【文献】
JINBO Y,SYNTHESIS AND ANTIBACTERIAL ACTIVITY OF THIAZOLOPYRAZINE-INCORPORATED TETRACYCLIC 以下備考,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,1994年 1月 1日,V37 N17,P2791-2796,QUINOLONE ANTIBACTERIAL AGENTS
【文献】
BEASLEY, Y. M. et al.,Journal of pharmacy and pharmacology,1958年,10,1,47-59
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
不純物の制御が改善され、それにより医薬品用途に好適な物質を提供する、ビロキサジン、並びにその薬学的に許容される塩及び多形の実質的に純粋な組成物を製造する新規な改善された方法が本明細書で提供される。
【0024】
便宜上、全く限定するものではないが、ビロキサジンを製造する方法は幾つかの工程に分けられており、それぞれの工程は複数の非限定的な実施形態において本明細書に開示されている。これらの工程は、工程1(そこで2−エトキシフェノールとエピクロルヒドリンとを反応させ、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン(エポキシド1)を生成する)と、工程2(そこで1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン(エポキシド1)をビロキサジン塩基へと変換し、それをビロキサジン塩へと更に変換する)と、工程3(そこでビロキサジン塩を精製/再結晶化し、ビロキサジン塩の様々な多形体を調製する)とを含む。
【0025】
上述の工程は以下でより詳細に検討される。
【0026】
工程1のプロセスを相間移動触媒の存在下で有利に実施し、定量的収率に近い1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパンを得ることができる。代替的に、このプロセスは以下でより詳細に記載されるフィンケルシュタイン触媒を利用してもよい。さらに、触媒を用いずに反応を実施してもよい。
【0027】
下記に記載の
図1は、ビロキサジンの例示的な合成の工程Iに従った、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン(「エポキシド1」)の調製を概略的に示す。
【化5】
【0028】
工程1の一実施形態では、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン(エポキシド1)の調製を、1つ又は複数の溶媒中の対応するフェノール及びエピクロロヒドリンの溶液とともに固体又は液体の塩基の存在下で相間移動触媒を使用することにより達成することができる(
図1)。相間移動触媒は、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩及びテトラブチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩、ホスホニウム塩、グアニジン塩、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル若しくはポリエチレングリコールエステル、又は当該技術分野で既知の他の相間移動触媒から選択することができる。固体又は液体の塩基は、アルカリカーボネート等のカーボネート、NaOH、KOH、LiOH、LiOH/LiCl、一置換アミン、二置換アミン若しくは三置換アミン等のアミン(例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン)、DMAP、又は他の適切な塩基であり得る。対応するフェノール及びエピクロロヒドリンの溶液に用いられる溶媒としては、メチルt−ブチルエーテル等のエーテル、ケトン、非置換若しくは置換の芳香族溶媒(キシレン)、ハロ置換炭化水素(例えばCH
2Cl
2、CHCl
3)、THF、DMF、ジオキサン、非置換及び置換のピリジン、アセトニトリル、ピロリドン、ニトロメタン、又は他の適切な溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。例えばフィンケルシュタイン触媒等の更なる触媒を、この実施形態のプロセスに使用することもできる。この反応は高温で実施するのが好ましい。本実施形態の1つの変形形態では、温度は50℃を超える。別の変形形態では、エピクロロヒドリン、炭酸カリウム及び相間移動触媒を、50℃〜60℃のような高温で溶媒中の2−エトキシフェノールの溶液と混合する。反応が完了した後、反応混合物を水で洗浄し、続いて当該技術分野で既知のワークアップ手法を行うことができる。本発明のこの実施形態の変形形態は実施例1〜実施例8で更に開示される。
【0029】
工程1の上記の実施形態の一変形形態では、エポキシド1を、2つの異なる触媒及び固体状態の塩基の存在下において溶媒中で2−エトキシフェノールとエピクロロヒドリンとを反応させることにより調製する。第1の触媒は上記のような相間移動触媒であり、第2の触媒はフィンケルシュタイン反応触媒である。全く限定されるものではないが、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物塩及び金属臭化物塩をフィンケルシュタイン触媒の例として使用することができる。相間移動触媒及び溶媒は当該技術分野で既知の任意の相間移動触媒及び溶媒から選択することができる。炭酸カリウムは固体塩基の非限定的な例として使用することができる。粉末状の固体塩基を使用することは、接触面が大きく増大し、副反応
を制限することから非常に有益であり得る。本実施形態のこの変形形態は実施例9で更に示される。本実施形態の別の変形形態では、トリエチルアミン等の液体塩基を固体塩基の代わりに使用することができる。
【0030】
工程1の異なる実施形態では、2−エトキシフェノールとエピクロロヒドリンとを、固体又は液体の塩基、上で挙げられたような相間移動触媒、及びフィンケルシュタイン触媒を含む溶媒無含有系において反応させる。
【0031】
下記に記載の
図2は、ビロキサジンの別の例示的な合成(二相)の工程Iに従った、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン(「エポキシド1」)の調製を概略的に示す。
【化6】
【0032】
図2に示される工程1のこの実施形態では、エポキシド1を、二段階プロセスにおいて高温で溶媒を使用せず触媒量の相間移動触媒の存在下においてエピクロロヒドリンを2−エトキシフェノールと反応させることにより調製し、極めて少ない副生成物とともに、定量的収率に近い1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパンを得ることができる。本発明のこの実施形態は、非限定的な実施例12により更に示される。この実施形態の相間移動触媒は、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩;ホスホニウム塩、グアニジン塩、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル若しくはポリエチレングリコールエステル、又は当該技術分野で既知の他の相間移動触媒から選択することができる。この実施形態のプロセスの第1の段階を、大過剰のエピクロロヒドリンの存在下において溶媒を用いずに実施することができる。この段階の後に、塩基及び溶媒を用いて過剰なエピクロロヒドリンを除去する前に又は除去した後に脱塩素段階が続く。この反応により、高収率で1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパンが生成される。本明細書で使用される塩基の例としては、NaOH、KOH、LiOH、LiOH/LiCl、K
2CO
3、Na
2CO
3、一置換アミン、二置換アミン若しくは三置換アミン等のアミン(例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン等)、DMAPが挙げられるが、これらに限定されない。工程1のこの実施形態の一変形形態では、相間移動触媒をプロセスの脱塩素段階でのみ使用することができる。脱塩素段階を二相系において又は単相系において実施することができる。二相系に関しては有機液体と水性液体との二相系又は液固二相系であり得る。本プロセスに有用な溶媒としては、非置換及び置換の芳香族溶媒(例えばトルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジメチルベンゼン、キシレン)、ハロ置換炭化水素(例えばCH
2Cl
2、CHCl
3)、THF、ジオキサン、DMF、DMSO、非置換及び置換のピリジン、ケトン、ピロリドン、エーテル、アセトニトリル、ニトロメタンが挙げられるが、これらに限定されない。上述のように、このプロセスは高温で実施する。本実施形態の一変形形態では、温度は60℃を超える。別の変形形態では、2−エトキシフェノール及びエピクロロヒドリンを相間移動触媒の存在において一定期間、60℃〜90℃まで加熱する。過剰なエピクロロヒドリンを除去し、残渣をNaOH、KOH、LiOH、LiOH/LiCl等の塩基水溶液で処理したトルエン又はベンゼン等の溶媒に溶解させる。本実施形
態の更に別の変形形態では、エピクロロヒドリン除去後の残渣を、任意で高温で上記溶媒の1つ又は複数に溶解し、塩基(固体又は液体であるが、水溶液ではない)、及び任意で第2の相間移動触媒で処理することができる。
【0033】
工程1の更に別の実施形態では、エポキシド1を、フィンケルシュタイン触媒の存在下におけるいわゆるフィンケルシュタイン反応用の触媒は用いるが、相間移動触媒を使用することを要さずに調製することもできる。ここで有用なフィンケルシュタイン触媒には、特に金属ヨウ化物塩及び金属臭化物塩が含まれる。この実施形態の一変形形態では、2−エトキシフェノール及びエピクロロヒドリンをDMF等の極性非プロトン性溶媒に溶解し、触媒量のヨウ化カリウム等のヨウ化物、及び固体又は液体の塩基を使用する。好ましくは、炭酸カリウム粉末等の塩基は固体で使用する。この実施形態は実施例11で更に示される。
【0034】
工程1の代替的な実施形態では、エポキシド1を、特に塩基溶液を用いる場合、周囲温度よりも低い温度で塩基の存在下において相間移動触媒を用いずにエピクロロヒドリンと、対応するフェノールとを反応させることを含む異なる方法により調製することもできる。この実施形態は実施例10により示される。
【0035】
非常に高い、ほぼ定量的な収率の1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパンを、工程1の上記の実施形態を実現することにより得ることができ、エポキシド1で生成される不純物はより少ない。
【0036】
上記のように工程1で生成されるエポキシド1を用いて、ビロキサジン塩基(ビロキサジン)を調製し、それを工程2のプロセスによりビロキサジン塩へと更に変換させる。
【0037】
下記に記載の
図3は、本明細書の別の例示的な実施形態に従った、ビロキサジンの調製(「工程IIa」)及び塩酸ビロキサジンの調製(「工程IIb」)、並びにそれらの精製(「工程III」)を概略的に示す。
【化7】
【0038】
図3に示される工程2の実施形態では、ビロキサジン塩基の調製は、実施例5〜実施例7及び実施例14により示されるように、大過剰の塩基の存在下において工程1で調製されたエポキシド1中間体と、硫酸水素アミノエチルとを反応させることにより達成される。塩基は固体として又は溶液中に存在し得る。好ましくは、エポキシド1に対する塩基のモル比は10を超える。より好ましくはこの比は12を超える。更により好ましくはこの比は15〜40である。予想外なことに、より高い比の塩基を用いることで、反応が迅速になり、不純物が少なくなり、反応温度が低くなることが発見された。
【0039】
更なる利点は、幾つかの別個の工程において塩基を反応混合物に添加するというこの実施形態の特定の変形形態により与えられ得る。例えば、3分の1の塩基を反応混合物に添加し、混合物を一定期間撹拌する。それから残りの塩基を添加した後、更に撹拌する。代替的に、半分の塩基を初めに添加し、その後或る一定期間後に残りの半分を添加するか、又は一定期間を隔てて塩基を3回に分けて添加する。ここで用いられる塩基としては、NaOH、KOH、LiOH、LiOH/LiCl、K
2CO
3、Na
2CO
3、一置換アミン、二置換アミン又は三置換アミン等のアミン(例えばジエチルアミン、トリエチルア
ミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン)、DMAP、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態では、塩基はKOHである。別の実施形態では、塩基はNaOHである。更なる実施形態では、塩基はK
2CO
3粉末である。また更なる実施形態では、塩基はトリエチルアミンである。この実施形態は実施例13、実施例15及び実施例16により更に示される。
【0040】
工程2の別の例示的な実施形態では、ビロキサジンを、エポキシド1及びN−ベンジル−アミノエタノールから作製される新規な中間体化合物「ジオール1」の環化により生成する。この方法により、製造プロセスにおいて潜在的に毒性のある物質の使用を劇的に低減し、硫酸水素アミノエチル等の毒性のある物質の一部を完全に排除することが可能になる。この反応の第一段階では、新規なこれまでに特定されてない化合物である式3の中間体(ジオール1)が形成される。
【化8】
【0041】
下記に記載の
図4は、本明細書の別の例示的な実施形態に従った、「ジオール1」を介したビロキサジン及びその塩の調製を概略的に示す図(Bn=ベンジル、Et=エチル)。
【化9】
【0042】
図4に示されるように、ジオール1が環化によりN−ベンジルビロキサジンへと変わる。ベンジル保護基の除去によりビロキサジン塩基が得られる。同様に、以下に示す
図5は、ジオール1の環化、及びそれらの幾つかの副反応を概略的に示す。
【化10】
【0043】
本実施形態の一変形形態では、エポキシド1及びN−ベンジルアミノエタノールを溶媒中で還流させ、定量的収率でジオール1を形成することができる。溶媒は50℃以上の沸点を有するものから選択される。好ましくは、沸点は60℃以上である。より好ましくは、沸点は70℃以上である。例えば、ジオール1を、トルエンを2容量/g〜4容量/gのエポキシド1及び約1当量のN−ベンジルアミノエタノールと還流させることにより定量的収率で調製することができ、これを約110℃で溶液にゆっくりと添加することができる(実施例17を参照されたい)。
【0044】
幾つかの方法のいずれかを用いて、ジオール1の環化反応を効率的に行うことができる。一例では、硫酸又は塩酸等の酸により達成される環化反応によりジオール1をN−ベンジルビロキサジンへと変えることができる。
【0045】
本実施形態の別の変形形態では、環化を、環化剤の使用により達成することができる。環化剤の例としては、塩化トシル、塩化ブロシル、塩化ノシル及び塩化メシル等のスルホニルハロゲン化物、DMSO、アルミナが挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野で既知のジオールの環化のための他の方法を使用することもできる。環化を二相系又は単相系において実施することができる。
【0046】
さらに予想外なことに、相間移動触媒も環化に有利に利用することができることが発見された。ここで使用される相間移動触媒は、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、グアニジン塩、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエーテル若しくはポリエチレングリコールエステル、又は当該技術分野で既知の他の相間移動触媒から選択することができる。
【0047】
特に環化剤が塩化スルホニルである場合、塩基を用いて、環化反応を促進することができる。上記プロセスに有用な塩基としては、NaOH、KOH、LiOH、LiOH/LiCl、K
2CO
3、Na
2CO
3、一置換アミン、二置換アミン又は三置換アミン(例えばジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ピペリジン及びその誘導体、ピロリジン及びその誘導体、キニーネ、イミダゾール等の窒素含有塩基、カルバニオン、アミド及び水素化物のアルカリ塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
溶媒を用いても、環化反応を促進することができる。ここで用いられる溶媒の例としては、非置換及び置換の芳香族溶媒(例えばトルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジメチルベンゼン、キシレン)、ハロ置換炭化水素(例えばCH
2Cl
2、CHCl
3)、THF、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、非置換及び置換のピリジン、ケトン、ピロリドン、エーテル、アセトニトリル、ニトロメタンが挙げられるが、これらに限定されない。水を特に二相系で使用することもできる。この実施形態の一変形形態では、環化を、ジオール1を有機相に溶解し、塩基を水相に溶解する二相系で相間移動触媒の存在下において実施することができる。例えば、ジオール1を、NaOHの水溶液をトルエン等の有機溶媒とともに使用する二相系で、相間移動触媒ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドの存在下において塩化トルエンスルホニルで処理する。この実施形態の別個の変形形態では、固体塩基を固液二相系において水性塩基の代わりにこの工程で首尾よく使用することができる。
【0049】
更なる実施形態では、本発明は、2−置換モルホリン、例えばビロキサジンを製造する方法であって、(1)以下の式:
【化11】
(式中、R
bが水素又は窒素保護基であり、R
cが置換若しくは非置換のアリールオキシ基、置換若しくは非置換のアルキル基、又は置換若しくは非置換のアルコキシ基である)によるジオール化合物を準備すること、(2)ジオール化合物を塩基及び環化剤と反応させ、以下の式:
【化12】
を有する2−置換モルホリンを生成する、反応させることを含む、2−置換モルホリン、例えばビロキサジンを製造する方法を提供する。
【0050】
この実施形態の工程2の変形形態では、単相、又は液液二相系若しくは固液二相系を用いることができる。この実施形態での工程2の更なる変形形態では、相間移動触媒を用いることができる。この実施形態の更なる別の変形形態では、ジオールをまず塩基で、続いて環化剤で処理する。
【0051】
環化反応用の試薬の添加順序及び割合を制御し、最大収率を得るか、生成物の純度を改善するか、又は2つの微量であるが、これまでに特性化されていない式4及び式5の不純物が形成される副反応を制御することができる:
【化13】
【0052】
例えば、塩基を導入した後に環化剤を混合物に添加することができる。ジオール1の濃度を制御し、副生成物の形成を防ぐことができる。
【0053】
工程2のこの実施形態及びその変形形態が実施例17で更に示される。
【0054】
更に
図4を参照すると、ビロキサジンを、ベンジル保護基を除去することによりN−ベンジルビロキサジンから調製することができる。ここでベンジル基を除去するのに、多くの方法を使用することができる。還元型脱保護が、利用することのできる方法の一つである。ベンジル基を除去するための接触水素化を、Pd/C、Pd(OH)
2/C、Pd/CPS(CPS(炭素粉末担体(carbon powder support))タイプ1、2、3又は4)
、及び当該技術分野で既知の他の好適な触媒を用いることにより実施することができる。水素源はH
2によるものであるか、又はホルムアミド等のin situで発生される水素源であり得る。接触脱ベンジル化を促進することができる他の試薬を使用することもできる。かかる促進剤は、酸等の触媒被毒を低減する作用物質であり得る(例えば実施例18を参照されたい)。
【0055】
ビロキサジンの合成のための既知のプロセスでは、望ましくない薬理特性を有し得る不純物が生成される。特に、既知のプロセスでは、以下の望ましくない不純物又は副生成物がもたらされる:(1)エピクロロヒドリン及び/又は1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、(2)硫酸水素2−アミノエチル、及び(3)アルコールの硫酸アミノエチルエステル。上記のような改善されたビロキサジンの合成方法により、これらの望ましくない副生成物を排除することができるか、又はその量を劇的に低減することができる。残存する不純物、特により高い毒性潜在性を有する不純物の除去を、反応生成物の単離及び精製のための改善された技法により達成することができる。これらの技法には、複数のサイクルで行うことができる遊離塩基−塩の相互変換;ワークアップ(work-up)中、及び/又は塩基−塩の相互変換中の抽出工程;1つ又は複数の遊離塩基−塩の
変換サイクル中に行われる更なる結晶化工程、析出工程、洗浄工程、若しくは乾燥工程;1つ又は複数の再結晶化サイクル、又は上記の技法の組合せが含まれる。
【0056】
工程2に対する更なる言及において、上記のような本方法の幾つかの実施形態により、硫酸水素2−アミノエチルのような毒性化合物の使用が避けられ、これにより最終生成物において毒性化合物の存在が完全に排除される。
【0057】
工程2の実施形態を参照すると、ビロキサジン遊離塩基が形成された後、これをメチルtert−ブチルエーテル等の溶媒中へと抽出し、それからHCl水溶液を用いることによりHCl塩へと変換することができる。粗ビロキサジンHClを、1.塩基溶液を用いることによるビロキサジン遊離塩基への変換、2.メチルtert−ブチルエーテル等の溶媒による抽出、3.任意で抽出溶液を洗浄又は乾燥又はろ過すること、及び4.HCl水溶液を用いることにより遊離塩基を塩へと変換させることにより精製することができる。このサイクルは、所望の純度が達成されるまで必要に応じて繰り返すことができる。変換サイクルが完了したら、HCl及びビロキサジンHClの特定の多形を調製するのに好適な溶媒系を用いることにより、遊離塩基をHCl塩に変えることができる。代替的には、ビロキサジンHCl塩を、好適な溶媒系を用いる1つ又は複数の再結晶化サイクルに処し、ビロキサジンHClの所望の多形を生成することができる。今日の標準により遺伝毒性化合物に対して設定された極めて低い閾値レベルを検出することが可能な分析方法により、このようにして生成されたビロキサジンHCl生成物が、エピクロロヒドリン、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、及び硫酸水素2−アミノエチル(この試薬がこの反応に使用されたとしても)を実質的に全く有しないことが示される。
【0058】
一実施形態では、本方法は、エピクロロヒドリン、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、及び硫酸水素2−アミノエチルからなる群から選択される約2.5ppm未満の量の不純物とともに、ビロキサジン及びそのHCl塩を提供する。潜在的な毒性物質である硫酸アミノエチルのアルコールエステルが本発明のプロセスでは形成されないことに留意することが重要である。
【0059】
別の実施形態では、本方法は、エピクロロヒドリン、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、及び硫酸水素2−アミノエチルからなる群から選択される約1ppm未満の検出可能な量の不純物とともに、ビロキサジン及びそのHCl塩を提供する。
【0060】
更なる実施形態では、本明細書の方法は、エピクロロヒドリン、1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、及び硫酸水素2−アミノエチルからなる群から選択される検出可能な量の不純物を伴わずに、ビロキサジン及びそのHCl塩を提供する(実施例22を参照されたい)。
【0061】
更なる実施形態では、本明細書の方法は、硫酸水素2−アミノエチルを全く含有しないビロキサジン及びそのHCl塩を提供する。
【0062】
したがって本発明は、ビロキサジン又はその薬学的に許容される塩から本質的になる実質的に純粋な組成物を提供する。「実質的に純粋な」組成物という用語は、本質的には医薬品有効成分だけ、及び予測されるヒトの1日投与量当たり約1.5μg未満(又は好ましくは約0.5μg未満)の任意の遺伝毒性不純物を含有する組成物を表し、そのため、この組成物はヒトの摂取を目的とする医薬品投薬形態の調製における使用に好適である。さらに、「実質的に純粋な」組成物という用語は、少なくとも約99重量%(又はより好ましくは少なくとも約99.5重量%、又は更により好ましくは少なくとも約99.9重量%〜約99.99重量%)の医薬品有効成分を含有する組成物を表す。さらには、「実質的に純粋な」組成物という用語は、約2.5ppm未満(又はより好ましくは約1.5ppm未満、又は更により好ましくは約1ppm未満)の任意の不純物を含有する組成物
を表す。これに関連して、「不純物」は、合成後に医薬品有効成分中に残存し得る、その反応の副生成物又は残存試薬又は望ましくない生成物を表す。また、本明細書で言及される「実質的に純粋な」組成物は好ましくは、主要な又は唯一の生理学的な又は薬理学的な有効成分として医薬品有効成分だけを含有している。
【0063】
本明細書で使用される場合、「遺伝毒性」化合物又は物質という用語は、遺伝突然変異、染色体切断、及び/又は染色体再配置を誘導し、がんを引き起こし得る疑いがある、又はそのことが実証されている化合物又は物質を表す。
【0064】
塩酸塩として投薬製剤で与えられるビロキサジンの通常の投与量は、1日当たり約1mg〜約1000mg、例えば1日当たり約50mg〜約750mg、代替的には1日当たり約100mg〜約600mg、又は代替的には1日当たり約150mg〜約300mgである。
【0065】
例として、ビロキサジン(又はその薬学的に許容される塩)の「実質的に純粋な」組成物は、1日投与量当たり約2.5ppm未満のエピクロロヒドリン、約2.5ppm未満の1−(2−エトキシ−フェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、及び約5ppm未満の硫酸水素1−アミノエチルを含有する。更なる例としては、ビロキサジン(又はその薬学的に許容される塩)の「実質的に純粋な」組成物は、1日投与量当たり約0.8ppm未満のエピクロロヒドリン、約0.2ppm未満の1−(2−エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、及び約1.7ppm未満の硫酸水素2−アミノエチルを含有する。上述のように、硫酸水素2−アミノエチルのアルコールエステルは本発明のいずれの実施形態でも形成されない。
【0066】
別の重要な態様では、本発明は、本発明者らによるこれまでに特定されていないビロキサジン塩、例えばHCl塩の多形体の予期せぬ発見に関する。これまでに知られていないビロキサジンの多形を、水及び様々な有機溶媒における急冷手順及び徐冷手順と、スラリー実験とを用いた一連の単一及び複数の溶媒による結晶化により分離した。また様々な形態のビロキサジンHClを、プロセス又は条件、例えば溶媒の添加順序、HCl塩の形成速度、温度、撹拌、時間及び他の変数を制御することによっても調製した。新規な多形は、XRPD、DSC、TGA、IC、ラマン、光学顕微鏡検査、
1H NMR及び吸湿分析により特性化した。
【0067】
本発明の一実施形態では、特有の結晶形態のビロキサジンを、水、酢酸、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN−メチルピロリドン(NMP)から選択される溶媒中の単一溶媒による結晶化により分離した。
【0068】
本発明の更なる実施形態では、特有の結晶形態のビロキサジンを、酢酸、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びN−メチルピロリドン(NMP)から選択される一次溶媒と、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン(DCM)及びヘプタンから選択される逆溶媒とを用いる二成分溶媒による結晶化により分離した。水を一次溶媒として使用してもよい。この場合、逆溶媒は、メタノール、エタノール,イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びN−メチルピロリドン(NMP)から選択することができる。ビロキサジンHCl塩のこれらの多形体の内の2つを、本明細書では無水多形体A及び無水多形体Bと称する。多形体Aは
図6に示されるようなXRPDのパターン及びピークと、
図9に示されるようなラマンのスペクトル及びピークを特徴とし、多形体Bは
図7に示されるようなXRPDのパターン及びピークと、
図10に示されるようなラマンのスペクトル及びピークを特徴とする。ビロキサジンH
Clの無水多形体A及び無水多形体Bの生理化学的特性化は実施例45に示される。
【0069】
本発明者らは、多形体A及び多形体Bを互いに変換することができることも発見している。溶媒組成物は単一溶媒系、二成分溶媒系、三成分溶媒系、四成分溶媒系等であり得る。様々なタイプの溶媒、様々な溶媒比、ビロキサジン又はビロキサジン塩に対する溶媒の比を用いて、この多形体を調製又は制御又は変換することができる。このようにして極めて低レベルの不純物、特に毒性不純物(遺伝毒性不純物を含む)を有する、HCl塩を含むビロキサジン塩の様々な多形体を、上記多形体調製方法により、又は上記の合成方法と、単離及び精製方法と、上記多形体調製方法との組合せにより、調製、制御又は変換することができる。
【0070】
ビロキサジンHClの無水多形体A及び無水多形体Bの調製に関する非限定的な例は実施例20、実施例24及び実施例28〜実施例42で与えられる。上記多形体の安定性は実施例43〜実施例45で与えられる。
【0071】
本発明の更に別の態様では、ビロキサジンの主な代謝産物の合成方法が提供される。式6の化合物及びそれらの塩を式7の中間体を介して調製することができる(以下)。
【化14】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケノキシ基、アルキノキシ基、ヒドロキシル基、ハロ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、カルボキシアミド基、水素、イミノ基、シアナト基、イソシアナト基、シアノ基、イソシアノ基、ピリジル基、ピロリジル基、チオ(チオール、置換チオ(−S−R))基、ジスルフィド(−S−S−H、−S−S−R)基、スルホニル基、スルホ基、スルフィニル基、チオシアナト基であり、R
4は置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、カルボニル基、水素基、ピリジル基、ピロリジル基であり、R
5は置換又は非置換のアルキル基(例えばここではベンジルは置換アルキルである)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケノキシ基、アルキノキシ基、ヒドロキシル基、ハロ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、カルボキシアミド基、水素、イミノ基、シアナト基、イソシアナト基、シアノ基、イソシアノ基、ピリジル基、ピロリジル基、チオ(チオール、置換チオ(−S−R))基、ジスルフィド(−S−S−H、−S−S−R)基、スルホニル基、スルホ基、スルフィニル基、チオシアナト基、又は=Oである)。以下で用いられるR
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は式6に記載されるものと同じ意味を有する。
【0072】
ビロキサジンの前駆体、前代謝産物及び代謝産物を、本明細書で開示される方法により調製することができる。前駆体をビロキサジンの代謝産物に更に変換することができる。例えば、化合物E(式中Y=OH)を酸化して、化合物D(式中、Y=OH)を形成することができる。さらに、このような化合物を反応又は変換させ、(例えば本明細書で開示
される化合物のOH基に対するグルクロン酸化により)他の所望の誘導体を生成することができる。本発明の方法及び化合物の例示的な実施形態を、以下の非限定的な例で更に示す。このようにして、式6に従って以下に示される幾つかの例示的な化合物A〜化合物Eを調製することができる:
【化15】
【0073】
式7の化合物を以下で示される対応する式8の化合物から調製することできる:
【化16】
【0074】
例えば、エポキシドII(式7)を、上記のビロキサジン調製に関して記載された条件と同様の条件下で式8の化合物をエピクロロヒドリンと反応させることにより調製することできる。任意で、所望の式6の化合物の合成においてエポキシドIIを式9又は式10の化合物と反応させることができる。
【化17】
【0075】
さらに、以下に示される新規な式11の中間体を、ビロキサジン合成に関して開示された条件と同様の条件下で調製することできる。
【化18】
【実施例】
【0076】
実施例1
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製
エピクロロヒドリン(4.0当量)、炭酸カリウム(粉末状、3.0当量)、及び硫酸
水素テトラブチルアンモニウム(0.05当量)を清潔な反応容器に入れ、撹拌して、均一なスラリーにした。tert−ブチルメチルエーテル(MTBE、1.6容量)に溶解した2−エトキシフェノール(1.0当量)を容器に入れた。反応混合物を55℃まで加熱し、最低16時間(終夜)撹拌した。それから反応物をMTBE(6.25容量)で希釈し、水でクエンチした。水層をMTBE(2.1容量)を用いて3回抽出し、硫酸ナトリウム(1.0%(wt/wt))及びチャコール(0.05%(wt/wt))で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮し、油状物質を得た。油状物質を複数回トルエンとともに同時蒸発させ、過剰なエピクロロヒドリンを除去した。この手順により、HPLC分析により求められるように、98+%の粗収率と、80%〜90%の純度とが得られた。
【0077】
実施例2
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製
相間移動触媒(「PTC」)、塩基及び溶媒を用いることで水酸化物イオンにより生じる副反応を制限することにより、エポキシド1の100%近くの収率及び極めて高い純度が達成された。さらに、PTCによる反応を完了させ、かなり迅速にワークアップを進行させた。この反応は、MTBE(1mL/g)中で2−エトキシフェノール(1当量)、エピクロロヒドリン(4当量)及び炭酸カリウム粉末(2当量)を用いた。相間移動触媒は硫酸水素テトラブチルアンモニウムであった(以下の表1を参照されたい)。
【0078】
【表1】
【0079】
PTC反応の収率の中央値は99+%であり、HPLCによる純度の中央値は88.2%と測定された。過剰なエピクロロヒドリンを、トルエンとの同時蒸発により除去した。反応は室温又は−20℃で終夜、MTBE中で安定であった。粗物質は53℃でトルエンとの同時蒸発中、安定であり、室温又は−20℃で終夜安定であった。
【0080】
実施例3
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製
適当な大きさの三つ口丸底フラスコは、機械撹拌器、ディスプレイ付き熱電温度計、窒素注入口、復水器、及び加熱マントル中に乾燥管を備えていた。以下の物質をフラスコに入れた:エピクロロヒドリン(1340g、14.48mol、1132mL、4.0当量)、粉末状炭酸カリウム(1000g、7.24mol、2.0当量)、及び硫酸水素テトラブチルアンモニウム(61g、0.18mol、0.05当量)。混合物を撹拌して、均一なスラリーにした。さらに、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(500mL)中の2−エトキシフェノール(500g、3.92mol、459mL、1.0当量)を反応混合物に加えた。フラスコを撹拌しながら45℃で48時間加熱した。反応が完了したことをHPLCにより確認した。出発物質のRtは8.875分であり、生成物のRtは10.025分であり、中間体のRtは10.852分であり、不純物のRtは13.975分であった。反応混合物に存在する出発物質と中間体との組み合わせた総量が5%未満となった場合に反応が完了したとみなした。内容物をMTBE(1L)で希釈し、ガラス繊維フィルターパッドを通して混合物をろ過し、不溶性物質を除去した。有機混合物をブライン(3×800mL)で洗浄し、溶液をチャコール及び硫酸マグネシウムで30分間処理した。溶液及び濃縮物を35℃でロータリーエバポレータでろ過した。残渣をトルエン(2×1L)とともに同時蒸発させた。生成物は橙色の油状物質であった。698g、99.3%、HPLC:88.1%。
【0081】
実施例4
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製並びにビロキサジン塩基への変換
5日後に60%変換するように、45℃で4.0当量のエピクロロヒドリン及び2.0当量の炭酸カリウムを用いて、6.1kgバッチの2−エトキシフェノールを生成した。更に0.5当量の相間移動触媒(すなわちベンジルトリエチルアンモニウム塩)を添加し、温度を50℃まで上昇させた。翌日、82.5%の変換が得られ、反応が完了したと判断した。推定収量は8.55kg(100%)であった。HPLC A%:83.6%及びG.C.:62.4%。中間体を、8.4当量の硫酸水素アミノエチル及び30.0当量の水酸化カリウム(KOH)を用いる次の工程に直接転用した。反応混合物をKOH溶液に添加することにより、ワークアップ後、17%の変換と891gの粗ビロキサジンの回収とが行われた。
【0082】
実施例5
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製並びにビロキサジン塩基への変換
2日後に63.7%変換するように、50℃で4.0当量のエピクロロヒドリン及び2.0当量の炭酸カリウムを用いて、6.1kgバッチの2−エトキシフェノールを生成した。更に0.5当量の相間移動触媒(すなわちベンジルトリエチルアンモニウム塩)を添加し、翌日には79.7%の変換が達成され、温度が55℃に上昇した。翌日、80.2%の変換が得られ、反応が完了したと判断した。粗油状物質を52℃でトルエンとともに同時蒸発させ、過剰なエピクロロヒドリンを除去した。収量は7.2kgであった。HPLC A%:76.8%。中間体を、8.4当量の硫酸水素アミノエチル及び30.0当量の水酸化カリウムを用いる次の工程に直接転用した。中間体混合物を10.0当量のKOH溶液に添加し、57℃で4時間撹拌した後、残りの20.0当量のKOH溶液を添加することで、ワークアップ後、翌日には54.0%の変換と、4686gの粗ビロキサジンの回収とが行われた。
【0083】
実施例6
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製並びにビロキサジン塩基への変換
24時間後に89.6%変換するように、55℃で4.0当量のエピクロロヒドリン及び3.0当量の炭酸カリウムを用いて、9.6kgバッチの2−エトキシフェノールを生成した。推定収量は13.5kg(100%)であった。HPLC A%:74.6%。中間体を、8.4当量の硫酸水素アミノエチル及び30.0当量の水酸化カリウムを用いる次の工程に直接転用した。中間体混合物を10.0当量のKOH溶液に添加し、57℃で4時間撹拌した後、残りの20.0当量のKOH溶液を添加することで、ワークアップ後、翌日には52.3%の変換と、4.7kgの粗ビロキサジンの回収とが行われた。
【0084】
実施例7
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製並びにビロキサジン塩基への変換
24時間後に77.6%変換するように、55℃で4.0当量のエピクロロヒドリン及び3.0当量の炭酸カリウムを用いて、12kgバッチの2−エトキシフェノールを生成した。推定収量は16.8kg(100%)であった。HPLC A%:79.7%。9.7kgの中間体を、8.4当量の硫酸水素アミノエチル及び30.0当量の水酸化カリウムを用いる次の工程に直接転用した。中間体混合物を10.0当量のKOH溶液に添加し、57℃で4時間撹拌した後、残りの20.0当量のKOH溶液を添加することで、ワークアップ後、翌日には52.3%の変換と、2.6kgの粗ビロキサジンの回収とが行
われた。
【0085】
実施例8
溶媒及び相間移動触媒の存在下におけるエポキシド1の調製
2−エトキシフェノールは使用前に融解させる必要がある場合がある。以下の手順を行った:50ガロン容の清潔な乾燥したガラスライニング反応器に、エピクロロヒドリン(25.7kg)、炭酸カリウム(28.8kg)及び硫酸テトラブチルアンモニウム(1.18kg)を撹拌しながら窒素下で入れた。この混合物を撹拌して、均一なスラリーにした。MTBE(15L)中に分散した2−エトキシフェノール(9.6kg)をスラリーに添加した。得られたスラリーを55℃に加熱し、この温度で最低16時間保持した。反応混合物を所望に応じてHPLCによりモニタリングすることができるが、過去のデータに基づき、最低16時間後には反応は完了する。反応が完了したことをHPLCにより反応混合物で確認した。水(2.0容量)及びMTBE(2.0容量)を添加し、十分に混合して、HPLC(PRLC6−230nm)のために有機層を分離することにより、試料をワークアップした。出発物質のRt 8.875分、生成物のRt 10.025分、中間体のRt 10.025分、及び不純物のRt 13.975分。反応混合物に存在する出発物質と中間体との組み合わせた総量が5%未満となった場合に反応が完了したとみなした。MTBE(60L)を添加し、15分間撹拌した。水(30L)を添加し、最低30分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。底部の水相を除去した(逆抽出のために保持した)。この工程を3回繰り返した。水相をMTBE(20L)で逆抽出し、最低30分間撹拌し、層を最低15分間分離させた。底部の水相を除去した(これは適切に廃棄することができる)。25%塩化ナトリウム水溶液(30L)を組み合わされた有機物に添加し、最低30分間撹拌して、層を最低15分間、分離させた。底部の塩化ナトリウム水溶液相を除去した(これは適切に廃棄することができる)。硫酸ナトリウム(4.0kg)を添加し、最低1時間撹拌した。活性炭(0.5kg)を添加し、最低1時間撹拌した。硫酸ナトリウム及び炭素をろ別し、MTBE(10L)で洗浄した。得られたろ液を粘性のある油状物質になるまで35℃で真空下において揮散させ、真空下においてトルエン(3×4L)とともに同時蒸発させ、それにより52℃のポット温度、収量/13.6kg(100%)、HPLC面積%:74.6% G.C.:51.5%となった。物質を以下の工程に直接使用することができる。
【0086】
実施例9
溶媒、相間移動触媒及び更なる触媒の存在下におけるエポキシド1の調製
1当量の2−エトキシフェノール、1.0当量〜2.0当量のエピクロロヒドリン、2当量の粉末状炭酸カリウム粉末(325メッシュ)、0.001当量〜0.05当量のテトラブチルアンモニウム塩Q
+X
−(X=HSO
4又はCl)、0.0005当量〜0.025当量のヨウ化カリウム(Q
+X
−(Q
+に関しては約50%を用いる)の量を上回らない量で使用する場合、フィンケルシュタイン反応を介するプロセスを触媒する)を準備する。I
−の量がQ
+X
−の量と等しい又はその量よりも大きい場合、反応の強い阻害が観察される。1容量〜10容量のアセトニトリル(基質のテトラアルキルアンモニウム塩を溶解する溶媒)。反応混合物を撹拌可能とし、20℃〜50℃、12時間〜48時間で最大反応速度にするために、最低容量の溶媒を使用することが推奨される(DCMは、フェノレートと反応するため、溶媒としては推奨されない)。適度な反応速度にし、不要な副反応を最小限に抑えることが可能な最低温度を用いる。通常のワークアップ条件は上記のものと同様である。
【0087】
実施例10
低温でのエポキシド1の調製
水酸化ナトリウム溶液の存在下における室温での2−エトキシフェノールとエピクロロヒドリンとの反応が改善された。一例では、水及び50% NaOH溶液(1.2当量)
中での2−エトキシフェノール(1当量)とエピクロロヒドリン(1.5当量)との反応物を室温で終夜撹拌した。第2の工程では第1の工程から中間体を取り出し、それを50% NaOH(4.24当量)、水及びエタノール中で硫酸水素2−アミノエチル(2.12当量)に連結させた。この経路を用いた全収率は、所望の純度を達成するための再結晶化後で19.2%の中央値であった。実験を実施し、終夜の撹拌期間中、10℃未満で反応混合物を維持した(以下の表3を参照されたい)。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
これにより、工程Iの収率の増大がもたらされた。しかしながら、最良の初期純度の結果は、複数の副生成物の形成を伴い、僅か48.5%〜66.2%に留まった。
【0091】
実施例11
フィンケルシュタイン反応によるエポキシド1の調製
代替的には、エポキシド1を、フィンケルシュタイン反応触媒、例えばKIを用いることにより調製することができる。塩基を固体で使用することができる。非プロトン性溶媒を使用することができる。1当量の2−エトキシフェノール、1.0当量〜2.0当量のエピクロロヒドリン、2当量の炭酸カリウム粉末(約325メッシュ)、0.2当量のヨウ化カリウム(フィンケルシュタイン反応を介するプロセスを触媒する)、5容量のDMF(基質のカリウム塩を溶解し、反応性にする極性非プロトン性溶媒)、20℃〜30℃、12時間〜48時間。通常のワークアップ条件は以下の工程を含む:(1)反応混合物をヘプタン(8容量)と、EtOAc(2容量)と、水(15容量)との撹拌混合物に注ぎ、(2)5分間〜10分間、混合物を撹拌し、層を分離させ、有機層を回収し、(3)水層をヘプタン(4容量)とEtOAc(1容量)との混合物で抽出し、(4)全ての有機層を合わせて、水(3×3容量)で洗浄し、任意の残存するDMFを除去し、(5)撹拌しながら有機溶液を10分間〜15分間、MgSO
4(0.2容量)で乾燥させ、(6)MgSO
4をろ別し、ろ過ケーキをヘプタン(0.8容量)とEtOAc(0.2容量)との混合物で洗い流し、(7)35℃〜45℃で、減圧下においてろ液を最低限の撹拌容量に濃縮し、(8)40℃〜45℃で、減圧下において残渣をヘプタン(2×2容量)とともに同時蒸発させ、(必要に応じて)残存するEtOAcを除去し、(9)(適用可能な場合)好適な溶媒から残渣を再結晶化するか、又はそのまま直接次の工程に使用する。
【0092】
実施例12
2段階PTCプロセスにおけるエポキシド1の調製
以下の工程を実施した:機械撹拌器、ディスプレイ付き熱電温度計、窒素注入口、復水器、及び真空下蒸留システムを備える1L容の三つ口ガラス反応器を取り付け、それから以下のことを実施した:撹拌しながら、フラスコに、エピクロロヒドリン(313.44
g、3.3878mol、265.36mL、8.05当量)及び2−エトキシフェノール(58.17g、0.4210mol、53.37mL、1.0当量)を入れる。フラスコを60℃に加熱する。塩化ベンジルトリエチルアンモニウム固体(9.65g、0.0424mol、0.1当量)を添加し、フラスコを70℃で6時間加熱する。反応が完了したことをTLCにより確認する。1mLのアリコートの反応混合物を取ることで試料を調製し、透明な溶液になるまでアセトンで希釈し、5%溶液を得る。7:3のヘプタン/酢酸エチル又は溶離液を使用する。出発物質のRfは0.77であり、中間体のRfは0.58であった。反応混合物中に出発物質がなくなった場合に、反応が完了したと判断した。反応混合物を真空下において70℃で濃縮する。45℃まで冷却する。残渣をトルエン(145.46g)で希釈する。30% NaOH水溶液(73.27g、0.5495mol、1.305当量)を20分かけて滴下し、滴下後に45℃で1時間撹拌する。有機混合物を水(3×75.6g)で洗浄し、真空下において70℃で濃縮する。生成物は淡黄色の油状物質であり、これを次の工程で更なる精製をせずに使用した。84.63g、103.5%、GC:97.3%面積。
【0093】
実施例13
エポキシド1のビロキサジン塩基への変換
硫酸水素2−アミノエチル(8.4当量)を60%水酸化カリウム水溶液(10.0当量)中に溶解した。均一な溶液を得た後、メタノール(9.8容量)で希釈した工程Iの中間体(エポキシド1、1当量)を添加した。反応混合物を55℃で4時間撹拌し、60%水酸化カリウム水溶液(20.0当量)を添加した後、55℃で最低16時間(終夜)撹拌した。反応の進行が50%〜55%の所望の生成物を示した場合に、HPLCにより反応が完了したと判断した。それから以下の工程IIaに記載のように、反応をワークアップした。この例示的な手順により、30%〜40%の平均収率が得られ、HPLCによると、粗生成物の純度は80%超であった。
【0094】
この方法の例示的なワークアップ工程は以下のとおりであった:真空下において50℃のポット温度としメタノールを揮散させた。水(20.8容量)を粘性のあるスラリーに添加した。スラリーを水(72.9容量)に移した。MTBE(9.4容量)を添加し、15分間撹拌する。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(有機相を保持する)。溶解していない塩が残存する場合、記録量の水を添加し、塩の溶解を助けた。得られた溶液が濁っていた場合、得られた溶液をろ過用漏斗でろ過するか、又は遠心分離して、より良好に分離させた。MTBE(9.4容量)で水相を抽出し、15分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(有機相を保持した)。MTBE(9.4容量)で水相を抽出し、15分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(有機相を保持した)。MTBE(9.4容量)で水相を抽出し、15分間撹拌した。相を分離した。生成物の存在に関して水相を調べた。更なる抽出が要求される場合がある。有機物を組み合わせて、20%ブライン溶液で洗浄した。層を分離した。有機物を5℃〜10℃に冷却した。合わせた有機物を6M HCl(40L)で抽出した。これを15分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(水相を保持した)。合わせた有機物を6M HCl(20L)で抽出した。これを15分間撹拌した。反応器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(水相を保持した)。合わせた有機物を6M HCl(20L)で抽出した。これを15分間撹拌した。反応器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した。生成物の存在に関して有機相を調べた。更なる抽出が要求される場合がある。
【0095】
25℃未満でpHが12を超えるまで、50%水酸化ナトリウムを、合わせた水相にゆっくりと添加した。MTBE(30L)で水相を抽出し、15分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(有機相を保持した)。MTBE(
30L)で水相を抽出し、15分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(有機相を保持した)。MTBE(30L)で水相を抽出し、15分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(有機相を保持した)。MTBE(30L)で水相を抽出し、15分間撹拌した。撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させた。相を分離した(有機相を保持した)。有機物を合わせて、20%ブライン溶液で洗浄した。硫酸ナトリウムを合わせた有機物に添加し、最低1時間撹拌した。活性炭(0.05当量)を添加し、最低1時間撹拌した。硫酸ナトリウム及び炭素をろ別し、MTBE(1.0容量)で洗浄した。得られたろ液を、35℃で真空下において揮散させ、粘性のある油状物質にした。イソプロパノール(1.45容量)を油状物質に添加した。濃HClを25℃未満のポット温度で添加し、pHを1にした。酢酸エチル(5.6容量)を混合物に添加した。−5℃に冷却し、最低12時間撹拌した。固体生成物をろ過した。得られた固体を0℃のイソプロパノール(2×0.78容量)で洗浄した。固体を酢酸エチル(2×1.05容量)で更に洗浄した。固体を真空下において35℃で一定重量になるまでオーブン乾燥した。
【0096】
実施例14
エポキシド1のビロキサジン塩基への変換
工程IIの反応は、大モル過剰の水酸化カリウム溶液(30当量)中で1当量のエポキシド1を硫酸水素2−アミノエチル(8.4当量)と反応させることにより改善した。以下の表4を参照されたい。
【0097】
【表4】
【0098】
実施例15
エポキシド1のビロキサジン塩基への変換
適当な大きさの三つ口丸底フラスコは、機械撹拌器、ディスプレイ付き熱電温度計、及び窒素注入口を備えており、初めは冷却管に入っていた。水酸化カリウム(802g、14.30mol、10当量)、水(500mL)及び硫酸水素2−アミノエチル(1695g、12.01mol、8.3当量)を入れ、撹拌し、窒素雰囲気下で均一な溶液にして、55℃の温度を維持した。1−(エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン(出発中間体)(277g、1.43mol、1.0当量)及びメタノール(2.2L)をフラスコに入れ、55℃で4時間加熱した。水(1.1L)中の水酸化カリウム(1604g、28.60mol、20当量)をフラスコに入れ、55℃で16時間撹拌した。反応が完了したことをTLCにより確認した。試料を、0.5mLのアリコートの反応混合物を取り、透明な溶液になるまで水で希釈した後、酢酸エチルで抽出することにより調製した。有機層を、溶離液として1:1のヘプタン/酢酸エチルを用いて、工程Iの出発中間体と比較した。出発物質のR
fは0.7であり、生成物のR
fは0.0であった。反応混合物中に出発物質がなくなった場合に、反応が完了したと判断した。反応混合物を濃縮して、メタノールを除去した。
【0099】
実施例16
塩酸2−[(2−エトキシフェノキシ)メチル]モルホリン(ビロキサジンHCl)の調製
例示的な手順は、以下のことが含まれるものであった:(1)窒素下において撹拌しな
がら、100ガロン容の清潔なステンレス鋼反応器に、水(57.9L)を入れる。(2)50℃未満で水酸化カリウムペレット(78.0kg)を添加する。(3)溶液を20℃〜25℃まで冷却し、反応器から外に出し、工程10用に保持し、したがってラベルを付しておく。(4)ステンレス鋼反応器に水(26.2L)を入れる。(5)水酸化カリウムペレット(38.9kg)を50℃未満で添加する。(6)硫酸水素2−アミノエチル(82.4kg)を添加する。(7)得られる混合物を55℃に加熱する。(8)前の工程の油状物質に、1−(エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン、メタノール、(94.5L)を添加し、これを55℃でステンレス鋼反応器内の混合物、工程7(下記)に移す。(9)55℃で4時間撹拌する。(10)工程3(上記)の調製された水酸化カリウム溶液を60℃未満で反応混合物に添加する。(11)混合物を57℃で最低12時間撹拌する。(12)HPLCによる反応の完了の確認のために反応混合物をサンプリングする。水(8.0容量)及びMTBE(2.0容量)を添加し、十分に混合して、HPLC(PRLC 6−230nm)のために有機層を分離することにより試料をワークアップする。出発物質のRt 10.0分、生成物のRt 7.0分、中間体のRt
10.025分、不純物のRt 13.975分及びRt 6.4分。(13)通常、45%〜55%の生成物が存在していた。より長い期間撹拌しても変換率(%)は改善されない。反応は加熱の12時間〜16時間後に完了の時点まで進行することが分かっており、更なる試薬、塩基又は時間によっても更には進行しないことから、情報収集のみを目的とするHPLCによるモニタリングが推奨される。(14)真空下において50℃のポット温度までMeOHを揮散させる。(15)水(200L)を粘性のあるスラリーに添加する。(16)スラリーを水(700L)に移す。溶液が生じる。(17)MTBE(90L)を添加し、15分間撹拌する。(18)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(19)相を分離する(有機相を保持した)。(20)水相をMTBE(90L)で抽出し、15分間撹拌する。(21)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(22)相を分離する(有機相を保持した)。(23)水相をMTBE(90L)で抽出し、15分間撹拌する。(24)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(25)相を分離する(有機相を保持した)。(26)水相をMTBE(90L)で抽出し、15分間撹拌する。(27)相を分離する。生成物の存在に関して水相を調べる。更なる抽出が要求される場合がある。(28)合わせた有機物を6M HCl(30L)で抽出する。(29)これを15分間撹拌する。(30)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(31)相を分離する(水相を保持した)。(32)合わせた有機物を6M HCl(15L)で抽出する。(33)これを15分間撹拌する。(34)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(35)相を分離する(水相を保持した)。(36)合わせた有機物を6M HCl(15L)で抽出する。(37)これを15分間撹拌する。(38)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(39)相を分離する。生成物の存在に関して有機相を調べる。更なる抽出が要求される場合がある。(40)25℃未満でpHが12を超えるまで、50%水酸化ナトリウム(20L)を、合わせた水相に添加する。(41)水相をMTBE(30L)で抽出し、15分間撹拌する。(42)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(43)相を分離する(有機相を保持した)。(44)水相をMTBE(30L)で抽出し、15分間撹拌する。(45)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(46)相を分離する(有機相を保持した)。(47)水相をMTBE(30L)で抽出し、15分間撹拌する。(48)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(49)相を分離する(有機相を保持した)。(50)水相をMTBE(30L)で抽出し、15分間撹拌する。(51)撹拌器を停止させ、層を最低15分間分離させる。(52)相を分離する(有機相を保持した)。(53)硫酸ナトリウム(8.0kg)を合わせた有機物に添加し、最低1時間撹拌する。(54)活性炭(0.5kg)を添加し、最低1時間撹拌する。(55)硫酸ナトリウム及び炭素をろ別し、MTBE(10L)で洗浄する。(56)35℃で真空下において、得られるろ液を揮散させ、粘性のある油状物質にする。(57)イソプロパノール(14L)を油状物質に添加する。(58)濃HCl(3.1L)を25℃未満のポッ
ト温度でpHが1になるまで添加する。(59)酢酸エチルを混合物に添加する。(60)−5℃まで冷却し、最低12時間撹拌する。(61)固体生成物をろ過する。(62)得られる固体を0℃のイソプロパノール(2×7.5L)で洗浄する。(63)固体を酢酸エチル(2×10L)で更に洗浄する。(64)真空下において35℃で一定重量になるまで固体をオーブン乾燥する。粗収量:5.6kg;HPLC:72.7%。
【0100】
実施例17
ジオール1の形成及び環化
以下のことを、機械撹拌器、ディスプレイ付き熱電温度計、窒素注入口、復水器、及び真空下蒸留システムを備える1L容の三つ口ガラス反応器で行った:撹拌しながら、フラスコに、粗1−(エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン(中間体)(84.63g)を入れ、トルエン(245mL)をフラスコに入れ、100℃に加熱する。2−ベンジルアミノエタノール(66.01g、0.4365mol、1.037当量)をフラスコに滴下し、還流で6時間加熱する。反応が完了したことをHPLCにより確認する。反応混合物中で出発物質が2%未満になった場合に、反応が完了したと判断した。反応混合物を室温に冷却する。トルエン(130mL)及び固体ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(4.99g、0.0219mol、0.052当量)を添加する。NaOHマイクロペレット(104.62g、2.6155mol、6.213当量)を添加する。反応混合物が非常に粘性になった。室温で10分間撹拌した後、40℃未満の温度を保ち、固体パラ−トルエンスルホニルクロリド(84.71g、0.4443mol、1.055当量)をゆっくりと添加する。室温で2時間撹拌する。HPLCにより反応が完了したことを確認する(Rt 8340DI=15.9’、Rt 8340Bn=17.3’)。有機混合物を水(1×507.06g+2×130.98g)で洗浄し、45℃で真空下において濃縮する。生成物は淡黄色の油状物質であり、これを次の工程で更なる精製をせずに使用することができる。137.85g、113.5%、HPLC:67.8%面積。
【0101】
実施例18
ビロキサジンの脱保護及び結晶化
以下のことを、機械撹拌器、ディスプレイ付き熱電温度計、窒素注入口、復水器、及び真空下蒸留システムを備える1L容の三つ口ガラス反応器で行った:撹拌しながら、フラスコに、粗N−ベンジルビロキサジン(中間体)(137.85g)、エタノール(295mL)、32% HCl水溶液(135.6mL)、H
2O(135.6mL)、及び3% Pd/C(75.84g)を入れる。フラスコを60℃に加熱する。反応混合物中でH
2の気泡を発生させる(気泡発生の時間は、H
2気泡の大きさによって変わり、非常に小さい気泡であれば、反応は2時間後に終了する)。HPLCにより反応が完了したことを確認する(ビロキサジンのRt=11.7’)。反応混合物を真空下で濃縮乾固する。残渣に、イソプロパノール(290mL)及び水(60mL)を添加する。溶液が生じるまで、混合物を80℃に加熱する。溶液を50℃にゆっくりと冷却し、酢酸エチル(480mL)をゆっくりと添加する。混合物を少なくとも3時間、0℃〜5℃まで冷却する。生成物をろ過し、酢酸エチル(2×50mL)で洗浄する。固体を80℃で一定重量になるまで真空オーブン乾燥する。52.24g、57.0%、HPLC:99%アッセイ。
【0102】
実施例19
ビロキサジンHCl(6089g)を水(10容量)に溶解した。塩の遊離塩基化(Free-basing)を、pHが11に達するまで50% NaOH(温度25℃未満)を溶液に
ゆっくりと添加することにより行った。遊離塩基が形成されたら、遊離塩基をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE、1回の抽出当たり5容量)で3回抽出した。それから合わせたMTBE抽出物を水(1.5容量)で洗浄した。それから、得られる有機物を硫
酸ナトリウム(1.0当量)で乾燥させ、インラインカートリッジによりろ過し、硫酸ナトリウムをMTBE(1.0容量)で洗浄した。それから、有機物を濃縮して、粘性のある油状物質とした。
【0103】
実施例20
ビロキサジン塩基とビロキサジン塩との変換、多形体Bの形成
実施例15の残渣を水(30L)で希釈して、酢酸エチル(6×2L)で抽出した。有機抽出物を全て合わせて、6M HCl(3×2L)で更に抽出した。有機層をTLCにより生成物に関して調べ、それから廃棄した。水溶液を50% NaOHでpH12に調整した。塩基性溶液をMTBE(3×3L)で抽出した。有機抽出物を全て合わせて、ブライン(1L)で洗浄した後、チャコール及び硫酸マグネシウムで30分間処理した。混合物をガラス繊維フィルターパッドによりろ過し、45℃でロータリーエバポレータで濃縮し、明るい色の油状物質を得た。残渣を酢酸エチル(1L)及びイソプロパノール(160mL)中の12M HCl(80mL)で希釈し、0℃〜5℃で30分間撹拌した。生成物をろ過し、酢酸エチル(2×400mL)及びヘプタン(3×500mL)で洗浄した。固体を一定重量になるまで真空オーブン内で40℃で乾燥した。127g、32.4%、HPLC:94.6%。
【0104】
実施例21
再結晶化、多形体Aの形成
実施例21A
以下の方法を必要に応じて(通常2回)行った:窒素下において撹拌しながら、イソプロパノール(1.5容量)、水(0.75容量)及び粗ビロキサジンHCl(1.0当量)を清潔な乾燥反応器に入れた。混合物を80℃まで加熱した。溶液が生じた。得られた溶液を高温ろ過した。溶液を45℃〜50℃に冷却し、固体が析出し始めた。酢酸エチル(4.0容量)をゆっくりと添加した。混合物を−5℃〜0℃まで冷却し、最低12時間撹拌した。得られた固体をろ過した。固体を0℃のイソプロパノール(2×1容量)で洗浄した。固体を0℃の酢酸エチル(2×1容量)で洗浄した。固体を一定重量になるまで真空下において35℃でオーブン乾燥した。
【0105】
実施例21B
以下の方法を必要に応じて(通常2回)行った:窒素下において撹拌しながら、80℃のイソプロパノール(4.5容量)を清潔な乾燥反応器に入れた。水(1容量)を添加する。温度を45℃〜50℃とする。ビロキサジンを添加する。酢酸エチル(7.0容量)をゆっくりと添加した。混合物を0℃〜5℃まで冷却し、最低2.5時間撹拌した。得られた固体をろ過した。固体を酢酸エチル(2×1容量)で洗浄した。固体を一定重量になるまで真空下において35℃でオーブン乾燥した。
【0106】
得られる生成物は、2.1ppm以下の1−(エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン及び2.1ppm以下のエピクロルヒドリンを含む白色からオフホワイト色の粉末であった。生成物をIRスペクトル、HPLC及びXRPDにより同定した(
図8)。
【0107】
実施例22
ビロキサジン塩基とビロキサジン塩との変換、及び再結晶化
実施例19及び実施例21に記載の方法による精製により、極めて低レベルのエピクロロヒドリン、1−(エトキシフェノキシ)−2,3−エポキシプロパン及び硫酸水素2−アミノエチルを有する実質的に純粋なビロキサジンHClが得られた。アルコールの硫酸水素アミノエチルエステルは全く観察されなかった。本実施例の方法により与えられる例示的なバッチの通常の分析結果が以下の表5に示される。
【0108】
【表5】
【0109】
実施例23
多形Bの形成
実施例19の油状物質をイソプロパノール(IPA、1.0容量)中に溶解し、濃HCl(2容量)でpH=1に調整し、酢酸エチルを添加した(EtOAc、3.7容量)。それから得られるスラリーを−5℃〜0℃に冷却し、最低12時間撹拌した。それからスラリーをろ過し、冷IPA(2×0.5容量)、及びその後冷EtOAc(2×1.5容量)で洗浄した。それから単離した固体を35℃〜40℃で真空下において乾燥した。
【0110】
実施例24
多形Aの形成、BからAへの変換
ビロキサジンHCl(粗生成物、又は多形体B)をIPA(1.5容量)及び水(0.75容量)で−80℃で再溶解し、45℃〜55℃まで冷却し、EtOAc(4.0容量)を添加した。溶液を−5℃〜0℃に冷却し、最低12時間撹拌した。それからスラリーをろ過し、冷IPA(2×0.5容量)、及びその後冷EtOAc(2×1.5容量)で洗浄した。それから単離した固体を35℃〜40℃で真空下において乾燥した。
【0111】
実施例25
精製工程は以下のものが含まれるものであった:(1)窒素下において撹拌しながら、イソプロパノール(8.3L/1.5容量)、水(4.1L/0.75容量)及び粗ビロキサジンHCl(5.5kg)を50ガロン容の清潔な乾燥した反応器に入れた。(2)混合物を80℃まで加熱した。溶液が生じた。(3)溶液を50℃に冷却し、固体が析出し始めた。(4)酢酸エチル(22.0L/4容量)をゆっくりと添加した。(5)混合物を−5℃〜0℃まで冷却し、最低12時間撹拌した。(6)得られた固体をろ過した。(7)固体を0℃のイソプロパノール(5.5L/1容量)で洗浄した。(8)固体を酢酸エチル(2×5.5L/2容量)で洗浄した。(9)固体を一定重量になるまで真空下において35℃でオーブン乾燥した。収量/4.7kg−HPLC/98.8%。
【0112】
【表6】
【0113】
実施例26
高純度精製工程は以下のものが含まれるものであった:(1)窒素下において撹拌しながら、イソプロパノール(10.2L/1.5容量)、水(5.1L/0.75容量)及び98.0%超のビロキサジンHCl(6.816kg)を50ガロン容の清潔な乾燥した反応器に入れた。(2)混合物を80℃まで加熱した。溶液が生じた。(3)溶液を50℃に冷却し、固体が析出し始めた。(4)酢酸エチル(27.3L/4容量)をゆっくりと添加した。(5)混合物を−5℃〜0℃まで冷却し、最低12時間撹拌した。(6)
得られた固体をろ過した。(7)固体を0℃のイソプロパノール(6.8L/1容量)で洗浄した。(8)固体を酢酸エチル(2×6.8L/2容量)で洗浄した。(9)固体を一定重量になるまで真空下において35℃でオーブン乾燥した。
【0114】
【表7】
【0115】
実施例27〜実施例45
以下の実施例27〜実施例45は、多形体A及び多形体Bの形成又は分離のために選択される溶媒系に関する例示的なプロセス及び方法を示す。
【0116】
【表8】
【0117】
実施例27
【0118】
【表9】
【0119】
実施例28
【0120】
【表10】
【0121】
実施例29
【0122】
【表11】
【0123】
実施例30
【0124】
【表12】
【0125】
実施例31
【0126】
【表13】
【0127】
実施例32
【0128】
【表14】
【0129】
実施例33
【0130】
【表15】
【0131】
実施例34
【0132】
【表16】
【0133】
実施例35
【0134】
【表17】
【0135】
実施例36
【0136】
【表18】
【0137】
実施例37
【0138】
【表19】
【0139】
実施例38
【0140】
【表20】
【0141】
実施例39
【0142】
【表21】
【0143】
実施例40
【0144】
【表22】
【0145】
実施例41
【0146】
【表23】
【0147】
実施例42
【0148】
【表24】
【0149】
実施例43
【0150】
【表25】
【0151】
実施例44
【0152】
【表26】
【0153】
実施例45
【0154】
【表27】
【0155】
【表28】
【0156】
【表29】
【0157】
【表30】
【0158】
【表31】
【0159】
本記載は、例示的な実施形態に関してなされているが、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更を行うことができ、それらの要素を均等物に置き換えることができることを当業者は理解するであろう。加えて、本質的な本発明の範囲を逸脱することなく特定の状況又は物質をそれらの教示に適合させるように、多くの修正を行うことができる。また、図面及び明細書では、例示的な実施形態が開示されており、特定の用語が用いられている場合があるが、特に指定のない限り、これらは包括的かつ説明的な意味で用いられているに過ぎず、限定するものではなく、このため特許請求の範囲を限定することはない。さらに当業者は、本明細書で検討される方法の或る特定の工程が代替的な順序に並んでいても、又は複数の工程を組み合わせたものであってもよいことを理解するであろう。したがっ
て添付の特許請求の範囲が本明細書に開示される特定の実施形態に限定されないことが意図される。