(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663423
(24)【登録日】2020年2月18日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20200227BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20200227BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
A24F47/00
A61M15/06 C
H02J7/00 301B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-510379(P2017-510379)
(86)(22)【出願日】2015年8月12日
(65)【公表番号】特表2017-535245(P2017-535245A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2015068607
(87)【国際公開番号】WO2016026756
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2018年8月2日
(31)【優先権主張番号】14181846.8
(32)【優先日】2014年8月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ホルツヘル ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド キーサン デスネイヴィス
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/102612(WO,A2)
【文献】
国際公開第2013/102615(WO,A2)
【文献】
国際公開第2013/111320(WO,A1)
【文献】
特開2001−155703(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/189052(WO,A1)
【文献】
特開2011−087569(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0107815(US,A1)
【文献】
特表2014−501106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 15/06
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次装置、および近位端にあるエアロゾル発生基体を受けるためのくぼみと、遠位端とを持つ二次のエアロゾル発生装置を備えた、電気加熱式エアロゾル発生システムであって、
前記一次装置が、
ハウジングと、
電源と、
前記二次のエアロゾル発生装置を受けるように構成された前記ハウジング内のくぼみと、
前記くぼみ内の複数の電気接点であって、各接点が、前記二次のエアロゾル発生装置が前記くぼみ内にある時に前記二次のエアロゾル発生装置の対応する接点と接触するように構成されており、少なくとも一つの前記接点が前記電源に接続されているものと、
前記くぼみの開口部を覆うように構成され、第一の閉じた位置と第二の開いた位置との間で移動可能なリッドとを備え、
前記リッドが、前記二次のエアロゾル発生装置の前記くぼみの直径よりも小さい最大幅を持つ突出部をさらに備えており、
遠位端を先にして前記二次のエアロゾル発生装置が前記一次装置の前記くぼみ内にもたらされた時には、前記リッドが前記第一の閉じた位置にある時に前記突出部が前記二次のエアロゾル発生装置の前記くぼみ内に延びるようになっており、
また、近位端を先にして前記二次のエアロゾル発生装置が前記くぼみ内にもたらされた時には、前記突出部が前記二次のエアロゾル発生装置の遠位端と係合して、前記リッドが前記第一の閉じた位置に移動するのを防ぐようになっている、電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記突出部が弾性である、請求項1に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記突出部が電気絶縁体である、請求項1または2に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の電気加熱式エアロゾル発生システムであって、ユーザーインジケータを備え、前記突出部が前記二次のエアロゾル発生装置の前記遠位端と係合する時に前記ユーザーインジケータを起動するためのスイッチを備える、電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記ユーザーインジケータが視覚的インジケータを含む、請求項4に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記ユーザーインジケータが可聴インジケータを含む、請求項4または5に記載の電気加熱式エアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記ハウジング上に前記くぼみの前記開口部に隣接して提供される視覚的インジケータをさらに備え、前記突出部が前記二次のエアロゾル発生装置の前記遠位端と係合する時に前記視覚的インジケータが見えるようになっている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムで使用するためのエアロゾル発生装置に関連する。システムは、エアロゾル発生装置を受けて電力を装置に供給して電池などの電源を充電するための一次装置を備える。
【背景技術】
【0002】
電気的に作動する喫煙システムは、点火端のある喫煙装置と比較して副流煙を著しく減少させる一方で、消費者が喫煙体験中に喫煙システムを選択的に起動できる。電気的に作動する喫煙システムは一般に、エアロゾル発生物品または喫煙物品を受けるためのハウジング、エアロゾルを発生するための発熱体、電源および必要な電子回路を有するエアロゾル発生装置を含む。回路は、例えば、エアロゾル発生装置の加熱および充電を制御するための回路としうる。携帯可能な装置および一次充電装置を有することで、保持および使用が簡単な携帯可能な装置である小さなエアロゾル発生装置という利点を提供しながらも、反復使用のためにエアロゾル発生装置を急速かつ便利に再充電する能力もある。
【0003】
第WO2013/102612号は、一次装置および二次エアロゾル発生装置を備えた電気システムの例を開示している。一次装置は、二次装置を受けて二次装置の充電を許容するように構成されたくぼみを含む。
エアロゾル発生装置が一次充電装置に不正確に挿入されることがあり、これがエアロゾル発生装置または一次充電装置を損傷しうることが分かっている。さらに、装置が不正確に挿入されると、装置が充電されず、ユーザーに不満足な体験をさせることになりうる。
【0004】
したがって、エアロゾル発生装置が一次装置に不正確に挿入されないようにする、エアロゾル発生装置およびシステムを提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、一次装置、および近位端にあるエアロゾル発生基体を受けるためのくぼみ
と、遠位端とを持つ二次のエアロゾル発生装置を備えた、電気加熱式エアロゾル発生システムが提供されている。一次装置は、ハウジングと、電源と、二次装置を受けるように構成されたハウジング内にあるくぼみと、くぼみ内の複数の電気接点であって、各接点が、二次装置がくぼみ内にある時に二次装置の対応する接点と接触するように構成されており、少なくとも一つの接点が電源に接続されているものと、くぼみの開口部を覆うように構成されたリッドであって、第一の閉じた位置と第二の開いた位置との間を移動可能なものとを備える。リッドは、遠位端を先にして二次装置が一次装置のくぼみ内にもたらされた時には、リッドが第一の位置にある時に突出部が二次装置のくぼみ内に延びるよう、また、近位端を先にして二次装置がくぼみ内にもたらされた時には、突出部が二次装置の遠位端と係合してリッドが
第一の位置に移動するのを防ぐように、二次装置のくぼみの直径よりも小さい最大幅を持つ突出部をさらに備える。
【0006】
二次のエアロゾル発生装置が不正確に挿入された場合にリッドが適切に閉じないようにする、エアロゾル発生装置と係合する突出部を有するリッドを提供することで、有利なことに、二次装置が不正確に挿入されたという視覚的な合図がユーザーには提供される。さらに、こうした突出部は、二次装置の不正確な挿入に起因する一次装置または二次装置を損傷するリスクを低減する。
【0007】
リッド内の突出部は弾性であることが好ましい。弾性突出部を提供することで、二次装置が不正確に挿入されユーザーがリッドを閉じようとした時に二次装置が損傷するリスクを低減しうる。弾性突出部は変形し、したがってユーザーに触覚的フィードバックを提供する。
【0008】
本明細書で使用される場合、「弾性」という用語は、かけられた力によって変形または湾曲しうるが、かけられた力が除去された後で、その元の位置または状態に戻る能力がある要素に関連する。弾性要素に向かって移動する構成要素によってかけられた力によって弾性要素が変形または湾曲した時、弾性要素はその構成要素を弾性要素から離れるように移動させる反力を発生する。弾性要素の例としては、コイルばね、片持ちばね、およびそれが形成されている材料のゆえに弾性である固体要素がある。好ましい一つの実施形態では、弾性突出部はゴムで形成される。
【0009】
突出部は電気絶縁体としうる。突出部を電気絶縁体で形成することで、二次装置の電気接点を電気的にショートするリスクを、したがって二次装置を損傷するリスクを低減しうる。
【0010】
一つの実施形態で、突出部は、突出部が二次装置の遠位端と係合する時にユーザーインジケータを起動するためのスイッチを備える。スイッチは、機械的または電気的なスイッチとしうる。機械的スイッチが提供される場合、スイッチはフラップまたはそれに類するものを起動して、目立つ視覚的インジケータをユーザーに提示しうる。フラップは、リッドから突き出ることが好ましい。電気的なスイッチが提供される場合、スイッチは、視覚的インジケータ、可聴インジケータ、または触覚的インジケータ、またはその任意の組み合わせを起動しうる。電気的なスイッチは、押して作動させるタイプのスイッチが好ましい。
【0011】
存在する場合、視覚的インジケータは電気ランプとしうる。ランプは、一次装置のリッド上に、または一次装置のハウジング上に提供されうる。存在する場合、可聴インジケータは、電気ブザー、スピーカー、または音を生成するその他任意の適切な装置としうる。スピーカーは、適切な任意の音を発してもよく、事前に録音したメッセージを含めてもよい。メッセージは、「喫煙装置の挿入が正しくありません、挿入し直してください」でもよい。存在する場合、触覚的インジケータは一次装置を振動させるように構成された振動器としうる。振動器は、偏心した質量に結合された電気モーターでもよい。
【0012】
一次装置は、リッドが第二の位置から第一の位置に移動するのを防ぐために突出部が二次装置の遠位端と係合する時に視覚的インジケータが見えるように、ハウジング上にくぼみの開口部に隣接して提供された視覚的インジケータを備えうる。視覚的インジケータは、赤などの明るい色であることが好ましい。視覚的インジケータは、少なくとも部分的にくぼみの周辺付近に延びる薄壁としうる。壁は周辺全体の周りに延びてもよい。
【0013】
一次装置は、ユーザーに情報を表示するディスプレイ(例えば、デジタルディスプレイ)を含みうる。ディスプレイは、二次装置が正確に挿入されたかどうかを示しうる。例えば、ディスプレイは、喫煙物品の消費、エネルギー使用量またはその他の情報を表示しうる。ディスプレイはさらに、二次電源が喫煙物品を消費するために使用されるのに十分に充電された時点をさらに表示しうる。
【0014】
くぼみは、一次装置の上部から延びる細長いくぼみであることが好ましい。くぼみの開放端から閉鎖端までの長さは、少なくとも二次装置と同じ長さであることが好ましい。くぼみは、ハウジングの中心の長軸方向軸からずれていてもよい。くぼみは、ハウジングの端に隣接していることが好ましい。
【0015】
一次装置は、2つの電気接点を備え、第一の電気接点が電源のプラス端子と接続され、第二の電気接点が電源のマイナス端子と接続されていることが好ましい。
【0016】
電気接点は、金属製であることが好ましい。電気接点を作製するために使用する金属は、ベリリウム銅であることが好ましい。電気接点の少なくとも一部は金メッキであることが好ましい。
【0017】
電力源は再充電可能電池を備えることが好ましい。一次装置は、外部電力を受け取って再充電可能電池を再充電するための手段を含むことが好ましい。
【0018】
電力供給源装置は、二次装置内の二次電池を再充電するのに適した方法で電力を二次装置に供給するように構成されることが好ましい。
【0019】
ハウジングは、前部壁、後部壁、底部壁、上部壁、第一の側壁および第二の側壁を含むことが好ましい。
【0020】
「前方」、「後方」、「上」、「下」、「側」、「上部」、「下部」、「左」、「右」という用語、および一次装置および二次装置の構成要素の相対的位置を描写するために使用されるその他の用語は、直立位置にある一次装置でくぼみの開口部が上部端で二次装置を受けるように構成されていることを意味する。
【0021】
「長軸方向」という用語は底部から上部またはその反対の方向を意味する。「横断する」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を意味する。
【0022】
一次装置は、2つの幅の狭い側壁によって間隙を介する2つの幅の広い壁と、上部および下部の壁とを含む、実質的に直方体としうる。二次装置は細長いことが好ましい。
【0023】
リッドは、ヒンジ付リッドが好ましい。ヒンジは、ハウジングの上部を前部壁から後部壁へと横切って延びることが好ましい。ヒンジは、リッドを第二の閉じた位置で保持するよう構成されたバネを備えうる。ヒンジはまた、リッドが第二の位置から第一の位置へと移動する時に、リッドの動きを弱めるように構成されたダンパーを備えうる。別の方法として、ヒンジは、リッドを第二の位置で保持するよう構成されたバネを備えうる。この代替案では、リッドは、リッドを第一の位置で保持するための手段が提供されることが好ましく、この保持手段はバネによってリッドに適用される力に克服する十分な力を提供するよう構成されている。
【0024】
保持手段は、少なくとも一つの磁石および少なくとも一つの対応する第一鉄要素を備えうる。少なくとも一つの磁石は一次装置のハウジング内に提供され、また鉄要素はリッド内に提供されている。別の方法として、保持手段はラッチタイプの配置としうる。
【0025】
ヒンジ付リッドは、ハウジングの上部全体を形成しうる。この代替案では、ヒンジはリッドの内部にあり、かつハウジングの側壁に隣接したものとしうる。
【0026】
二次装置は、電気加熱式エアロゾル発生装置である。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を受け、また喫煙の体験時にユーザーによって保持されるように設計される。電源は二次装置内に提供されることが好ましく、またエアロゾルの発生が始まる前にエアロゾル形成基体を使用温度まで加熱するよう適合される。二次装置内の電源もまた、エアロゾル発生時にエアロゾル形成基体の温度を維持するように適合される。一次装置内の電力源は、二次装置が使用されていない時に、充電モード時に二次電源を充電するために使用されることが好ましい。
【0027】
電気加熱式エアロゾル発生装置の形態の二次装置は、点火端のある紙巻たばこと類似したサイズか、またはそれよりわずかに大きいものであることが好ましい。従って、二次ユニットは、点火端のある紙巻たばこと類似した方法でユーザーの指の間に保持されうる。
【0028】
本明細書に使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを生成する装置に関連する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部としうる。エアロゾル発生装置は、電源からエアロゾル形成基体にエネルギーを供給してエアロゾルを発生させるために使用される1つ以上の構成要素を含みうる。例えば、エアロゾル発生装置は、加熱式エアロゾル発生装置としうる。エアロゾル発生装置は、電気加熱式エアロゾル発生装置、またはガス加熱式エアロゾル発生装置としうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの肺にユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置としうる。
【0029】
「エアロゾル形成基体」という用語は本明細書で使用される時、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体に関連する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体の加熱により放出されうる。加熱または燃焼に代わるものとして、一部の場合に、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体でも液体でもよく、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、担体または支持体に吸着、被覆、含浸またはその他の方法で装填される場合がある。エアロゾル形成基体は、好都合なことにエアロゾル発生物品または喫煙物品の一部でありうる。
【0030】
エアロゾル形成基体はニコチンを含む場合がある。エアロゾル形成基体はたばこを含みうるが、例えば加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含みうる。好ましい実施形態で、エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料、例えばキャストリーフたばこを備えうる。エアロゾル形成基体は、プロピレングリコールまたはグリセリンなどの少なくとも一つのエアロゾル形成剤を含みうる。
【0031】
「エアロゾル発生物品」および「喫煙物品」という用語は本明細書で使用される時、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つエアロゾル形成基体を含む物品を意味する。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを生成する喫煙物品としうる。エアロゾル発生物品は、使い捨てとしうる。これ以降、「エアロゾル発生物品」という用語を一般的に使用する。
【0032】
エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品である、加熱式エアロゾル発生物品であることが好ましい。エアロゾル形成基体の加熱によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル形成基体の燃焼または熱分解によって生成されるよりも少ない既知の有害成分を含みうる。エアロゾル発生物品は、たばこスティックとしうるか、またはそれを含みうる。
【0033】
二次装置は少なくとも2つのモードで動作するように構成されることが好ましい。少なくとも2つのモードは、充電モードおよび動作モードであることが好ましい。充電モードは、二次装置が一次装置内にあり、かつリッドが第二の位置にある時にのみアクセス可能であることが好ましい。動作モード、すなわち、エアロゾルを発生するモードは、二次装置が一次装置内にない時にのみ利用できることが好ましい。
【0034】
喫煙モード時にエアロゾル形成基体の温度を実質的に使用温度に維持するために、二次電源が十分に充電されるように、二次電源は充電モード時に一次電源によって充電可能であることが好ましい。最適な温度に達しない場合には、装置の動作時に発生するエアロゾルの量および質は低減しうる。例えば、発熱体が、基体が最適な温度に加熱される時と比較して低い温度にエアロゾル形成基体を加熱する時に、異なる比率の揮発性要素を発生させてもよく、またこれによりエアロゾルの風味を変化させてもよい。より最適でかつ一貫したユーザー体験を提供するために、二次装置は、二次電源が完全に充電された状態にある時にのみ動作できることが好ましい場合がある。完全に充電された状態では、二次電源は、常にエアロゾル形成基体を最適な温度に加熱する能力があるべきである。毎回の二次装置の動作では、二次電源からの電力を消費するため、二次装置は毎回の動作前に充電される必要があることが好ましい場合がある。例えば、エアロゾル発生装置は、毎回の作動後、別の喫煙物品が消費できるようになる前に再充電を必要としうる。
【0035】
充電が不十分であると、形成されうる任意のエアロゾルの基体の排出または実質的な消耗に十分な期間、二次装置がエアロゾル形成基体を加熱するために十分に充電できなかった場合に、結果的に不満足なユーザー体験にもつながる。したがって、一つの実施形態では、二次装置は、エアロゾル発生サイクルを完了するための十分な電力が利用できない限り、ユーザーが装置の動作を開始できないようにする。例えば、エアロゾル発生がたばこベースのエアロゾル形成基体を含む喫煙物品である場合、二次装置は、使用温度を少なくとも6分間維持するための十分な電力が存在しない限り喫煙の体験を許可しないようにしうる。
【0036】
予熱モード時の、一次電源から少なくとも一つの発熱体への電力の供給は、二次装置の二次回路により制御されることが好ましい。充電モード時の、二次電源を充電するための一次電源からの電力の供給は、二次装置の二次回路により制御されうる。
【0037】
二次装置は、一次装置と適合する二次装置のみがくぼみに挿入できるように、一次装置のくぼみへのキーを付けてもよい。一次装置のくぼみへの二次装置のキー付けを実施するために、くぼみには特定の非正規な形状が提供されてもよく、また二次装置には対応する非正規の形状が提供されてもよい。さらに、二次装置が正しい向きでくぼみに挿入されるように、非正規の形状は回転対称でないことが好ましい。こうして、二次装置はくぼみに一つの向きにのみ挿入されうる。
【0038】
一次装置は、一次装置と二次装置の間でデータを転送するよう構成された少なくとも一つの接点をさらに備えうる。一次装置は、一次装置と二次装置の間でデータを転送するよう構成された少なくとも2つの接点をさらに備えることが好ましい。一次装置は、リッドが第二の位置にある時にのみ、二次装置へとデータを転送する、または二次装置からデータを受け取るよう構成されることが好ましい。
【0039】
データは、一次装置および二次装置の間で通信しうるほか、一次装置からコンピュータによる読取りが可能なコンピュータインターフェースへ、またはコンピュータまたはインターネットにデータを転送可能なその他の電子装置へと通信しうる。データ接続はインターフェース規格に基づき動作することが好ましい。インターフェース規格は、2つ以上のシステムまたは装置の部品間での情報交換を許容するために必要な、コード変換、ライン割り当て、またはプロトコル準拠などの1つ以上の機能的特性、または電気的、機械的、または光学的な特性などの物理的特性を描写した規格である。通信リンクのための適切なインターフェース規格の例としては、Recommended Standard 232(RS−232)系統の規格、USB、Bluetooth、FireWire(Apple, Incのブランド名で、自社のIEEE 1394インターフェース用)、IrDA(Infrared Data Association - 赤外線による短距離データ交換のための通信規格)、Zigbee(無線パーソナルエリアネットワーク用のIEEE 802.15.4規格に基づくアプリケーション)およびその他のWi−Fi規格が含まれるが、これに限定されない。
【0040】
エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0041】
エアロゾル形成基体は固体の基体であってもよい。固体基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。随意に、基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含みうる。随意に、固体の基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもまたはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態をとりうる。別の方法として、担体は、その内部表面上、またはその外部表面上、またはその内部および外部の表面上の両方に配置された固体基体の薄い層を持つ、管状の担体としうる。こうした管状の担体は、例えば、紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、質量の小さく目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穴あきの金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成しうる。固体の基体は、例えば、シート、泡、ゲルまたはスラリーの形態で担体の表面上に沈着してもよい。固体の基体は、担体の全表面上に沈着してもよく、または代わりに、使用の間、均一でない風味送達を提供するために一定のパターンにおいて沈着してもよい。別の方法として、担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維の束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば、炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0042】
エアロゾル形成基体は、液体基体でもよく、また喫煙物品は、液体基体を保持するための手段を含みうる。エアロゾル形成基体は別の方法として、その他任意の種類の基体(例えば、ガス基体)、または様々な基体タイプの任意の組み合わせとしうる。
【0043】
一次装置は、たばこエアロゾル形成基体を含む喫煙物品など、少なくとも一つのエアロゾル発生物品用の保管手段を含みうる。保管手段は、使用済み喫煙物品、未使用の喫煙物品または両方のための保管を含みうる。これは、一次装置および二次ユニットは共に、喫煙モードで必要とされる全ての構成要素を提供するために有利である。
【0044】
本明細書に使用される場合、「手段プラス機能」の特徴は、これらの対応する構造に関する別の方法として表現されうる。
【0045】
本発明の1つの態様のいずれの特徴も、任意の適切な組み合わせにおいて本発明のその他の態様にも適用されうる。特に、方法の態様は装置の態様に適用でき、その逆もまた可である。さらにまた、1つの態様における任意の一部および/またはすべての特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、任意のその他の態様の任意の一部および/またはすべての特徴に適用されうる。
【0046】
当然ながら、本発明の任意の態様において説明および定義された種々の特徴の特定の組み合わせを独立して実施および/または供給および/または使用できる。
【0047】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図2】
図2は、その中に二次装置が正確に挿入されている一次装置を示す。
【
図3】
図3は、その中に二次装置が不正確に挿入されている一次装置を示す。
【
図4】
図4は、突出部を有する一次装置のリッドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1(a)は一次装置100を示す。この例の一次装置100は、電気加熱式の喫煙システム用の充電ユニットである。
図1(b)は二次装置102を示す。この例の二次装置102は、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品104を受けるように適合された電気加熱式エアロゾル発生装置である。一次装置100は、二次装置が電気接点110と接続された時に、電池106から二次装置に電力を供給するように構成されている、一次電池106、制御電子回路108、および電気接点110を含む。一次装置は、電池106を利用する二次装置を充電するように構成されている。電気接点110は、くぼみ112の底部に隣接して提供されている。くぼみは、二次装置102を受けるように構成されている。リッド114は、二次装置102を一次装置100のくぼみ112内に固定するよう構成されるように提供されている。一次装置100の構成要素は、ハウジング116内に格納される。リッド114は、ヒンジ118によってハウジング116に連結されている。リッドの動作については、下記にさらに詳細に説明する。
【0050】
さらに、一次装置100には、一連の3つのインジケータ120、122および124が提供されている。インジケータ120は、一次電池106内に残っている充電レベルを示すために提供される。インジケータ120は、一次電池内に残っている充電のパーセンテージを示すように構成しうる。例えば、100%であれば電池106が完全に充電されていることを示し、また50%であれば電池106が半分充電されていることを示す。
【0051】
第二のインジケータ122は、二次装置102が完全に充電されており、エアロゾルを発生するために使用される準備が整っていることを示すために提供されている。インジケータ122は、二次装置が、ユーザーに完全な喫煙の体験を提供するために十分な電力、例えば、エアロゾル形成基体104全体をエアロゾル化するのに十分な電力、または所定回数の吸煙をするのに十分な電力を供給する能力があるようになった時点で、この準備完了の状態を示すのみである。一つの実施形態で、二次装置102は、再充電可能電池126が完全に充電されない限り動作できない。
【0052】
第三のインジケータ124は、二次装置が清掃中であることを示すために提供される。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置のヒーター上に残留物が残すことがあり、そのため、一次装置には、二次装置がくぼみ内に受けられた時にヒーターに電力を供給する清掃モードが提供されうる。清掃モードでヒーターに供給される電力は、残留物を焼き払うのに十分である。
【0053】
二次装置102は、再充電可能電池126、二次制御電子回路128、および電気接点130を備える。上述の通り、二次装置102の再充電可能電池126は、電気接点130が一次装置100の電気接点110と接触しかつリッドが閉位置にある時に、一次電池106から電力供給を受けるように構成されている。二次装置102はさらに、エアロゾル発生物品104を受けるように構成されたくぼみ132を含む。例えば、ブレードヒーターの形態のヒーター134は、くぼみ132の底部に提供される。使用時、ユーザーが二次装置102を起動すると、電力が電池126から制御電子回路128を経由してヒーター134に供給される。ヒーターは、エアロゾル発生物品104のエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な標準使用温度に加熱される。二次装置102の構成要素は、ハウジング136内に格納される。
【0054】
最後に、一次装置100には、電池106を再充電できるよう一次装置が外部電源と接続できるように構成されている、さらなる電気接点138が提供されている。
【0055】
図2は、一次装置100のくぼみ内に正確に受けられた二次装置102を示す。上述の通り、二次装置102の電気接点130は、一次装置100の電気接点110に結合されて、一次電源106が二次電源126を再充電できるようなる。
【0056】
図2で分かる通り、この例では一次装置の上部全体に延びるリッド114は、弾性突出部200を備える。二次装置102がくぼみ112内に正確な向きに受けられた時、突出部200は二次装置のくぼみ132内に延びる。理解される通り、二次装置がくぼみ136内に挿入されたエアロゾル発生物品を持つ場合、突出部は物品と係合し、リッドは適切に閉じられなくなる。この特徴は、物品が二次装置のくぼみ内にある時に、一次装置が二次装置を再充電したり、またより重要な点としては清掃したりできないようにするが、これはリッドが閉じていない時には、電力が二次装置に供給されないよう一次装置が構成されているためである。
【0057】
図3は、一次装置のくぼみ内に不正確に受けられた二次装置102を示す。二次装置が不正確に受けられた時、弾性突出部200は二次装置の遠位端300と係合し、リッドが適切に閉じないようにする。これにより、二次装置が不正確に挿入されたこと、そのため装置は再充電または清掃されないことを示す視覚的インジケータがユーザーに提供される。こうして、ユーザーは装置を正確に挿入するよう促されることになる。
【0058】
弾性突出部は、突出部が二次装置102の遠位端300と係合する時に起動され、ユーザーをさらに促すスイッチを備えうる。例えば、スイッチは、ランプ、またはブザーまたはこれに類するものを起動しうる。
【0059】
図4は、一次装置100のリッド114およびその上部表面の内側に接続された弾性突出部200の等角図を示す。この例では、突出部は直方体として示されているが、円柱または円錐など、その他の任意の適切な形状としうる。