(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉛直の主回転軸を中心に一方向へ向けて回転する回転板の周縁部に鉛直の回転軸を中心に回転自在に配設されて容器の底部を載置する載置台と、前記載置台の同軸線上で昇降自在で、かつ回転可能に配設されて容器の頭部を押さえる押え具とにより底部断面形状と底部構造の異なる複数種類の容器を搬送可能なラベリングマシンのロータリー搬送装置であって、
前記複数の載置台の側面に外接するように複数の載置台を囲繞して固定式の巻掛固定ベルトが配置され、
前記載置台は、下回転板に枢支され、サーボモータで回転制御される回転軸と、
前記回転軸の上部に一体に形成され、上部軸心に収容孔が形成された拡径軸部と、
前記拡径軸部に外装して配置され、前記巻掛固定ベルトに外接して回転力を受けて前記拡径軸部から独立して回転可能な異径外筒と、
前記拡径軸部と異径外筒の周面間に着脱自在に介装されていて、前記拡径軸部から独立して異径外筒と一体に回転する載置テーブルと、
容器の底部を収容し得るように容器の底部断面形状に合わせて形成された容器収容口を有し、前記異径外筒と一体に回転し得るように異径外筒の上端に着脱可能に取り付けられるホルダリングと、
前記異径外筒の一部に取り付けられ、前記拡径軸部に係脱可能なスライド式のピンを有する断続装置と、を具備し、
載置面に容器を載置する前記載置テーブルと、容器収容口に容器の底部を収容するホルダリングとにより容器が位置決めされ、
前記巻掛固定ベルトを通じて主回転軸を中心に公転する異径外筒に常時回転力が与えられ、
前記断続装置のピンのスライド操作により拡径軸部と異径外筒との相互間で、サーボモータによる回転力の伝達と、巻掛固定ベルトによる回転力の伝達とが切り換え可能であることを特徴とする、
ラベリングマシンのロータリー搬送装置。
前記容器が容器底面の中心から偏倚した位置に位置決め用の凹部が形成された凹部付き容器であり、前記凹部と嵌合可能な方向規制ピンが突設されたピンユニットと、前記ホルダリングとにより凹部付き容器の底部が位置決めされ、前記ピンユニットが拡径軸部の収容孔に着脱自在に収容されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラベリングマシンのロータリー搬送装置。
前記巻掛固定ベルトの摩擦抵抗を利用して異径外筒に継続して回転力を与えられるように、前記断続装置による拡径軸部と異径外筒との間の連結が解除状態にあることを特徴とする、請求項3又は4に記載のラベリングマシンのロータリー搬送装置。
前記容器が底面に位置決め用の凹部がなく、容器の底部断面形状が非円形を呈する変形容器であり、前記容器収容口が非円形に形成されているホルダリングと、前記載置テーブルとにより変形容器の底部が位置決めされることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラベリングマシンのロータリー搬送装置。
サーボモータによる回転をホルダリングへ伝達し得るように、前記断続装置により拡径軸部と異径外筒との間が連結状態にあることを特徴とする、請求項6又は7に記載のラベリングマシンのロータリー搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のロータリー搬送装置はつぎのような問題点を有している。
<1>容器保持装置を構成する載置台が、容器に合せた専用装置として製作されているため、容器底部の断面形状や底部構造が異なる異種容器には対応できなかった。
<2>底部断面形状と底部構造が異なる容器に対応する方法としては、異種容器に対応する載置台と交換する方法が考えられるが、多種類の容器に対応可能な容器保持装置を設計することが技術的に難しい。
<3>仮に個別容器に対応可能な載置台を設計できたとしても、1台の載置台を交換するだけでも多数の組付ボルトの着脱操作と、多数の構成部品の分解解体作業と組立て作業が必要であり、ロータリー搬送装置に配設されているすべての載置台を交換するには非常に多くの時間と労力を要する。
<4>載置台の交換作業中はラベルの貼付ラインだけでなく、製造ライン全体の稼働を中断しなければならず、製造ラインの再稼働までの待ち時間が非常に長くなる。
<5>容器底部の断面形状が円形を呈していて、その底面に凹部を有する容器の場合、嵌合を円滑に行うために容器底面の凹部と方向規制ピンとの間に寸法差が設けられていて、嵌合したときに凹部と方向規制ピンとの間に隙間を生じる。
この隙間の発生分だけ、搬送中の容器が妄動して方向規制にバラツキを生じる。
例えば、凹部付き容器の胴部の前後面に等間隔に2枚のラベルを貼付する場合や、容器の扁平した胴部の特定位置にラベルを貼付するような場合、容器の方向規制にバラツキがあると、前者の場合には2枚のラベル間の隙間が不均等となり、後者の場合はラベルの貼付精度が低くなるといった問題が生じる。
<6>上記の問題を解消するために、容器底面の凹部と方向規制ピンとの間の寸法差を小さくすると、凹部と方向規制ピンとの嵌合がし難くなって、容器の方向規制の性能が損なわれる。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは少なくともつぎのひとつのラベリングマシンのロータリー搬送装置を提供することにある。
<1>載置台全体を交換することなく、載置台の一部の構成部品を交換するだけで、底部断面形状と底部構造の異なる複数種類の容器に対応したロータリー搬送装置に改変できること。
<2>載置台一台あたりの部品の交換時間と労力を削減して、ロータリー搬送装置が具備するすべての載置台の改変に要する時間を大幅に短縮すること。
<3>製造ラインの再稼働までの待ち時間を大幅に短縮すること。
<4>ラベルの貼付精度が格段に向上すること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鉛直の主回転軸を中心に一方向へ向けて回転する回転板の周縁部に鉛直の回転軸を中心に回転自在に配設されて容器の底部を載置する載置台と、前記載置台の同軸線上で昇降自在で、かつ回転可能に配設されて容器の頭部を押さえる押え具とにより底部断面形状と底部構造の異なる複数種類の容器を搬送可能なラベリングマシンのロータリー搬送装置であって、前記複数の載置台の側面に外接するように複数の載置台を囲繞して固定式の巻掛固定ベルトが配置され、前記載置台は、下回転板に枢支され、サーボモータで回転制御される回転軸と、前記回転軸の上部に一体に形成され、上部軸心に収容孔が形成された拡径軸部と、前記拡径軸部に外装して配置され、前記巻掛固定ベルトに外接して回転力を受けて前記拡径軸部から独立して回転可能な異径外筒と、前記拡径軸部と異径外筒の周面間に着脱自在に介装されていて、前記
拡径軸部から独立して異径外筒と一体に回転する載置テーブルと、容器の底部を収容し得るように容器の底部断面形状に合わせて形成された容器収容口を有し、前記異径外筒と一体に回転し得るように異径外筒の上端に着脱可能に取り付けられるホルダリングと、前記異径外筒の一部に取り付けられ、前記拡径軸部に係脱可能なスライド式のピンを有する断続装置と、を具備し、載置面に容器を載置する前記載置テーブルと、容器収容口に容器の底部を収容するホルダリングとにより容器が位置決めされ、前記巻掛固定ベルトを通じて主回転軸を中心に公転する異径外筒に常時回転力が与えられ、前記断続装置のピンのスライド操作により拡径軸部と異径外筒との相互間で、サーボモータによる回転力の伝達と、巻掛固定ベルトによる回転力の伝達とが切り換え可能である。
本発明の他の形態において、前記容器が容器底面の中心から偏倚した位置に位置決め用の凹部が形成された凹部付き容器であり、前記載置面に前記凹部と嵌合可能な方向規制ピンが突設されている載置テーブルと、前記ホルダリングとにより凹部付き容器の底部が位置決めされる。
本発明の他の形態において、前記ホルダリングが磁石を介して前記異径外筒の上端に着脱可能に取り付けられている。
本発明の他の形態において、前記容器が容器底面の中心から偏倚した位置に位置決め用の凹部が形成された凹部付き容器であり、前記凹部と嵌合可能な方向規制ピンが突設されたピンユニットと、前記ホルダリングとにより凹部付き容器の底部が位置決めされ、前記ピンユニットが拡径軸部の収容孔に着脱自在に収容されている。
本発明の他の形態において、前記凹部付き容器の底部断面形状が円形を呈する。
本発明の他の形態において、巻掛固定ベルトの摩擦抵抗を利用して異径外筒と一体のホルダリングを回転し得るように、前記断続装置による拡径軸部と異径外筒との間の連結が解除状態にある。
本発明の他の形態において、前記容器が底面に位置決め用の凹部がなく、容器の底部断面形状が非円形を呈する変形容器であり、前記容器収容口が非円形に形成されているホルダリングと、前記載置テーブルとにより変形容器の底部が位置決めされる。
本発明の他の形態において、前記変形容器の底部断面形状が扁平形又は多角形を呈する。
本発明の他の形態において、容器が変形容器であるときは、サーボモータによる回転をホルダリングへ伝達し得るように、前記断続装置による拡径軸部と異径外筒との間が連結状態にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明はつぎの効果を奏する。
<1>載置台全体を交換することなく、載置台の構成部品である載置テーブルとホルダリングを交換するだけの簡単な作業で以て、底部断面形状と底部構造の異なる複数種類の容器に対応したロータリー搬送装置に改変することができる。
<2>載置台一台あたりの部品の交換に要する時間と労力が少なくて済むので、ロータリー搬送装置が具備するすべての載置台の改変に要する時間を大幅に短縮できる。
特に磁石を介してホルダリングを異径外筒へ取り付けるようにした場合は、工具類を一切使用せずにホルダリングの着脱をワンタッチで行うことができる。
<3>すべての載置台の改変作業が短くて済むので、製造ラインの再稼働までの待ち時間を大幅に短縮することができる。
<4>容器が凹部付き容器の場合、容器底面の凹部と方向規制ピンとの間に隙間が生じていても、この隙間の影響を回避して容器の方向規制のバラツキを解消できるので、ラベルの貼付精度が格段に向上する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照しながらロータリー搬送装置を具備したラベリングマシンについて説明する。
【0011】
<1>ラベリングマシンの概要
図1,3に例示したラベリングマシンについて説明すると、ラベリングマシンは、少なくとも、鉛直の主回転軸21を中心に回転しながら容器10を公転搬送するロータリー搬送装置20と、ロータリー搬送装置20の周囲に配置され、容器10の外周面にラベルを貼付する単数又は複数組のラベル供給手段30とを具備する。
【0012】
ロータリー搬送装置20の周囲には搬入路40と搬出路41が設けられていて、搬入路40の終端部に設けられた搬入スター42及び固定式の搬入ガイド43を通じて搬入路40からロータリー搬送装置20へ向けて容器10が連続的に供給されると共に、搬出路41の始端部に設けられた搬出スター44及び固定式の搬出ガイド45を通じてロータリー搬送装置20から搬出路41へ向けてラベル貼付を完了した容器10が順次搬出し得るように構成されている。
搬入スター42と搬入ガイド43の対向間隔と、搬出スター44と搬出ガイド45の対向間隔は容器10のサイズに応じて適宜調整が可能である。
【0013】
<2>容器
ロータリー搬送装置20は、底部断面形状と底部構造の異なる複数種類の容器10に対応してラベルを貼付することが可能である。複数種類の容器10を
図2に例示する。
図2(A),(B)に例示した容器10は底面11の中心から偏倚した位置に位置決用の単数又は複数の凹部12を有し、底部断面形状が円形を呈する凹部付き容器10aである。
図2(C)に例示した容器10は底面11に位置決用の凹部がなく、底部断面形状が非円形を呈する変形容器10bである。変形容器10bの底部断面形状は図示した略楕円形等の扁平形状に限らず多角形状でもよい。
両容器10a,10bの胴部の断面形状に制約は特にない。
【0014】
<3>ラベル供給手段
ラベル供給手段30は、一枚単位で供給されたラベルを容器10の外周面へ貼付する機能を有している。
本例ではラベルが予めテープ状台紙に貼り付けてあるタッグラベルロールから台紙と共にラベルを引出し、台紙を鋭角に折返してラベルを剥離して供給しつつ、台紙を巻き取る公知のタックラベル供給手段である場合を示す。
【0015】
ラベル供給手段30はその他に多数のラベルをホルダに収容した公知の枚葉ラベル供給手段や、ロールテープから引き出したテープを貼着直前にラベルサイズに切断して図外の貼付ドラムを通じて貼付する公知のロールラベル供給手段であってもよい。
【0016】
更に本例ではロータリー搬送装置20の周囲に二組のラベル供給手段30を配設し、容器10の外周面の二箇所へラベルを貼付する形態を示すが、ラベル供給手段30の配設数はラベルの貼付枚数に応じて適宜選択する。
【0017】
<4>ロータリー搬送装置
図1,3を参照して説明すると、ロータリー搬送装置20は鉛直の主回転軸21を中心に一方向(
図1では反時計回り方向)へ向けて互いに同期して回転する下回転板22と上回転板23とを有している。
下回転板22の周縁部には容器10の底部を載置するための複数の載置台50が鉛直の回転軸51を中心に回転可能に搭載されている。
複数の載置台50の間には複数の載置台50の外周面に外接可能な固定式の巻掛固定ベルト25が配置され、巻掛固定ベルト25の両端は静止部材に固定されている。
上回転板23の周縁部には容器10の頭部を押さえるための複数の押え具24が昇降自在で、かつ空転可能に配設されている。
【0018】
<5>押え具
載置台50と同一線上に位置する押え具24は、容器10の受け渡し時に上昇して容器10の頭部から離隔し、容器10の搬送時に降下して容器10の頭部を保持するように昇降が可能である。
押え具24の昇降動作は公知のカム機構等を適用して行うことができる。
【0019】
<6>載置台
図4〜7を参照して載置台50について説明する。
載置台50はその一部の構成部品(載置テーブル60、ホルダリング70、ピンユニット80)を交換するだけで、底部断面形状と底部構造の異なる複数種類の容器10(凹部付き容器10aと変形容器10b)に対応し得るように構成されている。
【0020】
図5を参照して説明すると、載置台50は下回転板22に回転可能に枢支され、サーボモータMで回転する回転軸51と、回転軸51の上部に一体に形成され、上部に収容孔52aが形成された拡径軸部52と、拡径軸部52に滑り軸受58を介して外装された筒状の筒部65と、拡径軸部52に外装して配置され、巻掛固定ベルト25に外接して回転力を受けて拡径軸部52から独立して回転可能な異径外筒54と、異径外筒54の一部に取り付けられ、拡径軸部52に係脱可能なスライド式のピンを有する断続装置56と、拡径軸部52と異径外筒54の周面間に着脱自在に介装されていて、該異径外筒54と一体に回転する載置テーブル60と、異径外筒54の上端に着脱可能(交換可能)に載置されたホルダリング70とを具備する。
載置テーブル60の筒部65と異径外筒54との間には滑り軸受58が介装されている。
【0021】
<6.1>回転軸
各回転軸51は下回転板22に立設した支持筒55に内挿されている。
各回転軸51は駆動機構であるサーボモータMと直結されていて、精密な回転角度で回転制御が可能である。
【0022】
<6.2>拡径軸部
拡径軸部52の上部中心にはピンユニット80を収容可能な断面形状が多角形、楕円形、又は円形を呈する収容孔52aが凹設されている。
拡径軸部52の下部の円板状を呈する拡径部52bには、縦向きにピン穴52cが開設されている。
【0023】
<6.3>異径外筒
拡径軸部52に外装された異径外筒54は、拡径軸部52の下方の回転軸51と対向して位置する小径筒部54aと、拡径軸部52の側方と対向して位置する大径筒部54bと、両筒部54a,54bの間を連結する環状部54cとを具備する。
異径外筒54は支持筒55に外装された小径筒部54aを介して支持筒55に回転可能に軸支されている。
大径筒部54bの外周面には巻掛固定ベルト25と外接可能な環状溝54dが形成されている。
【0024】
<6.4>巻掛固定ベルト
巻掛固定ベルト25は複数の載置台50を囲繞するように配設されていて、そのベルト面が各異径外筒54の外周面の環状溝54dと接している。
【0025】
<6.5>断続装置
断続装置56は拡径軸部52と異径外筒54との相互間で、サーボモータMによる回転力の伝達と、巻掛固定ベルト25による回転力の伝達とを切り換えるための装置である。
図7を参照して説明すると、環状部54cを貫通して上向きに取り付けられた断続装置56は、拡径軸部52の拡径部52bに形成されたピン穴52cに差し込み可能なピン体であり、環状部54cに螺着した本体56aと、本体56aの下方に延出したボタン56bと、本体56aの上方へ向けてスライド可能なピン56cとを具備する。
断続装置56は例えば公知のノック式インデックスプランジャ等を適用できる。
断続装置56のボタン56bを押し上げると本体56aの上方からピン56cが飛び出し、飛び出したピン56cが拡径軸部52のピン穴52cに差し込まれることで、拡径軸部52と異径外筒54との間が連結されて、回転軸52の回転を異径外筒54へ伝達することができる。
断続装置56のボタン56bを引き下げるとピン56cが本体56a内に後退して、拡径軸部52と異径外筒54との間の連結を解除できる構造になっている。
【0026】
<6.6>異径外筒の回転機構
異径外筒54はつぎの二つの回転機構によって回転が可能である。
【0027】
<6.6.1>巻掛固定ベルトによる異径外筒の回転機構
そのひとつは異径外筒54の環状溝54dに外接させた巻掛固定ベルト25による回転機構である。
主回転軸21を中心に載置台50が公転することで、巻掛固定ベルト25と各載置台50の異径外筒54との間に生じる摩擦力によって異径外筒54、及び異径外筒54に連結された載置テーブル60とホルダリング70に対して継続的に回転力が付与される。
【0028】
<6.6.2>サーボモータによる異径外筒の回転機構
もうひとつの回転機構は、異径外筒54の環状部54cの下面の一部に取付けられた断続装置56を通じたサーボモータMによる回転機構である。
断続装置56を通じてサーボモータMによる拡径軸部52の回転力を異径外筒54と共にホルダリング70へ伝達することができる。
【0029】
<7>載置テーブル
図5,6を参照して説明すると、載置テーブル60は容器10の底面11を支持するための支持部材であり、拡径軸部52と異径外筒54の周面間に介装される筒部65と、筒部65の上部に一体に形成されたテーブル部61とを具備する。
載置テーブル60はホルダリング70を取り外した状態で拡径軸部52および異径外筒54に対して着脱が可能である。
【0030】
拡径軸部52と異径外筒54との間に介装される筒部65はその内周面に滑り軸受66が取り付けてあり、拡径軸部52から独立して回転が可能である。
筒部65は異径外筒54に対して上下方向へ向けてスライド可能であり、かつ異径外筒54と一体に回転するように構成されている。
本例では筒部65の外周面に形成した縦溝67と、異径外筒54の内周面に突設したガイド突起54eとを嵌合させることで、異径外筒54の回転力を受けて載置テーブル60が回転可能である。
筒部65の下位に配置した環状のバネ受筒58と筒部65の底面との間にはバネ59が配置されていて、載置テーブル60は拡径軸部52に沿って上下動が可能である。
【0031】
本発明では容器10の底部断面形状と底部構造の相違により、載置テーブル60が以下のように使い分けされる。
【0032】
<7.1>凹部付き容器用の載置テーブルとピンユニット
容器10が
図2(A),(B)に示した凹部付き容器10a(以下「容器10a」)の場合には、環状の載置テーブル60aとピンユニット80を併用して組付ける。
【0033】
[載置テーブル]
図6を参照して詳しく説明すると、載置テーブル60aのテーブル部61はその縦断面形状が略クランク形状を呈していて、その最上面に容器10の底部を載置可能な環状の載置面62が形成されている。
テーブル部61の中央には円形の露出口63が形成されている。
【0034】
[ピンユニット]
ピンユニット80は拡径軸部52の収容孔52aに収容して着脱可能なユニット本体81と、ユニット本体81の上面の中心から偏倚した位置に上向きに突出された単数又は複数の方向規制ピン82を有している。
ピンユニット80は、固定ボルト84の着脱によって、拡径軸部52に対して固定又は取り外しが可能である。
【0035】
方向規制ピン82と載置テーブル60aの載置面62は互いに干渉しない位置関係で形成されている。さらに方向規制ピン82の形成位置と形成数は、容器10aの凹部12に対応して形成されている。
方向規制ピン82はユニット本体81の内部に縮設したバネ83により上下動自在に立設してもよいが、方向規制ピン82を上下動不能に立設してもよい。
【0036】
<7.2>変形容器用の載置テーブル
容器10が
図2(C)に示した変形容器10b(以下「容器10b」)の場合には、方向規制ピンなしの載置テーブル60bを使用する。
図9,10を参照して説明すると、方向規制ピンなしの載置テーブル60bはその載置面62の全面がフラット面として形成されていて、容器10bの底部を支持可能な形状になっている。
【0037】
<8>ホルダリング
ホルダリング70は載置テーブル60と協働して容器10の落下防止と容器底部の位置決めを行うために機能する環状の部材であり、その中央に容器10の底部を収容可能な形状を有する容器収容口71が形成されている。
【0038】
<8.1>ホルダリングの取付け手段
ホルダリング70は複数の磁石57を介して異径外筒54の大径筒部54bの上端に着脱可能である。
ホルダリング70と大径筒部54bのセンタリングを行うため、ホルダリング70と大径筒部54bの両対向面にそれぞれ凹凸の嵌合要素を形成しておくことが望ましい。
ホルダリング70の着脱手段として磁石57を用いたのは、ワンタッチ操作でホルダリング70を交換するためであり、ボルト手段と比べて交換時間と労力を大幅に削減できる。
磁石57は大径筒部54bの上端面、又はホルダリング70の下面の何れか一方の対向面に固着されている。
磁石57を大径筒部54bの上端面側に固着しておけば、ホルダリング70が複数種類あっても磁石57の設置数を最低に抑えられる。
【0039】
<8.2>ホルダリングの使い分け
前記したように本発明では容器10の底部断面形状と底部構造の相違によりホルダリング70を以下のように使い分けをする。
【0040】
容器10が
図2(A),(B)に示した凹部付き容器10aの場合には、容器収容口71が円形を呈するホルダリング70aを使用する。
【0041】
容器10が
図2(C)に示した変形容器10bの場合には、容器収容口71が変形容器10bの底部断面形状に対応した形状を呈するホルダリング70bを使用する。
【0042】
[ラベルの貼付方法]
つぎに凹部付き容器10aと変形容器10bに対するラベルの貼付方法について個別に説明する。
【0043】
〔I〕凹部付き容器へのラベル貼付方法
【0044】
<1>凹部付き容器用の載置テーブルとホルダリングの選択
図2(A),(B)に示した凹部付き容器10a(以下「容器10a」)にラベルを貼付する場合は、各載置台50に対して、環状の載置テーブル60aと、容器収容口71が円形を呈するホルダリング70aと、方向規制ピン付きのピンユニット80とを使用する。
図4〜6を参照して取付け方法について説明すると、方向規制ピン82を上向きにした状態でピンユニット80を拡径軸部52の収容孔52a内に収容して固定ボルト84で固定した後、ピンユニット80の上部に載置テーブル60aを外装する。
この際、載置テーブル60aの筒部65を拡径軸部52と異径外筒54との間に介装する。
最後に異径外筒54の上端面にホルダリング70aを被せて磁石57を介して固定する。
【0045】
<2>断続装置の連結解除操作
各載置台50が有する断続装置56に対しては、
図7に示したボタン56bを引き下げて拡径軸部52と異径外筒54間の連結を解除しておく。
連結を解除するのは、サーボモータMによる異径外筒54への回転伝達を遮断しつつ、巻掛固定ベルト25により異径外筒54へ回転力を与えるためである。
【0046】
<3>容器の搬入
図1において、搬入スター42を通じてロータリー搬送装置20の各載置台50へ容器10aが順次搬入される。
搬入直後に
図3に示した押え具24が降下することで、押え具24が容器10aの頭部を保持すると共に、容器10aの底部が載置台50の容器収容口71内に入り込む。
【0047】
<4>容器の方向規制
図8を参照しながら容器10aの方向規制について詳しく説明する。
図8は容器10aの方向規制動作のモデル図を示すもので、同図の(A)はピンユニット80が回転停止状態の下で、載置テーブル60aに搭載された容器10aが回転しながら公転する状態を示し、同図の(B)は方向規制を完了した状態を示している。
【0048】
<4.1>容器の強制回転
各載置台50が公転することに伴い、巻掛固定ベルト25に外接した各載置台50の異径外筒54が巻掛固定ベルト25の摩擦力を受けて強制的に回転させられる。
異径外筒54の回転に伴い、載置テーブル60aとホルダリング70aが回転し、載置テーブル60aに搭載された容器10aが一方向に回転する。このときサーボモータMと一体化したピンユニット80は回転停止状態にある。
【0049】
<4.2>容器の回転停止
容器10aの回転によって凹部12が旋回し、凹部12が方向規制ピン82を通過する際に方向規制ピン82が凹部12と嵌合する。
ピンユニット80は回転停止状態にあるから、凹部12と方向規制ピン82が嵌合した時点で容器10aの回転が停止される。容器10aの回転停止中は巻掛固定ベルト25と異径外筒54との間でスリップを生じる。
容器10aの回転停止後も巻掛固定ベルト25を通じて異径外筒54へ回転力が伝えられるが、容器10aは回転せずに載置台50と共に公転を続ける。
【0050】
<4.3>方向規制のバラツキについて
嵌合を円滑にするため、凹部12と方向規制ピン82には寸法差が設けられていて、嵌合したときに凹部12と方向規制ピン82との間に隙間が生じることが知られている。従来はこの隙間が容器10aの方向規制のバラツキの要因となっていた。
図8(B)に見られるように、本発明では容器10aの回転停止後も巻掛固定ベルト25を通じて異径外筒54へ回転力が与えられる。そのため、方向規制ピン82が凹部12の片側(進行方向に対して後方側)に押し当てられて、方向規制ピン82と凹部12の間に不変の隙間Gが形成される。
このように、方向規制ピン82と凹部12との間に大小様々の隙間が生じても、両部材12,82間の当接点Pは変わらないので、容器10aの方向規制にバラツキを生じない。
【0051】
<5>ラベルの貼付
サーボモータMの駆動を受けて、容器10aの外周面の貼付予定面がラベル供給手段30を向くように回転軸51が回転制御される。
ラベル供給手段30を通過する際に各容器10aの外周面の所定位置にへラベルが高精度に貼付される。
ラベルを貼付する際も、方向規制ピン82と凹部12間でのガタツキがなくなるので、従来と比べてラベルの貼付精度が格段に向上する。
【0052】
ロータリー搬送装置20の周囲に複数のラベル供給手段30が配設されている場合は、ラベルの貼付予定面に応じてサーボモータMが容器10aの回転を正確に制御して容器10aの複数位置にラベルが貼付される。
ラベルの貼付中も巻掛固定ベルト25を通じて異径外筒54へ回転力が付与されるが、サーボモータMによる回転が優先されるので、巻掛固定ベルト25と異径外筒54との間にスリップを生じる。
【0053】
<6>容器の搬出
ラベルの貼付を終えた容器10aは搬出スター44を通じて搬出路41へ搬出される。
【0055】
<1>変形容器用の載置テーブルとホルダリングの選択
図2(C)に示した変形容器10b(以下「容器10b」)にラベルを貼付する場合は、各載置台50に対して、方向規制ピンなしの載置テーブル60bと、容器収容口71が変形容器10bの底部断面形状に対応した形状を呈するホルダリング70bを使用し、既述したピンユニット80は使用しない。
載置テーブル60bを拡径軸部52と異径外筒54との間に介装した後に、異径外筒54の上端面にホルダリング70bを被せて磁石57を介して固定する。
容器10b用の載置テーブル60bとホルダリング70bを入れ換えるには、既に取り付けられている容器10a用のホルダリング70aを取り外した後に、載置テーブル60aとピンユニット80を抜き取るだけの簡単な作業でよい。
更に、容器10b用の載置テーブル60bとホルダリング70bのセット作業もきわめて簡単に行える。
【0056】
<2>断続装置の連結操作
図10において、各載置台50が装備する断続装置56のボタン56bを押し上げて拡径軸部52と異径外筒54との間を連結しておく。
拡径軸部52と異径外筒54との間を連結するのは、サーボモータMによる回転を異径外筒54を通じてホルダリング70bへ伝達するためである。
【0057】
<3>搬入間隔の調整
図11において、容器10bの向きが特定方向へ向くように、搬入スター42と搬入ガイド43との間隔を予め調整しておく。
【0058】
<4>容器の搬入
図11において、搬入スター42を通じて方向規制がなされた容器10bが順次ロータリー搬送装置20の載置台50へ搬入される。
搬入直後に
図3に示した押え具24が降下することで、押え具24が容器10bの頭部を保持すると共に、容器10bの底部が載置台50の容器収容口71内に収容されて位置決めされる。
【0059】
<5>ラベルの貼付
サーボモータMの駆動を受けて、容器10bの外周面の貼付予定面がラベル供給手段30を向くように回転軸51が回転制御される。
容器10bが公転している間、異径外筒54はサーボモータMにより回転が制御されるため、異径外筒54と巻掛固定ベルト25との間でスリップを生じるが、サーボモータMによる異径外筒54の回転制御に悪影響はない。
【0060】
以上説明したように、ロータリー搬送装置20は、載置台50の一部の構成部品(載置テーブル60、ホルダリング70、ピンユニット80)を交換するだけで、底部断面形状と底部構造の異なる複数種類の容器10(凹部付き容器10aと変形容器10b)にラベルを貼付することができる。