特許第6663574号(P6663574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663574
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】カート燃料管埋システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20200302BHJP
   A63B 55/60 20150101ALI20200302BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   A63B55/60 E
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-3242(P2018-3242)
(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公開番号】特開2019-125006(P2019-125006A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2018年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】龍野 廣道
(72)【発明者】
【氏名】金森 明文
(72)【発明者】
【氏名】森 英泰
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−259098(JP,A)
【文献】 特開2008−167827(JP,A)
【文献】 特開平11−004928(JP,A)
【文献】 特開2005−033996(JP,A)
【文献】 特開2002−252013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
A63B 55/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在の水素タンク内の水素を燃料とする燃料電池から電力供給を受けて走行可能なゴルフカートの燃料を管理するカート燃料管理システムであって、
前記水素タンクの残量を管理する計量手段を有する水素タンク管理室と、
ゴルフ場の予約や利用を集中管理するフロントが管理するプレイ人数及びプレイするラウンド数と、前記水素タンク管理室が管理する水素タンクの残量とを比較して前記ゴルフカートの配車を行う配車室とを備えることを特徴とするカート燃料管理システム。
【請求項2】
前記配車室は、配車を行うと共に、ラウンド後の前記水素タンクの残量を算出することを特徴とする請求項に記載のカート燃料管理システム。
【請求項3】
前記配車室は、前記ラウンド後の水素タンクの残量が所定量以下になると、燃料供給業者へ水素タンクを発注することを特徴とする請求項に記載のカート燃料管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カート燃料管埋システムに関し、特に、ゴルフ場で用いられる乗用カートの燃料を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場では、ゴルフバッグ等の荷物や人の移動にゴルフカートが用いられることが多い。また、近年、環境問題やエネルギー問題への関心が高まっていることから、本出願人は特願2017−240249号で水素タンクと燃料電池とで構成される燃料電池ユニットで走行する乗用カートを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、水素タンク内の水素がなくなれば、ゴルフカートとしての走行ができなくなり、プレイが中断して後方のプレイヤーに大きな迷惑を掛けることとなる。ここで、水素タンクがカートに固定されている場合には、ゴルフ場に水素充填装置を設ける必要があり設備投資が嵩んでしまう。また、水素を充填するための充填ノズルは、ガソリン用の給油ノズルより重いため、セルフ充填し難いという問題もある。
【0004】
一方、水素タンクが着脱自在の場合には、ゴルフ場に水素充填装置を設けなくても燃料供給業者へ水素タンクを発注するなどして水素を補充することができる。また、プレイ中に水素タンク内の水素がなくなっても、満充填された水素タンクと交換すれば短時間で走行可能となる。しかし、水素タンクを交換する短い時間であっても、プレイが中断されてしまうと後方のプレイヤーに迷惑を掛けることになる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ゴルフのプレイ中におけるカートの燃料切れを防止し、円滑なプレイの継続を可能とするカート燃料管埋システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、着脱自在の水素タンク内の水素を燃料とする燃料
電池から電力供給を受けて走行可能なゴルフカートの燃料を管理するカート燃料管理システムであって、前記水素タンクの残量を管理する計量手段を有する水素タンク管理室と、ゴルフ場の予約や利用を集中管理するフロントが管理するプレイ人数及びプレイするラウンド数と、前記水素タンク管理室が管理する水素タンクの残量とを比較して前記ゴルフカートの配車を行う配車室とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、水素タンクの残量管理等を行うことでゴルフのプレイ中におけるカートの燃料切れを防止することができるため、円滑なプレイの継続が可能となる。また、円滑で効率的な配車を実現することができる。
【0009】
また、上記カート燃料管理システムにおいて、前記配車室は、配車を行うと共に、ラウンド後の前記水素タンクの残量を算出することができる。これにより、次回の配車に迅速に対応することができる。
【0010】
さらに、上記カート燃料管理システムにおいて、前記配車室は、前記ラウンド後の水素タンクの残量が所定量以下になると、燃料供給業者へ水素タンクを発注することができる。これにより、在庫管埋の合理化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、ゴルフのプレイ中におけるカートの燃料切れを防止し、円滑にプレイを継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るカート燃料管理システムの第1の実施形態を示す概略図である。
図2図1に示すカート燃料管理システムの配車動作を説明するためのフローチャートである。
図3図1に示すカート燃料管理システムの燃料発注動作を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明に係るカート燃料管理システムの第2の実施形態を示す概略図である。
図5】本発明に係るカート燃料管理システムの第3の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るカート燃料管理システムの第1の実施形態を示し、このカート燃料管理システム1は、フロント2と、水素タンク管理室3と、カート収納室6と、配車室7と、燃料供給業者8と、保守業者9と、クラウド10と、これら各構成要素を繋ぐネットワーク20とで構成され、フロント2、水素タンク管理室3、カート収納室6及び配車室7は、ゴルフ場Aが管理する。
【0015】
カート17は、ゴルフバッグ等の荷物や人の移動に用いられ、着脱自在の水素タンク内の水素を燃料とする燃料電池から電力供給を受けて走行可能である。カート17のその他の構成は、一般的な乗用カートと同様である。
【0016】
フロント2は、例えば、ゴルフ場の受付窓口に設置される端末を備え、入力されたゴルフ場Aの予約や利用に関する情報をクラウド10に転送して管理し、要求に応じてデータを出力するために設けられる。
【0017】
水素タンク管理室3は、複数の水素タンク4と、水素タンク4の内部の水素の量を計測する計量手段5とを備え、水素タンク4に関する情報をクラウド10に転送して管理し、要求に応じてデータを出力するために設けられる。
【0018】
カート収納室6は、カート17を収納するだけでなく、カート17に関する情報をクラウド10に転送して管理し、要求に応じてデータを出力するために設けられる。
【0019】
配車室7は、フロント2、水素タンク管理室3及びカート収納室6に要求した各種データに基づき、適切なカート17と水素タンク4の組み合わせを抽出し、抽出した水素タンク4のラウンド後の残量を算出し、これらの情報をクラウド10に転送して管理するために設けられる。また、配車室7は、ラウンド後の残量が所定量以下になる水素タンク4を抽出すると、燃料供給業者8に対して発注動作を行う。
【0020】
燃料供給業者8は、配車室7からの要求に応じ、ゴルフ場Aを含む各ゴルフ場に水素タンク4を供給する。また、保守業者9は、カート17に関する情報を自ら取得することによってカート17の保守を行うと共に、予めゴルフ場Aと契約した期間毎にカート17の定期点検を行う。
【0021】
クラウド10は、カートDB(データベース)11と、予約DB12と、ストックDB13と、燃料供給業者DB14と、配車DB15と、保守DB16とを備え、ネットワーク20を介して各種データが入力されると、それまで記憶していたデータを入力された新しいデータに更新し、記憶した各種データを要求に応じて出力するために設けられる。
【0022】
カートDB11は、カート収納室6から転送されたカート17に関する情報を蓄積するために設けられる。カート17に関する情報は、表1に示すように、ユーザーコード、ゴルフ場名、カートNo、走行開始日、保守日及び保守内容である。
【0023】
【表1】
【0024】
予約DB12は、フロント2から転送されたゴルフ場Aの予約や利用に関する情報を蓄積するために設けられる。ゴルフ場Aの予約や利用に関する情報は、表2に示すように、ユーザーコード、ゴルフ場名、メンバー名、人数、プレイ日、スタート時間、ラウンド数及びコースである。
【0025】
【表2】
【0026】
ストックDB13は、水素タンク管理室3から転送された水素タンク4に関する情報を蓄積するために設けられる。水素タンク4に関する情報は、表3に示すように、ユーザーコード、ゴルフ場名、水素タンクNo及び残量である。ここで、残量はプレイ可能なラウンド数で表しており、残量1であれば1ラウンドプレイしてもカートの燃料切れにならない程度の水素が水素タンク4の中に残っているという意味である。
【0027】
【表3】
【0028】
燃料供給業者DB14は、燃料供給業者8から転送される各ゴルフ場A、Bへの燃料供給情報を蓄積するために設けられる。燃料供給情報は、表4に示すように、ユーザーコード、ゴルフ場名、水素タンクNo、残量、燃料及び供給予定日である。
【0029】
【表4】
【0030】
配車DB15は、配車室7から転送されるカート17の配車に関する情報を蓄積するために設けられる。カート17の配車に関する情報は、表5に示すように、ユーザーコード、ゴルフ場名、メンバー名、カートNo、水素タンクNo、残量、ラウンド数及びラウンド後残量である。ここで、残量及びラウンド数は、ストックDB13及び予約DB12から各々取得する。
【0031】
【表5】
【0032】
保守DB16は、各ゴルフ場A、BのカートDB11(ゴルフ場BのカートDBは記載を省略)からカート17に関する情報を取得し、カート17の保守に関する情報として蓄積するために設けられる。カート17の保守に関する情報は、表6に示すように、表1に示したカート17に関する情報と同様である。
【0033】
【表6】
【0034】
次に、上記構成を有するカート燃料管理システム1の動作について、図1図3を参照しながら説明する。
【0035】
まず、カート17の配車設定について、図1及び図2を参照しながら説明する。尚、この配車設定の説明における、フロント2、水素タンク管理室3及びカート収納室6のデータ出力は、フロント2等からデータを実際に出力するのではなく、フロント2等がクラウド10の各種DBにデータの出力を要求し、各種DBが蓄積するデータを出力することを意味する。
【0036】
図2に示すように、配車室7において配車設定を開始すると(ステップS1;Yes)、フロント2、水素タンク管理室3及びカート収納室6にデータ要求を出力する(ステップS2)。
【0037】
フロント2は、データ要求が入力されると(ステップS11;Yes)、要求されたゴルフ場Aの予約や利用に関する情報を配車室7に出力する(ステップS12)。
【0038】
水素タンク管理室3は、データ要求が入力されると(ステップS21;Yes)、要求された水素タンク4に関する情報を配車室7に出力する(ステップS22)。
【0039】
カート収納室6は、データ要求が入力されると(ステップS31;Yes)、要求されたカート17に関する情報を配車室7に出力する(ステップS32)。
【0040】
配車室7は、要求したデータが入力されると(ステップS3;Yes)、ステップS4において、ラウンドを回ることが可能な量の水素が残っていて他の予約に用いられない水素タンク4と、利用日時が他の予約と重ならないカート17を入力された各データから抽出し(ステップS4)、これらに基づいて配車設定を終了させると共に、表5に示すように、水素タンク4の残量からラウンド数を引いてラウンド後の残量を算出し、配車DB15のカート17の配車に関する情報を更新する(ステップS5)。
【0041】
次に、燃料の発注動作について、図1及び図3を参照しながら説明する。配車室7が表5に示すカート17の配車に関する情報の中から、ラウンド後に残量が1以下になる水素タンク4を抽出すると(ステップS41;Yes)、燃料供給予定日や請求額等のデータの要求を、ラウンド後残量が1以下になる水素タンク4のNoとその残量と共に燃料供給業者8に出力する(ステップS42)。
【0042】
燃料供給業者8は、データ要求や各種データが入力されると(ステップS51;Yes)、これらに基づいて燃料供給業者DB14に燃料供給情報を入力する(ステップS52)。そして、入力した燃料供給情報に基づいて各ゴルフ場に実際に燃料を供給した後、各ゴルフ場A、Bへの請求額を算出した請求書情報を作成する(ステップS53)。各ゴルフ場A、Bは、燃料供給業者DB14を自ら参照することで燃料供給情報及び請求書情報を取得することができる。
【0043】
請求書情報は、表7に示すように、ユーザーコード、ゴルフ場名、(水素タンクの)本数、満タン量、残量、及び請求量から構成することができ、ここで、水素タンクの容量はラウンド3回分であり、容量の総和である満タン量から残量(の総和)を差し引いた量を供給量として料金を請求することができる。
【0044】
【表7】
【0045】
本実施の形態によれば、プレイ日やラウンド数等のゴルフ場Aの予約や利用に関する情報と、水素タンク4の残量とに基づいて配車設定を行うため、ゴルフのプレイ中におけるカートの燃料切れを防止することができ、円滑なプレイの継続が可能となる。また、効率よく燃料の発注を行うことができるため、在庫管埋の合理化を図ることもできる。
【0046】
次に、本発明に係るカート燃料管理システムの第2の実施形態について、図4を参照しながら説明する。
【0047】
このカート燃料管理システム21は、図1に示した水素タンク管理室3、燃料供給業者8及び保守業者9を、水素タンク管理事業部22、燃料供給事業部23及び保守事業部24として一つの会社Cに集約したものである。
【0048】
本実施の形態によれば、水素タンク管理室3がなくなった分だけゴルフ場Aの負担が減り、一つの会社で燃料の管理や保守を賄うことができるため、カート燃料管理システムをより円滑に実施することができる。
【0049】
次に、本発明に係るカート燃料管理システムの第3の実施形態について、図5を参照しながら説明する。
【0050】
このカート燃料管理システム31は、図4に示したシステム21のゴルフ場Aが管理していたカート収納室6を、カート管理事業部32として、水素タンク管理事業部22、燃料供給事業部23及び保守事業部24と共に一つの会社Dに集約したものである。
【0051】
本実施の形態によれば、カート17の管理をしなくて済む分ゴルフ場Aの負担をさらに減らすことができる。一方で、会社Dの負担は増加することになるが、一つの会社に事業がまとめられることで、さらに円滑にカート燃料管理システムを実施することができる。尚、カート17をリース会社を経由して提供することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 カート燃料管理システム
2 フロント
3 水素タンク管理室
4 水素タンク
5 計量手段
6 カート収納室
7 配車室
8 燃料供給業者
9 保守業者
10 クラウド
11 カートDB
12 予約DB
13 ストックDB
14 燃料供給業者DB
15 配車DB
16 保守DB
17 カート
20 ネットワーク
21 カート燃料管理システム
22 水素タンク管理事業部
23 燃料供給事業部
24 保守事業部
31 カート燃料管理システム
32 カート管理事業部
A ゴルフ場
C、D 会社
図1
図2
図3
図4
図5