特許第6663357号(P6663357)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6663357エンドヒーターを備えた電気加熱式エアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663357
(24)【登録日】2020年2月18日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】エンドヒーターを備えた電気加熱式エアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20200227BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   A24F47/00
   H05B3/00 310D
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-567995(P2016-567995)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公表番号】特表2017-515485(P2017-515485A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015061318
(87)【国際公開番号】WO2015177304
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】14169342.4
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】プロジョー ジュリエン
(72)【発明者】
【氏名】ルーショ ダニ
(72)【発明者】
【氏名】グレイム オリヴィエ
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−500017(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0052119(KR,A)
【文献】 特表2009−537119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成物品を受けるための電気加熱式エアロゾル発生システムであって、前記システムが、
エアロゾル形成物品を受けるための管状の部分と、
端面を含み、かつエアロゾル形成物品が前記管状の部分に挿入された時に、前記端面が前記エアロゾル形成物品の端部の近傍であるように、前記管状の部分の端部の近傍に位置するヒーター要素と、
前記管状の部分の内部表面上に提供された環状の熱伝導性要素をさらに含み、前記環状の熱伝導性要素が、前記ヒーター要素に接続された第一の部分と、エアロゾル形成物品が前記管状の部分に挿入された時に前記エアロゾル形成物品と接触するように配置された第二の部分とを備え、
前記システムが第一の電気エネルギー量を前記ヒーター要素に供給して前記ヒーター要素を第一の温度に加熱するように構成されており、前記システムが第二の電気エネルギー量を前記ヒーター要素に供給して前記ヒーター要素を第二の温度に維持するように構成されており、前記第二の温度は前記第一の温度よりも低く、また前記第一の温度と第二の温度の差は少なくとも100℃である、システム。
【請求項2】
前記第一の温度と第二の温度の差が少なくとも150℃である、請求項1に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記ヒーター要素が実質的に円筒形状またはディスク形状を持つ熱伝導性のある基体を備える、請求項1または2に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記熱伝導性のある基体が金属または導電性のセラミックを含む、請求項3に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記ヒーター要素の前記端面が実質的に円形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記システムが起動された時に前記ヒーター要素を抵抗加熱するための前記ヒーター要素に接続された電気エネルギーの供給源をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記ヒーター要素が前記システム内で唯一のヒーター要素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム内でエアロゾルの前記形成を制御する方法であって、前記電気加熱式エアロゾル発生システムがさらにエアロゾル形成物品を含み、前記方法が、
電気エネルギーを前記ヒーター要素へ供給して、前記ヒーター要素を第一の温度に抵抗加熱する工程と、
前記ヒーター要素が前記第一の温度よりも低い第二の温度(ここで前記第一の温度と第二の温度の差は少なくとも100℃である)に冷めるように、前記ヒーター要素への電気エネルギーの前記供給を減少させる工程と、
前記ヒーター要素への電気エネルギーの前記供給を制御して、前記ヒーター要素を前記第二の温度に維持する工程とを含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、電気エネルギーの前記供給を制御して前記ヒーター要素を前記第二の温度に維持する前記工程が、
前記ヒーター要素の比抵抗を測定する工程と、
前記ヒーター要素の現在の温度を前記測定された比抵抗から導き出す工程と、
前記ヒーター要素への電気エネルギーの前記供給を調節して、前記現在の温度と前記第二の温度の差を減少させる工程とを含む、方法。
【請求項10】
前記第一の温度と第二の温度の差が少なくとも150℃である、請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式エアロゾル発生システム、および電気加熱式エアロゾル発生システム内でのエアロゾルの形成を制御する方法に関連する。本発明は、電気的に作動する喫煙システムとしての特定の用途、および電気的に作動する喫煙システム内でエアロゾルを形成する方法を見出す。
【背景技術】
【0002】
電気的に作動する喫煙システムは一般に、例えば紙巻たばこ中のたばこ材料を加熱するために使用される抵抗性のヒーター要素を含む。ところが、周知の電気的に作動する喫煙システムでは一般に、製造コストが高すぎる恐れがあり、また一部の場合に、消費者が紙巻たばこを取り出そうとした時に紙巻たばこの少なくとも一部がシステム内に詰まりかねない、複雑なヒーター要素を使用する。したがって、デザインがシンプルで製造コスト効果の高い新しい電気加熱式エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
第一の態様によれば、本発明は、エアロゾル形成物品を受けるための電気加熱式エアロゾル発生システムを提供する。システムは、エアロゾル形成物品を受けるための管状の部分と、端面を含むヒーター要素とを含む。ヒーター要素は、エアロゾル形成物品が管状の部分に挿入された時に、端面がエアロゾル形成物品の端部の近傍となるように、管状の部分の端部の近傍に位置する。システムは、管状の部分の内部表面上に提供された環状の熱伝導性要素をさらに含み、環状の熱伝導性要素が、ヒーター要素に接続された第一の部分と、エアロゾル形成物品が前記管状の部分に挿入された時にエアロゾル形成物品と接触するように配置された第二の部分とを備える。システムは、第一の電気エネルギー量をヒーター要素に供給してヒーター要素を第一の温度に加熱し、かつ第二の電気エネルギー量をヒーター要素に供給してヒーター要素を第二の温度に維持するように構成される。第二の温度は第一の温度よりも低く、第一の温度と第二の温度の差は少なくとも約100℃である。
【0004】
「エアロゾル形成物品」という用語は、本明細書では、加熱時にエアロゾルを形成する少なくとも一つの基体を含む物品を意味するために使用される。当業者にとっては周知の通り、エアロゾルは、固体粒子または液体小滴が空気などのガス中に浮遊したものである。エアロゾルは、空気などのガス中に固体粒子および液体小滴が浮遊したものでありうる。
【0005】
エアロゾル形成物品の端部の近傍に位置するヒーター要素を利用することにより、本発明によるシステムによって、有利にもエアロゾル形成物品に挿入されているか、またはその一部分の周りにあるヒーター要素の必要性がなくなる。本発明によるシステムは、したがって、消費者が物品を取り外そうとした時に、エアロゾル形成物品の一部分がシステム内に詰まるリスクを減少させることができる。
【0006】
その上、本発明によるシステムは、エアロゾル形成物品の近傍に位置する一つの端面のみを持つヒーター要素をとするため、システムは、単純でおよび製造コスト効率が高い単純なヒーター設計を利用できる。
【0007】
有利なことに、環状の熱伝導性要素は、エアロゾル形成物品が管状の部分に挿入された時に、ヒーター要素からエアロゾル形成物品への熱伝導を助ける。環状の熱伝導性要素がヒーター要素と直接接するように、第一の部分はヒーター要素に直接接続されうる。別の方法として、第一の部分は間にある1つ以上の熱伝導性要素を介してヒーター要素に間接的に接続されうる。
【0008】
構造を容易にするために、環状の熱伝導性要素は、管状の部分の内部表面に固定された金属製のシートまたはスリーブを備えることが好ましい。例えば、環状の熱伝導性要素は、アルミニウムなどの金属箔から形成されうる。
【0009】
ヒーター要素を第一の温度に加熱してから、ヒーター要素を低めの第二の温度に維持することにより(ここで第一のおよび第二の温度の差は少なくとも約100℃である)、本発明によるシステムは、エアロゾル形成物品の端部の近傍に位置するヒーター要素を使用したエアロゾル形成物品の加熱に対する制御を向上させることができる。特に、高めの第一の温度は有利にも初期的な「ブースト」を提供し、エアロゾル形成物品を要求される使用温度に加熱するために必要な時間を短縮する一方で、低めの第二の温度はエアロゾル形成物品の使用温度を維持する。したがって、第一の温度は一般にエアロゾル形成物品の使用温度よりも著しく高くなり、第二の温度は一般にエアロゾル形成物品の使用温度と類似したものになる。
【0010】
第一の温度と第二の温度の差は、少なくとも約150℃としうる。
【0011】
第一の温度は少なくとも約400℃としうるが、少なくとも約450℃が好ましい。第二の温度は少なくとも約250℃としうるが、少なくとも約300℃が好ましい。
【0012】
ヒーター要素の端面は、システムに挿入されたエアロゾル形成物品を伝導の手段によって加熱しうる。例えば、ヒーター要素は、少なくとも部分的にエアロゾル形成物品と接触しうる。別の方法として、ヒーター要素からの熱は、熱伝導性要素の手段によってエアロゾル形成物品に伝導されうる。別の方法として、ヒーター要素は、使用中に電気加熱式のエアロゾル発生システムを通して引き出された周囲空気に熱を伝達しうるが、これが次に、対流によってエアロゾル形成基体を加熱する。
【0013】
ヒーター要素は、実質的に円筒形状またはディスク形状を持つ熱伝導性のある基体を含むことが好ましい。加えて、または別の方法として、ヒーター要素の端面は実質的に円形であることが好ましい。
【0014】
熱伝導性のある基体は、少なくとも約15ワット毎メートル毎ケルビンの熱伝導率を持つことが好ましい。加えて、または別の方法として、熱伝導性のある基体は、約450ワット毎メートル毎ケルビン未満の熱伝導率を持つことが好ましい。熱伝導性のある基体は、約15ワット毎メートル毎ケルビン〜約450ワット毎メートル毎ケルビンの熱伝導率を持つことが最も好ましい。例えば、熱伝導性のある基体は、金属またはセラミックで形成されうる。
【0015】
加えて、または別の方法として、熱伝導性のある基体は金属や導電性セラミックなどの導電性材料から形成されうる。熱伝導性のある基体を導電性材料から形成することで、電流を熱伝導性のある基体を通して導通させることで、ヒーター要素の直接的な抵抗加熱を促進することにより、ヒーター要素の構造を簡略化できる。別の方法として、熱伝導性のある基体の間接的な加熱を達成するために、ワイヤーコイルなど別個の導電性要素を熱伝導性のある基体の内側に提供できる。
【0016】
熱伝導性のある基体は、熱伝導性のある基体の外側表面の少なくとも一部分、および少なくとも端面の上に適用されるノンスティック被覆を備えうる。ノンスティック被覆は、エアロゾル形成物品の一部がヒーター要素に固着することを阻止するのに役立つ。例えば、たばこベースのエアロゾル形成物品がエアロゾル形成システムに挿入される実施形態において、ノンスティック被覆は、たばこがヒーター要素に固着することを阻止しうる。適切なノンスティック被覆材料には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、およびいわゆる「ロータス効果」を示す超撥水性材料が含まれる。
【0017】
上述の任意の実施形態において、システムは、システムが起動された時にヒーター要素を抵抗加熱するための、ヒーター要素に接続された電気エネルギーの供給源をさらに含みうる。電気エネルギーの供給源は、リチウムイオン電池またはその変形の一つ、例えば、リチウムイオンポリマー電池など、再充電可能電池としうる。別の方法として、電源は、ニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池もしくは燃料電池でもよい。エアロゾル発生システムは、ヒーター要素への電気エネルギーの供給を制御するよう構成された電気的ハードウェアを含むことが好ましい。電気的ハードウェアは、外部装置上のソフトウェアを使用してプログラム可能としうる。
【0018】
上述の任意の実施形態において、電気加熱式エアロゾル発生システムは、ヒーター要素からの熱損失を低減し、ユーザーを火傷から保護する1つ以上の断熱性の材料をさらに備えうる。例えば、電気加熱式エアロゾル発生システムは、ヒーター要素と外側ハウジングの間に提供され管状の部分を形成する断熱性の材料を備えうる。
【0019】
断熱性の材料は、ヒーター要素によって到達される高い温度で劣化してはならない。断熱性の材料は、金属または別の不燃性の材料を含むことが好ましい。一例では、金属は金である。別の例では、金属は銀である。金属は、熱を反射して電気加熱式エアロゾル発生システムに戻しうるため有利である。
【0020】
断熱性の材料は複数の空気くぼみを含むことが好ましい。空気くぼみは規則正しいパターンで配置されうる。好ましい一つの実施形態では、空気くぼみは六角形であり、ハニカム構造に配置される。空気くぼみを形成するために使用される材料は、上述した通り、金属または別の不燃性の材料であることが好ましい。
【0021】
電気加熱式エアロゾル発生システムは、消費者が吸煙中であることを示す空気流を検出するためのセンサーをさらに備えうる。空気流センサーは電気機械装置であってもよい。別の方法として、空気流センサーは、機械式装置、光学式装置、光学機械式装置および微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサーのうちのいずれであってもよい。別の方法として、電気加熱式エアロゾル発生システムは、消費者が吸煙を開始するための手動操作可能なスイッチを備えうる。
【0022】
加えて、または別の方法として、電気加熱式エアロゾル発生システムは、温度センサーをさらに備えうる。温度センサーは、ヒーター要素の温度またはエアロゾル形成物品の温度を検出しうる。温度センサーは、サーミスタとしうる。別の方法として、温度センサーは、ヒーター要素の比抵抗を測定し、測定された比抵抗を温度に対して較正された比抵抗カーブと比較することにより、ヒーター要素の温度を導き出すように構成された回路を備えうる。
【0023】
電気加熱式エアロゾル発生システムはさらに、ヒーター要素が起動された時に表示するためのインジケータを含むことが好ましい。インジケータは、ヒーター要素が起動された時に起動されるランプを備えうる。
【0024】
一部の実施形態で、エアロゾル形成物品の端部に近傍の端面を持つヒーター要素は、エアロゾル発生システム内で唯一のヒーター要素である。単一のヒーター要素のみを利用することで、さらにシステムの製造を簡略化し、コストを減少させることができる。
【0025】
第二の態様によれば、本発明は、本発明の第一の態様による電気加熱式エアロゾル発生システム内でエアロゾルの形成を制御する方法を提供しており、電気加熱式エアロゾル発生システムはさらにエアロゾル形成物品を含む。方法は、電気エネルギーの供給源からヒーター要素に電気エネルギーを供給して、ヒーター要素を第一の温度に抵抗加熱する工程を含む。その後、ヒーター要素が第一の温度よりも低い第二の温度まで冷めるように、ヒーター要素への電気エネルギーの供給は減少するが、ここで第一の温度と第二の温度の差は少なくとも約100℃である。次に、ヒーター要素への電気エネルギーの供給は、ヒーター要素を第二の温度に維持するように制御される。
【0026】
有利なことに、本発明による方法は、比較的単純なヒーター設計を持つ、電気加熱式エアロゾル発生システムを制御する単純かつ有効な手段を提供する。ヒーター要素を高めの第一の温度に加熱することは、有利にも初期的な「ブースト」を提供し、エアロゾル形成物品を要求される使用温度に加熱するために必要な時間を短縮する一方で、低めの第二の温度はエアロゾル形成物品の使用温度を維持する。例えば、第一の温度は少なくとも約400℃としうるが、少なくとも約450℃が好ましい。第二の温度は少なくとも約250℃としうるが、少なくとも約300℃が好ましい。
【0027】
電気エネルギーの供給を制御してヒーター要素を第二の温度に維持する工程は、ヒーター要素の比抵抗を測定する工程、ヒーター要素の現在の温度を測定された比抵抗から導き出す工程、およびヒーター要素への電気エネルギーの供給を調節して、現在の温度と第二の温度の間に差を減少させる工程を含みうる。
【0028】
第一の温度と第二の温度の差は、少なくとも約150℃であることが好ましい。
【0029】
本発明の両方の態様によれば、エアロゾル形成物品は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましいエアロゾル形成基体を備える。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、たばこ含有材料および非たばこ含有材料を備えうる。
【0030】
エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含みうる。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0031】
エアロゾル形成基体は固体の基体であることが好ましい。固体基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ(押出成形たばこなど)および膨化たばこのうち1つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。固体の基体は、容器に入っていない形態にすることも、または適切な容器またはカートリッジを提供することもできる。随意に、基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。
【0032】
随意に、固体の基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体としうる。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成しうる。
【0033】
固体の基体は、例えば、シート、泡、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に沈着してもよい。固体の基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用の間、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。
【0034】
別の方法として、担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維の束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0035】
喫煙物品の全長は、およそ30mm〜100mmとしうる。喫煙物品の外径は、およそ5mm〜およそ13mmとしうる。喫煙物品は、フィルタープラグを含みうる。フィルタープラグは、喫煙物品の下流端に位置しうる。フィルタープラグは、酢酸セルロースフィルタープラグとしうる。フィルタープラグは、長さおよそ7mmであることが好ましいが、およそ5mm〜およそ10mmの長さを持ちうる。
【0036】
喫煙物品は紙巻たばこであることが好ましい。好ましい一つの実施形態で、喫煙物品は40mm〜50mmの合計長さを持つ。喫煙物品の全長は、およそ45mmであることが好ましい。また、喫煙物品の外径は、およそ7.2mmであることが好ましい。エアロゾル形成基体は、たばこを含むことが好ましい。さらに、エアロゾル形成基体の長さは、およそ10mmとしうる。ただし、エアロゾル形成基体は12mmの長さを持つことが最も好ましい。
【0037】
さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm〜およそ12mmともしうる。
【0038】
喫煙物品は、外側の紙ラッパーを含みうる。
【0039】
さらに、喫煙物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間の分離部を含みうる。分離部はおよそ18mmとしうるが、およそ5mm〜およそ25mmの範囲としうる。
【0040】
別の方法として、エアロゾル形成基体は液体の基体としうる。エアロゾル形成基体は別の方法として、その他任意の種類の基体(例えば、ガス基体)、または様々な基体タイプの任意の組み合わせとしうる。
【0041】
動作中、エアロゾル形成物品は、電気加熱式エアロゾル発生システム内部に完全に収容されうる。その場合に、ユーザーは、電気加熱式のエアロゾル発生システムのマウスピースで喫煙しうる。別の方法として、動作中、エアロゾル形成物品は、電気加熱式エアロゾル発生システム内に部分的に含まれてもよく、ユーザーは物品を直接吸引しうる。
【0042】
ここで、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、これは例証としてのみである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明による電気加熱式エアロゾル発生システムの概略図を示す。
図2図2は、図1の電気加熱式エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル形成物品を貫く、長軸方向の断面を示す。
図3図3は、図1の電気加熱式エアロゾル発生システムに挿入される図2のエアロゾル形成物品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明による電気加熱式エアロゾル発生システム10を示す。システム10は、一方の端にエアロゾル形成物品を受けるための開口部14を持つ管状ハウジング12を備える。管状ハウジング12の反対側の端は、実質的に円筒形のヒーター要素16、ヒーター要素16に電力供給するための再充電可能電池18、および システム10の動作を制御するための制御電子回路20である。制御電子回路20は、システム10のオン・オフの切り換え、再充電可能電池18からヒーター要素16に供給される電力、および電池が外部電源に接続された時に再充電可能電池18の充電の制御をする。
【0045】
ヒーター要素16の実質的に円形の端面22は、ヒーター要素16からエアロゾル形成物品の上流端への効率の良い熱伝達を提供するアルミニウムパッチ24で覆われる。アルミニウム外筒26は、管状ハウジング12の内部表面をヒーター要素16の下流端から開口部14へと整列させる。アルミニウム外筒26は、ヒーター要素16からエアロゾル形成物品の下流端への熱伝達を改善する。アルミニウムパッチ24の環状部分28は、ヒーター要素16からアルミニウム外筒26への効率の良い熱伝達を提供する。
【0046】
図2は、図1の電気的に動作するエアロゾル発生システム10と併用するためのエアロゾル形成物品30を示す。エアロゾル形成物品30は、物品30の上流端に提供されるたばこプラグ32を含む喫煙物品である。たばこプラグ32の下流には、たばこプラグ32が加熱された時に、たばこプラグ32からのエアロゾルの形成を促進する環状のディフューザー34がある。
【0047】
ディフューザー34の下流には、上流のフィルターセグメント36、くぼみ38および下流のフィルターセグメント40を含むマウスピースがある。それぞれのフィルターセグメント36、40は、酢酸セルロースなどの従来的なフィルター材料を備えることができる。外側ラッパー42は、エアロゾル形成物品30の構成要素を囲んで構成要素の軸方向の整列を維持し、またチッピングラッパー44は物品30の口側の端の周りを包んで従来的な紙巻たばこと類似した外観を提供する。
【0048】
図3は、電気的に動作するエアロゾル発生システム10に挿入されたエアロゾル形成物品30を示す。たばこプラグ32は、たばこプラグ32を加熱してエアロゾルを形成するように、ヒーター要素16の実質的に円形な端面22の近傍に位置する。消費者は物品30の口側の端を吸い込み、物品30を通してエアロゾルを口へと引き出す。多数の空気吸込み口(図示せず)を管状ハウジング12内に提供して、消費者が物品30の口側の端を吸い込んだ時に、空気がエアロゾル発生システム内に流れ込めるようにしうる。例えば、空気吸込み口は、物品30がシステム10内に完全に挿入された時に、たばこプラグ32の上になるように位置しうる。加えて、または別の方法として、空気吸込み口は、物品30がシステム10内に完全に挿入された時に、ディフューザー34の上になるように位置しうる。こうした実施形態において、ディフューザー34は、気流をたばこプラグ32からディフューザー34の中央部分を通して、物品30の口側の端に向けて戻す前に、入ってくる上流の気流をたばこプラグ32に向けるように構成されていることが好ましい。
【0049】
システム10の動作中、制御電子回路20は、再充電可能電池18からの電流をヒーター要素16を通して通過させることにより、ヒーター要素16を初期化する。制御電子回路20は、ヒーター要素16の温度を監視し、第一の温度に達するまで電流を維持する。第一の温度に達すると、制御電子回路20は、ヒーター要素16の温度が第二の温度に下がるまで、ヒーター要素16への電流を減少させる。ヒーター要素16の温度が低めの第二の温度に達すると、制御電子回路20は、ヒーター要素16の温度の監視を継続し、第二の温度を維持するためにヒーター要素16に供給される電流に必要な調節があれば行う。制御電子回路20は、物品30が消費されたとみなされる所定の期間の経過後、または消費者が物品30の喫煙をやめる方が早ければその時に、ヒーター要素16への電流供給をオフに切り替える。
図1
図2
図3