻る。
一方、ステップS201で、非常通知を完了したと判定した場合(ステップS201:非常通知完了)、送信処理部194は、端末装置100に対して非常ボタン非動作化を行う(ステップS211)。例えば、送信処理部194は、非常ボタン画面を表示しない状態にある旨のメッセージを表示部120に表示させ、非常ボタン画面の表示を抑制する。
ステップS201:YESの状態は、非常通知完了状態S16に該当する。
ステップS211の後、ステップS101へ戻る。
【0074】
一方、ステップS201で、非常通知完了信号を受信していないと判定した場合(ステップS302:通信失敗)、送信処理部194は、エラー処理を行う(ステップS221)。エラー処理では、送信処理部194は、エラー画面(
図11の画面)を表示部120に表示させ、エラー確認操作(エラー画面を確認したことを示すユーザ操作)が行われるのを待ち受ける。エラー確認操作が行われると、 送信処理部194は、エラー画面の表示を終了する。なお、送信処理部194が、通信失敗が一定回数以上繰り返された場合に、エラー処理を行い、通信失敗が一定回数に達するまではステップS221ではエラー画面の表示等の処理を行わない(スルーする)ようにしてもよい。
ステップS221の後、ステップS101へ戻る。
【0075】
図14は、踏切情報サーバ装置300の動作手順の例を示すフローチャートである。踏切情報サーバ装置300は、いずれかのアクセスポイント装置210の通信圏内に端末装置100が位置することを検出すると同図の処理を行う。
図14の処理にて、端末処理部391は、端末通信判定処理を行う(ステップS501)。端末通信判定処理では、端末処理部391は、第二通信部310を制御して端末装置100と通信を行わせ、端末装置100からデータを取得(受信)させる。特に、端末処理部391は、端末装置100が通信に成功したアクセスポイント装置210を示す情報と端末装置100の識別情報とを端末装置100から取得し、端末装置100の識別情報を第二記憶部380に記憶させる。以下、端末装置100の識別情報を端末IDと称する。
【0076】
なお、端末装置100がアクセスポイント装置210の通信圏外に出た場合など、端末装置100との通信が切断された場合、第二制御部390は割り込み処理にて
図14の処理を終了する。端末装置100が通信に成功したアクセスポイント装置210が登録済でない場合も、第二制御部390は割り込み処理にて
図14の処理を終了する。
【0077】
次に通知処理部392は、第二通信部310がアクセスポイント装置210を介して端末装置100から非常通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS502)。非常通知信号を受信していないと判定した場合(ステップS502:NO)、ステップS502へ戻る。すなわち、通知処理部392は、端末装置100からの非常通知信号を待ち受ける。
一方、非常通知信号を受信したと判定した場合(ステップS502:YES)、通知処理部392は、非常通知信号に含まれる正当性情報に基づいて、通知元の端末装置100が正当な端末装置100か否かを判定する(ステップS503)。正当な端末装置100ではないと判定した場合(ステップS503:NO)、ステップS502へ戻る。
一方、正当な端末装置100であると判定した場合(ステップS503:YES)、通知処理部392は、特殊信号発光機動作処理を行う(ステップS504)。特殊信号発光機動作処理では、通知処理部392は、第二通信部310を制御してPBR落下信号を踏切制御器400へ送信させることで特殊信号発光機500を動作させ、ERPR落下確認信号にて特殊信号発光機500の動作確認を行う。
ここで、PBR落下信号は、リレー(PBR)410を落下させるための信号である。また、ERPR落下確認信号は、リレー(ERPR)420の位置(扛上側か落下側か)を示す信号である。
通知処理部392は、ERPR落下確認信号が落下側になるまで、PBR落下信号を第二通信部310から踏切制御器400へ送信させる。
【0078】
次に、通知処理部392は第二通信部310を制御して、アクセスポイント装置210を介して端末装置100へ非常通知完了信号を送信させる(ステップS505)。例えば、通知処理部392は、第二通信部310を制御して、端末装置100への非常通知完了信号の送信をs回(sは正整数)繰り返させる。
ステップS505の後、
図14の処理を終了する。
【0079】
次に、
図15を参照して、上述した正当性情報を一括管理する場合について具体的に説明する。
図15は、正当性情報を一括管理する正当性情報管理装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
図15に示すように、正当性情報管理装置600は、第三通信部610と、第三記憶部680と、第三制御部690とを備える。第三記憶部680は、一括記憶部681を備える。
また、
図15に示す統合システム2は、複数の踏切非常通知システム1を含むシステムである。
図15では、複数の踏切非常通知システム1の各々が備える踏切情報サーバ装置300が示されている。第三通信部610は、複数の踏切情報サーバ装置300と通信を行う。
【0080】
正当性情報管理装置600は、正当性情報を管理する。特に、
図15の例では、端末装置100毎に異なる正当性情報が用いられており、正当性情報管理装置600は、複数の正当性情報を管理する。正当性情報管理装置600は、コンピュータを用いて構成される。
第三通信部610は、他の装置と通信を行う。
特に、第三通信部610は、正当性情報を受信する。例えば、第三通信部610は、端末装置100の使用に関する届出を受ける公的機関のサーバ装置と通信を行って、新たに使用される端末装置100の正当性情報、使用終了となる端末装置100の正当性情報、正当性情報の変更など、正当性情報の更新情報を取得(受信)する。第三通信部610が、複数のサーバ装置から正当性情報の更新情報を受信するようにしてもよい。
また、第三通信部610は、正当性情報送信部の例に該当し、第三制御部の制御に従って、正当性情報の更新情報等を踏切情報サーバ装置300へ送信する。
【0081】
第三記憶部680は、正当性情報管理装置600が備える記憶デバイスを含んで構成され、各種情報を記憶する。
一括記憶部681は、正当性情報を記憶する。特に、一括記憶部681は、端末装置100毎に異なる正当性情報を記憶する。従って一括記憶部681は、複数の正当性情報を記憶する。
【0082】
端末装置100毎に異なる正当性情報として、端末IDを用いるようにしてもよいし、端末IDとは異なる情報を用いるようにしてもよい。正当性情報として端末IDを用いる場合、端末装置100が正当性情報を別途記憶し管理する必要が無い。この点で、端末装置100の記憶領域及び負荷を低減させることができる。なお、端末IDを用いる場合、
図4の端末側正当性情報記憶部181は、端末IDを記憶している記憶領域である。
一方、正当性情報として端末IDとは異なる情報を用いる場合、セキュリティ設定の自由度が比較的高くなる。特に、正当性情報のデータ長を端末IDのデータ長よりも長くすることができ、セキュリティを高めることができる。
【0083】
第三制御部690は、正当性情報管理装置600の各部を管理して各種機能を実行する。特に、第三制御部690は、第三通信部が受信した正当性情報の更新情報を、第三通信部610を介して踏切情報サーバ装置300へ送信し、踏切情報サーバ装置300が記憶している正当性情報を更新させる。また、第三制御部690は、第三通信部が受信した正当性情報の更新情報に基づいて、一括記憶部681が記憶している正当性情報を更新する。
また、踏切非常通知システム1が適用される踏切が増えた場合、第三制御部690は、一括記憶部681から正当性情報を読み出し、第三通信部610を介して新たに設置された踏切情報サーバ装置300へ送信する。例えば、第三制御部690は、一括記憶部681が記憶している全ての正当性情報を新たに設置された踏切情報サーバ装置300へ送信する。
【0084】
このように、正当性情報管理装置600が正当性情報を一括管理することで、例えば踏切情報サーバ装置300毎に正当性情報を管理するなど複雑な管理を行う必要無しに、端末装置100毎に異なる正当性情報を用いることができる。端末装置100毎に異なる正当性情報を用いることで、踏切非常通知システム1におけるセキュリティを高めることができる。例えば、いずれかの正当性情報が漏えいした場合、漏えいした正当性情報を無効にし、この正当性情報を用いていた端末装置100の正当性情報を更新することができる。この場合に、他の端末装置100への影響が無い点で、正当性情報の漏えいに対して、速やかにかつ比較的簡単に処理を行うことができる。
【0085】
なお、正当性情報に有効期限を設け、期限毎に正当性情報の値を更新するようにしてもよい。例えば、正当性情報管理装置600が、正当性情報の値の更新を行うようにしてもよい。また、正当性情報の有効期限は、端末装置100の有効期限と同じであってもよいし異なっていてもよい。
正当性情報の値を更新することで、正当性情報が漏えいして悪用される可能性を低減させることができる。
【0086】
以上のように、端末装置100は、非常通知操作が行われた場合に、踏切内の異常を通知する非常通知信号に、端末装置100の正当性を示す正当性情報を含めて送信する。踏切情報サーバ装置300は、端末装置100から送信された非常通知信号に含まれる正当性情報に基づいて、異常通知元の端末装置100の正当性を判定する。異常通知元の端末装置100が正当であると踏切情報サーバ装置300が判定した場合、特殊信号発光機500が、踏切内の異常を示す警報を出力する。
これにより、端末装置100のユーザは、踏切の異常を端末装置100から通知することができる。従って、踏切で危険が発生した場合に、通報者(通報しようとする者)が迅速に移動できなくても、いち早く列車に危険を知らせることができる。さらに踏切情報サーバ装置300が、正当性情報に基づいて端末装置100の正当性を判定することで、正当な端末装置100以外からの非常通知信号を無視することができる。この点で、危険通知の仕組みが悪用される可能性を低減させることができる。
【0087】
また、一括記憶部681は、端末装置100毎に異なる正当性情報を複数の端末装置100について記憶する。第三通信部610は、一括記憶部681が記憶する複数の正当性情報を複数の踏切情報サーバ装置300に送信する。踏切情報サーバ装置300は、非常通知信号に含まれる正当性情報が、正当性情報管理装置600から送信された複数の正当性情報に含まれる場合に、異常通知元の端末装置100が正当であると判定する。
このように、正当性情報管理装置600が正当性情報を一括管理することで、複雑な管理を行う必要無しに、端末装置100毎に異なる正当性情報を用いることができる。端末装置100毎に異なる正当性情報を用いることで、踏切非常通知システム1におけるセキュリティを高めることができる。
【0088】
また、端末装置100の端末側正当性情報記憶部181は、複数の端末装置100に共通の正当性情報を記憶する。
このように、複数の端末装置100が正当性情報を共用することで、正当性情報を管理するための仕組みを別途設ける必要が無く、踏切非常通知システムの構成の複雑化を抑制できる。
【0089】
なお、端末装置100の状態が踏切道内状態S14に遷移する条件に、鉄道車両の位置の条件を含ませてもよい。例えば、端末装置100が位置している踏切に鉄道車両が接近している場合(例えば、端末装置100が位置している踏切から所定距離以内に鉄道車両が位置している場合)のみ、端末装置が非常通知操作画面を表示するようにしてもよい。
【0090】
なお、以上では、非常通知に関する事象発生から一定時間次の非常通知操作の受付を抑制する処理を端末装置100が行う場合を例に説明したが、踏切情報サーバ装置300で抑制するようにしてもよい。例えば、踏切情報サーバ装置300が、非常通知信号を受信してから一定時間が経過するまで、同じ端末装置100からの非常通知信号を無視するようにしてもよい。
また、非常通知操作が一度行われると本アプリケーションが停止し、公的機関等で停止解除操作を受けるようにしてもよい。
【0091】
なお、第一制御部190及び第二制御部390の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0092】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。