特許第6663576号(P6663576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6663576精白ロール及び該精白ロールを備えた研米機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663576
(24)【登録日】2020年2月19日
(45)【発行日】2020年3月13日
(54)【発明の名称】精白ロール及び該精白ロールを備えた研米機
(51)【国際特許分類】
   B02B 3/06 20060101AFI20200302BHJP
【FI】
   B02B3/06 101D
   B02B3/06 105
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-130631(P2015-130631)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-12976(P2017-12976A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 康義
(72)【発明者】
【氏名】但馬 史朗
(72)【発明者】
【氏名】小池 康範
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 実公平02−036589(JP,Y2)
【文献】 実公昭39−022737(JP,Y1)
【文献】 特許第3715072(JP,B2)
【文献】 実公昭40−003102(JP,Y1)
【文献】 実公昭36−012454(JP,Y1)
【文献】 実公昭36−022678(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を送穀する送穀ロールと、外周部に噴風口及び撹拌突起を有する精白ロールと、を主軸に軸架し、前記精白ロールは、軸方向に複数に分割されたロール分割部によって構成されており、該ロール分割部には、該ロール分割部同士の軸方向の接合と、該ロール分割部の前記主軸への軸着を行うために、複数の支持部材が介装されており、前記主軸の内部には導水路が加工形成されており、前記導水路の終端部には、前記精白ロールの外周部まで円周方向に延設した水添加ノズルが複数設けられ、そのノズル口は、前記精白ロールの前記噴風口に臨ませてあることを特徴とする精白ロール。
【請求項2】
機枠の内部に多孔壁除糠精白筒を設けるとともに、該多孔壁除糠精白筒内に回転可能に精白ロールを設け、前記多孔壁除糠精白筒と前記精白ロールとの間の空間は、穀粒の搗精を行う精白室に形成した研米機であって、
前記多孔壁除糠精白筒内には、請求項1記載の精白ロールを回転可能に設けたことを特徴とする研米機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精白ロール及び該精白ロールを備えた研米機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、米粒に水分を添加しながら搗精処理を行って米粒に付着する糠を研磨して光沢白米に仕上げ加工する研米機が知られている。例えば、特許文献1に記載された研米機が知られており、これを図7及び図8を参照しながら説明する。
【0003】
図7は従来の研米機の側断面図であり、図8は同研米機の精白ロールの正断面図である。図7及び図8において、研米機101は、機枠102の内部に多孔壁除糠精白筒103を横架し、中空状の主軸管105に、噴風口106を形成した精白ロール107と送穀螺旋ロール108を軸架して主要部を形成する。精白ロール107と精白筒103との間には精白室114を形成し、該精白室114の米粒の排出側に米粒排出口115を連絡し、該米粒排出口115には分銅116を備えた抵抗板装置117を設ける。精白筒103の外側下部は集糠室118に形成し、該集糠室118には排風機119を連絡する。符号104は、主軸管105に設けた遮壁板であり、符号110は、精白ロール107に設けた遮断版である。
【0004】
研米機101近傍に配設される加湿装置120は、主軸管105の端部105aに噴射ノズル121のノズル口を臨ませたものであり、該噴射ノズル121は給水管122を介して水槽123と連絡するとともに、給風管124を介して空気圧縮機125と連絡する。
【0005】
上述のような研米機において、供給口112に設けたシャッタ113を開口して米粒を供給すると、米粒は供給タンク111から供給口112を経て送穀螺旋ロール108によって精白室114に送られる。精白室114に送られた米粒には、噴射ノズル121のノズル口から水分が噴射され、主軸管105の端部105a、主軸管105内部、主軸管105の通気口109、精白ロール107の噴風口106を経て精白室114内に水分が供給される。
【0006】
精白室114内の米粒は供給された水分によりその表面が湿潤軟質化され、さらに、精白室114内で精白ロール107が回転することにより除糠される。除糠された糠は、精白筒103より落下し、排風機119の吸引作用により機外へ排出される。
【0007】
上記精白室114内への水分の供給の際は、主軸管105に充満した霧状の加湿空気が、主軸管105の通気口109からいったん精白ロール107内部に入り、精白ロール107内部の加湿空気が噴風口106を経て精白室114に供給される。しかしながら、搗精終了後は、加湿空気が凝縮して結露水が生じ、この結露水によって水溜まりWが形成されるようになる。すなわち、図8に示すように、精白ロール107の内面が曲面に形成されていることから、水溜まりWは機外に排出され難(がた)いのである。
このような水溜まりWが生じると、精白ロール107の内面に錆(さび)が生じたり、カビが発生したりするなどの不衛生な面がある。また、この錆によって精白ロール107と主軸管105との嵌合部が固着し、分解が困難となって、メンテナンスが行いにくいといった問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平2−36589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点にかんがみ、精白ロールの内面に水溜まりが生じるおそれがなく、錆やカビの発生を抑制し、メンテナンスのし易い精白ロール及び該精白ロールを備えた研米機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明は、穀粒を送穀する送穀ロールと、外周部に噴風口及び撹拌突起を有する精白ロールと、を主軸に軸架し、前記精白ロールは、軸方向に複数に分割されたロール分割部によって構成されており、該ロール分割部には、該ロール分割部同士の軸方向の接合と、該ロール分割部の前記主軸への軸着を行うために、複数の支持部材が介装されており、前記主軸の内部には導水路が加工形成されており、前記導水路の終端部には、前記精白ロールの外周部まで円周方向に延設した水添加ノズルが複数設けられ、そのノズル口は、前記精白ロールの前記噴風口に臨ませてあることを特徴とする精白ロールとした。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、機枠の内部に多孔壁除糠精白筒を設けるとともに、該多孔壁除糠精白筒内に回転可能に精白ロールを設け、前記多孔壁除糠精白筒と前記精白ロールとの間の空間は、穀粒の搗精を行う精白室に形成した研米機であって、前記多孔壁除糠精白筒内には、請求項1記載の精白ロールを回転可能に設けたことを特徴とする研米機とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、穀粒を送穀する送穀ロールと、外周部に噴風口及び撹拌突起を有する精白ロールと、を主軸に軸架し、前記精白ロールは、軸方向に複数に分割されたロール分割部によって構成されており、該ロール分割部には、該ロール分割部同士の軸方向の接合と、該ロール分割部の前記主軸への軸着を行うために、複数の支持部材が介装されており、前記主軸の内部には導水路が加工形成されており、前記導水路の終端部には、前記精白ロールの外周部まで円周方向に延設した水添加ノズルが複数設けられ、そのノズル口は、前記精白ロールの前記噴風口に臨ませてあることを特徴とする精白ロールの構成とした。これにより、ロール分割部を複数組み合わせて長尺状の精白ロールに形成する際複数の支持部材によって、ロール分割部同士の軸方向の整合と主軸への軸着とを行うものとなり、精白ロールの内面に仮に錆(さび)が生じた場合であっても、長尺状の精白ロールを主軸から一体で取り外すのではなく、ロール分割部ごとに一個ずつ主軸から取り外すことができる。また、複数の支持部材による軸方向接合のために、主軸と固く固着することがなく、分解が困難となるおそれが少ない。さらに、精白ロールの外周部まで円周方向に延設した水添加ノズルを複数設けることで、直接的に精白室に水分が滴下されるので、搗精終了後、精白ロールの内面に水溜まりが生じるおそれがなく、錆(さび)やカビの発生を抑制することができるといった利点がある。これにより、精白ロールの分解・組み立てが簡単になり、メンテナンスのし易い精白ロールとなった。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、機枠の内部に多孔壁除糠精白筒を設けるとともに、該多孔壁除糠精白筒内に回転可能に精白ロールを設け、前記多孔壁除糠精白筒と前記精白ロールとの間の空間は、穀粒の搗精を行う精白室に形成した研米機であって、前記多孔壁除糠精白筒内には、請求項1記載の精白ロールを回転可能に設けたので、複数の支持部材による軸方向接合の精白ロールを設けた研米機であるから、分解・組み立てが簡単になり、メンテナンスのし易い研米機となった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明実施形態の研米機の概略斜視図である。
図2】同上の側断面図である。
図3】同上の研米機の精白ロールの全体図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5】精白ロールを組み立てる際の分解斜視図である。
図6】ロール分割部の接合部分を表す拡大断面図である。
図7】従来の研米機の側断面図である。
図8】従来の研米機の精白ロールの正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明実施形態の研米機の概略斜視図であり、図2は同上の側断面図であり、図3は同上の研米機の精白ロールの全体図であり、図4図3のA−A断面図である。図1及び図2において、本発明実施形態の研米機1は、機台38上に配設した機枠2の内部に多孔壁除糠精白筒3を横架し、無垢の主軸4に、噴風口5及び撹拌突起6を設けた精白ロール7と、米粒を横送りするための送穀ロール8とを軸架して主要部を形成する。前記多孔壁除糠精白筒3と精白ロール7との間は精白室9に形成し、米粒を横送りするための送穀筒10と前記送穀ロール8との間を送穀室11に形成し、さらに、前記多孔壁除糠精白筒3の外側にあって、糠を収集するための集糠ホッパ12と連通される空間を集糠室13に形成する。
【0016】
前記精白室3の米粒の排出側には精品を排出するための米粒排出口14と、精品を機外排出する精品シュート15とを設け、前記米粒排出口14には分銅16を備えた抵抗板装置17を設ける。一方、送穀筒10の上部には米粒供給口27が設けられ、該米粒供給口27の上方には、該供給口27を開閉するシャッタ(図示せず)と、該シャッタ駆動装置となるエアシリンダー28と、米粒の供給タンク29とが設けられる。
【0017】
前記主軸4の一側端部には、駆動プーリ18を軸着するとともに、主軸4内部に導水路19を加工形成する(図2参照)。導水路19は、例えば、直進性のよいガンドリル等の切削工具を用いて深穴加工を行う。該導水路19の径は20〜30mm程度である。また、該導水路19の長さは、前記主軸4の一側端部から精白室9の領域内(図2の矢印Lの範囲内)とするのがよく、好ましくは、送穀室11と精白室9との境界付近の精白室9始端部(駆動プーリ18側から約60cmの深さ。図2の符号19a近辺。)とするのがよい。
【0018】
そして、図4の精白ロールのA−A断面図に示すように、符号19aは導水路19の終端部であり、精白ロール7の軸架部付近にある。この終端部19aからは、円周方向の前記精白ロール7外周部まで延設した水添加ノズル20…を複数設ける。また、そのノズル口37…は、精白ロール7の噴風口5…に臨ませてあり、前記精白室9内に滞留する米粒に水分を直接滴下することができる。これにより、図8の従来技術のように、主軸管105の通気口109、精白ロール107の噴風口106を経て間接的に精白室114内に水分を供給するのではなく、図4に示すように、水添加ノズル20…により直接的に精白室9に水分が滴下されるので、搗精終了後、精白ロール7の内面に水溜まりが生じるおそれがなく、錆(さび)やカビの発生を抑制することができるといった利点がある。
【0019】
一方、研米機1の近傍には、従来技術と同様の水分添加装置21が配設される(図2参照)。すなわち、前記主軸4の一側端部に噴射ノズル22を臨ませ、該噴射ノズル22は給水管23を介して水槽24に連絡され、また噴射ノズル22は給風管25を介して空気圧縮機26に連絡する構成である。
【0020】
図3及び図5に示すように、精白ロール7は、軸方向に複数に分割されたロール分割部7a,7b,7cによって構成されており、該ロール分割部7a,7b,7cには、該該ロール分割部7a,7b,7c同士の軸方向の接合と、該ロール分割部7a,7b,7cの前記主軸4への軸着とを行うために、複数の支持部材30,31,32,33が介装されている(図5参照)。
【0021】
図6(a)は、前記ロール分割部7aと送穀ロール8との接合部分(図2の符号A付近)を表す拡大断面図であり、図6(b)は、前記ロール分割部7aとロール分割部7bとの接合部分(図2の符号B付近)を表す拡大断面図である。この図と、前記図3及び図5を参照しながら前記ロール分割部7a,7b,7c及び送穀ロール8の主軸4への装着について説明する。
【0022】
まず、主軸4には、送穀ロール8を挿入嵌合し、キー34によって主軸4との供回りを阻止しておく。次に、主軸4に、支持部材30の軸支部30aを挿入するとともに、該支持部材30の一方側凸部30bを送穀ロール8の嵌合凹部8aに押し込みながら嵌装する。さらに、主軸4に、ロール分割部7aを挿入するとともに、該ロール分割部7aの一方側凹部7a1を前記支持部材30の他方側凸部30cに押し込みながら嵌装する(図6(a)参照)。同様に、主軸4に、支持部材31、ロール分割部7bをそれぞれ嵌装する。支持部材31を挿入すると、該支持部材31の一方側凸部31bが前記ロール分割部7aの他方側凹部7a2に嵌装され、ロール分割部7bを挿入すると、該ロール分割部7bの一方側凹部7b1が前記支持部材31の他方側凸部31cに嵌装される(図6(b)参照)。
同様の手順により、支持部材32、ロール分割部7c、支持部材33及びリング35を主軸4に嵌装し、最後にナット36により各構成部品の締結を行う。なお、ロール分割部7a,7b,7cは、それぞれに撹拌突起6aが設けられ(図3及び図5参照)、ロール分割部7aは軸に対して傾斜した撹拌突起6aとなし、ロール分割部7b,7cは軸に対して平行な撹拌突起6aとなしている。前述の手順によりロール分割部7a,7b,7cを主軸4に嵌装する際は、これら撹拌突起6aの並びや向きに注意しながら組み立てを行う。
【0023】
上述のように、ロール分割部7a,7b,7cを複数組み合わせて長尺状の精白ロール7を形成する際に、支持部材30〜33によって送穀ロール8及びロール分割部7a,7b,7c同士を軸方向で接合するから、精白ロール7の内面に仮に錆(さび)が生じた場合であっても、長尺状の精白ロールを主軸から一体で取り外すのではなく、ロール分割部ごとに一個ずつ主軸から取り外すことができる。また、複数の支持部材による軸方向接合のために、主軸5と固く固着して分解が困難となるおそれはなく、メンテナンスをより容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、精白ロール及び該精白ロールを備えた研米機に適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 研米機
2 機枠
3 多孔壁除糠精白筒
4 主軸
5 噴風口
6 撹拌突起
7 精白ロール
8 送穀ロール
9 精白室
10 送穀筒
11 送穀室
12 集糠ホッパ
13 集糠室
14 米粒排出口
15 精品シュート
16 分銅
17 抵抗板装置
18 駆動プーリ
19 導水路
20 水添加ノズル
21 水分添加装置
22 噴射ノズル
23 給水管
24 水槽
25 給風管
26 空気圧縮機
27 米粒供給口
28 エアシリンダー
29 供給タンク
30 支持部材
31 支持部材
32 支持部材
33 支持部材
34 キー
35 リング
36 ナット
37 ノズル口
38 機台

















図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8